説明

コンピューティングデバイスおよびその始動方法

【課題】コンピューティングデバイスの始動性能を向上させること。
【解決手段】コンピューティングデバイスであって、ワーキングメモリ(104)とプロセッシングユニット(102)とを有するコンピューティングユニット(101)と、該コンピューティングデバイスの始動時に、該コンピューティングユニット(101)に転送される、該コンピューティングデバイス(100)を動作する制御命令を含む、ブートメモリ(106)とを備え、少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによって該コンピューティングユニット(101)をインターフェースし、第3のインターフェースによって該ブートメモリ(106)をインターフェースするブート制御ユニット(108)をさらに備える、コンピューティングデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、コンピューティングデバイスとコンピューティングデバイスの動作方法とに関する。特に、本発明は、向上した始動性能を有するコンピューティングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
コンピュータプラットフォームは、広範な電子デバイス、例えば携帯型コンピュータ、モバイルインターネットデバイス、スマートフォン等を含む、携帯型電子デバイスに実装されている。さらに、コンピューティングプラットフォームは、車両に実装され、そこでコンピューティングプラットフォームは、広範な車両機能を実行する。これら全ての用途では、デバイスが動作可能になる前に、ユーザが直面する遅延が最小になるように、コンピューティングプラットフォームが迅速に始動することが望ましい。特に、自動車用途では、コンピューティングデバイスによって制御される車両機能は車両が発車してすぐに利用可能になるべきなので、高速始動時間が要求される。たとえば、車両の逆走に対する警告音は、車両の発車後すぐに利用可能になるべきである。さらに、例えばオーディオの高速起動(early audio)およびビデオの高速起動(early video)等に関する特別な要求があり得る。
【0003】
上記で言及された用途に対しては、例えば、Intel(登録商標)AtomTMプロセッサを用いたIntel(登録商標)Centrino(登録商標)AtomTMプラットフォーム(MenlowまたはMenlow XLプラットフォームとも称される)等が利用され得る。
【0004】
一般的に、コンピューティングデバイスを始動するときに、リセット信号が中央プロセッシングユニットに供給される。同期リセットが用いられるときに、Intel(登録商標)Centrino(登録商標)プラットフォームの場合にそうであるように、CPUによってリセット信号を認識および処理するために、クロック信号が要求される。従来型のシステムでは、クロック信号は、32kHzの水晶発振器を含むいわゆるリアルタイムクロック(RTC)によって生成される。そのような水晶発振器は、典型的には、800ms以上の発振立ち上がり(build−up)時間を有する。CPUは、リセット信号を処理可能になる前に、この時間の間、待機しなければならない。有効なRTCクロック信号がコンピューティングデバイスのシステムコントローラハブに対して利用可能になる前に、リセット信号が非活動化される場合には、不定の挙動が生じ得る。従って、リセット信号の非活動化は、RTC水晶の発振立ち上がりが終了するまで遅延されなければならない。初期プログラムロード(IPL)によって引き起こされる遅延ならびに比較的遅いローピンカウント(LPC)バスを介した始動アプリケーションと共に、そのような従来型のコンピューティングデバイスの始動時の遅延は、自動車環境の要求をもはや満たさなくなっている。
【0005】
一般的に、そのようなプラットフォームに基づくコンピューティングシステムは、始動のために約2秒を要し、約2メガバイト(MB)のサイズを有するシステムアプリケーションが、ブーティング手順(IPL)の間にロードされる。コンピューティングデバイスが動作可能になるまでの時間の長さは、自動車用途によって提示される要求に対しては一般的には長すぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、コンピューティングデバイスの始動性能を向上させることに対するニーズがある。特に、動作可能になるまでに、コンピュータデバイスによって要求される時間を低減することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このニーズは、独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項は、本発明の好適な実施形態を記載する。
【0008】
本発明の第1の局面に従うと、コンピューティングユニットとブートメモリとを備えているコンピューティングデバイスが提供される。コンピューティングユニットは、ワーキングメモリとプロセッシングユニットとを備えている。ブートメモリは、コンピューティングデバイスを動作する制御命令を含み、この制御命令は、コンピューティングデバイスの始動時にコンピューティングユニットに転送される。コンピューティングデバイスは、少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによってコンピューティングユニットをインターフェースし、第3のインターフェースによってブートメモリをインターフェースするブート制御ユニットをさらに備えている。ブート制御ユニットは、第1のインターフェースを介して、制御命令の第1の部分を、ブートメモリからコンピューティングユニットに転送し、第2のインターフェースを介して、制御命令の第2の部分を、ブートメモリからコンピューティングユニットに転送するように構成されている。
【0009】
ブートメモリカラコンピューティングユニットに制御命令を転送するために、2つのインターフェースを使用することにより、転送はより速く行われ得、コンピューティングデバイスの始動に要求される時間が低減され得る。
【0010】
本発明の一実施形態に従うと、制御命令の第2の部分は、第1の部分よりも大きく、第2のインターフェースは、第1のインターフェースよりも速いレートでデータを転送するように構成されている。制御命令は、例えば、コンピューティングデバイスの始動時に転送されるブートアプリケーションの一部である。ブートアプリケーションデータの第2の部分(より大きなサイズを有する)が2つのインターフェースのうち速いインターフェースを介して転送されるので、初期プログラムロードは、より少ない時間を要求し、始動性能は相応に向上される。
【0011】
ブート制御ユニットは、制御命令の第2の部分を、第2のインターフェースを介して、コンピューティングユニットのワーキングメモリに転送する直接メモリアクセス(DMA)コントローラを備え得る。従って、コンピューティングユニットのプロセッシングユニットは、制御命令の第2の部分が転送されるときに含まれる必要がない場合がある。結果として、制御命令の第2の部分は、DMAコントローラによって、例えば、コンピューティングユニットのSouthbridgeまたはシステムコントローラハブを介して、ワーキングメモリ内に直接的に転送され得る。結果として、プロセッシングユニットを含む必要性なしで、転送が高速かつ効率的に実行され得る。
【0012】
ブート制御ユニットは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。FPGAとしてまたはASICとしてのブート制御ユニットの実装によって、第1および第2のインターフェースを介したブートメモリからコンピューティングユニットへの制御命令の高速転送が達成され得る。ブート制御ユニットは、バッファを全く用いないか、またはわずかなバッファのみを用いて、制御命令のビットワイズな転送を行い得る。
【0013】
第1のインターフェースはローピンカウント(LPC)バスであり得る。第2のインターフェースは、ペリフェラルコンポーネントインターコネクトエクスプレス(PCIe)バスであり得る。ブートメモリとブート制御ユニットとの間の第3のインターフェースは、パラレルバス(例えば、8ビットパラレルバス)であり得る。制御命令のほんのわずかな部分が比較的遅いLPCバスを介して転送され、制御命令の大部分は、高速PCIeバスを介して転送されるので、初期プログラムロードの性能は、有意に向上し得る。
【0014】
制御情報の第1の部分は、第2のインターフェースを初期化する制御命令を含み得る。ブート制御ユニットは、第2のインターフェースの初期化後に、制御命令の第2の部分を転送するように構成され得る。例として、ブート制御ユニットは、LPCバス(コンピューティングデバイスが電力供給されるとすぐに利用可能になる)によって、制御命令の第1の部分を転送し得、このことに応答して、コンピューティングユニットはPCIeバスを初期化する。第1の部分の転送および初期化後に、制御命令の第2の部分が高速PCIeバスによって、転送され得る。
【0015】
コンピューティングユニットは、システムコントローラハブ(SHC)をさらに備え得、システムコントローラハブは、第1および第2のインターフェースを提供し、ワーキングメモリをインターフェースする。結果として、SHCを介して、ブート制御ユニットは、制御命令の第2の部分をワーキングメモリに直接的転送し得る。SHCは、例えば、Intel(登録商標)によって製造されたPoulsboまたはPoulsbo XLシステムコントローラハブであり得る。
【0016】
ブートメモリはフラッシュメモリを備え得る。このフラッシュメモリは、比較的小さいサイズ(例えば、約8MBまたは約16MBなどの4MB〜32MBのサイズ)のフラッシュメモリであり得るが、ブートメモリは、また、より大きなメモリ(例えば、ハードドライブまたはメモリカード)の一部であり得る。コンピューティングユニットは、上述のシステムコントローラハブが提供された、Intel(登録商標)MenlowまたはMenlow XLプラットフォームを含み得る。プロセッシングユニットは、X86互換性マイクロプロセッサであり得る。特に、Intel(登録商標)AtomTMマイクロプロセッサが使用され得る。
【0017】
本発明の別の局面に従うと、コンピューティングデバイスを動作する方法が提供され、このコンピューティングデバイスは、コンピューティングユニットを備え、コンピューティングユニットは、ワーキングメモリと、プロセッシングユニットと、ブートメモリとブート制御ユニットとを有し、このブートメモリは、コンピューティングデバイスの始動時に、コンピューティングユニットに転送される、コンピューティングデバイスを動作する制御命令を含み、このブート制御ユニットは、少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによってコンピューティングデバイスをインターフェースし、第3のインターフェースによってブートメモリをインターフェースする。この方法は、ブート制御ユニットによって、ブートメモリから、制御命令を引き出すステップと、制御命令の第1の部分を、第1のインターフェースを介して、コンピューティングユニットに転送するステップと、制御命令の第2の部分を、第2のインターフェースを介して、コンピューティングユニットに転送するステップとを包含する。
【0018】
上記方法は、コンピューティングデバイスの始動時に、例えば、コンピューティングデバイスに電力供給した直後に行われ得る。一実施形態に従うと、制御命令は、ブートメモリに圧縮フォーマットで格納され、上記方法は、圧縮された制御命令がコンピューティングユニットにおいて受信された後に、プロセッシングユニットによって制御命令を解凍するステップをさらに包含する。
【0019】
上記方法によって動作されるコンピューティングデバイスは、上述のように構成され得る。
【0020】
コンピューティングデバイスを動作する方法を用いて、制御命令は、2つのインターフェースを介して、ブートメモリからコンピューティングユニットに高速で転送され得、その結果、コンピューティングデバイスの始動性能が向上する。
【0021】
本発明の第2の局面に従うと、コンピューティングユニットを備えているコンピューティングデバイスであって、該コンピューティングユニットは、システムコントローラと、ワーキングメモリと、プロセッシングユニットとを有する、コンピューティングデバイスが提供され、システムコントローラは、クロック信号を受信するクロックインターフェースを備え、システムコントローラは、コンピューティングデバイスの始動時に、プロセッシングユニットに、受信されたクロック信号およびリセット信号を提供するようにさらに構成されている。プロセッシングユニットは、リセット信号を処理するために提供されたクロック信号を使用するように構成されている。このコンピューティングデバイスは、システムコントローラのクロックインターフェースをインターフェースするシステム管理コントローラ(SMC)をさらに備え、システム管理コントローラは、クロックインターフェースを介してシステムコントローラにクロック信号を供給するように適合されている。
【0022】
従来のコンピューティングデバイスにおいて、クロック信号は、概して、リアルタイムクロック(RTC)によって提供され、リアルタイムクロック(RTC)は、32kHzで実行され、発振の立ち上がりにかなりの時間を必要とする水晶発振器を含む。システム管理コントローラのクロック信号をコンピューティングユニットに供給することによって、リセット信号を認識するために要求される時間と、従ってコンピューティングデバイスを始動するために要求される時間とは、低減され得る。
【0023】
一実施形態に従うと、コンピューティングデバイスはクロック信号を生成する電子発振器をさらに備え、該電子発振器は、システム管理コントローラに接続されている。電子発振器は、例えば、従来のRTC発振器が動作する32kHzよりも実質的に高い周波数で動作する水晶発振器であり得る。従って、発振の立ち上がりは、かなり早く起こり、クロック信号は、コンピューティングデバイスをオンにした後すぐに(例えば、10ms〜50ms以内に)利用可能になる。
【0024】
電子発振器は水晶発振器を含み得、1MHzを超える周波数を有するクロック信号を生成し得、システムコントローラは、1MHz未満の周波数を有するクロック信号で動作するように適合され得る。電子発振器は、例えば、1MHz〜1GHzの範囲で動作し得、システムコントローラは、10kHz〜100kHzの範囲内で(例えば、32.8kHzで)クロック信号を必要とし得る。
【0025】
システム管理コントローラは、クロック信号の周波数をシステムコントローラによって要求される周波数に適合するように、電子発振器によって生成されたクロック信号の周波数を分割するように適合された周波数分割器を備え得る。その方法で、高速の発振の立ち上がりを伴う高周波数発振器が使用され得るが、システムコントローラは、正しい周波数のクロック信号を提供され得る。
【0026】
システムコントローラは、システムコントローラハブ(SCH)(例えば、Intel(登録商標)によって製造されたPoulsboまたはPoulsbo XLシステムコントローラハブ)であり得る。上述のように、コンピューティングユニットは、Intel(登録商標)MenlowまたはMenlow XLプラットフォームを備え得、プロセッシングユニットは、X86互換性マイクロプロセッサであり得る。SMCは、小型版の入力/出力(I/O)コントローラであり得るか、またはI/Oコントローラ機能、電源機能およびシステムクロック機能を含む集積組み合わせチップであり得る。
【0027】
本発明の第2の局面に従うコンピューティングデバイスは、本発明の第1の局面に従って上述のようにさらに構成され得る。特に、コンピューティングデバイスは、第1および第2のインターフェースを部分的に介してブートメモリ内に格納された制御命令をコンピューティングユニットに転送するために、少なくとも第1および第2のインターフェースを介してブートメモリをインターフェースし、コンピューティングユニットをインターフェースするブート制御ユニットを備え得る。
【0028】
本発明のさらなる局面に従って、コンピューティングデバイスを動作する方法が提供され、該コンピューティングデバイスは、コンピューティングユニットを備え、該コンピューティングユニットは、システムコントローラと、ワーキングメモリと、プロセッシングユニットとを備える。システムコントローラは、クロック信号を受信するクロックインターフェースを備え、コンピューティングデバイスは、システムコントローラのクロックインターフェースをインターフェースするシステム管理コントローラ(SMC)をさらに備えている。上記方法は、コンピューティングデバイスの始動時に、クロックインターフェースを介して、クロック信号を、システム管理コントローラからシステムコントローラに供給するステップと、システムコントローラによって、受信されたクロック信号およびリセット信号をプロセッシングユニットに提供するステップと、プロセッシングユニットにおいて、リセット信号を処理するために提供されたクロック信号を使用するステップとを包含する。
【0029】
本発明の第2の局面に従うデバイスに関して上述した利点は、また、この方法によっても達成され得る。特に、システム管理コントローラからのクロック信号がコンピューティングデバイスに電力供給したすぐ後に既に利用可能である場合には、システムコントローラおよびプロセッシングユニットにおけるリセット信号の認識ならびにリセット信号のリセットが素早く行われ得る。
【0030】
一実施形態に従って、上記方法は、システム管理コントローラに接続された電子発振器または水晶によって、クロック信号を生成することと、クロック信号の周波数をシステムコントローラによって要求される周波数に適合するように、システム管理コントローラ内の電子発振器または水晶によって生成されたクロック信号の周波数を分割することとをさらに包含する。
【0031】
上記方法は、リセット信号を、システム管理コントローラからシステムコントローラに提供することと、リセット信号がプロセッシングユニットによって処理された後に、リセット信号を非活動化することとをさらに包含する。リセット信号の非活動化が、上記の方法によって高速に行われ得るので、コンピューティングデバイスを始動するために要求される時間が低減され得る。
【0032】
さらに、コンピューティングデバイスは、本発明の第1および/または第2の局面に関して上述されるように構成され得る。特に、コンピューティングデバイスは、本発明の第1の局面に関して上述されたようにさらに構成され得、上記方法は、本発明の第1の局面に関して上述された複数の方法のうちの1つのステップをさらに包含し得る。例として、上述のリセット動作が行われた後で、上記方法は、ブート制御ユニットによって、第1および第2のインターフェースを介して、ブートメモリからコンピューティングユニットに制御命令を転送することをさらに包含し得る。これらの方法を組み合わせることによって、コンピューティングデバイスを始動するために要求される時間がさらに低減され得る。始動性能の向上は、コンピューティングデバイスが、自動車の用途のシステム始動要件に適合することを可能にし得る。
【0033】
本発明の上記の局面および実施形態の特徴は、別様に明示されない限り互いに組み合わせられ得る。
【0034】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
コンピューティングデバイスであって、
ワーキングメモリ(104)とプロセッシングユニット(102)とを有するコンピューティングユニット(101)と、
該コンピューティングデバイスの始動時に、該コンピューティングユニット(101)に転送される、該コンピューティングデバイス(100)を動作する制御命令を含む、ブートメモリ(106)と
を備え、
少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによって該コンピューティングユニット(101)をインターフェースし、第3のインターフェースによって該ブートメモリ(106)をインターフェースするブート制御ユニット(108)をさらに備え、該ブート制御ユニット(108)は、該第1のインターフェースを介して、該制御命令の第1の部分を、該ブートメモリ(106)から該コンピューティングユニット(101)に転送し、該第2のインターフェースを介して、該制御命令の第2の部分を、該ブートメモリ(106)から該コンピューティングユニット(101)に転送するように構成されていることを特徴とする、コンピューティングデバイス。
(項目2)
上記制御命令の上記第2の部分は、上記第1の部分よりも大きく、上記第2のインターフェースは、上記第1のインターフェースよりも速いレートでデータを転送するように構成されている、上記項目に記載のコンピューティングデバイス。
(項目3)
上記ブート制御ユニット(108)は、上記第2のインターフェースを介して、上記制御命令の上記第2の部分を、上記コンピューティングユニット(101)の上記ワーキングメモリ(104)に転送する直接メモリアクセスコントローラ(110)を備えている、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目4)
上記ブート制御ユニット(108)は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路を備えている、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目5)
上記第1のインターフェースは、ローピンカウントバス(107)であり、上記第2のインターフェースは、ペリフェラルコンポーネントインターコネクトエクスプレスバス(111)である、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目6)
上記コンピューティングユニット(101)は、システムコントローラハブ(103)を備え、該システムコントローラハブ(103)は、上記第1のインターフェースおよび上記第2のインターフェースを提供し、該システムコントローラハブ(103)は、上記ワーキングメモリ(104)をインターフェースする、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目7)
上記ブートメモリ(106)は、フラッシュメモリを備え、上記コンピューティングユニット(101)は、上記システムコントローラハブ(103)を有するIntel Menlowプラットフォームを備え、上記プロセッシングユニット(102)は、x86互換性マイクロプロセッサである、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目8)
上記制御命令の上記第1の部分は、上記第2のインターフェースを初期化する制御命令を含み、上記ブート制御ユニット(108)は、該第2のインターフェースの初期化後に、該制御命令の上記第2の部分を転送するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目9)
コンピューティングデバイスを動作する方法であって、該コンピューティングデバイスは、コンピューティングユニット(101)を備え、該コンピューティングユニット(101)は、ワーキングメモリ(104)と、プロセッシングユニット(102)と、ブートメモリ(106)であって、該ブートメモリ(106)は該コンピューティングデバイスの始動時に、該コンピューティングユニット(101)に転送される、該コンピューティングデバイス(100)を動作する制御命令を含む、ブートメモリ(106)と、ブート制御ユニット(108)であって、該ブート制御ユニット(108)は、少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによって該コンピューティングデバイス(101)をインターフェースし、第3のインターフェースによって該ブートメモリ(106)をインターフェースするブート制御ユニット(108)とを含み、該方法は、
該ブート制御ユニット(108)によって、該ブートメモリ(106)から、該制御命令を引き出すステップと、
該制御命令の第1の部分を、該第1のインターフェースを介して、該コンピューティングユニット(101)に転送するステップと、
該制御命令の第2の部分を、該第2のインターフェースを介して、該コンピューティングユニット(101)に転送するステップと
を包含する、方法。
(項目10)
上記制御命令は、上記ブートメモリ(106)内に圧縮フォーマットで格納され、上記方法は、
該圧縮された制御命令が上記コンピューティングユニット(101)において受信された後で、上記プロセッシングユニット(102)によって該制御命令を解凍することをさらに包含する、上記項目に記載の方法。
(項目11)
上記コンピューティングデバイスは、上記項目のいずれかに従って構成されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
コンピューティングデバイスであって、
コンピューティングユニット(101)であって、該コンピューティングユニット(101)は、システムコントローラ(103)と、ワーキングメモリ(104)と、プロセッシングユニット(102)とを備え、該システムコントローラ(103)は、クロック信号を受信するクロックインターフェースを備え、該システムコントローラ(103)は、該コンピューティングデバイス(100)の始動時に、該プロセッシングユニット(102)に、受信されたクロック信号およびリセット信号を提供するようにさらに構成され、該プロセッシングユニット(102)は、該リセット信号を処理するために該提供されたクロック信号を使用するように構成されている、コンピューティングユニット(101)を備え、
該システムコントローラ(103)の該クロックインターフェースをインターフェースするシステム管理コントローラ(105)をさらに備え、該システム管理コントローラ(105)は、該クロックインターフェースを介して該システムコントローラ(103)にクロック信号を供給するように適合されていることを特徴とする、コンピューティングデバイス。
(項目13)
上記クロック信号を生成する電子発振器をさらに備え、該電子発振器は、上記システム管理コントローラ(105)に接続される、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目14)
上記電子発振器は、水晶発振器を含み、1MHzを超える周波数を有するクロック信号を生成し、上記システムコントローラ(103)は、1MHz未満の周波数を有するクロック信号で動作するように適合されている、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目15)
上記システム管理コントローラ(105)は、上記クロック信号の上記周波数を、上記システムコントローラ(103)によって要求される周波数に適合するように、上記電子発振器によって生成された該クロック信号の周波数を分割するように適合された周波数分割器を備えている、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目16)
上記システムコントローラは、システムコントローラハブ(103)であり、上記コンピューティングユニット(101)は、Intel Menlowプラットフォームを備え、上記プロセッシングユニット(102)は、x86互換性マイクロプロセッサである、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目17)
上記コンピューティングデバイスは、上記項目のいずれかに従ってさらに構成されている、上記項目のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
(項目18)
コンピューティングデバイスを動作する方法であって、該コンピューティングデバイスは、コンピューティングユニット(101)を備え、該コンピューティングユニット(101)は、システムコントローラ(103)と、ワーキングメモリ(104)と、プロセッシングユニット(102)とを備え、該システムコントローラ(103)は、クロック信号を受信するクロックインターフェースを備え、該コンピューティングデバイス(100)は、該システムコントローラ(103)の該クロックインターフェースをインターフェースするシステム管理コントローラ(105)をさらに備え、該方法は、
該コンピューティングデバイス(100)の始動時に、該クロックインターフェースを介して、クロック信号を、該システム管理コントローラ(105)から該システムコントローラ(103)に供給するステップと、
該システムコントローラ(103)によって、該受信されたクロック信号およびリセット信号を該プロセッシングユニット(102)に提供するステップと、
該プロセッシングユニット(102)において、該リセット信号を処理するために該提供されたクロック信号を使用するステップと
を包含する、方法。
(項目19)
上記システム管理コントローラ(105)に接続された電子発振器または水晶によって、上記クロック信号を生成することと、
該クロック信号の周波数を上記システムコントローラ(103)によって要求される周波数に適応するように、該システム管理コントローラ(105)内の電子発振器または水晶によって生成された該クロック信号の周波数を分割することと
をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目20)
上記リセット信号を、上記システム管理コントローラ(105)から上記システムコントローラ(103)に提供することと、
該リセット信号が上記プロセッシングユニット(102)によって処理された後に、該リセット信号を非活動化することと
をさらに包含する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目21)
上記コンピューティングデバイスは、上記項目のいずれかに従って構成されている、上記項目のいずれかに記載の方法。
【0035】
(摘要)
本発明は、コンピューティングデバイスに関し、該コンピューティングデバイスは、
ワーキングメモリ(104)とプロセッシングユニット(102)とを有するコンピューティングユニット(101)と、
該コンピューティングデバイスの始動時に、該コンピューティングユニット(101)に転送される、該コンピューティングデバイス(100)を動作する制御命令を含む、ブートメモリ(106)と
を備え、
少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによって該コンピューティングデバイス(101)をインターフェースし、第3のインターフェースによって該ブートメモリ(106)をインターフェースするブート制御ユニット(108)をさらに備え、該ブート制御ユニット(108)は、該第1のインターフェースを介して、該制御命令の第1の部分を、該ブートメモリ(106)から該コンピューティングユニット(101)に転送し、該第2のインターフェースを介して、該制御命令の第2の部分を、該ブートメモリ(106)から該コンピューティングユニット(101)に転送するように構成されていることを特徴とする。
【0036】
本発明の上述およびその他の特徴および利点は、添付図面を参照して読まれた以下の詳細な説明からさらに明確に理解されるであろう。図中では、同じ参照番号は同じ要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従うコンピューティングデバイスを示す概略的ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に従う方法を示す流れ図である。
【図3】図3は、本発明の第2の局面に従う方法の実施形態を示す流れ図である。
【図4】図4は、本発明の第1の局面に従う方法の実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(詳細な説明)
実施形態に関する以下の記載は、例示目的のみで与えられており、限定的に捉えられるべきではないことが理解されるべきである。図面は単なる概略的表現として見なされるべきであり、図中の要素は互いに対して一定の比率であるとは限らないことに留意すべきである。むしろ、様々な要素の表現は、それらの機能および一般的な目的が当業者に明白であるような態様で、選択される。図面に示されている機能ブロックまたはユニットへの実施形態の分割は、これらのユニットが物理的に分離したユニットとして実装されなければならないということを示しているわけではなく、図示または記載されている機能ブロックまたはユニットは、分離したユニット、回路、チップまたは回路要素として実装され得るものの、それと同時に1つ以上の機能ブロックまたはユニットが、共通の回路、チップ、回路要素またはユニットとして実装され得るということが企図されている。
【0039】
図1の機能ブロック図は、コンピューティングデバイス100を示しており、該コンピューティングデバイスは、コンピューティングユニット101を含む。コンピューティングユニット101は、中央プロセッシングユニット102と、システムコントローラハブ103と、ワーキングメモリ104とを含む。図1の実施形態では、コンピューティングデバイス100は、Intel(登録商標)Centrino(登録商標)Atom(TM)プラットフォーム、特にMenlowまたはMenlow XLプラットフォームに基づいており、システムコントローラハブ103は、PoulsboまたはPoulsbo XLコントローラハブである。CPU102は、Intel(登録商標)Atom(TM)プロセッサである。異なるプロセッサまたはシステムコントローラを含むその他のプラットフォームもまた本発明と共に用いられ得ることが明らかである。メモリ104は、複数のダブルデータレート2(DDR2)ランダムアクセスメモリ(RAM)モジュールを含むが、その他のタイプのメモリも含み得る。
【0040】
コンピューティングデバイス100は、システム管理コントローラ(SMC)105をさらに含む。SMC105は、電力フローおよびファン速度などの機能を制御し得る。本実施形態においても、これは、コンピューティングデバイス101に対するリセットイベントを信号発信するために用いられる。これは、例えば、SCH103およびリセット信号を要求するプラットフォームのその他のコンポーネントに対しても信号発信され得る。SMC105は、クロック114と電源115とを含み得、1つの組み合わせチップソリューションにおいて実装され得る。
【0041】
コンピューティングデバイス100を始動するときに、第1の始動フェーズは、一般的にハードウェアによって制御される。このフェーズは、リセット信号の認識を含み、これは、同期リセットインターフェースに対する有効クロック信号の利用可能性によって制御される。クロック信号がないと、リセット信号はコンピューティングユニット101によって処理されることができない。
【0042】
従来型のシステムでは、例えば32.8kHzの周波数のクロック信号を生成するためにリアルタイムクロック水晶が用いられるが、そのようなRTC水晶は、800msよりも長い発振立ち上がり時間を要求する。そのような長い発振立ち上がり時間は、特に、バッテリーがRTC水晶を駆動するために用いられないことがあり得る自動車環境において直面される。
【0043】
図1の本実施形態は、RTC水晶からのクロック信号を用いないものの、SMC105からのクロック信号を用いる。SMC105は、それ自体が水晶発振器を含み得るか、または、SMC105の外部の発振器(図1には示されていない)とインターフェースを取り得る。SMC105に接続された水晶発振器は、RTC水晶よりも高い周波数(例えばMHz範囲)で動作する。結果として、SMC105に接続された発振器の発振立ち上がり時間は、RTC水晶よりも短く、例えばこれは、10〜20ms程度の短さであり得る。システム管理コントローラ105は、1つ以上の周波数分割器を含み、該周波数分割器は、クロック信号の周波数を低減する。そしてSCH103は、一般的にRTCの水晶発振器によって生成される周波数である32.768kHzの周波数を有する信号のクロック発信を要求する。SMC105は、クロック信号の周波数を、SCH103によって要求されるこの周波数に適合させる。
【0044】
SMC105によって提供されるクロック信号は、従来型のRTCのクロック信号よりも遥かに迅速に利用可能になるので、SCH103は、リセット信号の処理を遥かに迅速に動作させることができ、リセット信号の非活動化までのタイムスパンは、顕著に低減され得る。SCH103は、始動時にリセット信号とクロック信号との両方をCPU102に提供する。コンピューティングデバイス100の動作の間に、SMC105は、クロック信号をSCH103に供給することを継続する。
【0045】
従来型のシステムでは、SMC105は、リセット信号を生成するときに、RTCクロック信号が供給されることを必要とする。本実施形態では、SMC105はクロック信号自体を生成するので、SMC105に対するRTCクロック信号のそのようなフィードバックは、本実施形態においては要求されない。
【0046】
上述の始動フェーズの後に、コンピューティングデバイス100のさらなる初期化が、当該技術分野における任意の公知の方法に従って実行され得る。これは、メモリ104の初期化等を含み得る。
【0047】
コンピューティングデバイス100の始動は、コンピューティングユニット101への制御命令のローディングをさらに要求する。これらの制御命令を含むそのようなブートコードまたはブートアプリケーションは、ブートメモリ106内に格納され、該ブートメモリは、本実施形態ではフラッシュメモリとして実装される。コンピューティングデバイス100の始動の間のブートコードのローディングは、「初期プログラムロード(IPL)」とも称され得る。従来型のコンピューティングデバイスでは、ブートコードのローディング処理は、比較的遅いローピンコード(LPC)バス107を介して実行され、該ローピンコードバスは、毎秒約2MBの速度を達成し、LPCインターフェースによってフラッシュメモリユニットに直接的に接続される。このように、従来型のシステムでは、ブートアプリケーションをロードするために要求される時間は、LPCインターフェース107の帯域幅によって決定される。
【0048】
図1の実施形態では、ブート制御ユニット108が提供されており、該ブート制御ユニットは、パラレルインターフェース109を介してブートメモリ106とインターフェースを取る。これは、例えば8ビットインターフェースであり得る。ブート制御ユニット108は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)である。これらのユニットの両方は、特定の機能を高速かつ効率的に実行するように構成され得る。ブート制御ユニット108は、例えば、ダイレクトメモリアクセス(DMA)コントローラ110を含むように構成され得る。ブート制御ユニット108は、LPCバス107を介して、そしてPCIeバス111を介して、SCH103とインターフェースを取る。PCIeバス111は、LPCバス107よりも顕著に高いデータ転送レートを提供する。一般的にPCIeインターフェース111は、初期化されなければならないので、コンピューティングデバイス100の始動時にはまだ利用可能ではない。
【0049】
このようにして、ブート制御ユニット108は、ブートメモリ106にアクセスし、LPCバス107を介して、該ブートメモリに格納された制御命令の第1の部分をSCH103に転送する。これらの命令は実行され、PCIeインターフェース111を初期化する。この初期ブートの間に、例えば100〜300kBのブートコードがSCH103に転送され得る。初期ブートの後に、ブート制御ユニット108は、PCIeインターフェース111にスイッチする。パラレルインターフェース109とPCIeインターフェース111とを介したブートメモリ106と、ブート制御ユニット108と、DCH103との間の接続の非常に高い帯域幅に起因して、ブートコードの残りの部分は、標準的なLPCバスを介して、できるだけ高いレートで転送され得る。例えば、2MBのサイズのブートコードを用いるときに、LPCバスを介してブートフラッシュから直接的にデータをロードすることに比べると、転送は約900ms速い。ブートデータはまた、その他のDMA使用可能大容量格納デバイス、例えばハードドライブ、SDカードまたはその他のタイプのメモリカード等からロードされ得、これらは、数百ミリ秒のオーダーの遅延を有し得る。LPCバスを介してセキュアデジタル(SD)カードからデータをロードすることに比べると、本実施形態のコンピューティングデバイスは、ブートフラッシュ106からのブートデータの300ms速いローディングを達成する。
【0050】
上述のように、ブート制御ユニット108は、ASICまたはFPGAとして実装され得る。それ自体が初期化のために特定の時間を要求するFPGAを用いた実現と比べると、ASICのローディング時間は、約150〜300ms短い。
【0051】
制御命令の一部分または全体は、圧縮されたブートイメージとして、ブートメモリ106に提供され得る。PCIe111を介したブートイメージのDMA転送の間、中央プロセッシングユニット102は、ブートイメージデータを解凍し得る。この解凍は、比較的迅速に実行され得、その結果、ブートイメージがメモリ104に転送された直後に、対応するデータが解凍されたフォーマットで利用可能になり得る。
【0052】
システム管理コントローラ105によってリセットのために要求されるRTCクロック信号を提供することにより、そして、LPCバス107とPCIeバス111との両方を介してブートアプリケーションを転送することにより、本実施形態のコンピューティングデバイス100は、約500〜1000ms以上の始動性能における向上を達成することができる。このようにして、コンピューティングデバイス100を始動するために要求される時間は半減され得る。結果として、コンピューティングデバイス100は、自動車用途のためのコンピューティングデバイスに提示される厳しい要求を満たすことができる。
【0053】
その他の実施形態において、SCH103が標準的なRTCクロックからクロック信号を受信し得、その一方で、デバイス100をブートするために要求される制御命令が上述のように転送され得ることが理解されるべきである。その他の実施形態において、例えばLPCバスのみを介してブートメモリからブートアプリケーションを転送することにより、標準的なブート手順が実装され得、その一方で、上述のようにSMC105によってクロック信号が提供され得る。そのような実施形態もまた、従来型のコンピューティングデバイスと比べて向上した始動性能を提供するが、図1のデバイスは、さらに良好な性能を達成し得る。
【0054】
コンピューティングデバイス100は、従来型のコンピューティングデバイスと共通のさらなるコンポーネントを含む。そのようなコンポーネントは、当業者に公知なので、本明細書中ではより詳細に記載されることはない。例としては、シリアルアドバンスドテクノロジーアタッチメント(SATA)インターフェース112、接続されたハードディスクドライブ(HDD)113、さらなるクロック信号を生成するためのクロック114、コンピューティングデバイス100に電力を供給する電源115を含む。クロック114は、例えば、クロック信号をCPU102に、そしてPCIeコンポーネントに提供するために用いられ得る。クロック114は、コンピューティングデバイス100の始動時にリセット信号を処理するために要求されるクロック信号とは異なるクロック信号を提供する。SMC105によって供給され、リセット信号を処理するときに用いられるクロック信号はまた、コンピューティングデバイス100の動作の全体にわたって提供され得る。
【0055】
さらに、ビデオ出力が提供され、コンバータ116が、シリアルデジタルビデオ出力(SDVO)を、低電圧差動信号(LVDS)に変換する。信号はディスプレイに提供され得る。図1に示されているコンポーネントの一部、例えばユニット112〜116、さらにはLVDS、USB、SDIOおよびSMバス等は、オプションであることが理解されるべきである。
【0056】
コンピューティングデバイス100は、例えば、車両のためのコンピューティングユニットとして実装され得る。例えば、該コンピューティングデバイスは、車両のライト、サウンド、またはエンジン関連機能を制御し得る。さらに、コンピューティングデバイス100は、その他のデバイス、例えば、携帯型コンピュータ、スマートフォン、モバイルインターネットデバイス、パーソナルデジタルアシスタント等の携帯型コンピューティングデバイスに、実装され得る。当業者はその他の実装に想到し得、本発明の範囲は、上述の実装に限定されない。
【0057】
図2は、本発明の一実施形態に従う方法の流れ図である。該方法は、図1に示されているコンピューティングデバイス100上で実装され得る。該方法は、コンピューティングデバイスに電力供給すること(ステップ200)と、リセット動作を実行すること(ステップ300)とを含む。リセット動作300は、図3に関連して以下でさらに詳細に記載される。ステップ400において、初期プログラムロードが実行される。初期プログラムロードは、図4に関連して以下でさらに詳細に記載される。これらの始動動作の後に、コンピューティングデバイスは動作可能になり、ステップ500において、その特定の機能性に従って動作可能になる。
【0058】
図2に示されている始動手順は、従来型のデバイスの始動手順と共通のさらなるステップを含み得ることが理解されるべきである。そのような追加的なステップは、さらなる初期化フェーズを含み得、該さらなる初期化フェーズは、例えば、northbridge
とsouthbridgeとを含むコンピューティングデバイスのチップセットを初期化すること、メモリ初期化を実行すること等を含み得る。そのような手順は、当業者には公知なので、本明細書ではさらに詳細に記載されることはない。
【0059】
図3は、本発明の第2の局面の実施形態に従う方法の流れ図である。ステップ301において、SMC105に接続された電子発振器が、クロック信号を生成することを開始する。SMC105において、クロック信号の周波数をSCH103によって要求される周波数に適合させるように、周波数分割が実行される(ステップ302)。ステップ303において、リセット信号がSMC105からSCH103に供給される。さらに、ステップ304において、SMC105における周波数分割によって生成されたクロック信号は、システムコントローラハブ103に供給される。SCH103は、プロセッシングユニット102へと、リセット信号を供給し(ステップ305)、そしてクロック信号を供給する(ステップ306)。SCHおよびプロセッシングユニットにリセット信号とクロック信号とを供給する順番は、異なり得る、例えば逆転し得ることに留意されたい。これらの信号は、非同期的に供給され得る。一般的にリセットの認識は、特定数のクロックサイクルの後に起こる。従って、リセット信号の認識は、同期的に起こる。SMC105からのクロック信号は、コンピューティングデバイス100に電力供給した直後に利用可能になるので、CPU102は、非常に短い遅延でリセット信号を処理することを開始することができる(ステップ307)。
【0060】
そして、ステップ308において、リセット信号は非活動化される。リセット信号を処理するためにリアルタイムクロックからクロック信号を用いるシステムと比べると、リセット信号は、数百ミリ秒迅速に非活動化され得る。リセット信号が非活動化された後に、コンピューティングデバイス100の始動手順が続けられる(ステップ309)。
【0061】
図4は、本発明の第1の実施形態に従う方法の流れ図である。ステップ401において、ブート制御ユニット108は、ブートメモリ106に格納された制御命令の第1の部分にアクセスする。ブート制御ユニット108は、LPCバス107を介して、制御命令の第1の部分をコンピューティングユニット101に転送する。図1の実施形態において、命令はSCH103に転送されるが、LPCインターフェースを提供するために、その他のコントローラまたはユニットが用いられ得ることが理解されるべきである。転送は、例えば、ブート制御ユニット108において制御命令の大部分をバッファする必要性なしにビットワイズに起こり得る。制御命令の第1の部分は、例えば、100〜300kBのデータを含み得る。ステップ403において、例えばSCH103およびCPU102により、制御命令の第1の部分が処理される。処理の結果として、ステップ404において、PCIeバス111が初期化される。PCIeバスの初期化の後に、ブートアプリケーションの転送は、PCIeバスにスイッチオーバーされる。従って、ブート制御ユニットは、PCIeバス111を介して、ブートメモリ106からコンピューティングユニット111に、制御命令の第2の部分を転送する(ステップ405)。制御命令の第2の部分の転送は、DMAコントローラ110によって制御され得、コンピューティングユニット101のメモリ104の中へと(例えば、SCH103を介して)直接的に行われ得る。制御命令が圧縮フォーマットでブートメモリ106内に格納される場合に、CPU102は、DMA転送の間に、データを解凍する(ステップ406)。解凍はデータ転送と並列に実行され得るので、解凍の結果として生じる遅延は無視できるほど小さい。ブートアプリケーションがメモリ104にロードされた後に、コンピューティングデバイス100は、これらの制御命令に従って動作することができる(ステップ407)。制御命令は、例えば、コンピューティングデバイス100の基本オペレーティングシステムを含み得る。
【0062】
図3および4に関連して記載された方法は、システムリセットの間およびブートアプリケーションのローディングの間のそれぞれにおいて共通して実行されるさらなるステップを含み得る。ステップはまた、異なる順序で実行されたり、または、並列に実行されたりし得る。例えば、ステップ304におけるSCHへのクロック信号の生成および供給ならびにステップ305におけるSCHへのリセット信号の供給は、並列に実行され得る。
【0063】
要約すると、本発明は、コンピューティングデバイスの向上した始動性能を提供する。本発明によって達成され得る向上により、コンピューティングデバイスは自動車用途に利用可能になる。なぜならば、本発明によって達成され得る向上は、そのような環境に対する一連の要求を満たすことが可能だからである。
【0064】
本明細書では本発明の特定の実施形態が記載されてきたが、様々な変更および改変が本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。本実施形態は、あらゆる点で例示的なものとして考えられるべきであり、添付の特許請求の範囲の均等物が、本明細書中に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0065】
100 コンピューティングデバイス
101 コンピューティングユニット
102 プロセッシングユニット
104 ワーキングメモリ
106 ブートメモリ
108 ブート制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティングデバイスであって、
ワーキングメモリ(104)とプロセッシングユニット(102)とを有するコンピューティングユニット(101)と、
該コンピューティングデバイスの始動時に、該コンピューティングユニット(101)に転送される、該コンピューティングデバイス(100)を動作する制御命令を含む、ブートメモリ(106)と
を備え、
少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによって該コンピューティングユニット(101)をインターフェースし、第3のインターフェースによって該ブートメモリ(106)をインターフェースするブート制御ユニット(108)をさらに備え、該ブート制御ユニット(108)は、該第1のインターフェースを介して、該制御命令の第1の部分を、該ブートメモリ(106)から該コンピューティングユニット(101)に転送し、該第2のインターフェースを介して、該制御命令の第2の部分を、該ブートメモリ(106)から該コンピューティングユニット(101)に転送するように構成されていることを特徴とする、コンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記制御命令の前記第2の部分は、前記第1の部分よりも大きく、前記第2のインターフェースは、前記第1のインターフェースよりも速いレートでデータを転送するように構成されている、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記ブート制御ユニット(108)は、前記第2のインターフェースを介して、前記制御命令の前記第2の部分を、前記コンピューティングユニット(101)の前記ワーキングメモリ(104)に転送する直接メモリアクセスコントローラ(110)を備えている、請求項1または2に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記ブート制御ユニット(108)は、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向け集積回路を備えている、請求項1〜3のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記第1のインターフェースは、ローピンカウントバス(107)であり、前記第2のインターフェースは、ペリフェラルコンポーネントインターコネクトエクスプレスバス(111)である、請求項1〜4のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記コンピューティングユニット(101)は、システムコントローラハブ(103)を備え、該システムコントローラハブ(103)は、前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースを提供し、該システムコントローラハブ(103)は、前記ワーキングメモリ(104)をインターフェースする、請求項1〜5のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記ブートメモリ(106)は、フラッシュメモリを備え、前記コンピューティングユニット(101)は、前記システムコントローラハブ(103)を有するIntel Menlowプラットフォームを備え、前記プロセッシングユニット(102)は、x86互換性マイクロプロセッサである、請求項6に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記制御命令の前記第1の部分は、前記第2のインターフェースを初期化する制御命令を含み、前記ブート制御ユニット(108)は、該第2のインターフェースの初期化後に、該制御命令の前記第2の部分を転送するように構成されている、請求項1〜7のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
コンピューティングデバイスを動作する方法であって、該コンピューティングデバイスは、コンピューティングユニット(101)を備え、該コンピューティングユニット(101)は、ワーキングメモリ(104)と、プロセッシングユニット(102)と、ブートメモリ(106)であって、該ブートメモリ(106)は該コンピューティングデバイスの始動時に、該コンピューティングユニット(101)に転送される、該コンピューティングデバイス(100)を動作する制御命令を含む、ブートメモリ(106)と、ブート制御ユニット(108)であって、該ブート制御ユニット(108)は、少なくとも第1のインターフェースおよび第2のインターフェースによって該コンピューティングデバイス(101)をインターフェースし、第3のインターフェースによって該ブートメモリ(106)をインターフェースするブート制御ユニット(108)とを含み、該方法は、
該ブート制御ユニット(108)によって、該ブートメモリ(106)から、該制御命令を引き出すステップと、
該制御命令の第1の部分を、該第1のインターフェースを介して、該コンピューティングユニット(101)に転送するステップと、
該制御命令の第2の部分を、該第2のインターフェースを介して、該コンピューティングユニット(101)に転送するステップと
を包含する、方法。
【請求項10】
前記制御命令は、前記ブートメモリ(106)内に圧縮フォーマットで格納され、前記方法は、
該圧縮された制御命令が前記コンピューティングユニット(101)において受信された後で、前記プロセッシングユニット(102)によって該制御命令を解凍することをさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記コンピューティングデバイスは、請求項1〜8のいずれかに従って構成されている、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
コンピューティングデバイスであって、
コンピューティングユニット(101)であって、該コンピューティングユニット(101)は、システムコントローラ(103)と、ワーキングメモリ(104)と、プロセッシングユニット(102)とを備え、該システムコントローラ(103)は、クロック信号を受信するクロックインターフェースを備え、該システムコントローラ(103)は、該コンピューティングデバイス(100)の始動時に、該プロセッシングユニット(102)に、受信されたクロック信号およびリセット信号を提供するようにさらに構成され、該プロセッシングユニット(102)は、該リセット信号を処理するために該提供されたクロック信号を使用するように構成されている、コンピューティングユニット(101)を備え、
該システムコントローラ(103)の該クロックインターフェースをインターフェースするシステム管理コントローラ(105)をさらに備え、該システム管理コントローラ(105)は、該クロックインターフェースを介して該システムコントローラ(103)にクロック信号を供給するように適合されていることを特徴とする、コンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記クロック信号を生成する電子発振器をさらに備え、該電子発振器は、前記システム管理コントローラ(105)に接続される、請求項12に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記電子発振器は、水晶発振器を含み、1MHzを超える周波数を有するクロック信号を生成し、前記システムコントローラ(103)は、1MHz未満の周波数を有するクロック信号で動作するように適合されている、請求項13に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
前記システム管理コントローラ(105)は、前記クロック信号の前記周波数を、前記システムコントローラ(103)によって要求される周波数に適合するように、前記電子発振器によって生成された該クロック信号の周波数を分割するように適合された周波数分割器を備えている、請求項13または14に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項16】
前記システムコントローラは、システムコントローラハブ(103)であり、前記コンピューティングユニット(101)は、Intel Menlowプラットフォームを備え、前記プロセッシングユニット(102)は、x86互換性マイクロプロセッサである、請求項12〜15のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
【請求項17】
前記コンピューティングデバイスは、請求項1〜8のいずれかに従ってさらに構成されている、請求項12〜15のいずれかに記載のコンピューティングデバイス。
【請求項18】
コンピューティングデバイスを動作する方法であって、該コンピューティングデバイスは、コンピューティングユニット(101)を備え、該コンピューティングユニット(101)は、システムコントローラ(103)と、ワーキングメモリ(104)と、プロセッシングユニット(102)とを備え、該システムコントローラ(103)は、クロック信号を受信するクロックインターフェースを備え、該コンピューティングデバイス(100)は、該システムコントローラ(103)の該クロックインターフェースをインターフェースするシステム管理コントローラ(105)をさらに備え、該方法は、
該コンピューティングデバイス(100)の始動時に、該クロックインターフェースを介して、クロック信号を、該システム管理コントローラ(105)から該システムコントローラ(103)に供給するステップと、
該システムコントローラ(103)によって、該受信されたクロック信号およびリセット信号を該プロセッシングユニット(102)に提供するステップと、
該プロセッシングユニット(102)において、該リセット信号を処理するために該提供されたクロック信号を使用するステップと
を包含する、方法。
【請求項19】
前記システム管理コントローラ(105)に接続された電子発振器または水晶によって、前記クロック信号を生成することと、
該クロック信号の周波数を前記システムコントローラ(103)によって要求される周波数に適応するように、該システム管理コントローラ(105)内の電子発振器または水晶によって生成された該クロック信号の周波数を分割することと
をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記リセット信号を、前記システム管理コントローラ(105)から前記システムコントローラ(103)に提供することと、
該リセット信号が前記プロセッシングユニット(102)によって処理された後に、該リセット信号を非活動化することと
をさらに包含する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記コンピューティングデバイスは、請求項12〜17のいずれかに従って構成されている、請求項18〜20のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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