説明

コークス炉集塵装置

【課題】コークス炉から発生するガスや粉塵を除去して清浄化したエアーとして排出する集塵装置も増産要求に見合う吸引風量の増加が必要となってきた。しかし従来の既設の設備を使用したのでは、固定ダクト内壁の摩耗による破損とダクト内の圧力損失による過剰なエネルギーによる運転コストの増大といった問題が懸念されるため、本発明はこれらの要求をコストの掛からない方法で解決しょうとしたものである。
【解決手段】コークガイド車6または装炭車16に搭載した集塵フード2と、この集塵フードに取付けた伸縮自在なコネクタ7と、前記コークガイド車の走行方向と並行して設置したガイド系または装炭系固定ダクト8と、ガイドまたは装炭系固定ダクトに連通した集塵機からなり、ガイド系固定ダクト8または装炭系固定ダクト19の両端に、集塵機に連通し且つ風量調整ダンパーを有するガイド系ループダクト13,13’または装炭系ループダクト24,24’を接続したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コークス炉から発生する粉塵ガスの集塵装置に関するものである。
【技術背景】
【0002】
【非特許文献】 一般に、コークス炉の集塵については、従来から集塵方法および集塵装置が提案されている。コークス炉窯出し作業時にコークサイドから飛散する含塵ガスの捕集には、コークガイド車に設けた集塵フードで捕集して、固定ダクトを介して地上に設置したバッグフィルタなどの集塵装置に含塵ガスを吸引する方式が採用されている。
【0003】
また、コークス炉の炭化室に石炭を装入する際、装入口から大気に噴出するガスを装炭車に設けられた集塵フードで捕集して、固定ダクトを介して地上に設置した湿式集塵機などの集塵装置に含塵ガスを吸引する方式が採用されている。
【発明の開示】

【発明が解決しょうとする課題】
【0004】
従来コークス炉において、コークガイド車および装炭車の各集塵系に用いられている地上設置の固定ダクトの大きさは、所定の集塵風量パターンに沿って決められており、各集塵系の最大ピーク値に合わせて設定されている。一方過剰設定による設備コストおよび運転コストの増大を防ぐため、必然的にガイドおよび装炭系固定ダクトの大きさおよび長さは制約されたものとなっている。
【0005】
このため最近の生産の増産要求に見合う集塵風量パターンに対しては、風速が増すため、固定ダクトの内壁の摩耗による破損が懸念される事とダクト内の過剰な圧力損失による運転コストの増大といった問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消するために成されたもので、既設の固定ダクトを使用して、生産の増産要求に見合う集塵風量の増加に対しても、ガイドまたは装炭系固定ダクトが損傷することなくまた集塵能力も低下させることなく、さらには設備費を低減できるようにした集塵装置を提供することを目的とする。
【発明が解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明は、コークガイド車に搭載した集塵フードと、この集塵フードに取付けた伸縮自在なコネクタと、前記コークガイド車の走行方向と並行して地上側に設置したガイド系固定ダクトと、ガイド系固定ダクトに連通したバッグフィルタからなり、コークス炉から押出された赤熱コークスをコークガイド車を介して消火車に積載する際に発生する粉塵を処理するようにした集塵装置に於いて、ガイド系固定ダクトの両端に、バッグフィルタに連通し且つ風量調整ダンパーを有するガイド系ループダクトを接続したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第2の発明は、装炭車に取付けた集塵フードと、前記集塵フードに取付けた伸縮自在なコネクタと、前記装炭車の走行方向と並行して炉頂上部に設置した装炭系固定ダクトと、この装炭系固定ダクトに連通した湿式集塵機からなり、石炭装入時に石炭装入口から噴出するガスおよび粉塵を処理するようにした集塵装置に於いて、装炭系固定ダクトの両端に、湿式集塵機に連通し且つ風量調整ダンパーを有する装炭系ループダクトを接続したことを特徴とするものである。
【0009】
また、上記問題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、ガイドまたは装炭系固定ダクトの両端に、バッグフィルタあるいは湿式集塵機に連通し且つ風量調整ダンパーを有するガイドまたは装炭系ループダクトをそれぞれ接続しているので、集塵風量パターンが従来にない多風量に変化しても各ループダクトの風量調整ダンパーを調整することにより、ガイドまたは装炭系固定ダクト内壁の損傷を起こすことなく、さらにダクト内の圧力損失も高めることなくスムーズな集塵処理を可能にしたものである。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、本発明のコークス炉集塵装置は次のような効果が得られる。
(1)既設のガイドまたは装炭固定ダクトにループダクトを接続するだけといった簡単な構造で、既設のガイドまたは装炭系固定ダクトを撤去して新たな固定ダクトに取り替えることなく、風量の増強に対応できるようにしたもので、大幅な設備費の低減につながるものである。
(2)風量の増強に対してもガイドまたは装炭系固定ダクト内壁の損傷を起こすことがない。
(3)従来にない多風量の変化に対しても集塵効率を向上させるといった効果を奏するものである。
(4)ダクト内の圧力損失を高めることがないため、運転コストの削減効果を達成できるものである。
【発明の実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)本実施形態では、図1、2について説明する。1はコークス炉、2はコークス炉1に配列された炭化室、3は炭化室2の長手方向に設けた複数の装入口、4は炭化室2毎に設けた窯口、5はコークス炉1と並列に敷施された軌条を走行するコークガイド車、6はコークガイド車5に取付けた集塵フード、この集塵フード6には伸縮自在なコネクタ7が取付けられている。8はコークガイド車5の軌条に沿って配設したガイド系固定ダクト、このガイド系固定ダクト8の中央部位置には対向する開閉切替えダンパー9、9’が取付けられている。10はガイド系固定ダクト8上面に設けた接続ダクト、この接続ダクト10はコークス炉1の各炭化室2に対向する位置に配列されている。11はガイド系固定ダクト8の中央部とバッグフィルタ12とを連結するガイド系ダクト、13、13’は一端がガイド系固定ダクト8の両端に接続したガイド系ループダクト、ガイド系ループダクト13、13’の他端はガイド系ダクト11の適宜位置で合流している。さらにガイド系ループダクト13、13’の一端およびガイド系ダクト11の一端には風量調整ダンパーが14、14’、14”が取付られている。15は消火車である。
【0012】
本実施形態ではこのような構成であるので、まず通常のコークス炉窯出し作業に当たっては、例えばブロワーの吸引風量を3000m/Mに設定し、窯出し操業する炭化室に近い側の開閉切替えダンパー9を開に、他方の開閉切替えダンパー9’を閉にし更に風量調整ダンパー14、14’を閉に、14”を開に操作するとともに集塵フード6に取付けた伸縮自在なコネクタ7を接続ダクト10に接続する。この後窯出し作業が行われ炭化室からコークガイド車を介して消火車に積載された赤熱コークスの粉塵は集塵フード6で捕集され、コネクタ7を経由してガイド系固定ダクト8に導入されバッグフィルタにて清浄化されたエアーとして排出される。
【0013】
次に、ブロワーの吸引風量を増強する必要、例えば吸引風量を6000m/Mに設定する必要の生じたコークス炉窯出し作業に当たっては、窯出し操業する炭化室に近い側の開閉切替えダンパー9を開に、他方の開閉切替えダンパー9’を閉に、窯出し操業する炭化室に近い側の風量調整ダンパー14を開に、他方の風量調整ダンパー14’閉に、14”を開に操作し集塵フード6に取付けた伸縮自在なコネクタ7を接続ダクト11に接続する。この後窯出し作業が行われ炭化室からコークガイド車を介して消火車に積載された赤熱コークスの含塵ガスは集塵フード7で捕集され、コネクタ7を経由してガイド系固定ダクト8およびガイド系ループダクト13に導入されバッグフィルタ12にて清浄化されたエアーとして排出される。
【0014】
このように、本発明はガイド系ループダクト13を設けたのでブロワーの吸引風量を増してもガイド系固定ダクト8内の通過風速は一定となり、ガイド系固定ダクト8内の強い風速によって生じる摩耗を防止したものである。
【0015】
上記実施例は1つの例を述べただけで、開閉切替えダンパーや風量調整ダンパーは適宜必要に応じて選定すれば良く、またダンパーの開閉操作も限定するものでなく、適宜変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【0016】
(第2実施形態)本実施形態では、図1、3について説明する。1はコークス炉、2はコークス炉1に配列された炭化室、3は炭化室2の長手方向に設けた複数の装入口、4は炭化室2毎に設けた窯口、16はコークス炉1上部の軌条を走行する装炭車、この装炭車16には装入口3を覆う集塵フード17が取付けられている。集塵フード17には伸縮自在なコネクタ18が取付けられている。19は装炭車16の軌条に沿って配設した装炭系固定ダクト、この装炭系固定ダクト19の中央部位置には対向する開閉切替えダンパー20、20’が取付けられている。21は装炭系固定ダクト19上面に設けた接続ダクト、この接続ダクト21はコークス炉1の各炭化室2毎に配列されている。22は装炭系固定ダクト19の中央部と湿式集塵機23とを連結する装炭系ダクト、24、24’はそれぞれ一端を装炭系固定ダクト19の端部に接続した装炭系ループダクト、装炭系ループダクト24、24’の他端は装炭系ダクト22の適宜位置で合流している。さらに装炭系ループダクト24,24’の一端および装炭系ダクトの一端には風量調整ダンパーが25、25’、25”が取付けられている。
【0017】
本実施形態ではこのような構成であるので、まず通常のコークス炉装入作業に当たっては、例えばブロワーの吸引風量を2500m/Mに設定し、石炭を装入する炭化室に近い側の開閉切替えダンパー20を開に、他方の開閉切替えダンパー20’を閉にし更に風量調整ダンパー25、25’を閉に、25”を開に操作するとともに集塵フード17に取付けた伸縮自在なコネクタ18を接続ダクト21に接続する。この後炭化室に石炭を装入する作業が行われる。石炭装入時に装入口から噴出する含塵ガスは集塵フード17で捕集され、接続ダクト21を経由して装炭系固定ダクト19に導入され湿式集塵機にて清浄化されたエアーとして排出される。
【0018】
次に、ブロワーの吸引風量を増強する必要、例えば吸引風量を5000m/Mに設定する必要の生じたコークス炉装入作業に当たっては、石炭を装入する炭化室に近い側の開閉切替えダンパー20を開に、他方の開閉切替えダンパー20’を閉に、石炭を装入する炭化室に近い側の風量調整ダンパー25を開に、他方の風量調整ダンパー25’を閉に、25”を開に操作し集塵フード1に取付けた伸縮自在なコネクタ18を接続ダクト21に接続する。この後炭化室に石炭を装入する作業が行われる。石炭装入時に装入口から噴出する含塵ガスは集塵フード17で捕集され、接続ダクト21を経由して装炭系固定ダクト19に導入され湿式集塵機にて清浄化されたエアーとして排出される。
【0019】
このように、本発明は装炭系ループダクト24を設けたのでブロワーの吸引風量を増しても装炭系固定ダクト9内の通過風速は一定となり、装炭系固定ダクト19内の強い風速によって生じる摩耗を防止したものである。
【0020】
上記実施例は1つの例を述べただけで、開閉切替えダンパーや風量調整ダンパーは適宜必要に応じて選定すれば良く、またダンパーの開閉操作も限定するものでなく、適宜変更しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は既設の固定ダクトにループダクトを取付けるだけといった簡単な手段で吸引風量の増強に対応可能にしたもので、特に既設の設備が整っているコークス炉業界には最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明のコークス炉における集塵装置全体概要図である。
【図2】 本発明の第1実施形態を示す集塵装置の概略配置図である。
【図3】 本発明の第2実施形態を示す集塵装置の概略配置図である。
【符号の説明】
【0023】
1…コークス炉 2…集塵フード 6…コークガイド車
7、18…コネクタ 8…ガイド系固定ダクト 12…バッグフィルタ
13、13’…ガイド系ループダクト 16、…装炭車
19…装炭系固定ダクト 23…湿式集塵機
24、24’…装炭系ループダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コークガイド車に搭載した集塵フードと、この集塵フードに取付けた伸縮自在なコネクタと、前記コークガイド車の走行方向と並行して地上側に設置したガイド系固定ダクトと、ガイド系固定ダクトに連通したバッグフィルタからなり、ガイド系固定ダクトの両端にバッグフィルタに連通するガイド系ループダクトを接続したことを特徴とするコークス炉集塵装置。
【請求項2】
装炭車に取付けた集塵フードと、この集塵フードに取付けた伸縮自在なコネクタと、前記装炭車の走行方向と並行して炉頂上部に設置した装炭系固定ダクトと、この装炭系固定ダクトに連通した湿式集塵機からなり、装炭系固定ダクトの両端に湿式集塵機に連通する装炭系ループダクトを接続したことを特徴とするコークス炉集塵装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−77222(P2006−77222A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295422(P2004−295422)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000193047)進和テック株式会社 (36)
【Fターム(参考)】