説明

コンバインの穀粒排出オーガ

【課題】オーガ先端部の排出筒に開閉板を有する穀粒排出オーガは、開閉板及びその回動軸並びにその駆動装置をそれぞれ別個に組付ける必要があり、組立て及びメンテナンスが面倒である。
【解決手段】断面矩形状の排出筒30を構成する左右側板の一方38に、開閉板43、回動軸46及びその駆動装置45を一体に組込んでサブアッシーとする。該サブアッシーである側板38を前後の側板31,39に組付けると共に、回動軸46の先端に配置した軸受51aを有するプレート51を内側から他方の側板37に組付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインにおける穀粒排出オーガに係り、詳しくは、先端排出開口を開閉する開閉板(フラップ)を設けた前記穀粒排出オーガにおいて、前記開閉板及びそれを駆動する駆動装置の取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、前記穀粒排出オーガは、その先端に下方に開口する排出筒を備えており、該排出筒に、前記開口を開閉する開閉板(フラップ)が設けられている。該開閉板は、回動軸により揺動自在となっており、該回動軸に電動モータ等の駆動装置の出力軸を連結して、上記開閉板が上記開口を開閉作動するようになっている。
【0003】
従来、開閉板回動軸は、前記排出筒を貫通して該排出筒に回転自在に取付けられ、また上記電動モータ等の駆動装置は、前記排出筒の側板外側に取付けられ、前記回動軸の前記側板から突出した突出部に前記駆動装置が連結されている(特許文献1又は2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−130973号公報
【特許文献2】特開2008−54650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記穀粒排出オーガの排出口開閉装置は、回動軸を排出筒に取付け、そして該回動軸に連結するように電動モータ等の駆動装置を取付けて組立てられる。従って、組立て及び分解がそれぞれ各部品を個別的に行う必要があり、組立性が悪く、またメンテナンスも面倒となっている。
【0006】
そこで、本発明は、開閉板及び該開閉板を駆動する駆動装置を断面矩形状の排出筒の一側板に組込んでサブアッシーとし、もって上述した課題を解消したコンバインの穀粒排出オーガを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、走行機体(3)に配置したグレンタンク(7)から穀粒を排出するコンバイン(1)の穀粒排出オーガ(19)において、
該穀粒排出オーガ先端部(17a)に、下方に向いて開口(41)を有する断面矩形状の排出筒(30)を備え、
該排出筒に前記開口(41)を開閉する開閉板(43)を配置し、
前記排出筒を構成する左右側板の一方(38)に、前記開閉板(43)及び該開閉板を駆動する駆動装置(45)を有する開閉装置(42)を一体に組込んでサブアッシーとした、
ことを特徴とするコンバインの穀粒排出オーガにある。
【0008】
サブアッシーとなる前記一方の側板(38)に、前記開閉板(43)の回動軸(46)の一端部を貫通して支持すると共に、該回動軸の先端に軸受(51a)を有する取付部材(51)を配置し、該取付部材を前記左右側板の他方の側板(37)内面に当接して該他方の側板に固定し、
前記一方の側板(38)の外側に前記駆動装置(45)を配設すると共に、該駆動装置に前記回動軸(46)の一端部を連結してなる。
【0009】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る本発明によると、開閉板及び該開閉板を駆動する駆動装置を有する開閉装置を、排出筒の一側板に一体に組込んでサブアッシーとしたので、該サブアッシーとなっている一側板を排出筒に組付け、取外すことにより容易に組立て、分解が可能となり、組立性及びメンテナンス性を向上することができる。
【0011】
請求項2に係る本発明によると、開閉板の回動軸を一方の側板に支持すると共に、該回動軸の先端に軸受付きのプレートを配置し、該回動軸の先端を排出筒の内側で他方の側板に支持するので、回動軸の軸支持部分が排出筒内に隠れて、外観品質を向上すると共に、サブアッシーとしての組付ける際の回動軸の軸端支持部分の作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用したコンバインを示す側面図。
【図2】その平面図。
【図3】穀粒排出オーガ先端部分をカバーを取外した状態で示す側面図。
【図4】穀粒排出オーガ先端部分の正面図。
【図5】穀粒排出オーガ先端部分の開閉板を閉じた状態を示す底面図。
【図6】その開閉板を開いた状態を示す底面図。
【図7】穀粒排出オーガ先端部分の側面断面図。
【図8】穀粒排出オーガ先端部分のサブアッシーからなる開閉装置を取外した状態を示す側面図。
【図9】穀粒排出オーガ先端部分のサブアッシーからなる開閉装置を分離した状態を示す正面図。
【図10】サブアッシーからなる開閉装置の側面図。
【図11】穀粒排出オーガ先端部分の開閉装置を分解した状態を示す斜視図。
【図12】穀粒排出オーガ先端部分の排出案内カバーを分解した状態を示す斜視図。
【図13】穀粒排出オーガ先端部分のカバーを分解した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。コンバイン1は、図1及び図2に示すように、クローラ走行装置2に支持されている走行機体3を有しており、該走行機体3の左右一側(左側)には脱穀装置4が配置され、左右他側(右側)には前方側に運転席6、その後方にグレンタンク7が配置されている。走行機体3の前部には、前処理部9が昇降自在に配置されている。
【0014】
運転席6はキャビン10により覆われており、座席シート11の下方にエンジン12が配置され、かつ該座席シート11の前方及び側方に各種の操作部材を有する操作装置が配置されている。更に、座席シート11の後側であるグレンタンク7との間にはオーガ操作装置13が配置されており、該オーガ操作装置13の一部として本発明に係る有線式のリモートコントロール(リモコン)ユニット15が脱着自在に配置されている。
【0015】
グレンタンク7は、脱穀装置4から穀粒が揚上されて貯留される。該グレンタンク7の底部には横ラセンが配置され、また横ラセンに接続して、縦オーガ16が立設されている。該縦オーガ16の先端に横オーガ17が連接して、穀粒排出オーガ19を構成している。縦オーガ16はその基部が回転自在に支持されており、オーガ旋回モータ20によりその筒状部が回転駆動される。横オーガ17の基部は縦オーガ16の先端部に上下方向に揺動自在に連結されており、オーガ昇降シリンダ24により上下方向に昇降駆動される。
【0016】
上記縦オーガ16及び横オーガ17は、筒状部内にラセンが嵌挿されており、排出クラッチのオンによりエンジン12の回転が横ラセンに伝達され、更に縦オーガ16及び横オーガ17のラセンに伝達される。上記旋回モータ20により縦オーガ16を旋回することにより、横オーガ17は所定旋回角に旋回されると共に、オーガ昇降シリンダ24により所定角に昇降され、横オーガ17の先端部17aが所定位置になるように操作される。グレンタンク7内に貯留された穀粒は、横ラセンにより縦オーガ16に搬送され、更に縦オーガ16及び横オーガ17からなる穀粒排出オーガ19により、所定位置に設定されたオーガ先端部17aからトラック等に排出される。
【0017】
オーガ先端部17aは、図3〜図8に示すように、筒状部21の下半部が切欠かれて開口すると共に、前後左右の4面の側板からなる矩形状の排出筒30が取付けられている。該排出筒の前側板31は、図4に詳示するように、オーガの円筒状部前端を塞ぐ形状のプレートからなり、作業灯32が取付けられている。作業灯32に隣接してリモコンホルダ33が配置されており(図3,図5,図6,図13参照)、該リモコンホルダ33には、穀粒排出オーガ19が所定位置になるように旋回する各スイッチ、開閉装置の開閉板(フラップ)を開閉作動するスイッチ、穀粒の排出スイッチ等の各スイッチを有するリモコン35が着脱自在に装着されており、該リモコンは有線36により走行機体の制御部に連結されている。
【0018】
上記右側板38は矩形状のプレートからなり、左側板37及び後側板39はL字形状の一枚板で形成されている。前後の側板31,39はその縁部31a,39aが折り曲げられて(図8参照)、これら縁部に右側板38がボルト及びナットにより固定されている。更に、図11に詳示するように、右(一方の)側板38は、左右及び上縁部38a,38b,38cが折り曲げており、上縁部38cは、オーガ先端部筒状部21に固設された断面L字状の取付けプレート40にボルト及びナットにより固定されている。
【0019】
前記オーガ先端部17aにて、下方向に向けて開口する開口41を有する前記排出筒30には上記開口41からなる穀粒の排出口を開閉する開閉装置42が配置されている。開閉装置42は、上記開口41を開閉する開閉板(フラップ)43と該フラップを駆動する駆動装置45を有しており、上記フラップ43はその前端に配置された回動軸46に一体に支持されている。前記排出筒30の各側板31,37,38,39には、それぞれ上記開口41を囲むように籾漏れ防止片47a,47b,47c,47dが取付けられており、これら籾漏れ防止片は、前記フラップ43の閉じ位置において該フラップの上面に当接して籾(穀粒)の漏れ落ちを防止する。また、上記駆動装置45はカバー49により覆われており(図5,図6,図13参照)、また前記排出筒30の下方には透明のビニールからなる排出案内カバー50が取付けられている(図13参照)。
【0020】
前記開閉装置42は、図9〜図12に示すように、フラップ43、回動軸46及び駆動装置45が右側板38に取付けられて一体のサブアッシーを構成している。回動軸46は、一端(右端)が右側板38に回転自在に支持され、先端(左端)に軸受51aを有するプレート(取付部材)51が設置されており、該回動軸46の上記両端の間にフラップ(開閉板)43が一体に固定されている。右側板38の外側には取付けプレート52が固定されており、該取付けプレート52と右側板38との間に、前記回動軸46の一端が右側板38から突出して支持されている。該回動軸46の突出部分にはセクタギヤ53が一体に固定されており、更に取付けプレート52から突出した一端部にポテンショメータ55が連結されて、該ポテンショメータ55は取付けプレート52の外側に固定されている。従って、ポテンショメータ55は回動軸46に同軸上に直接取付けられて、部品点数が少なくて足りる。
【0021】
前記右側板38と取付けプレート52との間にピニオン56(図3参照)が支持されていると共に、電動(フラップ駆動)モータ57が取付けられている。該電動モータ57の出力ピニオンが上記ピニオン56を介してセクタギヤ53に噛合しており、上記電動モータ57の回転によりフラップ43を所定位置に揺動する。
【0022】
サブアッシーとして右側板38に組込まれた開閉装置42は、フラップ43を図10及び図11に示すように斜め(約45度)に位置決めした状態で、既に組立てられている排出筒30の前後及び左側板31,39,37の間に、開放している右側から挿入される。この際、右側板38に取付けられている籾漏れ防止片47cが前後側板の折曲げ縁部31a,39aと干渉しないように、これら縁部に切欠きa,bが形成されている。従って、上記開閉装置42を一体に組込んでサブアッシーとなっている右側板38は、そのフラップ43及び籾漏れ防止片47cが前後側板31,39と干渉することなく排出筒30内に挿入され、回動軸46の先端に設置されている軸受プレート51が左側板37の内面に当接して該右側板37にボルト及びナットにより固定される。そして、右側板38は、前後の側板31,39の折曲げ縁部31a,39aにボルト及びナットにて固定されると共に、その上縁部38cを取付けプレート40にボルト及びナットにより固定されて、サブアッシーの組付けが完了する。
【0023】
図12に示すように、上記サブアッシーとしての右側板38を組付けて、排出筒30の組立てが完了した状態で、該排出筒30の下部に、同じく矩形筒状からなる透明のビニール製の排出案内カバー50がボルト、ナット及びワッシャにより一体に取付けられる。
【0024】
更に、図13に示すように、オーガカメラ60がブラケット61を介して上記排出筒30の後側にボルト及びナットにより取付けられる。そして、右側板38の外側に配設された開閉装置42の駆動装置45を覆うように、該右側板38の前後縁部38a,38bに合成樹脂製のカバー49がボルト及びナットにより固定される。この際、リモコンホルダ33が上記カバー49に取付けられるが、該ホルダ33とカバー49とは、共通のボルト及びナットにより共締めされる。
【0025】
前記穀粒排出オーガ19が、その先端部17aをトラックの上方に位置決めして、排出スイッチにより該穀粒排出オーガ19が駆動されると、穀粒は該排出オーガ19により搬送されて、その先端から排出される。この際、回動軸46の回転位置をポテンショメータ55で検出しつつ、電動モータ57を回転制御することにより、フラップ43の角度が調整される。これにより、穀粒の排出方向が変えられ、穀粒は、排出筒30及び排出案内カバー50に案内されて、トラック上の所定位置に導かれる。また、上記穀粒排出オーガ19の駆動を停止すると共に、フラップ43を、図5及び図7の実線に示すように閉じ位置とすることにより、フラップ43は、4辺の籾漏れ防止片47a〜47dに当接して穀粒の排出が停止される。この際、フラップ43は、上記籾漏れ防止片に密接して、穀粒が漏れ落ちることがない。
【0026】
穀粒排出オーガ19をメンテナンス等のため、前記開閉装置42を分解する場合、上述と逆に、排出案内カバー50及びカバー49を取外した状態で、開閉装置42を一体に組込んでサブアッシーとなっている右側板38を排出筒30から取外すことにより、容易に分解することができる。
【0027】
なお、上記実施の形態は、右側板38に開閉装置42を組込んだが、左側板37に開閉装置を組込んでサブアッシーとしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 コンバイン
3 走行機体
7 グレンタンク
16 縦オーガ
17 横オーガ
17a オーガ先端部
19 穀粒排出オーガ
30 排出筒
31 前側板
37 他方の(左)側板
38 一方の(右)側板
39 後側板
42 開閉装置
43 開閉板(フラップ)
45 駆動装置
46 回動軸
51 取付部材(プレート)
51a 軸受
55 ポテンショメータ
57 電動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に配置したグレンタンクから穀粒を排出するコンバインの穀粒排出オーガにおいて、
該穀粒排出オーガ先端部に、下方に向いて開口を有する断面矩形状の排出筒を備え、
該排出筒に前記開口を開閉する開閉板を配置し、
前記排出筒を構成する左右側板の一方に、前記開閉板及び該開閉板を駆動する駆動装置を有する開閉装置を一体に組込んでサブアッシーとした、
ことを特徴とするコンバインの穀粒排出オーガ。
【請求項2】
サブアッシーとなる前記一方の側板に、前記開閉板の回動軸の一端部を貫通して支持すると共に、該回動軸の先端に軸受を有する取付部材を配置し、該取付部材を前記左右側板の他方の側板内面に当接して該他方の側板に固定し、
前記一方の側板の外側に前記駆動装置を配設すると共に、該駆動装置に前記回動軸の一端部を連結してなる、
請求項1記載のコンバインの穀粒排出オーガ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−90551(P2012−90551A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239677(P2010−239677)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】