コーティングされたシート材料およびそれで製造されたパッケージ
【課題】繊維シールシートの透過性に大きく影響を及ぼすことなく、少なくとも1つの繊維シートを含むヒートシールされたパッケージから繊維引裂の発生をなくす。
【解決手段】フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択される気体透過性シート材料と、その少なくとも1つの面上のポリマーコーティングとを含んでなるコーティングされた多孔性シート材料であって、コーティングされたシート材料の透過性が、コーティングのない同等のシート材料の透過性に実質的に等しい、コーティングされた多孔性シート材料。コーティングされた多孔性シート材料は、ヒートシール可能なパッケージでの使用に適している。
【解決手段】フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択される気体透過性シート材料と、その少なくとも1つの面上のポリマーコーティングとを含んでなるコーティングされた多孔性シート材料であって、コーティングされたシート材料の透過性が、コーティングのない同等のシート材料の透過性に実質的に等しい、コーティングされた多孔性シート材料。コーティングされた多孔性シート材料は、ヒートシール可能なパッケージでの使用に適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされていない同様のシート材料にほぼ等しい多孔性および透過性を有する、薄い均一なポリマーコーティングでコーティングされた不織布および紙などのシート材料に関する。本発明は、また、そのようなコーティングされたシートから製造されたヒートシールされたパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維不織布シート材料および繊維紙シート材料などの基材をコーティングするための従来実施された手段としては、ナイフコーティング、ホットメルトコーティング、水性分散液コーティング、グラビアコーティング、直接ブレードコーティング、ロールコーティング、エアドクターコーティング、および絞り(squeeze)コーティングが挙げられる。これらの既知の方法には、いくつかの問題がある。ナイフコーティングは、基材のほぼ完全な表面被覆(coverage)をもたらし、それにより、その多孔性および透過性特性を変える。基材のほんのわずかな透過性だけが、主として、乾燥後、コーティング上に現れる亀裂によって、維持される。ホットメルトコーティングは、それがどのように付与されるかによっては、基材の繊維間にコーティングの三次元ドットまたは島をもたらし、シート材料の細孔のいくつかが完全に被覆され、いくつかが部分的に被覆されることがある。
【0003】
従来の方法に使用されるコーティングラインは、投資の点で、大きく、費用がかかる。これらの方法は、多くのコーティング材料を堆積させなければならない点で、柔軟でなく、これは、また、より少ない材料が、コーティングされたシートの最終用途に十分である状況において、経済的に魅力がない。溶液または分散液コーティングは、高温に曝すことによって、コーティングまたは基材が損傷されないように、またはそれらの特性が変わらないように、溶媒または分散液体を蒸発させることによって、乾燥させなければならず、これは、ゆっくりした、費用のかかる工程である。さらに、溶媒ベースのコーティングにおいて、溶媒回収が必要であり、これは、このプロセスにコストおよび複雑さを加える。ホットメルトとして付与されるコーティングは、しばしば、基材の熱特徴を変え、それらの元の特性を損なう。別の問題は、コーティングされていない基材の空気透過性および/または多孔性が、いったんコーティングが付与されると、ほとんど常に犠牲になることである。シート材料の空気透過性または多孔性を影響されないままにしながら、特定の所望の特性を、高めるか、シート材料に与えることが望ましい。
【0004】
特許文献1(イアリジス(Yializis))は、少なくとも1つのプラズマ処理された表面を有する第1のポリマーベースフィルムと、ベースフィルムのプラズマ処理された表面に沿って配置された少なくとも第2の薄いアクリレートポリマーフィルムとを含んでなるハイブリッドフィルムを開示している。アクリレートフィルムは、官能基化されたアクリレートモノマーまたはオリゴマーを架橋することによって形成される。ハイブリッドフィルムは、1つもしくはそれ以上の金属コーティングまたはセラミックコーティングをさらに含んでなってもよい。ハイブリッドフィルムを形成する連続プロセスは、真空チャンバ内で行われ、それは、ベースフィルムをプラズマ処理して、フィルムを官能基化し、その後、アクリレートモノマーをベースフィルム上に蒸着し、次に、放射線重合してモノマーを架橋することからなる。ハイブリッドフィルムは、バリヤ特性を向上させるための、食品パッケージングを含むいくつかの用途に有用である。食品パッケージング用途において、アクリレートコーティングは、典型的には厚さが0.5〜2μmであることが開示されている。
【0005】
特許文献2(イアリジス(Yializis)ら)は、多官能アクリレートモノマーが移動可能な基材上で凝縮するような温度で維持された移動可能な基材上に、真空下で、多官能アクリレートモノマーの蒸気を堆積させることによって、可撓性基材を薄い「実質的に連続的な」フィルムでコーティングする方法を開示している。次に、フィルムを重合させるために、フィルムを放射線に曝す。アクリレートモノマーコーティングは、厚さが、4μm未満であり、好ましくは2μm未満であり、おそらくは0.1μmの薄さであるように形成してもよい。そのようなコーティングは、さまざまな用途に使用される金属または他の基材のための食品パッケージングおよび保護コーティングに有用であるとして開示されている。特許文献3(ショー(Shaw)ら)は、特許文献2(イアリジスら)のプロセスを何回も繰返して、4,000以上もの層を有する多層の薄いフィルム構造を形成する、同様のプロセスを開示している。
【0006】
特許文献4および特許文献5は、基材をプラズマで処理し、アクリレートモノマーでコーティングし、その後、モノマーを放射線重合させる、基材をコーティングするプロセスを開示している。プラズマは、中空カソードを使用して発生させ、電磁または磁気集束手段を使用して、基材の表面に集束させる。特許文献4によれば、モノマーコーティングは、毛管ドリップシステムを使用して、溶液浴中に浸漬することによって、または蒸着によって、付与してもよい。特許文献5によれば、モノマーを蒸着によって付与する。特許文献5は、また、特に製紙布などの、産業サイズの連続基材を処理する装置を開示している。
【0007】
ウェブ表面を無機および有機組成物でコーティングする真空蒸着ポリマーコーティングに有用なシステムおよび装置が、非特許文献1に記載されている。このシステムは、表面をプラズマで処理して、低分子量材料を除去し、かつ、表面を極性基で官能基化し、真空蒸着コーティングによって、放射線硬化性アクリレートなどの材料を表面上に堆積させ、電子ビームまたは紫外線ランプのいずれかでアクリレートを重合させることを含む。開示されたコーティングされた基材の用途の中に、高バリヤフィルム、印刷可能なフィルム、および不織布がある。
【0008】
特許文献6、特許文献7、および特許文献8(アフィニト(Affinito))は、真空中への注入前にモノマー材料を脱気する工程を含む、真空下で固体ポリマー層を形成するプロセスおよび装置を開示している。真空中でポリマー層を形成することの利点は、光開始剤が重合に必要でないこと、重合がより速いこと、ポリマー中の不純物がより少ないこと、およびポリマーが、より高い密度と、より滑らかな仕上げ表面とを有することであるといわれている。
【0009】
特許文献9は、ポリプロピレン、ポリエステル、またはナイロンシート材料などの基材を、架橋されたアクリレートおよび金属層でコーティングするプロセスを開示している。アクリレートモノマーを、フラッシュ蒸発器を使用して蒸発させ、アクリレートをモノマーフィルムとしてシート上に凝縮し、その後、電子ビームまたは紫外光による照射によってフィルムを重合させる。シート材料上のアクリレートの接着力を、コーティング直前のプラズマ処理によって高める。プラズマ処理およびコーティングの両方を真空下で行う。結果として生じるコーティングされたシートは、低酸素透過性を有し、食品パッケージングに特に有用である。
【0010】
特許文献10および特許文献11(ショー(Shaw)ら)は、分子量が200〜3000のケイ素含有およびフッ素含有アクリレートプレポリマーを、シート材料上に蒸着し、放射線重合させるプロセスによって製造された、アクリレートポリマー剥離コーティングでコーティングされた、紙およびフィルムを含むシート材料を開示している。厚さが0.5〜1μmのコーティング層が開示されている。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,083,628号明細書
【特許文献2】米国特許第4,842,893号明細書
【特許文献3】米国特許第5,032,461号明細書
【特許文献4】国際公開第99/59185号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/58756号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5,260,095号明細書
【特許文献7】米国特許第5,547,508号明細書
【特許文献8】米国特許第5,395,644号明細書
【特許文献9】国際公開第98/18852号パンフレット
【特許文献10】米国特許第5,811,183号明細書
【特許文献11】米国特許第5,945,174号明細書
【非特許文献1】アール・イー・エルワンガー(R.E.Ellwanger)、エ ム・ジー・ミカエル(M.G.Mikhael)、エー・イアリジス(A.Yial izis)、およびエー・ボーフェルフェル(A.Boufelfel)、「プラズ マ処理およびポリマーコーティングによるウェブ表面の真空官能基化)(Vacuu m Functionalization of Web Surfaces vi a Plasma Treatment and Polymer Coating )」、バキューム・テクノロジー&コーティング(Vacuum Technolo gy & Coating)(2001年2月)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、さまざまな非常に薄いポリマーコーティングをさまざまな基材上に蒸着することによって、上で列挙された所望の効果が得られることを発見した。蒸着コーティングの厚さは、意図された用途に依存する。たとえば、撥水性、撥アルコール性、または撥油性(water, alcohol or oil repellency)が重要である用途の場合、厚さは、数十ナノメートルであることができる。基材をヒートシールしてパッケージを形成する用途の場合、コーティングは、より厚くてもよく、たとえば、0.05〜5μmであってもよい。いずれにせよ、蒸着コーティングの厚さは、好ましく
は、およそ繊維基材の表面上の繊維の直径である。したがって、十分なコーティング材料が、意図された用途に提供され、蒸着コーティングは、繊維間の隙間空間を被覆することなく、繊維の表面形態に適合する。基材の透過性が影響される前に許容できる最大コーティング厚さは、基材の多孔性、すなわち、コーティングによって充填することができる空隙空間、およびコーティングの多孔性に依存する。
【0021】
本発明のコーティングされた基材を製造するのに用いられるプロセスが、図1に示された概略図によって示されている。このプロセスは、基材をプラズマ処理する任意の最初の工程と、基材を蒸着コーティングする工程と、任意のコーティングの重合の工程とを含む。このプロセスは、1.33×10-3〜1.33×10-7kPaの雰囲気で維持された真空チャンバ8内で行われる。コーティングすべき基材16は、供給ロール12から供給される。
【0022】
基材16の表面は、緩く保持された低分子量化合物を除去し、その表面を官能基化するために、最初に、場合により、プラズマに曝される。その結果として、基材の表面エネルギーが修正されて、凝縮蒸気によってその濡れを向上させる。プラズマ処理は、米国特許第6,066,826号明細書、国際公開第99/58757号パンフレット、および国際公開第99/59185号パンフレットに開示されているような装置14によって行ってもよい。
【0023】
次に、基材は、フラッシュ蒸発装置18を使用するフラッシュ蒸着プロセスによって、放射線重合可能なモノマー、オリゴマー、または低MWポリマーでコーティングされ、このプロセスおよび装置は、米国特許第4,722,515号明細書、米国特許第4,696,719号明細書、米国特許第4,842,893号明細書、米国特許第4,954,371号明細書、米国特許第5,032,461号明細書、および米国特許第5,097,800号明細書に記載されており、これらのすべてを、引用により、本明細書に援用する。液体またはスラリーの形態の、放射線重合可能なモノマー、オリゴマー、または低MWポリマーは、均一なコーティングを作るために、入口管19を通って連続流で提供されるべきである。放射線重合可能なモノマー、オリゴマー、または低MWポリマーの液体またはスラリーは、好ましくは、米国特許第5,547,508号明細書に記載されているように、真空チャンバ内に蒸気として注入する前に脱気される。1を超えるコーティングが望まれる場合、複数のフラッシュ蒸発装置18および19を直列に使用することができるか、または、付加的なコーティングが基材16の反対側の表面上に望まれる場合、図1に示されているように、付加的なフラッシュ蒸発装置20および21を設けることができる。
【0024】
蒸着の間、コーティングすべき基材を冷却することは、米国特許第4,842,893号明細書および国際公開第98/18852号パンフレットに記載されているように、モノマー/オリゴマー凝縮の効率を高める。これは、蒸着の間、米国特許第4,842,893号明細書におけるように、基材を、冷却されたドラムの上を通過させることによって達成してもよい。このために、蒸着前に基材を冷却するように配置されたクリオプレート(Cryoplates)(図示せず)も、使用してもよい。
【0025】
凝縮されたコーティングは、たとえば、電子ビーム源または紫外線源などの放射線源22を使用してモノマーを重合させることによって、および/またはオリゴマーまたは低MWポリマーが冷却すると自然凝固によって、基材の表面上への凝縮後、数ミリ秒以内に凝固される。いくつかの場合、放射線源によって、オリゴマーをさらに重合させるか架橋することができる。電子ビーム銃が選択される場合、電子のエネルギーは、引用により、本明細書に援用する米国特許第6,083,628号明細書に記載されているように、コーティングをその全厚さで重合させるのに十分でなければならない。モノマー/オリゴマー
コーティングの重合は、また、米国特許第4,842,893号明細書、米国特許第4,954,371号明細書、および米国特許第5,032,461号明細書に記載されている。室温で固体であるオリゴマーまたは低MWポリマーの場合、米国特許第6,270,841号明細書に記載されているように、重合が必要でないであろう。最後に、コーティングされた基材は、巻取りロール24上に巻取られる。
【0026】
コーティングの厚さは、蒸着プロセスに使用されるフラッシュ蒸発器の線速度および蒸気流量によって制御される。コーティング厚さが増すにつれて、電子がコーティングを貫通し効果的な重合を行うために、電子ビームのエネルギーを調整しなければならない。たとえば、10kVおよび120mAにおける電子ビームは、厚さ2μmまでのアクリレートコーティングを効果的に重合させることができる。
【0027】
上記プロセスを、不織布シートまたは紙などの繊維基材16に適用して、コーティングされた繊維シートを形成してもよいことがわかった。本発明に使用される適切な不織布シートとしては、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド溶融紡糸ウェブおよび複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シートなどが挙げられる。
【0028】
本発明の実施形態である、いくつかの新たな製品を生成するために、上述されたプロセスが用いられている。
【0029】
本発明の一実施形態において、コーティングされたシート材料の透過性が、コーティングのない同等のシート材料の透過性に実質的に等しいように、すなわち、コーティングが、明らかに、材料の透過性に実質的に影響を及ぼさないように、ポリマー材料で少なくとも1つの面を被覆するように、多孔性シート材料がコーティングされている。「実質的に等しい透過性」とは、コーティングされたシート材料の透過性が、コーティングされていないシート材料の透過性の64%以内であることを意味し、これは、コーティングされていないタイベック(Tyvek)(登録商標)フラッシュ紡糸網状フィラメントポリエチレンシートの空気透過性の通常のばらつきである。「同等のシート材料」という用語は、コーティングされる前のコーティングされたシート材料に使用されるのと同じシート材料を指す。「透過性」という用語は、ここで、特定のシート材料について最も適切なテストによって測定されるような、気体透過性、特に空気透過性を意味するように定義する。たとえば、いくつかの材料の場合、これはガーリー・ヒル多孔性(Gurley Hill Porosity)であり、他の材料の場合、それはフレージャー透過性(Frazier Permeability)である。「被覆する(cover)」または「被覆する(covering)」とは、コーティング材料の一連の別個のパッチでコーティングされ、繊維表面のかなりの部分をコーティングされないままにする布と異なり、シート材料の繊維表面全体がコーティング材料でコーティングされていることを意味する。
【0030】
本発明のこの実施形態に使用される多孔性シート材料としては、気体および/または液体透過性である不織布シートおよび紙が挙げられる。本発明での使用に適した不織布シート材料の好ましい例は、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド(E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.)から入手可能な、高密度ポリエチレンから製造された、タイベック(登録商標)などの、フラッシュ紡糸網状フィラメントフィルム−フィブリル材料である。適切なフラッシュ紡糸網状フィラメントフィルム−フィブリル材料は、また、ポリプロピレンから製造してもよい。本発明のこの実施形態に有用な不織布シートの他の例としては、スパンボンド溶融紡糸ウェブおよび複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート(SMS)、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート(SFS)、およびソンタラ(Sontara)(登録商標)などのスパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、ならびに木材パルプまたは再生紙などの繊維材料から製造された紙が挙げられる。これらの異なったシート材料は、異なった用途に有用である。たとえば、本発明によれば、コーティングされたタイベック(登録商標)およびコーティングされた紙は、ヒートシールされたパッケージング(たとえば、医療用パッケージング)に使用するのに特に適しており、繊維引裂の発生を低減する。コーティングされたSMS、コーティングされたSFS、およびコーティングされたソンタラ(登録商標)は、医療用手術着、外科用無菌布などの、液体の反撥性(repellency)が重要である用途に有用である。
【0031】
本発明のこの実施形態による、コーティング厚さが約0.5μmまでの、コーティングされたタイベック(登録商標)シートの静水頭は、また、驚いたことに、コーティングされていないタイベック(登録商標)シートの静水頭に実質的に等しいことがわかった。これは、水が、本質的に疎水性であるタイベック(登録商標)の表面上を濡らし広がることを可能にする親水性コーティングの場合、特に予期しなかった。「実質的に等しい静水頭」とは、コーティングされたタイベック(登録商標)シートの静水頭が、コーティングされていないタイベック(登録商標)シートの静水頭の34%以内であることを意味し、これは、タイベック(登録商標)の静水頭の通常のばらつきの範囲内である。0.5μmを超えるコーティング厚さの場合、蒸着コーティングされたタイベック(登録商標)の静水頭のばらつきが、コーティングされていないタイベック(登録商標)の静水頭の75%以内であることを観察した。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、多孔性繊維シート材料が、シート材料の繊維が個別にコーティングされ、繊維間の隙間空間をコーティング材料によって実質的に被覆されないままにするようにコーティングされている。「実質的に被覆されていない」とは、繊維間の隙間空間の少なくとも35%がコーティングのないことを意味する。
【0033】
コーティングされた基材のコーティング層に使用される適切な材料としては、真空適合性モノマー、オリゴマー、または低MWポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。真空適合性モノマー、オリゴマー、または低MWポリマーは、熱劣化または重合することなく、蒸発器内で急速に蒸発するのに十分な高い蒸気圧力を有するべきであり、同時に、真空システムを破壊するほどの高い蒸気圧力を有するべきでない。蒸発の容易さは、分子量、およびモノマー、オリゴマー、またはポリマー内の分子間力に依存する。典型的には、本発明に有用な真空適合性モノマー、オリゴマー、および低MWポリマーの重量平均分子量は、約1200までであることができる。本発明に使用される真空適合性モノマーは、単独でまたは光開始剤の助けを伴って、放射線重合可能であるべきであり、ヒドロキシル官能基、エーテル官能基、カルボキシル官能基、スルホン酸官能基、および他の官能基で官能基化されたアクリレートモノマーが挙げられる。真空適合性オリゴマーまたは低分子量ポリマーとしては、上述されたように官能基化されたジアクリレート、トリアクリレート、およびより高分子量のアクリレート、脂肪族、脂環式、または芳香族のオリゴマーまたはポリマー、ならびにフッ素化アクリレートオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。本発明に有用な、非常に小さい分子間相互作用を示すフッ素化アクリレートの重量平均分子量は、約6000までであることができる。好ましいアクリレートは、分子内に、少なくとも1つの二重結合、好ましくは少なくとも2つの二重結合を有し、高速重合をもたらす。本発明のコーティングに有用なアクリレートの例およびそれらのアクリレートの平均分子量は、米国特許第6,083,628号明細書および国際公開第98/18852号パンフレットに記載されている。
【0034】
コーティング材料は、架橋された親水性化合物または組成物であってもよい。そのような化合物の例は、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボン酸基、スルホン基、およびアミン基などの基で官能基化されたモノ−、ジ−、およびトリ−アクリレートである。そのような材料は、印刷基材として使用されるべき不織布シートおよび紙シートのコーティングとして特に適している。架橋された親水性化合物でコーティングされたシート材料のインク接着力は、向上される。本発明によってコーティングされたタイベック(登録商標)上のフレキソ印刷からのインクピックオフ(pick−off)は、コーティングされていないタイベック(登録商標)の同様の印刷と比較して、事実上存在しない。また、本発明によってコーティングされたタイベック(登録商標)上のフレキソ印刷からガソリンでこするときのインクこすり落とし耐性は、コーティングされていないタイベック(登録商標)と比較して、事実上なくなる。そのような材料は、また、ヒートシール用途に使用されるべきシートのコーティングとして適している。
【0035】
代わりに、コーティング材料は、疎水性化合物または組成物であってもよい。コーティング材料は、本発明の1つの好ましい実施形態による、架橋可能な疎水性かつ疎油性のフッ素化アクリレートであってもよい。そのようなコーティングは、一般に、撥アルコール性、撥水性、および/または撥油性が望ましい用途に有用である。架橋可能な疎水性かつ疎油性のフッ素化アクリレートがコーティング材料として使用される場合、本発明のコーティングされた不織布シートの撥アルコール性/撥水性評価が、6〜10であることができることがわかった。10の評価は、1滴のニートなイソプロパノールが、シートを浸透しないが、むしろ、表面上に残ることを意味する。コーティングされたシートの撥油性評価は、また、3〜6であることができる。そのようなコーティングされた不織布シート材料は、血液または流体しみ通しが回避されることが求められる医療用衣類用途に特に有用である。この用途に有用な医療用衣類(たとえば、手術着、マスク、ブーツなど)に使用される典型的なシート材料は、タイベック(登録商標)などのフラッシュ紡糸網状フィラメントフィルム−フィブリル構造、スパンボンド溶融紡糸ウェブおよび複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート(SMS)、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート(SFS)、ソンタラ(登録商標)などのスパンレースポリエステル/木材パルプ複合シートなどである。反撥性の厳密なレベルは、コーティング材料の性質および不織布シート上に存在するコーティングの量に依存し、これは、コーティングラインの速度、基材上に凝縮する蒸気の流量、および電子ビームまたはUV放射線の重合効率に依存する。反撥性のレベルは、また、不織布シートが製造される材料、不織布シートの構造、ならびにその多孔性および細孔径分布に依存する。たとえば、SMS構造は、典型的にはより多孔性であり、それにより、それらに反撥性を与えることは、医療用パッケージングに使用されるタイベック(登録商標)構造に反撥性を与えるより難しい。本発明の一実施形態によれば、疎水性フッ素化アクリレートでコーティングされた繊維シート材料を、吸収性親水性コーティングでさらにコーティングしてもよい。
【0036】
架橋可能な疎水性かつ疎油性のフッ素化アクリレートが紙上のコーティング材料として使用される場合、コーティング前に撥アルコール性/撥水性または撥油性を有さない紙は、同様にコーティングされた不織布に匹敵する撥アルコール性/撥水性および撥油性を示すことがわかった。そのようなコーティングされた紙は、医療用途に特に有用である。
【0037】
本発明のコーティングされたシート材料が、コーティングされたシート材料のコーティングされた表面が、第2の材料にヒートシールされて、物品を収容することができるポケットを形成するパッケージングに使用するのによく適していることがわかった。そのようなパッケージングは、外科用器具などの医療用デバイスをパッケージングするために通常使用され、これらは、パッケージ内で滅菌され、かつ、使用されるためにパッケージから取出されるとき、無菌のままである必要がある。本発明によるヒートシールされたパッケージの断面図が、図3に示されている。パッケージ40は、第2の材料34にヒートシールされたコーティング33を上に有する第1のシート材料32を含んでなり、コーティングされたシートおよび第2の材料は、協働して、物品35を収容することができる空隙を形成する。医療用パッケージングに有用であるために、シート材料は、滅菌気体に対して多孔性でなければならない。第2の材料は、スパンボンド網状フィラメント不織布シートなどであるがそれに限定されない不織布シートを含んでなってもよく、また、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などのコーティングされたポリマーフィルム、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)で共押出しされたサーリン(Surlyn)(登録商標)(すなわち、EVA/サーリン(登録商標)/EVA)などの熱成形可能なフィルム、ナイロン、予備成形されたトレイまたは紙を含んでなってもよい。好ましくは、ヒートシールされたパッケージング用途において、シート材料上のコーティングは、図2に示されているように、2つの層を含んでなる。シート材料26に隣接した第1の層28は、ポリアクリレートであり、第1の層に隣接した第2の層29は、炭化水素オリゴマーおよび/またはポリ(アクリレート)オリゴマーの混合物である。
【0038】
たとえば、一方の面を第2の材料にヒートシールしてパッケージを形成すべきであり、かつ、他方の面を印刷すべきである場合、第1のシート材料の両面をコーティングしてもよい。再び、図2を参照すると、ヒートシールされたパッケージングに使用されるシート30は、また、印刷適性を高めるために、第1の層28と反対側の表面上にコーティング31を含んでなってもよい。
【0039】
本発明の利点は、本発明のコーティングされた繊維シート材料から製造されたヒートシールされたパッケージを開けるとき、すなわち、ヒートシールされたシートが互いから分離されるときの繊維引裂の発生が事実上なくなることである。これは、剥離が、繊維シートの表面上で直接発生しないためであると考えられる。単層コーティングの場合、剥離は、単層コーティングと第2の材料との間で発生する。これは、また、繊維シートを2つのコーティング層でコーティングすることによって、かつ、コーティング層の接着強度およびヒートシール強度を適切に選択することによって行われる。第1のコーティング層28は、第1のコーティングと第2のコーティングとの間の接着力および第2のコーティングと第2の材料との間の接着力より大きい、基材への接着力を有する、熱硬化性の架橋されたポリアクリレートの保護層であることができる。第1のコーティング層に直接付与された第2のコーティング層29は、コーティングされたシートと協働してパッケージを形成する第2のシート材料、典型的には熱成形可能なフィルムにヒートシール可能な、炭化水素オリゴマー、または炭化水素オリゴマーと官能基化されたアクリレートオリゴマーとのブレンドを含んでなる。第2のコーティング層は、第1のコーティング層に接着しなければならず、かつ、第1のコーティング層の第1のシートへの接着力より小さいヒートシール強度で、第2の材料に接着しなければならならない。
【0040】
コーティングの総厚さは、約0.05〜5マイクロメートル、好ましくは約0.2〜3マイクロメートル、より好ましくは約0.2〜2マイクロメートルであることができる。特に好ましい実施形態において、保護ポリアクリレート層の厚さは、約1マイクロメートルであり、炭化水素オリゴマーを含んでなるヒートシール可能な層の厚さは、約1マイクロメートルである。
【0041】
第1のシートが繊維シート材料であり、かつ、第2の材料がフィルムである特定の医療用パッケージングの場合、典型的には、第1のコーティング層と第2のコーティング層との間の接着強度が、約175〜約350N/mであり、これは、また、第2の層とフィルムとの間のシール強度のレベルであるべきである。これらの条件が満たされた場合、剥離は、2つのコーティング層の間、または第2のコーティング層とフィルムとの間で、繊維シート材料の表面から離れて発生する。次に、剥離は、2つの方法のうちの1つで発生する。第1のコーティング層が、繊維シート材料上に残り、かつ、第2のコーティング層が、第1のコーティング層から剥離するか、または、両方のコーティング層が、繊維シート材料上に残り、かつ、フィルムが、第2のコーティング層から剥離する。いずれの場合も、剥離は、露出した繊維シート材料表面上で直接発生せず、したがって、パッケージが開けられるとき、実質的に繊維引裂が生じない。「実質的に繊維引裂がない」とは、以下で例示されるように、開けられたパッケージの少なくとも90%で不織布シートに繊維引裂が発生しないことを意味する。
【0042】
繊維引裂を低減することは、本質的に、穿刺、引裂伝播、および繊維引裂に対する耐性がより低い繊維紙の場合、特に難しい。本発明による、繊維紙の表面に1つまたは2つのコーティング層を付与することは、剥離が表面上で直接発生しないことを確実にし、かつ、繊維引裂に対する性能を著しく向上させる。
【0043】
ヒートシール用途の一実施形態によれば、第1のコーティング層は、繊維引裂を防止するために、架橋されたポリアクリレートベースの配合物を含んでなり、第2のコーティング層は、ヒートシールのために、熱可塑性オリゴマー/ポリマー、またはオリゴマーの混合物、またはオリゴマーとポリアクリレートとの混合物を含んでなる。疎水性炭化水素オリゴマーは、脂肪族、脂環式、または芳香族であってもよい。炭化水素オリゴマーのコーティングの場合、炭化水素オリゴマーが、凝縮および冷却すると容易に凝固するので、重合工程が必要でない。ヒートシール用途に有用な材料は、基材または第2の材料の特性を損傷するか変えることなく、頑丈なシールを製造することができる温度、ドエル時間、および圧力で、軟化または溶融しなければならない。脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素オリゴマー、ならびにそれらと官能基化されたアクリレートモノマーとのブレンドは、これらの要件を満たすのに有用な出発材料である。
【0044】
炭化水素オリゴマーは、疎水性であるが、撥油性または撥アルコール性でなく、したがって、それらは、アルコールおよび油の反撥性が必要な用途に使用すべき本発明の実施形態の外側のコーティング層として有用でない。
【0045】
付加的なコーティング層を第1のコーティング層上に堆積させてもよい。厚すぎるコーティングは、シート材料の空気透過性の低下をもたらすことがあるが、本発明のこの実施形態によれば、繊維間の隙間空間は、コーティング材料によって実質的に被覆されないままである。
【0046】
本発明によるヒートシール用途に使用される疎水性炭化水素オリゴマー化合物で一方の表面がコーティングされた不織布シートまたは紙シートは、また、基材の静水頭特性を損なうことなく、パッケージデザインなどの印刷のための良好なインク接着力をもたらすために、反対側の表面を架橋可能な親水性コーティングでコーティングしてもよい。
【0047】
上記実施形態のいずれにおいても、コーティング材料は、コーティングされたシート材料の表面に色を与えるために顔料または染料を含んでもよい。シートの両面が、異なったコーティング材料でコーティングされた場合、結果として生じるシートは、各面で異なった色を有してもよい。蒸着プロセスの間、コーティングされたシートに所望のデザインを与えるために、蒸気が蒸発器を出るスリットとコーティングすべきシートとの間にマスクを配置することができる。
【0048】
上記実施形態のいずれにおいても、コーティング材料は、帯電防止機能および抗菌機能を与えるための添加剤を含む、他の既知の添加剤を含んでもよい。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態によれば、コーティングされたシートが、不織布シートまたは紙ではなく、ポリマーフィルムである以外は、上述されたように、ヒートシールされたパッケージが提供される。好ましくは、フィルムは、ヒートシールされる面が、ポリアクリレートのここで説明されたような配合物でコーティングされ、次に、ポリアクリレートを含有する疎水性組成物でコーティングされる。フィルムの反対側の面は、また、フィルムを印刷すべき場合、良好なインク接着力を促進するために、親水性化合物または組成物でコーティングしてもよい。コーティングの厚さは、0.05−2μmである。
【0050】
本発明で実現される向上した特性は、次の非限定的な実施例によって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の製品を製造する装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるコーティングされた基材の断面図である。
【図3】ヒートシールされたパッケージの断面図である。
【図4】先行技術のコーティングされていない対照サンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図5】本発明による1つのコーティング層を有する蒸着コーティングされたサンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図6】本発明による1つのコーティング層を有する蒸着コーティングされたサンプルの原子間力顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図7】本発明による2層蒸着コーティングされたサンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図8】先行技術の従来通りにコーティングされたサンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図9】さまざまなヒートシール温度における、対照のコーティングされていないシートと比較された、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールを比較する棒グラフである。
【図10】さまざまなヒートシール温度における、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールと、対照のコーティングされていないシートとを比較する棒グラフである。
【図11】さまざまなヒートシール温度における、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールと、対照のコーティングされていないシートとを比較する棒グラフである。
【図12】さまざまなヒートシール温度における、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールと、対照のコーティングされていないシートとを比較する棒グラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされていない同様のシート材料にほぼ等しい多孔性および透過性を有する、薄い均一なポリマーコーティングでコーティングされた不織布および紙などのシート材料に関する。本発明は、また、そのようなコーティングされたシートから製造されたヒートシールされたパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維不織布シート材料および繊維紙シート材料などの基材をコーティングするための従来実施された手段としては、ナイフコーティング、ホットメルトコーティング、水性分散液コーティング、グラビアコーティング、直接ブレードコーティング、ロールコーティング、エアドクターコーティング、および絞り(squeeze)コーティングが挙げられる。これらの既知の方法には、いくつかの問題がある。ナイフコーティングは、基材のほぼ完全な表面被覆(coverage)をもたらし、それにより、その多孔性および透過性特性を変える。基材のほんのわずかな透過性だけが、主として、乾燥後、コーティング上に現れる亀裂によって、維持される。ホットメルトコーティングは、それがどのように付与されるかによっては、基材の繊維間にコーティングの三次元ドットまたは島をもたらし、シート材料の細孔のいくつかが完全に被覆され、いくつかが部分的に被覆されることがある。
【0003】
従来の方法に使用されるコーティングラインは、投資の点で、大きく、費用がかかる。これらの方法は、多くのコーティング材料を堆積させなければならない点で、柔軟でなく、これは、また、より少ない材料が、コーティングされたシートの最終用途に十分である状況において、経済的に魅力がない。溶液または分散液コーティングは、高温に曝すことによって、コーティングまたは基材が損傷されないように、またはそれらの特性が変わらないように、溶媒または分散液体を蒸発させることによって、乾燥させなければならず、これは、ゆっくりした、費用のかかる工程である。さらに、溶媒ベースのコーティングにおいて、溶媒回収が必要であり、これは、このプロセスにコストおよび複雑さを加える。ホットメルトとして付与されるコーティングは、しばしば、基材の熱特徴を変え、それらの元の特性を損なう。別の問題は、コーティングされていない基材の空気透過性および/または多孔性が、いったんコーティングが付与されると、ほとんど常に犠牲になることである。シート材料の空気透過性または多孔性を影響されないままにしながら、特定の所望の特性を、高めるか、シート材料に与えることが望ましい。
【0004】
特許文献1(イアリジス(Yializis))は、少なくとも1つのプラズマ処理された表面を有する第1のポリマーベースフィルムと、ベースフィルムのプラズマ処理された表面に沿って配置された少なくとも第2の薄いアクリレートポリマーフィルムとを含んでなるハイブリッドフィルムを開示している。アクリレートフィルムは、官能基化されたアクリレートモノマーまたはオリゴマーを架橋することによって形成される。ハイブリッドフィルムは、1つもしくはそれ以上の金属コーティングまたはセラミックコーティングをさらに含んでなってもよい。ハイブリッドフィルムを形成する連続プロセスは、真空チャンバ内で行われ、それは、ベースフィルムをプラズマ処理して、フィルムを官能基化し、その後、アクリレートモノマーをベースフィルム上に蒸着し、次に、放射線重合してモノマーを架橋することからなる。ハイブリッドフィルムは、バリヤ特性を向上させるための、食品パッケージングを含むいくつかの用途に有用である。食品パッケージング用途において、アクリレートコーティングは、典型的には厚さが0.5〜2μmであることが開示されている。
【0005】
特許文献2(イアリジス(Yializis)ら)は、多官能アクリレートモノマーが移動可能な基材上で凝縮するような温度で維持された移動可能な基材上に、真空下で、多官能アクリレートモノマーの蒸気を堆積させることによって、可撓性基材を薄い「実質的に連続的な」フィルムでコーティングする方法を開示している。次に、フィルムを重合させるために、フィルムを放射線に曝す。アクリレートモノマーコーティングは、厚さが、4μm未満であり、好ましくは2μm未満であり、おそらくは0.1μmの薄さであるように形成してもよい。そのようなコーティングは、さまざまな用途に使用される金属または他の基材のための食品パッケージングおよび保護コーティングに有用であるとして開示されている。特許文献3(ショー(Shaw)ら)は、特許文献2(イアリジスら)のプロセスを何回も繰返して、4,000以上もの層を有する多層の薄いフィルム構造を形成する、同様のプロセスを開示している。
【0006】
特許文献4および特許文献5は、基材をプラズマで処理し、アクリレートモノマーでコーティングし、その後、モノマーを放射線重合させる、基材をコーティングするプロセスを開示している。プラズマは、中空カソードを使用して発生させ、電磁または磁気集束手段を使用して、基材の表面に集束させる。特許文献4によれば、モノマーコーティングは、毛管ドリップシステムを使用して、溶液浴中に浸漬することによって、または蒸着によって、付与してもよい。特許文献5によれば、モノマーを蒸着によって付与する。特許文献5は、また、特に製紙布などの、産業サイズの連続基材を処理する装置を開示している。
【0007】
ウェブ表面を無機および有機組成物でコーティングする真空蒸着ポリマーコーティングに有用なシステムおよび装置が、非特許文献1に記載されている。このシステムは、表面をプラズマで処理して、低分子量材料を除去し、かつ、表面を極性基で官能基化し、真空蒸着コーティングによって、放射線硬化性アクリレートなどの材料を表面上に堆積させ、電子ビームまたは紫外線ランプのいずれかでアクリレートを重合させることを含む。開示されたコーティングされた基材の用途の中に、高バリヤフィルム、印刷可能なフィルム、および不織布がある。
【0008】
特許文献6、特許文献7、および特許文献8(アフィニト(Affinito))は、真空中への注入前にモノマー材料を脱気する工程を含む、真空下で固体ポリマー層を形成するプロセスおよび装置を開示している。真空中でポリマー層を形成することの利点は、光開始剤が重合に必要でないこと、重合がより速いこと、ポリマー中の不純物がより少ないこと、およびポリマーが、より高い密度と、より滑らかな仕上げ表面とを有することであるといわれている。
【0009】
特許文献9は、ポリプロピレン、ポリエステル、またはナイロンシート材料などの基材を、架橋されたアクリレートおよび金属層でコーティングするプロセスを開示している。アクリレートモノマーを、フラッシュ蒸発器を使用して蒸発させ、アクリレートをモノマーフィルムとしてシート上に凝縮し、その後、電子ビームまたは紫外光による照射によってフィルムを重合させる。シート材料上のアクリレートの接着力を、コーティング直前のプラズマ処理によって高める。プラズマ処理およびコーティングの両方を真空下で行う。結果として生じるコーティングされたシートは、低酸素透過性を有し、食品パッケージングに特に有用である。
【0010】
特許文献10および特許文献11(ショー(Shaw)ら)は、分子量が200〜3000のケイ素含有およびフッ素含有アクリレートプレポリマーを、シート材料上に蒸着し、放射線重合させるプロセスによって製造された、アクリレートポリマー剥離コーティングでコーティングされた、紙およびフィルムを含むシート材料を開示している。厚さが0.5〜1μmのコーティング層が開示されている。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6,083,628号明細書
【特許文献2】米国特許第4,842,893号明細書
【特許文献3】米国特許第5,032,461号明細書
【特許文献4】国際公開第99/59185号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/58756号パンフレット
【特許文献6】米国特許第5,260,095号明細書
【特許文献7】米国特許第5,547,508号明細書
【特許文献8】米国特許第5,395,644号明細書
【特許文献9】国際公開第98/18852号パンフレット
【特許文献10】米国特許第5,811,183号明細書
【特許文献11】米国特許第5,945,174号明細書
【非特許文献1】アール・イー・エルワンガー(R.E.Ellwanger)、エ ム・ジー・ミカエル(M.G.Mikhael)、エー・イアリジス(A.Yial izis)、およびエー・ボーフェルフェル(A.Boufelfel)、「プラズ マ処理およびポリマーコーティングによるウェブ表面の真空官能基化)(Vacuu m Functionalization of Web Surfaces vi a Plasma Treatment and Polymer Coating )」、バキューム・テクノロジー&コーティング(Vacuum Technolo gy & Coating)(2001年2月)
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、さまざまな非常に薄いポリマーコーティングをさまざまな基材上に蒸着することによって、上で列挙された所望の効果が得られることを発見した。蒸着コーティングの厚さは、意図された用途に依存する。たとえば、撥水性、撥アルコール性、または撥油性(water, alcohol or oil repellency)が重要である用途の場合、厚さは、数十ナノメートルであることができる。基材をヒートシールしてパッケージを形成する用途の場合、コーティングは、より厚くてもよく、たとえば、0.05〜5μmであってもよい。いずれにせよ、蒸着コーティングの厚さは、好ましく
は、およそ繊維基材の表面上の繊維の直径である。したがって、十分なコーティング材料が、意図された用途に提供され、蒸着コーティングは、繊維間の隙間空間を被覆することなく、繊維の表面形態に適合する。基材の透過性が影響される前に許容できる最大コーティング厚さは、基材の多孔性、すなわち、コーティングによって充填することができる空隙空間、およびコーティングの多孔性に依存する。
【0021】
本発明のコーティングされた基材を製造するのに用いられるプロセスが、図1に示された概略図によって示されている。このプロセスは、基材をプラズマ処理する任意の最初の工程と、基材を蒸着コーティングする工程と、任意のコーティングの重合の工程とを含む。このプロセスは、1.33×10-3〜1.33×10-7kPaの雰囲気で維持された真空チャンバ8内で行われる。コーティングすべき基材16は、供給ロール12から供給される。
【0022】
基材16の表面は、緩く保持された低分子量化合物を除去し、その表面を官能基化するために、最初に、場合により、プラズマに曝される。その結果として、基材の表面エネルギーが修正されて、凝縮蒸気によってその濡れを向上させる。プラズマ処理は、米国特許第6,066,826号明細書、国際公開第99/58757号パンフレット、および国際公開第99/59185号パンフレットに開示されているような装置14によって行ってもよい。
【0023】
次に、基材は、フラッシュ蒸発装置18を使用するフラッシュ蒸着プロセスによって、放射線重合可能なモノマー、オリゴマー、または低MWポリマーでコーティングされ、このプロセスおよび装置は、米国特許第4,722,515号明細書、米国特許第4,696,719号明細書、米国特許第4,842,893号明細書、米国特許第4,954,371号明細書、米国特許第5,032,461号明細書、および米国特許第5,097,800号明細書に記載されており、これらのすべてを、引用により、本明細書に援用する。液体またはスラリーの形態の、放射線重合可能なモノマー、オリゴマー、または低MWポリマーは、均一なコーティングを作るために、入口管19を通って連続流で提供されるべきである。放射線重合可能なモノマー、オリゴマー、または低MWポリマーの液体またはスラリーは、好ましくは、米国特許第5,547,508号明細書に記載されているように、真空チャンバ内に蒸気として注入する前に脱気される。1を超えるコーティングが望まれる場合、複数のフラッシュ蒸発装置18および19を直列に使用することができるか、または、付加的なコーティングが基材16の反対側の表面上に望まれる場合、図1に示されているように、付加的なフラッシュ蒸発装置20および21を設けることができる。
【0024】
蒸着の間、コーティングすべき基材を冷却することは、米国特許第4,842,893号明細書および国際公開第98/18852号パンフレットに記載されているように、モノマー/オリゴマー凝縮の効率を高める。これは、蒸着の間、米国特許第4,842,893号明細書におけるように、基材を、冷却されたドラムの上を通過させることによって達成してもよい。このために、蒸着前に基材を冷却するように配置されたクリオプレート(Cryoplates)(図示せず)も、使用してもよい。
【0025】
凝縮されたコーティングは、たとえば、電子ビーム源または紫外線源などの放射線源22を使用してモノマーを重合させることによって、および/またはオリゴマーまたは低MWポリマーが冷却すると自然凝固によって、基材の表面上への凝縮後、数ミリ秒以内に凝固される。いくつかの場合、放射線源によって、オリゴマーをさらに重合させるか架橋することができる。電子ビーム銃が選択される場合、電子のエネルギーは、引用により、本明細書に援用する米国特許第6,083,628号明細書に記載されているように、コーティングをその全厚さで重合させるのに十分でなければならない。モノマー/オリゴマー
コーティングの重合は、また、米国特許第4,842,893号明細書、米国特許第4,954,371号明細書、および米国特許第5,032,461号明細書に記載されている。室温で固体であるオリゴマーまたは低MWポリマーの場合、米国特許第6,270,841号明細書に記載されているように、重合が必要でないであろう。最後に、コーティングされた基材は、巻取りロール24上に巻取られる。
【0026】
コーティングの厚さは、蒸着プロセスに使用されるフラッシュ蒸発器の線速度および蒸気流量によって制御される。コーティング厚さが増すにつれて、電子がコーティングを貫通し効果的な重合を行うために、電子ビームのエネルギーを調整しなければならない。たとえば、10kVおよび120mAにおける電子ビームは、厚さ2μmまでのアクリレートコーティングを効果的に重合させることができる。
【0027】
上記プロセスを、不織布シートまたは紙などの繊維基材16に適用して、コーティングされた繊維シートを形成してもよいことがわかった。本発明に使用される適切な不織布シートとしては、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド溶融紡糸ウェブおよび複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シートなどが挙げられる。
【0028】
本発明の実施形態である、いくつかの新たな製品を生成するために、上述されたプロセスが用いられている。
【0029】
本発明の一実施形態において、コーティングされたシート材料の透過性が、コーティングのない同等のシート材料の透過性に実質的に等しいように、すなわち、コーティングが、明らかに、材料の透過性に実質的に影響を及ぼさないように、ポリマー材料で少なくとも1つの面を被覆するように、多孔性シート材料がコーティングされている。「実質的に等しい透過性」とは、コーティングされたシート材料の透過性が、コーティングされていないシート材料の透過性の64%以内であることを意味し、これは、コーティングされていないタイベック(Tyvek)(登録商標)フラッシュ紡糸網状フィラメントポリエチレンシートの空気透過性の通常のばらつきである。「同等のシート材料」という用語は、コーティングされる前のコーティングされたシート材料に使用されるのと同じシート材料を指す。「透過性」という用語は、ここで、特定のシート材料について最も適切なテストによって測定されるような、気体透過性、特に空気透過性を意味するように定義する。たとえば、いくつかの材料の場合、これはガーリー・ヒル多孔性(Gurley Hill Porosity)であり、他の材料の場合、それはフレージャー透過性(Frazier Permeability)である。「被覆する(cover)」または「被覆する(covering)」とは、コーティング材料の一連の別個のパッチでコーティングされ、繊維表面のかなりの部分をコーティングされないままにする布と異なり、シート材料の繊維表面全体がコーティング材料でコーティングされていることを意味する。
【0030】
本発明のこの実施形態に使用される多孔性シート材料としては、気体および/または液体透過性である不織布シートおよび紙が挙げられる。本発明での使用に適した不織布シート材料の好ましい例は、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー・インコーポレイテッド(E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.)から入手可能な、高密度ポリエチレンから製造された、タイベック(登録商標)などの、フラッシュ紡糸網状フィラメントフィルム−フィブリル材料である。適切なフラッシュ紡糸網状フィラメントフィルム−フィブリル材料は、また、ポリプロピレンから製造してもよい。本発明のこの実施形態に有用な不織布シートの他の例としては、スパンボンド溶融紡糸ウェブおよび複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート(SMS)、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート(SFS)、およびソンタラ(Sontara)(登録商標)などのスパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、ならびに木材パルプまたは再生紙などの繊維材料から製造された紙が挙げられる。これらの異なったシート材料は、異なった用途に有用である。たとえば、本発明によれば、コーティングされたタイベック(登録商標)およびコーティングされた紙は、ヒートシールされたパッケージング(たとえば、医療用パッケージング)に使用するのに特に適しており、繊維引裂の発生を低減する。コーティングされたSMS、コーティングされたSFS、およびコーティングされたソンタラ(登録商標)は、医療用手術着、外科用無菌布などの、液体の反撥性(repellency)が重要である用途に有用である。
【0031】
本発明のこの実施形態による、コーティング厚さが約0.5μmまでの、コーティングされたタイベック(登録商標)シートの静水頭は、また、驚いたことに、コーティングされていないタイベック(登録商標)シートの静水頭に実質的に等しいことがわかった。これは、水が、本質的に疎水性であるタイベック(登録商標)の表面上を濡らし広がることを可能にする親水性コーティングの場合、特に予期しなかった。「実質的に等しい静水頭」とは、コーティングされたタイベック(登録商標)シートの静水頭が、コーティングされていないタイベック(登録商標)シートの静水頭の34%以内であることを意味し、これは、タイベック(登録商標)の静水頭の通常のばらつきの範囲内である。0.5μmを超えるコーティング厚さの場合、蒸着コーティングされたタイベック(登録商標)の静水頭のばらつきが、コーティングされていないタイベック(登録商標)の静水頭の75%以内であることを観察した。
【0032】
本発明の別の実施形態によれば、多孔性繊維シート材料が、シート材料の繊維が個別にコーティングされ、繊維間の隙間空間をコーティング材料によって実質的に被覆されないままにするようにコーティングされている。「実質的に被覆されていない」とは、繊維間の隙間空間の少なくとも35%がコーティングのないことを意味する。
【0033】
コーティングされた基材のコーティング層に使用される適切な材料としては、真空適合性モノマー、オリゴマー、または低MWポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる。真空適合性モノマー、オリゴマー、または低MWポリマーは、熱劣化または重合することなく、蒸発器内で急速に蒸発するのに十分な高い蒸気圧力を有するべきであり、同時に、真空システムを破壊するほどの高い蒸気圧力を有するべきでない。蒸発の容易さは、分子量、およびモノマー、オリゴマー、またはポリマー内の分子間力に依存する。典型的には、本発明に有用な真空適合性モノマー、オリゴマー、および低MWポリマーの重量平均分子量は、約1200までであることができる。本発明に使用される真空適合性モノマーは、単独でまたは光開始剤の助けを伴って、放射線重合可能であるべきであり、ヒドロキシル官能基、エーテル官能基、カルボキシル官能基、スルホン酸官能基、および他の官能基で官能基化されたアクリレートモノマーが挙げられる。真空適合性オリゴマーまたは低分子量ポリマーとしては、上述されたように官能基化されたジアクリレート、トリアクリレート、およびより高分子量のアクリレート、脂肪族、脂環式、または芳香族のオリゴマーまたはポリマー、ならびにフッ素化アクリレートオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。本発明に有用な、非常に小さい分子間相互作用を示すフッ素化アクリレートの重量平均分子量は、約6000までであることができる。好ましいアクリレートは、分子内に、少なくとも1つの二重結合、好ましくは少なくとも2つの二重結合を有し、高速重合をもたらす。本発明のコーティングに有用なアクリレートの例およびそれらのアクリレートの平均分子量は、米国特許第6,083,628号明細書および国際公開第98/18852号パンフレットに記載されている。
【0034】
コーティング材料は、架橋された親水性化合物または組成物であってもよい。そのような化合物の例は、ヒドロキシル基、エーテル基、カルボン酸基、スルホン基、およびアミン基などの基で官能基化されたモノ−、ジ−、およびトリ−アクリレートである。そのような材料は、印刷基材として使用されるべき不織布シートおよび紙シートのコーティングとして特に適している。架橋された親水性化合物でコーティングされたシート材料のインク接着力は、向上される。本発明によってコーティングされたタイベック(登録商標)上のフレキソ印刷からのインクピックオフ(pick−off)は、コーティングされていないタイベック(登録商標)の同様の印刷と比較して、事実上存在しない。また、本発明によってコーティングされたタイベック(登録商標)上のフレキソ印刷からガソリンでこするときのインクこすり落とし耐性は、コーティングされていないタイベック(登録商標)と比較して、事実上なくなる。そのような材料は、また、ヒートシール用途に使用されるべきシートのコーティングとして適している。
【0035】
代わりに、コーティング材料は、疎水性化合物または組成物であってもよい。コーティング材料は、本発明の1つの好ましい実施形態による、架橋可能な疎水性かつ疎油性のフッ素化アクリレートであってもよい。そのようなコーティングは、一般に、撥アルコール性、撥水性、および/または撥油性が望ましい用途に有用である。架橋可能な疎水性かつ疎油性のフッ素化アクリレートがコーティング材料として使用される場合、本発明のコーティングされた不織布シートの撥アルコール性/撥水性評価が、6〜10であることができることがわかった。10の評価は、1滴のニートなイソプロパノールが、シートを浸透しないが、むしろ、表面上に残ることを意味する。コーティングされたシートの撥油性評価は、また、3〜6であることができる。そのようなコーティングされた不織布シート材料は、血液または流体しみ通しが回避されることが求められる医療用衣類用途に特に有用である。この用途に有用な医療用衣類(たとえば、手術着、マスク、ブーツなど)に使用される典型的なシート材料は、タイベック(登録商標)などのフラッシュ紡糸網状フィラメントフィルム−フィブリル構造、スパンボンド溶融紡糸ウェブおよび複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート(SMS)、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート(SFS)、ソンタラ(登録商標)などのスパンレースポリエステル/木材パルプ複合シートなどである。反撥性の厳密なレベルは、コーティング材料の性質および不織布シート上に存在するコーティングの量に依存し、これは、コーティングラインの速度、基材上に凝縮する蒸気の流量、および電子ビームまたはUV放射線の重合効率に依存する。反撥性のレベルは、また、不織布シートが製造される材料、不織布シートの構造、ならびにその多孔性および細孔径分布に依存する。たとえば、SMS構造は、典型的にはより多孔性であり、それにより、それらに反撥性を与えることは、医療用パッケージングに使用されるタイベック(登録商標)構造に反撥性を与えるより難しい。本発明の一実施形態によれば、疎水性フッ素化アクリレートでコーティングされた繊維シート材料を、吸収性親水性コーティングでさらにコーティングしてもよい。
【0036】
架橋可能な疎水性かつ疎油性のフッ素化アクリレートが紙上のコーティング材料として使用される場合、コーティング前に撥アルコール性/撥水性または撥油性を有さない紙は、同様にコーティングされた不織布に匹敵する撥アルコール性/撥水性および撥油性を示すことがわかった。そのようなコーティングされた紙は、医療用途に特に有用である。
【0037】
本発明のコーティングされたシート材料が、コーティングされたシート材料のコーティングされた表面が、第2の材料にヒートシールされて、物品を収容することができるポケットを形成するパッケージングに使用するのによく適していることがわかった。そのようなパッケージングは、外科用器具などの医療用デバイスをパッケージングするために通常使用され、これらは、パッケージ内で滅菌され、かつ、使用されるためにパッケージから取出されるとき、無菌のままである必要がある。本発明によるヒートシールされたパッケージの断面図が、図3に示されている。パッケージ40は、第2の材料34にヒートシールされたコーティング33を上に有する第1のシート材料32を含んでなり、コーティングされたシートおよび第2の材料は、協働して、物品35を収容することができる空隙を形成する。医療用パッケージングに有用であるために、シート材料は、滅菌気体に対して多孔性でなければならない。第2の材料は、スパンボンド網状フィラメント不織布シートなどであるがそれに限定されない不織布シートを含んでなってもよく、また、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)などのコーティングされたポリマーフィルム、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)で共押出しされたサーリン(Surlyn)(登録商標)(すなわち、EVA/サーリン(登録商標)/EVA)などの熱成形可能なフィルム、ナイロン、予備成形されたトレイまたは紙を含んでなってもよい。好ましくは、ヒートシールされたパッケージング用途において、シート材料上のコーティングは、図2に示されているように、2つの層を含んでなる。シート材料26に隣接した第1の層28は、ポリアクリレートであり、第1の層に隣接した第2の層29は、炭化水素オリゴマーおよび/またはポリ(アクリレート)オリゴマーの混合物である。
【0038】
たとえば、一方の面を第2の材料にヒートシールしてパッケージを形成すべきであり、かつ、他方の面を印刷すべきである場合、第1のシート材料の両面をコーティングしてもよい。再び、図2を参照すると、ヒートシールされたパッケージングに使用されるシート30は、また、印刷適性を高めるために、第1の層28と反対側の表面上にコーティング31を含んでなってもよい。
【0039】
本発明の利点は、本発明のコーティングされた繊維シート材料から製造されたヒートシールされたパッケージを開けるとき、すなわち、ヒートシールされたシートが互いから分離されるときの繊維引裂の発生が事実上なくなることである。これは、剥離が、繊維シートの表面上で直接発生しないためであると考えられる。単層コーティングの場合、剥離は、単層コーティングと第2の材料との間で発生する。これは、また、繊維シートを2つのコーティング層でコーティングすることによって、かつ、コーティング層の接着強度およびヒートシール強度を適切に選択することによって行われる。第1のコーティング層28は、第1のコーティングと第2のコーティングとの間の接着力および第2のコーティングと第2の材料との間の接着力より大きい、基材への接着力を有する、熱硬化性の架橋されたポリアクリレートの保護層であることができる。第1のコーティング層に直接付与された第2のコーティング層29は、コーティングされたシートと協働してパッケージを形成する第2のシート材料、典型的には熱成形可能なフィルムにヒートシール可能な、炭化水素オリゴマー、または炭化水素オリゴマーと官能基化されたアクリレートオリゴマーとのブレンドを含んでなる。第2のコーティング層は、第1のコーティング層に接着しなければならず、かつ、第1のコーティング層の第1のシートへの接着力より小さいヒートシール強度で、第2の材料に接着しなければならならない。
【0040】
コーティングの総厚さは、約0.05〜5マイクロメートル、好ましくは約0.2〜3マイクロメートル、より好ましくは約0.2〜2マイクロメートルであることができる。特に好ましい実施形態において、保護ポリアクリレート層の厚さは、約1マイクロメートルであり、炭化水素オリゴマーを含んでなるヒートシール可能な層の厚さは、約1マイクロメートルである。
【0041】
第1のシートが繊維シート材料であり、かつ、第2の材料がフィルムである特定の医療用パッケージングの場合、典型的には、第1のコーティング層と第2のコーティング層との間の接着強度が、約175〜約350N/mであり、これは、また、第2の層とフィルムとの間のシール強度のレベルであるべきである。これらの条件が満たされた場合、剥離は、2つのコーティング層の間、または第2のコーティング層とフィルムとの間で、繊維シート材料の表面から離れて発生する。次に、剥離は、2つの方法のうちの1つで発生する。第1のコーティング層が、繊維シート材料上に残り、かつ、第2のコーティング層が、第1のコーティング層から剥離するか、または、両方のコーティング層が、繊維シート材料上に残り、かつ、フィルムが、第2のコーティング層から剥離する。いずれの場合も、剥離は、露出した繊維シート材料表面上で直接発生せず、したがって、パッケージが開けられるとき、実質的に繊維引裂が生じない。「実質的に繊維引裂がない」とは、以下で例示されるように、開けられたパッケージの少なくとも90%で不織布シートに繊維引裂が発生しないことを意味する。
【0042】
繊維引裂を低減することは、本質的に、穿刺、引裂伝播、および繊維引裂に対する耐性がより低い繊維紙の場合、特に難しい。本発明による、繊維紙の表面に1つまたは2つのコーティング層を付与することは、剥離が表面上で直接発生しないことを確実にし、かつ、繊維引裂に対する性能を著しく向上させる。
【0043】
ヒートシール用途の一実施形態によれば、第1のコーティング層は、繊維引裂を防止するために、架橋されたポリアクリレートベースの配合物を含んでなり、第2のコーティング層は、ヒートシールのために、熱可塑性オリゴマー/ポリマー、またはオリゴマーの混合物、またはオリゴマーとポリアクリレートとの混合物を含んでなる。疎水性炭化水素オリゴマーは、脂肪族、脂環式、または芳香族であってもよい。炭化水素オリゴマーのコーティングの場合、炭化水素オリゴマーが、凝縮および冷却すると容易に凝固するので、重合工程が必要でない。ヒートシール用途に有用な材料は、基材または第2の材料の特性を損傷するか変えることなく、頑丈なシールを製造することができる温度、ドエル時間、および圧力で、軟化または溶融しなければならない。脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素オリゴマー、ならびにそれらと官能基化されたアクリレートモノマーとのブレンドは、これらの要件を満たすのに有用な出発材料である。
【0044】
炭化水素オリゴマーは、疎水性であるが、撥油性または撥アルコール性でなく、したがって、それらは、アルコールおよび油の反撥性が必要な用途に使用すべき本発明の実施形態の外側のコーティング層として有用でない。
【0045】
付加的なコーティング層を第1のコーティング層上に堆積させてもよい。厚すぎるコーティングは、シート材料の空気透過性の低下をもたらすことがあるが、本発明のこの実施形態によれば、繊維間の隙間空間は、コーティング材料によって実質的に被覆されないままである。
【0046】
本発明によるヒートシール用途に使用される疎水性炭化水素オリゴマー化合物で一方の表面がコーティングされた不織布シートまたは紙シートは、また、基材の静水頭特性を損なうことなく、パッケージデザインなどの印刷のための良好なインク接着力をもたらすために、反対側の表面を架橋可能な親水性コーティングでコーティングしてもよい。
【0047】
上記実施形態のいずれにおいても、コーティング材料は、コーティングされたシート材料の表面に色を与えるために顔料または染料を含んでもよい。シートの両面が、異なったコーティング材料でコーティングされた場合、結果として生じるシートは、各面で異なった色を有してもよい。蒸着プロセスの間、コーティングされたシートに所望のデザインを与えるために、蒸気が蒸発器を出るスリットとコーティングすべきシートとの間にマスクを配置することができる。
【0048】
上記実施形態のいずれにおいても、コーティング材料は、帯電防止機能および抗菌機能を与えるための添加剤を含む、他の既知の添加剤を含んでもよい。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態によれば、コーティングされたシートが、不織布シートまたは紙ではなく、ポリマーフィルムである以外は、上述されたように、ヒートシールされたパッケージが提供される。好ましくは、フィルムは、ヒートシールされる面が、ポリアクリレートのここで説明されたような配合物でコーティングされ、次に、ポリアクリレートを含有する疎水性組成物でコーティングされる。フィルムの反対側の面は、また、フィルムを印刷すべき場合、良好なインク接着力を促進するために、親水性化合物または組成物でコーティングしてもよい。コーティングの厚さは、0.05−2μmである。
【0050】
本発明で実現される向上した特性は、次の非限定的な実施例によって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の製品を製造する装置の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態によるコーティングされた基材の断面図である。
【図3】ヒートシールされたパッケージの断面図である。
【図4】先行技術のコーティングされていない対照サンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図5】本発明による1つのコーティング層を有する蒸着コーティングされたサンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図6】本発明による1つのコーティング層を有する蒸着コーティングされたサンプルの原子間力顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図7】本発明による2層蒸着コーティングされたサンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図8】先行技術の従来通りにコーティングされたサンプルの走査型電子顕微鏡法顕微鏡写真である。
【図9】さまざまなヒートシール温度における、対照のコーティングされていないシートと比較された、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールを比較する棒グラフである。
【図10】さまざまなヒートシール温度における、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールと、対照のコーティングされていないシートとを比較する棒グラフである。
【図11】さまざまなヒートシール温度における、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールと、対照のコーティングされていないシートとを比較する棒グラフである。
【図12】さまざまなヒートシール温度における、本発明によるコーティングされたシートを使用するヒートシールされたパッケージのパーセントの良好なシールと、対照のコーティングされていないシートとを比較する棒グラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの多孔性不織ウェブを含んでなる気体透過性シート材料であって、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択される、気体透過性シート材料と、その少なくとも1つの面を被覆するポリマーコーティングとを含んでなるコーティングされた多孔性シート材料であって、コーティングされたシート材料の気体透過性が、コーティングのない同等のシート材料の気体透過性に実質的に等しい、コーティングされた多孔性シート材料。
【請求項2】
該ポリマーコーティングが、該不織ウェブの外面上の繊維上にコーティングされる請求項1に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項3】
ポリマーコーティングの厚さが、該不織ウェブの繊維の厚さと同じ程度である請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項4】
ポリマーコーティングの厚さが、該不織ウェブの繊維の厚さより小さい請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項5】
ポリマーコーティングの厚さが、不織ウェブの細孔の直径より小さい請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項6】
ポリマーコーティングが、繊維またはフィラメント間の隙間空間を充填することなく、繊維の形態に適合する請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項7】
コーティングされたシートの気体透過性が、コーティングのない同等のシート材料の気体透過性の64%以内である請求項1に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項8】
コーティングされた多孔性シート材料が、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シートであり、ポリマーコーティングの厚さが、約0.5マイクロメートル以下である請求項7に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項9】
ポリマーコーティングの厚さが、約45ナノメートルである請求項8に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項10】
繊維と繊維間の隙間空間とを含んでなる少なくとも1つの多孔性不織ウェブを含んでなるコーティングされた繊維シートであって、該コーティングされた繊維シートが、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択され、オリゴマー、ポリアクリレート、低分子量(MW)ポリマー、およびそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含んでなる、該不織ウェブの少なくとも1つの面上のコーティングをさらに含んでなり、コーティングが、繊維を被覆し、隙間空間を実質的に被覆されないままにする、コーティングされた繊維シート。
【請求項11】
化合物が、ヒドロキシル官能基、エーテル官能基、カルボン酸官能基、アミン官能基、およびスルホン酸官能基で官能基化された、単官能、二官能、および三官能アクリレートよりなる群から選択される架橋された親水性ポリアクリレートである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項12】
化合物が、架橋された親水性ポリアクリレートと炭化水素オリゴマーとを含んでなる混合物である請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項13】
親水性コーティング上の疎水性コーティングをさらに含んでなる請求項11に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項14】
化合物が架橋された疎水性ポリマーである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項15】
化合物が疎水性炭化水素オリゴマーである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項16】
化合物がフッ素化アクリレートである請求項14に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項17】
化合物が、疎油性フッ素化ポリアクリレートを含んでなり、シートが、6〜10の撥アルコール性/撥水性と、3〜6の撥油性とを有する請求項14に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項18】
疎水性コーティング上の親水性コーティングをさらに含んでなる請求項14または15に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項19】
コーティングが、染料をさらに含んでなる請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項20】
両面に該コーティングを有し、各面が異なった色である請求項19に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項21】
コーティングが、帯電防止添加剤をさらに含んでなる請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項22】
コーティングが、抗菌添加剤をさらに含んでなる請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項23】
コーティング厚さが、0.05〜5マイクロメートルである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項24】
(a)繊維と、繊維間の隙間空間とを含んでなる、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択される繊維基材を選択する工程と、
(b)モノマー、オリゴマー、もしくは低MWポリマー、またはそれらの溶液もしくはスラリーを噴霧化する工程と、
(c)フラッシュ蒸発器内で、モノマー、オリゴマー、または低MWポリマーを気化させる工程と、
(d)実質的に基材の繊維の表面上のみで、蒸気を凝縮する工程と、
(e)凝縮物を凝固させて、コーティングを形成する工程と
を含んでなる方法によって製造されたコーティングされた繊維シートであって、
工程(c)〜(e)が、約1.33×10-3〜1.33×10-7kPaの真空の環境において実施され、コーティングが、基材の繊維を被覆し、該繊維間の隙間空間を実質的に被覆されないままにする、コーティングされた繊維シート。
【請求項25】
方法が、酸素と不活性ガスとを含んでなるプラズマで、基材を処理することをさらに含んでなる請求項24に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項26】
凝固工程(e)が、UV放射線の電子ビームで、モノマーまたはオリゴマーを重合させることを含んでなる請求項24に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項1】
少なくとも1つの多孔性不織ウェブを含んでなる気体透過性シート材料であって、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択される、気体透過性シート材料と、その少なくとも1つの面を被覆するポリマーコーティングとを含んでなるコーティングされた多孔性シート材料であって、コーティングされたシート材料の気体透過性が、コーティングのない同等のシート材料の気体透過性に実質的に等しい、コーティングされた多孔性シート材料。
【請求項2】
該ポリマーコーティングが、該不織ウェブの外面上の繊維上にコーティングされる請求項1に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項3】
ポリマーコーティングの厚さが、該不織ウェブの繊維の厚さと同じ程度である請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項4】
ポリマーコーティングの厚さが、該不織ウェブの繊維の厚さより小さい請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項5】
ポリマーコーティングの厚さが、不織ウェブの細孔の直径より小さい請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項6】
ポリマーコーティングが、繊維またはフィラメント間の隙間空間を充填することなく、繊維の形態に適合する請求項2に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項7】
コーティングされたシートの気体透過性が、コーティングのない同等のシート材料の気体透過性の64%以内である請求項1に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項8】
コーティングされた多孔性シート材料が、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シートであり、ポリマーコーティングの厚さが、約0.5マイクロメートル以下である請求項7に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項9】
ポリマーコーティングの厚さが、約45ナノメートルである請求項8に記載のコーティングされた多孔性シート材料。
【請求項10】
繊維と繊維間の隙間空間とを含んでなる少なくとも1つの多孔性不織ウェブを含んでなるコーティングされた繊維シートであって、該コーティングされた繊維シートが、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択され、オリゴマー、ポリアクリレート、低分子量(MW)ポリマー、およびそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含んでなる、該不織ウェブの少なくとも1つの面上のコーティングをさらに含んでなり、コーティングが、繊維を被覆し、隙間空間を実質的に被覆されないままにする、コーティングされた繊維シート。
【請求項11】
化合物が、ヒドロキシル官能基、エーテル官能基、カルボン酸官能基、アミン官能基、およびスルホン酸官能基で官能基化された、単官能、二官能、および三官能アクリレートよりなる群から選択される架橋された親水性ポリアクリレートである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項12】
化合物が、架橋された親水性ポリアクリレートと炭化水素オリゴマーとを含んでなる混合物である請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項13】
親水性コーティング上の疎水性コーティングをさらに含んでなる請求項11に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項14】
化合物が架橋された疎水性ポリマーである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項15】
化合物が疎水性炭化水素オリゴマーである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項16】
化合物がフッ素化アクリレートである請求項14に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項17】
化合物が、疎油性フッ素化ポリアクリレートを含んでなり、シートが、6〜10の撥アルコール性/撥水性と、3〜6の撥油性とを有する請求項14に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項18】
疎水性コーティング上の親水性コーティングをさらに含んでなる請求項14または15に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項19】
コーティングが、染料をさらに含んでなる請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項20】
両面に該コーティングを有し、各面が異なった色である請求項19に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項21】
コーティングが、帯電防止添加剤をさらに含んでなる請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項22】
コーティングが、抗菌添加剤をさらに含んでなる請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項23】
コーティング厚さが、0.05〜5マイクロメートルである請求項10に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項24】
(a)繊維と、繊維間の隙間空間とを含んでなる、フラッシュ紡糸網状フィラメント不織布シート、スパンボンド−フィルム−スパンボンド複合シート、スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合シート、スパンレースポリエステル/木材パルプ複合シート、および紙よりなる群から選択される繊維基材を選択する工程と、
(b)モノマー、オリゴマー、もしくは低MWポリマー、またはそれらの溶液もしくはスラリーを噴霧化する工程と、
(c)フラッシュ蒸発器内で、モノマー、オリゴマー、または低MWポリマーを気化させる工程と、
(d)実質的に基材の繊維の表面上のみで、蒸気を凝縮する工程と、
(e)凝縮物を凝固させて、コーティングを形成する工程と
を含んでなる方法によって製造されたコーティングされた繊維シートであって、
工程(c)〜(e)が、約1.33×10-3〜1.33×10-7kPaの真空の環境において実施され、コーティングが、基材の繊維を被覆し、該繊維間の隙間空間を実質的に被覆されないままにする、コーティングされた繊維シート。
【請求項25】
方法が、酸素と不活性ガスとを含んでなるプラズマで、基材を処理することをさらに含んでなる請求項24に記載のコーティングされた繊維シート。
【請求項26】
凝固工程(e)が、UV放射線の電子ビームで、モノマーまたはオリゴマーを重合させることを含んでなる請求項24に記載のコーティングされた繊維シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−196362(P2009−196362A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82436(P2009−82436)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【分割の表示】特願2004−517731(P2004−517731)の分割
【原出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(504459478)シグマ・ラボラトリーズ・オブ・アリゾナ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【分割の表示】特願2004−517731(P2004−517731)の分割
【原出願日】平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【出願人】(504459478)シグマ・ラボラトリーズ・オブ・アリゾナ・インコーポレーテツド (1)
【Fターム(参考)】
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