説明

コンバインの脱穀機

【課題】排塵ファン及び排塵処理室を強度アップする。
【解決手段】扱胴(7a)を軸支した脱穀室(7)の右側後部に排塵物を処理する排塵胴(8a)を軸支した排塵処理室(8)を設け、脱穀室(7)の後部と排塵処理室(8)の前部とを連通し、脱穀室(7)の下側に選別室(30)を設け、選別室(30)内に備えた揺動選別装置(31)の後部上方には排塵ファン(38)を設け、排塵ファン(38)左側の側板(38a)と排塵胴(8a)の外周部に配置する排塵胴ケーシング(48)とを左右方向の横支持杆(46)で連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインの脱穀機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバインによる立毛穀稈の収穫作業において、コンバインの走行車台の前部に設けた刈取機で立毛穀稈を刈取り、この刈取り穀稈を後方上部へ移送し、走行車台の上側に搭載した脱穀機のフィードチェンと挟持杆とへ引継ぎ、このフィードチェンと挟持杆とで挟持して脱穀室内を挟持移送中に脱穀し、脱穀済みの穀粒及び一部の藁屑は、脱穀室から選別室へ供給される。
又、排塵物は脱穀室から排塵処理室内へ供給され、この排塵処理室内で再度脱穀処理され、再脱穀処理された一部の穀粒及び藁屑は排塵処理室から選別室へ供給される。再脱穀処理された大半の藁屑は機外へ排出される。更に、二番物は、脱穀機の右横側へ斜設して設けた二番還元筒から二番排出筒を経て二番処理室内へ揚送還元され、この二番処理室内で再脱穀処理され、再脱穀処理された一部の穀粒、及び藁屑等はこの二番処理室から選別室内へ供給される。
前記脱穀室、排塵処理室、及び二番処理室から選別室内へ供給された脱穀物は、揺動選別及び風選別される。選別済み穀粒は穀粒貯留タンク内へ供給されて一時貯留される。又、選別された藁屑、及び穀切等は機外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−299341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二番物は、脱穀機の右横側へ斜設して設けた二番還元筒から、二番排出筒を経て二番処理室内へ揚送還元される。この二番還元筒の基部は脱穀機の右側板の下部へ装着され、二番排出筒は二番処理室が位置する右側板の上部へ装着されているが、中間部が支持されていないことにより、コンバインで収穫作業中に圃場の凹凸及び畦を越えるときには、このコンバインが大きく振動することがある。この振動によって、二番還元装置の大きな振れが発生し、この振れが原因で二番還元装置が破損する問題が発生していた。
そして、上述の先行技術において、脱穀機に備える排塵ファン及び排塵処理室部も強度アップが図られていない。
また、従来は排塵胴の外周部に配置する排塵胴ケーシングの上側に排塵カバーが設けられておらず、排塵胴ケーシング上へ藁屑が堆積する問題があった。
この発明は、排塵ファンおよび排塵処理室部の強度アップ、及び排塵胴ケーシング上への藁屑の堆積防止を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上述の問題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、扱胴(7a)を軸支した脱穀室(7)の右側後部に排塵物を処理する排塵胴(8a)を軸支した排塵処理室(8)を設け、該脱穀室(7)の後部と排塵処理室(8)の前部とを連通し、前記脱穀室(7)の下側に選別室(30)を設け、該選別室(30)内に備えた揺動選別装置(31)の後部上方には排塵ファン(38)を設け、該排塵ファン(38)左側の側板(38a)と前記排塵胴(8a)の外周部に配置する排塵胴ケーシング(48)とを左右方向の横支持杆(46)で連結したことを特徴とするコンバインの脱穀装置とした。
請求項2記載の発明は、前記脱穀室(7)後端の後仕切板(6b)側に前後方向の支持杆(45)の前端部を固着し、該支持杆(45)の前部に排塵胴ケーシング(48)を連結し、前記排塵ファン(38)の後方上部に左右方向の上部横支持杆(47)を設け、該上部横支持杆(47)の左右方向中央部に設けた第1取付板(47a)と前記支持杆(45)の後端部に設けた第2取付板(45c)とを連結し、前記横支持杆(46)の右側端部に設けた第3取付板(46a)と、前記支持杆(45)の前後方向中間部に設けた中間取付板(45b)とを連結したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置とした。
請求項3記載の発明は、前記排塵処理室(8)の下部に、処理後の穀粒を選別室(30)へ漏下させる排塵漏下具(8d)を着脱自在に設けるにあたり、該排塵漏下具(8d)の前部側に設けた第1挿入孔(8e)を前記後仕切板(6b)に設けた第1支持ピン(6c)に挿入支持させ、排塵漏下具(8d)の後部側に設けた第2支持ピン(8f)を排塵処理室(8)後端の排出ガイド(49)に設けた第2挿入孔(49a)に挿入して排塵漏下具(8d)の前後両側を支持する構成としたことを特徴とする請求項2記載のコンバインとした。
請求項4記載の発明は、前記後仕切板(6b)の後側における排塵胴ケーシング(48)の上側の部位に、右側上部から左側下部へ向けて傾斜する排塵カバー(51)を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のコンバインとした。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によると、排塵ファン(38)左側の側板(38a)と排塵処理室(8)内に軸支した排塵胴(8a)の外周部に配置する排塵胴ケーシング(48)とを左右方向の横支持杆(46)で連結することで、排塵ファン(38)と排塵処理室(8)を強度アップすることができる。
請求項2記載の発明によると、上記請求項1記載の発明の効果に加え、支持杆(45)と上部横支持杆(47)と横支持杆(46)とが接続されることで、排塵ファン(38)と排塵処理室(8)を更に強度アップすることができる。
請求項3記載の発明によると、上記請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、排塵漏下具(8d)を確実に取り付けることができるものでありながら、この排塵漏下具(8d)を容易に着脱することができる。
請求項4記載の発明によると、上記請求項2または請求項3記載の発明の効果を奏するうえに、排塵胴ケーシング(48)の上側の部位に、右側上部から左側下部へ向けて傾斜する排塵カバー(51)を設けたことにより、排塵胴ケーシング(48)への藁屑の堆積を防止することができる。また、脱穀後の排藁が後方へ排出移送されるとき、この排藁の穂先は下方から上方へ移動することになるが、排塵カバー(51)によって、この排藁の移送が阻害されない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】二番還元装置部の拡大側面図
【図2】二番還元装置部の拡大平面図
【図3】二番還元装置部の拡大正面図
【図4】収納部品の拡大側面斜視図
【図5】脱穀機の拡大側断面図
【図6】脱穀機の拡大平断面図
【図7】コンバインの全体側面図
【図8】他の実施例を示す図で、排塵処理室部の拡大側面図
【図9】他の実施例を示す図で、排塵処理室部の拡大背面図
【図10】他の実施例を示す図で、後仕切板部の拡大正面図
【図11】他の実施例を示す図で、連通口ガイド部の拡大側面図
【図12】他の実施例を示す図で、連通口ガイド部の拡大背面図
【図13】他の実施例を示す図で、連通口ガイド部の取付部の拡大側面図
【図14】他の実施例を示す図で、連通口ガイド部の取付部の拡大正面図
【図15】他の実施例を示す図で、連通口ガイド部の取付部の拡大側面図
【図16】他の実施例を示す図で、連通口ガイド部の取付部の拡大正面図
【図17】他の実施例を示す図で、開閉支持フレーム部の拡大側面図
【図18】他の実施例を示す図で、開閉支持フレーム部の拡大正面図
【図19】他の実施例を示す図で、開閉支持フレーム部の拡大平面図
【図20】他の実施例を示す図で、脱穀機の前部伝動部の拡大正面図
【図21】他の実施例を示す図で、脱穀機の前部伝動部の拡大側面図
【図22】他の実施例を示す図で、ベルトカバー部の拡大正面図
【図23】他の実施例を示す図で、ベルトカバー部の拡大側面図
【図24】他の実施例を示す図で、扱胴部の拡大側面斜視図
【図25】他の実施例を示す図で、扱胴用フランジキー部の拡大側面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台14の上側へ載置する穀稈を脱穀する脱穀機2の上部には、脱穀室7を設け、この脱穀室7の横側前部には、未脱穀物である二番物を再脱穀処理する二番処理室9を設け、脱穀機2の右横側には、二番物を二番処理室9へ揚送還元する二番還元装置10を斜設した構成である。これら二番処理室9、及び二番還元装置10を主に図示して説明する。
前記コンバイン1の走行車台14の下側には、図7で示す如く土壌面を走行する左右一対の走行クローラ15aを張設した走行装置15を配設し、走行車台14の上側には、脱穀機2を載置した構成である。走行車台14の前側の刈取機16で立毛穀稈を刈取りし、この刈取り穀稈は、この刈取機16で後方上部へ移送され、脱穀機2のフィードチェン17aと、挟持杆17bとで引継ぎされて、挟持移送されながら脱穀される。脱穀済みで選別済み穀粒は、脱穀機2の右横側に配設した穀粒貯留タンク18内に一時貯留される。
前記走行車台14の前側には、図7で示す如く前端位置から立毛穀稈を分離するナローガイド19a、及び分草体19bと、立毛穀稈を引起す引起装置20aと、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置21の掻込装置21aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置20bと、刈取りされた穀稈を挟持移送して脱穀機2のフィードチェン17aと、挟持杆17bとへ受渡しする穀稈掻込移送装置21の根元・穂先移送装置22a,22b等からなる刈取機16を設けている。該刈取機16は、油圧駆動による伸縮シリンダ23により、土壌面に対して昇降自在に移動する構成である。
前記刈取機16の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆24aの上端部には、左右方向の支持パイプ杆24bを設け、この支持パイプ杆24bを走行車台14の上側面に設けた支持装置24cで回動自在に支持させて、伸縮シリンダ23の作動により、刈取機16は支持パイプ杆24bを回動中心として、上下に回動する構成である。
前記脱穀機2側の前部には、図7で示す如くコンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置25aと、これらの操作を行う作業者が搭乗する操縦席25bとは、操作室フレーム26aで形成した操作室26b内に設け、この操縦席25bの下側で、走行車台14の上側面には、エンジン27を載置すると共に、後方部には、穀粒貯留タンク18を配設する。これら走行装置15と、刈取機16と、脱穀機2と、エンジン27等により、コンバイン1の機体1aを形成した構成である。
前記刈取機16の穀稈掻込移送装置21によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送される穀稈に接触作用することにより、脱穀機2へ穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ16aを設けた構成である。
前記走行車台14の前端部に装架された走行用のミッションケース27a内の伝動機構の伝動経路中には、その出力回転に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ27bを設けた構成である。
前記脱穀機2は、図5、及び図6で示す如く前・後側板4a,4bと、左・右側板5a,5bで箱体3に形成すると共に、この箱体3内には、脱穀室7を形成する後側に後仕切板6bを設けると共に、この後仕切板6bの所定距離前部には、中仕切板6aを設け、これら中・後仕切板6a,6b間には、脱穀室7から脱穀処理物の一部を排塵処理室8内へ供給する排塵供給口28を形成した構成である。
前記箱体3の上部には、図5、及び図6で示す如く脱穀室7を設け、この脱穀室7内には、多種類で多数本の扱歯7bを植設した扱胴7aを回転自在に軸支すると共に、扱胴7aの扱歯7bの回転外周の下側部には、脱穀済み穀粒、及び発生した一部の藁屑等が、後述する選別室30へ漏下する脱穀網7cを張設した構成である。
前記脱穀室7の右横側の後方部には、この脱穀室7内で脱穀されなかった未脱穀物(排塵物)を排塵供給口28から供給を受け、再脱穀する排塵処理室8を設け、この排塵処理室8内には、排塵螺旋プレート8b、及び複数個の排塵排出板8cを固着した排塵胴8aを回転自在に軸支すると共に、排塵胴8aの排塵螺旋プレート8bの回転外周の下側部には、再脱穀処理した穀粒、及び一部の藁屑等が選別室30へ漏下する排塵漏下具8dを張設した構成である。この排塵処理室8の移送終端部には、再脱穀処理した藁屑等を主に排出する排塵排出口29aを設けた構成である。
前記排塵処理室8の前側には、二番物の供給を受けて、再脱穀処理する二番処理室9を設け、この二番処理室9内には、複数個の二番処理爪9b、及び二番排出板9cを固着した二番胴9aを回転自在に軸支すると共に、該二番胴9aの二番処理爪9bの回転外周の下部には、二番受板9dを張設した構成である。この二番処理室9の移送終端部には、再脱穀物を選別室30へ排出する二番排出口29bを設けた構成である。
前記脱穀室7の下側に設けた選別室30内には、穀粒と、藁屑、及び稈切とに揺動選別する揺動選別装置31を揺動自在に吊り下げ状態に設けた構成である。この揺動選別装置31は前部より、順次移送棚32a、チャフシーブ32b、ストローラック32c、揺動選別棚32dを設けると共に、シャフシーブ32bの下側には、グレンシーブ32eを設けた構成である。シャフシーブ32bの傾斜角度は調節可能として、漏下量を調節できる構成である。
前記揺動選別装置31の下側前部には、送風羽根33aを回転自在に内装した選別送風機33を設け、この選別送風機33の送風羽根33aから発生する起風を送風して、穀粒と藁屑とに風選別する構成である。
前記選別送風機33の後側には、一番螺旋34aを回転自在に内装した一番受樋34を設け、この一番受樋34の前側上端部と、選別送風機33とは接続した構成であると共に、後側には、一番選別棚34bを設けた構成である。
前記一番受樋34の後側には、二番螺旋35aを回転自在に内装した二番受樋35を設け、この二番受樋35の前側上端部は一番選別棚34bの下側へ重合させると共に、後側上端部は揺動選別装置31の揺動選別棚32dの下側に重合させた構成である。
前記二番受樋35の前側には、補助送風機36を設け、この補助送風機36から発生する起風は、二番受樋35の前側の上部に設けた送風口35bから送風し、二番物を風選別する構成である。
前記一番受樋34の一番螺旋34aの移送終端部には、一番揚送螺旋34dを回転自在に内装した一番揚穀筒34cを設けて接続させた構成であり、選別済み穀粒を揚送して、穀粒貯留タンク18内へ供給する構成である。
前記二番受樋35の二番螺旋35aの移送終端部には、二番還元装置10を設けて接続させた構成であり、この二番還元装置10は二番還元筒11と、二番排出筒12と、これら二番還元筒11、及び二番排出筒12へ回転自在に内装した二番還元螺旋13等よりなる構成である。
前記二番還元装置10は、図1〜図3、及び図5、図6で示す如く脱穀機2の右側板5bの外側へ上方前部へ傾斜させて設け、二番螺旋35aで移送され二番物を、二番還元螺旋13で引継ぎ揚送して、二番処理室9内へ還元する構成である。
前記二番還元装置10の二番還元筒11の下端部は、脱穀機2の右側板5bに設けた受メタル(図示せず)の外周部へ挿入して、ボルト等で装着した構成であり、この二番還元筒11の上下方向略中間部は、図1〜図3で示す如く左・右側板5a,5b間で脱穀室7の後部に設けた後仕切板6bと、この後仕切板6bの前側に設けた中仕切板6aとが位置する箇所の右側板5bの外側面にボルト、及びナット等により、着脱自在で二番還元筒11の外周部に沿う半円状に形成して、設けた支持板37で支持させた構成である。この支持板37で二番還元筒11の上下方向略中間部を支持させて、コンバイン1で収穫作業中に圃場凹凸、及び畦越えのときに、このコンバイン1に発生する振動が、二番還元筒11へ直接振れとして伝わらないようにした構成である。
前記二番還元装置10の二番排出筒12は、二番処理室9を形成する右側板5bへボルト、及びナット等により、装着した構成である。
前記二番還元装置10の二番還元筒11と、二番排出筒12とは、右側板5bへ下部と、上部とが装着されると共に、中間部は支持板37で支持させた構成である。
前記二番還元装置10の下部の二番還元筒11は、右側板5bへ装着されると共に、上部の二番排出筒12も同じく右側板5bへ装着され、更に二番還元筒11の上下方向の略中間部は、支持板37を設けて支持させた事により、コンバイン1で収穫作業中のときに、圃場の凹凸、及び畦越えの時に、このコンバイン1に振動が発生しても、この振動が直接二番還元筒11へ伝わることを防止することができ、このために、二番還元装置10の各部の破損を防止することができる。又、中仕切板6a、及び後仕切板6b等の取付部を支持板37により、強度アップを図ることができる。
前記二番還元筒11を支持する支持板37には、この二番還元筒11の外周部の外側より、押え板(図示せず)を設けて締付ける構成とするもよい。
前記揺動選別装置31の後方上部には、藁屑、稈切、及び塵埃等を吸引して機外へ排出する排塵ファン38を設けた構成である。
前記排塵処理室8の前部に位置するニ番処理室9の上部における右外側部を形成する右側板5b位置は、図1〜図3で示す如く選別室30部の右外側部を形成する右側板5b位置より、内側に位置して設けた構成であり、排塵処理室8の前部に位置するニ番処理室9の上部における右側板5bの外側のスペース(空間)39部には、開閉用蓋40aを有する収納箱40を設け、この収納箱40内には、図4で示す如く脱穀機2、及びコンバイン1等の各部を制御するコントローラボックス41a、コンバイン1を補修時に使用する各種工具類41bを収納した工具袋41c、脱穀機2、及びコンバイン1等の各部へ注油する注油タンク41d、各ベルトテンション作動用モータ41e、コンバイン1の燃料タンク42a、エアコンプレッサ42b、エアコンコンデンサ42c、オイルクーラ42d、オイルタンク42e等を収容した構成である。
これにより、前記排塵処理室8の前部に位置するニ番処理室9の上部における右側板5bの外側のスペース39部に、脱穀機2、及びコンバイン1等の各種部品41a,41b,41c,41d,41e,42a,42b,42c,42d,42e等を集中して配設したことにより、スペース39部を有効利用することができる。又、集中配設したことにより、メンテナンスが良好となった。更にコストダウンができる。
前記穀粒貯留タンク18内に貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク18の後側には、縦移送螺旋43aを内装した排出支持筒43を略垂直姿勢で回動自在に装着して設け、この排出支持筒43の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋44aを伸縮自在に内装した排出オーガ44を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に横方向へ配設した構成である。
前記後仕切板6bには、図8〜図10で示す如く前後支持杆(支持杆)45を固着して設け、この前後支持杆45は前部を下方部に位置させると共に、後部を上方部に位置させ、上下二段に形成して設けた構成である。この前後支持杆45の前方部には、複数個の前取付板45aを固着し、この各取付板45aと排塵胴ケーシング48とをボルト、及びナット等により、装着した構成である。又、前後方向の略中間部には、中取付板(中間取付板)45bを設けると共に、後端部には、後取付板(第2取付板)45cを設けた構成である。
前記排塵ファン38の一方側の側板(左側の側板)38aと、穀粒貯留タンク18の縦チューブ(図示せず)との間で、排塵ファン38の後方上部には、図8、及び図9で示す如く上下二段に形成した上横支持杆(上部横支持杆)47を設けた構成である。この上横支持杆47の左右方向の略中央部に設けた取付板(第1取付板)47aと、前後支持杆45の後取付板45cとは、ボルト、及びナット等により、装着して接続した構成である。
前記排塵ファン38の一方側の側板38aと、排塵胴ケーシング48の先端部(左端部)との間には、図8、及び図9で示す如く下横支持杆(横支持杆)46を設け、この下横支持杆46の内側端部(右側端部)には、取付板(第3取付板)46aを固着して設け、この取付板46aと、前後支持杆45の中取付板45bと、排塵胴ケーシング48との3者は、ボルト、及びナット等により、装着して接続した構成である。
前記前後支持杆45と、上横支持杆47と、下横支持杆46との3者は、接続した構成であり、これにより、排塵ファン38と、排塵処理室8部とは、大幅に強度アップすることができる。前記前後支持杆45は前部を下位に位置させ、後部を上位に位置させて、二段に形成して設けたことにより、排塵処理室8近傍の部材の接続を容易にすることができる。
前記後仕切板6bには、図8〜図9で示す如く排塵胴ケーシング48に複数個設けたフランジ48a、及びフランジ48bをボルト、及びナットで装着した構成である。又、フランジ48bの折曲部48cと、前後支持杆45に設けた前取付板45aとは、ボルト、及びナットで装着した構成である。
前記排塵胴ケーシング48のフランジ48a、及びフランジ48bと、後仕切板6bとを装着し、又、排塵胴ケーシング48のフランジ48bの折曲部48cと、前後支持杆45の前取付板45aとを装着して、排塵胴ケーシング48を後仕切板6bで支持して設けたことにより、排塵胴ケーシング48の強度アップを図ることかできる。
前記排塵処理室8の下部に設ける排塵漏下具8dの取付方法は、図8で示す如く前部側は、後仕切板6bに固着して設けた支持ピン(第1支持ピン)6cへ、排塵漏下具8dの前部側に設けた挿入孔(第1挿入孔)8eを挿入すると共に、後部側は、排出ガイド49に設けた挿入孔(第2挿入孔)49aへ排塵漏下具8dに設けた支持ピン(第2支持ピン)8fを挿入して、排塵漏下具8dの前後両側を支持して設けた構成である。
これにより、前記排塵漏下具8dの支持は、一方側はこの排塵漏下具8dに設けた挿入孔8eで、他方側は支持ピン8fで支持して設けたことにより、排塵漏下具8dの取付を正確に、又、確実に取付けることができる。
前記後仕切板6bの下部前側には、図8、及び図11〜図16で示す如く連通口ガイド50の一方側を固着して設け、この連通口ガイド50の他方側は中仕切板6aへボルト、及びナットによって装着し、これら両者を接続した構成である。連通口ガイド50の上側面の形状は、図12、図14、及び図16で示す如く排塵処理室8の下部に設けた排塵漏下具8dの上側面と同じ形状に形成した構成である。
これにより、前記連通口ガイド50を後仕切板6bへ直接固着して設けたことにより、この後仕切板6bの後側面へ排塵漏下具8dを挿入するこの後側面には、ボルト、及びナット等の突出物がなくなり、このために、後仕切板6bと、排塵漏下具8dとは確実に密着させることができると共に、この排塵漏下具8dの組付け、取り外しが容易である。
前記後仕切板6bの後側で、排塵胴ケーシング48の上側には、図9、及び図10で示す如く右側上部から左側下部へ傾斜すると共に、垂直部を有する排塵カバー51の一方側をボルト、及びナット等によって、後仕切板6bへ装着した構成であると共に、他方側は排塵ファン38のファンケーシング38bに固着した後排塵カバー51aの傾斜面の後端部へ接続して設けた構成である。
従来は前記排塵胴ケーシング48の上側には、排塵カバー51を設けていない構成であったが、この発明により、排塵胴ケーシング48の上側に排塵カバー51を設けたことにより、この排塵胴ケーシング48上へ藁屑等の堆積を防止することができる。又、藁の後方へ排出移送時に、藁の穂先は下方から上方へ移動するが、排塵カバー51の形状が藁の流れる経路と一致していることにより、排藁の移送を阻害しない。
前記後排塵カバー51aの後部は、図8、及び図9で示す如く排塵ファン38のファンケーシング38bの上側面の高さ位置と略同じ高さ位置でカットして、切欠部51bを設けると共に、この切欠部51bの形状は、排塵カバー52の勾配と略同じ勾配にカットし、形成した切欠部51bである。
これにより、排塵通路の確保ができる。又、排藁部の構成を簡素化できる。
前記排塵胴ケーシング48上には、図10で示す如く後排塵カバー51aはファンケーシング38bへ装着して一体化した構成である。又、排塵カバー51は、後仕切板6bへボルト、及びナットで着脱自在に設けた構成である。
これにより、前記後排塵カバー51aと、ファンケーシング38bとを一体に形成したことにより、このファンケーシング38bの接合部に、隙間が発生することがない。又、ボルト、及びナット等が突出しないことにより、移送する藁が引掛ることを防止できる。
前記脱穀室7を形成する上部には、図17〜図19で示す如く開閉自在に扱胴カバー53を設け、この扱胴カバー53の開閉支点の構成は、右側板5b上部には、開閉支持フレーム54を設け、この開閉支持フレーム54の後部の上側に設けた受板54a上には、排出オーガ44を受けるオーガ受装置44eを設け、このオーガ受装置44eはオーガ支柱44bの下端部には、下支持板44cを装着して設けると共に、オーガ支柱44bの上端部には、V字形状の受具44dを固着した構成である。
前記開閉支持フレーム54の前方部側に設けた受板54aと、処理胴ギヤーケース55に設けた取付板55aとの間には、後支柱56aの下端部に設けた下取付板56bと、上端部に設けた上取付板56cとよりなる後フレーム56を設けた構成である。下取付板56bは処理胴ギヤーケース55の取付板55aへボルト、及びナットによって装着し、又、上取付板56bは開閉支持フレーム54の受板54aへボルト、及びナットによって装着した構成である。
これにより、前記排出オーガ44を受けるオーガ受装置44eの取付部の強度アップを図ることができる。
前記前側板4aには、図20、及び図21で示す如く上部には、伝動機構57bを内装した伝動ギヤーケース57aを装着すると共に、上下方向略中間部には、伝動機構57dを内装した中伝動ケース57cを左右両側に設けた支持部材57e,57eで軸支して設け、この支持部材57e,57eは前側板4aへ装着した構成である。伝動ギヤーケース57aと、中伝動ケース57cとは、接続板57fで接続して、補強した構成である。
前記左・右側板5a,5bの下部で、選別送風機33等が位置する箇所には、図20、及び図21で示す如く左・右支持メタル58a,58bを装着して設け、これら左・右支持メタル58a,58bで下フレーム58を軸支して設け、これら左・右側板5a,5bを支持して、補強した構成である。
前記右側の支持部材57eと、下フレーム58とは、図20、及び図21で示す如く支持アーム59を設けて、接続した構成である。
前記中伝動ケース57cと、支持パイプ杆24bを支持する左右両側の支持装置24c,24cとは、図20、及び図21で示す如く左・右連結プレート60a,60bを設けて個別に接続して、補強した構成である。
これにより、従来は設けられていなかった左・右連結プレート60a,60b、及び接続板57fを設けたことにより、脱穀機2の伝動部の支持を大幅に強度アップを図ることができた。前記後仕切板6bの後側に設ける左・右排塵プーリ61a,61bへ掛け渡しするベルト61cを上方部より、覆うベルトカバー61は、図22、及び図23で示す如く排藁搬送装置62aを支持する排藁支持フレーム62へ設けた構成である。又、ベルトカバー61は扱胴カバー53へ近接させて設けた構成である。61dはテンションプーリである。
これにより、テンションプーリ61d上へ堆積する藁屑を防止できる。
図24、及び図25で示す如く入力ギヤーケース組立品63aと、入力ギヤーケース組立品63bと、扱胴組立品63cとに分割した構成である。これら入力ギヤーケース組立品63a,63bは、前板4aへ着脱自在に設けた構成であると共に、扱胴組立品63cは前板4aと後仕切板6bとの間に着脱自在に設けた構成である。
前記入力ギヤーケース組立品63aと、扱胴組立品63cとに2分割すると共に、外扱胴軸(図示せず)と、内扱胴軸64とに2分割にして着脱自在に設けた構成である。これら2分割した外扱胴軸と、内扱胴軸64bとは、スプライン等によって簡単に接続した構成である。
前記入力ギヤーケース組立品63aを装着する前側板4aの扱胴軸挿入部には、扱胴用フランジキー65を打出しできる孔4cを設けた構成である。この扱胴用フランジキー65は扱胴フランジ7dと、内扱胴軸64bとの各キー溝部へ挿入した構成である。
前記扱胴組立品63cを取り外しするときは、入力ギヤーケース組立品63aを前側板4aから取り出すと、扱胴組立品63cの内扱胴軸64に設けた扱胴用フランジキー65は、前側板4aの孔4cから見える構成である。この孔4c部から見える扱胴用フランジキー65に、九棒66を当ててファンマ66a等によって叩いて、この扱胴用フランジキー65を取り外し、内扱胴軸64を抜き取り後に、扱胴組立品63cを取り外しする。
これにより、前記扱胴用フランジキー65の取り外しが容易であり、このために、扱胴組立品63cの取り外しを容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0009】
6b 後仕切板
6c 支持ピン(第1支持ピン)
7 脱穀室
7a 扱胴
8 排塵処理室
8a 排塵胴
8d 排塵漏下具
8e 挿入孔(第1挿入孔)
8f 支持ピン(第2支持ピン)
30 選別室
31 揺動選別装置
38 排塵ファン
38a 側板(左側の側板)
45 前後支持杆(支持杆)
45b 中取付板(中間取付板)
45c 後取付板(第2取付板)
46 下横支持杆(横支持杆)
46a 取付板(第3取付板)
47 上部横支持杆
47a 取付板(第1取付板)
48 排塵胴ケーシング
49 排出ガイド
49a 挿入孔(第2挿入孔)
51 排塵カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴(7a)を軸支した脱穀室(7)の右側後部に排塵物を処理する排塵胴(8a)を軸支した排塵処理室(8)を設け、該脱穀室(7)の後部と排塵処理室(8)の前部とを連通し、前記脱穀室(7)の下側に選別室(30)を設け、該選別室(30)内に備えた揺動選別装置(31)の後部上方には排塵ファン(38)を設け、該排塵ファン(38)左側の側板(38a)と前記排塵胴(8a)の外周部に配置する排塵胴ケーシング(48)とを左右方向の横支持杆(46)で連結したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項2】
前記脱穀室(7)後端の後仕切板(6b)側に前後方向の支持杆(45)の前端部を固着し、該支持杆(45)の前部に排塵胴ケーシング(48)を連結し、前記排塵ファン(38)の後方上部に左右方向の上部横支持杆(47)を設け、該上部横支持杆(47)の左右方向中央部に設けた第1取付板(47a)と前記支持杆(45)の後端部に設けた第2取付板(45c)とを連結し、前記横支持杆(46)の右側端部に設けた第3取付板(46a)と、前記支持杆(45)の前後方向中間部に設けた中間取付板(45b)とを連結したことを特徴とする請求項1記載のコンバインの脱穀装置。
【請求項3】
前記排塵処理室(8)の下部に、処理後の穀粒を選別室(30)へ漏下させる排塵漏下具(8d)を着脱自在に設けるにあたり、該排塵漏下具(8d)の前部側に設けた第1挿入孔(8e)を前記後仕切板(6b)に設けた第1支持ピン(6c)に挿入支持させ、排塵漏下具(8d)の後部側に設けた第2支持ピン(8f)を排塵処理室(8)後端の排出ガイド(49)に設けた第2挿入孔(49a)に挿入して排塵漏下具(8d)の前後両側を支持する構成としたことを特徴とする請求項2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記後仕切板(6b)の後側における排塵胴ケーシング(48)の上側の部位に、右側上部から左側下部へ向けて傾斜する排塵カバー(51)を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−30572(P2011−30572A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229893(P2010−229893)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【分割の表示】特願2001−212240(P2001−212240)の分割
【原出願日】平成13年7月12日(2001.7.12)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】