説明

コンピュータ実装型の計画作成およびマスカスタマイズ骨構造の提供

コンピュータ実装型の方法であって、前記方法は、患者の医療処置の仮想計画作成を含み、前記医療処置は、前記患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含み、さらに、前記方法は、前記仮想計画作成に基づいて製作データを生成することを含み、前記製作データは前記骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、前記医用製品は前記医療処置で使用するように構成され、かつ前記医療処置を容易化するために前記患者に配置するように構成され、医療処置の前記仮想計画作成は、前記身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供し、さらに、前記方法は、前記位置データに応じて前記身体部分の境界面の修正の仮想計画を作成することを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に医療処置の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、骨格調整を伴う医療処置のコンピュータ実装型の仮想計画作成に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第07045000号には、生体適合性インプラント、プロテーゼ、および医療用途で使用するためのインターベンションツールをカスタムフィットするための方法、技術、材料、および装置、ならびにそれらの使用が開示されている。国際公開第07045000号の開示に従って製作される装置は、適切な金属合金組成物を有し各使途に対し機能設計の仮想検証を受けた全てのプロテーゼまたはインターベンション装置がユーザのために個人化されるように、コンピュータ生成モデルに基づいて、追加の製造技術を用いて作成される。
【0003】
しかし、国際公開第07045000号の開示は、既存の骨格状況に対しプロテーゼの追加調整のみを可能にする。それは、実現することのできる医療処置に関する深刻な制限である。
【0004】
仮骨延長法は、骨格変形の再建のために使用される外科的プロセスである。骨は(皮質切開術により)外科的に2つのセグメントに分割される。延長技術は主に整形外科の分野では使用されてきたが、該プロセスは顔面骨格再建でも同様に効果的であることを示してきた。
【0005】
しかし、そのような外科的延長プロセスの計画作成はこれまで試行錯誤の原則に基づいて行われるか、延長プロセスを実施する外科医の経験に非常に大きく依存している。したがって最終結果は、最初に計画された結果とはかなり異なる場合がある。
【0006】
ゆえに、患者の骨構造調整を伴う医療処置の仮想計画作成を含む、改善された方法、システム、および/またはコンピュータプログラムは、有益であろう。特に、柔軟性、費用対効果、信頼性、患者安全性、および/または患者満足度の向上を可能にすることは有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の実施形態は、添付する特許請求の範囲に記載の方法、システム、コンピュータプログラム、医療用ワークステーション、およびグラフィカル・ユーザ・インタフェースを単独でまたは任意の組合せにより提供することによって、上記のような1つ以上の技術上の欠点、不利点、または問題点を好ましくは軽減、緩和、または解消しようとするものである。
【0008】
本発明の第1態様では、コンピュータ実装型の方法を提供する。該方法は、患者の医療処置の仮想計画作成を含み、該医療処置は、患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含む。さらに、該方法は、一部の実施形態では、仮想計画作成に基づいて製作データを生成することを含み、製作データは骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、医用製品は医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。医療処置の仮想計画作成は、身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供し、位置データに応じて身体部分の境界面の修正の仮想計画を作成することを含む。
【0009】
本発明の第2態様では、システムを提供する。該システムは患者の医療処置のコンピュータ実装型の仮想計画作成のために考案され、医療処置は患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含む。一部の実施形態では、システムは、仮想計画作成に基づいて製作データを生成するためのユニットを備え、製作データは骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、医用製品は医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。医療処置の仮想計画作成のためのシステムは、身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供するためのユニットを備える。さらにシステムは、位置データに応じて身体部分の境界面の修正の仮想計画を作成するためのユニットを備える。
【0010】
本発明のさらなる態様では、コンピュータによって処理するためのコンピュータプログラムを提供する。コンピュータプログラムは、患者の医療処置の仮想計画作成のための第1コードセグメントを含み、医療処置は患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含む。一部の実施形態では、仮想計画作成に基づいて製作データを生成するための第2コードセグメントが設けられる。製作データは骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、医用製品は医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供するための第3コードセグメント、および位置データに応じて身体部分の境界面の修正の仮想計画を作成するための第4コードセグメントが設けられる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態が従属クレームで定義されており、そこでは、本発明の第2およびそれ以降の態様に関する特徴は、必要な変更が加えられて、第1の態様に関する特徴と同様である。
【0012】
本発明の一部の実施形態は、患者の審美的に健全な身体部分の形成をもたらす。
【0013】
本発明の一部の実施形態は、解剖学的に以前に存在した構造の再形成をもたらす。
【0014】
本発明の一部の実施形態は、患者の解剖学的により正確な身体部分の形成をもたらす。
【0015】
本明細書で使用する場合の用語「含む/含んでいる」は、記載した特徴、整数、ステップ、またはコンポーネントの存在を明記するものと解釈されるものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴、整数、ステップ、コンポーネント、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことを強調しておきたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施形態が可能なこれらのおよび他の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照する本発明の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0017】
【図1a−b】図1aは、具体的には不充分な骨構造を持つ身体部分の医療インプラントによる所望の審美的形成および充分な構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータによる方法の初期状態の略図である。図1bは、図1aの仮想計画による所望の最終結果を示す略図である。
【図1c−d】図1cは、仮想計画された修復の最終結果を示す略図である。図1dは、仮想計画による修復の経過を示す略図である。
【図1e−f】図1eは、仮想計画による修復の経過を示す略図である。図1fは、仮想計画による修復の経過を示す略図である。
【図1g】図1gは、修復の最終結果を示す略図である。
【0018】
【図2a】図2aは、具体的には不充分な骨構造を持つ身体部分の、人工骨構造を形成する膜処理による所望の審美的形成および充分な構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータに基づく方法の初期状態の略図である。
【図2b−c】図2bは、図2aの仮想計画による骨成長の仮想シミュレーションを示す略図である。図2cは、仮想計画による骨固定を示す略図である。
【図2d−e】図2dは、仮想計画により再形成される骨の仮想シミュレーションを示す略図である。図2eは、仮想計画の修復経過を示す略図である。
【図2f−g】図2fは、仮想計画の最終結果を示す略図である。図2gは、仮想計画に使用される仮想計画された医用製品の略図である。
【図2h−i】図2hは、仮想計画により製作される実際の外科用テンプレートを示す略図である。図2iは、修復の最終結果を示す略図である。
【0019】
【図3a】図3aは、具体的には望ましくない過剰の骨構造を持つ身体部分の骨組織の除去による所望の審美的形成および適切な骨構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータに基づく方法の初期状態の略図である。
【図3b】図3bは、図3aの仮想計画の最終結果を示す略図である。
【図3c】図3cは、仮想計画の所望の最終結果を示す略図である。
【図3d】図3dは、仮想計画の途中経過を示す略図である。
【図3e】図3eは、実際の医療処置の経過を示す略図である。
【図3f】図3fは、実際の医療処置の経過を示す略図である。
【図3g】図3gは、実際の医療処置の最終結果を示す略図である。
【0020】
【図4a−b】図4aは、具体的には不充分な骨構造を持つ身体部分の延長処置による所望の審美的形成および充分な構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータに基づく方法の初期状態の略図である。図4bは、仮想計画による所望のインプラント位置の決定を示す略図である。
【図4c−d】図4cは、仮想計画による最終インプラント位置の決定を示す略図である。図4dは、外科用テンプレートの仮想計画を示す略図である。
【図4e−f】図4eは、仮想計画の処置経過のシミュレーションを示す略図である。図4fは、仮想計画の処置経過のシミュレーションを示す略図である。
【図4g−h】図4gは、実際の歯科修復処置の経過を示す略図である。図4hは、実際の歯科修復処置の経過を示す略図である。
【図4i】図4iは、最終結果を示す略図である。
【0021】
【図5】図5は、医療処置を仮想的に計画する方法の実施形態のフローチャートである。
【0022】
【図6】図6は、医療処置を仮想的に計画するためのシステムの略図である。
【0023】
【図7】図7は、コンピュータ可読媒体に格納される、医療処置を仮想的に計画するためのコンピュータプログラムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施態様は添付の図面を参照しながら説明されるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されることができ、本明細書中に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が充分かつ完全であり、当業者に本発明の範囲を充分に伝達できるように提供される。添付の図面において例示される実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を制限することを意図していない。図面において、類似の数字は類似の要素を示す。
【0025】
実施形態では、医療処置、例えば歯科修復処置を仮想的に計画するためのツールを提供する。図5は、医療処置を仮想的に計画する方法5の実施形態のフローチャートである。
【0026】
医療処置の最終アウトカムまたは少なくとも計画された最終アウトカムが、例えば患者入力データに基づく仮想計画作成方法によって、ステップ500に提供される。この初期点すなわち最終アウトカムから、患者の骨格状況がステップ510で解析される。事前に計画された最終アウトカムを達成するために、所望の骨構造がステップ520で仮想的に計画される。骨構造を提供するための種々のツールは、骨成長および骨内成長を制御し、骨プロテーゼを提供し、骨部分を除去する等のような、骨構造の仮想計画作成のために使用することができる。データは骨構造または医用製品の後での製作のために仮想計画作成から提供され、医用製品は医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。
【0027】
実施形態では、仮想計画作成は、患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含む患者の医療処置を仮想的に計画することを含む、コンピュータ実装型の方法として提供される。仮想計画作成に基づくデータが生成され、データは骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成される。実際の医療処置はこうして、仮想計画作成に基づいて実施することができる。
【0028】
以下の説明は、口腔または顎顔面骨構造の仮想計画作成および後での形成に適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てる。しかし、本発明はこの用途に限定されず、例えば目、耳、鼻、顎等のような頭蓋の構造、を含め、多くの他の解剖的構造に適用することができることは理解されるであろう。医療処置は顎顔面外科手術、顎矯正手術、および/または美容外科手術のような歯科手術を含み得る。
【0029】
出発点
実施形態では、所望の形、形状、外観、容貌等の身体部分を提供するための医療処置の最終アウトカムのコンピュータ実装型の仮想計画作成を提供する。例えば顎矯正手術では、最終アウトカムは、適切な咬合、すなわち上顎および下顎の歯および臼歯が相互に適切に噛み合うこと、および審美的に快適な顔である。
【0030】
医療処置の最終アウトカムのこの仮想計画作成は、
−例えばブリッジ構造を支持する歯科インプラントの位置決めを含む歯科修復物の仮想計画作成と、
−医療処置の容認できる最終アウトカムを定義するために、咬合線、咬合指数、唇位置、および/または良好な審美性のような処置パラメータを考慮することと
を含む。
【0031】
この仮想計画による最終結果から出発して、患者の身体部分における骨構造が、最終結果に関連して解析される。この解析の結果、医療処置により最終結果を達成することができるようにするために、患者の身体部分における既存の解剖学的骨格構造を変えることが必要になり得る。
【0032】
骨構造は、例えばインプラントを所定の位置に維持し、ブリッジ構造または他の歯科修復物を保持するための構造を提供するために、追加材料を付加しなければならない可能性がある。この場合、身体部分における解剖的構造に、骨プロテーゼまたは骨インプラントのような人工的要素を設けることができる。代替的に、または追加的に、医療処置の計画された最終結果の達成を容易化する所望の骨構造をもたらすために、身体部分に骨代用材料を提供することができる。代替的に、または追加的に、同一患者の自家移植骨代替物を仮想計画することができる。例えば仮想計画作成から提供されるデータは、骨を採取するための適切な切削テンプレートを製作するために使用することができる。代替的に、または追加的に、骨成長は、例えばヒドロキシアパタイトのような適切な骨成長物質を使用することによって所望の骨構造がもたらされるように、適切な方法でシミュレートすることができる。代替的に、または追加的に、適切な骨形成医療処置を、延長技術のような医療処置の仮想計画作成に追加することができる。
【0033】
代替的に、または追加的に、医療処置の所望の最終結果を達成することができるようにするために、身体部分における骨の一部分を除去する必要があり得る。
【0034】
切削テンプレートは、例えば良好な審美的結果をもたらすために、所望の最終結果の達成を妨げる骨構造の少なくとも一部分を除去するために使用することができる。これは、所望の審美的最終結果を達成するために、プロテーゼの位置が既存の骨組織と衝突する場合に当てはまり得る。例えば良好な唇位置、咬合、咬合指数、および/または笑顔等を達成するために、後で歯科修復物を支持する歯科インプラントの挿入に適した骨領域にアクセスするために、例えば顎組織の一部分を除去する必要があり得る。追加的に、または代替的に、骨組織内のインプラントの機械的強度を高めるために、骨構造から骨を除去することによって、骨構造を適応させることができる。
【0035】
一部の実施形態では、骨構造のどこを切削するか外科医に指針を与えるための切削テンプレートを提供する。切削テンプレートは例えば、延長処置に適した方法で骨を採取するためまたは骨を切削するために使用することができる。代替的に、または追加的に、切削テンプレートは、所望の骨構造をもたらすために、所望の最終結果を達成するために医療処置が実施される身体部分から骨を除去するために使用することができる。
【0036】
一部の実施形態では、医療処置の所望の最終結果は、計画前に、または処置自体を開始する前に、達成される可能性がある。例えば、身体部分における骨肉腫を患っている患者では、少なくとも腫瘍に冒された骨を外科的に除去しなければならない。外科的骨除去処置の前に、審美的外観および骨構造を登録することができる。この入力に基づく患者データは、その後の医学的再形成処置の最終結果として使用することができる。医学的適応症によって必要に応じて骨部分を除去した後、この解剖学的状況の患者データを、以下でさらに説明する通り、適切な手段によって提供することができる。
【0037】
このようにして、単一の医療処置セッションは、例えば切削テンプレートを用いて骨組織物質を除去することによって骨構造を用意すること、および医療処置の所望の最終結果が得られるように適応された骨構造を有する身体部分に対し、事前計画されかつ事前製造されたプロテーゼを取り付けることを含むことができる。
【0038】
医療処置のそのような仮想計画作成およびその後のステップを説明する幾つかの具体的な実施形態を、以下でさらに提示する。
【0039】
インデータ
医療処置のコンピュータに基づく仮想計画作成のためのインデータは、デジタル化患者データを含むことができ、それには次のようなものが含まれる。
*3Dデータ−例えばタッチ・プローブ・スキャナまたは光学スキャナを用いて、患者の身体部分の印象または鋳造模型をスキャンすることから得られる。
*CT、MR、X線、超音波のような撮像モダリティからの患者データ。
*2Dおよび3D写真。
*3D骨格模型および/または皮膚模型。
【0040】
デジタル化患者インデータから、診断および仮想治療計画作成を実行することができる。この患者治療計画作成は、医療処置で使用される製品の設計および製品カスタマイズを可能にする。このようにして、インプラント、プロテーゼ、骨代用材料を鋳造するための膜、外科用テンプレート、切削テンプレート、穿孔およびインプラント誘導外科手術用の外科用テンプレート、延長処置用の誘導テンプレート等のような医用製品の製作のためのデータが提供される。製品は暫間ブリッジ、ブリッジ用フレームワーク、最終ブリッジ、コーピング、アバットメント、外科用テンプレート、骨プロテーゼ、3D骨解剖学的インプラント、膜等を含むことができる。
【0041】
このデータに基づいて、製品を製作し、医療処置の仮想計画に基づいて実際の医療処置を実行するために使用することができる。
【0042】
計画作成ツール
医療処置の所望の最終結果を仮想的に計画するために、例えば仮想歯のライブラリ、顔のような身体部分の画像、内容全体を参照によって本書に援用する本願と同一出願人の国際公開第95/22299号に記載されているような仮想咬合器、穿孔およびインプラント誘導外科手術用の外科用テンプレートまたは切削テンプレートのためのデータを提供するためのインプラント位置のシミュレーション等のような、幾つかのツールを使用することができる。そのようなツールを用いて、医療処置の所望の最終結果を仮想的に決定または検証することができる。
【0043】
NobelGuide(登録商標)のコンセプトによってもたらされたデュアルスキャン技術に従って、幾つかのCTスキャンの照合を行うことができる。それは、例えばラジオグラフィックガイドと患者データを照合するために使用される。
【0044】
様々な入力源からのデータを照合するための別の照合技術は例えば、2007年1月17日に出願した本願と同一出願人の特許出願PCT/EP2007/050426号に記載されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。
【0045】
要約すると、患者の現在の解剖学的状況は例えば、CT、MR、またはスキャンされる患者の身体部分の印象のような例えば撮像モダリティからの患者入力データに基づいて知られる。医療処置の最終結果は仮想的に計画され、例えば医療用ワークステーションのディスプレイ上に提示することができる。次いで、最終結果を達成するために骨構造の適応が仮想計画によって決定される。仮想計画は、医療処置に使用される医用製品を製作するために使用されるデータを提供することができる。このようにして、医療処置の仮想計画に基づいて、実際の医療処置を実行することができる。実際の医療処置中に、仮想計画のデータおよび/または入力データに基づいて製作される医用製品を使用することができる。
【0046】
実施形態
図1a〜図1gは、具体的には不充分な骨構造を持つ身体部分の医療インプラントによる所望の審美的形成および充分な構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータによる方法の略図である。
【0047】
図1aに、患者の身体領域1の解剖学的状況の略図100を提示する。さらに詳しくは、患者の口腔の一部分の略図が示されている。この図の基になっている患者データは例えば、「インデータ」の節で上述した通り、適切なユニットによって取得することができる。図示する口腔の部分は、第1歯110と第2歯111との間に歯空隙140を含む。第3歯112が第2歯111の隣に示される。歯は軟組織120によって覆われた顎骨組織130に根付いている。無歯の歯空隙140の骨組織130は退縮し、歯空隙140の領域に骨稜の後退を残す。歯科インプラントが歯空隙140に設置された場合、歯科修復物の審美的または事実上機能的な形成は不可能であろう。良好な咬合を形成するためには、歯科修復物の頂部が基本的に、まだ残存している歯の頂部と同じ高さでなければならない。しかし、この場合、各インプラントの一部分およびこれらの間の空隙が見えてしまい、それは審美的に望ましくなく、かつ/またはインプラントの安定性を不充分にする。他方、より短い歯科インプラントを使用することによって、自然に見える均整の取れた適正な歯科修復歯で所望の咬合を達成することはできない。
【0048】
図1bに、歯科修復処置の仮想計画の所望の最終結果を示すが、依然として骨組織130が歯空隙140で陥凹している。より詳しくは、良好な審美的結果および咬合線を達成するために、2つのライブラリ歯113、114が仮想的に配置される。歯空隙140の領域に、軟組織120および骨組織130の所望の延長も図示されている。見て分かる通り、歯科修復処置の所望の最終結果を達成するために、歯空隙140の骨稜を適切な高さまで持ち上げるため、間腔143は適切な方法で充填されている。
【0049】
コンピュータ実装型の方法を用いて、所望の最終結果を達成するために医療処置の仮想計画が使用される。医療処置は、歯空隙140の身体部分に患者構成骨構造を提供する。この仮想計画に基づいて、骨構造または医用製品の製作で後で使用するように構成された製作データが生成される。医用製品は医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。医療処置の仮想計画は、身体部分、ここでは仮想ライブラリ歯113、114の上面または咬合面に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供することを含む。さらに、方法は、位置データに応じて身体部分の境界面の修正を仮想的に計画することを含む。ここでは、歯空隙140における顎骨組織130の境界面は、陥凹位置から顎骨組織130の残存する骨稜と一致する高さ位置まで移動される。この方法について次にさらに詳述する。
【0050】
図1cに、骨組織130および間腔143内に挿入される螺刻部分を含む2つの歯科インプラント150、151のみならず、軟組織120の矯正部分156をも含む、歯科修復処置の仮想計画された最終結果を示す。境界面は、図1cに示すように持ち上げることが望ましい。2つの歯科インプラント150、151は、適切なアバットメント152、153を介してそれらの頂端部に取り付けられる歯冠154、154を有する。仮想ライブラリ歯113、114から歯冠154、154を有する仮想計画された歯科インプラント150、151への仮想移行は、適切なアルゴリズムを用いて自動的に、または示唆された移行の手動的補正を含めて半自動的に、または標準サイズの範囲から適切な歯科インプラントを選択し、かつライブラリ歯の頂部の位置に従って歯冠を計画することによって完全に手動的に、行うことができる。この仮想的に計画されたリハビリテーションは、歯科修復処置の所望の最終結果に対する骨構造の適応を仮想的に計画するための適切なプラグインまたはソフトウェアルーチンを有する、NobelBiocareのProcera(登録商標)のような、歯科用計画作成ソフトウェアで行うことができる。
【0051】
境界面の持上げは、この実施形態では、図1dに示すように凹部141の骨充填をもたらすことによって達成される。間腔143を充填し、かつこうして境界面を修正するための構造の形成は、多くの様々な方法で行うことができる。具体的には骨置換インプラントを提供し、あるいは膜技術を用いて骨代替物を形成する、2つの実施例を以下で、図1d〜図1gならびに図2a〜図2iを参照しながら説明する。図3a〜図3gでは、骨組織の除去によって境界面の修正が達成される。一部の実施形態では、医療処置の所望の最終アウトカムを達成するために、様々な境界修正を組み合わせて使用することができる。実施形態の組合せを使用することもできる。
【0052】
図1d〜1eで、骨インプラント160が仮想的に計画され、例えば審美製、安定性、および強度に関する要件を満たす歯科修復処置の最終結果が示される。仮想計画から、骨インプラント160を製作するためのデータを提供することができる。骨インプラントは種々の材料から様々な技術で、例えば以下で説明するソリッド・フリー・フォーム・ファブリケーションで作成することができる。骨インプラント160は、適切な材料157ならびにヒドロキシアパタイト(HA)またはTiunite(登録商標)またはZiunite(登録商標)のような補強材および/または骨形成促進剤もしくは構造158を含む。骨インプラント160は、歯科インプラントを受容するための適切なブシュ170、171を含む。
【0053】
図1e〜図1fは、医療処置中に骨インプラント160がどのようにして歯空隙140に設置されるかを示す。骨インプラントは、例えば歯空隙140の位置で骨インプラント160を骨組織130と一体化する骨セメントまたは骨伝導性表面によって、骨組織130に固定することができる。この場合、歯科インプラント用の穴を穿孔するためのドリルの操作制御のためのガイドスリーブを持つ穿孔およびインプラント誘導外科手術用の外科用テンプレートは必要ない可能性がある。それは、歯科修復処置を実行する口腔外科医によってステップレスを実行しなければならないことを意味する。骨インプラント160が第2機能を果たす。すなわち、ドリル用の所望の方向のガイドを提供し、かつドリルのための止め子をもたらし、こうして骨組織130および骨インプラント160のよく定義された方向および深さに歯科インプラントを受容するための穴を設けることを可能にする。しかし、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための別個の外科用テンプレートが、歯科インプラントを位置決めするために使用され得る。
【0054】
代替的に、または追加的に、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレートは、骨組織130および/または骨インプラント160に穴を開けるために使用することができ、歯科インプラント180、181は任意選択的に、図1fに示すように骨インプラントに当接するショルダを有するヘッドのような適切な設計によって、骨インプラントを所定の位置に維持することができる。
【0055】
骨インプラント160は、歯科プロテーゼ構成部品をそこに取り付けるための一体的接続界面を含み得る。接続界面は例えば、本願の出願人の市販製品NobelReplace(商標)またはBranemark(登録商標)システムに含まれる接続界面のような、六角形突起、内部に少なくとも部分的に六角形の形状を持つ凹部、またはマルチローブを含むことができる。接続界面は、プロテーゼ構成部品の少なくとも回転ロックをもたらす。
【0056】
図1gに、適切なアバットメント195、196を介して、かつ適切な接着剤192、193またはプレス嵌めのような他の固定手段を用いて、歯冠190、191が歯科インプラントに取り付けられた、歯科修復物の最終結果を示す。
【0057】
図2a〜図2iは、具体的には不充分な骨構造を持つ身体部分の、人工骨構造を形成する膜処理による所望の審美的形成および充分な構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータに基づく方法の略図である。
【0058】
図2aには、図1cに示した間腔143における骨の再建のための膜210の仮想設計を示す。膜210は、中で骨代替物が形成される中空空間を形成する、鋳物形のマトリックスとすることができる。膜210は例えば、特定の解剖学的患者状況に合わせて構成された形状を有する金属の薄片とすることができる。
【0059】
図2bに、例えば骨片220およびBMP221または他の適切な骨充填材を用いた骨成長の仮想シミュレーションを示す。
【0060】
図2cで、所望の骨部分230を形成または再形成するために、膜210の固定が仮想的に計画される。成長した骨部分230は、例えば成長した骨組織230および以前から存在していた骨組織130に機械的に強固な座を持つ1本以上の歯科インプラント、歯科修復処置の審美的に有利な最終結果等を達成することにより、歯科修復物の有利な形成を促進する。
【0061】
仮想計画に基づく製作データは、膜210を製作するために提供され得る。医療処置の仮想計画は、顎骨組織130に対する咬合線の位置のための位置データを提供することを含む。こうして、歯空隙140における顎骨組織境界面の修正が、咬合線の位置データに応じて達成される。
【0062】
図2dに、再形成された骨部分230の仮想シミュレーションを示す。代替的に、または追加的に、図1a〜図1cおよび図2a〜図2cに示す仮想計画に基づいて、実際の歯科修復処置を実行することができる。この場合、仮想的に計画された通り、膜210を患者構成マスカスタマイズ医用製品として製作し、患者に固定することができる。骨組織230の骨成長が完了した後、この場合、成長した骨組織230を含む身体部分に対し、患者データを登録することができる。上述の通り、所望の最終結果を定義するために仮想ライブラリ歯113および114が使用されている図2eに示すように、患者データは、仮想計画を微調整し、かつ実際の患者状況に適応させるために使用することができる。
【0063】
図1cと同様に、仮想計画作成の最終結果を図2fに示す。ここには、成長した骨組織230および以前から存在する骨組織130に挿入される螺刻部分を含む2つの歯科インプラント150、151による、歯科修復処置の仮想計画された最終結果が示されている。2つの歯科インプラント150、151は、適切なアバットメント152、153を介してそれらの頂端部に取り付けられた歯冠154、155を有する。仮想ライブラリ歯113、114から歯冠154、154を有する仮想計画された歯科インプラント150、151への仮想移行は、適切なアルゴリズムを用いて自動的に、または提案された移行の手動補正を含めて半自動的に、または標準サイズの範囲から適切な歯科インプラントを選択し、かつライブラリ歯の頂部の位置に従って歯冠を計画することによって完全に自動的に、行うことができる。この仮想計画リハビリテーションは、歯科修復処置の所望の最終結果への骨構造の適応を仮想的に計画するための適切なプラグインまたはソフトウェアルーチンを有する、Nobel BiocareのProcera(登録商標)のような歯科用計画ソフトウェアで行うことができる。
【0064】
図2gに、歯科インプラント150、151を受容するための穴の穿孔を用意するためのガイドスリーブ241、242を持つ、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート240の形の仮想計画された医用製品を示す。仮想計画の後で実際の歯科修復処置で使用される、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート250を製作するためのデータは、仮想計画からの出力として提供される。穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート240は、歯空隙140に隣接する歯110、111に適切に固定することができる。代替的に、または追加的に、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレートは、アンカピンを用いて顎骨組織に固定することができる。穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート240は、所望の方向に少なくとも1つのドリルガイドを提供し、かつドリルのための止め子を提供し、こうして骨組織130および骨インプラント160のよく定義された方向および深さに歯科インプラントを受容するための穴を設けることを可能にする。同様にして、歯科インプラントは、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート240のガイドスリーブによって案内され、骨組織230、130内に螺着することができる。仮想計画に基づく製作データは、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート240を製作するために提供される。インプラントを位置決めするための外科用テンプレートも使用することができる。図1e〜図1fおよび下述する図4bの状況で使用することができる。
【0065】
図2hに、穴を穿孔し歯科インプラントを穴に固定する前の穿孔およびインプラント誘導外科手術のための実際の外科用テンプレート250を示す。
【0066】
図2iに、歯冠190、191が適切なアバットメント195、196を介して、かつ適切な接着剤192、193またはプレス嵌めもしくはねじのような他の固定手段を用いて、歯科インプラントに取り付けられた、歯科修復物の最終結果を示す。
【0067】
図3a〜図3dは、具体的には望ましくない過剰の骨構造を持つ身体部分の骨組織の除去による所望の審美的形成および適切な骨構造の形成のための医療処置を仮想的に計画するコンピュータに基づく方法の略図である。
【0068】
図3aに、顎骨組織130および軟組織120を含む患者の顎の稜の輪郭を示す。輪郭の特定のトポグラフィは、様々な歴史的展開、例えば外科的処置、動揺歯、抜歯等に由来する。
【0069】
図3bに、歯ライブラリから選択され、顎の歯列弓に沿って配置された複数の仮想歯を含む、医療処置、ここでは歯科修復処置の最終アウトカムを仮想的に計画する段階を示す。本実施形態および本書に記載する他の実施形態におけるような、歯科修復処置の最終アウトカムを仮想的に計画するための歯の位置決めは例えば、本願と同一出願人による2007年5月25日出願のSE0701296−6に記載されるような、解剖学的に固定された頭蓋標識に基づくなど、種々の方法に従って行うことができ、該出願の内容全体を参照によって本書に援用する。
【0070】
図3bで、骨構造の輪郭が所望の最終アウトカムと衝突することがすでに分かる。骨のトポグラフィの高さの差は、例えば審美的理由および/または良好な咬合、咬合指数等のような歯科的状況要件に基づいて、所望の最終アウトカムを達成することを不可能にする。
【0071】
図3cに、顎骨組織に固定され、歯冠320を担持する2つの歯科インプラント321、322を含む、仮想的に計画された歯科修復物の所望の最終アウトカムを示す。
【0072】
この最終アウトカムを達成するためには、図3dに示すように、骨組織130の一部分330を除去しなければならない。この実施例では、顎骨組織の稜は図3dに破線で示すように平坦化される。骨組織除去のこの仮想計画に基づいて、切削テンプレートを製作するためのデータを提供することができる。仮想計画をここで中断することができ、実際の医療処置を実行することができ、骨が除去された状況に対して新しい患者データを入力することができ、そこで最終アウトカムを微調整することができる。代替的に、医療処置の仮想計画を直接続行することができ、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート340を製作するためのデータが提供される。
【0073】
穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート340を製作するために、仮想計画作成に基づく製作データを提供することができる。医療処置の仮想計画は、顎骨組織130に対する歯冠320の咬合線の位置のための位置データを提供することを含む。こうして、骨組織部分330における顎骨組織境界面の修正が、歯冠320の咬合線の位置データに応じてもたらされる。
【0074】
図3e〜図3gは、骨のトポグラフィを所望の高さに調整した後で実行される実際の医療処置を示す。穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート340は、骨組織130に穴を穿孔し、歯科インプラント350、352を案内し、かつ該歯科インプラントを骨組織130に固定するために使用される。歯冠365は、中間アバットメント360、362および距離361、362および/または適切な接着剤を用いて、歯科インプラント350、352に固定される。図3gに示す実際の医療処置はしたがって仮想的に計画された最終アウトカムに匹敵する。
【0075】
図4a〜図4iは、医療処置を仮想的に計画するコンピュータに基づく方法、および仮想計画に基づく実際の医療処置の略図である。該医療処置は、不充分な骨構造を持つ身体部分の所望の審美的形成のための歯科修復処置であり、該処置は延長処置による充分な骨構造の形成を含む。
【0076】
仮骨延長法は、骨格変形の再建のために使用される外科的プロセスである。骨は外科的に(皮質切開術により)2つのセグメントに分割される。延長技術は主に整形外科の分野で使用されてきたが、該プロセスは顔面骨格再建でも同様に効果的であることを示してきた。
【0077】
医療処置の仮想計画は骨延長の仮想計画を含むことができる。一部の実施形態では、歯科インプラントは顎骨の既存の稜内に仮想的に配置され、事前に計画された所望の最終位置への稜の再配置が、仮想的に計画された延長技術を用いて、仮想的に計画される。仮想計画は、延長器ユニットによって後で連続的に移動される顎骨の一部分を切り離すために顎骨に適用される、切削テンプレートを製作するためのデータを提供することができる。
【0078】
延長を用いる骨矯正方法の一般的説明は、例えばWilliam Bell DDS、Cesar Guerrero DDSの「Distraction Osteogenesis of the Facial Skeleton」(ISBN 978−1−55009−344−5;発行日2006年12月)に記載されている。
【0079】
所望の最終位置は、上述の通り、例えばライブラリ歯を使用する仮想計画を用いて、仮想的に計画することができる。
【0080】
代替的に、患者の口腔に適用される従来のラジオグラフィックガイドを使用して、歯科修復処置の仮想計画に入力患者データを提供することができる。ラジオグラフィックガイドはこの場合、提供される歯科修復物の最終位置を画定することができる。
【0081】
これらの実施形態は、図4a〜図4iに関連して以下でさらに詳細に説明する。
【0082】
図4aは、図1aと同様に不充分な所望の審美性を持つ解剖学的患者状況4を示す。仮想ラジオグラフィックガイド400は、歯空隙140に隣接する歯110、111、112に取り付けられる。仮想ラジオグラフィックガイド400は、歯空隙140における2つの歯401、402の最終位置を含む。患者の身体部分はラジオグラフィックガイド400と共に、CT、CT等のような適切な技術を利用してデジタル化される。この所望の最終アウトカムに基づいて、歯科修復処置は仮想的に計画される。図1および図2に関連して上述した実施形態と同様に、歯空隙140は顎稜の凹部141を含み、したがってそれを調整しなければならない。
【0083】
本実施形態では、歯空隙140の凹部141は、仮想的に計画される延長技術を用いて調整される。図4bに示すように、延長の領域460における歯科インプラント450、451の所望の位置が決定される。これは、図4cに示すように、歯科インプラント450、451の最終インプラント位置を決定することによって行われる。延長の領域460は、図4bに破線で示すように決定される。図4bの矢印455、456は延長の方向を示す。この実施形態では、両方の歯科インプラント450、451の延長の方向は、必要に応じてかつ下述するように延長領域460の骨の所望の延長をもたらすために、相互に平行に向けられる。骨組織領域461は延長プロセスによって、すなわち連続的に、しかし充分に緩徐に、延長領域を矢印455、456の方向に延伸しながら、形成される。
【0084】
仮想計画に基づく製作データは、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート470を製作するために提供することができる。医療処置の仮想計画は、顎骨組織130に対する歯401、402の咬合線の位置のための位置データを提供することを含む。したがって、歯401、402の咬合線の位置データに応じて、歯空隙140における顎骨組織境界面の修正がもたらされる。
【0085】
この仮想計画に基づいて、歯科インプラントを延長の領域内に挿入するための穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレートを製作するためのデータを提供することができる。
【0086】
仮想計画は、図4bに示すように、既存の骨構造への歯科インプラントの挿入に続く。延長の領域を周囲の骨組織から除去するために、切削テンプレートを製作するためのデータを提供することができる。穿孔およびインプラント誘導外科手術のためおよび歯科インプラント450、451の挿入のための外科用テンプレートの仮想計画を、図4dに示す。穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレートは、骨組織130における歯科インプラント450、451の所望の向きおよび位置を決定するためのガイドスリーブ471、472を備える。さらに、歯科インプラント450、451に直接または間接的に取り付けられる延長ねじ481、482に対抗力を提供するためのカウンタホルダ480を製作するためのデータを提供することができる。中間延長モジュール490を製作するためのデータを生成することができる。中間延長モジュールは、図4eおよび図4fに示すように、延長ホルダと歯科インプラントとの間の延伸方向を矯正することができる。仮想計画作成は、所望の高さまで引き上げられた延長領域の骨組織のシミュレーションに続き、そこで人工的に形成された延長の空隙内に成長した骨461は連続的に空隙を充填し、結果として図4cに示す状況になる。
【0087】
その後、図4g〜図4iに示すように、実際の歯科修復処置が実行される。
【0088】
図4gには、事前の仮想計画のデータから製作された、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート(図示せず)を用いることによって顎骨組織130に配置された、2つの歯科インプラント450、451が示される。こうしてインプラントは骨組織130に固定される。
【0089】
図4hでは、図示するように、延長ねじ481、482に対抗力を提供するためのカウンタホルダ480が、歯科インプラント450、451に直接または間接的に取り付けられる。カウンタホルダ480は事前の仮想計画のデータから製作される。図4hに示すように、延長ホルダと歯科インプラントとの間に中間延長モジュール490が使用される。中間延長モジュール490は、延長ねじ481、482を歯科インプラントに平行にまたは直接的に配置することができない場合に、延長領域460の平行な延長移動を達成するために使用することができる。カウンタホルダ480は、例えば顎骨組織130のアンカピンおよび/または延長領域外のインプラントを用いて、隣在歯110、111、112に、または代替的にもしくは追加的に、延長領域460の所望の最終位置に対して固定位置を有する他の要素に、取り付けることができる。図4iに、完成した延長を示す。その後、単一または複数の歯冠のような、事前に仮想的に計画された適切な歯科修復物を歯科インプラントに取り付けることによって、歯科修復が完了する。このようにして、事前に仮想的に計画された最終アウトカムが達成される。
【0090】
骨代替物
生物分解性の骨代替物は当業界で公知であり、一部の実施形態に従って仮想的に計画される医療処置で使用することができる。患者利便性の低い骨移植処置を回避するために、骨代替物または代用材料、例えばポリマー材料を使用することができる。
【0091】
例えば米国特許第5278202号に、生物分解性のインサイチュ形成インプラントおよびそれを作製する方法が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。生物分解性ポリマーは、動物用の注射器で注入可能なインサイチュ形成される固体の生物分解性インプラントを提供するのに使用するために提供される。ポリマーは液体の形で動物に注入され、硬化してインサイチュでインプラントを形成する。インプラントを形成する熱可塑性システムは、非反応性ポリマーを生体適合性溶剤中に溶解して液を形成するステップと、液を動物の体内に注入するステップと、溶剤を消散させてインプラントを製作させるステップとを含む。代替的な熱硬化性システムは、有効量の液体アクリル酸エステル末端生物分解性プレポリマーおよび硬化剤を一緒に混合し、混合液を動物の体内に注入し、プレポリマーを硬化させてインプラントを形成することを含む。どちらのシステムも、体内に注入する前に有効レベルの生物活性薬剤を液に添加することによって、注射器で注入可能な固体の生物分解性送達系を提供する。
【0092】
米国特許第5077049号には、歯周組織を再生するための生物分解性システムが開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。歯周ポケットにおける歯周組織の修復を助長し、かつ歯根表面に沿った上皮細胞の移動を遅らせるための方法が記載されている。該方法は、歯の表面に隣接してインサイチュ形成生物分解性障壁の配置を含む。障壁は微孔性であり、所定サイズの細孔を含む。障壁は生物活性薬剤を含むことができる。
【0093】
米国特許第6206920号には、生物分解性インプラントをインサイチュで形成するための組成物および方法ならびにこれらのインプラントの使用が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。該発明は、薬学的に、医学的に、または獣医学的に容認できるポリマー、約10〜100重量%の乳酸(LA)単位、好ましくは約50〜90重量%のLA単位を含む好ましくはポリ(乳酸−コ−グリコール酸)コポリマー(PLGA)、およびアルファ−(テトラヒドロフルアニル)−オメガ−ヒドロキシポリ(オシキ−1,2−エタンジイル)(グリコフロール)の混合物を有する組成物を開示している。固体インプラントを動物の体内でインサイチュで形成する方法、任意選択的に薬物または他の生物活性薬剤を含むインプラントのみならず、動物の身体の治療における発明の組成物の使用も開示されている。
【0094】
米国特許第5885829号には、口腔組織の操作が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。開示されているのは、構造マトリックス上にエクスビボ培養物を用いて生細胞から歯科および口腔組織を再生するための方法である。再生された口腔組織およびこうしてもたらされる組織マトリックス製剤は両方とも、歯科医術および口腔医学に臨床応用され、またインビトロでの毒性および生体適合性の試験にも有用である。
【0095】
米国特許第6409764号には、骨または歯周組織を再生するための方法および物品が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。生体骨または歯周組織の欠損が関与する多数の医学的状況が存在し、そこでは生体骨または歯周組織の質量の増加が望まれる。装置によって少なくとも部分的に包囲される空間が形成されるように、生細胞および生体組織が侵入することのできる構成シェル状装置を哺乳動物の体内に植え込む方法が記載されている。装置のコンフィギュレーションは、形成される空間のコンフィギュレーションが、組織欠損の治療のために所望される生体骨または歯周組織のコンフィギュレーションと基本的に同一となるように行われる。形成された空間内での生体骨または歯周組織の成長を刺激する目的のために、タンパク質の形質転換成長因子βスーパーファミリから少なくとも1つのタンパク質が、形成された空間内に配置される。上述した構成要素から構成される、生体骨または歯周組織の生成のためのキットも開示されている。
【0096】
米国特許第4787906号には、制御された組織成長およびグラフト封じ込めが開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。無歯状態のヒトの顎骨の歯槽堤を修復するための装置および技術。そのような装置は顆粒を含有する不活性多孔質チューブを含み、それによって、装置が堤に配置されたときに、生体骨から多孔質チューブを介して粒状充填材から内向きまたは外向きに組織成長が発生する。チューブは顆粒が移動するのを防止する。
【0097】
米国特許第4542539号には、漸変多孔質コーティングを有する外科インプラントが開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。この生体適合性の外科的プロテーゼインプラントは、インプラントの金属本体から骨と相互作用するコーティングの表面に向かう方向に粒径が増大する金属粒子から形成される多層コーティングを有する。漸変は、最初に金属コーティング材の小粒子、例えば小球体の層をインプラントの表面に堆積し、次いで続く層に徐々に大きくなる粒子を堆積することによって達成される。粒子は、幾つかのパラメータが粒子の粒径に応じて制御される、フレーム−プラズマプロセスをはじめ、それに限らず、多数の周知のプロセスのいずれか1つによって堆積させることができる。結果的に得られるコーティングは、骨の内方成長を促進するように、その外面に最小密度および最大多孔率を有する。コーティングの密度はコーティングとインプラントの本体との間の界面を最大とし、それによってインプラントの本体およびコーティングの機械的および熱的性質が実質的に整合し、インプラントの本体に対するコーティングの最適付着が達成される。
【0098】
米国特許第5839899号には、誘導組織再生プレート支持および固定システムを利用して顎骨を成長させるための方法および装置が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。組織衝突、咬合負荷、咀嚼力、または筋圧の無い分離され保護された空間が骨膜と顎骨との間に形成される、顎骨を成長させる方法、ならびに該方法で使用される関連誘導組織再生プレート支持および固定システム。この空間は、最初に歯科インプラントまたは誘導組織再生プレート支持および固定システムテント形支持ねじのいずれかを顎骨内に配置することによって形成される。好ましくは等級1の市販の純チタンから作られ、中心のより支持的領域がより厚くかつ剛性であり、周辺部がより薄い、誘導組織再生プレート支持および固定システムのプレート部分は、支持ねじの頭に、またはレシーバキャップを有するかあるいは歯科インプラント内に直接螺入される歯科インプラントの専用の修正ヒーリングスクリュに、スナップ係合される。次いでプレートは屈曲され、適切な形状に成形される。基本的に、柔軟で成形可能なプレートは歯科インプラントまたは支持ねじによって支持されると共に、プレートの支持および固定の両方を形成しその表面の下に骨を成長させるための正確な空間をもたらす同じねじによって、所定の位置に固定される。このプレート部分は中実または有孔とすることができ、それは通気性または無通気性とすることができる。
【0099】
米国特許第5297563号には、口腔外科または顎手術の最中またはその後に使用される誘導骨および組織生成装置および方法が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。該開示は一般的に、骨欠損部の組織および骨誘導再生を促進するための方法および装置に関する。欠損部を被覆する機械的障壁寸法が、障壁を所定の位置に固定するための手段として提供される。
【0100】
米国特許第7122205号には、組織修復のための生体浸食性ポリマー接着剤が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。生体適合性で生体浸食性のポリマーを含むマトリックスを使用し、かつ組織欠損部にマトリックスを適用する、組織修復のための方法が提供され、ポリマーは、乳酸、グリコール酸、およびカプロラクトンまたはバレロラクトンいずれかから誘導されるモノマー単位の熱可塑性ラクチド含有ターポリマーを含み、約25℃で約0.01〜約500mg/mLの水溶性および約600〜約150000Paの接着強度を有する。マトリックスまたは接着剤はさらに充填材もしくは生物活性剤、または両方を含むことができる。
【0101】
上記の開示は、記載された材料、装置、および方法を考慮に入れて、医療処置の仮想計画を提供するために、実施形態で使用することができる。
【0102】
骨移植
代替的に、骨採取は、適切な骨形状をもたらすよう仮想的に計画することができる。切削テンプレートのためのデータは、仮想計画から提供することができる。切削テンプレートは、患者の適切な身体部分から少なくとも1片の骨を採取するために使用することができる。切削テンプレートは、骨組織境界面を修正するために、仮想計画された例えば顎の骨空隙を充填する医療処置が実施される身体領域に適合させるのに適した形状がこのようにしてもたらされた、骨片の採取を容易にする。こうして骨片は、患者の別の身体部分の骨構造を置換または形成するために簡便に使用することができる。これはまた、患者の骨構造の形成に外来性の材料が使用されないので、身体の免疫反応がほとんど回避されるという利点も有する。
【0103】
フリー・フォーム・ファブリケーション
フリー・フォーム・ファブリケーション(FFF)は、3D CAD情報から直接部品を製作するために要求される技術および機器の名称である。固体のフリーフォームを完全に複製することができる。例えば金属製の物体を製作する際に、完全に開いたダクト、穴、および鈍角および平面は一挙に複製することができる。
【0104】
フリー・フォーム・ファブリケーション
Arcamの国際公開第04054743A1号には、ケーシング内に作業台および照射銃を備え、部分的にケーシングの外にパウダディスペンサを備えた、3次元製品を製作するための装置が開示されている。国際公開第04054743A1号は、その内容全体を参照によって本書に援用する。
【0105】
Arcamは、3D CADモデルに基づいて金属粉末から立体造形物を直接製作することを可能にするFFF技術(フリー・フォーム・ファブリケーション)を開発したハイテク企業である。該技術は、ツールを射出成形およびダイキャストする製作時間をかなり短縮し、それによって設計から製品の仕上げまでのリードタイムを低減するという製造産業内で高まるニーズに応える。
【0106】
例えばArcam EBM S12は、固体チタンおよび鋼のコンポーネントのCADからの直接のフリー・フォーム・ファブリケーション(FFF登録商標)のために開発されたものであり、チタンおよび鋼製品の製造に対し独自の幾何学的可能性を提供する。
【0107】
電子ビーム溶解(EBM)プロセス中に、電子ビームは1層ずつのプロセスで金属粉末を溶解して身体部品を構築する。マスカスタマイズされるインプラントは、こうして迅速かつ費用効果的に製造することができる。例えば上述した骨プロテーゼは、こうして仮想計画からの出力データに基づいて、簡便に作成することができる。
【0108】
代替的なソリッド・フリー・フォーム・ファブリケーション技術は、溶融堆積モデリングおよび3次元印刷技術を含む。
【0109】
ソリッド・フリー・フォーム・ファブリケーションのこれらおよび他の技術は、金属以外の材料、例えばセラミック、ガラスセラミックのみならず、セラミックマトリックスおよびポリマーマトリックス複合材料をも使用することができる。アルミナ、ジルコニア、ムライト、シリカ、スピネル、リン酸三カルシウム、アパタイト、フルオロアパタイト、ヒドロキシアパタイト、およびそれらの混合物は、そのようなソリッド・フリー・フォーム・ファブリケーション技術で使用することのできる代表的なセラミック材料である。本発明で使用される複合材料は、微粒子または繊維充填成分を持つポリマーマトリックスを含む。繊維強化および微粒子充填複合材料のポリマーマトリックス要素は、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、ビニルエステル、またはエポキシ系材料を含め、これらに限らず、当業界で公知の歯科用材料から選択することができる。他のポリマーマトリックスはスチレン、スチレンアクリロニトリル、ABSポリマー、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド等を含む。そのような材料は、本願の文脈内で、例えば骨組織代用要素、または患者の身体部分の骨構造の提供に関連する医用製品を提供するために使用することもできる。
【0110】
米国特許出願公開第20040254668A1号には、微孔性ヒドロキシアパタイトの足場組成物およびそのフリー・フォーム・ファブリケーション方法が開示されており、その内容全体を参照によって本書に援用する。組織操作用途向けのリン酸カルシウム系の多孔性足場を作成するためのソリッド・フリー・フォーム・ファブリケーション方法および組成物。該方法は、(A)粉末容器内に乾燥固体粉末粒子の混合物を準備するステップと、(B)粉末容器とは別個のリザーバに流体成分を準備するステップであって、粉末混合物および流体成分が別個にまたは組み合わせて少なくともカルシウム源およびリン酸源を構成するようにしたステップと、(C)物体支持プラットフォームの標的表面上の選択された位置に対し、リザーバから液体成分を分注するための液体体積装置および粉末容器から固体粉末混合物を分注するための固体粉末分注装置を含む材料堆積システムを操作して、分注された流体および分注された粉末成分が反応してリン酸カルシウム組成物(特にヒドロキシアパタイトまたはその誘導体)を形成させるステップと、(D)操作ステップ(C)中に、堆積システムおよび物体支持プラットフォームを相互に対してX−Y−Z方向に移動させて、粒径が50μm超の微孔を含む足場を形成させるステップとを含む。
【0111】
マスカスタマイズされる個々の医用製品は、例えば歯科ブリッジ、アバットメント、コーピング、歯冠フレームワーク、切削テンプレート、外科用テンプレート、穿孔およびインプラント誘導外科手術のための外科用テンプレート、骨インプラント、患者特異的な膜等を含むことができる。
【0112】
計画パラメータは例えば以下を含むことができる。
*歯科インプラントのようなインプラントの場合、方向、深さ、他の構造物までの距離、推定される機械的強度等。
*穿孔およびインプラント誘導外科手術のためのガイドスリーブの場合、例えば方向、深さ、位置等。
*膜の場合、例えばサイズ、形状、位置、材料。
*歯科インプラントの計画の場合、例えばインプラントおよびプロテーゼの組立体の有利な機械的強度を達成するため、プロテーゼ、インプラント、または周囲の骨組織の過度の歪みを回避するため、および審美的理由から、例えば出口穴の位置および方向は、プロテーゼの中心または真ん中に計画することが好ましい。
*例えば解剖学的に固定された基準点に対し解剖学的に補正された位置における歯の位置。
*歯冠、歯科インプラント、およびアバットメントのような種々の構成部品の形状、輪郭、長さ、厚さ、深さ等。
*切削テンプレート:所望の形状、輪郭、方向等。
【0113】
計画は、例えば有利な咬合を達成するために、表面合わせに基づくことができる。
【0114】
計画は、ヒューマン・インタフェース・ユニットを介して、例えば種々のコンポーネントのクリックおよびそれらのマウス操作によって、変更することができる。
【0115】
図6は、医療処置を仮想的に計画するためのシステムの実施形態の略図である。
【0116】
システム6は、患者の歯科修復処置のような医療処置のコンピュータに基づく計画作成をもたらす。システム6は、患者の医療処置を仮想計画するためのユニット600を備える。システム6は、医療処置のコンピュータ実装型の仮想計画を作成するように考案されており、ここで医療処置は、患者の身体部分に例えば当該方法の上記実施形態に記載したような患者構成骨構造を提供することを含む。システムは、仮想計画に基づいて製作データを生成するためのユニット610を備え、ここで製作データは、骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成される。医用製品は、骨インプラント、膜、延長ホルダ、誘導外科手術のための外科用テンプレートのように、医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。医療処置を仮想計画するためのシステム6は、医療処置の最終アウトカムの咬合線のような身体部分に対する、プロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供するためのユニット620を備える。さらに、システムは、位置データに応じて身体部分における境界面の修正を、例えば当該方法の上述した実施例および実施形態にあるような例えば顎骨稜の修正を、仮想計画するためのユニット630を備える。ユニット600、610、620、630は、医療用ワークステーション640に実装し、ワークステーション640によって実行されるソフトウェアコード部分によって達成することができる。
【0117】
医療用ワークステーション640は、中央処理装置(CPU)、メモリ、インタフェース等のような通常のコンピュータコンポーネントを含む。さらにそれは、CTスキャン、3Dスキャン、デジタル画像等から得られるデータのような、データ入力源から受け取るデータを処理するための適切なソフトウェアを装備する。
【0118】
図7は、医療処置を仮想的に計画するためにコンピュータ可読媒体705に格納されるコンピュータプログラム7の略図である。コンピュータプログラム7は、コンピュータ641によって処理するように提供される。コンピュータ641は医療用ワークステーション640として実現することができ、あるいはコンピュータプログラムを医療用ワークステーション640で実行することができるようにその処理装置とすることができる。コンピュータ可読媒体705は、仮想計画を作成するための適切なコードセグメント700、710、720、730を備えたソフトウェアの形のコンピュータプログラム1940を備えることができる。コンピュータプログラム7は、例えばユーザと対話しながら、半自動的に、または完全に自動的に、患者の医療処置を仮想計画するための第1コードセグメント700を含む。医療処置は、患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含む。コンピュータプログラム7は、仮想計画に基づいて製作データを生成するための第2コードセグメント710を備え、該製作データは骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、該医用生品は医療処置で使用するように考案され、かつ医療処置を容易化するために患者に配置するように考案される。コンピュータプログラム7は、身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供するための第3コードセグメント720を備える。さらにコンピュータプログラム7は、位置データに応じて身体部分の境界面の修正を仮想計画するための第4コードセグメント730を備える。
【0119】
コンピュータプログラム7は、例えば医療用ワークステーション640によってアクセス可能なコンピュータ可読媒体705上に格納され得る。
【0120】
医療用ワークステーション640はさらに、例えば表現された画像を表示するためのモニタのみならず、例えばソフトウェアによって提供される自動計画を手動で微調整するためのキーボード、マウス等のような適切なヒューマンインタフェース装置を備える。医療用ワークステーションはシステム6の一部とすることができる。医療用ワークステーションは製作データを提供することもできる。
【0121】
仮想計画のために、例えばCTスキャンからの患者データは、例えば医用ワークステーション640で実行される歯科修復処置のような医療処置の手術前計画のためのソフトウェアにインポートされる。医療用ワークステーション640は、医療処置をコンピュータに基づいて計画するためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースを有することができる。グラフィカル・ユーザ・インタフェースは、本明細書で上述しあるいは添付する特許請求の範囲に記載する方法を可視化するためのコンポーネントを含むことができる。
【0122】
医療処置の仮想計画の結果は、医療用ワークステーション640のグラフィカル・ユーザ・インタフェースでユーザに提供することができる。骨構造またはその表面境界の適応は、医療用ワークステーション640のヒューマンインタフェース装置を用いて、そのモニタに提示されるグラフィカル・ユーザ・インタフェースを介して対話しながら行うことができる。
【0123】
本発明を特定の実施形態に関連して上述した。しかし、上記以外の実施形態も本発明の精神および範囲内で同等に可能である。ハードウェアまたはソフトウェアによって当該方法を実行する、上記とは異なる方法ステップを、本発明の精神および範囲内で提供することができる。本発明の異なる特徴およびステップを、記載したものとは異なる組合せで組み合わせることができる。本発明の範囲は、付属の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装型の方法であって、前記方法は、患者の医療処置の仮想計画作成を含み、前記医療処置は、前記患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含み、さらに、前記方法は、前記仮想計画作成に基づいて製作データを生成することを含み、前記製作データは前記骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、前記医用製品は前記医療処置で使用するように構成され、かつ前記医療処置を容易化するために前記患者に配置するように構成され、医療処置の前記仮想計画作成は、前記身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供し、さらに、前記方法は、前記位置データに応じて前記身体部分の境界面の修正の仮想計画を作成することを含む、方法。
【請求項2】
前記位置データの提供が、前記医療処置の仮想計画された最終アウトカムとして前記プロテーゼ構成部品の輪郭の位置データを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロテーゼ構成部品が、歯冠またはブリッジ用フレームワークのような歯科用修復物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記境界面が、少なくとも前記身体部分に存在する骨構造の輪郭である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記境界面の修正が、存在する骨構造の除去を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記境界面の修正が、患者構成骨構造を提供することを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記患者構成骨構造の提供が、前記境界面の修正のために骨インプラントを提供することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者構成骨構造の提供が、前記境界面の修正のために膜を提供することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記患者構成骨構造の提供が、前記境界面の修正のために延長を実施することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記プロテーゼ構成部品の輪郭の前記データが、ラジオグラフィックガイドの捕捉された位置から誘導され、ラジオグラフィックガイドが、前記医療処置の前記仮想計画された最終アウトカムを提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記プロテーゼ構成部品の輪郭の前記データが、少なくとも一つの仮想ライブラリ歯から誘導され、仮想ライブラリ歯が、前記医療処置の前記仮想計画された最終アウトカムを提供する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記プロテーゼ構成部品の輪郭が、表面照合技術によって決定される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記表面照合技術が、咬合線を決定するために提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記仮想計画作成が、前記位置データを有する歯科用修復物の前に仮想計画された位置に対する膜および骨代替物の仮想計画作成を含み、前記製作データが少なくとも前記膜のために提供される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記仮想計画作成が、前記位置データを有する歯科用修復物の前に仮想計画された位置に対する骨インプラントの仮想計画作成を含み、前記製作データが少なくとも前記骨インプラントのために提供される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記仮想計画作成が、前記位置データを有する歯科用修復物の前に仮想計画された位置に対する延長処置の仮想計画作成を含み、前記製作データが少なくとも前記延長処置を実施するために構成された少なくとも一つのホルダ要素のために提供される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記仮想計画作成が、歯科インプラントの仮想計画作成を含み、前記製作データが穿孔およびインプラント誘導外科手術のための少なくとも一つの外科用テンプレートのために提供される、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記仮想計画された医療処置が、顎顔面外科用手術、顎矯正手術、および/または美容外科手術のような歯科手術を含む、歯科修復処置である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
患者の医療処置のコンピュータ実装型の仮想計画作成のためのシステムであって、前記医療処置は前記患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含み、前記システムは、前記仮想計画作成に基づいて製作データを生成するためのユニットを備え、前記製作データは前記骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、前記医用製品は前記医療処置で使用するように構成され、かつ前記医療処置を容易化するために前記患者に配置するように構成され、医療処置の仮想計画作成のための前記システムは、前記身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供するためのユニットを備え、さらに、前記システムは、前記位置データに応じて前記身体部分の境界面の修正の仮想計画を作成するためのユニットを備える、システム。
【請求項20】
コンピュータによって処理するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、患者の医療処置の仮想計画作成のための第1コードセグメントを含み、前記医療処置は前記患者の身体部分に患者構成骨構造を提供することを含み、さらに、前記コンピュータプログラムは、前記仮想計画作成に基づいて製作データを生成するための第2コードセグメントを含み、前記製作データは前記骨構造または医用製品の製作に後で使用するように構成され、前記医用製品は前記医療処置で使用するように構成され、かつ前記医療処置を容易化するために前記患者に配置するように構成され、さらに、前記コンピュータプログラムは、前記身体部分に対するプロテーゼ構成部品の少なくとも一部分の位置のための位置データを提供するための第3コードセグメント、および前記位置データに応じて前記身体部分の境界面の修正の仮想計画作成のための第4コードセグメントを含む、コンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項1〜18のいずれかに記載の方法の実施を可能にする、請求項20に記載のコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項20または21に記載のコンピュータプログラムを具現化したコンピュータ可読媒体。

【図1a−b】
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【図1c−d】
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【図1e−f】
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【図1g】
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【図2a】
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【図2b−c】
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【図2d−e】
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【図2f−g】
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【図2h−i】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図3g】
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【図4a−b】
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【図4c−d】
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【図4e−f】
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【図4g−h】
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【図4i】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−500114(P2011−500114A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528319(P2010−528319)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008553
【国際公開番号】WO2009/046987
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(506260386)ノベル バイオケア サーヴィシィズ アーゲー (42)
【Fターム(参考)】