説明

コンビカード及びそれを用いたコンビカード通信装置

【課題】簡単な工程で生産可能であり、通信距離を伸張させることができ、接触式または非接触式で使用することができるコンビカード通信装置を提供する。
【解決手段】RFアンテナが形成されたトランスポンダチップモジュールがカード本体の凹溝に取り付けられる。更に当該トランスポンダチップとカードリーダ機400とを電磁気的に結合させるアンテナコイルが形成されたカップリング装置300が組み合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2009年6月19日に出願された大韓民国特許出願第10−2009−0055060号の優先権を請求したものである。
【0002】
本発明は、接触式または非接触式で使用することができるコンビカード(又はデュアル−インターフェースカード)つまり、組み合わせ型ICカード、及びそれを用いたコンビカード通信装置に関するものであって、詳しくは、電気的接続工程である導電性接着剤、ワイヤーボンディング、ソルダリングなどを使用せず、簡単な工程で生産可能であり、生産時に不良率が非常に低く、カードの耐久性が非常に高いコンビカードを提供するものであり、前記コンビカードの通信距離を伸張させ、通信障害を防止することができるコンビカード通信装置を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
コンビカードの活用分野は通信、金融、交通、電子商取引など、様々な分野に亘って広く応用されている。このような接触式カードと非接触式カードの両方のタイプを支援する形態の兼用カードには、コンビカード(Combi Card)と、ハイブリッドカード(Hybrid Card)とがある。
【0004】
この二つの形態のカードは、接触式/非接触式インターフェースの両方を支援するという共通点があるが、その構造は互いに相違している。
【0005】
ハイブリッドカードは、一つのカード内に物理的に接触式カードと非接触式カードが独立した形態で存在するカードであって、接触式と非接触式の両方を支援することができる反面、接触式と非接触式のための互いに独立したハードウェア資源と独立したソフトウェア資源とを備えなければならないという短所がある。
【0006】
それに対して、コンビカードは、一つのカード内に物理的に接触式/非接触式カードが共有できる部分を相互共有する結合形態のカードであって、内部資源の共有を通じて異種のアプリケーションの統合効果をもたらすため、現在、電子貨幣市場で主流として流通されている。
【0007】
図1は、従来のコンビカードの製造方法を示した一例であって、アンテナ挿入シートにアンテナコイルを形成し、ICチップモジュール(ICチップ、及びIC端子が備えられたCOB(Chip on Board))が位置するようになる領域にアンテナコイル用接続端子を形成する。その後、下部印刷シート、アンテナコイル挿入シート、上部印刷シート、上部保護シートなど、複数のシートを積層し、熱と圧力を加えて一つの薄膜層にした後、アンテナコイルの接続端子が露出されるようにミーリングして凹溝を形成し、露出されたアンテナコイルの接続端子に導電性接着剤を塗布した後、ICチップモジュールを電気的に接続させてコンビカードを製造する。
【0008】
図1のような従来のコンビカードは、導電性接着剤を介してICチップモジュールとアンテナコイルの電気的接続、及びICチップモジュールの物理的取り付けが行われるが、導電性接着剤(Conductive Glue)の使用による乾燥条件、導電性、接着力など、カード使用上、要求される水準に達しない問題がある。
【0009】
これは、一般的な導電性接着剤は約150℃の熱と所定圧力を約30分間加えることにより、硬化条件を満たして接着が強固になされる反面、カード製造時にはカードの熱変形を鑑みて約150℃〜200℃の熱と所定圧力を約1秒乃至2秒間加えるが、このような接着条件は接着剤が有する硬化条件を満たさないため、ICチップモジュールが取り付けられた後、硬化とともに接着剤が自然収縮して接着面にクラック(Crack)が発生し、発生したクラックにより接着力が減少してICチップモジュール端子とアンテナコイルの接点の接合に問題が発生した。
【0010】
このような問題を克服するためのコンビカード製造方法において、図1のように導電性接着剤を使用せず、アンテナコイルの接点とICチップモジュール端子を直接半田付けする「二重インターフェースICカードの製造方法、及びその方法により製造されたカード」(特許文献1)方式も開発されたことがあるが、半田付けを手作業で行わなければならないため、製造時間が増加し、作業者の熟練度によっては不良率が高くなる短所があり、その量産に問題がある現状である。
【0011】
図2に示したように、カードのアンテナコイル挿入シートに形成されたアンテナコイルとICチップモジュールを直接ボンディングしてコンビカードインレイ層を形成し、印刷層と保護層などを順次に積層組立して熱圧着工程に投入し、コンビカードを加工する「ホイル積層を介したICカード製造方法」(特許文献2)、「チップカード、及びチップカード生成方法」(特許文献3)などが利用されているが、このような方法は、接続部の耐久性は維持されるが、生産工程上、不良率が高くて、その量産において多くの問題がある。
【0012】
さらに他の方法として、図3に示したように、ICチップモジュールとの電気的接続が形成されない主要コイルアンテナ、及び増幅のための二次アンテナを内蔵したブースタ(Booster)方式のコンビカードを製造する「ICモジュール及びスマートカード」(特許文献4)、「ICカード用ブースタアンテナ」(特許文献5)、「ICカード用ICモジュールとこれを使用するICカード」(特許文献6)などが用いられているが、二次アンテナの設計変更における困難さ、及びアンテナ製作上の困難さといった問題や、製造工程において増幅用アンテナの特性上、カードに実装するのに技術的な困難さがあり、使用時には、主要コイルアンテナと増幅用二次コイルアンテナ、そしてリーダ機のアンテナを介する通信において、消耗電力の消失、及び干渉などによって通信上のエラー発生率が高く、広く普及されていないと知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第10−2002−0062198号
【特許文献2】大韓民国特許出願公開第10−2004−0049981号
【特許文献3】大韓民国特許出願公開第10−2008−0098360号
【特許文献4】米国特許第6378744号
【特許文献5】特開2003−218624号
【特許文献6】大韓民国特許第10−0381780号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述した問題を解決するために、本発明の目的は、導電性接着剤、半田を含むソルダリング、T/C(Thermo Compression)ボンディング、ワイヤーボンディングなどを使用せず、端子間接続部が形成されなく、効果的にコンビカード内情報を保護することができ、また、非常に簡単な工程で製造可能であり、高い生産効率で早い時間内に大量生産することができ、さらに、カードの耐久性が非常に高くて進行性不良が防止されるコンビカードを提供することであり、コンビカードとリーダ機との間の通信距離が伸張され、保安性が高く、カードリーダ機との円滑なトランザクション(transaction)が行われるコンビカード通信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一つの実施例において、コンビカードは、RF(Radio Frequency)アンテナが形成されたトランスポンダチップモジュール(transponder chip module)がカード本体の凹溝に取り付けられたコンビカードであって、前記コンビカードは、送受信のためのアンテナとして、前記トランスポンダチップモジュールのRFアンテナのみ備えられた特徴がある。
【0016】
本発明の他の実施例において、コンビカードを用いるコンビカード通信装置は、RFアンテナが形成されたトランスポンダチップモジュールがカード本体の凹溝に取り付けられ、送受信のためのアンテナとして、前記トランスポンダチップモジュールのRFアンテナのみが備えられたコンビカードであり、前記コンビカードからデータを読み出すカードリーダ機と、トランスポンダチップとカードリーダ機を電磁気的に接合するアンテナコイルが形成されたカップリング装置とを含む特徴がある。前記カップリング装置は、前記カードリーダ機の外面に取り付け、または据置されるか、前記カードリーダ機と一定距離離隔されて位置するか、前記コンビカードと接して位置することが好ましい。
【0017】
前記カップリング装置の前記アンテナコイルは、前記RFアンテナとカップリングされる第1アンテナコイル、及び前記第1アンテナコイルの一端と接続され、前記カードリーダ機に備えられたアンテナであるリーダ機アンテナとカップリングされる第2アンテナコイルを含めて構成されることが好ましい。
【0018】
前記アンテナコイルは、Cu、Ag、Al、又はこれらの混合物である特徴があり、前記カップリング装置は、PVC(Polyvinylchloride)シート、PC(Polycarbonate)シート、PET(Polyethylene Terephthalate)シート、PETG(Glycol modified Polyethylene Terephthalate)シート、PVC(Polyvinylchloride)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PC(Polycarbonate)樹脂、およびPETG(Glycol modified Polyethylene Terephthalate)樹脂の混合物からなるシート、及びポリエステル系合成紙からなる群から独立的に選択される二つ以上のシートの間に前記アンテナコイルが位置し、前記アンテナコイルを含んだ前記二つ以上のシートが積層及び熱圧着されて一体化されたカップリング装置である特徴がある。
【0019】
前記カップリング装置は粘着剤層をさらに含み、前記粘着剤層により前記カードリーダ機のハウジング外面に取り付けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるコンビカードは、従来のコンビカードで使用されていた導電性接着剤、半田を含むソルダリング、T/C(Thermo Compression)ボンディング、ワイヤーボンディングなどを使用せず、端子間接続部が形成されないことにより、進行性不良の問題が発生しない長所がある。また、非常に簡単な工程で製造可能であり、高い生産効率で早い時間内に大量生産することができ、生産単価が低く、さらに、カードの耐久性が非常に高い長所がある。また、無線情報の盗聴やスキミング(Skimming)を防ぐための別途の遮蔽装置なしでコンビカードの情報を保護することができる。
【0021】
本発明によるコンビカード通信装置は、本発明によるコンビカードの非接触トランザクションが向上され、通信距離が伸張され、コンビカードの情報を効果的に保護することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来のコンビカードの一製造例を示したものである。
【図2】従来のコンビカードの他の例を示したものである。
【図3】従来のコンビカードのさらに他の例を示したものである。
【図4】本発明によるコンビカードの一製造例を示したものである。
【図5】本発明によるコンビカードのトランスポンダチップモジュールの一例を示したものである。
【図6】本発明によるコンビカード通信装置の一構成例を示したものである。
【図7】本発明によるコンビカード通信装置の他の構成例を示したものである。
【図8】本発明によるコンビカード通信装置のカップリング装置の一例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて実施例を説明するが、本発明の利点、特徴及び作用効果はそれらの実施例によって明白である。
【0024】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。次に示す図面は、当業者に本発明の思想が充分に伝達されるように例として提供されるものである。従って、本発明は、以下に提示される図面に限定されなく、他の形態に具体化されることもできる。また、明細書全体に亘って同一の参照番号は同一の構成要素を示す。
【0025】
この際、使用される技術用語、及び科学用語において他の定義がないとしたら、この発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、下記の説明及び添付図面において本発明の要旨を余計に不明確にするような周知の機能及び構成に対する説明は省略する。
【0026】
図4に示したように、本発明によるコンビカード1000は、RFアンテナが形成されたトランスポンダチップモジュール200がカード本体100の凹溝110に取り付けられたカードである特徴があり、前記コンビカード1000には、送受信のためのアンテナとして、前記トランスポンダチップモジュール200のRFアンテナのみ備えられた特徴がある。
【0027】
前記トランスポンダチップモジュール200にはICチップ210が備えられ、前記ICチップ210には少なくとも中央処理装置(microprocessor unit)、カード運営システム(COS)及びメモリ素子(EEPROM)が内臓され、貯蔵、演算、保安性を有し、電子商取引、交通、金融、保安分野などで使用される各種情報をトランザクションする。図5に示したように、前記トランスポンダチップモジュール200には、接触式サービスを提供するための電気的接触ピン230が備えられたICチップモジュールと、前記ICチップ210と非接触式サービスを提供するためのRFアンテナ220とが備えられる。
【0028】
前記トランスポンダチップに備えられたRFアンテナ220は、チップモジュール基板の製造工程においてモジュール標準規格(一例で、13.0mm×11.8mm)以内の非接触式アンテナが円形又は四角形で形成される。
【0029】
前記RFアンテナ200は、前記ICチップ210と電気的に接続され、効率的に電波を放射するか、又は電波により効率的に起電力を誘起させる役割を行う。前記RFアンテナ220は、トランスポンダチップモジュール200形態で実装されて前記コンビカードを構成し、前記コンビカード1000に実装されたRFアンテナ220は、データを読み出すためにコンビカードと通信するカードリーダ機400間の通信周波数に共振するアンテナであることが好ましい。前記通信周波数は国際標準によるものであることが好ましい。一例で、カードの無線通信に関する国際標準であるISO14443による通信周波数である。
【0030】
前記トランスポンダチップモジュール200に備えられたRFアンテナ220は、12乃至18MHzの周波帯域通信用RFアンテナであり、好ましくは13.56MHz通信用RFアンテナである。
【0031】
前記カード本体100は、複数の透明、又は不透明合成樹脂シートが積層され、熱圧着(laminating)により一体化されたものである。
【0032】
前記透明、又は不透明合成樹脂シートは、独立的にPVC(Polyvinylchloride)シート、PC(Polycarbonate)シート、PET(Polyethylene Terephthalate)シート、PETG(Glycol modified Polyethylene Terephthalate)シート、PVC、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PC樹脂、およびPETG樹脂の混合物からなるシート、又はポリエステル系合成紙が使用されることができる。前記ポリエステル系合成紙は、プラスチックシートを紙形態に製造したものであって、不透明性、筆記性、印刷性を付与して特殊加工したものである。
【0033】
前記カード本体100には、ミーリング加工により、前記トランスポンダチップモジュール200と対応される形状の凹溝110が形成される。
【0034】
前記トランスポンダチップモジュール200は、熱、又は光硬化接着剤によって前記カード本体100に形成された前記凹溝110に取り付け及び固定される。
【0035】
上述したように、本発明によるコンビカード1000は、電気的に不導体であるカード本体100の凹溝にRFアンテナ220が形成されたトランスポンダチップモジュール200が物理的に取り付けられたものであり、前記コンビカード1000に無線通信のためのアンテナとして、前記トランスポンダチップモジュール200に形成されたRFアンテナ200のみ存在する特徴がある。
【0036】
本発明のコンビカードにトランスポンダチップモジュールのRFアンテナのみが形成され、カード内部に別途アンテナコイル、又はループアンテナを備えず、カード内部に増幅のためのアンテナを別途備えず、カード内部に形成されたアンテナコイルとICチップ、又はCOBが互いに電気的に接続された接合構造が存在しない。
【0037】
これにより、本発明のコンビカードは、電気的接続工程に使用される導電性接着剤、ワイヤーボンディング、ソルダリングなどが必要ではなく、高い接着力を有する非導電性接着剤を用いて前記トランスポンダチップモジュールを前記凹溝に取り付ける非常に簡単な方法で生産可能であり、高い生産効率で早い時間内に大量生産することができ、生産単価が低く、また、衝撃、曲げ、ねじれなどの各種変形にも高い耐久性を維持して進行性不良が発生しない長所がある。
【0038】
また、本発明のコンビカードは、トランスポンダチップのRFアンテナのみ備え、非接触式インターフェースの長所である迅速・便宜性を確保するとともに、保安が要求される身分証のようなe−ID用コンビカードとして使用される場合、無線情報の盗聴やスキミングを防ぐための別途遮蔽装置なしでコンビカードの情報を保護することができるという長所がある。
【0039】
図6は本発明によるコンビカード通信装置の一例を示したものであって、図6に示したように、本発明によるコンビカード通信装置は、上述した本発明によるコンビカード、及び前記コンビカード1000と通信して前記コンビカード1000から情報を読み出すカードリーダ機400を含めて構成される。
【0040】
前記カードリーダ機400は、無線周波数信号を用いて前記コンビカードからデータを読み出すカードリーダ機であって、RF送受信モジュール、制御モジュール、メモリ、中央処理装置、電源供給部を含む通常の(接触式及び非接触式インターフェースの両方を支援する)カードリーダ機である。
【0041】
前記カードリーダ機400は、接触式及び非接触式で前記コンビカード1000と通信を行い、前記接触式通信とは、前記カードリーダ機400と前記コンビカード1000とが物理的及び電気的に接続されて通信が行われるということを意味し、前記非接触式通信とは、前記カードリーダ機400と前記コンビカード1000とが物理的に分離された状態で一定周波数の電磁気波により前記コンビカード1000と前記カードリーダ機400との通信が行われるということを意味する。
【0042】
前記カードリーダ機400は、12乃至18MHzの周波帯域用カードリーダ機であって、詳細には、13.56MHz通信用カードリーダ機であり、前記カードリーダ機400の内部には前記コンビカード1000との非接触式通信のためのアンテナであるリーダ機アンテナが備えられる。
【0043】
図7は本発明によるコンビカード通信装置の好ましい一例を示したものであって、図7に示したように、本発明によるコンビカード通信装置は、上述した本発明によるコンビカード1000、前記コンビカードからデータを読み出すために一定周波数を用いて通信するカードリーダ機400とともに、前記コンビカード1000と前記カードリーダ機400との間の通信周波数を増幅させるアンテナコイルが形成されたカップリング装置300を含む特徴がある。このとき、前記カードリーダ機400が接触式通信を支援するのは勿論である。
【0044】
前記カップリング装置300は、1mm乃至10mm厚みの薄い板状であることが好ましく、カード形状であることがさらに好ましい。図7(a)に示したように、前記カップリング装置300は、前記カードリーダ機400と一定距離離隔された位置に備えられることができ、図7(b)に示したように、前記カードリーダ機400の外部ケースに取り付け、または据置されることができる。また、図7(c)に示したように、前記コンビカード1000と物理的に一体化されない状態で、前記コンビカード1000と接した状態、又は隣接した状態で使用されることができる。
【0045】
前記カップリング装置300が前記カードリーダ機400と一定距離離隔されて位置する場合、前記カップリング装置300と前記カードリーダ機400との離隔距離は1cm乃至4cm以内であることが好ましい。
【0046】
図8に示したように、前記カップリング装置300は、PVC(Polyvinylchloride)シート、PC(Polycarbonate)シート、PET(Polyethylene Terephthalate)シート、PETG(Glycol modified Polyethylene Terephthalate)シート、PVC、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PC樹脂、およびPETG樹脂の混合物からなるシート、及びポリエステル系合成紙(シート)からなる群から独立的に選択される二つ以上のシート310,330の間に前記アンテナコイル320が位置する。
【0047】
前記カップリング装置300は、前記アンテナコイルを含んだ前記二つ以上のシート310,320が積層され、熱圧着されて一体型で製造される特徴がある。この際、前記シート310,320の間に備えられるアンテナコイル320は、前記シートの一面に被覆コイルが内蔵されている場合、前記シートの一面に導電性インクがプリントされて一定パターン(アンテナコイル)を形成した場合、又は前記シートの一面に金属層が形成され、前記金属層が部分的にエッチングされて一定パターン(アンテナコイル)を形成した場合を含む。
【0048】
前記カップリング装置300のアンテナコイル320は、ブースタ機能を行って前記コンビカード1000の通信距離を伸張させ、通信障害を抑制する。
【0049】
詳しくは、前記カップリング装置300はカードの用途別通信標準に合うRF帯域のキャリアを増幅させる。一例で、前記カップリング装置300のアンテナコイル320は、12乃至18MHzの周波帯域キャリアを増幅させることができ、詳細には、ISO14443に基づいた13.56MHzキャリアを増幅させることができる。
【0050】
前記カップリング装置300のアンテナコイル320は85.6mm×54mm以内の四角又は円形状のコイルであって、アンテナコイルは、コイルを内蔵するか、導電性インクを一定パターンにプリントするか、金属層を一定パターンにエッチングして形成することができる。
【0051】
図8(a)に示したように、前記カップリング装置300のアンテナコイル320は第1アンテナコイル321と第2アンテナコイル322とで構成されることが好ましく、前記第1アンテナコイル321の一端と前記第2アンテナコイル232の一端とは互いに接続されることが好ましい。前記第1アンテナコイル321は前記コンビカード1000のトランスポンダチップモジュール200に備えられたRFアンテナ220と対応して電磁結合され、前記第2アンテナコイル322は前記カードリーダ機400に備えられたリーダ機アンテナと対応して電磁結合される。
【0052】
これは、前記リーダ機アンテナ及びRFアンテナ220が互いに異なるサイズを有するためであり、前記第1アンテナコイル321と前記第2アンテナコイル322は、カードリーダ機400に備えられたリーダ機アンテナ、及びコンビカード1000に備えられたRFアンテナ220との効率的なカップリングによって誘導電流を発生させるためのアンテナである。
【0053】
詳しくは、前記第1アンテナコイル321はコンビカード400に備えられたRFアンテナ220との効率的なカップリングによって誘導電流を発生させるためのアンテナであり、前記第2アンテナコイル322はカードリーダ機400に備えられたリーダ機アンテナとの効率的なカップリングによって誘導電流を発生させるためのアンテナである。
【0054】
前記第1アンテナコイル321は14mm×13mm以内の四角又は円形状のコイルであり、前記第2アンテナコイル322は85.6mm×54mm以内の四角又は円形状のコイルであり得る。
【0055】
また、前記カップリング装置300のアンテナコイル320は、コンデンサーの役割をするパターンを含むことができる。
【0056】
前記アンテナコイル320は電気導電度に優れた金属物質であり、一例として、前記アンテナコイル320はCu、Ag、Al、又はこれらの混合物である。前記カップリング装置300はカードリーダ機400のハウジング外部に位置し、詳細には、前記カードリーダ機400のハウジング外面に取り付けられるか、前記カードリーダ機の一定位置に固定されるように据置されるか、前記カードリーダ機と一定距離離隔されて位置するか、前記カップリング装置300は前記コンビカード1000とともに使用することができる特徴がある。
【0057】
好ましくは、前記カップリング装置300は、最下部又は最上部に粘着剤層をさらに含み、前記粘着剤層により前記カードリーダ機400のハウジング外面に取り付けられる。
【0058】
本発明によるコンビカード通信装置は、カード内部情報を保護し、カードの信頼性及び耐久性を確保するために、ICチップモジュールにRFアンテナを含めて構成されたトランスポンダチップを使用し、トランスポンダチップ以外にはコンビカード内部に電磁気的誘導作用を増幅させるためのアンテナコイルを内蔵しない特徴があり、別途ブースタ機能を有する補助アンテナを既存のリーダ機に取り付けして使用することにより、コンビカードの保安を確保するとともに通信距離を伸張させ、円滑な非接触トランザクションを行うことができるという特徴がある。
【0059】
図4と類似するように、増幅のためのアンテナをカード本体に内蔵せず、通常のカード製造時に使用されるプラスチック印刷シート、保護膜シートなど、複数のシートを積層し、熱圧着(180℃〜186℃、180bar〜187bar)してカード本体を製造した。
【0060】
製造されたカード本体にトランスポンダチップモジュール(SPS社、JK10)が挿入される位置をCNC(Computer Numerical Control)機によりミーリング加工し、モジュール形状の凹溝を、トランスポンダチップモジュールの取り付け時にカード表面とトランスポンダチップモジュール表面が同一平面上に来るように形成した。その後、裏面にホットメルト(Hot-melt)接着剤(TESA8410)が取り付けられたトランスポンダチップモジュールを凹溝に挿入し、熱と圧力(190℃〜210℃、3bar〜8bar)を加え、カード表面に実装してコンビカードを製造した。
【0061】
製造されたコンビカードを、既存のエスシーエムマイクロシステム社(SCM Microsystem)のリーダ機(SDi010)を通じて、コンビカードとリーダ機との間の非接触トランザクションを試験した結果、非接触トランザクションがなされたことを確認し、リーダ機の特定部分でのみ非接触トランザクションがなされることを確認した。
【0062】
2枚のPCシートの間に、図8と類似したアンテナコイルが形成されたPETシートを積層した後、熱圧着(180℃〜186℃、180bar〜187bar)してカップリング装置を製造した。
【0063】
その後、製造されたカップリング装置を既存のエスシーエムマイクロシステム社のリーダ機(SDi010)外装ケース表面に固定、又は取り付けし、非接触トランザクションを試験した結果、カップリング装置がない時には、通信距離1cm以内でトランザクションがなされ、カップリング装置の取り付け(固定)後は、通信距離4cm以内でトランザクションがなされることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によるコンビカード及びコンビカード通信装置は、工程上、不良要因となるアンテナとチップ端子との接続による問題の解消や、製造工程上の困難さ、及びアンテナの挿入による経済的費用を除去し、コンビカードの耐久性を確保することができる。製造工程における経済的利得とともに内臓アンテナの除去によるコンビカードの保安性を高めることができ、リーダ機との円滑なトランザクションのために簡便に補助アンテナを既存のリーダ機に据置、又は取り付けするか、コンビカードとともに使用されることができる。
本発明により、コンビカードの進行性不良を解消することができ、コンビカード使用の拡散を達成することができる。
【0065】
本発明は具体的実施例によって説明したが、請求項に記載した発明の発明概念から逸脱しない限りにおいて当業者により種々の変更が可能なことが明らかである。
【符号の説明】
【0066】
100 カード本体
110 凹溝
200 トランスポンダチップモジュール
1000 コンビカード
300 カップリング装置
400 カードリーダ機
220 RFアンテナ
320 アンテナコイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFアンテナが形成されたトランスポンダチップモジュールがカード本体の凹溝に取り付けられたコンビカードであって、
前記コンビカードには、送受信のためのアンテナとして、前記トランスポンダチップモジュールのRFアンテナのみ備えられたことを特徴とするコンビカード。
【請求項2】
RFアンテナが形成されたトランスポンダチップモジュールがカード本体の凹溝に取り付けられ、送受信のためのアンテナとして、前記トランスポンダチップモジュールのRFアンテナのみ備えられたコンビカードと、前記コンビカードからデータを読み出すカードリーダ機と、トランスポンダチップとカードリーダ機を電磁気的に結合させるアンテナコイルが形成されたカップリング装置とを含むコンビカード通信装置。
【請求項3】
前記カップリング装置は、前記カードリーダ機の外面に取り付け、または据置されるか、前記カードリーダ機と一定距離離隔されて位置するか、前記コンビカードと接して位置することを特徴とする請求項2に記載のコンビカード通信装置。
【請求項4】
前記カップリング装置のアンテナコイルは、前記RFアンテナとカップリングされる第1アンテナコイル、及び前記第1アンテナコイルの一端と接続され、前記カードリーダ機に備えられたアンテナであるリーダ機アンテナとカップリングされる第2アンテナコイルを含めて構成されることを特徴とする請求項2に記載のコンビカード通信装置。
【請求項5】
前記アンテナコイルは、Cu,Ag,Al、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項2に記載のコンビカード通信装置。
【請求項6】
前記カップリング装置は、PVC(Polyvinylchloride)シート、PC(Polycarbonate)シート、PET(Polyethylene Terephthalate)シート、PETG(Glycol modified Polyethylene Terephthalate)シート、PVC(Polyvinylchloride)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、PC(Polycarbonate)樹脂、およびPETG(Glycol modified Polyethylene Terephthalate)樹脂の混合物からなるシート、及びポリエステル系合成紙からなる群から独立的に選択される二つ以上のシートの間に前記アンテナコイルが位置し、前記アンテナコイルを含んだ前記二つ以上のシートが積層及び熱圧着されて一体化されたことを特徴とする請求項2に記載のコンビカード通信装置。
【請求項7】
前記カップリング装置は粘着剤層をさらに含み、前記粘着剤層により前記カードリーダ機のハウジング外面に取り付けられたことを特徴とする請求項2に記載のコンビカード通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−18319(P2011−18319A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−139066(P2010−139066)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(510171564)コリア ミンティング, セキュリティ プリンティング アンド アイディ カード オペレーティング コーポレーション (1)
【氏名又は名称原語表記】Korea Minting, Security Printing & ID Card Operating Corp.
【住所又は居所原語表記】35, Gajeong−dong, Yuseong−gu, Daejeon 305−713 Republic of Korea
【Fターム(参考)】