説明

コンバイン

【課題】多量の穀粒の貯留でき作業能率に優れるバケット式昇降機を備えたコンバインを提供する。
【解決手段】上記課題は、グレンタンク(5)の外側に補助タンク(9)を配置し、補助タンク(9)の前後一側にバケット式昇降機(8)を配置し、補助タンク(9)を、グレンタンク(5)とバケット式昇降機(8)の下部に夫々連通することにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バケット式昇降機を備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、グレンタンクに貯留された大豆、小豆等の穀粒を機体の外部に排出する為に、穀粒を搬送するバケットを内装するバケット式昇降機をグレンタンクの外側に設置したコンバインが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−195475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のコンバインでは、グレンタンクとバケット式昇降機に連通する流下桶を介してグレンタンクに貯留された大豆等の穀粒をバケット式昇降機に搬送する。しかし、大豆等の穀粒の粒径は、稲、麦等の粒径に比較し大きく貯留密度が低い為に、グレンタンクが短時間に一杯となり刈取作業を中断する必要があり作業能率が低いという問題があった。また、グレンタンク内に混入した土等の異物との接触によって、搬送中に大豆等の穀粒の表面に外傷が付き商品価値の低下を招く虞もあった。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消したコンバインを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、機体上の左右一側に穀桿を脱穀する脱穀装置(4)を備え、他側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(5)を備えるコンバインにおいて、前記グレンタンク(5)の外側に穀粒を貯留する補助タンク(9)を配置し、前記補助タンク(9)の前後一側に穀粒を外部に排出するバケット式昇降機(8)を配置し、前記補助タンク(9)を、グレンタンク(5)とバケット式昇降機(8)の下部に夫々連通させたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記補助タンク(9)とバケット式昇降機(8)の連通部(44)に開閉自在なシャッタ(50)を配置した請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記補助タンク(9)の下部に設けた下側板(30F)に豆類の粒径よりも小さい開口部を複数形成した請求項1または2記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記補助タンク(9)の下側板(30F)は、豆類の安息角度以上の急傾斜角度で前記バケット式昇降機(8)側を低く傾斜させた請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、前記バケット式昇降機(8)の上端部をグレンタンク(5)の上端部よりも高く、脱穀装置(4)からグレンタンク(5)に穀粒を移送する移送装置(28)の上端部よりも低いか、または同じ高さに配置した請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバインである。
【0011】
請求項6記載の発明は、前記補助タンク(9)のグレンタンク(5)側の左側板(30C)と、該補助タンク(9)の外側方の右側板(30D)を補強部材(33)によって連結した請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバインである。
請求項7記載の発明は、前記グレンタンク(5)の底部に排出螺旋(11)を設け、該排出螺旋(11)の後端部にグレンタンク(5)の後側に設けた排出オーガ(7)の下部を連通させ、前記グレンタンク(5)内の穀粒をバケット式昇降機(8)を経て排出する状態と排出オーガ(7)を経て排出する状態とに切換可能に構成した請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンバインである。
請求項8記載の発明は、前記排出螺旋(11)の前端部から前記バケット式昇降機(8)に駆動力を伝達する伝達機構(60)を設けた請求項7記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、グレンタンク(5)とバケット式昇降機(8)に連通させた補助タンク(9)を配置しているので、グレンタンク(5)と補助タンク(9)に大豆等の粒径が大きい穀粒を大量に貯留することができ、作業能率を高めることができる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、補助タンク(9)とバケット式昇降機(8)の連通部(44)に開閉自在なシャッタ(50)を配置しているので、バケット式昇降機(8)の内部で穀粒の詰まりが発生した場合にバケット式昇降機(8)への穀粒の搬送を素早く停止することができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明による効果に加えて、補助タンク(9)の下側板(30F)に豆類の粒径よりも小さい開口部を複数形成しているので、補助タンク(9)の内部に混入した土類等の異物の多くを外部に排出でき、異物と穀粒の接触によって表面に付く外傷を低減することができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、補助タンク(9)の下側板(30F)の傾斜を豆類の安息角度以上に急傾斜させているので、補助タンク(9)からバケット式昇降機(8)に穀粒を能率良く搬送することができる。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、バケット式昇降機(8)の上端部を脱穀装置(4)からグレンタンク(5)に穀粒を移送する移送装置(28)の上端部よりも低いか、または同じ高さに配置しているので、機体外部の障害物とバケット式昇降機(8)の衝突の回避が容易になる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明による効果に加えて、補助タンク(9)のグレンタンク(5)側の左側板(30C)と、該補助タンク(9)の外側方の右側板(30D)を補強部材(33)によって連結しているので、補助タンク(9)内の穀粒による内圧で補助タンク(9)の右側板(30D)が外側に膨らみ、機外の障害物と接触することを回避することができる。
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明による効果に加えて、豆類などの穀粒を排出する場合には、バケット式昇降機(8)によって機外へ排出することで、穀粒の外傷を防止することができ、稲や麦等を排出する場合には、排出オーガ(7)によって排出することで速やかに機外へ排出できる。
請求項8記載の発明によれば、請求項7記載の発明による効果に加えて、バケット式昇降機(8)の駆動機構を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コンバインの平面図である。
【図2】コンバインの右側面図である。
【図3】グレンタンクと昇降機の正面図である。
【図4】グレンタンクの正面図である。
【図5】仕切り板の平面図である。
【図6】補助タンクの底板の平面図である。
【図7】昇降機の下部の断面図である。
【図8】昇降機の下部の拡大断面図である。
【図9】昇降機の中間部の断面図である。
【図10】昇降機の上部の断面図である。
【図11】グレンタンクの底部の平面断面図である。
【図12】グレンタンクの底部の正面断面図である。
【図13】グレンタンクの底部の背面断面図である。
【図14】グレンタンクの底部の背面拡大断面図である。
【図15】コントローラのブロック線図である。
【図16】コントローラのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするため、便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0020】
コンバイン1は、図1、図2に示すように、圃場を走向する左右一対のクローラからなる走行装置2と、機体の前端位置で圃場から穀桿を刈取る刈取装置3と、その後方で穀桿の脱穀・選別を行なう脱穀装置4と、脱穀装置4の右側に並設され脱穀・選別された穀粒を貯留するグレンタンク5とを備え、グレンタンク5の前側で刈取装置3の背面に臨む部位に操作者が搭乗する操縦部6を備え、操縦部6の下方後側にはエンジンを搭載するエンジンルームEが備えられている。
また、グレンタンク5の後方には貯留された稲、麦等の穀粒を機外に排出する排出オーガ7を備え、グレンタンク5の右側の前部には貯留された大豆、小豆等の穀粒を機外に排出するバケット式昇降機8を備え、グレンタンク5の右側の前部にはグレンタンク5と昇降機8に連通する補助タンク9を備えている。
【0021】
(脱穀装置)
刈取装置3によって刈取られた穀稈は、脱穀装置4に揚上搬送され、脱穀装置4によって脱穀・選別される。一番受樋によって回収された稲、大豆等の穀粒は、脱穀装置4の右側に設置された第一揚穀装置(移送装置)28によってグレンタンク5に揚送され、二番受樋によって回収された枝梗、莢等が付着した穀粒は、脱穀装置4の右側に設置された第2揚穀装置によって揚送されて再選別される。
【0022】
(グレンタンク)
第一揚穀装置28によって揚送された稲、大豆等の穀粒は、グレンタンク5に貯留される。グレンタンク5は、図3に示すように、鉄板からなる前側板10Aと、後側板10Bと、左側板10Cと、右側板10Dと、天井板10Eをボルト等の締結部材によって接合した接合構造とされ、底部には、貯留された稲等の穀粒を排出オーガ7に搬送する排出螺旋11が設けられている。
【0023】
前側板10Aの上部には、貯留された穀粒の状態を確認する点検窓12が設けられ、前側板10A及び後側板10Bの軽量化を図る為に、前側板10Aと後側板10Bの略中心部は、前後方向に延伸する鋼材からなる補強部材13によって連結支持されている。
【0024】
貯留された稲、麦等の穀粒を能率良く排出する為に、左側板10Cの略下半部位は、右側に向かい下がり傾斜させ、稲、麦等の穀粒に対する安息角度以上の第一傾斜角度θ1が設けられている。
右側板10Dの下部には補助タンク9に連通する取出口14が開口され、取出口14の下側部には後述する貯留された大豆、小豆等の穀粒を取出口14に向かって排出させる仕切板20の右側端部を支持する前後方向に延伸する鋼材からなる支持部材15が設けられている。
なお、稲、麦等の刈取・脱穀作業時で補助タンク9を設置しない場合には、取出口14は、閉口板によって覆われている。
【0025】
大豆、小豆等の刈取・脱穀作業時にグレンタンク5に設置する鋼板からなる仕切板20は、図3に示すように、グレンタンク5の左側板10Cの中央部から右側板10Dの下部に向かい下がり傾斜させ、その傾斜角度は大豆、小豆等の穀粒に対する安息角度以上の第二傾斜角度θ2が設けられている。
なお、仕切板20は、図4に示すように、グレンタンク5の左側板10Cの中央部から右側に向かい下がり傾斜させ、第二傾斜角度θ2が設け、右側部を水平に形成しても良い。
【0026】
グレンタンク5内への設置作業を容易にする為に、仕切板20は、図5に示すように、前仕切板20Aと、中間仕切板20Bと、後仕切板20Cの3分割に構成され、大豆、小豆等の穀粒に付着した砂、埃等の異物を取除く為に、前仕切板20A、中間仕切板20B、後仕切板20Cの右側部には、それぞれ多数の開口部21が形成されている。また、補強部材13上に載架支持する為に、前仕切板20A、中間仕切板20B、後仕切板20Cの裏面の補強部材13と対向する部位には、それぞれ補強部材13を挟持するガイド部材22が設けられている。
なお、本実施形態にあっては、仕切板20を3分割に構成しているが、一体に構成しても良く、あるいは2分割、4分割等の他の分割に構成しても良い。また、本実施形態にあっては、仕切板20の右側部に開口部21を形成しているが、異物を能率良く取除く為に、仕切板20の全面に開口部21を形成することもできる。
【0027】
(補助タンク)
大豆、小豆等の粒径は、稲、麦等の粒径よりも大きい為に、第一揚穀装置28によって揚送された大豆、小豆等によってグレンタンク5は短時間に一杯になる。その為に、大豆、小豆等の刈取・脱穀作業時には、グレンタンク5の右側板10Dに、図1、図2に示すように、右側板10Dの取出口14に連通する補助タンク9を設置し、貯留容量を増加させるのが好適である。なお、補助タンク9は、前後方向ではバケット式昇降機8の後側からグレンタンク5の略後部に延伸し、上下方向ではグレンタンク5の略中心部から下部まで延伸して配置されている。
【0028】
補助タンク9は、鉄板からなる前側板30Aと、後側板30Bと、左側板30Cと、右側板30Dと、上側板30Eと、図6に示すように、目抜き鉄板からなる下側板30Fをボルト等の締結部材によって接合した接合構造とされている。
前側板30Aの下部には、バケット式昇降機8の投入口(連通部)44に連通する取出口31が開口され、左側板30Cの上部には、グレンタンク5の取出口14に連通し、取出口14と略同一形状の投入口32が開口され、左側板30Cと右側板30Dの軽量化を図る為に、左側板30Cと右側板30Dの前側下部は、左右方向に延伸する鋼材からなる補強部材33によって連結支持されている。
上側板30Eには、補助タンク9に貯留された大豆等の状態を確認する為に、点検窓34が設けられ、下側板30Fは、側面視において投入口32の後側下部から取出口31の前側下部に向かい下がり傾斜し、大豆、小豆等の穀粒に対する第二傾斜角度θ2が設けられている。
【0029】
(バケット式昇降機)
バケット式昇降機8は、補助タンク9を介してバケット式昇降機8の下部の投入口44から搬送された大豆等の穀粒を外部に排出する装置である。
バケット式昇降機8は、図2、図3等に示すように、大豆等の穀粒を下部から上部に搬送する昇降部40と、昇降部40の上部に開口された連結口45に連通する排出部41とから構成され、排出部41の前側下部の取出口46には、樹脂製の可撓性を有する排出筒42が取付けられている。また、コンバイン1の走行時にバケット式昇降機8が外部の障害物に衝突することを防止する為に、バケット式昇降機8の昇降部40の上部は、第一揚穀装置28の上部と略同じ高さに設けられている。
【0030】
昇降部40は、鉄板からなる前側板43Aと、後側板43Bと、左側板43Cと、右側板43Dと、上側板43Eと、下側板43Fをボルト等の締結部材によって接合した接合構造とされている。
昇降部40の下側板43Fは、図7等に示すように、走行装置2を支持する走行フレーム47に取付けられている。また、下側板43Fは、大豆、小豆等の穀粒に付着した砂、埃等の異物を取除く為に、多数の開口部を形成するのが好適であり、グレンタンク5の開放作業を簡易に行なう為に、昇降部40の下側板43Fと走行フレーム47の取付けは連結ピン48によって行なうのが好適である。
昇降部40の後側板43Bの下部は、図7、図8等に示すように、補助タンク9の取出口31の右側に立設した固定部材35にボルト等の締結部材によって取付けられている。
また、後側板43Bの内側の投入口44を挟んで設けられた上部の上部板49Aと下部の下部板49Bには、昇降部40の投入口44の開閉を行なう鉄板からなるシャッタ50を挿入可能な溝が設けられている。なお、シャッタ50は、図13、図14に示すように、バケット式昇降機8の右側から左側に向けて挿入される形態とされ、下部板49Bの左部には、シャッタ50の開閉状態を検出する開閉センサ62が設けられている。
昇降部40の上側板43Eは、図1に示すように、グレンタンク5の天井板10Eに設けられた固定部材23にボルト等の締結部材によって取付けられている。
【0031】
昇降部40の内部には、図7〜図10に示すように、昇降部40の下部に支持された駆動スプロケット(駆動輪)52と、昇降部40の上部に支持された従動スプロケット51が設けられており、駆動スプロケット52と従動スプロケット51には、所定間隔毎に樹脂製の大豆等の穀粒を搬送するバケット54が枢着されたチェン53が巻き掛けられている。また、バケット54の上昇経路においてチェン53が摺接する案内部材55が設けられている。また、バケット54は、樹脂からなる略お椀形状に形成されており、大豆、小豆等の穀粒に付着した砂、埃等の異物を取除く為に、多数の開口部を開口するのが好適である。
【0032】
バケット54によって搬送される大豆等の穀粒の昇降部40の後部への脱落を防止する為に、昇降部40の上側板43Eの下側には、図10に示すように、上側板43Eの略中間部から後方に向かって立下がり傾斜する鉄板からなる排出ガイド56が設けられている。また、従動スプロケット51を支持する従動軸には、従動スプロケット51の回転数を検出する回転センサ63が設けられている。
【0033】
補助タンク9からバケット式昇降機8への大豆等の穀粒の投入状態を確認する為に、昇降部40の前側板43Aの下端部には、下端部点検窓57Aが設けられ、大豆等の穀粒を搬送するバケット54の起立・倒伏状態を確認する為に、昇降部40の右側板43Dの下部と中間部には、それぞれ下部点検窓57Bと中間部点検窓57Cが設けられ、大豆等の穀粒の昇降部40から排出部41への搬送状態を確認する為に、昇降部40の上側板43Eには、上部点検窓57Dが設けられている。また、部品点数を削減する為に、下部点検窓57Bと、中間部点検窓57Cは、昇降部40に上下に延伸する案内部材55に取付けられている。
【0034】
(バケット式昇降機の伝動)
バケット式昇降機8の入力プーリ58には、図11、図12に示すように、グレンタンク5の排出螺旋11の排出螺旋軸11Aに前側に設けられた出力スプロケット(出力輪)24の回転がチェン25を介して伝動される。入力プーリ58に伝動された回転は、入力プーリ58を支持する入力軸59と、入力軸59の後側に連結されたベベルボックス(伝達機構)60を介して、バケット式昇降機8の駆動スプロケット52を支持する出力軸61に伝動される。なお、ベベルボックス60の出力側には出力軸61の回転数を検出する回転センサ64が設けられている。
【0035】
入力プーリ58は、図11に示すように、エンジンルームE内に設けられ、入力軸59、ベベルボックス60は、図12に示すように、グレンタンク5の左側に向かい下がり傾斜に形成された右側板10Dの略下半部位の下方に設けられ、入力軸59と出力軸61は直交して設けられている。
【0036】
排出螺旋軸11Aに後側に設けられた入力プーリ26には、プーリ、ベルト等を介してエンジンルームEに搭載されたエンジンの回転が伝動されている。入力プーリ26の回転は、図13、図14に示すように、ベルト27を介してオーガ駆動プーリ70に伝動される。なお、排出オーガ7の駆動は、張力調整用モータ71によって、張力調整用モータ71の連結部材72の先端部に設けられた張力調整用プーリ73の位置を変換し、入力プーリ26とオーガ駆動プーリ70に巻き掛けられたベルト27の張力を変更することによって切換えられる。
【0037】
(バケット式昇降機の動作説明)
図15に示すように、操縦部6に設けられたコントローラ80の入力側には、操縦者による排出操作を検出する排出スイッチ65と、シャッタ50の開閉状態を検出する開閉センサ62の出力端子と、バケット式昇降機8の従動スプロケット51の回転状態を検出する回転センサ63の出力端子と、バケット式昇降機8の出力軸61の回転数を検出する回転センサ64の出力端子が接続され、コントローラ80の出力側には、バケット式昇降機8にエンジンの回転を伝動するバケット式昇降機駆動クラッチ81と、エンジンを停止させるエンジン停止手段82の入力端子が接続されている。なお、本実施形態におけるバケット式昇降機駆動クラッチ81は、前述の張力調整用モータ71によってベルト27の張力を変更することによって、伝動を接続及び遮断するものである。
【0038】
図16に示すように、排出スイッチ65がON(バケット式昇降機8を駆動する操作がされた状態)の場合、引続いて開閉センサ62の出力の有無を判断する。一方、排出スイッチ65の出力がOFF(バケット式昇降機8を駆動する操作がされていない状態)の場合、バケット式昇降機駆動クラッチ81を遮断するか、エンジン停止手段82によってエンジンを停止し、バケット式昇降機8を停止させる。
【0039】
開閉センサ62の出力がON(シャッタ50が開放されている状態)の場合、引続いて回転センサ63の出力の有無を判断する。一方、開閉センサ62の出力がOFF(シャッタ50が閉鎖されている状態)の場合、バケット式昇降機駆動クラッチ81を接続状態に維持し、バケット式昇降機8を駆動する。
【0040】
回転センサ63の出力がON(バケット式昇降機8の従動スプロケット51が回転している状態)の場合、引続いて回転センサ64の出力値を判断する。一方、回転センサ63の出力がOFF(バケット式昇降機8の従動スプロケット51が停止している状態)の場合、バケット式昇降機8の内部で大豆等の穀粒のブリッヂによるバケット54等の部品の破損を防止する為に、バケット式昇降機駆動クラッチ81を遮断するか、エンジン停止手段82によってエンジンを停止し、バケット式昇降機8を停止させる。
【0041】
回転センサ64の出力値が規定値以上(バケット式昇降機8の駆動スプロケット52に規定値以下の負荷が加わっている状態)の場合、バケット式昇降機駆動クラッチ81とエンジン停止手段82を接続状態に維持し、バケット式昇降機8を駆動する。一方、回転センサ64の出力値が規定値未満(バケット式昇降機8の駆動スプロケット52に規定値を超える負荷が加わっている状態)の場合、大豆等の穀粒のブリッヂによるバケット54等の機器の破損を未然に防止する為に、バケット式昇降機駆動クラッチ81を遮断するか、エンジン停止手段82によってエンジンを停止し、バケット式昇降機8を停止させる。
【符号の説明】
【0042】
4 脱穀装置
5 グレンタンク
7 排出オーガ
8 バケット式昇降機
9 補助タンク
11 排出螺旋
14 取出口
20 仕切板
23 固定部材
28 第一揚穀装置(移送装置)
30A 前側板
30B 後側板
30C 左側板
30D 右側板
30E 上側板
30F 下側板
31 取出口
32 投入口
33 補強部材
40 昇降部
41 排出部
42 排出筒
44 投入口(連通部)
45 連結口
46 取出口
50 シャッタ
54 バケット
60 ベベルボックス(伝達機構)
θ1 第一傾斜角度
θ2 第二傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体上の左右一側に穀桿を脱穀する脱穀装置(4)を備え、他側に脱穀された穀粒を貯留するグレンタンク(5)を備えるコンバインにおいて、
前記グレンタンク(5)の外側に穀粒を貯留する補助タンク(9)を配置し、
前記補助タンク(9)の前後一側に穀粒を外部に排出するバケット式昇降機(8)を配置し、
前記補助タンク(9)を、グレンタンク(5)とバケット式昇降機(8)の下部に夫々連通させたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記補助タンク(9)とバケット式昇降機(8)の連通部(44)に開閉自在なシャッタ(50)を配置した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記補助タンク(9)の下部に設けた下側板(30F)に豆類の粒径よりも小さい開口部を複数形成した請求項1または2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記補助タンク(9)の下側板(30F)は、豆類の安息角度以上の急傾斜角度で前記バケット式昇降機(8)側を低く傾斜させた請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記バケット式昇降機(8)の上端部を、グレンタンク(5)の上端部よりも高く、脱穀装置(4)からグレンタンク(5)に穀粒を移送する移送装置(28)の上端部よりも低いか、または同じ高さに配置した請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記補助タンク(9)のグレンタンク(5)側の左側板(30C)と、該補助タンク(9)の外側方の右側板(30D)を補強部材(33)によって連結した請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記グレンタンク(5)の底部に排出螺旋(11)を設け、該排出螺旋(11)の後端部にグレンタンク(5)の後側に設けた排出オーガ(7)の下部を連通させ、
前記グレンタンク(5)内の穀粒をバケット式昇降機(8)を経て排出する状態と排出オーガ(7)を経て排出する状態とに切換可能に構成した請求項1〜6のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記排出螺旋(11)の前端部から前記バケット式昇降機(8)に駆動力を伝達する伝達機構(60)を設けた請求項7記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−48565(P2013−48565A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186992(P2011−186992)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】