説明

コンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラム

【課題】コンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラムにおいて、位置センサと加速度センサを内蔵した入力装置を遊戯者が腕の振りや足の蹴りを使って大幅に動かした時、被投擲物体の運動軌跡を表示させ、物体を投げたり、打ったり、蹴ったりするスピード感、リズム感などの動作爽快感や練習上達感を達成可能とする。
【解決手段】入力装置は、遊戯者の身体に装着し易いような形態とされ、演算装置は、ディスプレイ画面上に、入力装置の移動操作に伴う位置センサと加速度センサによる検知信号に応じて移動するポインター図形103と、これと連動可能な被投擲物体の図形102とを表示させ、ポインター図形103が投擲設定ライン108等を横切った時の位置、加速度及び交叉角度を計測し、被投擲物体の飛行初期スピード条件及び初期方向条件を設定し、被投擲物体の投擲状態を模擬し、被投擲物体図形の移動軌跡を画面表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物体を投げたり打ったり蹴ったりするスポーツの動作や環境をコンピュータによって模擬して(シミュレーション)して、その結果をディスプレイ上に表示して楽しむものに、ボウリング、ゴルフ、テニス、野球、サッカーなど、被投擲飛行物体(ボールなど)を扱うゲーム装置がある。その中でも、コンピュータによりゴルフを模擬するゲーム装置が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このゴルフゲーム装置の場合、投擲ボールの方向や飛距離はマウス入力装置などのクリック動作で指定される場合もあるが、出来る限り実際のスポーツの感覚に近づけるために、入力装置としてジョイスティックや、トラックボールを使い、そのレバーの傾斜量やトラックボールの回転量に応じたボールの方向、飛距離を計算して模擬する方法が取られている。また、マウスを使用する場合でも、その位置の移動量を計算して同様に投擲ボールの飛行条件である方向と距離を計算して表示する方法が取られていた。
【0004】
しかしながら、それらは全てレバーやトラックボールあるいはマウスの移動操作量に従って計算されているので、操作スピードとその操作感覚が実際のスポーツ感覚に十分反映されていない。しかも、クリックボタンは指の運動、ジョイスティックやトラックボールは手の平の運動、マウス移動は左右手首の運動であり、本来の全身を使うスポーツ感覚とはほど遠い。何故なら、それらは、移動距離10cm以下の手の動き操作をするに過ぎないからである。また、投擲スポーツ、特にゴルフ、ボウリングやテニスは身体フォームのスポーツとも言われ、そのフォームの軌跡が入力されて、表示されると、練習の参考になり、上達することができるが、手首や手の平の動きでは、実際のフォームの軌跡を追跡できない。
【0005】
上述したように、従来のゴルフに代表される投擲スポーツ模擬ゲームは、入力装置を操作する際、クリックボタン、ジョイスティックレバー、トラックボール、あるいはマウス移動のように、手の指や手の平、手首のような身体のごく一部を僅かしか使わない。そして、その僅かな移動量のみをボールの投擲飛行条件に反映しているに過ぎない。そのため、本来的にスポーツが持つ体を動かせた時の「スピード感」、「動作爽快感」はなく、また、その動作の反復練習で上達する「練習上達感」もないという問題があった。
【0006】
これらの問題は、ゴルフ模擬ゲームに限らず、ボウリング、テニス、野球、サッカーなどのボールを投げたり、打ったり蹴ったりする他のスポーツの模擬ゲームにも共通のものであった。また、模擬操作を使った遊びのゲーム装置というよりも、スポーツの上達を願う練習装置においても、このような実際のスポーツの動きに全く似ていない入力手段の動きでは、練習にならないという問題があった。
【特許文献1】特開2002−320776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解消するものであって、従来のコンピュータ式スポーツ模擬装置、例えばボウリング、ゴルフ、テニスなどの主としてボールを投げたり、打ったり、蹴ったりする動作を入力装置のクリック操作、レバー操作、トラックボール回転操作、マウスの移動操作など、手の平、手首操作量で模擬したタイプの問題点を克服したコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【0008】
より詳細には、本発明は、位置センサと加速度センサを内蔵した入力装置を遊戯者が腕の振りや足の蹴りを使って大幅に動かした時、その手や足の運動位置の軌跡を表示させ、それに対応して動く被投擲物体のディスプレイ上の位置が踏み切りライン(エンドライン)を横切った瞬間の速度、方向を検知し、その結果に応じて、被投擲物体の飛行条件を決めることにより、物体を投げたり、打ったり、蹴ったりするスピード感、リズム感などの動作爽快感や練習上達感を達成可能なコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために本発明は、入力装置、ディスプレイ装置、タイマ/カウンタ装置、演算装置、及びデータとプログラムを格納する記憶装置を備え、そのプログラムにより前記演算装置が各種制御ステップを実行して前記入力装置、ディスプレイ装置及びタイマ/カウンタ装置の入出力制御手段及び演算手段として機能するコンピュータシステムを用い、遊戯者が前記入力装置を操作して動かすことにより、前記ディスプレイ装置の画面上に描かれた被投擲物体が移動し、ディスプレイ画面上で投擲スポーツを模擬して楽しむコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置において、前記入力装置は、遊戯者の身体に装着し易いような形態とされ、該入力装置の位置を検知する位置センサと加速度を検知する加速度センサを有し、前記演算装置は、ディスプレイ画面上に、前記入力装置の移動操作に伴う前記各センサによる検知信号に応じて移動するポインター図形と、このポインター図形が重ね合わされたときに連動移動可能な被投擲物体の図形とを表示させる制御ステップと、前記ポインター図形が予め画面上で設定されている投擲設定ラインを横切った時の、位置、加速度、及び交叉角度を計測する制御ステップと、前記による計測値に応じて、被投擲物体の飛行初期スピード条件、及び初期方向条件を設定することにより、被投擲物体の投擲状態を模擬し、被投擲物体図形の移動軌跡をディスプレイ画面上に表示させる制御ステップと、を実行するものである。
【0010】
また、上記において、前記投擲設定ラインが、被投擲物体図形の投擲方向に略直交する方向に設定された、スタートライン又は中間ラインと、被投擲物体が擬似的に遊戯者の手から離れる踏み切りラインに相当するエンドラインとを持ち、前記入力装置のスイング移動ラインである前記ポインター図形と被投擲物体図形の移動軌跡が、前記各ラインと交叉した時間、座標、速度、加速度、及び交差角度を計測し、前記移動軌跡が前記エンドラインと交叉する点における加速度又は交叉方向と、該移動軌跡が前記スタートライン又は中間ラインと交叉する点における加速度又は交叉方向との差を検知し、その検知結果を基に前記被投擲物体の飛行初期スピード又は初期方向条件又はカーブ条件を設定するものとすればよい。
【0011】
また、本発明は、コンピュータシステムの記憶装置に格納され、遊戯者の身体に装着し易いような形態とされた同システムの入力装置を遊戯者が操作して動かすことにより、同システムの演算装置が各種制御ステップを実行して、同システムに接続されたディスプレイ装置の画面上に描かれた被投擲物体が移動し、ディスプレイ画面上で投擲スポーツを模擬して楽しむスポーツ模擬装置用のコンピュータプログラムであって、ディスプレイ画面上に、前記入力装置の移動操作に伴う該入力装置の位置を検知する位置センサと加速度を検知する加速度センサによる検知信号に応じて移動するポインター図形と、このポインター図形が重ね合わされたときに連動移動可能な被投擲物体の図形とを表示させる制御手順と、前記ポインター図形が予め画面上で設定されている投擲設定ラインを横切った時の、位置、加速度、及び交叉角度を計測する制御手順と、前記による計測値に応じて、被投擲物体の飛行初期スピード条件、及び初期方向条件を設定することにより、被投擲物体の投擲状態を模擬し、被投擲物体図形の移動軌跡をディスプレイ画面上に表示させる制御手順と、を演算装置に実行させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置とそのコンピュータプログラムによれば、入力装置を遊戯者が腕や足のような体の一部に着用して動かした時、入力装置が持つ位置センサ及び加速度センサにより位置、加速度及び方向が演算装置によって計測され、その計測値を基に、被投擲飛行物の投擲状態、つまり、軌跡(方向や曲がり具合)と到達距離などを表示して模擬する。このため、あたかも実際にスポーツをしているが如く、すなわち、身体を使って被投擲物を投げたり打ったり蹴ったりするスポーツ(以下、投擲スポーツという)をしているかのように模擬して、動作爽快感、リズム感、スピード感を楽しむことができる。また、被投擲物体の飛行状態を見る面白さだけでなく、腕や足の動かし方に習熟すると徐々にうまくなるスポーツ特有の練習上達感や、切磋琢磨して競技する楽しみが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置について図面を参照して説明する。図1は、一実施形態に係る投擲スポーツ模擬装置のコンピュータシステムのハードウェア構成を示す。破線で囲んだ部分は、演算装置1(以下、MPUという)を含むメイン制御ボード29である。このMPU1には、バス2を介してコンピュータシステムの基本プログラムが格納される基本システムロム3(以下、BIOSROM)と、内部記憶装置であるDRAM5を制御するDRAMコントローラ4と、タイマ/カウンタ7をコントロールするタイマ/カウンタコントローラ6とが接続されている。また、入力装置30に内蔵される位置センサ9を制御する位置センサコントローラ8、入力装置30に内蔵される加速度センサ11を制御する加速度センサコントローラ10、ディスプレイ装置であるディスプレイ13を制御するディスプレイコントローラ12が、バス2を介してMPU1に接続されている。
【0014】
さらに、メイン制御ボード29においては、ハードディスクドライブ15(HDドライブ)を制御するHDドライブコントローラ14、メモリーカードドライブ17を制御するためのメモリーカードコントローラ16、CD-ROMドライブ19を制御するCD−ROMドライブコントローラ18、及び、クリックボタン21、モデム、プリンタなど他の入出力装置を制御するI/Oコントローラ20が、バス2を介してMPU1に接続されている。
【0015】
位置センサ9、加速度センサ11、ディスプレイ13、HDドライブ15、メモリーカードドライブ17、CD-ROMドライブ19、クリックボタン21は、メイン制御ボード29上に装着されたコネクタ22、23,24,25,26、27、28を通じて、それぞれ位置センサコントローラ8、加速度センサコントローラ10、ディスプレイコントローラ12、HDドライブコントローラ14、メモリーカードコントローラ16、CD-ROMコントロ0ラ18、I/Oコントローラ20に接続されている。
【0016】
CD-ROMドライブ19において読み取られるCD-ROM(媒体)、又はメモリーカードドライブ17において読み込み書き込みされるメモリーカード(媒体)には、コンピュータに後述の各種の制御手順を実行させるためのコンピュータプログラムが記憶されており、これら媒体に記憶されたプログラムが装置にインストールされて、MPU1は所定の制御処理を行う。また、HDドライブ15において読み込み、書き込みされるハードディスクには、各種のデータが記憶される。
【0017】
入力装置30における位置センサ9としては、例えば、周波数拡散方式による測距システム(車の位置検知システムのGPS)用のセンサを使用可能である。加速度センサ11は、車のナビゲーションシステム用のセンサを使用可能である。この入力装置30は、本発明の特徴の一つとして、位置センサ9と加速度センサ11が内蔵され、かつ、実際の腕の振りと同様の動きをさせる必要があるので、その外形として、遊戯者の腕や指に装着できるように腕輪状又は指輪状の形態が使われる。なお、より高度の模擬を行うには、入力装置30に3次元センサを使用し、本発明は、これをも含むが、以下では、本発明の理解を容易とするために、2次元センサを例に説明する。なお、入力装置30とメイン制御ボード29との間は、ワイヤレスでの信号授受を行うことが望ましい。
【0018】
図2は、本発明に係るコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置の原理を説明するものであって、ディスプレイ13上の表示状態を示す。ここでは、ダーツゲームを例に取り説明する。ダーツゲームは、多重の円が描かれた的である標的図形101に向かって矢図形102(被投擲物体図形)を投げ、できるだけ小さい円の的に当たれば、点数が高くなり、その点数を競うスポーツである。模擬の電子ゲームでなく実際のダーツゲームの場合、矢を投げた方向と速度の正確さを決める腕の振り方の巧拙により、競技の点数が決まる。つまり、身体、特に腕を使って、的に向かって狙いをつけて、思い切り矢を投げるという単純な「腕振り動作」が、スピード感やリズム感を伴うスポーツの動作爽快感を生み、また何度もこの動作を繰り返し練習して上達するスポーツの練習上達感や的に矢が当たったときの達成感をもたらす。
【0019】
本発明においては、実際の矢の代わりに、位置センサ9と加速度センサ11を内蔵した入力装置30を使い、入力装置30のスイング移動ラインに相当するポインター図形103と矢図形102の投擲設定ラインと交叉した時間、座標、速度、加速度、及び交差角度をMPU1により計測し、それに基き被投擲物体の飛行初期スピードと初期方向条件を設定し、移動軌跡を求め、その軌跡を表示し、電子的に模擬するものである。入力装置30を用いた模擬の動作と表示の制御動作を以下に説明する。
【0020】
入力装置30は、実際の腕の振りと同様の動きをさせる必要があるので、その外形としては、遊戯者の腕や指に装着できるように腕輪状又は指輪状の形態が使われるが、実際のダーツの矢と同じ大きさや重さを持った形態であっても構わないし、手で掴みやすい球形でも棒形でも構わない。図2に白の星形で示すポインター図形103は、入力装置30である腕輪の動きに連動して移動する。
【0021】
ここに、遊戯者が腕、つまり入力装置30を動かして、ポインター図形103を矢図形102の上に移動させると、ポインター図形103は変色ポインター図形104に変わり、以後、矢図形102と変色ポインター図形104とは入力装置30の動作と共に一緒に動くように制御される。遊戯者は、矢図形102が標的図形101に向かって飛ぶように、上下に矢印のある点線の練習軌跡ライン105上を何度か腕、つまり入力装置30の移動動作を繰り返して練習する。この腕の動作は、入力装置30に内蔵されている位置センサ9によって位置計測される。こうして、矢を投げるときの腕のスイング軌跡を表示することが出来る。ボウリングの場合は、腕のフォームの軌跡を見ることが出来るし、ゴルフの場合は、ヘッドの軌跡(実際のヘッドに入力装置を装着してもよい)を表示することができる。
【0022】
その後、遊戯者は、矢図形102を、投擲設定ラインであるスタートライン106、中間ライン107、及びエンドライン108(被投擲物体が擬似的に遊戯者の手から離れる踏み切りラインに相当)を横切るように、スピードを上げて移動させる。矢図形102のスイング移動ライン116の各ラインを横切った交叉点は、それぞれa,b,cである。各交叉点での時刻はTa,Tb,Tc、交叉角度はα、β、γである。矢図形102がエンドライン108を横切った以降は、矢の投擲状態の模擬が始まる。実際のダーツ競技では、矢は手から離れて、空中を飛行し、その飛行状態を模擬して楽しむことができるようにする。飛行状態は、矢が手を離れた瞬間の時刻Tcで、その投擲方向角度γと投擲スピードVcが初期条件として与えられると、通常の物体の重さを考慮した周知の放物線弾道方程式に従って算出され、模擬が可能である。これら投擲方向γと投擲スピードVcは、位置センサ9と加速度センサ11の出力情報により簡単に導出できるが、腕、つまり入力装置30が高速に動くので、計測は簡単ではない。なお、各投擲設定ラインは、被投擲物体図形の投擲方向に略直交する方向に設定される。
【0023】
そこで、矢図形102がスタートライン106を横切った時刻Taから位置センサ9と加速度センサ11によってセンシングを開始し、エンドライン108通過直後に計測を終え、交叉角度すなわち投擲方向γと交叉スピードすなわち投擲スピードVcを算出する。この二つのライン交叉点a,cを計測点にすることにより、正確な計測が可能である。また、高速通過のため、計測及び表示スピードが追いつかない場合、この2点通過時間を利用して、投擲初期条件を予測推定して表示時間を早めることも出来る。なお、上記では、中間ライン107を通過した情報を用いることは説明しなかったが、スタートライン106に代えて、中間ライン107を通過した情報を用いてもよい。さらに、スタートライン106、中間ライン107、エンドライン108の3ラインをすべて利用する場合には、それぞれの交叉点における交差方向の差をも検知できるので、その検知結果を基に、被投擲物体の飛行初期スピードおよび初期方向条件のみならず、前記放物線弾道方程式を左右に、即ちフックまたはスライスのようなカーブ状に修正するカーブ条件を設定することができる。
【0024】
位置センサ9と加速度センサ11を内蔵した入力装置30の位置センサ9により、腕輪上の入力装置30の位置が計測され、ディスプレイ13の画面上にポインター図形103として図示される。このポインター図形104がディスプレイ13画面上の投擲踏み込みライン(スタートライン106、エンドライン107)を横切った前後の、ポインター図形104と被投擲物体の飛行状態を、高速に模擬し、表示する。従って、これらスタートライン106とエンドライン107は、計測には必要であるが、必ずしも表示させる必要はない。また、この計算や表示には強力なMPU能力が必要であるが、そのためのMPUは1つである必要はなく、表示用のMPU、測定用MPU、及び模擬用MPUなど機能分散された複数のMPUを使用しても構わない。
【0025】
図3は、被投擲物体の投擲飛行状態の模擬制御ステップを表すフローチャートである。遊戯者が入力装置30を操作して動かすことにより、MPU1は、プログラムに従い次の各種制御ステップを実行する。
#1:被投擲物体、その他の模擬対象の表示制御ステップであり、遊戯者が操作した入力装置30の動きに伴う各センサによる検知信号に応じて、ディスプレイ13の画面上に移動するポインター図形103と、このポインター図形103が重ね合わされたときに連動移動可能な被投擲物体の矢図形102とを表示させる。
#2:計測の制御ステップであり、ポインター図形103が予め画面上で設定されている投擲設定ライン106,107,108を横切った時の、位置、加速度、及び交叉角度を計測する。
#3,#4,#5:設定及び表示の制御ステップであり、前記による計測値に応じて、被投擲物体の飛行初期スピード条件、及び初期方向条件を設定し、被投擲物体の投擲状態を模擬し、被投擲物体図形の移動軌跡をディスプレイ画面上に表示させる。
【0026】
上述の実施形態においては、ダーツ競技を例にとり、かつ2次元空間表示で説明したが、3次元空間でのより詳細な測定や模擬には、位置センサ9や加速度センサ11を用いるのは勿論のこと、3次元センサを用い、また、スタートライン106やエンドライン108は、2次元のスタート面とエンド面に変えればよい。投擲球技としてボウリングを模擬する場合は、3次元センサが有効である。
【0027】
ボウリングの場合の入力装置30は、図4に示すように、遊戯者の手首に腕輪状に装着される形態を有し、サッカーの場合の入力装置30は、図5に示すように、遊戯者の足首にリング状に装着される形態を有し、ディスプレイ画面に表示させる被投擲物の矢図形102に代わって、いずれもボールの図形とすればよい。
【0028】
以上説明したように、本発明に係る投擲スポーツ模擬装置においては、位置センサ9と加速度センサ11を内蔵した入力装置を、身体の腕や足に装着して、その装着部位の運動の位置や加速度を計測し、その運動軌跡を、ディスプレイ13上に映像又はデータの形式で表示させ、スポーツの上達の強力な一助にすることができる。その上、腕や足によって投げられたり蹴られたりする被投擲物体の身体から離れた瞬間の位置、加速度、及び方向を計測し、この被投擲物体の飛行状態や転がり状態を模擬して楽しむことが出来る。すなわち、従来の入力装置操作、マウスクリック、レバー、トラックボール操作などによる、投打蹴スポーツの模擬ゲームに比べて、はるかに面白い、スポーツ本来のスピード感、動作爽快感や練習達成感を持つ模擬ゲームを提供することができる。
【0029】
また、上記実施形態では主としてダーツゲーム、ボウリングについて説明したが、それらに限らず、手足を直接使って投げたり、蹴ったりする他の投擲ゲームにも適用することができる。例えば、サッカーのペナルティキック戦、バスケットボールのフリースロー戦、フリスビー、砲丸投げ、円盤投げ、矢投げ、玉入れ、弓技などである。さらに、投擲蹴される物体を、手足を直接使って投げたり蹴ったりするのではなく、ゴルフ、野球、テニスなどのように打つための道具、クラブ、バット、ラケットを使って被投擲物体を打つスポーツにおいても、本発明は適用可能で、その場合は、入力装置はクラブ、バット、ラケットのような打つ道具に入力装置30を装着させることになる。
【0030】
また、入力装置30が3次元的な回転加速度を検出可能なものである場合には、球技スポーツの模擬に特に有効となる。これについて図6を参照して説明する。図6は、投擲スポーツで用いられる円形ボールを3次元的に示し、円形ボール201の断平面を202で示す。この円形ボール201がボウリングボールとすると、腕輪状の入力装置30で擬似的に捕まれたボール201は、投げられた時に回転運動を起こす。この場合の、水平平面(XY平面)の回転加速度ΔZと、垂直平面(YZ平面)の回転加速度ΔXが、加速度センサ11により計測される。この回転加速度ΔZを回転の模擬条件に与えることにより、投げられたボウリングボール201がレーン上を走る場合、フックやスライスになるよう模擬することができる。同様に回転加速度ΔXを回転の条件を与えることによりドライブやスピンになるよう模擬することができる。このような回転加速度の模擬は、ボウリングのみならず、サーカーなどの球技スポーツの模擬に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る投擲スポーツ模擬装置のコンピュータシステムのハードウェア構成図。
【図2】同上模擬装置の原理を説明するものであって、ディスプレイ上の表示状態を示す図。
【図3】同上模擬装置における被投擲物体の投擲飛行状態の模擬制御ステップを表すフローチャート。
【図4】ボウリングの場合の入力装置を示す図。
【図5】サッカーの場合の入力装置を示す図。
【図6】投擲スポーツで用いられる円形ボールを3次元的に示す図。
【符号の説明】
【0032】
1 演算装置(MPU)
5 内部記憶装置(DRAM)
7 タイマ/カウンタ
9 位置センサ
11 加速度センサ
13 ディスプレイ
15 ハードディスクドライブ(HDドライブ)
17 メモリーカードドライブ
19 CD-ROMドライブ
30 入力装置
102 矢図形(被投擲物体図形)
103 スイング移動ラインに相当するポインター図形
106 スタートライン(投擲設定ライン)
107 中間ライン(投擲設定ライン)
108 エンドライン(投擲設定ライン)
116 スイング移動ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置、ディスプレイ装置、タイマ/カウンタ装置、演算装置、及びデータとプログラムを格納する記憶装置を備え、そのプログラムにより前記演算装置が各種制御ステップを実行して前記入力装置、ディスプレイ装置及びタイマ/カウンタ装置の入出力制御手段及び演算手段として機能するコンピュータシステムを用い、遊戯者が前記入力装置を操作して動かすことにより、前記ディスプレイ装置の画面上に描かれた被投擲物体が移動し、ディスプレイ画面上で投擲スポーツを模擬して楽しむ模擬装置において、
前記入力装置は、遊戯者の身体に装着し易いような形態とされ、該入力装置の位置を検知する位置センサと加速度を検知する加速度センサを有し、
前記演算装置は、
ディスプレイ画面上に、前記入力装置の移動操作に伴う前記各センサによる検知信号に応じて移動するポインター図形と、このポインター図形が重ね合わされたときに連動移動可能な被投擲物体の図形とを表示させる制御ステップと、
前記ポインター図形が予め画面上で設定されている投擲設定ラインを横切った時の、位置、加速度、及び交叉角度を計測する制御ステップと、
前記による計測値に応じて、被投擲物体の飛行初期スピード条件、及び初期方向条件を設定することにより、被投擲物体の投擲状態を模擬し、被投擲物体図形の移動軌跡をディスプレイ画面上に表示させる制御ステップと、を実行することを特徴とするコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置。
【請求項2】
前記投擲設定ラインが、被投擲物体図形の投擲方向に略直交する方向に設定された、スタートライン又は中間ラインと、被投擲物体が擬似的に遊戯者の手から離れる踏み切りラインに相当するエンドラインとを持ち、
前記入力装置のスイング移動ラインである前記ポインター図形と被投擲物体図形の移動軌跡が、前記各ラインと交叉した時間、座標、速度、加速度、及び交差角度を計測し、
前記移動軌跡が前記エンドラインと交叉する点における加速度又は交叉方向と、該移動軌跡が前記スタートライン又は中間ラインと交叉する点における加速度又は交叉方向との差を検知し、その検知結果を基に前記被投擲物体の飛行初期スピード又は初期方向条件又はカーブ条件を設定することを特徴とする請求項1記載のコンピュータ式投擲スポーツ模擬装置。
【請求項3】
コンピュータシステムの記憶装置に格納され、遊戯者の身体に装着し易いような形態とされた同システムの入力装置を遊戯者が操作して動かすことにより、同システムの演算装置が各種制御ステップを実行して、同システムに接続されたディスプレイ装置の画面上に描かれた被投擲物体が移動し、ディスプレイ画面上で投擲スポーツを模擬して楽しむスポーツ模擬装置用のコンピュータプログラムであって、
ディスプレイ画面上に、前記入力装置の移動操作に伴う該入力装置の位置を検知する位置センサと加速度を検知する加速度センサによる検知信号に応じて移動するポインター図形と、このポインター図形が重ね合わされたときに連動移動可能な被投擲物体の図形とを表示させる制御手順と、
前記ポインター図形が予め画面上で設定されている投擲設定ラインを横切った時の、位置、加速度、及び交叉角度を計測する制御手順と、
前記による計測値に応じて、被投擲物体の飛行初期スピード条件、及び初期方向条件を設定することにより、被投擲物体の投擲状態を模擬し、被投擲物体図形の移動軌跡をディスプレイ画面上に表示させる制御手順と、
を演算装置に実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−175158(P2006−175158A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374067(P2004−374067)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(396022228)ミキアーツインターナショナル有限会社 (1)
【Fターム(参考)】