説明

コンピュータ支援診断装置、X線CT装置及び画像処理装置

【課題】被検体のCT画像の取得後、支援診断アルゴリズムの完了までの待ち時間を短縮すること。
【解決手段】被検体4のスキャノ画像SD上において特定箇所Mの2Dシード点「・」を領域指定部15により指定し、このスキャノ画像SD上の2Dシード点「・」を基にCT画像VD中で被検体4における例えば肺臓Ha、Hbを抽出部25により抽出し、これら肺臓Ha、Hbに応じた支援診断アルゴリズムをCAD処理部26により実行して各肺臓Ha、Hbの肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばX線CT装置により取得された被検体の再構成画像から肺野領域等の対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して疾患部位を検出するコンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis:以下、CADと称する)装置、このCAD装置に用いられるX線CT装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CAD装置は、臨床により取得された患者等の被検体の画像をコンピュータにより画像処理して対象組織領域、例えば肺野領域の肺ガンや肝臓領域の肝臓ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して医師の診断を支援する。患者等の被検体の画像は、例えばX線CT装置によって被検体の複数の投影データを取得し、これら投影データを再構成した再構成画像(CT画像)である。CAD装置により取得された疾患の特徴や部位、数値化された疾患の特徴のデータは、例えば読影端末に送信される。
【0003】
このようにCAD装置を実行して医師の診断を支援するには、CAD装置の実行に先立って、被検体における対象組織領域の画像をCT画像から抽出するために、X線CT装置によって取得されたCT画像から対象組織領域の抽出位置を指定する必要がある。この対象組織領域の抽出位置を指定は、ユーザの操作によって行われる。例えば自動的に肝臓ガンの特徴や部位を検出し、かつ肝臓ガンの特徴を数値化する場合、CAD装置において肝臓ガン用の支援診断アルゴリズムを実行する前に肝臓領域の同定が必要である。すなわち、CAD装置は、例えば肺野領域や肝臓領域等の対象組織領域に応じた各支援診断アルゴリズムを有し、診断処理するためにCT画像から抽出された対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行する。
【0004】
CT画像は、広い領域を有し、このCT画像中から肝臓の位置を特定することは技術的に難しい。CT画像中から肝臓の位置を特定することが可能であっても、肝臓の位置を特定するまでに長い処理時間を要する。このため、CT画像中から肝臓の位置を特定するには、ユーザが例えば基準位置を設定したり、肝臓が存在する可能性を有する領域を指定することが多い。
【0005】
このようにユーザによってCT画像中から抽出する対象組織領域の抽出位置を指定する操作が行われる。このため、CAD装置における支援診断アルゴリズムの実行は、ユーザによる対象組織領域の抽出位置の指定の操作後になる。CAD装置において支援診断アルゴリズムの処理が完了するまでの時間は、一般に数分以上を要する。しかるに、X線CT装置によって被検体のCT画像を取得後、ユーザによって対象組織領域の抽出位置指定の操作が行われ、この後、CAD装置での支援診断アルゴリズムの処理が行われる。このため、X線CT装置によって被検体のCT画像を取得後、支援診断アルゴリズムの処理が完了し、読影が開始できるまでに待ち時間を要する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、被検体のCT画像の取得後、支援診断アルゴリズムの完了までの待ち時間を短縮できるCAD装置、X線CT装置及び画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明のコンピュータ支援診断装置は、被検体の再構成画像から対象組織領域を抽出し、対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出するコンピュータ支援診断装置において、再構成画像を撮影する前に取得される被検体のスキャノ画像上に、対象組織領域を抽出するための特定の箇所を指定する指定手段を具備する。
【0008】
請求項2に記載の本発明のコンピュータ支援診断装置は、被検体のスキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、被検体の複数の投影データを再構成して再構成画像を取得する再構成手段と、スキャノ画像上における特定の箇所を基に再構成画像中で被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出する診断手段とを具備する。
【0009】
請求項8に記載の本発明は、被検体のスキャノ画像を取得し、スキャノ画像から少なくとも撮影条件を決定して被検体の複数の投影データを再構成して再構成画像を取得するX線CT装置において、被検体のスキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、スキャノ画像上における特定の箇所を基に再構成画像中で被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された対象組織領域を画像処理装置に送信する送信手段とを具備する。
【0010】
請求項14に記載の本発明は、X線CT装置から送信された被検体のスキャノ画像と複数の投影データとを受け取り、少なくとも各投影データを再構成して再構成画像を取得する画像処理装置において、スキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、スキャノ画像上における特定の箇所を基に再構成画像中で被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出する診断手段とを具備する。
【0011】
請求項20に記載の本発明のコンピュータ支援診断装置は、被検体のスキャノ画像を取得し、スキャノ画像から少なくとも撮影条件を決定して被検体の複数の投影データを取得するX線CT装置と、被検体における対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出する画像処理装置と、各投影データを再構成して再構成画像を取得する再構成手段と、スキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、スキャノ画像上における特定の箇所を基に再構成画像中で被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段とを具備し、再構成手段と指定手段と抽出手段とは、それぞれX線CT装置又は画像処理装置のいずれか一方に設けられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検体のCT画像の取得後、支援診断アルゴリズムの完了までの待ち時間を短縮できるCAD装置、X線CT装置及び画像処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はコンピュータ支援診断(CAD)装置の全体構成図を示す。X線CT装置1は、寝台2を備える。この寝台2の上部には、天板3がZ方向に移動可能に設けられている。この天板3上には、患者等の被検体4が載置される。寝台2には、寝台駆動部5が設けられている。この寝台駆動部5は、スキャノ画像を取得するとき、又は例えばヘリカルスキャン等のCTスキャンを行ってCT画像を取得するときに天板3をZ方向に移動する。
【0014】
X線源6とX線検出器7とが対向して設けられている。これらX線源6とX線検出器7とには、スキャン機構部8に設けられている。このスキャン機構部8は、例えばヘリカルスキャン、すなわちX線源6とX線検出器7とを一体的に連続して回転させると共に、寝台駆動部5に移動制御信号を送出して寝台2の天板3をZ方向に移動させる。これにより、X線源6の軌跡が被検体4に対して螺旋を描く。
【0015】
X線源6には、高電圧発生部9が接続されている。この高電圧発生部9は、X線源6に対して高電圧を供給してX線源6からX線を放射させる。このX線は、被検体4に曝射され、被検体4を透過してX線検出器7に入射する。
X線検出器7は、例えば複数の受光素子を配列して成り、被検体4を透過したX線を受光し、このX線受光量に応じたX線検出信号を各受光素子毎に出力する。このX線検出器7には、データ収集部10が接続されている。
データ収集部10は、X線検出器7から出力される各受光素子毎の各X線検出信号を電圧信号に変換し、増幅し、さらにデジタル信号に変換する。
【0016】
X線CT制御部11は、コンピュータから成り、予め記憶された制御プログラムを実行することによってスキャン機構部8に対してスキャン動作の開始指令を送出すると共に、寝台駆動部5に対して移動指令を送出し、さらに高電圧発生部9に高電圧供給指令を送出し、被検体4のスキャノ画像の取得動作の制御や、被検体4の複数の投影データの取得動作の制御を行う。このX線CT制御部11は、図1の機能ブロックに示すようにCPUを有する主制御部12と、スキャノ画像取得部13と、投影データ取得部14と、領域指定部15と、送信部16とを有する。このX線CT制御部11は、記憶部17が設けられると共に、ディスプレイ18と、例えば操作パネル等からなるユーザインタフェースとしての操作入力部19とが接続されている。このX線CT制御部11には、ネットワーク20を介して画像処理装置としての画像サーバ21が接続されている。なお、図1では1台のX線CT装置1がネットワーク20を介して画像サーバ21に接続されているが、実際には複数台のX線CT装置1がネットワーク20を介して画像サーバ21に接続されている。
【0017】
スキャノ画像取得部13は、被検体4のCT画像を取得する前に、CTスキャンの開始位置及びCT画像を取得するときの撮影条件等を決定するための例えば図3に示すような被検体4の2次元のスキャノ画像SDを取得する。すなわち、被検体4のスキャノ画像SDは、X線源6の位置を所定の回転角度に固定し、寝台2の天板3を図2に示すようにZ方向に移動させる。このとき、X線源6は、X線を被検体4に曝射する。X線検出器7は、被検体4を透過したX線を受光し、このX線受光量に応じたX線検出信号を各受光素子毎に出力する。データ収集部10は、X線検出器7から出力される各受光素子毎の各X線検出信号を電圧信号に変換し、増幅し、さらにデジタル信号に変換する。しかるに、スキャノ画像取得部13は、データ収集部10からの各デジタルX線検出信号を入力し、これらデジタルX線検出信号から例えば図3に示すような被検体4の2次元のスキャノ画像SDを取得する。このスキャノ画像SDには、左右の肺臓Ha、Hbと気管支Hcとが写っている。
【0018】
投影データ取得部14は、CTスキャンの開始位置及びCT画像の撮影条件に従ってCTスキャンを行ったときの被検体4を透過したX線透過量に応じた投影データを取得する。すなわち、投影データは、例えばX線源6とX線検出器7とを一体的に連続して回転させると共に、寝台2の天板3をZ方向に移動させるヘリカルスキャンを行っているときに、X線源6は、X線を被検体4に曝射する。X線検出器7は、被検体4を透過したX線を受光し、このX線受光量に応じたX線検出信号を各受光素子毎に出力する。データ収集部10は、X線検出器7から出力される各受光素子毎の各X線検出信号を電圧信号に変換し、増幅し、さらにデジタル信号に変換する。しかるに、投影データ取得部14は、データ収集部10からの各デジタルX線検出信号を入力し、これらデジタルX線検出信号から被検体4の投影データを取得する。
【0019】
領域指定部15は、例えば図3に示すスキャノ画像SDをディスプレイ18に表示し、このディスプレイ18上で操作入力部19からのユーザの操作指示によってスキャノ画像SD上に特定箇所Mを例えば2D(2次元)シード点「・」により指示する。なお、図3は特定箇所Mを明確に示すために「×」により示す。このスキャノ画像SD上の特定箇所Mの点「・」は、スキャノ画像SD上において2次元の位置情報を有する。又、このスキャノ画像SD上の特定箇所Mの2Dシード点「・」の指示は、スキャノ画像SDからCTスキャンして各投影データを取得し、再構成するときの撮影条件を決定するときに行われる。
【0020】
スキャノ画像SD上における特定箇所Mの2Dシード点「・」の指示位置は、被検体4における対象組織領域が肺野領域の場合、例えば図3に示すようにスキャノ画像SD上における被検体4の気管支Hc上に指定される。被検体4の左右の肺臓Ha、Hb及び気管支Hcには、それぞれ空気が存在する。CT画像中において空気に対するCT値は、例えば−500以下を示す。従って、特定箇所Mの2Dシード点「・」を被検体4の気管支上に指示しておけば、CT画像中の−500以下のCT値を連結することにより被検体4の左右の肺臓Ha、Hbを抽出可能となるからである。
【0021】
送信部16は、スキャノ画像取得部13により取得された被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、投影データ取得部14により取得された被検体4の投影データと、領域指定部15により取得されたスキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」の位置情報とをネットワーク20を介して画像サーバ21に送信する。
【0022】
記憶部17は、例えばスキャノ画像取得部13により取得された被検体4の2次元のスキャノ画像SDや、投影データ取得部14により取得された被検体4の投影データ、領域指定部15により取得されたスキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」の位置情報等を一時的に記憶する。
【0023】
画像サーバ21は、X線CT装置1から送信された被検体4のスキャノ画像SDと複数の投影データとを受け取り、少なくとも各投影データを再構成してCT画像を取得する。この画像サーバ21は、図1の機能ブロックに示すようにCPUを有する主制御部22と、受信部23と、再構成部24と、抽出部25と、CAD処理部26とを有する。又、画像サーバ21には、記憶部27が設けられている。この画像サーバ21には、ネットワーク28を介して読影端末29が接続されている。なお、図1では1台の読影端末29がネットワーク28を介して画像サーバ29に接続されているが、実際には複数台の読影端末29がネットワーク28を介して画像サーバ29に接続されている。
【0024】
受信部23は、X線CT装置1の送信部16から送信された被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、被検体4の複数の投影データと、スキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」の位置情報とをネットワーク20を介して受信する。
【0025】
再構成部24は、受信部23により受信された被検体4の複数の投影データを受け取り、これら投影データを再構成して例えば図4に示すような3次元のCT画像VDを取得する。このCT画像VDは、被検体4の左右の肺臓Ha、Hb及び気管支Hcや肋骨Kなども写っている。
【0026】
抽出部25は、例えば図3に示すスキャノ画像SD上における特定箇所Mの2Dシード点「・」を基に例えば図5に示すようにCT画像VD中で被検体4における例えば左右の肺臓Ha、Hbを抽出する。なお、図5では抽出した例えば被検体4の左右の肺臓Ha、Hbを明確に示すために太線により囲んである。
具体的に抽出部25は、対象組織領域が例えば被検体4の左右の肺臓Ha、Hbの場合、先ず、領域指定部15により指定したスキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」をCT画像VD内に投影して例えば図6に示すような線分Sを取得する。この線分Sは、例えば被検体4の前面から後面に向かう方向すなわちX方向に延びて気管支Hcを貫く。スキャノ画像SDの撮影時とCT画像VDの撮影時とでは、それぞれ寝台2上で被検体4の位置は移動しない。従って、スキャノ画像SDとCT画像VDとの間は、互いに座標値に対応関係がある。
【0027】
次に、抽出部25は、線分S上の各CT値に基づいて気管支Hcを検索し、気管支Hcの中点、すなわち図7に示すように円筒状の気管支Hcの中心軸上に3D(3次元)シード点SPを設定する。この3Dシード点SPは、3次元情報を有する。なお、気管支Hcの検索は、気管支Hc中の空気が存在し、CT画像VD中において気管支Hc内のCT値が例えば−500以下を示すので、抽出部25によりCT画像VD中の−500以下の各CT値を連結することにより気管支Hcの領域を求め、この領域から気管支Hcの中点を検索する。このとき、被検体4の外、すなわち患者の体外の空気領域は、直線の端点を含むはずなので、端点を含まない領域を検索すれば、気管支Hcの領域を特定できる。
【0028】
次に、抽出部25は、3Dシード点SPを用いて所定のCT値、すなわち−500以下のCT値を有する3Dシード点SPと同一のCT値をCT画像VD中から検索して連結し、これら連結した各CT値の領域を被検体4の左右の肺臓Ha、Hb及び気管支Hcとして決定する。この場合、抽出部25は、気管支Hcに設定した3Dシード点SPを用いて例えば領域拡張法によりCT値が−500以下で3Dシード点SPに連結する領域を被検体4の左右の肺臓Ha、Hbとして求める。
【0029】
CAD処理部26は、肺臓や肝臓用の各支援診断アルゴリズムを記憶する。このCAD処理部26は、例えば抽出部25により抽出された対象組織領域、例えば図5に示す被検体4の左右の肺臓Ha、Hbに応じた支援診断アルゴリズムを実行して被検体4の左右の肺臓Ha、Hbから疾患情報、例えば肺臓Ha、Hbの肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。
読影端末29は、ユーザの操作指示を受け、ネットワーク28を介して画像サーバ21にアクセスし、例えば被検体4のCT画像VDや肺臓Ha、Hbにおける肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化したデータを受け取ってディスプレイに表示する。
【0030】
次に、上記の如く構成された装置による支援診断の作用について説明する。
寝台2上に患者等の被検体4が載置される。CT画像を取得する前に、被検体4のスキャノ画像が取得される。スキャン機構部8は、X線源6の位置を所定の回転角度に固定する。寝台駆動部5は、寝台2の天板3を図2に示すようにZ方向に移動する。このとき、高電圧発生部9は、X線源6に高電圧を供給する。これにより、X線源6は、X線を被検体4に曝射する。X線は、被検体4を透過してX線検出器7に入射する。このX線検出器7は、被検体4を透過したX線を受光し、このX線受光量に応じたX線検出信号を各受光素子毎に出力する。データ収集部10は、X線検出器7から出力される各受光素子毎の各X線検出信号を電圧信号に変換し、増幅し、さらにデジタル信号に変換する。スキャノ画像取得部13は、データ収集部10からの各デジタルX線検出信号を入力し、これらデジタルX線検出信号から例えば図3に示すような被検体4の2次元のスキャノ画像SDを取得する。
【0031】
次に、領域指定部15は、例えば図3に示すスキャノ画像SDをディスプレイ18に表示する。ユーザは、ディスプレイ18に表示されたスキャノ画像SDを観察し、操作入力部19を操作してスキャノ画像SD上に特定箇所Mを2Dシード点「・」により指示する。この2Dシード点「・」の指示位置は、被検体4における対象組織領域が肺野領域の場合、例えば図3に示すようにスキャノ画像SD上における被検体4の気管支Hc上に指定される。
【0032】
なお、主制御部12は、スキャノ画像SDからCTスキャンして各投影データを取得し、再構成してCT画像VDを取得するときの撮影条件、例えばX線源6に印加する高電圧値、電流値などを決定する。
【0033】
次に、被検体4に対するCT画像VDの撮影が行われる。このとき、被検体4は、スキャノ画像SDの撮影時とCT画像VDの撮影時とにおいて寝台2上で移動しない。スキャン機構部8は、例えばヘリカルスキャン、すなわちX線源6とX線検出器7とを一体的に連続して回転させると共に、寝台駆動部5に移動制御信号を送出して寝台2の天板3をZ方向に移動させる。これにより、X線源6の軌跡が被検体4に対して螺旋を描く。このヘリカルスキャン時に、X線源6は、撮影条件に従ったX線量のX線を被検体4に曝射する。X線は、被検体4を透過してX線検出器7に入射する。このX線検出器7は、被検体4を透過したX線を受光し、このX線受光量に応じたX線検出信号を各受光素子毎に出力する。
【0034】
データ収集部10は、X線検出器7から出力される各受光素子毎の各X線検出信号を電圧信号に変換し、増幅し、さらにデジタル信号に変換する。しかるに、投影データ取得部14は、データ収集部10からの各デジタルX線検出信号を入力し、これらデジタルX線検出信号から被検体4の投影データを取得する。
【0035】
次に、送信部16は、スキャノ画像取得部13により取得された被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、領域指定部15により取得されたスキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」の位置情報と、投影データ取得部14により取得された被検体4の投影データとをネットワーク20を介して画像サーバ21に送信する。
【0036】
一方、画像サーバ21において、受信部23は、X線CT装置1の送信部16から送信された被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、スキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」の位置情報と、被検体4の複数の投影データとをネットワーク20を介して受信する。
次に、再構成部24は、受信部23により受信された被検体4の複数の投影データを受け取り、これら投影データを再構成して例えば図4に示すような3次元のCT画像VDを取得する。
【0037】
次に、抽出部25は、例えば図3に示すスキャノ画像SD上における特定箇所Mの2Dシード点「・」を基に例えば図5に示すようにCT画像VD中で被検体4における左右の肺臓Ha、Hbを抽出する。これらCT画像VD中からの左右の肺臓Ha、Hbの抽出処理は、既にスキャノ画像SD上に2Dシード点「・」が指定されているので、3次元のCT画像VDを受け取った時点から直ちに実行できる。
【0038】
すなわち、抽出部25は、スキャノ画像SDとCT画像VDとの間で互いに座標値に対応関係があるので、例えば被検体4の左右の肺臓Ha、Hbの場合、スキャノ画像SD上に特定箇所Mの2Dシード点「・」をCT画像VD内に投影して例えば図6に示すような例えば被検体4の前面から後面に向かう線分Sを取得する。
次に、抽出部25は、CT画像VD中の−500以下の各CT値を連結することにより気管支Hcの領域を求め、この領域から気管支Hcの中点、すなわち図7に示すように円筒状の気管支Hcの中心軸上に3Dシード点SPを設定する。このとき、被検体4の外、すなわち患者の体外の空気領域は、直線の端点を含むはずなので、端点を含まない領域を検索すれば、気管支Hcの領域を特定できる。
【0039】
次に、抽出部25は、3Dシード点SPを用いて所定のCT値、すなわち−500以下のCT値を有する3Dシード点SPと同一のCT値をCT画像VD中から検索して連結し、これら連結した各CT値の領域を被検体4の左右の肺臓Ha、Hb及び気管支Hcとして決定する。この場合、抽出部25は、気管支Hcに設定した3Dシード点SPを用いて例えば領域拡張法によりCT値が−500以下で3Dシード点SPに連結する領域を図5に示すように被検体4の左右の肺臓Ha、Hbとして求める。なお、これら左右の肺臓Ha、Hbの領域は、各肺臓Ha、Hbや気道を含み、かつ各肺臓Ha、Hb中の血管等の微細な孔も存在する。これら孔は、例えばエローション処理、ダイレーション処理、領域拡張法などを用いて領域の整形を行うことにより取り除くことができる。
【0040】
次に、CAD処理部26は、抽出部25により抽出された例えば図5に示す被検体4の左右の肺臓Ha、Hbに応じた支援診断アルゴリズムを実行して被検体4の左右の肺臓Ha、Hbから疾患情報、例えば肺臓Ha、Hbの肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。
読影端末29は、ユーザの操作指示を受け、ネットワーク28を介して画像サーバ21にアクセスし、例えば被検体4のCT画像VDや肺臓Ha、Hbにおける肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化したデータを受け取ってディスプレイに表示する。これにより、読影医等のユーザは、ディスプレイに表示された被検体4のCT画像VDや肺臓Ha、Hbにおける肺ガン等の疾患の特徴や部位、数値化した疾患の特徴を見て肺ガン等の疾患の読影を行う。
【0041】
このように上記第1の実施の形態によれば、被検体4のスキャノ画像SD上において特定箇所Mの2Dシード点「・」を指定し、このスキャノ画像SD上の2Dシード点「・」を基にCT画像VD中で被検体4における例えば肺臓Ha、Hbを抽出し、これら肺臓Ha、Hbに応じた支援診断アルゴリズムを実行して各肺臓Ha、Hbの肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。これにより、自動的に被検体4のCT画像VDを取得した時点から連続して左右の肺臓Ha、Hbを抽出し、各肺臓Ha、Hbの肺ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める支援診断アルゴリズムを実行できる。
【0042】
この結果、例えば病院においてX線CT装置1による撮影の後、読影の開始までの期間中に、自動的に左右の肺臓Ha、Hbの抽出と各肺臓Ha、Hbに対する支援診断アルゴリズムの実行とができる。しかるに、読影開始時点において既に、各肺臓Ha、Hbの肺ガン等の疾患の特徴や部位の検出結果や疾患の特徴を数値化した結果が得られており、ユーザの待ち時間を短縮でき、かつユーザの待ち時間をなくすことが可能である。
【0043】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、装置構成は、図1と同一なので、図1を援用して相違するところについて説明する。本発明装置は、被検体4における対象組織領域として肝臓領域における肝臓ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、この疾患の特徴を数値化して求める。
領域指定部15は、例えば図8に示すスキャノ画像SDをディスプレイ18に表示する。このスキャノ画像SDには、肝臓Hkが表示されている。領域指定部15は、ディスプレイ18上で操作入力部19からのユーザの操作指示によってスキャノ画像SD上に特定箇所Mとして例えば四角形の枠Wを指定する。この枠Wは、肝臓Hkを囲んだ2次元領域に指定される。
【0044】
抽出部25は、予め既知な肝臓領域抽出手法、例えばシード点を用いない手法として領域指定部15により指定した枠WをCT画像に投影し、この投影により得られた直方体内の領域内から肝臓Hkを抽出する。又、抽出部25は、シード点を用いる手法として例えば胃腸などの腹部臓器から集まった血液を肝臓Hkに運ぶ門脈内にシード点を決定し、このシード点のCT値と略同一CT値でかつ連続するCT値を検索し、これら連続するCT値の領域を肝臓Hkとして抽出する。
【0045】
次に、上記の如く構成された装置による支援診断の作用について説明する。
寝台2上に患者等の被検体4が載置され、上記同様に、CT画像を取得する前に、図8に示すような被検体4のスキャノ画像SDが取得される。
次に、領域指定部15は、例えば図8に示すスキャノ画像SDをディスプレイ18に表示する。ユーザは、ディスプレイ18に表示されたスキャノ画像SDを観察し、操作入力部19を操作してスキャノ画像SD上に特定箇所Mとして例えば肝臓Hkを囲んだ2次元領域の四角形の枠Wを指定する。
【0046】
次に、被検体4は、スキャノ画像SDの撮影時と同一姿勢を保ち、この状態で、上記同様に例えばヘリカルスキャンが行われて被検体4に対するCT画像VDの撮影が行われる。これにより、投影データ取得部14は、データ収集部10からの各デジタルX線検出信号を入力し、これらデジタルX線検出信号から被検体4の投影データを取得する。
【0047】
次に、送信部16は、図8に示す被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、スキャノ画像SD上に指定された四角形の枠Wの位置情報と、被検体4の投影データとをネットワーク20を介して画像サーバ21に送信する。
【0048】
一方、画像サーバ21において、受信部23により図8に示す被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、スキャノ画像SD上に指定された四角形の枠Wの位置情報と、被検体4の投影データとを受信すると、再構成部24は、被検体4の複数の投影データを受け取り、これら投影データを再構成して3次元のCT画像を取得する。
【0049】
次に、抽出部25は、予め既知な肝臓領域抽出手法、例えばシード点を用いない手法として領域指定部15により指定した枠WをCT画像に投影し、この投影により得られた直方体内の領域内から肝臓Hkを抽出する。又、抽出部25は、シード点を用いる手法として例えば胃腸などの腹部臓器から集まった血液を肝臓Hkに運ぶ門脈内にシード点を決定し、このシード点のCT値と略同一CT値でかつ連続するCT値を検索し、これら連続するCT値の領域を肝臓Hkとして抽出する。
【0050】
次に、CAD処理部26は、抽出部25により抽出された被検体4の肝臓Hkに応じた支援診断アルゴリズムを実行して被検体4の肝臓Hkから疾患情報、例えば肝臓Hkの肝臓ガンなどの疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。
読影端末29は、ユーザの操作指示を受け、ネットワーク28を介して画像サーバ21にアクセスし、例えば被検体4のCT画像VDや肝臓Hkにおける肝臓ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化したデータを受け取ってディスプレイに表示する。これにより、読影医等のユーザは、ディスプレイに表示された被検体4のCT画像VDや肝臓Hkにおける肝臓ガン等の疾患の特徴や部位、数値化した疾患の特徴を見て肺ガン等の疾患の読影を行う。
【0051】
このように上記第2の実施の形態によれば、被検体4のスキャノ画像SD上において肝臓Hkを囲む枠Wを指定し、このスキャノ画像SD上の枠W内から肝臓Hkを抽出し、この肝臓Hkに応じた支援診断アルゴリズムを実行するので、上記第1の実施の形態と同様に、例えば病院においてX線CT装置1による撮影の後、読影の開始までの期間中に、自動的に肝臓Hkの抽出と肝臓Hkに対する支援診断アルゴリズムの実行とができ、読影開始時点において既に、肝臓Hkの肝臓ガン等の疾患の特徴や部位の検出結果や疾患の特徴を数値化した結果が得られており、ユーザの待ち時間を短縮でき、かつユーザの待ち時間をなくすことが可能である。
【0052】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、装置構成は、図1と同一なので、図1を援用して相違するところについて説明する。本発明装置は、被検体4における対象組織領域として肝臓領域における肝臓ガン等の疾患の特徴や部位を検出し、この疾患の特徴を数値化して求める。
領域指定部15は、図9に示すようにスキャノ画像表示部30と、調整部31とを有する。スキャノ画像表示部30は、例えばディスプレイ18に図10に示すようなスキャノ画像SDを表示する。
調整部31は、スキャノ画像表示部30により表示されるスキャノ画像SDに対して位置関係が対応し、複数の対象組織領域、例えば患者等の被検体4における肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈等ごとにCT画像から抽出する領域の範囲を調整可能とする。具体的に調整部31は、肝臓癌、肺臓癌、大腸癌、乳房癌、大動脈疾患及び冠動脈疾患を診断するための各グラフ表示領域32〜37を例えばディスプレイ18に表示する。これらグラフ表示領域32〜37は、ディスプレイ18の画面上において、スキャノ画像SDと並設し、かつ互いに平行に表示される。又、これらグラフ表示領域32〜37は、スキャノ画像SDのZ方向すなわち被検体4の身長方向と同一長さを有する。
【0053】
これらグラフ表示領域32〜37は、それぞれ肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈の各対象組織領域を指定するための例えばグレー色で表示する各グレー領域38〜43を表示する。なお、グレー領域38〜43は、グレー色に限らず、他の色を表示してもよい。これらグレー領域38〜43のZ方向における範囲は、被検体4における肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈等の大きさに応じて調整可能である。これらグレー領域38〜43のZ方向における範囲は、例えば操作入力部19に対するユーザの操作によって可変調整である。例えば、冠動脈のグレー領域43は、範囲Fに設定されているが、例えば範囲Faに調整可能である。これらグレー領域38〜43のZ方向における範囲の調整は、例えばグレー領域38〜43の上端又は下端のうちいずれか一方又は両方の位置を調整すればよい。
【0054】
調整部31は、ディスプレイ18の画面上において、各チェックボックス44〜49をそれぞれ各グレー領域38〜43の上方に表示する。これらチェックボックス44〜49は、被検体4における例えば肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈に対するCAD診断を実行するか否かを指示する。これらチェックボックス44〜49には、例えば操作入力部19に対するユーザの操作によってチェックが入れられる。図10では例えば肝臓、肺臓、大腸、大動脈及び冠動脈にチェックが入れられ、乳房にチェックが入れられていない。従って、例えば肝臓、肺臓、大腸、大動脈及び冠動脈に対するCAD診断が行われ、乳房に対するCAD診断が行われない。なお、乳房のグラフ表示領域35にグレー領域が表示されていないのは、乳房に対するCAD診断が行われないからである。
【0055】
このような領域指定部15を用いれば、患者等の被検体4のCT画像を取得する前に、被検体4のスキャノ画像が取得される。スキャノ画像表示部30は、例えばディスプレイ18に図10に示すようなスキャノ画像SDを表示する。これと共に調整部31は、図10に示すように肝臓癌、肺臓癌、大腸癌、乳房癌、大動脈疾患及び冠動脈疾患を診断するための各グラフ表示領域32〜37を例えばディスプレイ18に表示し、かつ同ディスプレイ18の画面上において、各チェックボックス44〜49をそれぞれ各グレー領域38〜43の上方に表示する。
【0056】
ここで、各チェックボックス44〜49には、例えば操作入力部19に対するユーザの操作によってチェックが入れられる。図10では例えば肝臓、肺臓、大腸、大動脈及び冠動脈にチェックが入れられ、乳房にチェックが入れられていない。
【0057】
一方、グレー領域38〜43のZ方向における範囲は、例えば操作入力部19に対するユーザの操作によって可変調整される。これらグレー領域38〜43のZ方向における範囲の調整は、例えばグレー領域38〜43の上端又は下端のうちいずれか一方又は両方の位置を移動して行われる。
【0058】
X線CT装置1による撮影の後、送信部16は、例えば図10に示す被検体4の2次元のスキャノ画像SDと、領域指定部15により取得されたグレー領域38〜43のZ方向における範囲情報と、各チェックボックス44〜49におけるチェック情報と、投影データ取得部14により取得された被検体4の投影データとをネットワーク20を介して画像サーバ21に送信する。
【0059】
画像サーバ21において、抽出部25は、領域指定部15により取得されたグレー領域38〜43のZ方向における範囲情報に基づいてCT画像から例えば肝臓領域、肺臓領域、大腸領域、大動脈領域、冠動脈領域抽出する。
CAD処理部26は、各チェックボックス44〜49におけるチェック情報によって肝臓用、肺臓用、大腸用、大動脈用及び冠動脈用の各支援診断アルゴリズムを選択する。しかるに、CAD処理部26は、CT画像から抽出した肝臓領域に対して肝臓用の支援診断アルゴリズムを実行して被検体4の肝臓における例えば肝臓ガンなどの疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。又、CAD処理部26は、CT画像から抽出した肺臓領域に対して肺臓用の支援診断アルゴリズムを実行して被検体4の肺臓における例えば肺臓ガンなどの疾患の特徴や部位を検出し、疾患の特徴を数値化して求める。以下同様に、CAD処理部26は、CT画像から抽出した大腸領域、大動脈領域、冠動脈領域に対してそれぞれ大腸用、大動脈用、冠動脈用の各支援診断アルゴリズムを実行してそれぞれ大腸、大動脈、冠動脈における各疾患の特徴や部位を検出し、これら疾患の特徴を数値化して求める。
【0060】
このように上記第3の実施の形態によれば、スキャノ画像SDに並設して例えば患者等の被検体4における肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈等ごとにCT画像から抽出する領域の範囲を調整可能とする各グラフ表示領域32〜37と、被検体4における例えば肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈に対するCAD診断を実行するか否かを指示する各チェックボックス44〜49とを表示するので、上記第1の実施の形態の効果に加えて、例えば肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈等の各臓器の大きさに合せてCT画像から抽出する領域を調整することができると共に、CAD処理部26において実行する支援診断アルゴリズムを指示できる。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0062】
例えば、X線CT制御部11は、主制御部12と、スキャノ画像取得部13と、投影データ取得部14と、領域指定部15と、送信部16とを有し、画像サーバ21は、主制御部22と、受信部23と、再構成部24と、抽出部25と、CAD処理部26とを有しているが、このうち領域指定部15と再構成部24と抽出部25とは、それぞれX線CT制御部11又は画像サーバ21のいずれか一方に設けることが可能である。
CT画像から例えば肝臓、肺臓、大腸、乳房、大動脈、冠動脈等の対象組織領域の抽出は、既知の領域抽出手法を用いてもよい。
画像処理装置としては、画像サーバ21を用いているが、これに限らず、CAD装置本体を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係るコンピュータ支援診断装置の第1の実施の形態を示す全体構成図。
【図2】同装置における寝台の移動を示す図。
【図3】同装置における被検体のスキャノ画像の一例を示す模式図。
【図4】同装置における投影データを再構成して取得した3次元CT画像の一例を示す模式図。
【図5】同装置におけるCT画像から抽出した被検体の左右の肺臓を示す模式図。
【図6】同装置におけるCT画像中に点を投影した直線を示す模式図。
【図7】同装置におけるCT画像中で気管支の中心軸上に設定したシード点を示す図。
【図8】本発明に係るコンピュータ支援診断装置の第2の実施の形態により取得される肝臓を含むスキャノ画像の模式図。
【図9】本発明に係るコンピュータ支援診断装置の第3の実施の形態における領域指定部のブロック構成図。
【図10】同装置における領域指定部による対象組織領域の調整例を示す図。
【符号の説明】
【0064】
1:X線CT装置、2:寝台、3:天板、4:被検体、5:寝台駆動部、6:X線源、7:X線検出器、8:スキャン機構部、9:高電圧発生部、10:データ収集部、11:X線CT制御部、12:主制御部、13:スキャノ画像取得部、14:投影データ取得部、15:領域指定部、16:送信部、17:記憶部、18:ディスプレイ、19:操作入力部、20:ネットワーク、21:画像サーバ、22:主制御部、23:受信部、24:再構成部、25:抽出部、26:CAD処理部、27:記憶部、28:ネットワーク、29:読影端末、30:スキャノ画像表示部、31:調整部、32〜37:グラフ表示領域、38〜43:グレー領域、44〜49:チェックボックス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の再構成画像から対象組織領域を抽出し、前記対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して前記対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出するコンピュータ支援診断装置において、
前記再構成画像を撮影する前に取得される前記被検体のスキャノ画像上に、前記対象組織領域を抽出するための特定の箇所を指定する指定手段、
を具備することを特徴とするコンピュータ支援診断装置。
【請求項2】
被検体のスキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、
前記被検体の複数の投影データを再構成して再構成画像を取得する再構成手段と、
前記スキャノ画像上における前記特定の箇所を基に前記再構成画像中で前記被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して前記対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出する診断手段と、
を具備することを特徴とするコンピュータ支援診断装置。
【請求項3】
前記指定手段は、前記被検体の前記各投影データを取得して再構成するときの前記少なくとも撮影条件を前記スキャノ画像から決定する際に、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を指定することを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項4】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を点により指定することを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項5】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を枠により指定することを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記特定の箇所を起点とし、かつ前記再構成画像の画素値に基づいて前記対象組織領域を前記再構成画像中から抽出することを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項7】
前記指定手段は、前記スキャノ画像を表示するスキャノ画像表示部と、
前記スキャノ画像表示部に表示される前記スキャノ画像に対して位置関係が対応し、複数の前記対象組織領域毎に前記再構成画像から抽出する前記各対象組織領域の範囲を調整可能とする調整部と、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項8】
被検体のスキャノ画像を取得し、前記スキャノ画像から少なくとも撮影条件を決定して前記被検体の複数の投影データを再構成して再構成画像を取得するX線CT装置において、
前記被検体のスキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、
前記スキャノ画像上における前記特定の箇所を基に前記再構成画像中で前記被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記対象組織領域を画像処理装置に送信する送信手段と、
を具備することを特徴とするX線CT装置。
【請求項9】
前記指定手段は、前記被検体の前記各投影データを取得して再構成するときの前記少なくとも撮影条件を前記スキャノ画像から決定する際に、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を指定することを特徴とする請求項8記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を点により指定することを特徴とする請求項8記載のX線CT装置。
【請求項11】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を枠により指定することを特徴とする請求項8記載のX線CT装置。
【請求項12】
前記抽出手段は、前記特定の箇所を起点とし、かつ前記再構成画像の画素値に基づいて前記対象組織領域を前記再構成画像中から抽出することを特徴とする請求項8記載のX線CT装置。
【請求項13】
前記指定手段は、前記スキャノ画像を表示するスキャノ画像表示部と、
前記スキャノ画像表示部に表示される前記スキャノ画像に対して位置関係が対応し、複数の前記対象組織領域毎に前記再構成画像から抽出する前記各対象組織領域の範囲を調整可能とする調整部と、
を有することを特徴とする請求項8記載のX線CT装置。
【請求項14】
X線CT装置から送信された被検体のスキャノ画像と複数の投影データとを受け取り、少なくとも前記各投影データを再構成して再構成画像を取得する画像処理装置において、
前記スキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、
前記スキャノ画像上における前記特定の箇所を基に前記再構成画像中で前記被検体における対象組織領域を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して前記対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出する診断手段と、
を具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
前記指定手段は、前記被検体の前記各投影データを取得して再構成するときの前記少なくとも撮影条件を前記スキャノ画像から決定する際に、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を指定することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を点により指定することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を枠により指定することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記抽出手段は、前記特定の箇所を起点とし、かつ前記再構成画像の画素値に基づいて前記対象組織領域を前記再構成画像中から抽出することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記指定手段は、前記スキャノ画像を表示するスキャノ画像表示部と、
前記スキャノ画像表示部に表示される前記スキャノ画像に対して位置関係が対応し、複数の前記対象組織領域毎に前記再構成画像から抽出する前記各対象組織領域の範囲を調整可能とする調整部と、
を有することを特徴とする請求項14記載の画像処理装置。
【請求項20】
被検体のスキャノ画像を取得し、前記スキャノ画像から少なくとも撮影条件を決定して前記被検体の複数の投影データを取得するX線CT装置と、
前記被検体における対象組織領域に応じた支援診断アルゴリズムを実行して前記対象組織領域から少なくとも疾患情報を検出する画像処理装置と、
前記各投影データを再構成して再構成画像を取得する再構成手段と、
前記スキャノ画像上において特定箇所を指定する指定手段と、
前記スキャノ画像上における前記特定の箇所を基に前記再構成画像中で前記被検体における前記対象組織領域を抽出する抽出手段と、
を具備し、
前記再構成手段と前記指定手段と前記抽出手段とは、それぞれ前記X線CT装置又は前記画像処理装置のいずれか一方に設けられる、
ことを特徴とするコンピュータ支援診断装置。
【請求項21】
前記指定手段は、前記再構成手段により前記各投影データを再構成するときの前記少なくとも前記撮影条件を前記スキャノ画像から決定する際に、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を指定することを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項22】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を点により指定することを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項23】
前記指定手段は、前記スキャノ画像上において前記特定箇所を枠により指定することを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項24】
前記抽出手段は、前記特定の箇所を起点とし、かつ前記再構成画像の画素値に基づいて前記対象組織領域を前記再構成画像中から抽出することを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項25】
前記指定手段は、前記スキャノ画像を表示するスキャノ画像表示部と、
前記スキャノ画像表示部に表示される前記スキャノ画像に対して位置関係が対応し、複数の前記対象組織領域毎に前記再構成画像から抽出する前記各対象組織領域の範囲を調整可能とする調整部と、
を有することを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項26】
前記診断手段により検出された少なくとも前記疾患情報を表示する読影端末を有することを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項27】
前記対象組織領域が肺野領域の場合、
前記指定手段は、前記スキャノ画像上における気管支上に点を指定し、
前記抽出手段は、前記指定手段により指定した前記点を前記再構成画像に投影し、前記投影により得られた直線上の各画素値に基づいて気管領域を検索し、前記気管領域の中点に3次元情報を有するシード点を設定し、前記シード点を用いて所定の画素値となる前記シード点と連結する領域を前記肺野領域として決定する、
ことを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。
【請求項28】
前記対象組織領域が肝臓領域の場合、
前記指定手段は、前記スキャノ画像上の前記肝臓領域を囲んだ枠を指定し、
前記抽出手段は、前記指定手段により指定した前記枠を前記再構成画像に投影し、前記投影により得られた直方体内の領域から前記肝臓領域を抽出する、
ことを特徴とする請求項20記載のコンピュータ支援診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−67851(P2008−67851A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248401(P2006−248401)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】