説明

コンバイン

【課題】コンバインに設置された一基の送風機により、タンク内の穀粒の排出と、機体各部の清掃とを可能とする。
【解決手段】グレンタンク(8)内の穀粒を排出する穀粒排出装置(9)と、該穀粒排出装置(9)に連通されて送風機(14)からの空気圧によりグレンタンク(8)内の穀粒を排出する穀粒排出用ホース(15)と、送風機(14)からの空気圧を機体各部に吹き付けて清掃する先端にノズル(16)を有した清掃用ホース(17)と、送風機(14)からの高圧空気を穀粒排出用ホース(15)側と清掃用ホース(17)側とに切り替え可能な切替手段(18)とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、グレンタンク内の穀粒を排出する穀粒排出装置を備えたコンバインにおいて、グレンタンク内の穀粒排出時には、送風機からの高圧空気を利用して穀粒を空気搬送しながら機外に排出するようにした技術が開示されている。
【0003】
特許文献2には、送風機からの空気圧によりグレンタンク内の穀粒を機外に排出させたり、また、送風機からの空気圧をラジエータカバーの内面に吹き付けて付着したワラ屑を除去したり、更に、送風機からの空気圧を排ワラ拡散装置に吹き付けてワラを拡散させたりする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−204237号公報
【特許文献2】特開2002−65047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンク内に収容された穀粒を排出するにあたり、送風機からの高圧空気を利用して搬送排出するようにすると、穀粒の損傷がなくなり、高度の品質が維持できるものであるが、作業が終了して本機を清掃したい場合には、その送風機からの空気圧を利用して機械各部に吹き付けて清掃することができれば便利である。
【0006】
本発明の課題は、コンバインに設置された一基の送風機により、同送風機からの空気圧でもってタンク内の穀粒排出と、本機各部の清掃を可能とし、しかも、切り替えによって、それぞれの機能を確実、良好に発揮できる装置を具現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、グレンタンク(8)内の穀粒を排出する穀粒排出装置(9)と、該穀粒排出装置(9)に連通されて送風機(14)からの空気圧によりグレンタンク(8)内の穀粒を排出する穀粒排出用ホース(15)と、送風機(14)からの空気圧を機体各部に吹き付けて清掃する先端にノズル(16)を有した清掃用ホース(17)と、送風機(14)からの高圧空気を穀粒排出用ホース(15)側と清掃用ホース(17)側とに切り替え可能な切替手段(18)とを設けたことを特徴とするコンバインとする。
【0008】
グレンタンク(8)内の穀粒を排出するときには、送風機(14)を駆動してグレンタンク(8)の底部から繰り出される穀粒を送風機(14)からの高圧空気により圧送して機外へ排出する。
【0009】
作業終了後、コンバインの機体を清掃するときには、切替手段(18)の切り替えによって送風機(14)からの高圧空気を清掃用ホース(17)を通じて先端のノズル(16)から噴出させ、機体各部に吹き付けて清掃する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、グレンタンク(8)内の穀粒排出時には、送風機(14)からの高圧空気により圧送して機外に排出することができ、作業終了後の機体の清掃時には、切替手段(18)の切り替えによって送風機(14)からの高圧空気を清掃用ホース(17)の先端ノズルから噴出させ、機体各部に吹き付けて清掃することができる。
【0011】
また、送風機(14)からの空気圧は、切替手段(18)の切り替えによって穀粒排出用ホース(15)又は清掃用ホース(17)に的確に高圧空気を送ることができ、高圧空気による穀粒排出作業並びに清掃作業を能率よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインの平面図
【図3】送風方向切替手段の斜視図
【図4】同上別実施例の斜視図
【図5】同上別実施例の側面図
【図6】清掃用ホースとブロアホースとの取付状態を示す要部の側面図
【図7】グレンタンクの要部の側面図
【図8】切替レバーと切替開閉弁との切替作用状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は普通型コンバインの側面図を示し、図2はその平面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置4の前方部に刈取部3を設置し,刈取部3の後方でフィーダーハウス5の横側部には運転席6や操作ボックス7等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク8を装備している。
【0014】
グレンタンク8には、該タンク内の穀粒を排出する穀粒排出装置9が備えられている。穀粒排出装置9は、先端に穀粒排出口10を有した昇降旋回自在な排出筒11と、グレンタンク8の底部から繰出装置(ロータリバルブ)13を介して繰り出される穀粒を受け入れて送風機14からの高圧空気により搬送する搬出筒12とからなる。
【0015】
穀粒排出装置9と送風機14との間には、前記搬出筒12に連通されて送風機14からの高圧空気を送り込む穀粒排出用ホース15と、送風機14からの空気圧を機械各部に吹き付けて清掃する先端に噴出ノズル16を有した清掃用ホース17を備えている。そして、この穀粒排出用ホース15と清掃用ホース17との分岐部には、前記送風機14からの高圧空気を穀粒排出用ホース15側と清掃用ホース17側とに切り替え可能な切替手段18を設けた構成としている。
【0016】
切替手段18は、図3に示す実施例では、穀粒排出用ホースの途中部から分岐して清掃用ホース側へ送風するための分岐送風口19と、清掃用ホース17に連通する分岐送風菅20と、該分岐送風口と分岐送風菅とが対応一致する状態と対応不一致状態とに切り替える切替バルブ21とからなる構成としている。
【0017】
また、この切替手段として、図4に示す実施例では、穀粒排出用ホース15側において、基端が分岐送風口19に連通し、先端側内面にタップ加工を施した分岐パイプ22を突設し、穀粒排出時には、分岐パイプ22のタップ部にボルト23をねじ込んで塞ぎ、清掃時には、分岐パイプからボルトを抜き外し、清掃用ホース17側のセットパイプ24をその分岐パイプ22に嵌め込んでセットする構成としている。
【0018】
更に、図5に示すように、穀粒排出用ホース15側には、支点P回りに揺動開閉可能な切替開閉弁26を設け、この切替開閉弁26が清掃用ホース側への分岐パイプ22の分岐送風口19を閉じると、穀粒排出用ホース15側が開き、送風機14からの空気が穀粒排出装置側に流れ、開閉弁19が穀粒排出用ホース15側を閉じると、清掃用ホース側の送風口19が開き、送風機14からの空気が清掃用ホース17側に流れるように切替構成することもできる。
【0019】
送風機14のブロアホース14Hに連通する穀粒排出装置9の一部(繰出装置13下方のホース部分)をワンタッチで着脱できるように構成し、そして、その一部の取り外し部分に清掃用ホース17をブロアホース14Hに直接取り付けて(図6参照)清掃ができるように構成することもできる。
【0020】
清掃用ホース17は、柔軟性を帯びた構成とし、先端のノズル部分を携帯して移動し、本機の各部にエアを吹き付けて清掃するものであるが、不使用時には、図7に示すように、繰出装置13の後方空間部にコイル状に巻き込んで収納させておくことができる。
【0021】
送風機14からの送風方向を穀粒排出用ホース側と清掃用ホース側とに切り替える切替手段に切替レバー27を設けると共に、この切替レバー27近くには、切替レバー位置が認識できる排出用リミットスイッチSW1と清掃用リミットスイッチSW2を設け、切替レバー27が清掃用位置にある時には、送風機14近くにある清掃用スイッチ28の操作で、送風機の駆動の入り切りができるように構成してあり、また、この時には、運転席6の近くに設けられた排出用スイッチ29が入らないように関連構成している。切替レバーが排出用位置にある時には、排出用スイッチ29でしか送風機の駆動ができないように構成している。また、レバー27が清掃用位置にある時は、穀粒排出装置の排出筒11が収納位置にあっても,送風機の駆動を入り切りする排出クラッチが入るように構成している。 上記構成によれば、清掃作業時には、清掃用ホースを持ったままで送風機の入り切りができ、切替レバーの位置を認識できることから誤操作が防止できる。また、切替レバーの位置を認識できることで穀粒排出筒の張り出しをしなくても送風機の駆動ができる利点がある。
【0022】
更に、上例に加えて、清掃時(切替レバーが清掃用位置にある時)には、ロータリバルブが駆動しないようにクラッチ切りにするとか、エンジン回転が自動的にアイドリング状態になるよう連動構成することもできる。
【符号の説明】
【0023】
8 グレンタンク
9 穀粒排出装置
14 送風機
15 穀粒排出用ホース
16 噴出ノズル
17 清掃用ホース
18 切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンク(8)内の穀粒を排出する穀粒排出装置(9)と、該穀粒排出装置(9)に連通されて送風機(14)からの空気圧によりグレンタンク(8)内の穀粒を排出する穀粒排出用ホース(15)と、送風機(14)からの空気圧を機体各部に吹き付けて清掃する先端にノズル(16)を有した清掃用ホース(17)と、送風機(14)からの高圧空気を穀粒排出用ホース(15)側と清掃用ホース(17)側とに切り替え可能な切替手段(18)とを設けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−172274(P2010−172274A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19077(P2009−19077)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】