説明

コンバイン

【課題】濡れた穀稈を刈り取った場合でも、二番処理室内や排塵処理室内での脱穀処理物の詰りの発生を少なくして、脱穀処理作業の能率を向上させる。
【解決手段】走行装置(3)を備えた走行車台(2)の前側に刈取装置(4)を設け、走行車台(2)の上側に脱穀装置(5)を設け、該脱穀装置(5)の横側に穀粒貯留タンク(6)を設け、前記脱穀装置(5)の上部に穀稈を脱穀する扱胴(8)を回転自在に軸支した脱穀室(9)を設け、該脱穀室(9)の側方に二番還元物を再処理する二番処理胴(10)を回転自在に軸支した二番処理室(11)を設け、該二番処理室(11)の外側に通気室(12)を設け、該通気室(12)にエンジン(17)から排出する排気ガスを供給する構成とし、該通気室(12)を形成する通気室外側壁(13)を着脱自在に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、脱穀処理済みの穀粒を横一側方に移送する二番移送螺旋と、穀粒移送螺旋との移送終端部に連通させた二番還元筒と、穀粒揚送筒とを設け、これら二番還元筒と、穀粒揚送筒との下端側外周面に臨接させた筒状空間を設けると共に、エンジン用のマフラーに接続して設けた排気管を、該筒状空間に連通して設けたものがある。
【0003】
実開昭59−193224号公報で示すように、穀粒を脱穀する脱穀装置の横一側方に搬送する各第1搬送装置と、この各第1搬送装置の移送終端に連ねて縦向きの各第2搬送装置を設けた移動用の脱穀装置であって、該各第2搬送装置の下端部側外周面に臨接させて筒状空間を形成すると共に、エンジンのマフラーに連通接続された排気管を該筒状空間に挿通して設けた、穀稈を刈取り脱穀するコンバイン等に載置した脱穀装置が知られている。
【特許文献1】実開昭59−193224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
穀稈を脱穀する脱穀装置の脱穀室内に回転自在に軸支した扱胴で脱穀されなかった未脱穀処理の二番処理物の供給を受けて、再脱穀処理する二番処理胴を回転自在に軸支した二番処理室を設けている。また、扱室内で発生した被処理物を引き継いで再処理する排塵処理同を回転自在に軸支した排塵処理室を設けている。この二番処理室内や排塵処理室内で脱穀する被処理物が湿っていると、該二番処理室や排塵処理室の下部に張設した二番処理室網や排塵処理網から漏下しにくくなり、この二番処理室網や排塵処理網に詰りが発生したり、又、該二番処理胴や排塵処理胴に巻き付きが発生したり、更に二番処理胴や排塵処理胴の処理爪に引っ掛かったりすることがあり、このために、この発明により、これらの問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述のような課題を解決するために、この発明は、次のような技術手段を講じる。
即ち、請求項1に記載の発明においては、走行装置(3)を備えた走行車台(2)の前側に刈取装置(4)を設け、走行車台(2)の上側に脱穀装置(5)を設け、該脱穀装置(5)の横側に穀粒貯留タンク(6)を設け、前記脱穀装置(5)の上部に穀稈を脱穀する扱胴(8)を回転自在に軸支した脱穀室(9)を設け、該脱穀室(9)の側方に二番還元物を再処理する二番処理胴(10)を回転自在に軸支した二番処理室(11)を設け、該二番処理室(11)の外側に通気室(12)を設け、該通気室(12)にエンジン(17)から排出する排気ガスを供給する構成とし、該通気室(12)を形成する通気室外側壁(13)を着脱自在に設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【0006】
請求項2に記載の発明においては、走行装置(3)を備えた走行車台(2)の前側に刈取装置(4)を設け、走行車台(2)の上側に脱穀装置(5)を設け、該脱穀装置(5)の横側に穀粒貯留タンク(6)を設け、前記脱穀装置(5)の上部に穀稈を脱穀する扱胴(8)を回転自在に軸支した脱穀室(9)を設け、該脱穀室(9)の後部側方に脱穀室(9)内からの被処理物を引き継いで再処理する排塵処理胴(15)を回転自在に軸支した排塵処理室(16)を設け、該排塵処理室(16)の外側に通気室(16)を設け、該通気室(16)にエンジン(17)から排出する排気ガスを供給する構成とし、該通気室(16)を形成する通気室外側壁(16a)を着脱自在に設けたことを特徴とするコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によると、通気室12に供給された排気ガスによって二番処理室11が熱せられることにより、二番還元物が湿っていても、この二番還元物の乾燥を促進して再処理を円滑に行うことができ、脱穀処理作業の能率を向上させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明によると、通気室16に供給された排気ガスによって排塵処理室16が熱せられることにより、脱穀室9から引き継がれる被処理物が湿っていても、この被処理物の乾燥を促進して脱粒処理を円滑に行うことができ、脱穀処理作業の能率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
コンバイン1の走行車台2の上側に走行装置3を設け、この走行車台3の前側に設けた刈取装置4で立毛穀稈を刈取り、この刈取り穀稈の供給を受け、脱穀、及び選別等を行う脱穀装置5を該走行車台3の上側に、この脱穀装置5のフィードチェン7a、及び挟持杆7bを左側にして載置すると共に、該脱穀装置5の右側に脱穀済みで選別済みの穀粒を、この脱穀装置5から供給を受け、一時貯留する穀粒貯留タンク6を載置している。
【0010】
前記脱穀装置5には、穀稈を脱穀する扱胴8を回転自在に軸支する脱穀室9を設け、該脱穀室9の右側下部には、還元される未脱穀処理の二番処理物を再脱穀処理する二番処理胴10を回転自在に軸支する二番処理室11を設け、この二番処理室11の右外側下部には、後二番処理室(通気室)12を設けて二重構成にすると共に、エンジン17のマフラー18から排出される排気風は、該後二番処理室12の移送側から送風して、排出側へ排風すべく設けている。該後二番処理室12を形成すべく設け、又、後二番処理室用後側板(通気室外側壁)13を着脱自在に設けた構成である。該二番処理室11、及び該後二番処理室12等を主に図示して説明する。
【0011】
前記コンバイン1の走行車台3の下側には、図9で示すように、土壌面を走行する左右一対の走行クローラ2aを張設した走行装置2を配設し、該走行車台3の上側面に脱穀装置5を載置している。該走行車台3の前方部の刈取装置4で立毛穀稈を刈り取りして、後方上部に移送し、該脱穀装置5のフィードチェン7aと、挟持杆7bとで引継いで挟持移送しながら脱穀する。脱穀済みで選別済み穀粒は、該脱穀装置5の右横側へ配設した穀粒貯留タンク6内へ供給され、一時貯留される。
【0012】
前記脱穀装置5のフィードチェン7a、及び挟持杆7bが、走行車台3の上側の左側に位置する状態に載置し、この状態で該脱穀装置5を説明する。
前記脱穀装置5は、図1〜図3で示すように、この脱穀装置5の上部には、穀稈を脱穀する多種類で多数本の扱歯8aを外径部に植設した扱胴8を、扱胴軸8bで回転自在に、脱穀室9内に軸支して設けている。この扱胴8の各扱歯8aの回転外周の下側には、脱穀処理した穀粒と、一部の藁屑と、しこう付着粒等とを漏下させる扱室網8cを、図7で示すように、張設している。
【0013】
前記脱穀室9の右横側下方部の前方部側には、未脱穀処理の二番処理物の還元を受け、再脱穀処理する二番処理室11を設け、該二番処理室11の後側には、未脱穀処理の排塵処理物の還元を受け、再脱穀処理する排塵処理室14を設けている。
【0014】
未脱穀処理の二番処理物の還元を、前記二番処理室11の移送始端側へ供給を受け、この二番処理室11内へ回転自在に設けた、二番処理軸10aに二番処理胴10を軸支して設け、この二番処理胴10の外周部には、未脱穀処理の二番処理物を再脱穀処理する複数のコ字形状の二番処理爪10bを装着して設け、この各二番処理爪10bの回転外周の下側には、未脱穀処理の二番処理物を、再脱穀処理した穀粒、及び一部の藁屑等を漏下、及び後側の排塵処理室14へ移送する構成である。
【0015】
前記二番処理室11の一方側である右側には、図1〜図5で示すように、後二番処理室12を設け、これら二番処理室11と、後二番処理室12とで二重構成に形成している。該後二番処理室12は右側に設けた後二番処理室用後側板13によって形成すると共に、この後二番処理用後側板13は、ボルト等によって締付けし、このボルト等の取り外しにより、着脱自在に設けた構成である。又、走行車台3の上側面にエンジン17を載置して設け、このエンジン17に設けたマフラー18から排出される排気風は、該後二番処理室12の移送側から送風して、排出側へ排風すべく設けている。排出側に設けた略L字形状の二番室排出パイプ11aを経て、この二番室パイプ11aを挿入した二番排出パイプ11bから機外へ排出される構成である。
【0016】
前記脱穀室9内で未脱穀処理で還元される二番処理物は、二番処理室11内へ還元され、この二番処理室11内へ回転自在に軸支した二番処理胴10外周部の二番処理爪11bで再脱穀処理される。
【0017】
前記二番処理室11の一方側(右側)には、後二番処理室12を設けて、二重構成に形成すると共に、エンジン17に設けたマフラー18から排出される排気風は、該後二番処理室12の移送側から送風して、排出側へ排風すべく設け、該二番処理室11内を移送される二番処理物を乾燥させて、この二番処理室11内を移送される二番処理物の移送を良好にすると共に、穀粒等の漏下を良好にして、この二番処理室11内での二番処理物の詰り等の防止を図っている。
【0018】
前記脱穀装置5の脱穀室9一方側(右側)には、図6、及び図7で示すように、該脱穀室9内で脱穀されず、還元される未脱穀処理の排塵処理物を、再脱穀処理する排塵処理室14を設け、この排塵処理室14内には、回転自在な二番処理胴10を軸支した二番処理軸10aに排塵処理胴15を軸支して設け、この排塵処理胴15の外周部には、複数の排塵処理爪15aを装着している。該排塵処理室14の一方側(右側)には、後排塵処理室(通気室)16を設けて二重構成にすると共に、エンジン17に設けたマフラー18から排出される排気風は、このマフラー18と、該後排塵処理室16の移送始端側に設けた排塵Lパイプ14aとを、接続パイプ14bで接続させて、排気風を該後排塵処理室16の移送側端部へ送風させて、この後排塵処理室16の排出側から排風すべく設けた構成である。
【0019】
又、前記後排塵処理室16を形成する、この後排塵処理室16の左外側部には、後排塵処理室用後側板(通気室外側壁)16aをボルト、及びナット等により、着脱自在に設けた構成であると共に、エンジン17に設けたマフラー18から排出される排気風は、該後排塵処理室16の移送側から送風して、排出側へ排風すべく設け、該排塵処理室14内を移送される排塵処理物を乾燥させて、この排塵処理室14内を移送される排塵処理物の移送を良好にすると共に、排塵処理物内に混入する穀粒等の漏下を良好にして、三番飛散粒の減少を図っている。又、この排塵処理室14内での排塵処理物の詰り、及び藁屑等の引っ掛かり等の防止を図ることができる。
【0020】
穀稈を脱穀する前記扱胴8を軸支内装した脱穀室9の一方側(右側)の前後両側には、図8で示すように、還元される未脱穀処理の二番処理物を再脱穀処理する二番処理胴10を軸支内装する二番処理室11と、還元される未脱穀処理の排塵処理物を再脱穀処理する排塵処理胴15を軸支内装する排塵処理室14とを設けている。
【0021】
前記二番処理室11と、排塵処理室14との一方側(右側)には、後二番処理室12と、後排塵処理室16とを設けて、二重構成に形成すると共に、エンジン17のマフラー18から排出する排気風は、該後二番処理室12の移送側から排出側を経て、該排塵処理室16の移送側へ送風して、排出側へ排風すべくU字形状のUパイプを設けている。
【0022】
前記後二番処理室12を形成する後二番処理室用後側板13と、該後排塵処理室16を形成する後排塵処理室用後側板16aとを着脱自在に設けている。これらにより、該二番処理室11と該後二番処理室12、及び該排塵処理室14と該後排塵処理室16等とは、エンジン17のマフラー18から排出される熱風によって、熱せられることにより、これら二番処理室11と後二番処理室12、及びこれら排塵処理室14と後排塵処理室16とは、湿った穀稈を脱穀処理中であっても、排出する藁屑等の詰りを防止できる。又、藁屑内に混入する穀粒等の漏下の向上を図ることができる。これらより、三番飛散粒の減少を図ることができる。
【0023】
前記エンジン17のマフラー18から排出される排気風は、図11、及び図12で示すように、脱穀装置5の後方部へ向けて排出させるために、略L字形状の該マフラー18のマフラーパイプ18aの端部を、両端部を折曲させて設けた排熱パイプ19の基部側へ挿入して設け、該排熱パイプ19は、脱穀装置5の右側壁板5aの右外側で、脱穀室9の下部近傍に位置させて設けている。
【0024】
これにより、前記脱穀装置5の右側壁板5aが、該排熱パイプ19内を通過する排気風により、熱くなることにより、乾きを促進して、藁屑の付着を防止することができて、詰まった発生を防止することができる。
【0025】
前記排熱パイプ19は、該脱穀装置5に設けた二番処理胴10を軸支内装した二番処理室11、及び排塵処理胴15を軸支内装した排塵処理室14の下部で、該脱穀装置5の後方部まで配設すると共に、この脱穀装置5に装着した構成である。
【0026】
これにより、前記排塵処理室14は、排熱パイプ19内を通過する排気風により、熱くなり、又、その周辺部も熱くなることで、乾きが促進して、藁屑の付着を防止することができる。又、3番口のロスの増大、選別不良、詰り等を解消することができる。更に、地面から離れることにより、藁屑の体積がないので火災発生を防止することができる。
【0027】
前記脱穀済み穀粒を前記脱穀装置5から供給を受けて、一時貯留する穀粒貯留タンク6を、該脱穀装置5の右横側で走行車台3の上側面に、図14〜図17で示すように設けた構成である。
【0028】
前記穀粒貯留タンク6は、図14、及び図15で示すように、左右両側の左・右側壁板6a、6bと、左・右底壁板6c、6dとは二重構造に形成し、左・右空間部6e、6fと、底部空間部6hとを設け、エンジン17のマフラー18から排出される、所定温度の排気風は、該マフラー18と、該底部空間部6hとを排熱パイプ19で接続して設けている。該エンジン17の該マフラー18から排出される排気風は、該底部空間部6hと、該左・右空間部6e、6fを経て、該穀粒貯留タンク6の上部から排出する構成であり、該左・右側壁板6a、6b、及び左・右底壁板6c、6dを熱して乾燥させて、貯留穀粒の流下の向上を図る構成である。
【0029】
これにより、前記穀粒貯留タンク6の内部がエンジン17のマフラー18から排出される所定温度の排気風により、熱せられて乾燥されることにより、貯留穀粒の流れが良好になり、穀粒の詰りを防止することができる。
【0030】
図18〜図20で示すように、前記脱穀装置5の左・右側壁板5b、5aには、揺動選別装置23の前後方向略中央部位置に長孔を設け、この長孔部に回転軸20を設け、この回転軸20の一方側の端部にプーリ20aを軸支し、このプーリ20aと、穀粒を移送する移送螺旋軸22の一方側端部に軸支した螺旋用プーリ22aとには、ベルト22bを掛け渡すと共に、テンション装置22cを設け、該回転軸20を回転駆動する構成である。このテンション装置22cの「入」−「切」操作により、この回転軸20を駆動、及び停止操作する構成である。
【0031】
前記回転軸20の左・右側壁板5b、5aの外側面には、円形状の内・外摩擦板20b、20cを軸支して設けると共に、該外摩擦板20cの外側には、スプリング20dを軸支して設け、該スプリング20dの外側には、ギャー20eを軸支して設け、抜け止めを施した構成である。該内・外摩擦板20b、20cが回転駆動し、摩擦熱が発生し、該左・右側壁板5b、5aが熱せられる構成である。
【0032】
前記左・右側壁板5b、5aの外側面で、回転軸20の後側部には、所定間隔に各支持軸21を軸支して設け、この各支持軸21には、該内・外摩擦板20b、20cと、該スプリング20dと、ギャー21aとを軸支して設け、抜け止めを施した構成であり、該各内・外摩擦板20b、20cが回転駆動し、摩擦熱が発生し、該左・右側壁板5b、5aが熱せられる構成である。又、該内・外摩擦盤20b、20cは、図18〜図20で示すように、揺動選別装置23の各揺動棚シーブ23aの下側近傍部に設けている。更に、摩擦熱の発生の駆動源は、脱穀装置5の移送螺旋軸22を駆動源とした構成である。
【0033】
これにより、前記内・外摩擦板20b、20cから発生する摩擦熱により、脱穀装置5の左・右側壁板5b、5aが熱せられることにより、該脱穀装置5内の脱穀処理物の水分を蒸発させることができ、このために、該脱穀装置5内での脱穀処理物の詰り防止ができると共に、選別性能の向上を図ることができる。又、条件適応性が向上する。
【0034】
複数個の前記内・外摩擦板20b、20cは、図18、及び図19で示すように、単一の駆動入力源で複数個の駆動をギャー20eと、各ギャー21aとを用いて行う構成である。又、螺旋用プーリ22a部には、変速装置22dと変速レバー22eとを設け、この変速レバー22eの操作により、内・外摩擦板20b、20cの回転速度を変更し、発生する発熱量を変更できる構成である。
【0035】
これにより、広い範囲にわたり、狭いスペースでも前記脱穀装置5の左・右側壁板5b、5aを加熱が可能である。又、作業条件により、発熱量を変更できて、詰り等の発生を防止できる。
【0036】
前記穀粒貯留タンク6は、図21、及び図22で示すように、上部の長方形状のタンク部24aと、下部のV字形状の漏斗部24bとに二分割した構成である。
前記漏斗部24bの一方側底板24cの外側面には、コ字形状の受箱体26を設け、この受箱体26内には、マフラー18を設け、このマフラー18と、エンジン17とは、マフラーパイプ18aで接続すると共に、後側には、後マフラーパイプ18bを機体1aの後端近傍部まで延長して設けている。
【0037】
前記穀粒貯留タンク6の漏斗部24bの一方側の外側面に設けた受箱体26部側には、回動自在に受軸25aを軸支して設け、この受軸25aには、流下板25bを設けると共に、該受軸25aの一方側の外端部には、ハンドル25dを設け、このハンドル25dの回動操作により、該流下板25b上を穀粒が流下する流下角度を調節可能に設け、該流下板25bと、該漏斗部24bを形成する底板24cとの間の空間部25cの広さを可変自在に設け、空気層の巾を変更可能に構成している。
【0038】
これにより、前記穀粒貯留タンク6下部の漏斗部24bを形成する底板24cの一方側に、回動自在に流下板25bを設け、この流下板25bを間接的に加熱することにより、穀粒のすべりを向上させて、穀粒の排出時間を短縮できる。又、穀粒を直接加熱することがないことにより、穀粒の食味を損なうことなく乾燥を促進できる。空気層の巾を変更により、穀粒の流下状態を変更できる。
【0039】
図21、及び図23で示すように、エンジン17から排風される所定温度の排気風は、マフラーパイプ18aからマフラー18、及び接合マフラーパイプ18cを経て、穀粒貯留タンク6の漏斗部24b一方側の底板24c外側面に設けた、コ字形状の受箱体26の前側面から、この受箱体26内へ送風されて、この受箱体26の後側面に設けた後マフラーパイプ18bから排風される。
【0040】
前記受箱体26内を所定温度の排気風が送風されることにより、穀粒貯留タンク6の漏斗部24bの底板24cが熱せられる構成である。
これにより、前記穀粒貯留タンク6の該漏斗部24bの底板24cが熱せられて、乾燥することにより、高水値の穀粒であっても、すべり性が向上することにより、穀粒の詰りを防止できる。又、穀粒が直接加熱されることがないので食味の低下を防止できる。
【0041】
図24、及び図25で示すように、前記穀粒貯留タンク6の下部の漏斗部24bの底板24cの左右両側の外側面には、受箱体26を個別に設け、エンジン17から排出される所定温度の排気風は、該エンジン17からマフラーパイプ18aと、マフラー18と、後マフラーパイプ18bを経て、一方側の受箱体26内へ送風される。又、一方側の該受箱体26と、他方側の該受箱体26とは、接続パイプ18dで接続した構成であり、一方側の該受箱体26内へ送風された所定温度の排気風は、この受箱体26内から該接続パイプ18dを経て、他方側の該受箱体26内へ送風され、該底板24cの左右両外側面を乾燥させて、穀粒流下の向上を図った構成である。
【0042】
これにより、前記穀粒貯留タンク6の漏斗部24bの底板24c部が加熱されて、乾燥されていることにより、高水分穀粒であってもすべり性が向上し、穀粒の詰りを防止できる。又、穀粒を直接加熱することがないので、穀粒の食味が低下することを防止できる。
【0043】
図24、及び図25で示すように、左右両側に設けた各受軸25aの後端外側部には、左・右レバー27a、27bを設け、これら左・右レバー27a、27bには、逆L字形状に各ロット28bを設け、上側で左右方向に設けた該ロット28bには、ハンドル28aを設け、このハンドル28aの操作により、該各ロット28bと、該左・右レバー27a、27bを介して、左右両側の各受軸25aに設けた各流下板25bの傾斜角度を上下移動自在に設け、この各流下板25b上を流下する穀粒の流下角度を、手動操作によって変更自在に設けている。
【0044】
図26で示すように、前記左右両側の各受軸25aに設けた各流下板25bの傾斜角度を上下移動操作する、左・右レバー27a、27bに設けた各ロット28bの上側横方向に設けた該ロット28bの先端部には、上下ロット28cを設け、この上下ロット28cの上端部と、正逆回転自在なモータ29との間には、連結ロット29aを設け、該モータ29の正逆回転の始動操作により、自動で左右両側の流下板25bの傾斜角度を変更する構成である。
【0045】
これにより、前記穀粒貯留タンク6の漏斗部24bの左右両側の傾斜部に傾斜させて設けた、流下板25bの傾斜角度をモータ29により、自動で変更できることにより、便利であり、又、傾斜変更が簡単である。
【0046】
前記走行車台3の前方部には、図9で示すように、刈取装置4を設け、該刈取装置4は前方部より、立毛穀稈を分離する上下に各ナローガイド30a、及び分草体30bと、立毛穀稈を引起す引起装置31と、引起された穀稈を掻込みする穀稈掻込移送装置32の各掻込装置32aと、掻込された穀稈を刈取る刈刃装置33と、刈取りされた穀稈を挟持移送して脱穀装置5のフィードチェン7aと、挟持杆7bとへ受渡しする該穀稈掻込移送装置32の根元・穂先移送装置32b・32c等からなる該刈取装置4を設けている。該刈取装置4は、油圧駆動による伸縮シリンダ33aにより、土壌面に対して昇降する。
【0047】
前記刈取装置4の前方下部から後方上部へ傾斜する支持杆34aの上端部に設ける支持パイプ杆34bを、走行車台3の上側面に設けた支持装置34cで回動自在に支持させている。該伸縮シリンダ33aを作動させると該支持杆34aと共に、該刈取装置4が上下回動する。
【0048】
前記刈取装置4の穀稈掻込移送装置32によって形成される穀稈移送経路中には、刈取られて移送する穀稈に接触作用することにより、脱穀装置5への穀稈の供給の有無を検出する穀稈センサ4aを設けている。
【0049】
前記穀粒貯留タンク6側の前部には、図9で示すように、コンバイン1を始動、停止、及び各部を調節等の操作を行う操作装置35aと、操縦席35bとを設け、この操縦席35bの下側にエンジン17を載置している。
【0050】
前記走行車台3の前端部に装架した走行用のミッションケース36内の伝動機構36aの伝動経路中には、その出力に基づいて、走行車速を検出するポテンションメータ方式の車速センサ36bを設けている。
【0051】
前記穀粒貯留タンク37内へ貯留した穀粒を機外へ排出するこの穀粒貯留タンク37の後側には、図9で示すように、縦移送螺旋38aを内装した排出支持筒38を略垂直姿勢で旋回自在に装着して設け、この排出支持筒38の上端部には、その全長がコンバイン1の前後長に亘る機外へ穀粒を排出する排出螺旋39aを伸縮自在に内装した排出オーガ39を伸縮自在、上下回動自在、及び左右旋回自在に前後方向に配設している。
【0052】
前記脱穀装置5のフィードチェン7aと挟持杆7bとの後側で、この脱穀装置5の後方部には、図27、及び図28で示すように、脱穀済みの排藁を引継ぎ後方右側へ移送する前側へ排藁穂先ケース40aに所定間隔で排藁穂先ラグ40bを装着した排藁穂先チェン40cを回転自在に軸支内装した排藁穂先移送装置40と、後側へ排藁根元移送チェン41aを回転自在に軸支した排藁根元移送装置41とを設け、これら排藁穂先移送装置40と、排藁根元移送装置41とにより、排藁の穂先部側と、根元部側とを挟持移送して、移送終端部より刈取り済みの圃場表面へ落下させて、排出する構成である。
【0053】
前記排藁穂先移送装置40と、該排藁根元移送装置41の伝動構成は、図27で示すように、扱胴軸8bに設けたプーリ8dと、該排藁穂先・根元移送装置40、41とを回転駆動する排藁ギャーケース42に軸支した排藁プーリ42aとにベルト42bを掛け渡すと共に、このベルト42bの変速は、変速モータ43で変速装置43aを介して変速する構成である。
【0054】
前記排藁穂先チェン40cと、該排藁根元移送チェン41aとは、該変速モータ43、及び該変速装置43a等により、変速する構成であり、該排藁根元移送チェン41aの下側には、排藁挟持杆44を設け、こけら排藁根元移送チェン41aと、該排藁挟持杆44との間に排藁の株元側を挟持して、移送する構成である。
【0055】
前記排藁挟持杆44には、図28で示すように、所定間隔で支持杆44aを設けると共に、一方側のこの各支持杆44aには、スプリング44bを設けて、該排藁挟持杆44を弾発させる構成であると共に、下方への押し上げ量を検出するリフト量検出センサ44cを設け、又、該排藁根元移送チェン41aの移送始端部に、該リフト量検出センサ44cを設け、これらリフト量検出センサ44cが検出する下方へ押し上げ量の多量に伴って、図29で示すように、排藁穂先チェン40cと、排藁根元移送チェン41aの回転速度を順次高速回転に、操作装置35aに内装して設けた制御装置35dにより、変更制御する構成である。
【0056】
これにより、引継ぎされる排藁量により、前記排藁穂先チェン40cと、該排藁根元移送チェン41aとの回転速度が変更されることにより、排藁の詰りを防止できる。又、排藁の層厚を一定にすることができる。
【0057】
図30で示すように、前記排藁移送装置40の排藁穂先チェン40cと、排藁根元移送装置41の排藁根元移送チェン41aとを、変速回転駆動する変速機構装置45を脱穀装置5の後方部側に設けている。この変速機構装置45への回転動力は、扱胴軸8bに設けたプーリ8dと、該変速機構装置45のギャーケース45aの入力軸45bに設けた排藁プーリ42aとにベルト42bを掛け渡し、このベルト42bには、テンション装置46を設け、このベルト42bにより、該扱胴軸8bの回転動力を入力する構成である。
【0058】
前記ギャーケース45aの該入力軸45bと、出力軸45cとには、各変速用ギャー46a、46bを軸支して設け、変速レバー46cの操作により、変速軸47の回転速度を切換する構成であり、該排藁穂先チェン40cと、該排藁根元移送チェン41aとの回転速度を切換する構成である。
【0059】
これにより、作物条件の相違により、搬送排藁量が異なる時でも、容易に対応することができる。又、排藁量の層厚をほぼ一定にして、搬送性能を安定させることができる。
図27、図31、及び図32で示すように、前記排藁穂先移送装置40と、排藁根元移送装置41との回転速度を切換する増速スイッチ44dと、減速スイッチ44eとを、左側部の操作装置35aの前部に設けている。リフト量検出センサ44cの検出、及び不検出と、これら増速・減速スイッチ44d、44eの「入」−「切」の操作とが、該操作装置35aの制御装置35bに入力より、変速モータ43がこの制御装置35dにより、始動、及び停止制御される構成である。又、操縦席35bへ着座状態で、これらの各スイッチ44d、44eを操作できる構成である。
【0060】
これにより、穀稈を刈取り作業を行いながら、変速操作が出来て、操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】脱穀装置の正断面図
【図2】後二番処理室部(通気室)の拡大正断面図
【図3】脱穀室と二番処理室部との拡大側断面図
【図4】後二番処理用後側板(通気室外側壁)の側面図
【図5】後二番処理用後側板の正面図
【図6】後排塵処理室とマフラーとの接続正面図
【図7】脱穀室と二番処理室との拡大側断面図
【図8】二番処理室と排塵処理室との接合部の正面図
【図9】コンバインの右側の側面図
【図10】排熱パイプ部の正面図
【図11】排熱パイプ部の側面図
【図12】排熱パイプ部の正面図
【図13】排熱パイプ部の側面図
【図14】穀粒貯留タンクの拡大正面図
【図15】穀粒貯留タンクの正断面図
【図16】穀粒貯留タンクの平面図
【図17】穀粒貯留タンクの側面図
【図18】脱穀装置の摩擦機構の側面図
【図19】脱穀装置の摩擦機構の拡大平面図
【図20】脱穀装置の摩擦機構の背面図
【図21】穀粒貯留タンクの受箱部の正面図
【図22】穀粒貯留タンクの受箱部の平面図
【図23】穀粒貯留タンクの受箱部とマフラー部との平面図
【図24】穀粒貯留タンクの受箱部の正面図
【図25】穀粒貯留タンクの受箱部の平面図
【図26】穀粒貯留タンクの受箱部の正面図
【図27】排藁穂先移送装置と、排藁根元移送装置との平面図
【図28】排藁根元移送装置の背面図
【図29】ブロック図
【図30】排藁穂先移送装置と、排藁根元移送装置との平面図
【図31】増速・減少スイッチ部の平面図
【図32】ブロック図
【符号の説明】
【0062】
2 走行車台
3 走行装置
4 刈取装置
5 脱穀装置
6 穀粒貯留タンク
8 扱胴
9 脱穀室
10 二番処理胴
11 二番処理室
12 後二番処理室(通気室)
13 後二番処理室用後側板(通気室外側壁)
14 排塵処理室
15 排塵処理胴
16 後排塵処理室(通気室)
16a 排塵処理室用後側板(通気室外側壁)
17 エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(3)を備えた走行車台(2)の前側に刈取装置(4)を設け、走行車台(2)の上側に脱穀装置(5)を設け、該脱穀装置(5)の横側に穀粒貯留タンク(6)を設け、前記脱穀装置(5)の上部に穀稈を脱穀する扱胴(8)を回転自在に軸支した脱穀室(9)を設け、該脱穀室(9)の側方に二番還元物を再処理する二番処理胴(10)を回転自在に軸支した二番処理室(11)を設け、該二番処理室(11)の外側に通気室(12)を設け、該通気室(12)にエンジン(17)から排出する排気ガスを供給する構成とし、該通気室(12)を形成する通気室外側壁(13)を着脱自在に設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
走行装置(3)を備えた走行車台(2)の前側に刈取装置(4)を設け、走行車台(2)の上側に脱穀装置(5)を設け、該脱穀装置(5)の横側に穀粒貯留タンク(6)を設け、前記脱穀装置(5)の上部に穀稈を脱穀する扱胴(8)を回転自在に軸支した脱穀室(9)を設け、該脱穀室(9)の後部側方に脱穀室(9)内からの被処理物を引き継いで再処理する排塵処理胴(15)を回転自在に軸支した排塵処理室(16)を設け、該排塵処理室(16)の外側に通気室(16)を設け、該通気室(16)にエンジン(17)から排出する排気ガスを供給する構成とし、該通気室(16)を形成する通気室外側壁(16a)を着脱自在に設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2009−33973(P2009−33973A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198345(P2007−198345)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】