説明

コンピュータプログラム及びプリントデータ送信装置

【課題】 印刷装置の動作状態に応じて、印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信することができるプリントデータ送信装置と端末装置をその様なプリントデータ送信装置として機能させるコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】 印刷対象の文書データを指定した印刷指示に基づいて、プリントデータを生成するプリントデータ生成部と、印刷指示に基づいて、印刷装置から動作状態を取得する状態取得部と、取得された動作状態に基づいて、プリントデータを印刷装置へ送信する送信制御部により構成される。送信制御部は、動作状態が省電力モードであった場合に、その時点におけるプリントデータの送信を留保し、印刷可能状態への動作状態の移行を検知した時点でプリントデータを印刷装置へ送信する。状態取得部は、印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間ごとに動作状態の取得を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータプログラム及びプリントデータ送信装置に係り、さらに詳しくは、文書データを印刷する印刷装置に文書データを含むプリントデータを送信するプリントデータ送信装置と、プリントデータ送信装置において実行されるコンピュータプログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、MFP(Multifunction Peripheral:複合機)などの印刷装置は、指定された印刷ジョブが終了すれば、通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードへ自動的に移行させる節電機能を有する場合が少なくない。省電力モードでは、LAN(ローカルエリアネットワーク)などの通信ネットワークを介して外部機器と通信を行う通信部を除いて、各デバイスへの電力供給が遮断される。この様な印刷装置では、省電力モード時に通信ネットワーク上の端末装置からプリントデータを受信した場合、通常モードに復帰し、受信データの印刷処理が実行される。そして、印刷装置は、印刷処理が終了すれば、印刷待機状態へ移行し、その後、印刷要求などを受け付けることなく一定時間が経過すれば、動作モードを省電力モードへ切り替える。印刷待機状態では、記録紙に転写された未定着トナー像を加熱定着させる定着部の温度制御が行われる。
【0003】
ここで、複数の端末装置が通信ネットワークを介して共通の印刷装置に接続されたシステムでは、端末装置の印刷要求によって印刷ジョブが頻繁に発生する場合がある。上述した節電機能を有する印刷装置では、印刷ジョブが頻繁に発生すれば、省電力モードに移行してから短時間で通常モードに復帰し、定着部の温度制御を開始する動作を繰り返すことになる。このため、場合によっては節電機能を有していない印刷装置よりも電力消費量が多くなり、期待されるような節電効果が得られないという課題があった。
【0004】
そこで、端末装置から印刷要求又はプリントデータを受信してもすぐには印刷処理を実行せず、一定数の印刷要求又はプリントデータが蓄積された時点で通常モードに復帰させ、これらの印刷処理をまとめて実行させる画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2)。特許文献1には、予め指定された時刻に達した時点で通常モードに復帰させ、蓄積されたプリントデータをまとめて印刷させることも開示されている。しかし、この様な構成を採用した場合、印刷装置の構成を変更しなければならず、多大なコストを要してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−313489号公報
【特許文献2】特開2005−88499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、多大なコストを要することなく、節電機能を有する印刷装置において電力消費量が増大するのを抑制することができるコンピュータプログラム及びプリントデータ送信装置を提供することを目的とする。
【0007】
特に、印刷装置の動作状態に応じて、印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信することができるプリントデータ送信装置と端末装置をその様なプリントデータ送信装置として機能させるコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明によるコンピュータプログラムは、印刷実行状態及び印刷可能状態からなる通常モード、並びに、上記通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードを有する印刷装置に対し、通信ネットワークを介して印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信するプリントデータ送信装置において実行されるコンピュータプログラムであって、印刷対象の文書データを指定した印刷指示に基づいて、上記プリントデータを生成するプリントデータ生成ステップと、上記印刷指示に基づいて、上記印刷装置から動作状態を取得する状態取得ステップと、取得された上記動作状態に基づいて、上記プリントデータを上記印刷装置へ送信する送信制御ステップとを備え、上記送信制御ステップが、上記動作状態が上記省電力モードであった場合に、その時点における上記プリントデータの送信を留保し、上記印刷可能状態への動作状態の移行を検知した時点で上記プリントデータを上記印刷装置へ送信し、上記状態取得ステップが、上記印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間ごとに上記動作状態の取得を実行するように構成される。
【0009】
この様な構成によれば、印刷指示時に印刷装置が省電力モード中であった場合に、プリントデータの送信が留保され、印刷可能状態に移行したことが検知されるまで第1監視時間ごとに動作状態の取得が繰り返される。このため、印刷装置では、省電力モードに移行してから短時間でプリントデータ送信装置からの印刷要求によって通常モードへ復帰させられることを抑制することができる。つまり、印刷装置の構成を変更しなくても、電力消費量の増大を抑制することができる。従って、印刷装置の動作状態に応じて、印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信することができ、多大なコストを要することなく、節電機能を有する印刷装置において電力消費量が増大するのを抑制することができる。また、印刷装置が印刷可能状態へ移行したことを検知した時点でプリントデータを送信するので、印刷装置では、プリントデータを受信すれば、直ちに印刷処理を実行することができる。このため、印刷装置では、受信したプリントデータを蓄積しておく必要がなく、プリントデータ蓄積用として、大容量の記憶部が不要である。
【0010】
第2の本発明によるコンピュータプログラムは、上記構成に加え、上記印刷可能状態が、記録紙に転写された未定着トナー像を加熱定着させる定着部の温度を定着温度よりも低い待機温度に維持する印刷待機状態であり、上記送信制御ステップが、上記動作状態が上記印刷待機状態であった場合に、上記プリントデータを上記印刷装置へ直ちに送信するように構成される。
【0011】
第3の本発明によるコンピュータプログラムは、上記構成に加え、上記送信制御ステップが、上記プリントデータの送信を留保した後に取得された動作状態が上記印刷実行状態であった場合に、上記プリントデータの送信留保を継続するように構成される。
【0012】
第4の本発明によるコンピュータプログラムは、上記構成に加え、上記送信制御ステップが、上記動作状態が上記印刷実行状態であった場合に、その時点における上記プリントデータの送信を留保し、上記状態取得ステップが、上記印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間よりも短い第2監視時間ごとに上記動作状態の取得を実行するように構成される。
【0013】
この様な構成によれば、印刷装置が印刷実行状態であった場合には、印刷可能状態に移行したことが検知されるまで第1監視時間よりも短い第2監視時間ごとに動作状態の取得が繰り返される。このため、印刷装置における印刷処理が終了したことを速やかに検知して、プリントデータを送信することができる。
【0014】
第5の本発明によるコンピュータプログラムは、上記構成に加え、上記送信制御ステップが、上記プリントデータを送信することなく上記印刷指示から第1監視時間よりも長い限界監視時間が経過した場合に、上記プリントデータを上記印刷装置へ送信するように構成される。
【0015】
この様な構成によれば、印刷装置が省電力モード中であっても、限界監視時間が経過することによってプリントデータの送信が実行されるので、限界監視時間が経過した時点でプリントデータを強制的に印刷させることができる。
【0016】
第6の本発明によるプリントデータ送信装置は、印刷実行状態及び印刷可能状態からなる通常モード、並びに、上記通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードを有する印刷装置に対し、通信ネットワークを介して印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信するプリントデータ送信装置であって、印刷対象の文書データを指定した印刷指示に基づいて、上記プリントデータを生成するプリントデータ生成部と、上記印刷指示に基づいて、上記印刷装置から動作状態を取得する状態取得部と、取得された上記動作状態に基づいて、上記プリントデータを上記印刷装置へ送信する送信制御部とを備え、上記送信制御部が、上記動作状態が上記省電力モードであった場合に、その時点における上記プリントデータの送信を留保し、上記印刷可能状態への動作状態の移行を検知した時点で上記プリントデータを上記印刷装置へ送信し、上記状態取得部が、上記印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間ごとに上記動作状態の取得を実行するように構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるコンピュータプログラム及びプリントデータ送信装置では、印刷指示時に印刷装置が省電力モード中であればプリントデータの送信が留保され、印刷可能状態に移行したことが検知されるまで第1監視時間ごとに動作状態の取得が繰り返される。このため、印刷装置では、省電力モードに移行してから短時間でプリントデータ送信装置からの印刷要求によって通常モードへ復帰させられることを抑制することができる。従って、印刷装置の動作状態に応じて、印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信することができ、多大なコストを要することなく、節電機能を有する印刷装置において電力消費量が増大するのを抑制することができる。また、印刷可能状態へ移行したことを検知した時点でプリントデータを印刷装置へ送信するので、印刷装置では、プリントデータを受信すれば、直ちに印刷処理を実行することができる。このため、印刷装置では、受信したプリントデータを蓄積しておく必要がなく、プリントデータ蓄積用として、大容量の記憶部が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態1によるプリントデータ送信装置を含むネットワーク印刷システム1の一構成例を示したシステム図である。
【図2】図1のMFP4の構成例を示したブロック図である。
【図3】図1のPC2の構成例を示したブロック図である。
【図4】図3のPC2における印刷設定時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図5】図3のPC2における印刷文書の登録時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図6】図3のPC2におけるPCプリントの実行処理時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図7】図3のPC2におけるPCプリントの実行処理時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図8】図3のPC2におけるPCプリントの実行処理時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態2によるプリントデータ送信装置の構成例を示したブロック図である。
【図10】図9のPC2における印刷設定時の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
<ネットワーク印刷システム>
図1は、本発明の実施の形態1によるプリントデータ送信装置を含むネットワーク印刷システム1の一構成例を示したシステム図であり、プリントデータ送信装置の一例としてPC(パーソナルコンピュータ)2が示されている。このネットワーク印刷システム1は、複数のPC2と複数のMFP4とがLAN3を介して互いに接続された通信システムであり、PC2において作成された文書データをMFP4において印刷することができる。
【0020】
PC2は、印刷対象の文書データを含むプリントデータを生成し、LAN3を介していずれかのMFP4へ送信するプリントデータ送信装置であり、印刷用のアプリケーションプログラム、いわゆるプリントユーティリティがインストールされた端末装置からなる。プリントデータは、印刷しようとする文書データと、MFP4に印刷を指示するための印刷要求コマンドとを含む印刷データであり、ユーザ操作による所定の印刷指示に基づいて生成される。
【0021】
MFP4は、スキャナ機能、プリンタ機能、FAX(ファクシミリ)機能、複写機能、電子メールの送受信機能を有し、これらの機能を選択的に実行させることができる画像処理装置である。このMFP4は、LAN3を介してプリントデータを受信し、記録紙に印刷する。記録紙は、プリントデータを印刷するための印刷用紙であり、所定の紙媒体からなる。
【0022】
また、MFP4は、印刷実行状態及び印刷可能状態からなる通常モードと、通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードとを有し、印刷ジョブなどが終了すれば、省電力モードへ自動的に移行する。印刷実行状態とは、印刷処理を実行している動作状態のことである。一方、印刷可能状態とは、印刷処理を実行していない動作状態であって、印刷要求があれば直ちに印刷処理を開始し得る状態のことであり、例えば、記録紙に転写された未定着トナー像を加熱定着させる定着部の温度制御が行われる印刷待機状態からなる。
【0023】
このMFP4では、印刷ジョブが終了すれば、印刷待機状態へ移行し、その後、ユーザ操作を検知することなく、また、PC2からの印刷要求を含む印刷要求を検知することもなく一定時間が経過すれば、動作モードが省電力モードへ切り替えられる。一方、省電力モード中にPC2からプリントデータを受信した場合には、通常モードに復帰し、受信したプリントデータの印刷処理が実行される。
【0024】
<MFP>
図2は、図1のMFP4の構成例を示したブロック図である。このMFP4は、ネットワーク通信部41、プリンタコントローラ42、プリンタエンジン43、画像形成部44及び動作モード切替SW(スイッチ)45により構成される。
【0025】
ネットワーク通信部41は、LAN3を介してプリントデータを受信するプリントデータ受信部であり、インターフェース部411、ネットワーク監視部412、動作状態記憶部413、印刷設定記憶部414及び計時部415からなる。プリントデータは、所定の通信プロトコル、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に基づいてパケット化され、パケットデータとして送受信される。
【0026】
インターフェース部411は、パケットデータの送受信を行う。ネットワーク監視部412は、受信したパケットデータを監視し、PC2からの各種要求を検出する。具体的には、動作状態の転送要求、プリントデータの印刷要求が検出される。
【0027】
動作状態記憶部413には、MFP4の動作状態を示す機器状態情報が保持される。この機器状態情報は、ネットワーク監視部412によって更新され、動作状態が印刷実行状態、印刷待機状態又は省電力モードのいずれであるかを判別することができる。ネットワーク監視部412は、動作状態の転送要求を検出した場合に、動作状態記憶部413から機器状態情報を読み出し、インターフェース部411を介して要求元のPC2へ送信する。
【0028】
印刷設定記憶部414には、省電力モードから通常モードへ自動復帰して印刷処理を実行する印刷実行時刻として、予め指定された印刷設定時刻が保持される。印刷設定時刻は、複数指定することができ、毎日、決まった時刻に自動復帰させ、或いは、日及び時刻を指定して自動復帰させることができる。計時部415は、現在の日時を示す時刻情報を生成し、ネットワーク監視部412へ出力する。
【0029】
ネットワーク監視部412、プリンタコントローラ42及びプリンタエンジン43は、共通のバスに接続され、インターフェース部411を介して受信したプリントデータが処理される。
【0030】
プリンタコントローラ42は、制御部421、バッファ422、プリントデータ記憶部423及び画像処理部424からなり、プリントデータを印刷用の画像データに変換し、プリンタエンジン43へ出力する。制御部421は、プリントデータの転送制御を行う。バッファ422は、ネットワーク監視部412から転送されたプリントデータを一時記憶するメモリである。画像処理部424は、バッファ422に蓄積されたプリントデータを読み出して印刷用の画像データに変換し、プリントデータ記憶部423内に格納する。
【0031】
プリンタエンジン43は、プリントデータ記憶部423内に格納されたプリントデータ(画像データ)に基づいて、画像形成部44を制御する制御部である。画像形成部44は、現像部441、転写部442、定着部443及び駆動部444からなり、プリントデータを所定の記録紙に印刷する。現像部441は、帯電した感光体ドラム上に記録された静電潜像をトナーにより現像する。転写部442は、トナー像を記録紙に転写させる。定着部443は、記録紙に転写された未定着トナー像をヒーターで加熱されたローラによって加熱定着させる。駆動部444は、感光体ドラム、ローラなどを駆動する。
【0032】
ネットワーク監視部412は、動作モード切替SW45を制御して動作モードを切り替えることにより、電力消費量を低減させる節電機能を有する。通常モードでは、プリンタコントローラ42、プリンタエンジン43及び画像形成部44に電力が供給されるのに対し、省電力モードでは、プリンタコントローラ42、プリンタエンジン43及び画像形成部44に対する電力供給が遮断される。ここで、印刷待機状態では、定着部443の温度制御が行われ、例えば、定着部443の温度が定着温度よりも低い所定の待機温度に維持される。
【0033】
また、ネットワーク監視部412は、省電力モード中にPC2からの印刷要求を検出した場合、動作モードを通常モードへ切り替える。さらに、ネットワーク監視部412は、省電力モード中に印刷設定時刻に達した場合、動作モードを通常モードへ切り替える。
【0034】
なお、機器状態情報の送受信は、SNMP(Simple Network Management Protocol)に基づいて行われる。SNMPは、機器をネットワーク経由で監視し、或いは、制御するための通信プロトコルである。また、機器状態情報は、MIB(Management Information Base)と呼ばれる管理用データベースを利用して保持される。
【0035】
<プリントデータ送信装置>
図3は、図1のPC2の構成例を示したブロック図である。このPC2は、操作部21、文書ファイル記憶部22、プリンタドライバ記憶部23、印刷設定部24、印刷ジョブフォルダ25、動作状態取得部26、計時部27、送信制御部28、インターフェース部29及び表示部30により構成される。
【0036】
操作部21は、ユーザ操作を検出して所定の入力信号を生成し、印刷設定部24及び動作状態取得部26へ出力する。文書ファイル記憶部22には、予め作成された複数の文書データが保持される。文書データとしては、文字、記号などを示すコード情報からなるものの他に、写真などのイメージデータからなるものなど、各種フォーマットのものがあり、ファイル化して保持される。
【0037】
プリンタドライバ記憶部23には、予めインストールされた複数のプリンタドライバが保持される。プリンタドライバは、MFP4を制御してプリントデータを印刷させるための印刷用のソフトウェアであり、文書作成用の所定のアプリケーションプログラムによって作成された文書データをPDL(ページ記述言語)データへ変換し、そのPDLデータを印刷装置へ送信する。
【0038】
印刷設定部24は、監視時間指定部241、機器監視情報記憶部242及びプリントデータ生成部246からなり、操作部21からの入力信号に基づいて、文書データを印刷するための各種印刷設定と、プリントデータを印刷ジョブとして登録する処理を行う。この印刷設定及び登録処理は、所定の印刷設定画面を表示部30に表示することにより行われる。
【0039】
監視時間指定部241は、MFP4の動作状態を監視するための機器監視情報として、機器監視時間T1、印刷終了監視時間T2及び限界監視時間T3を指定する。機器監視時間T1は、MFP4が省電力モード中であることを検知した場合に、MFP4の動作状態を繰り返し取得させる際の時間間隔を規定するパラメータである。MFP4が省電力モード中であれば、プリントデータの送信は、少なくとも時間T1だけ留保される。
【0040】
印刷終了監視時間T2は、MFP4が印刷実行状態であることを検知した場合に、MFP4の動作状態を繰り返し取得させる際の時間間隔を規定するパラメータであり、機器監視時間T1よりも短い。MFP4が印刷実行状態であれば、プリントデータの送信は、少なくとも時間T2だけ留保される。
【0041】
限界監視時間T3は、MFP4が省電力モード中であるために機器監視時間T1ごとにプリントデータの送信を留保することを繰り返した場合に、プリントデータの送信を留保し続ける時間の上限を規定するパラメータである。例えば、限界監視時間T3は、MFP4の動作状態が印刷待機状態にならない場合であっても、強制的にプリントデータの送信を実行するまでの時間である。或いは、限界監視時間T3は、MFP4が印刷待機状態になることを待たずに、強制的にプリントデータの送信を実行するまでの時間である。或いは、限界監視時間T3は、MFP4が印刷待機状態になることを待つ上限待ち時間である。
【0042】
例えば、機器監視時間T1は、5分程度であり、印刷終了監視時間T2は、30秒程度であり、限界監視時間T3は、30分程度である。この様な機器監視情報は、いずれもユーザ操作に基づいて指定され、それぞれ機器監視時間情報243、印刷終了監視時間情報244及び限界監視時間情報245として機器監視情報記憶部242内に保持される。
【0043】
プリントデータ生成部246は、ユーザ操作に基づいて文書ファイル記憶部22から文書データを読み出し、実行ドライバとして予め登録されたプリンタドライバを用いて、プリントデータを生成し、印刷ジョブフォルダ25内に格納する。プリントデータは、印刷対象の文書データを指定した所定の印刷指示に基づいて、文書データをPDL(ページ記述言語)などの所定のフォーマットからなるデータに変換することによって作成される。
【0044】
印刷ジョブフォルダ25は、PCプリント用の監視フォルダとして予め登録された共有フォルダである。監視印刷ジョブフォルダ25には、プリントデータ生成部246により作成された複数のプリントデータ251が、それぞれ対応する属性ファイル252に関連づけて保持されている。属性ファイル252には、印刷指示を検知した日時、強制印刷の予定日時及びプリント状態が保持される。
【0045】
強制印刷の予定日時とは、プリントデータ251を送信することなく印刷指示から限界監視時間T3が経過した場合に、プリントデータ251の送信を実行することによって、強制的に印刷を実行させる日時のことであり、印刷指示の検知日時と限界監視時間T3とから求められる。印刷指示の検知日時及び強制印刷の予定日時は、プリントデータ生成部246によって書き込まれる。
【0046】
プリント状態とは、プリントデータ251の印刷状態のことである。送信制御部28は、属性ファイル252内のプリント状態を参照することにより、プリントデータ251の印刷状態が、プリント待ち、プリント中、プリント成功又はプリント失敗のいずれであるかを検知することができる。このプリント状態は、送信制御部28によって更新される。
【0047】
インターフェース部29は、LAN3を介してパケットデータの送受信を行うネットワーク通信部である。動作状態取得部26は、印刷指示に基づいて、インターフェース部29を介してMFP4から機器状態情報を取得し、送信制御部28へ出力する。計時部27は、現在の日時を示す時刻情報を生成し、送信制御部28へ出力する。
【0048】
送信制御部28は、動作状態取得部26により取得されたMFP4の動作状態に基づいて、印刷ジョブフォルダ25内のプリントデータ251をMFP4へ送信する。具体的には、MFP4の動作状態が印刷待機状態であるか否かに応じて、プリントデータ251の送信を直ちに実行するか、或いは、留保するかが判別される。プリントデータ251の送信を実行する場合には、インターフェース部29を介してプリントデータ251がMFP4へ送信される。送信対象のプリントデータ251は、印刷指示によって指定され、実行機器として予め登録されたMFP4を送信先として転送される。一方、プリントデータ251の送信を留保する場合には、MFP4の動作状態に応じた監視時間だけ送信を留保し、当該監視時間が経過した後に、動作状態取得部26に対して動作状態の取得が指示される。
【0049】
具体的には、MFP4の動作状態が印刷待機状態であれば、直ちにプリントデータ251がMFP4へ送信される。一方、MFP4の動作状態が省電力モードであった場合には、直ちにプリントデータ251を送信することは行わず、その時点におけるプリントデータ251の送信を留保するとともに、機器監視時間T1ごとに動作状態の取得が指示される。そして、印刷待機状態への動作状態の移行を検知した時点で、プリントデータ251がMFP4へ送信される。
【0050】
また、動作状態が印刷実行状態であった場合には、直ちにプリントデータ251を送信することは行わず、その時点におけるプリントデータ251の送信を留保するとともに、印刷終了監視時間T2ごとに動作状態の取得が指示される。そして、印刷待機状態への動作状態の移行を検知した時点でプリントデータ251がMFP4へ送信される。
【0051】
この送信制御部28では、プリントデータ251を送信することなく印刷指示から限界監視時間T3が経過した場合に、プリントデータ251の送信が実行される。つまり、MFP4が省電力モード中であるために機器監視時間T1ごとにプリントデータ251の送信を留保することが繰り返され、そして、強制印刷の予定時刻が到来した場合には、プリントデータ251の送信が実行される。この場合、MFP4は、プリントデータ251を受信することによって省電力モードから通常モードへ移行し、印刷が可能となった時点で受信データの印刷を開始する。
【0052】
<印刷設定>
図4のステップS101〜S110は、図3のPC2における印刷設定時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、印刷設定部24は、印刷ジョブを監視するための監視フォルダとして、共有フォルダのいずれかがユーザにより選択されれば、選択された共有フォルダ情報を印刷ジョブフォルダ25として登録する(ステップS101,S102)。そして、印刷設定部24は、プリンタドライバがユーザにより選択されれば、選択されたプリンタドライバ情報を登録する(ステップS103,S104)。
【0053】
次に、印刷設定部24は、機器監視時間T1がユーザにより入力されれば、当該機器監視時間情報を登録する(ステップS105)。さらに、印刷設定部24は、印刷終了監視時間T2がユーザにより入力されれば、当該印刷終了監視時間情報を登録する(ステップS106)。機器監視時間T1及び印刷終了監視時間T2は、例えば、秒単位で数字を入力することにより指定される。このとき、印刷設定部24は、ユーザにより入力された印刷終了監視時間T2が機器監視時間T1よりも小さければ、適切な設定であると判断して印刷終了監視時間情報を登録するのに対し、印刷終了監視時間T2が機器監視時間T1以上であれば、表示部30に機器監視情報の設定エラーを表示し、この処理を終了する(ステップS107,S110)。
【0054】
次に、印刷設定部24は、強制印刷設定がユーザにより選択されれば、限界監視時間情報の設定を行う(ステップS108)。このとき、限界監視時間T3がユーザにより入力されれば、限界監視時間情報を登録し、この処理を終了する(ステップS109)。限界監視時間T3は、例えば、分単位で数字を入力することにより指定される。
【0055】
<印刷文書の登録>
図5のステップS201〜S208は、図3のPC2における印刷文書の登録時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、印刷設定部24は、ユーザによる印刷指示などによって文書データの登録要求があれば、印刷ジョブを識別するためのユニークなジョブIDを生成する(ステップS201,S202)。
【0056】
次に、印刷設定部24は、登録要求によって指定された文書データを文書ファイル記憶部22から読み出す。そして、印刷設定部24は、実行ドライバとして登録されたプリンタドライバを用いて、文書データを所定のフォーマットのデータ、例えば、PRNファイルに変換することにより、プリントデータを生成する(ステップS203)。このプリントデータは、上記ジョブIDをファイル名として印刷ジョブフォルダ25内に格納される(ステップS204)。
【0057】
次に、印刷設定部24は、印刷指示の実行時刻情報、プリント状態を書き出すことによって属性ファイル252を生成する(ステップS205)。このとき、属性ファイル252のプリント状態としては、プリント待ちが指定される。
【0058】
次に、印刷設定部24は、強制印刷設定情報が登録されていれば、限界監視時間情報を日時形式へ変換することによって強制印刷の実行予定日時を算出し、属性ファイル252に書き出す(ステップS206,S207)。実行予定日時は、印刷指示の実行時刻情報と限界監視時間T3とから求められる。そして、印刷設定部24は、作成した属性ファイル252をジョブIDをファイル名とするプリントデータ251に関連づけて印刷ジョブフォルダ25内に格納する(ステップS208)。
【0059】
<PCプリントの実行処理>
図6〜図8は、図3のPC2におけるPCプリントの実行処理時の動作の一例を示したフローチャートである。図6のステップS301〜S309には、属性ファイル252を参照してMFP4の動作状態を取得するまでの処理手順が示されている。また、S321,S322には、プリント状態がプリント成功であった場合の処理手順が示され、S331〜S335には、プリント失敗であった場合の処理手順が示されている。
【0060】
図7には、強制印刷実行時の動作が示されている。図中のS310〜S320には、MFP4が正常であった場合の処理手順が示され、S341〜S343には、異常であった場合の処理手順が示されている。図8には、通常印刷実行時の動作が示されている。図中のS351〜S361には、プリント状態がプリント待ちであって、強制印刷設定情報が登録されていないか、或いは、強制印刷の実行予定日時に達していない場合の処理手順が示されている。送信制御部28は、印刷ジョブフォルダ25内にプリントデータ251がなくなるまで上記処理手順を繰り返す。
【0061】
まず、送信制御部28は、印刷ジョブフォルダ25内に属性ファイル252があれば、そのプリント状態を参照し(ステップS301)、プリント状態がプリント失敗であった場合、表示部30にプリントエラーを表示する(ステップS302,S331)。このとき、エラー表示画面には、再プリントボタン及びキャンセルボタンが配置される。
【0062】
送信制御部28は、再プリントボタンの操作によって再プリントが指示されれば、属性ファイル252の実行時刻情報を現在日時に変更し、プリント状態をプリント待ちへ変更する(ステップS332,S333)。そして、送信制御部28は、属性ファイル252に強制印刷設定情報が登録されていれば、更新後の実行時刻情報と限界監視時間情報とを用いて強制印刷の実行予定日時を変更し、ステップS301へ移行する(ステップS334,S335)。なお、送信制御部28は、ステップS334において強制印刷設定情報が登録されていなければ、直ちにステップS301へ移行する。
【0063】
一方、ステップS303においてプリント状態がプリント成功であった場合と、ステップS332においてエラー表示画面のキャンセルボタンが操作された場合には、プリントデータ251及び対応する属性ファイル252が印刷ジョブフォルダ25から削除される(ステップS321,S322)。
【0064】
また、ステップS304においてプリント状態がプリント待ちであった場合、送信制御部28は、属性ファイル252を参照し、強制印刷設定情報が登録されていれば、現在の日時を参照し(ステップS305,S306)、強制印刷を実行すべきか否かを判断する(ステップS307)。
【0065】
このとき、送信制御部28は、強制印刷の実行予定日時と現在日時とを比較し、実行予定日時が現在日時より経過していれば、強制印刷を実行すべきと判断し、強制印刷処理を実行する。すなわち、送信制御部28は、まず、プリンタ監視タイマーをセットし、動作状態取得部26に対し動作状態の取得を指示する(ステップS308,S309)。
【0066】
ステップS305において強制印刷設定情報が登録されていないか、或いは、ステップS307において実行予定日時に達していなかった場合、送信制御部28は、ステップS351へ移行し、通常印刷処理を実行する。なお、送信制御部28は、ステップS304においてプリント状態がプリント中であれば、ステップS301へ移行する。
【0067】
次に、送信制御部28は、動作状態取得部26がMFP4から取得した機器状態情報によってMFP4の異常を検知すれば、プリンタエラーを表示部30に表示する(ステップS310,S341)。そして、送信制御部28は、機器監視時間T1が経過すれば、エラー表示を解除してステップS308へ移行する(ステップS342,S343)。
【0068】
次に、送信制御部28は、MFP4の動作状態が印刷実行状態であれば、プリントデータ251の送信を留保し、ステップS356へ移行する(ステップS311)。一方、送信制御部28は、MFP4の動作状態が印刷待機状態又は省電力モードであれば、属性ファイル252のプリント状態をプリント中へ変更し、プリントデータ251をMFP4へ送信する(ステップS312,S313)。そして、送信制御部28は、印刷終了監視タイマーをセットし、動作状態取得部26に対し動作状態の再取得を指示する(ステップS314,S315)。
【0069】
次に、送信制御部28は、動作状態取得部26により取得されたMFP4の動作状態が省電力モードであれば、プリントデータ251の印刷に失敗したと判断し、プリント状態をプリント失敗へ変更し、ステップS301へ移行する(ステップS316,S319)。
【0070】
一方、動作状態が印刷待機状態であった場合には、プリントデータ251の印刷に成功したと判断し、プリント状態をプリント成功へ変更し、ステップS301へ移行する(ステップS317,S320)。ステップS314からステップS317までの処理手順は、印刷終了監視時間T2が経過するごとに繰り返される(ステップS318)。
【0071】
ステップS305において強制印刷設定情報が登録されていないか、或いは、強制印刷の実行予定日時に達していなかった場合、送信制御部28は、プリンタ監視タイマーをセットし、動作状態取得部26に対し動作状態の取得を指示する(ステップS351,S352)。
【0072】
次に、送信制御部28は、動作状態取得部26がMFP4から取得した機器状態情報によってMFP4の異常を検知すれば、プリンタエラーを表示部30に表示する(ステップS353,S359)。そして、送信制御部28は、機器監視時間T1が経過すれば、エラー表示を解除してステップS351へ移行する(ステップS360,S361)。
【0073】
次に、送信制御部28は、MFP4の動作状態が省電力モードであれば、プリントデータ251の送信を留保し、機器監視時間T1が経過すれば、ステップS301へ移行する(ステップS354,S358)。
【0074】
一方、送信制御部28は、動作状態が印刷待機状態であった場合、直ちにプリントデータ251を送信すべくステップS312へ移行する(ステップS355)。また、送信制御部28は、動作状態が印刷実行状態であった場合、プリントデータ251の送信を留保し、印刷終了監視タイマーをセットする(ステップS356)。そして、送信制御部28は、印刷終了監視時間T2が経過すれば、ステップS301へ移行する(ステップS357)。
【0075】
本実施の形態によれば、印刷指示時にMFP4が省電力モード中であればプリントデータ251の送信が留保され、印刷待機状態に移行したことが検知されるまで機器監視時間T1ごとに動作状態の取得が繰り返される。このため、MFP4では、省電力モードに移行してから短時間でPC2からの印刷要求によって通常モードへ復帰させられることを抑制することができる。
【0076】
また、MFP4が印刷実行状態である場合には、印刷待機状態に移行したことが検知されるまで機器監視時間T1よりも短い印刷終了監視時間T2ごとに動作状態の取得が繰り返される。このため、MFP4における印刷ジョブが終了したことを速やかに検知して、プリントデータ251を送信することができる。さらに、MFP4が省電力モード中であっても、限界監視時間T3が経過することによってプリントデータ251の送信が実行されるので、限界監視時間T3が経過した時点でプリントデータ251を強制的に印刷させることができる。
【0077】
なお、本実施の形態では、機器監視時間T1ごとにプリントデータ251の送信を留保し続ける時間の上限として限界監視時間T3が設定可能である場合の例について説明したが、本発明はその様な構成に限定されるものではない。例えば、MFP4が省電力モード中であるために機器監視時間T1ごとにプリントデータ251の送信を留保することを繰り返した場合に、プリントデータ251の送信を留保し続ける期間を制限するものとして、送信留保回数を指定するような構成であっても良い。すなわち、プリントデータ251の送信を留保した回数が一定数を越えた時点でプリントデータ251をMFP4へ送信するような構成であっても良い。
【0078】
実施の形態2.
実施の形態1では、機器監視時間T1ごとにプリントデータ251の送信を留保し続けても印刷指示から限界監視時間T3が経過すればプリントデータ251の送信が実行される場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、強制印刷設定として予め指定される印刷設定時刻に達すれば、プリントデータ251の送信を実行する場合について説明する。
【0079】
図9は、本発明の実施の形態2によるプリントデータ送信装置の構成例を示したブロック図である。このPC2は、図3のPC2と比較すれば、印刷設定部24が印刷設定時刻指定部247を備えている点で異なる。印刷設定時刻指定部247は、MFP4の動作状態を監視するための機器監視情報として、印刷設定時刻T4を指定する。
【0080】
印刷設定時刻T4は、MFP4が省電力モード中であるために機器監視時間T1ごとにプリントデータ251の送信を留保することを繰り返した場合に、プリントデータ251の送信を留保し続ける期間を制限するパラメータである。この印刷設定時刻T4は、複数指定することができ、毎日、決まった時刻にプリントデータ251の送信を強制的に実行させ、或いは、日及び時刻を指定してプリントデータ251の送信を強制的に実行させることができる。この様な印刷設定時刻T4は、印刷設定時刻情報248として機器監視情報記憶部242内に保持される。
【0081】
印刷ジョブフォルダ25内の属性ファイル252には、強制印刷の予定日時を示す情報として、印刷設定時刻情報248が保持される。送信制御部28は、プリントデータ251を送信することなく印刷設定時刻T4に達した場合に、プリントデータ251の送信を実行することによって、強制的に印刷を実行させる。
【0082】
図10のステップS401〜S411は、図9のPC2における印刷設定時の動作の一例を示したフローチャートである。図中のステップS401〜S408及びS411は、図4のステップS101〜S108及びS110と同様である。
【0083】
ステップS408において、印刷設定部24は、強制印刷設定がユーザにより選択されれば、印刷設定時刻情報の設定を行う。このとき、印刷設定時刻T4がユーザにより入力されれば、印刷設定時刻情報を登録する(ステップS409)。そして、他にも印刷設定時刻情報を登録する場合には、ステップS409の処理手順が繰り返される(ステップS410)。
【0084】
本実施の形態によれば、MFP4が省電力モード中であっても、印刷設定時刻T4に達することによってプリントデータ251の送信が実行されるので、印刷設定時刻T4に達した時点で速やかにプリントデータ251を印刷させることができる。
【0085】
なお、実施の形態1及び2では、MFP4が、通常モードと、プリンタコントローラ42、プリンタエンジン43及び画像形成部44に対する電力供給を遮断することによって、通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードとを有する場合の例について説明したが、本発明は省電力モードをこれに限定するものではない。例えば、MFP4が、ネットワーク通信部41、プリンタコントローラ42、プリンタエンジン43、画像形成部44などの複数のモジュールからなる場合に、省電力モード(省エネモード)が、これらのモジュールに対する電源供給状態が互いに異なる複数の省電力状態からなるような構成であっても良い。具体的に説明すれば、第1の省電力状態では、第2の省電力状態よりも多くのモジュールに電源供給される。
【符号の説明】
【0086】
1 ネットワーク印刷システム
2 PC
21 操作部
22 文書ファイル記憶部
23 プリンタドライバ記憶部
24 印刷設定部
241 監視時間指定部
242 機器監視情報記憶部
243 プリントデータ生成部
247 印刷設定時刻指定部
25 印刷ジョブフォルダ
26 動作状態取得部
27 計時部
28 送信制御部
29 インターフェース部
30 表示部
3 LAN
4 MFP
41 ネットワーク通信部
411 インターフェース部
412 ネットワーク監視部
413 動作状態記憶部
414 印刷設定記憶部
415 計時部
42 プリンタコントローラ
421 制御部
422 バッファ
423 プリントデータ記憶部
424 画像処理部
43 プリンタエンジン
44 画像形成部
441 現像部
442 転写部
443 定着部
444 駆動部
45 動作モード切替SW

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷実行状態及び印刷可能状態からなる通常モード、並びに、上記通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードを有する印刷装置に対し、通信ネットワークを介して印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信するプリントデータ送信装置において実行されるコンピュータプログラムであって、
印刷対象の文書データを指定した印刷指示に基づいて、上記プリントデータを生成するプリントデータ生成ステップと、
上記印刷指示に基づいて、上記印刷装置から動作状態を取得する状態取得ステップと、
取得された上記動作状態に基づいて、上記プリントデータを上記印刷装置へ送信する送信制御ステップとを備え、
上記送信制御ステップは、上記動作状態が上記省電力モードであった場合に、その時点における上記プリントデータの送信を留保し、上記印刷可能状態への動作状態の移行を検知した時点で上記プリントデータを上記印刷装置へ送信し、
上記状態取得ステップは、上記印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間ごとに上記動作状態の取得を実行することを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項2】
上記印刷可能状態が、記録紙に転写された未定着トナー像を加熱定着させる定着部の温度を定着温度よりも低い待機温度に維持する印刷待機状態であり、
上記送信制御ステップは、上記動作状態が上記印刷待機状態であった場合に、上記プリントデータを上記印刷装置へ直ちに送信することを特徴とする請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
上記送信制御ステップは、上記プリントデータの送信を留保した後に取得された動作状態が上記印刷実行状態であった場合に、上記プリントデータの送信留保を継続することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
上記送信制御ステップは、上記動作状態が上記印刷実行状態であった場合に、その時点における上記プリントデータの送信を留保し、
上記状態取得ステップは、上記印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間よりも短い第2監視時間ごとに上記動作状態の取得を実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
上記送信制御ステップは、上記プリントデータを送信することなく上記印刷指示から第1監視時間よりも長い限界監視時間が経過した場合に、上記プリントデータを上記印刷装置へ送信することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
印刷実行状態及び印刷可能状態からなる通常モード、並びに、上記通常モードよりも消費電力を低減させた省電力モードを有する印刷装置に対し、通信ネットワークを介して印刷対象の文書データを含むプリントデータを送信するプリントデータ送信装置において、
印刷対象の文書データを指定した印刷指示に基づいて、上記プリントデータを生成するプリントデータ生成部と、
上記印刷指示に基づいて、上記印刷装置から動作状態を取得する状態取得部と、
取得された上記動作状態に基づいて、上記プリントデータを上記印刷装置へ送信する送信制御部とを備え、
上記送信制御部は、上記動作状態が上記省電力モードであった場合に、その時点における上記プリントデータの送信を留保し、上記印刷可能状態への動作状態の移行を検知した時点で上記プリントデータを上記印刷装置へ送信し、
上記状態取得部は、上記印刷可能状態への動作状態の移行が検知されるまで、第1監視時間ごとに上記動作状態の取得を実行することを特徴とするプリントデータ送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−159941(P2012−159941A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18018(P2011−18018)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】