説明

コーティングされた印刷シート及びその製造方法

基材及び、該基材の少なくとも片面上に、窒素侵入方法を用いて測定した、ポア幅200nm未満の累積空隙容量が、紙1グラム当たり0.006cmより大である画像受容コーティング層を有する印刷シートを記載する。特に、高い光沢を有する印刷シートの関係では、この特別な空隙分布は、迅速かつ容易に調整可能なインク定着挙動に導く。加えて、微細粒子特性を有する有機、すなわち、ポリマー及び無機顔料粒子を用いる、印刷シートの製造方法を記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基材及び、基材の少なくとも片側に、画像受容コーティング層を有する印刷シートに関する。加えて、本発明は、そのような印刷シートの製造方法並びにそのような印刷シートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、高品質のオフセット印刷、例えば、芸術的な複製及び光沢のある雑誌等の分野においては、高い光沢を示し、容易に印刷可能であり、速いインク乾燥挙動を有し、同時に高い嵩及び固さを有する、すなわち、低い密度を有する紙が必要とされている。
【0003】
そのような紙の製造においては、仕上げ操作は、通常は、カレンダ処理であり、ここに、ペーパーウェブ(巻取紙)は、1つ以上のロールの対の間に形成されたニップの間を通過し、ウェブの表面は、それにより、平坦化されて、平滑かつ光沢のある表面を形成する。同時に、ペーパーウェブの厚みが減少し、ウェブは密となる。カレンダ処理は、一般に、密度を上昇させ、仕上げられた紙製品は、今度は、より低い固さを示す。その理由は、紙の内部構造が部分的に破壊されるからである。嵩は密度に反比例し、従って、カレンダ処理において密度が増大すると、仕上げられた紙製品の嵩はそれに対応して低下する。
【0004】
カレンダ処理は、一般に、光沢カレンダ、(2ロール)柔軟カレンダ、(マルチロール)スーパーカレンダ、又はマルチニップカレンダ(例えば、ヤヌス(Janus))を用いて達成することができる。光沢カレンダは、典型的には、柔軟なロールの近くに位置した、例えば、スチールからなる硬い、非弾性の加熱されたロールから構成されて、ニップ(nip;ロール間隙)を形成する。ウェブがニップを通過するにつれ、それは約20〜80kN/mの範囲のニップ負荷及び120〜150℃の温度範囲に暴露される。より広い範囲の圧力及び温度を柔軟カレンダ又はスーパーカレンダで用いることができ、通常の圧力は150〜450kN/mの範囲であり、最高温度は約220〜230℃の範囲である。より高い温度は、ウェブがニップを通過するにつれてその表面に優れた光沢仕上げを生じ、他方、光沢カレンダで用いられるより低い圧力は、従来のスーパーカレンダと比較して、ウェブのより低い高密度化を引き起こす。しかしながら、光沢カレンダを用いて達成される仕上げ効果は、より高い圧力を加えることができる装置を用いて生じる表面ほどは平滑又は平坦ではなく、従って、そのように光沢があるものではない。従って、ニップ負荷又はロール温度を増大させ、あるいはその双方を行って、加えて、紙の表面層を可塑化し、それを平滑化することがしばしば有用である。そのような改質は、例えば、従来の柔軟カレンダ又はスーパーカレンダの設計及び操作に取り込まれている。柔軟カレンダは、通常は、コートされた側当たり1〜2のニップを有するものとして構築され、各ニップは加熱された硬いロール及び加熱されていない柔軟なロールの間で形成される。スーパーカレンダにおいては、ロールの数は9〜12と多く、本質的に、ニップはより多くなる。
【0005】
あるいは、マルチニップカレンダ(例えば、ヤヌスタイプ)を仕上げ操作として用いることができる。スーパーカレンダのロールは蒸気で加熱された硬いロール又は加熱されていない柔軟なロールであってよく、これは直列及び並列の配置である。ロールの間に形成されたニップは、典型的には、柔軟なカレンダ又は光沢カレンダのニップよりも短い。そのようなマルチニップカレンダにおいては、ウェブを圧縮して、反復された圧縮及び熱暴露によって、実質的に均一な密度及び高い光沢の紙を形成する。典型的なニップ圧力は100〜250kN/mであり、加熱されたロールの温度は約150℃までである。しかしながら、高い圧力は、前記したごとく、嵩の対応する低下を引き起こす。
【0006】
従って、特定の光沢を達成するのに必要なカレンダ処理及び紙の嵩特性の間には本質的な矛盾がある。カレンダ処理において加えられる圧力が低ければ低いほど、達成される光沢はより低く、同時に、嵩はより高くなる。他方、もしカレンダ処理において高い圧力を加えることによって高い光沢が達成されれば、嵩は失われる。
【0007】
カレンダ処理は、印刷シートの表面に光沢を付与しうる唯一の可能性ではない。製紙業界においては、種々のコーティング処方及びコーティング成分を紙の製造で用いて、高い光沢を達成することができることが知られている。例えば、米国特許第5,283,129号は、層間剥離粘土、か焼粘土及び二酸化チタンを含む顔料組成物をコートした軽量紙ストックを開示しており、ここに、約5重量部以下の中空コア不透明化プラスチック顔料を用いることができる。米国特許第4,010,307号は、70〜95%の炭酸カルシウム、及び5〜30重量%の、0.0000495〜0.000297mm(0.05〜0.30ミクロン)の範囲内の粒径を有する非フィルム形成性ポリマー顔料を含む、高光沢被コーティング製品を開示している。米国特許第5,360,657号は、少なくとも約80℃の二次ガラス転移温度、及び0.099mm(100ミクロン)未満の平均粒径を有する熱可塑性ポリマーラテックスを紙に適用し、これを引き続いてカレンダ処理するプロセスによって調製された高光沢紙を開示している。国際公開第98/20201号は、合計100重量部の顔料に対し、少なくとも80部の沈降炭酸カルシウム及び少なくとも5部のアクリルスチレンコポリマー中空球状プラスチック顔料を含むコーティングを紙に適用し、しかる後、コーティングされた紙を仕上げて、光沢の発生を達成することによって製造された高い輝度及び光沢を有する印刷紙を開示している。仕上げプロセスは改質されたスーパーカレンダの使用を含まず、得られた紙は高い嵩の製品とは考えられない。また、非光沢仕上げとするために中空球状顔料が用いられている。また、欧州特許出願公開第1186707号は、中空球状有機顔料を有する光沢紙を記載している。
【0008】
通常、光沢増強成分の使用、又は光沢増強処理の適用は、引き続いてのオフセット印刷プロセスにおけるインクの定着を遅らせる。
【0009】
従って、光沢及び嵩がそのような印刷シートの重要な特性であるのみならず、インク定着特性も重要である。シートの良好な走行性及び印刷性を達成するには、特定の範囲のむしろ早いインク定着を有することが望ましい。もしインク定着があまりにも速いと、粘性インクは、紙にあまりにも速く吸収される傾向があり、例えば、印刷プロセスの間に紙の表面部分が持ち上がり(当該分野ではピッキングとして知られた印刷シート内の凝集の破壊)、モットリング、又はあまりにも低い印刷光沢値に関連する問題に至る。他方、もしインク定着があまりにも遅いと、インクを乾燥するためにあまりにも多くの時間が必要となり、それに対応して、印刷スピードを低下させなければならない。従って、高い嵩、及び容易に調整でき、速いインク定着を可能とすることができるインク定着特性を示す印刷シート並びにそのような印刷シート(ペーパーボード製品)の製造方法に対する要望が存在する。同時に、通常、仕上げられた製品は高い光沢表面を有することができるが、この種の、すなわち、高い嵩及び調整可能なインク定着挙動を示す光沢のない紙又は絹目紙にも興味がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の基礎となる目的とする課題は、同時に、高い嵩を示し、もし必要であれば、高い光沢を示しつつ、調整可能なインク定着挙動を提供し、かつ速いインク定着を可能とする印刷シート並びにそのような印刷シートの製造方法を利用可能とすることにある。インク定着挙動は、印刷プロセスにおいて生じる特定の要求を満足するように調整されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、印刷シートの画像受容層の非常に特別な多孔性構造を供することによって前記課題を解決する。基材及び、該基材の少なくとも片面に、画像受容コーティング層を有する印刷シートが提供される。特徴的なのは、印刷シートは紙1グラム当たり0.006cmを超える、200nm未満のポア幅の累積空隙容量を示すことである。該間隙は、画像受容コーティング層の表面にて標準液体窒素侵入方法を用いて測定される。前記基材はプレ−コートしてもしなくてもよく、それは木材−フリー又は機械的コーティングベースストックであってよく、所望により、部分的に又は全部が合成のものであってもよい。
【0012】
従って、本発明の目的は請求項1に記載の印刷シート、請求項29に記載のその製造方法、及び請求項44に記載の印刷シートの使用である。
【0013】
本発明の鍵となる特徴は、空隙の非常に特別な構造、すなわち、200nm未満の(特に、約100nm未満の)小さなポアサイズにおける、特に大きな累積ポア容量という条件は、早いインクのセット、すなわち、紙表面へのインクの適用直後における印刷シートの表面からの液体成分に伴うインク顔料の内部への移動を可能とするために必要な毛管力及び貯蔵容量を提供するという知見である。これらの特徴的データは、約115g/m紙重量の紙で例示される。ある閾値未満の累積ポア容量の絶対値は、従って、考慮する紙重量に依存してほぼ基準化(scale)される。繊維状部分が前記ナノ空隙に有意には寄与せず、かつ画像受容層が実質的に同一である(組成、厚み)と仮定すれば、前記紙重量の2倍の紙が、それに対応して、紙1グラム当たりのcmで表わした累積空隙容量の半分を示すであろう。絶対値では、すなわち、g/mで表わした紙重量とは独立して、紙m当たりの累積空隙容量でここに表わした前記数値は以下の通り:0.69cm/mを超える200nm未満のポア幅の累積空隙容量となり、これらの数値は、今や、前記仮定に基づく紙重量とはかなりかけ離れている。そのようなコーティングを、基材の片側、又は両側に存在させることができる。
【0014】
本発明の第1の好ましい実施形態において、200nm未満のポア幅の累積空隙容量は紙1グラム当たり0.008cmより大である。これは115g/m紙重量の紙についてである。また、別の表現をすれば、仮の絶対数で表わしたものであり、それは約0.92cm/mより大である、200nm未満のポア幅の累積空隙容量を意味する。あるいは、空隙構造は、紙1グラム当たり0.004cmより大である150nm未満のポア幅の累積空隙容量となるものと定義することもでき、あるいは、絶対値として、0.46cm/mより大である150nm未満のポア幅の累積空隙容量と定義することもできる。典型的には、そのような紙は80〜400g/m、好ましくは90又は100〜250g/mの範囲の紙重量を有する。
【0015】
そのような画像受容コーティングのインク定着挙動を効果的に調整するためには、この内部多孔性表面の極性を制御しなければならない。インク定着は、新しい印刷シートが他方の側でほぼ直ちにさらに処理又は印刷されることを可能とするように調整すべきである(いわゆる、両面刷り)。例えば、取扱に必要な通常の時間の後に、すなわち、約10から15分後に第2の側を印刷することが可能であるべきである。インク定着は、例えば、Skinnex 800アナライザを用いることによって、所定の時間でのインクセットオフ値として定量される。速いインク定着のためには、画像受容コーティング層の表面は非極性であることが好ましい(表面エネルギーの高分散部分)。その理由は、次いで、全非極性オフセットインク油は表面によってはじかれず、毛管力によって助けられて、効果的にポアまで輸送されるからである。表面の極性は、対応する成分をコーティング組成物に添加することによって調整することができ、その成分は表面の疎水性を改質する。典型的には、インク定着は、30秒において0.3未満の、好ましくは30秒において0.15〜0.25の範囲のインクセットオフを示すように調整することができる。これは、200nmよりも小さなポアの前記領域において空隙構造を実質的に改変することなく実質的に可能である。低い感度のバックトラップモットルとインク拒絶とを組み合わせた速いインク定着は、同時に、微細なポア構造を作り出し、かつ表面をより極性とすることによって実現される。
【0016】
そのような成分の例を以下に掲げる。有利には、画像受容コーティング層の表面の表面エネルギーの極性成分は、0.8〜1μm、好ましくは0.9μm未満のパーカープリントサーフ(Parker Print Surf)(PPS)表面粗さにおいて、接触角測定によって測定して7mN/m未満、好ましくは6mN/m未満である。しかしながら、所定の多孔性構造では、表面エネルギーの極性成分は、好ましくは、インクがあまりにも速くかつあまりにも効果的に、チューブによって供される毛管力によって紙に吸収されるのを防ぐため等にあまりにも低いものであってはならない。それに対応して、表面エネルギーの極性成分は、好ましくは、4mN/mより低くすべきではない。
【0017】
通常、そのような印刷シートは、TAPPI 75°に従って75%を超える画像受容コーティングの表面の光沢によって特徴付けられる。別法として、あるいは加えて、それは、DIN 75°に従って45%を超え、好ましくは50%を超えるその表面の光沢によって特徴付けられる。より低い光沢も可能である。
【0018】
前記したごとく、そのような紙は高い嵩にて製造することができ、典型的には、そのような紙は0.80cm/gを超える、好ましくは0.82又は0.85cm/gを超える比容量を有する。これは、任意の光沢を達成するのにほとんどカレンダ処理を必要とせず、かくして、嵩特性が維持されるという事実に基づく。一般的に言えば、コートされていない基材の繊維組成は、好ましくは、カレンダ処理前の比容量が0.88cm/gより大であり、典型的には0.90又は0.92cm/gより大であることが好ましい。通常、基材の非繊維含有量は170g/m以下の紙については40%〜50%の間、より高い坪量の紙では30%〜40%の間である。
【0019】
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、そのような印刷シートは、画像受容コーティング層が顔料成分及びバインダ成分を含有していることを特徴とし、ここで、この顔料成分は、a)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくはほぼ90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、b)90%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは95%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 0〜50乾燥重量部、c)90%を超える、好ましくは固体の(しかし、空胞のある顔料も可能である)ポリマー顔料粒子が0.5μmよりも小さい粒径分布、好ましくは90%の当該粒子が0.05〜0.3μmの間、特に0.1及び0.2μmの間のサイズを有する粒径分布を有するポリマー顔料粒子 0〜20乾燥重量部から構成されている。加えて、バインダ成分が最上層に存在し、ここで、このバインダ成分は、a’)バインダ 12〜16乾燥重量部未満、及びb’)添加剤 2乾燥重量部未満から構成される。前記した高度に効果的な空隙構造の確立を可能にするのは、適切なバインダ組成物と組み合わせた特定の粒径分布を有する顔料微粒子の特別な選択である。前記した組成は実質的に排他的であり、すなわち、それは実質的に前記した成分のみを含有し、従って、例えば、顔料成分は成分a)、b)及びc)によって形成され、無機又は有機顔料であれ、他の顔料は実質的な量で存在しないと理解すべきである。また、実質的にc)の量によって成分a)を置き換えることも可能であり、すなわち、例えば、20〜40部のa)、0〜40部のb)及び50〜80部のc)のみを有することが可能である。かくして、例えば、顔料粒子によって基本的には全無機顔料成分を置き換えることが可能である。可能なのは、コーティングの全顔料成分の2〜100%の間、特に好ましくは50〜100%の間の顔料粒子の範囲である。しかしながら、この場合には、ポリマー顔料の選択に注意を払わなければならない。その理由は、多量の顔料又は不適切な顔料は紙のバーニシングを引き起こしかねないからである。バーニシングとは、シートの表面の増大した光沢又は反射率を有する局部的領域が、例えば、この領域における最上層の機械的擦れ及び関連した密度の増大によって引き起こされる現象である。さらに詳しくは、好ましくは、最上層の顔料成分は:a)約90%の炭酸カルシウム微粒子が1μmより小さい粒径分布を有する炭酸カルシウム微粒子 60〜100乾燥重量部、好ましくは60〜80乾燥重量部、b)95%のカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 10〜40乾燥重量部、好ましくは15〜30乾燥重量部、c)約0.13〜0.17μmが中心の、好ましくは約0.14μmが中心の粒径分布を有する固体又は空胞のあるポリマー顔料粒子 10〜15乾燥重量部を含み、ここで、ポリマー顔料粒子の95%は、この平均粒径の+/−0.03μm以内にある。また、異なるサイズのポリマー粒子の混合物が可能である。もし空砲のある顔料が選択されれば、例えば、0.6μmの範囲におけるような、0.1〜0.8μmの範囲のより高い平均粒径も可能である。加えて、そのような空胞のあるポリマー顔料粒子の場合には、好ましくは8〜30乾燥重量部が用いられる。固体ポリマー顔料粒子は、好ましくは、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−クロロエチルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ炭酸塩、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、アセタール、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレンラテックス、ポリアクリルアミド、及びそれらのアロイ、ブレンド、混合物及び誘導体からなる群から選択される。また、スチレンマレイン酸コポリマーラテックス(SMA)又はスチレンマレイミドコポリマーラテックス(SMI)、前記構造を有するこれらの混合物、及びその誘導体も可能である。この特に好ましい実施形態である、SMA又はSMI又はその混合物は、好ましくは、200℃に近い高いT値を有するように調整される。これは、SMIが主要な構成要素であることを意味し、すなわち、通常、SMIの含有量は80%を超え、あるいは90%又は95%を超えさえする(T(SMI)=202℃)。また、実質的に100%のSMIからなる固体ポリマー顔料粒子も可能である。疎水性と併せてSMIの特に高い硬度は、ポリマー顔料粒子の高い含有量にとって、すなわち、もし100%までの顔料成分がポリマー顔料より構成されるならば、これらの顔料を有用なものにする。前記特定のサイズ分布の固体顔料粒子の代わりに変形されたポリスチレンラテックスを用いるのは特に効果的なようである。
【0020】
前記したごとく、バインダ成分は、印刷シートのインクセットオフ挙動の調整に関して重要なものである。従って、最上層のバインダ成分は、好ましくは、a’)ラテックス、特に、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−アクリルラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリルラテックス、澱粉、ポリアクリレート塩、ポリビニルアルコール、大豆、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるバインダ、b’)脱泡剤、着色剤、光沢剤、分散剤、増粘剤、水分保持剤、保存剤、架橋剤、潤沢剤及びpH調整剤等のような添加剤を含む。もしバインダがブチルアクリレート、スチレン及びアクリロニトリルをベースとするアクリルエステルコポリマーであれば非常に効果的であることが判明した。通常そのようなバインダは、ポリマーの分散液として提供される。そのようなバインダは、例えば、BASF、DEによるAcronal 360Dの名前で、市場で入手できる。典型的には、10〜16乾燥重量部、好ましくは11から14又は12〜14乾燥重量部のバインダをバインダ成分中に存在させる。最上層は、典型的には、3〜25g/mの範囲、好ましくは4〜15g/mの範囲、最も好ましくは約6〜12g/mの全乾燥コート重量を有する。もし基材の両側にコートするならば、これらの数値は片側当たりの重量である。
【0021】
本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、前記最上層は、該最上層の下の第二の(多孔性)層によって、必要な空隙構造を供するその機能によって支持されている。第二の層は、好ましくは、顔料成分及びバインダ成分を含み、ここで、この顔料成分は、A)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは約90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、B)50%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは60%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 0〜50乾燥重量部から構成され、そしてバインダは、A’)バインダ 20乾燥重量部未満、及びB’)添加剤 4乾燥重量部未満から構成されている。従って、第二の層は非常に特別な、かつ微細な顔料構造も示し、これは、相乗的に、最上層の機能を支持し、増強させる。また、構成要素Bは、良好な被覆特性を有する、すなわち、カオリンを置き換えることができるいくらかの炭酸カルシウムによって置き換えることもできる。そのように、コストを削減し、得られた紙の輝度を増加させることができる。可能なのは、例えば、70%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する、Covercarb75のようなタイプの粉砕された炭酸カルシウムである。炭酸塩微粒子によるカオリンのそのような置き換えの場合には、ほぼ同一(重量)量のタイプA)並びにタイプB)の炭酸塩微粒子を用いるのが有利なことが判明する。有利には、第二の層の顔料成分は、A)約90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸カルシウム微粒子 70〜90乾燥重量部、好ましくは約75乾燥重量部、B)65%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 20〜40乾燥重量部、好ましくは約25乾燥重量部を含む。第二の層のバインダ成分に関しては、それは、典型的には、A’)ラテックス、特に、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−アクリルラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリルラテックス、澱粉、ポリアクリレート塩、ポリビニルアルコール、大豆、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択される、コーティングの塗布用の当該ポリマーの水分散液の形態で通常は供されるバインダ、B’)脱泡剤、着色剤、光沢剤、分散剤、増粘剤、水分保持剤、保存剤、架橋剤、潤沢剤及びpH調整剤等のような添加剤を含む。有利には、バインダは、例えば、Rhodia、FRによる、50%分散液の形態でRhodopas SB083の名前で入手可能なような、スチレンブタジエンコポリマーである。典型的には、6〜20乾燥重量部、好ましくは8〜14乾燥重量部、最も好ましくは約10乾燥重量部のバインダを、第二の層のバインダ成分中に存在させる。最上層と共に最適な効果を有するためには、第二の層は、5〜25g/mの範囲、好ましくは8〜20g/mの範囲の合計乾燥コート重量を有する。もし基材の両側をコーティングするならば、これらの数値は片側当たりの重量である。
【0022】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、前記第二の層の下にさらなる第三の層が設けられる。この第三の層は、顔料成分及びバインダ成分を含み、ここで、この顔料成分は、AA)70%を超える炭酸塩粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは約80%以上の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩粒子 50〜100乾燥重量部から構成され、そして、バインダ成分は、AA’)バインダ 10乾燥重量部未満、及びBB’)添加剤 4〜6乾燥重量部未満から構成される。好ましくは、画分AAは、約80%の炭酸塩粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する約70%の炭酸塩粒子、及び約50%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する約30%の炭酸塩粒子からなる。
【0023】
本発明による印刷シートのさらなる実施形態は従属請求項に記載されている。
【0024】
また、本発明は、以下の工程を含む印刷シートの製造方法に関する:dd)画像受容最上層を基材に塗布し、ee)該画像受容コーティング層を乾燥し、ff)約200N/mm未満のニップ圧力にてカレンダ処理する。ここで、該最上層は顔料成分及びバインダ成分を含み、この顔料成分は、a)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは約90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、b)90%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは95%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 0から50乾燥重量部、c)90%を超える、好ましくは固体の固体ポリマー顔料粒子が0.5μmよりも小さい粒径分布、好ましくは90%の当該粒子が0.05〜0.3μmの間、特に0.1から0.2μmの間のサイズを有する粒径分布を有する、好ましくは固体のポリマー顔料粒子の0〜10乾燥重量部から構成され、そしてバインダ成分は、a’)バインダ 20乾燥重量部未満、及びb’)添加剤 2乾燥重量部未満から構成される。好ましいのは約110N/mmのニップ圧力である。好ましくは3又は4未満のニップをカレンダ処理で用いる。典型的には、最上層は、片側当たり3〜25g/mの範囲、好ましくは片側当たり4〜15g/mの範囲、最も好ましくは片側当たり約6から12g/mの合計乾燥コート重量を有し、前記した方法を、有利には、前記したような印刷シートを製造するのに用いることができる。それに対応して、前記した高い光沢を達成すると同時に、非常に「柔軟な」カレンダ処理条件が可能であり、かくして、紙の嵩並びに硬さを維持し、必要な空隙構造を提供する。
【0025】
既に記載したように、第二の層は、有利には最上層のすぐ下に設けられる。従って、最上コート層の塗布に先立って、cc)基材上に第二の層を塗布することが可能であり、該最上層直下の該第二の層は、顔料成分及びバインダ成分を含み、ここで、この顔料成分は、A)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは約90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、B)50%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは60%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 0〜50乾燥重量部から構成され、そして、バインダ成分は、A’)バインダ 20乾燥重量部未満、及びB’)添加剤 4乾燥重量部未満から構成される。典型的には、第二の層は5から25g/mの範囲、好ましくは8〜20g/mの範囲の合計乾燥コート重量を有する。また、もし基材の両側にコーティングされるならば、これらの数値は片側当たりの坪量をいう。
【0026】
また、前記したごとく、本発明のもう1つの好ましい実施形態によれば、第二の層の下に第三の層を設けることが有利である。従って、第二の層の塗布に先立って、bb)第三の層を基材上に塗布し、該第二の層の下の該第三の層は、AA)70%を超える炭酸塩粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは約80%以上の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩粒子 50〜100乾燥重量部、及びバインダ成分を含み、ここで、このバインダは、AA’)バインダ 10乾燥重量部未満、及びBB’)添加剤 4〜6乾燥重量部未満から構成される。この第三の層の塗布に先立って、又はもしこの第三の層が存在しなければ第二の層の塗布に先立って、又は第三の層も第二の層も存在しなければ最上層の塗布に先立って、1又は数個のサイジング層をコーティングされていない基材に塗布することが可能である。典型的には、得られた印刷シートは、コーティング及び乾燥プロセス後、80〜400g/mの範囲、好ましくは100〜250g/mの合計重量を有する。
【0027】
前記した光沢値を得るためには、カレンダ処理工程(ff)において、200N/mm未満、好ましくは90〜110N/mmの範囲のニップ圧力を加えることで通常は十分である。カレンダ処理工程においては数個のロールを用いることができ、4以下が有利には用いられる。
【0028】
印刷シートを製造する方法のさらなる実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0029】
加えて、本発明は、オフセット印刷プロセスにおける前記印刷シートの使用に関する。
【0030】
添付図面に、本発明の好ましい実施形態が示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明のこの好ましい実施形態を説明する目的であって、かつそれを限定する目的ではない図面を参照し、図1は、本発明による印刷シートの第一の例を表わす紙の断面を示す。印刷シートは、基材5を含み、その最上部のみが図1に示されている。この基材5上の第一の層として、おそらくは着色されたサイジング層4があり、続いて第三の層3、第二の層2及び最上層5がある。図1は、もし印刷シートが両面にコーティングされていれば(これが通常の場合である)、印刷シートの横表面の1つのみを表示し、図1に表示する構造は印刷シートの底部にも存在し、層の配列は図1に提示した配列の鏡像である。
【0032】
以下において、層並びにその構成要素の各々を詳細に記載し、紙の製造方法並びに最終印刷シートの特性の分析を最後に示す。本発明を説明する目的で、10の実施例、並びにオフセット印刷用の現状技術の光沢紙を代表する1つの比較例を掲げる。比較例として、SAPPI、ATからMagnostarの名前で入手可能な115g/m光沢紙を用いた。5つの実施例はパイロットコーター(Pilot 1−5)を用いて製造し、5つの実施例はミル(Mill 1−6)にて製造した。特に、10の実施例は最上層1の組成を変化させ、ここに、有機顔料に対する無機顔料の異なる割合並びに無機顔料の異なる組成及び異なるバインダ含有量を、特にインクセットオフ特性に関して比較する。
【0033】
(最上層1)
10の実施例の最上層1の種々の構成要素を表1にリストする。全ての数値は乾燥成分又は活性成分に対するものである。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例Mill 4及びMill 5は、Mill 2と同一の最上層組成を有する。
【0036】
顔料成分:
Setacarb HGは、特徴的な粒径分布を有する微細に粉砕された粒子炭酸カルシウム無機顔料である。この顔料の粒径分布を図2に示す。7はSetacarb HGの分布を示す。本発明による最上層コーティングは、非常に微細な無機顔料、すなわちSetacarb HGの特に高い含有量によって特徴付けられ、そしてそれは、約90%の粒子が1μmよりも小さい分布を有している。この無機顔料の非常に微細な粒子構造は、本発明による空隙構造を得るための重要な特徴のうちの1つである。
【0037】
Setacarb HGを置き換えるのに用いることができるもう1つの炭酸カルシウム顔料はVP15であり、これは、小さな粒子がより大きな粒子に付着している微細な構造の顔料である。それはOmya ATから入手可能である。
【0038】
炭酸カルシウム無機顔料とは別に、微細なカオリン、すなわちAmazon、好ましくはAmazon88、Amazon+又はAmazonプレミアムも存在する。このカオリンの粒径分布を図3a)に示す。また、カオリンに関しても、本発明によるコーティングは非常に微細なカオリンの特に高いパーセンテージによって特徴付けられる。
【0039】
加えて、顔料成分は、有機顔料、すなわちDPP3710を含み、それはThe Dow Chemical Companyから入手可能である。それは、非常に微細な固体粒状ポリマー(変形されたポリスチレンラテックス)であり、pH5.5及び100mPas未満のブルックフィールド粘度における水中で約50%のエマルジョンとして入手可能である。平均粒径は0.142μmであり、メジアン粒径は0.14μmであり、分布様式は0.141μmであり、分布の標準偏差は0.0217μmであって、変動係数は15.29%である。Coulter LSシリーズ230粒径アナライザで測定した分布の特定の形状を図3b)に示す。
【0040】
DPPは、好ましくは200℃の範囲のガラス転移温度を有するSMIベースのポリマー顔料粒子によって置き換えることができ、好ましくは、次いで、少なくとも45%固形分、もし可能であれば約50%の固形分の溶液を用いて、コーティング処方の水含有量が高くなり過ぎるのを回避すべきである。この場合、平均粒径は、0.1μm辺り、あるいは0.2μmまでとなるように選択すべきである。
【0041】
あるいは、顔料粒子は空胞を有するものとすることができ、Ropaque BC−643を選択することができる。これは、0.6μmの粒径及び43%空隙容量を有するスチレンアクリルポリマー顔料である。それはRohm and Haas Company、USAから入手可能である。特に、もし低坪量紙で用いれば、その含有量は、好ましくは、15乾燥重量部となるまで上昇させる。
【0042】
バインダ成分:
本発明による全てのコーティングは、BASF、DEから入手可能なAcronal 360Dを含む。それは、ブチルアクリレート、スチレン及びアクリロニトリルに基づくコポリマーの50%水性分散液として供される。白色分散液として、それは7.5〜8.5の範囲のpH値、及び250〜500mPasの見掛けの粘度(DIN EN ISO 2 555)を有する。
【0043】
添加剤は、光沢剤、増粘剤、脱泡剤等を含む。それらの組成及び含有量は、生じる必要性に応じて当業者が容易に見出し、調整することができる。
【0044】
コーティング溶液:
コーティング溶液は、特定の機械に適合した粘度において、60〜70の範囲の固形分で約7〜9のpHで塗布される。どのようにしてこのコーティングを適用するかの条件は、さらに以下に記載する。
【0045】
(第二の層2)
10の実施例の第二の層2の種々の成分を表2にリストする。全ての数値は乾燥成分又は活性成分についてものである。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例Mill 4及びMill 5は、Mill 2と同一の第二の層組成を有する。
【0048】
顔料成分:
Setacarb HGは最上層の関連で既に記載した。無機顔料Setacarb HGの非常に微細な粒子構造は、再度、本発明による空隙構造を得るための重要な特徴のうちの1つである。第二の層は最上層の挙動に影響し、従って、第二の層における無機顔料微粒子の使用もまた有利である。
【0049】
CoverCarb 75は、かなり急峻な粒径分布を有するOmyaから入手可能な微細粉砕炭酸カルシウムである。粒子の約80%は1μmよりも小さい。それは光沢のある最終の紙を与え、カオリンよりも安価であり、これが顔料のCentury成分を置き換えるのに有用な理由である。
【0050】
炭酸カルシウム無機顔料とは別に、本発明によるコーティングの場合には、微細なカオリン、すなわちCenturyも存在する。Centuryは、前記したAmazonカオリンと比較してわずかに層状タイプの構造を有するカオリンである。Centuryは、65%を超える質量(mass)が1μm未満の直径を有する粒子によって供され、47%の質量が0.6μm未満の直径を有する粒子によって供される分布を示す。
【0051】
バインダ成分:
Rhodopas SB 083は、約50%の固形分含量及び約5.5のpH値を有する、水中のスチレンブタジエンラテックスエマルジョンである。それはRhodia、FRから入手可能である。
【0052】
添加剤は光沢剤、増粘剤、脱泡剤等を含む。それらの組成及び含有量は、生じる必要性に応じ、当業者が容易に見出し、調整することができる。
【0053】
(第三の層3)
10の実施例の第三の層3の種々の成分を表3にリストする。全ての数値は乾燥成分又は活性成分についてのものである。
【0054】
【表3】

【0055】
実施例Mill 4及びMill 5は、Mill 2と同一の第三の層の組成を有する。
【0056】
顔料成分:
Cover Carb75の粒径分布を図2に示し、それは微細に粉砕されたカルシウム無機顔料粒子である。Hydrocarb HC75は炭酸カルシウム無機顔料である。この顔料粒子の約50%は1μmよりも小さく、粒子の約30%は0.5μmよりも小さい。
【0057】
バインダ成分に関しても、やはり、添加剤は光沢剤、増粘剤、脱泡剤等を含む。それらの組成及び含有量は、生じる必要性に応じ、当業者が容易に見出し、調整することができる。
【0058】
(コーティングの塗布)
標準繊維ペーパーウェブであり得る基材5上に、通常、標準コーティング技術(好ましくは、ブレードであるが、非接触方法も可能である)を用いて、まずサイジング層を塗布する。また、第三の層3及び第二の層2を生じるコーティングは、標準的なコーティング技術(好ましくは、ブレード)を用いて基材に塗布される。異なるコーティングプロセスの間では、カレンダ処理は通常必要でない。実施例に掲げるコーティングのいずれにおいても、コーティングの塗布の間ではカレンダ処理は用いられていない。最上部コーティングである、最上層1の塗布のための条件を、カレンダ処理条件と共に10の実施例について、表4にまとめる。原則として、最上層についても、標準コーティング技術を用いる:
【0059】
【表4】

【0060】
Mill 4及びMill 5の処理は、Mill 2の処理と同一である。
【0061】
乾燥工程の関係では、irは赤外線を表わし、afは空気ホイルを表わし、cilは内部加熱乾燥シリンダを表わす。Bdは絶乾を表わす。ここから分かるように、ウェブは通常900m/分を超える高スピードでコーティングされる。ニップの場合には、例えば、2/8は8ロールのスタックを表わし、そのうちの2つのニップのみが用いられる。
【0062】
もしカレンダ処理を行えば、それは非常に柔軟な条件下であり、すなわち、ロールの温度は約60℃に保たれ(通常、現状技術によれば、光沢を達成するのに80度を超える温度が必要である)、カレンダロール上の負荷並びにその数も低く保たれ、すなわち、S−カレンダ負荷は2又は3のニップのみを用いて約110N/mmであり、他方、現状技術による光沢紙についての典型的な値は、通常は10ニップを用いて230N/mmを超える範囲にある。
【0063】
(得られた印刷紙の特性)
図4は幾つかの実施例(a:Mill 2、b:Pilot 1、c:Pilot 2、d:Pilot 3)、並びに比較例のコーティングの拡大倍率40,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。明らかに、これらの画像より、本発明によるコーティング(図4a〜図4d)は非常に特徴的な表面構造を示し、これはかなり微細であることが理解でき、特に、有機顔料が存在する場合(図4a、b、d)には、無機顔料のランダムな形状の粒子間に包埋された非常に小さな球状有機顔料粒子が認められる。しかしながら、有機顔料が存在しない場合にも(図4c)、かなり微細でより多孔性の構造が観察される。純粋に視覚的観点からは、現状技術によるコーティング(比較例)と本発明によるコーティングとの間には大きな違いがあることが既に明らかであり、この違いは本発明によるコーティングに存在するかなり微細な多孔性構造である。従って、一般にそれは基礎となる製造方法及び基礎となる材料とは独立して、図4a〜dの1つにおいて目に見える表面構造についての保護を得ることがこの開示の意図であるということができる。SEM像は、以下のSEM装置:40,000倍の倍率におけるPhilipsタイプSEM 501Bを用いて撮影した。
【0064】
この特別な構造を定量化するために、図5は、液体窒素侵入測定によって測定されたポア幅の関数としてのcm/g(紙)で表わした累積空隙率を示す。13は実施例のMill 2を示し、14〜16は、各々、Pilot 1、Pilot 2及びPilot 3を示し、17は比較例を示す。明らかに、例えば、100nmよりも小さな、又は150nmよりも小さな、又は200nmよりも小さなポアの累積接近可能空隙容量(cumulative accessible pore volume)に非常に大きな差が見られる。この空隙率は、可能なインクセットオフ挙動に対して鍵となるようである。空隙率は、Micromeritics、USAから入手可能な液体窒素侵入空隙率アナライザ、タイプASAP 2400、測定温度:77K(絶対温度)を用いて測定した。
【0065】
表5に種々の実施例をリストすることによって、紙の特性をさらに説明する。
【0066】
【表5−1】

【0067】
【表5−2】

【0068】
WSはワイア側を表わし、FSは実施例のフェルト側を表わす。NAは、これらの値が測定されていないことを示す。
【0069】
全ての実験について比較するために、約115g/mの紙重量を有する紙を用いた。しかしながら、本発明の範囲はこの重量に限定されない。μmで表わした得られた紙の厚みからすでに理解できるように、同一紙重量において、本発明の紙は比較例よりも厚い点で、比較例及び本発明による他の実施例の間には有意な差がある。これに対応して、これは、密度の逆数であって、嵩を表わすcm/gで示された容量にも反映されている。本発明による実施例の容量は、一般に、比較例のものよりも大きく、従って、嵩は現状技術よりも優れている。
【0070】
μmで表わしたPPS(パーカープリント表面(Parker Print Surface)値)における粗さを見ると、ほとんど全ての実施例は、PPSが1μmよりも小さくあるべきという目標値内にある。
【0071】
また、75%よりも大きなTAPPI 75°及び45%よりも大きなDIN 75°として目標が規定されている光沢値もまた、全ての実施例でほとんどカレンダ処理がないにもかかわらず満足させることができる。一般に、光沢は比較例よりも優れている。以下の光沢アナライザ:LehmanタイプLGDL−05.3/LTML−01を用いて光沢を測定した。
【0072】
最も顕著なのは、モデルインクタイプSkinnex800(例えば、セットオフ挙動を測定するためのPruefbau印刷性テスト器具)を用いて測定されたインクの優れたセットオフ挙動である。一般に、30秒間に、目標は0.30未満のセットオフを有するべきである。明らかに、これは、表5にリストした実施例のいくつかでは当てはまらず、理由は異なるバインダ(ラテックス)含有量である。バインダ含有量は、インクのセットオフを調整するために用いることができる。最上部コーティング中に存在するバインダが多ければ多いほど、それが本明細書中に示された方法で測定できる限り、空隙率はほぼ同一のままであるという事実にかかわらず、表面はより非極性となる。しかしながら、もし表面があまりにも極性となれば、通常、非極性オフセットインクはポアにもはや侵入できず、かくして、より大きなセットオフ値を生起する。
【0073】
通常、加えて、ラテックス分散液を安定化させるために界面活性剤がその分散液に存在するので、表面をより極性とする前記効果もまた、これらの界面活性剤によって少なくとも部分的に引き起こすこともできる。
【0074】
表面の極性とラテックスバインダ含有量との間の関係を図6に示し、ラテックスバインダ含有量が高くなればなるほど、表面エネルギーの極性成分が高くなることが明瞭に理解できる。これらの2つの量の間の直線的関係が見出された。それに応じて、表面エネルギーの極性成分が高くなれば、非極性オフセットインクが空隙に侵入するのがより容易でなくなる。図6のデータは、Fibrodatアナライザ(Fibrodatアナライザ:Fibro Systems AB、スウェーデン、タイプData 1100)を用いて測定した。
【0075】
一般に、全ての実施例は良好な印刷挙動、すなわち、良好なピック抵抗性、低いモットル、低いバーニシング等を示す。
【0076】
この知見を支持するために、図7及び8において、加えて、鉱油(図7)ベースのインクについて、及び生物学的インク油ベースのインク(図8)について、粘性測定を示す。粘性測定の場合には、インクが紙コーティングに徐々に吸い込まれる場合に、f(時間)としてのインクの3つの力である:供給ロールにおけるインクの付着、インク中の凝集及び紙におけるインクの付着の最終合計を測定する。付着及び凝集は、表面エネルギー及び粘度特性に明らかに関連する。インク成分は、顔料+樹脂及び鉱油(=比較的非極性)及び生物学的油(=比較的極性)からなる油担体系である。2つのモデルインクでのテストを行い、1つは担体として鉱油のみを有するものであり(図7)、1つは生物学的油のみを有するものである(図8)。グラフにおいて、1つのシリーズ(図7b及び8b)のPilot 4及びPilot 5(より少ないバインダAcronal S360D=比較的極性)対Pilot 1、Pilot 2、Pilot 3(かなり多いバインダ)の片側紙上、及びその他のシリーズ(図7a及び8a)のMill 2及びMill 3(より少ないバインダ)対Mill 1(かなり多くのバインダ)の他の側紙上の間の挙動に差を見ることができ:バインダが多ければ、グラフは常に明らかにより少ないバインダよりも「より遅く」、差は生物学的油の場合に、明らかにより大きい。粘性は、以下の粘性装置:Ink/Surface Interactionテスター、Segan Ltd.を用いて測定した。
【0077】
コーティング中に存在するラテックスが多ければ多いほど、表面エネルギーの極性成分はより高くなる。
【0078】
比較のため、図9は、実施例並びに比較例の、及びサイジング層及び第三の層を有する基材の水銀侵入空隙率測定を示す。空隙率の水銀侵入測定は前記した1μm未満のポア直径が測定される場合に、該範囲において特により大きな圧力が加えられる液体窒素侵入測定とは異なる。それに対応して、紙はこの領域でより大きな応力を受け、結果は液体窒素測定で得られるものとは異なる。しかしながら、図9から分かるように、コーティングされていない基材26の空隙特性は、コート紙の特徴とは実質的に異なる。加えて、比較例17は、明らかに、実施例28(Mill 1)、13(Mill 2)、30(Mill 3)、14(Pilot 1)、15(Pilot 2)、16(Pilot 3)、29(Pilot 4)及び25(Pilot 5)のうちのものよりも実質的に低い、0.1μm未満の累積空隙率を示す。参考として水銀侵入測定を用いて本発明の紙を特徴付けする場合、それは、30μl/g(紙)を超える100nm以下のポアサイズについての累積空隙率、又は水銀侵入測定を用いる場合には、40μl/g(紙)を超える100nmまでのポアサイズについての累積空隙率を有する紙として特徴付けることができた。また、バインダの存在は、小さなポアのこの領域において実質的に空隙特徴を測定可能に変化させないという事実が図9から明らかに見て取れる。これは、例えば、15部のバインダ含有量を有しつつ、10部のDPP 3710含有量を有する参照符号15で示された実施例Pilot 3を、全てが、10部のDPP 3710含有量及び11〜12部のバインダ含有量を有する、各々、参照符号13、30及び24で示されるMill 2、Mill 3又はPilot 4と比較した場合に見てとれる。水銀侵入空隙率は、Hg−侵入空隙率アナライザ:Quecksilberporosimeter Micromeritics AutoPore IV9500を用いて測定した。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明によるコート紙の部分的な断面を示す模式図である。
【図2】無機炭酸塩粒子の粒径分布を示す図である。
【図3a】無機カオリン粒子の粒径分布を示す図である。
【図3b】DPP3710(固体プラスチック顔料)の粒径分布を示す図である。
【図4a】実施例Mill 2の走査型電子顕微鏡像(40,000x)である。
【図4b】実施例Pilot 1の走査型電子顕微鏡像(40,000x)である。
【図4c】実施例Pilot 2の走査型電子顕微鏡像(40,000x)である。
【図4d】実施例Pilot 3の走査型電子顕微鏡像(40,000x)である。
【図4e】比較例の走査型電子顕微鏡像(40,000x)である。
【図5】幾つかの実施形態の累積ポアサイズ分布の窒素侵入測定を示す図である。
【図6】ポア系の表面エネルギーの極性成分に対するラテックスバインダ含有量の効果を示す図である。
【図7a】コート紙である、試料Mill 1、Mill 2及びMill 3に対する鉱油モデルインクの粘性発生を示す図である。
【図7b】コート紙である、試料Pilot 1、Pilot 2、Pilot 3、Pilot 4、Pilot 5に対する鉱油モデルインクの粘性発生を示す図である。
【図8a】コート紙である、試料Mill 1、Mill 2及びMill 3に対する生物学的油モデルインクの粘性発生を示す図である。
【図8b】コート紙である、試料Pilot 1、Pilot 2、Pilot 3、Pilot 4、Pilot 5に対する生物学的油モデルインクの粘性発生を示す図である。
【図9】実施例の全て並びに比較例の累積水銀侵入測定を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 最上層
2 第二の層
3 第三の層
4 サイジング層
5 基材
6 印刷シート/基材の第一の側
7 Setacarb HG
9 CC75(Cover Carb)
12 Amazon
13 Mill 2
14 Pilot 1
15 Pilot 3
16 Pilot 2
17 比較例
18 Mill 1(粘性鉱物インク油)
19 Mill 2(粘性鉱物インク油)
20 Mill 3(粘性鉱物インク油)
21 Pilot 1(粘性鉱物インク油)
22 Pilot 2(粘性鉱物インク油)
23 Pilot 3(粘性鉱物インク油)
24 Pilot 4(粘性鉱物インク油)
25 Pilot 5(粘性鉱物インク油)
26 サイジング層及び第三の層を有する基材
27 Pilot 5
28 Mill 1
29 Pilot 4
30 Mill 3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材及び、該基材の少なくとも片面上に、窒素侵入方法を用いて測定した、ポア幅200nm未満の累積空隙容量が、紙1グラム当たり0.006cmより大である画像受容コーティング層を有する印刷シート。
【請求項2】
ポア幅200nm未満の累積空隙容量が、紙1グラム当たり0.008cmより大である、請求項1に記載の印刷シート。
【請求項3】
画像受容層の表面が実質的に非極性である、請求項1又は2に記載の印刷シート。
【請求項4】
画像受容層の表面の極性成分の表面エネルギーが、パーカープリントサーフ(PPS)表面粗さ0.8〜1μmの間、好ましくは0.9μm未満における接触角測定によって測定して7mN/m未満、好ましくは6mN/m未満であって、画像受容層の表面の極性成分の表面エネルギーが、好ましくは4mN/mより大である、請求項3に記載の印刷シート。
【請求項5】
画像受容コーティングの表面の光沢が、TAPPI 75°に従って75%より大である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項6】
画像受容コーティングの表面の光沢が、DIN 75°に従って45より大である、好ましくは50より大である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項7】
画像受容コーティング層が基材の両側に設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項8】
0.8cm/gを超える、好ましくは0.82又は0.85cm/gを超える比容量を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項9】
インクセットオフ(ink set-off)が、30秒で0.3未満、好ましくは30秒で0.15〜0.25の間、又は約0.2である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項10】
画像受容コーティング層が、顔料成分及びバインダ成分を含む最上層(1)を有し:
該顔料成分は、
a)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、ほぼ90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、
b)90%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、95%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 0〜50乾燥重量部、
c)90%を超える、好ましくは固体又は空胞のあるポリマー顔料粒子が0.5μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、90%の当該粒子が0.05〜0.3μmの間、特に0.1〜0.2μmの間の粒径を有する粒径分布、あるいは空胞のあるポリマー顔料の場合には、約0.6μmの平均粒径を有する、好ましくは固体又は空胞のあるポリマー顔料粒子 0〜20乾燥重量部、又は30乾燥重量部以下
から構成され、及び、
該バインダ成分は、
a’)バインダ 12〜16乾燥重量部未満、及び、
b’)添加物 2乾燥重量部未満
から構成される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項11】
画像受容コーティング層が、顔料成分及びバインダ成分を含む最上層(1)を有し:
該顔料成分は、
a)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、ほぼ90%の当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸塩微粒子 0〜50乾燥重量部、
b)90%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、95%を超える当該粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 0〜50乾燥重量部、
c)90%を超える固体ポリマー顔料粒子が0.5μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、90%の当該粒子が0.05〜0.3μmの間、特に0.1〜0.2μmの間の粒径を有する粒径分布を有する固体ポリマー顔料粒子 2〜100乾燥重量部、
から構成され、及び
該バインダ成分は、
a’)バインダ 12〜16乾燥重量部未満、及び
b’)添加剤 2乾燥重量未満
から構成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項12】
最上層(1)の顔料成分が:
a)ほぼ90%の炭酸カルシウム微粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸カルシウム微粒子 60〜100乾燥重量部、好ましくは65〜80乾燥重量部、
b)95%のカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 10〜40乾燥重量部、好ましくは15〜30乾燥重量部、
c)約0.13〜0.17μmが中心の、好ましくは約0.14μmが中心の粒径分布を有する固体ポリマー顔料粒子 10〜15乾燥重量部、ここで当該粒子の95%が、この平均粒径の+/−0.03μm以内に存在する、請求項10に記載の印刷シート。
【請求項13】
固体ポリマー顔料粒子(c)が、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2−クロロエチルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、アセタール、ポリフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレンラテックス、ポリアクリルアミド、及びこれらのアロイ、ブレンド、混合物及び誘導体からなる群から選択される、請求項10又は12に記載の印刷シート。
【請求項14】
固体ポリマー顔料粒子(c)が、改質された(modified)ポリスチレンラテックスである、請求項10〜13のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項15】
固体ポリマー顔料粒子(c)が、スチレンマレイン酸コポリマーラテックス(SMA)及び/又はスチレンマレイミド(malimide)コポリマーラテックス(SMI)をベースとし、好ましくはほぼ全てが、200℃の範囲のガラス転移温度を有するスチレンマレイミドコポリマーラテックス(SMI)をベースとする、請求項10〜14のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項16】
最上層(1)のバインダ成分が:
a’)ラテックス、特に、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−アクリルラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリルラテックス、澱粉、ポリアクリレート塩、ポリビニルアルコール、大豆、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びこれらの混合物からなる群から選択されるバインダ、
b’)脱胞剤、着色剤、光沢剤、分散剤、増粘剤、水分保持剤、保存剤、架橋剤、潤滑剤及びpH調整剤等の添加剤
を含む、請求項10〜15のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項17】
バインダが、ブチルアクリレート、スチレン及びアクリロニトリルに基づくアクリルエステルコポリマーである、請求項16に記載の印刷シート。
【請求項18】
10〜16乾燥重量部、好ましくは11〜14乾燥重量部のバインダ(a’)がバインダ成分に存在する、請求項16又は17に記載の印刷シート。
【請求項19】
最上層(1)が、3〜25g/mの範囲、好ましくは4〜15g/mの範囲、最も好ましくは約6〜12g/mの合計乾燥コーティング重量を有する、請求項10〜18のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項20】
該画像受容コーティング層が:
A)80%を超える炭酸塩微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が約90%の粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、
B)50%を超えるカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が60%を超える粒径分布を有するカオリン微粒子、あるいは1μmよりも小さい炭酸塩微粒子が70%を超える粒径分布を有する炭酸塩微粒子 0〜50乾燥重量部
から構成される顔料成分、及び、
A’)バインダ 20乾燥重量部未満、及び、
B’)添加剤 4乾燥重量部未満:
から構成されるバインダ成分
を含む、最上層(1)の下の第二の層(2)を有する、請求項10〜19のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項21】
第二の層(2)の顔料成分が:
A)約90%の炭酸カルシウム微粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有する炭酸カルシウム微粒子 70〜90乾燥重量部、好ましくは約75乾燥重量部、
B)65%のカオリン微粒子が1μmよりも小さい粒径分布を有するカオリン微粒子 20〜40乾燥重量部、好ましくは約25乾燥重量部、あるいは1μmよりも小さい炭酸塩微粒子が70%を超える粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜70部
を含む、請求項20に記載の印刷シート。
【請求項22】
第二の層(2)のバインダ成分が:
A’)ラテックス、特に、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリルラテックス、スチレン−アクリルラテックス、スチレン−ブタジエン−アクリルラテックスラテックス、澱粉、ポリアクリレート塩、ポリビニルアルコール、大豆、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース及びそれらの混合物からなる群から選択されるバインダ、
B’)脱胞剤、着色剤、光沢剤、分散剤、増粘剤、水分保持剤、保存剤、架橋剤、潤滑剤及びpH調整剤等の添加剤
を含む、請求項20又は21に記載の印刷シート。
【請求項23】
バインダが、ブチルアクリレート及びスチレンをベースとするアクリルエステルコポリマーである、請求項22に記載の印刷シート。
【請求項24】
6〜20乾燥重量部、好ましくは8〜14乾燥重量部、最も好ましくは約10乾燥重量部のバインダが、第二の層(2)のバインダ成分(A’)に存在する、請求項20〜23のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項25】
第二の層(2)が、5〜25g/mの範囲、好ましくは8〜20g/mの範囲の合計乾燥コーティング重量を有する、請求項20〜24のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項26】
第二の層(2)の下に第三の層(3)が存在し、
該第三の層(3)は、顔料成分及びバインダ成分から構成され、
該顔料成分は、
AA)1μmよりも小さい炭酸塩微粒子が70%を超える粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が約80%、又は80%を超える粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部;
から構成され、及び
該バインダ成分は、
AA’)バインダ 10乾燥重量部未満、及び、
BB’)添加剤 4〜6乾燥重量部未満
から構成される、請求項20〜25のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項27】
合計重量が、90又は100〜250g/mの範囲、又は400g/m以下である、請求項1〜26のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項28】
基材(5)の両面に画像受容コーティングが設けられている、請求項1〜27のいずれか1項に記載の印刷シート。
【請求項29】
dd)画像受容最上層(1)を基材に塗布し、ee)該画像受容コーティング層を乾燥し、ff)80℃未満の温度で200N/mm未満のニップ圧力でカレンダ処理することを含む印刷シートの製造方法であって、
該最上層(1)は、顔料成分及びバインダ成分を含み、
該顔料成分は、
a)1μmよりも小さい炭酸塩微粒子が80%を超える粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が約90%の粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、
b)1μmよりも小さいカオリン微粒子が90%を超える粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が95%を超える粒径分布を有するカオリン微粒子 0〜50乾燥重量部、
c)0.5μmよりも小さい固体又は空胞のあるポリマー顔料粒子が90%を超える粒径分布、好ましくは、0.05から0.3μmの間、特に0.1〜0.2μmの間の粒径の当該粒子が90%の粒径分布、又は空胞のあるポリマー顔料粒子の場合には、約0.6μmの平均粒径を有し、好ましくは固体又は空胞のあるポリマー顔料粒子の 0〜20乾燥重量部、又は30乾燥重量部以下、ここで、所望により、該ポリマー顔料粒子は該無機顔料(a、c)を完全に又は部分的に置き換えてもよい;
から構成され、及び
該バインダ成分は、
a’)バインダ 10乾燥重量部未満、及び
b’)添加剤の 乾燥重量部未満
から構成される、印刷シートの製造方法。
【請求項30】
最上層(1)が、3〜25g/mの範囲、好ましくは4〜15g/mの範囲、最も好ましくは約6〜12g/mの合計乾燥コーティング重量を有する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の画像受容コーティング及び、特に、最上層を特徴とする、請求項29又は20に記載の方法。
【請求項32】
最上コーティング層(1)の塗布に先立って、cc)第二の層(2)を基材に塗布することを含む請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法であって、
該最上層(1)の下の該第二の層(2)は、好ましくは顔料成分及びバインダ成分を含み、
該顔料成分は、
A)1μmよりも小さい炭酸塩微粒子が80%を超える粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が約90%の粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、
B)1μmよりも小さいカオリン微粒子が60%を超える粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が70%を超えるカオリン微粒子、あるいは1μmよりも小さい当該粒子が70%を超える粒径分布を有する炭酸塩微粒子 0〜50乾燥重量部;
から構成され、及び
該バインダ成分は、
A’)バインダ 20乾燥重量部未満、及び、
B’)添加剤 4乾燥重量部未満;
から構成される方法。
【請求項33】
第二の層(2)が、5〜25g/mの範囲、好ましくは8〜20g/mの範囲の合計乾燥コーティング重量を有する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項19〜24のいずれか1項に記載の第二の層(2)を特徴とする、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
第二の層(2)の塗布に先立って、bb)第三の層(3)を基材に塗布することを含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載の方法であって、
該第二の層(2)の下の第三の層(3)は、
AA)1μmよりも小さい炭酸塩微粒子が70%を超える粒径分布、好ましくは、1μmよりも小さい当該粒子が約80%、又は80%を超える粒径分布を有する炭酸塩微粒子 50〜100乾燥重量部、及びバインダ成分を有し、
該バインダ成分は、
AA’)バインダ 10乾燥重量部未満、及び、
BB’)添加剤 4〜6乾燥重量部未満
から構成される方法。
【請求項36】
第三の層(3)の塗布に先立って、サイジング層(4)を基材(5)に塗布する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
画像受容コーティングを基材(5)の両面に塗布する、請求項29〜36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
得られた印刷シートが、コーティングプロセス後に、80〜400g/m、好ましくは100〜250g/mの範囲の合計重量を有する、請求項29〜37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
カレンダ処理工程(ff)において、60〜150N/mm、好ましくは90〜約110N/mmの範囲のニップ圧力を用いる、請求項29〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
カレンダ処理工程(ff)において、45〜80℃の範囲、好ましくは50〜70℃の範囲の温度を用いる、請求項29〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
カレンダ処理工程(ff)において、4以下のニップが用いられる、請求項29〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
カレンダ処理工程(ff)において、スチール又は繊維表面を有するロールが、300〜1000m/分のスピードで用いられる、請求項29〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
カレンダ処理(ff)に先立って、印刷シートを、水分5%未満まで乾燥させる、請求項29〜41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
オフセット印刷プロセスにおける、請求項1〜28のいずれか1項に記載の印刷シートの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3b】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−501382(P2006−501382A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−500030(P2005−500030)
【出願日】平成15年9月30日(2003.9.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010816
【国際公開番号】WO2004/030917
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(505115005)エスエーピーピーアイ ネザーランズ サーヴィシーズ ビー.ヴイ (9)
【Fターム(参考)】