説明

コーティング組成物および印刷インク組成物に使用する無フッ素のジシロキサン界面活性剤組成物

本発明は、pH約3からpH約12までの間で加水分解に対する耐性がある、無フッ素の有機修飾されたジシロキサンを含有するシリコーンの界面活性剤組成物を保有するコーティング組成物および印刷インク組成物に関する。本発明のコーティング組成物および印刷インク組成物は、高められた湿潤性、流動性、および平滑性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広いpH範囲にわたって加水分解に対する耐性を示すシリコーンの界面活性剤組成物に関する。特に、本発明は、pH約3からpH約12までの間で加水分解に対して耐性のある、無フッ素の有機修飾されたジシロキサンを含有するシリコーンの界面活性剤組成物を含むコーティング組成物および印刷インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
望ましい改変を生み出すための、動いている対象と動かない対象の両方の表面への液状組成物の局所における塗布は、湿潤、展着、流動、平滑、泡立ち、洗浄力などを制御するプロセスを伴う。近年、省資源と環境汚染との観点から溶媒系コーティングに代えて水性コーティングに移行する動きがある。例えば、水性コーティングは、自動車用の下塗りコーティング、下地塗りコーティング、および上塗りコーティングに向けて研究されている。これは、必要とされる高い機能を有する水性コーティングのための流動・平滑剤を考慮に入れている。この要請を満たす目的で、これまでアクリル系重合体、修飾されたシリコーンオイルなどが流動・平滑剤として使用されてきた。しかしながら、充分な湿潤性、流動・平滑性と、コーティングの欠点における改良とは、近年研究されている自動車のような用途向けに高水準の外観を必要とする分野においては、これらの汎用の技術では必ずしも達成されていない。そこで、高い濃度の有機界面活性剤、または非常に低い表面張力をもつ特殊ペルフルオロアルキル官能性の界面活性剤のいずれかが、良好な外観を得る目的で添加される。非常に高い濃度の有機界面活性剤を使用することに伴う課題の一つは、重ね塗りにおいて、または重ね塗りしたフィルム表面の粗面化における、層間接着性のようなコーティングの別の性質に及ぼす逆効果である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
汎用の有機界面活性剤は、コーティングの場合に平滑の問題に対して不充分な解決しか与えず、そして完全に滑らかなコーティングフィルムの生成を可能にする新しい界面活性剤に対する緊急の必要性がある。代替的に、特殊フッ素系界面活性剤は、毒物学と生物蓄積との領域からの圧力に直面している。米国環境保護局(EPA)は、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)のような毒性のペルフルオロアルキルカルボキシラート、およびペルフルオロオクタニルスルホナート(PFOS)を含む毒性のペルフルオロアルキルスルホナートへと分解する可能性を有するようなペルフルオロアルキル物質の規制の強化を提案している。これらの物質は、生物蓄積をして環境で存続すると予想され、そしておそらく「強い毒性」である。また、研究は、ある種のフッ素重合体で作製された物品が都市の廃棄物焼却炉で焼却される場合に、ペルフルオロアルキルスルホナートとペルフルオロアルキルカルボキシラートとが空気中に放出されるかもしれないと示唆する。
【0004】
したがって、環境と健康の懸念を避けることができるフッ素化されてない界面活性剤の識別は興味深い。本発明は、向上された流動、平滑、および湿潤の利点を提供する、新規な無フッ素の界面活性剤組成物の実用と適用をも記載する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は:
a)一般式:
MM’
を有するシリコーンと
〔式中、
M=RSiO1/2
M’=RSiO1/2
式中、Rは、3から6までの炭素原子の分岐の一価炭化水素ラジカル(radical)およびRからなる群から選択され、ここで、Rは、
10SiR12および(R)SiR12(Si(R)SiO1/2
からなる群から選択され、
式中、R、R、およびR10は、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルおよび6から13までの炭素原子を有するアリールまたはアルカリールの一価炭化水素ラジカルの群から選択され、そしてR12は、1から3までの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルであり、
およびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択され、式中、Rは:
13(CO)(CO)(CO)14および
12SiR(R13(CO)(CO)(CO)14
からなる群から選択されるアルキルポリアルキレンオキシドを有する置換基であり、
式中、R13は、構造:
−CH−CH(R15)(R16O−
を有する直鎖または分岐の二価炭化水素ラジカルであり、
式中、R15は、Hまたはメチルであり;R16は、1から6までの炭素の二価アルキルラジカルであり、ここで、下付き文字dは0または1であってよい;
14は、H、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群から選択され、ここで、下付き文字a、bおよびcは、ゼロまたは正数であり、そして次の関係を満たす:
2≦a+b+c≦20、式中、a≧2
そして、RおよびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択される〕;
b)コーティング樹脂と、
〔ここで、このコーティング組成物は、加水分解に対する高められた耐性を示す。〕
を含有する無フッ素のコーティング組成物を提供する。
【0006】
本発明は:
a)一般式:
MM’
を有するシリコーンと、
〔式中、
M=RSiO1/2
M’=RSiO1/2
式中、Rは、3から6までの炭素原子の分岐の一価炭化水素ラジカルおよびRからなる群から選択され、ここで、Rは:
10SiR12および(R)SiR12(Si(R)SiO1/2
からなる群から選択され、
式中、R、R、およびR10は、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルおよび6から13までの炭素原子を有するアリールまたはアルカリールの一価炭化水素ラジカルの群から選択され、そしてR12は、1から3までの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルであり、
およびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択され、式中、Rは:
13(CO)(CO)(CO)14および
12SiR(R13(CO)(CO)(CO)14
からなる群から選択されるアルキルポリアルキレンオキシドを有する置換基であり、
式中、R13は、構造:
−CH−CH(R15)(R16O−
を有する直鎖または分岐の二価炭化水素ラジカルであり、
式中、R15は、Hまたはメチルであり;R16は、下付き文字dが0または1であってよい1から6までの炭素の二価アルキルラジカルであり;
14は、H、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群から選択され、ここで、下付き文字a、b、およびcは、ゼロまたは正数であり、そして次の関係を満たす:
2≦a+b+c≦20、式中、a≧2、
そして、RおよびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択される〕
b)少なくとも一つの印刷インク樹脂と、
〔ここで、この印刷インク組成物は、加水分解に対する高められた耐性を示す〕
を含有する無フッ素の印刷インク組成物をさらに提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコーティング組成物および印刷インク組成物は、高められた湿潤、平滑、および流動を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、比較例OPEの界面活性剤1%で調製されたコーティング調合物によりコートされた表面を示す。
【図2】図2は、実施例10の界面活性剤1%で調製されたコーティング調合物によりコートされた表面を示す。
【図3】図3は、実施例10の界面活性剤1%で調製されたコーティング調合物によりコートされ、周囲環境で3か月エージングした表面を示す。
【図4】図4は、実施例10の界面活性剤1%で調製されたコーティング調合物によりコートされた表面を示す。
【図5】図5は、0%の界面活性剤を含むコーティング調合物によりコートされた表面を示す。
【図6】図6は、比較例OPEの界面活性剤1%を含むコーティング調合物によりコートされた表面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで使われるように、化学量論的な下付き文字の整数値は、分子種を指し、そして化学量論的な下付き文字の非整数値は、分子量平均基準、数平均基準、またはモル分率基準の分子種の混合物を指す。
【0010】
本発明は、一般式:
MM’
を有する界面活性剤として有用なジシロキサン化合物または組成物を含有するコーティング組成物および印刷インク組成物を提供し、
式中、
M=RSiO1/2
M’=RSiO1/2
式中、Rは、3から6までの炭素原子の分岐の一価炭化水素ラジカルまたはRからなる群から選択され、ここで、Rは:
10SiR12および(R)SiR12(Si(R)SiO1/2
からなる群から選択され、
式中、R、R、およびR10は、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルおよび6から13までの炭素原子を有するアリールまたはアルカリールの一価炭化水素ラジカルの群から選択され、そしてR12は、1から3までの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルであり、RおよびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択され、式中、Rは:
13(CO)(CO)(CO)14および
12SiR(R13(CO)(CO)(CO)14
からなる群から選択されるアルキルポリアルキレンオキシドを有する置換基であり、
式中、R13は、次の構造を有する直鎖または分岐の二価炭化水素ラジカルである:
−CH−CH(R15)(R16O−
式中、R15は、Hまたはメチルであり;R16は、1から6の炭素の二価アルキルラジカルであり、ここで、下付き文字dは0または1であってよく;
14は、H、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群から選択され、ただし、下付き文字a、b、およびcは、ゼロまたは正数であり、そして次の関係を満たす、という限定に従う:
2≦a+b+c≦20、式中、a≧2、
そして、RおよびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択される。下付き文字が、2≦a≦4の条件を満たす場合には、本発明の組成物の利点を得る目的で以下に説明されるような共界面活性剤を用いることが望ましい。
【0011】
本発明の組成物を生成する一つの方法は、式:
MM
の分子を反応させることであり、
式中、Mは、本発明の組成物において、構造単位M’に変換される水素化物前駆体であり、ここで、この定義と関係は後に規定され、そして上記に規定された定義と関係に一致し、ヒドロシリル化条件下で、アリルオキシポリエチレングリコールまたはメタリルオキシポリアルキレンオキシドのようなオレフィン性に修飾されたポリアルキレンオキシドと一致し、これらは例としてここに取り込むが、別のふさわしいオレフィン性に修飾されたアルキレンオキシド成分を限定するためには説明されてない。ここで使われるように、「オレフィン性に修飾されたポリアルキレンオキシド」の語句は、一つもしくはそれ以上の末端の、またはペンダントの炭素−炭素二重結合を有する、一つもしくはそれ以上のアルキレンオキシド基を有する分子として定義される。ポリエーテルは、オレフィン性に修飾されたポリアルキレンオキシド(以下、「ポリエーテル」を指す)であり、一般式:
CH=CH(R15)(R16O(CO)(CO)(CO)14
によって記載され、
式中、
15は、Hまたはメチルであり;R16は、1から6の炭素の二価アルキルラジカルであり、ここで、下付き文字dは0または1であってよく;R14は、H、1から6の炭素の一官能性炭化水素ラジカル、またはアセチルである。ポリエーテルが、混合されたオキシアルキレンオキシド基(すなわち、オキシエチレン、オキシプロピレン、およびオキシブチレン)から構成される場合、この単位は、ブロックにまとまるか、または無秩序なランダムに分布してよい。当業者は、ブロックまたはランダムの配置を使用する有利な点を理解するだろう。ブロック配置の説明に役立つ実例は、−(オキシエチレン)(オキシプロピレン)−;−(オキシブチレン)(オキシエチレン)−;および、−(オキシプロピレン)(オキシエチレン)(オキシブチレン)−である。
【0012】
ポリエーテルの説明に役立つ実例を次に提供するが、これらに限定されない:
CH=CHCHO(CHCHO)H;CH=CHCHO(CHCHO)CH
CH=CHCHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)H;
CH=CHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)H;
CH=C(CH)CHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)C(=O)CH;および、
CH=CHCHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)(CHCH(CHCH)O)
【0013】
ポリエーテルで修飾されたシロキサンは、本発明のジシロキサンの水素化物(SiH)中間体に、オレフィン性に修飾された(すなわち、ビニル、アリル、またはメタリル)ポリアルキレンオキシドをグラフトするヒドロシリル化反応の使用により通常の方法で調製される。
【0014】
ポリエーテル置換シロキサンを作製するのに適切な貴金属触媒は、また当分野に周知であり、そしてロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、または白金の錯体を含有する。このSiHのオレフィン付加反応のための白金触媒の多くの種類が既知であり、そしてそのような白金触媒を本発明の組成物を生成させるのに用いてよい。この白金化合物は、参照により本明細書に編入する米国特許第3,159,601号に記載されるように、式(PtCl・オレフィン)およびH(PtCl・オレフィン)を有する化合物から選択してよい。さらなる白金含有物質は、参照により本明細書に編入する米国特許第3,220,972号に記載されるように、塩化白金酸と、白金グラム当たり2モルまでの、アルコール、エーテル、アルデヒド、およびそれらの混合物からなる類から選択される構成要素との錯体であってよい。本発明において有用な白金含有物質のさらに他の群は、Karstedtの米国特許第3,715,334号、第3,775,452号、および第3,814,730号に記載される。技術に関する補足的な背景は、F. G. A. Stone and R. West編、「Advances in Organometallic Chemistry」、第17巻、407ページから447ページ、Academic Press発行(ニューヨーク、1979年)におけるJ. L. Spier著「Homogeneous Catalysis of Hydrosilation by Transition Metals」に見出すことができよう。当業者は、白金触媒の効果的な量を容易に定めることができる。一般に効果的な量は、有機修飾されたジシロキサン組成物の全量の約0.1から50ppmまでの範囲である。
【0015】
本発明のコーティング組成物および印刷インク組成物ならびにシロキサンは、6から7.5までの範囲にあるpHの範囲外で、すなわち、過酷な環境条件下で加水分解に対する高められた耐性を示す。苛酷な環境は、pHが6より小さいまたは7.5を超える水溶液として、またはブレンステッドの酸性度または塩基性度、またはルイスの酸性度または塩基性度に関する非水系の同等物として定義される。加水分解に対する高められた耐性は、様々な試験によって証明されるが、加水分解に対する高められた耐性は、ここで使われるように、溶液が6より小さいpHを有する水性の酸性条件に24時間の暴露後、または溶液が7.5より大きいpHを有する水性の塩基性条件に24時間の暴露後、本発明の加水分解耐性組成物の50モルパーセントもしくはそれ以上が未変化または未反応のままでいることを意味する。酸性条件下では、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で48時間を超える期間、初期濃度の50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;具体的には、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で2週間を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;より具体的には、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で1ヶ月を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;そして、最も具体的には、本発明の組成物は、pH5もしくはそれ以下で6ヶ月を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示す。塩基性条件下では、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で2週間を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;具体的には、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で4週間を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;より具体的には、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で6ヶ月を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示し;そして、最も具体的には、本発明の組成物は、pH8もしくはそれ以上で1年を超える期間、50モルパーセントもしくはそれ以上の残存率を示す。
【0016】
本発明のコーティング組成物および印刷インク組成物は、様々な形態で、すなわち液体の溶液、液体中の固体の分散、液体中の液体の分散、先に記載したエマルション(emulsion)、固体の混合物、または固溶体として、単独で、またはすでに列挙されているものの一つと他のものとを組み合わせた形態で利用してよい。
【0017】
a.コーティング:
典型的には、コーティング調合物は、乳化、成分の相溶化、平滑、流動、および表面欠陥の低減の目的で湿潤剤または界面活性剤を必要とすることもある。加えて、これらの添加剤は、硬化されたフィルムまたは乾燥フィルムにおいて、向上された摩耗抵抗性、ブロッキング防止性、親水性、および疎水性のような改良を与えることになる。コーティング調合物は、溶媒系コーティング、水性コーティング、高固形分コーティング、混ぜ物なしのコーティング、および粉末コーティングであってよい。
【0018】
ここに定義されるように、「平滑(leveling)」の用語は、ブラシまたはローラーのような塗布用具によってあとに残された不完全さが乾燥プロセスのあいだに消失することによって、塗布されたコーティングが滑らかなフィルムを生成する能力を指す。ここに定義されるように、「流動(flow)」の用語は、コーティングの展着性能、およびコーティングを塗布する際の容易さを指す。ここに記載されるように、「湿潤(wetting)」の用語は、ピンホールや欠陥がないまま効率的に基質(substrate)の表面を濡らす調合物の能力である。
【0019】
塗装表面は、通常は完全には滑らかではなく、そうではなくて波形またはみかん膚といわれる、多かれ少なかれ構造化された表面を有する。この表面は、短い波により細かく構造化されるか、または長い波により粗く構造化されている。大部分の場合、この波形は望ましくなく、そして界面活性剤は、いずれにしても滑らかである表面に達するように、流動、平滑、および湿潤を与えるために必要である。
【0020】
本発明のコーティング組成物は:内装および外装の塗装の両方のための建築コーティング;自動車、船舶、航空機、多様な陸上輸送、電気製品、金属家具、機械装置類、コイル、金属製容器、絶縁用ワニス、パイプ、包装、重ね刷り、剥離、前加工木材、木製家具、プラスチック製基質、剥離用コーティング、焦げ付き防止調理器具、音響吊天井タイル、繊維加工(fiber sizing)、および一般的な金属のための相手先商標製品製造(OEM)製品のコーティングまたは仕上げ塗り;工場保守用コーティング、自動車用再仕上げ塗り、路面塗料、そして、屋根、タンク、甲板のコーティング、煉瓦積みコーティング、煉瓦積み撥水剤、およびコンクリート硬化の多方面にわたるコーティングのような特別な目的のコーティング;および封止コーティングなど、のように利用してよい。
【0021】
典型的なコーティング樹脂の種類は、ポリエステル、アルキド(alkyd)、アクリル、エポキシ、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリビニリデンフルオリド、ウレタン−ポリエステル共重合体、スチレン−ブタジエン、アクリル−ウレタン共重合体、PVC、エポキシエステル、エポキシ−アミノ、エポキシ−フェノール、フェノール、スチレン−アクリル、エポキシアクリル、ウレタン−アクリル、シリコーン、アクリル−ポリエステル、エポキシ−ポリアミド、フッ素重合体、ポリビニルアセタート、ビニル−アクリル、シリコーン−アクリル、ビニルアセタート−エチレン、スチレン−アクリル、アスファルト、コールタール、スチレンブタジエン、炭化水素、ビニルアセタート−アクリル、およびシラン系、そしてそれらの混合物を当分野に既知で汎用の量で含むが、これらに限定されない。
【0022】
したがって、本発明の目的は、美的感覚および外観の高度の水準を必要とする用途に用いることができ、そして加水分解に対して増加した耐性を与える一方でペルフルオロ化された界面活性剤に関連した短所がない新規なジシロキサン界面活性剤を供することにある。
【0023】
コーティング用添加剤:
当分野に既知のように、緩衝剤、保存剤、および他の標準的な添加剤は、本発明のコーティング組成物に既知で汎用の量で含まれてよい。
【0024】
溶媒は、本発明のコーティング組成物に含まれてよい。典型的には、溶媒は室温で液体状態である。適切な溶媒は、水、アルコール、芳香族溶媒、油(すなわち、鉱油、植物油、シリコーン油、など)、植物油の低級アルキルエステル、脂肪酸、ケトン、グリコール、ポリエチレングリコール、ジオール、パラフィン、などを含む。本発明の一つの具体的な実施態様において、溶媒は、参照により本明細書に編入する米国特許第5,674,832号に説明されるように、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、n−メチル−ピロリジン、およびそれらのアルコキシ化体(特にエトキシ化体)からなる群から選択される。
【0025】
共界面活性剤:
共界面活性剤は、本発明のコーティング組成物に含まれてよい。本発明の一つの実施態様に従えば、典型的な共界面活性剤は、非イオン性の、陽イオン性の、陰イオン性の、両性の、双性イオンの、高分子の界面活性剤、またはそれらの混合物を含む。共界面活性剤は、典型的には、炭化水素系、シリコーン系またはフルオロカーボン系である。
【0026】
さらに、参照により本明細書に編入する米国特許第5,558,806号に記載されるように、超展着(superspreading)を妨げない短鎖の疎水性物質を有する別の共界面活性剤もまた有用である。
【0027】
別の有用な共界面活性剤は、アルコキシラート、特に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキサイド、およびそれらの混合物の共重合体を含むブロック共重合体を有するエトキシラート;アルキルアリールアルコキシラート、特にエトキシラートまたはプロポキシラート、およびアルキルフェノールエトキシラートを含む、それらの誘導体;アリールアリールアルコキシラート、特にエトキシラートまたはプロポキシラート、およびそれらの誘導体;アミンアルコキシラート、特にアミンエトキシラート;脂肪酸のアルコキシラート;脂肪アルコールのアルコキシラート;アルキルスルホナート;アルキルベンゼンスルホナートおよびアルキルナフタレンスルホナート;硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アミン、または硫酸化脂肪酸アミド;イセチオン酸ナトリウムの酸エステル;スルホコハク酸ナトリウムのエステル;硫酸化脂肪酸エステルまたはスルホン化脂肪酸エステル;石油スルホナート;N−アシルサルコシナート;アルキルポリグリコシド;アルキルエトキシ化されたアミン;などを含む。
【0028】
本発明の一つの実施態様において、コーティング組成物に利用される共界面活性剤の量は、全組成物の約0.01から約5重量パーセントまでの範囲である。本発明の他の実施態様において、コーティング組成物に利用される共界面活性剤の量は、全組成物の約0.05から約2重量パーセントまでの範囲である。本発明のさらに他の実施態様において、コーティング組成物に利用される共界面活性剤の量は、全組成物の約0.01から1重量パーセントまでの範囲である。
【0029】
共界面活性剤の具体的な例は、アルキルアセチレンジオール(SURFONYL−Air Products)、ピロリドン系界面活性剤(例えば、SURFADONE−LP100−ISP)、硫酸2−エチルヘキシル、イソデシルアルコールエトキシラート(例えば、RHODASURF DA530−Rhodia)、エチレンジアミンアルコキシラート(TETRONICS−BASF)、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(PLURONICS−BASF)、ジェミニ型界面活性剤(Rhodia)、およびジフェニルエーテル・ジェミニ型界面活性剤(例えば、DOWFAX−Dow Chemical)を含む。
【0030】
本発明の具体的な実施態様において、共界面活性剤は、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体(EO/PO);アミンエトキシラート;アルキルポリグリコシド;およびオキソ−トリデシルアルコールエトキシラートからなる群から選択される少なくとも一つである。
【0031】
本発明の無フッ素のジシロキサンの界面活性剤は、上でさらに充分に記載さたように、比較的少量でコーティング調合物に使用される。本発明の一つの実施態様において、コーティング組成物に利用されるシリコーンの界面活性剤の量は、全組成物の約0.01から約5重量パーセントまでの範囲である。本発明の他の実施態様において、コーティング組成物に利用されるシリコーンの界面活性剤の量は、全組成物の約0.05から約2重量パーセントまでの範囲である。本発明のさらに他の実施態様において、コーティング組成物に利用されるシリコーンの界面活性剤の量は、全組成物の約0.01から1重量パーセントまでの範囲である。
【0032】
本発明の界面活性剤は、コーティング物質の性質および塗装方法に応じて、溶液、エマルション、または100%の物質として使用してよい。
【0033】
b.印刷インク:
印刷インクおよびグラフィックアートの製品は、印刷物に美的感覚または機能を与えるために用いてよい顔料、染料またはあらゆる種類の着色剤からなる均質な製品である。これらの機能は、製品の識別または保護に有用な、可視性、流動性(rheology)、耐光性、およびいくつかの他のパラメーターを含む。顔料は、適切な印刷装置により液体から固体までの転移を可能にする均一な形態に保持する目的で処理されるであろう。そうするには結合剤および溶媒から構成される媒体が、インク組成物に必要な流動を与えるために使用されるであろう。用いられる印刷技術は、インクを製造するために使う結合剤および溶媒の活用可能性に影響を及ぼすことになる。
【0034】
インク技術は、次のカテゴリーに大きく分類してよい:石版印刷法(これに石版刷りとオフセット技術とが属する);活版印刷法(これにフレキソ印刷法が属する)またはグラビア法(これにグラビア技術が属する);および、特にコンピュータ化製品に適用される新規技術であるノンインパクトプリティング技術(Non Impact Process)およびデジタル画像システム(Digital Imaging systems)である。すべてのプロセスに含まれる最も重大な課題の一つは、非常に異なる表面活性を有する種々の性質の基質への液体インク状態から固体状態までの転移であることは注目に値する。それ故、すべての印刷インク装置において、この液体および固体の表面活性が印刷の品質の重要部分である。
【0035】
フレキソ印刷法またはグラビア法のいずれかによって塗布される、液体インクにおいて、インク技術は、組成物の点からみて非常に類似しており、末端用途によって引き起こされる粘度、溶媒の種類、顔料の濃度、および他のパラメーターに関するインクの仕様によって主に異なることになる。
【0036】
液体インクは、溶媒系(SB)、ラジカル硬化系(UV)または水系(WB)に分類できる。
【0037】
使用される溶媒の性質は、インクを設計するために使用される結合剤および重合体の選定に明らかに影響を及ぼすであろう。SB系では、低沸点アルコールおよびエステルが使用される。使用される樹脂の種類は、したがって、この溶媒に可溶であるように選択される。最も一般的なグレードは、ニトロセルロース、ポリウレタン、可溶性アクリル、ポリアミド、ケトンまたはマレイン酸の樹脂、ポリビニルクロリド、エポキシ、イソシアナート、ポリビニールブチラールなどである。
【0038】
WB系において、溶媒は主として水であり、樹脂は、水で希釈できるかまたは水に可溶であるかのように設計をしなければならないが、しかし一旦塗布されると水と湿度に対して耐性であるべきである。この明らかな矛盾は、乾燥の際に親水性基または水溶性基を解放したり、そして放出したり、またはブロックしたりする能力を有する、陰イオン(または陽イオン)系重合体の使用によって克服されている。また、硬化性重合体は、イソシアナートまたはエポキシまたはメラミンのように、適切な硬化剤により硬化される非イオン性重合体に基づいて使用される。この領域で使用される典型的な製品は、アクリルおよびスチレンアクリルのエマルションまたはラテックス、ポリウレタン分散、エポキシ分散、ポリアクリラート、ポリビニル分散、可溶性ポリアミド、またはマレイン酸樹脂などを含む。
【0039】
UVインクは、典型的には溶媒を含まないが、必要なときは、単量体で希釈された低分子量の重合体またはオリゴマーから主として構成される。異なった成分が、光開始剤と関連してUVランプによって励起する際に、ラジカル重合下で硬化されるように選択される。典型的な重合体は、アクリラート、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、ポリエステルアクリラート、および不飽和を有するこれらに対応の単量体を含む。
【0040】
当分野に既知である、顔料、増粘剤、および他の標準的な添加剤は、本発明の印刷インク組成物に既知で汎用の量で含まれてよい。
【0041】
液体インクにおいて、インクの目視による外観を与える、顔料、充填剤、または微粒子は、印刷機からの転移のあいだ、基質上の適切な流動および平滑を達成する目的で非常によく分散させ、そして砕くべきである。そうするには、高分子の分散剤として作用する界面活性の分散剤または結合剤が使用される。上記の特定のグレードの樹脂は、顔料を適切な形態できちんと分散させて保持する能力を有する。多くの異なる性質の界面活性剤はまた、顔料を分散させるために使用される。我々は、陰イオン性分散剤(アルキルのホスファート、スルホナート、またはスルファートなどのような)、陽イオン性分散剤(第四級アンモニウムのような)、両性分散剤(ベタインのような)、またはアルキルエトキシラート(以前に用いられたノニフェノールエトキシラート、アルコールエトキシラートなどのような)、ポリエーテルシロキサン(EO/POで修飾されたシリコーンのような)をも見出すことができる。顔料粒子の化学構造および安定化の静電気的方法のため、界面活性剤は異なる欠陥、すなわち水への感受性、泡の生成、皮膜間の接着に対する妨害を引き起こすかもしれない。そこで、この欠陥を相殺するまたは最小限にする適切な界面活性剤の使用は、多くの用途においてほとんど必須になる。
【0042】
顔料分散の他、他の成分は、インクによって必要とされる性質、すなわち印刷ユニットからの転移、基質の湿潤、接着、特定の抵抗(耐熱性または耐薬品性のような)、または性質(光沢のような)を最終的な形にするために使用される。典型的な調合物は、通常いくつかの重合体系を含有して異なる効果を得、さらに三つまたは四つの異なる結合剤をもつ複雑な調合物を見るのはまれではない。上に列挙された結合剤は、必要とされる性質に対する個々の貢献度に依存して、異なる程度で再度含まれる。
【0043】
結合剤の他、補足的な成分は、他の機能を有して提供されるであろう。これらのうち、消泡剤(泡を低減するのに効力がある)または泡止め剤(泡の生成を防止するのに効力がある)は非常に重要な類である。これはWB系に特にあてはまり、主溶媒の表面張力が泡発生の主な原因である。シリコーン系および非シリコーン系の消泡剤が頻繁に記載されている。シリコーン系消泡剤は、エマルションの形態、言い換えればシリカ粒子と一緒にまたはこれを含まずに、水中の純シリコーンオイルおよび修飾されたシリコーンオイルの形態、または、いわゆるポリエーテルシロキサン系物質の純形態またはエマルションの形態のいずれかからなる。シリコーンは、フィッシュアイ(fish eyes)が最も重大な欠点である多数の欠点につながりうる高い能力が原因で印刷インクにおいて危険であると見なされることがある。非シリコーン系消泡剤は、主として鉱油系物質と、乳化されたまたは疎水性固体と一緒ではない非鉱物系物質とからなる。
【0044】
消泡剤は、必要であるが平滑と湿潤性の問題を起こしやすく、湿潤剤または展着剤として知られる別の添加剤は、この問題を最小限にするかまたは抑制する傾向にある。典型的な平滑剤および湿潤剤は、シリコーン系および非シリコーン系の界面活性剤も含む。典型的な非シリコーン系物質は、ジエチレンの界面活性剤を含み、特定のアルキルエトキシラート、アルキルアリールエトキシラート、およびフルオロカーボン系界面活性剤が特に有効である。典型的なシリコーンの界面活性剤の持つ課題の一つは、中性pH条件の外での加水分解に対する不安定性である。ほとんどのインク調合物は、塩基側(pH7〜10)のpHを有するので、本発明の界面活性剤組成物は、印刷インク調合物において非常に有用である。
【0045】
消泡剤の他、典型的な印刷インクは、摩擦係数(COF)を低減または調節できる成分も含むであろう。ここで再び、我々はシリコーン系添加剤と非シリコーン系添加剤とを区別してよい。非シリコーン系添加剤は、天然ワックス(カルナウバワックスなど)、オレフィンワックス(PEワックスまたはPPワックス)、フッ素化ワックス(PTFE)、化学ワックス(アミドワックス)などの天然誘導体、化学的誘導体、または石油誘導体である。別の添加剤は、可塑剤(フタラート、ホスファートのような)、グリコール、および合体剤(coalescing agent)を含んでよい。
【0046】
グリコールおよび合体剤は、WBインクを設計してフィルム生成温度または乾燥速度を修正する場合にも含まれる。これらの中では、我々は;酸化物系グリコールエーテル溶媒(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ブチルカルビトール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ブチルグリコール、ブチルジグリコールのような)およびエステル系溶媒(エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、メトキシプロピルアセタート、ブチルセロソルブアセタートのような)、のように識別できる。
【0047】
インクにほとんど常に存在する他の重要な成分は、接着促進剤である。いくつかの基質の性質は、それらに対する印刷インクの接着性を向上できる特別の添加剤を必要とすることがある。これらの中で、最も伝統的な既知の製品は、チタナートのキレート(チタンアセチルアセトナートのような)またはジルコニウムのキレート(ジルコニウムカルボナートまたはジルコニウムプロピオナートのような)、酸化亜鉛溶液、ポリアジリジン(発がん性物質であるが)、有機官能性シラン(エポキシシランSilquestA−187またはA−1871、アミノシランSilquestA−1120のような)、イミン(ポリエチレンイミンのような)である。多数の他の添加剤は、光沢剤、保湿剤(皮膚の乾燥を避けるための尿素系またはフェノール系の物質)、紫外線吸収剤(光安定性用に)、流動剤(rheological agent)(チキソトロピー剤またはたるみ低減剤(sag reducing agent)、増粘剤)、アミン(pH調節のための)、殺生物剤などを含んでもよい。
【0048】
典型的なWB調合物は、次のとおりである:水中の界面活性剤またはアクリル溶液樹脂により作製された有機顔料分散;高分子のエマルション(スチレンアクリル分散またはウレタン分散);アクリル溶液樹脂;PEワックス分散;シリコーン系泡止め剤;非シリコーン系泡止め剤;湿潤剤;チキソトロープ剤;増粘剤;合体剤;アルコール;および水。
【実施例】
【0049】
本発明を以下の非限定的な実施例によって示す。
【0050】
本発明の有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤組成物用の水素化物中間体を以下のとおり調製した。
【0051】
中間体の実施例1
中間体の実施例1は、1−(2−トリメチルシリルエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(構造1を参照)で調製された。250mLの丸底フラスコにテトラメチルジシロキサン(51.6g)とウィルキンソン触媒((PPhRhCl、100ppm)とを入れ、窒素下で撹拌し、そして60℃にした。トリメチルビニルシラン(25.6g)を滴下ロートに入れ、冷却しながら反応温度を70℃未満に維持する速度で滴下した(約1g/min)。反応を65℃で1時間維持し、次にガスクロマトグラフィ(GC)用にサンプリングし、未反応のテトラメチルジシロキサンと、94:6のM’M:Mを見出した。生成した物質を減圧下(約30mmHg)で分別蒸留し、51.6gのGC純度99.1%のM’M生成物を得た。この生成物は、気体定量滴定によってグラム当たり水素96ccのSi−H含量を有することが分かった。
構造1:
【化1】

【0052】
中間体の実施例2
中間体の実施例2は1−(3,3−ジメチルブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(構造2を参照)で調製された。250mLの丸底フラスコにテトラメチルジシロキサン(46.1g)を入れ、そして窒素下で撹拌した。カールステッド触媒(Pt(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体;10ppm)の3,3−ジメチル−1−ブテン(19.3g)溶液を滴下ロートに入れ、冷却しながら反応温度を40℃未満に維持する速度で滴下した(約0.5g/min)。反応を50℃で1時間維持し、次にGC用にサンプリングし、未反応のテトラメチルジシロキサン、M’M生成物、およびM副生成物(32:53:9)を見出した。生成した物質を、25cmのビグリュー管を用いて減圧下(約30mmHg)で分別蒸留し、25.0gのGC純度>98.1%のM’M生成物を得た。この生成物は、気体定量滴定によってグラム当たり水素100ccのSi−H含量を有することが分かった。
構造2:
【化2】

【0053】
中間体の実施例3
中間体の実施例3は1−(2−メチルプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(構造3を参照)で調製された。80mLのフィッシャーポーター(Fischer−Porter)高圧容器に、テトラメチルジシロキサン(10.0g)と、トルエン(10.0g)と、ウィルキンソン触媒((PPhRhCl、40ppm)とを入れて撹拌し、そして60℃にした。この容器を多岐管系に取り付け、イソブチレンで加圧し(25psig)、60〜70℃で、8時間維持した。圧力を開放し、反応生成物をGC分析用にサンプリングし、未反応のテトラメチルジシロキサン、M’M生成物、およびM副生成物(2:95:3)を見出した。生成した物質を40℃、減圧下(約150mmHg)で留去してオレフィンとM’M’とを除去し、次にセライトでろ過して21.3gのGC純度94%のM’M生成物/トルエン溶液を得た。この生成物は、気体定量滴定によってグラム当たり水素11ccのSi−H含量を有することが分かった。
構造3:
【化3】

【0054】
中間体の実施例4
中間体の実施例4は1−プロピル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(構造4を参照)で調製された。80mLのフィッシャーポーター高圧容器に、テトラメチルジシロキサン(10.0g)と、トルエン(10.0g)と、Wilkinson触媒((PPhRhCl、40ppm)とを入れて撹拌し、そして50℃にした。この容器を多岐管系に取り付け、プロピレンで加圧し(40psig)、50℃で2時間維持した。圧力を開放し、反応生成物をGC分析用にサンプリングしし、M’M生成物およびM副生成物(40:60)を見出した。収量14.1gの生成した物質の混合物をさらに精製することなく用いた。
構造4:
【化4】

【0055】
中間体の実施例5
中間体の実施例5は1−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(構造5を参照)で調製された。1Lの丸底フラスコに、水(95g)とジイソプロピルエーテル(50g)とを入れて撹拌した。tert−ブチルジメチルシリルクロリド(39.5g)のイソプロピルエーテル(50g)溶液を滴下ロートに入れ、反応温度を30〜35℃の間に維持する速度で水/IPE混合物に滴下した。添加の完了後、反応温度を40℃にして、1時間維持した。次にジメチルクロロシラン(24.8g)のイソプロピルエーテル(50g)溶液を滴下ロートに入れ、この溶液を40〜45℃で滴下した。添加の完了後、反応混合物を、1時間加熱して還流させ、そして冷却した。水処理(水で、そしてNaHCO水溶液で洗浄し、有機部分をMgSOで乾燥した)の後、生成物を減圧下で分別蒸留によって単離し、39.2gのM(R)M’生成物/イソプロピルエーテル溶液(GC分析によって70%/20%)を得た。この生成物は、気体定量滴定によってグラム当たり水素79ccのSi−H含量を有することが分かった。
構造5:
【化5】

【0056】
中間体の実施例6
中間体の実施例6は1−(ジシクロペンダジエニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(構造6を参照)で調製された。250mのRBFに、テトラメチルジシロキサン(45.3g)を入れ、窒素下で撹拌し、そして40℃にした。カールステッド触媒(Pt(0)ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、40ppm)のジシクロペンダジエン(29.8g)溶液を滴下ロートに入れ、そして冷却しながら反応温度を60℃未満に維持する速度で滴下した(約0.5g/min)。添加の完了後、反応を60℃で1時間維持した。反応混合物を減圧下(約30mmHg)、100℃で留去して41.1gのGC純度>96%のM’M生成物を得た。この生成物は、気体定量滴定によってグラム当たり水素81ccのSi−H含量を有することが分かった。
構造6:
【化6】

【0057】
水素化物中間体の実施例1〜6を、種々のアリルポリアルキレンオキシドでさらに修飾し、本発明の有機修飾されたジシロキサン組成物を得た。中間体の実施例1、2および3を実施例1〜13の調製に使用し、中間体の実施例4および6を比較例A〜DおよびHのジシロキサンの界面活性剤の調製に使用した。
【0058】
さらに加えて、比較例のトリシロキサンアルコキシラートを、参照により、本明細書に編入するBaileyの米国特許第3,299,112号に記載されるように、白金触媒ヒドロシリル化の汎用の方法によって調製した。
【0059】
表1は、本発明の組成物の説明を与える。これらの組成物は、一般的な構造:
M’’
によって記載されている。
式中、M=RSi(CH0.5
M’’=O0.5Si(CHQ;
式中、Rは、表2に記載されており;
Q=−CHCHCHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)である。
【0060】
【表1】

【0061】
表2は、比較例のジシロキサン系界面活性剤の説明を与える。
【0062】
【表2】

【0063】
表3は、一般的な構造:
【化7】

の比較例E〜Gの市販されているオリガノシリコーンポリエーテル系界面活性剤の説明を与える。
式中、Z=−CHCHCHO(CHCHO)(CHCH(CH)O)である。
【0064】
【表3】

【0065】
比較例OPE(オクチルフェノールエトキシラート、ポリオキシエチレンの10単位を含む)は、非シリコーンの有機界面活性剤である。この製品は、ミシガン州、ミッドランド、Dow Chemical CompanyよりTriton(登録商標)X−100として入手可能である。
【0066】
表4は、本発明の有機修飾されたジシロキサン組成物の能力が水性表面張力を低減させ、これによって界面活性剤としての有用性を示すことを説明する。
【0067】
表面張力を、検出器としてサンドブラストで磨かれた白金板をもつ、Kruss表面張力計を使用して測定した。種々の成分の溶液は、0.005M食塩水(脱イオン化された)を平衡用助剤(equilibrium aid)として0.1wt%で調製された。
【0068】
表4は、これらの特異な組成物の溶液が、汎用の界面活性剤に比較して表面張力における著しい低減を示す。
【0069】
本発明の組成物は、比較例EおよびFのトリシロキサンアルコキシラート(TSA)、そして比較例(ジシロキサンの界面活性剤)A、B、C、D、およびHに類似した展着性を提供する。その上に本発明の有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤は、比較例Gの汎用のシリコーンポリエーテル、および比較例OPEの汎用の有機界面活性剤生成物に比較して、向上された展着を提供する(表4)。
【0070】
展着は、ポリアセタートフィルム(USIの”Crystal Clear Write on Film”)に界面活性剤の溶液の10μL液滴を塗布し、そして50%と70%との間の相対湿度で(22から25℃まで)、30秒後に展着直径(mm)を測定することによって決定した。溶液は自動ピペットで塗布され、再現可能な容積の液滴を提供した。Milliporeのろ過装置でさらに精製した脱イオン水が、界面活性剤溶液を調製するために用いられた。
【0071】
【表4】

【0072】
加水分解に対する安定性を、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)を使用して本発明の代表的な組成物に関して測定した。種々の組成物の溶液を、pH4からpH12までのpH範囲にわたり0.5wt%で調製し、そして時間の関数としてHPLCによって分解を追跡した。
【0073】
分析方法:
試料を、表5に示した実験条件を用いて逆相クロマトグラフ法によって解析した。
【0074】
【表5】

【0075】
表6〜16は、本発明の組成物が、類似のpH条件下で比較例BおよびEのシロキサン系界面活性剤と比較して、加水分解による分解に対して向上された耐性を提供するデータを示す。
【0076】
比較例BおよびEは、≦pH5、そして、>pH7、で急速な加水分解を示すが、一方、本発明の有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤は、同一条件下で加水分解に対してより高い耐性を明らかにする。
【0077】
比較例Dは、加水分解に対する類似の耐性を示すが、本発明の有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤に関連した高度の展着性を与えない。比較すると、比較例Dは、わずか展着直径6mm(0.4%)を与え、そしてpH4で48時間後にHPLCによって生成物残留率82%を有するが、一方、有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤の実施例10は、同一条件下で1週間後に展着直径34mmを与え、生成物75%を維持した(表4、11、および16を参照)。
【0078】
【表6】

【0079】
【表7】

【0080】
【表8】

【0081】
【表9】

【0082】
【表10】

【0083】
【表11】

【0084】
【表12】

【0085】
【表13】

【0086】
【表14】

【0087】
【表15】

【0088】
【表16】

【0089】
酸性および塩基性の条件(pH5およびpH9)下で急速な加水分解をされやすい従来のシロキサン系界面活性剤とは異なり、本発明の有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤は、例えば、比較例EおよびFの従来のトリシロキサンアルコキシラート、ならびに、比較例Bによって表わされる比較のトリメチルシリル末端ジシロキサンの界面活性剤に比較して、加水分解に対して増加した耐性を提供する。加水分解の生成物質は、経時的に超展着性の低減として観察される。したがって、本発明の有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤と同様に、比較例の界面活性剤の溶液も、望ましい使用濃度とpHとで調製した。展着は、加水分解に対する耐性を説明する時間の関数として測定した。
【0090】
表17は、有機修飾されたジシロキサンの界面活性剤を表し、実施例10が、比較例Eの従来のトリシロキサンエトキシラートの超展着の界面活性剤に比較して、pH3において加水分解に対して向上された耐性を示す。上記のように、加水分解に対する耐性を経時的に展着性を追跡することによって観察した。ここで、0.4wt%溶液をpH3で調製し、そして展着を実施例8における手順に従って測定した。
【0091】
【表17】

【0092】
他の実施例において、実施例6および11によって表わされる本発明の有機修飾されたジシロキサン界面活性剤は、比較例Fのトリシロキサンエトキシラート超展着剤に比較して、加水分解に対して向上された耐性を明示する(表18を参照)。界面活性剤の溶液(0.4wt%)をpH4およびpH5で調製して展着性が経時的に観察された。試験条件は、実施例8おいて概略を説明され、すなわち、上に記載されているKruss表面張力計である。
【0093】
【表18】

【0094】
実施例5は、表19に表わされたように、比較例Eに比較した場合に、加水分解に対して向上された耐性を示す。ここで、界面活性剤溶液(0.1wt%)を、pH4、pH5、pH8、pH9、およびpH10で調製し、そして経時的な展着性を実施例8に記載されているように観察した。
【0095】
表19は、比較例Eのシリコーンが、実施例5の生成物よりもpH4、pH5、pH9、およびpH10においてより急速な展着性の喪失を示すことを明らかにする。
【0096】
【表19】

【0097】
別の成分の展着への影響力を、本発明のオルガノシリコーン・ジシロキサンの界面活性剤と、汎用の有機系共界面活性剤とを配合することによって測定した。共界面活性剤を表20に示す。
【0098】
【表20】

【0099】
配合物は、重量分率シリコーンがα(アルファ)によって表される物理的な混合物として調製され、共界面活性剤が配合比率の残余を補うことを示す。例えば、α=0である場合に、組成物がシリコーン成分0%と共界面活性剤100%とを含むことを示し、一方において、αが1.0である場合、組成物はシリコーン100%と、共界面活性剤なし(0%)とを示す。二つの成分の混合物を、重量分率αによって表わすが、ここで、αの範囲は、次のとおりである:0≦α≦1.0。例として、αが0.25である場合、これは界面活性剤の混合物がシリコーン25%と共界面活性剤75%とから構成されることを示す。次にこれらの配合物は、展着を評価するために望ましい濃度に水で希釈する。
【0100】
展着は、全界面活性剤が0.1wt%または0.2wt%のいずれかで、上に記載したように、Kruss表面張力計によって測定された。
【0101】
表21は、本発明の共界面活性剤の代表的な実施例が好ましい展着の結果を提供し、そしてある場合には予期しない相乗効果の向上を提供することを明らかにし、ここでは、混合物の展着直径は、個々の成分の展着直径を超えている。
【0102】
【表21】

【0103】
以下の実施例は、これらの新規の界面活性剤組成物の実用と適用とが、向上された流動、平滑、および湿潤の長所を提供することを記載する。
【0104】
実施例14を以下のとおり調製した。
【0105】
典型となる水性の修飾されたアクリルラッカー調合物を、表22に示したように、Rohm and Haas製のRHOPLEX(登録商標)1421(pH9.1)に基づいて調製した。成分を表に列挙する順序でゆっくり混合した。赤色染料の2滴を調合物に加えコーティングの写真のコントラストをより強くした。コーティングは、不透明記録紙(Leneta Company製、2A用紙)上に標準的なへら引き法(standard drowdowns)によって塗布された。乾燥フィルムの厚さは約1milであった。目視による評価を塗布の1時間後に行った。試料を、0〜5段階で目視による外観の測定によって格付けし、0は、ピンホールが多く存在し、そして流動、平滑、および湿潤が全くないと特徴付けられコーティングであり、5は、欠陥のないコーティングであると特徴付けられる。
【0106】
【表22】

【0107】
実施例10の界面活性剤1%を含む調合物の流動性と平滑性と湿潤性とを、比較例OPEの汎用の有機湿潤剤1%と比較した。
【0108】
図1に見られるように、比較例OPEの1%を含む調合物は、高い程度のピンホールと撥水、そして流動・平滑の完全な欠如を示し、そして外観の格付けは0が与えられた。
【0109】
図1:比較例OPEの界面活性剤1%をもつ表22の調合物から作製したコーティング。
【0110】
それに反して図2は、実施例10の界面活性剤1%をもつ調合物の向上された湿潤の挙動を示し、そして外観の格付けは、3.5が与えられた。
【0111】
図2:実施例10の界面活性剤1%をもつ表22の調合物から作製されたコーティング。
【0112】
上記の調合物を周囲条件下で3ヶ月間エージングした場合、コーティングの外観の性能は5まで向上した(図3を参照)。
【0113】
図3:周囲条件下で3ヶ月エージングした状態の、実施例10の界面活性剤1%を含む表22の調合物から作製されたコーティング。
【0114】
実施例15を以下のとおり調製した。
【0115】
典型となる水性ポリウレタン分散(PUD)ラッカー調合物を、表23に示したように、Daotan(登録商標)VTW1236/40WANMP(Cytec Surface Specialties Inc.製)に基づいて調製した。成分を表に列挙した順序でゆっくり混合した。赤色染料の2滴を調合物に加えコーティングの写真のコントラストをより強くした。コーティングを、ACT laboratoriesによって供給された10.2センチ(4インチ)×20.3センチ(8インチ)の冷間圧延鋼(CRS)のパネル上に標準的なへら引き法によって塗布した。使用に先立ち、過剰の機械油を精密作業用ティッシュ(Kimwipes製)で拭くことによってパネルから取り除いた。乾燥フィルムの厚さは約1milであった。目視による評価を塗布後1時間で行った。試料を、0〜5段階で目視による外観の測定によって格付けし、0は、ピンホールが多く存在し、そして流動、平滑、および湿潤が全くないと描写されるコーティングであり、5は、欠陥のないコーティングであると描写される。
【0116】
【表23】

【0117】
実施例10の界面活性剤1%を含む調合物1%を調製し、湿潤剤を含まない対照調合物、そして比較例OPEの汎用の有機湿潤剤の1%を含む対照調合物と比較した。
【0118】
図4は、実施例10の界面活性剤1%を含むDaotan(登録商標)VTW1236/40WANMP系の写真を示す。残油の乳化が瞬時に起こり、基質全面にわたって均一なコーティングを生ずる。撥水は観察されず、そして外観の格付けは5が与えられた。
【0119】
図4:実施例10の界面活性剤1%を含む表23の調合物からのコーティング。
【0120】
それに反して、湿潤剤を含まないか(図5を参照)、または比較例OPEの1%(図6を参照)を含む対照調合物は、完全な撥水を示し、そして両方とも外観の格付けは0が与えられた。撥水は、表面に塗布されたラッカーの完全に均一な湿潤の層の後に、数秒以内に生じ始める。
【0121】
図5:界面活性剤0%を含む表23の調合物からのコーティング。
【0122】
図6:比較例OPEの界面活性剤1%を含む表23の調合物からのコーティング。
【0123】
実施例16を以下のとおり調製した。
【0124】
Joncryl 537系(Johnson Polymer)に基づいて典型となる印刷インク調合物を、本発明の界面活性剤の効能と長所とを明示するために開発し、表24に示す。コーティングの塗布を、自動フィルム塗布装置を用いて行った;DIN No.4カップ、25から30で25ミクロンロッドを使用して行い、pH9.5で調合物を、三つの異なる基質、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、および共押出ポリプロピレンMB400(Mobil)の上で空気乾燥した。目視による評価を塗布後1時間で行った。試料を、0−5段階で目視による外観の測定によって格付けし、0は、ピンホールが多く存在し、そして流動、平滑、および湿潤が全くないと描写されるコーティングであり、5は、欠陥のないコーティングであると描写される。コーティングの光沢を60°でビックガードナー光沢計を用いて測定した。
【0125】
【表24】

【0126】
本発明の界面活性剤の効能および光沢の性能を、適切な対照品と比較し、そして表25に示す。さらに、比較例の非イオンSurfynol 104Eは、Air productsによって市販された非シリコーンの有機界面活性剤であり、比較例のByk 348は、Byk Chemieによって市販されたシリコーンの界面活性剤である。
【0127】
【表25】

【0128】
実施例3の界面活性剤をもつ表24に示した調合物は、比較例Eの界面活性剤、比較例のSurfynol 104E、および比較例のByk348よりも効率的であり、三つのすべての基質上で優れた光沢の性質を維持しながらより低い濃度でさえ同等のまたは向上された外観の格付けを与える。
【0129】
本発明のプロセスは、若干の実施態様に関して記載したが、当業者ならば、本発明の範囲から逸脱せずに、種々の変更を行なってよく、それの要素の代わりに等価物で置き換えてよいことを理解するであろう。その上に、特定の状況または物質を本発明の教示に適合させるために、発明の本質的な範囲から逸脱せずに、多くの修正を行うことが出来る。したがって、本発明は、本発明のプロセスを行なうことを意図したベストモードとして開示された特定の実施態様に限定されるのではなく、本発明は添付の請求項の範囲内に入る総ての実施態様を含む、と意図するものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって:
a)式:
MM'
を有するシリコーンと、
〔式中、
M=RSiO1/2
M’=RSiO1/2
式中、Rは、3から6までの炭素原子の分岐の一価炭化水素ラジカルおよびRからなる群から選択され、ここで、Rは、
10SiR12および(R)SiR12(Si(R)SiO1/2
からなる群から選択され、
式中、R、R、およびR10は、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルおよび6から13までの炭素原子を有するアリールまたはアルカリールの一価炭化水素ラジカルの群から選択され、そしてR12は、1から3までの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルであり、
およびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択され、式中、Rは:
13(CO)(CO)(CO)14および
12SiR(R13(CO)(CO)(CO)14
からなる群から選択されるアルキルポリアルキレンオキシドを有する置換基であり、
式中、R13は、構造:
−CH−CH(R15)(R16O−
を有する直鎖または分岐の二価炭化水素ラジカルであり、
式中、R15は、Hまたはメチルであり;R16は、1から6までの炭素の二価アルキルラジカルであり、ここで、下付き文字dは0または1であってよく;
14は、H、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群から選択され、ここで、下付き文字a、b、およびcは、ゼロまたは正数であり、そして次の関係を満たす:
2≦a+b+c≦20、式中、a≧2である、
そして、RおよびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択される〕、
b)少なくとも一つのコーティング樹脂と、
〔ここで、組成物は加水分解に対する高められた耐性を示す〕
を含有する、コーティング組成物。
【請求項2】
がiso−プロピルである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
がiso−ブチルである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
がtert−ブチルである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
がRであり、そしてRが式:R10SiR12を有し、式中、R、R、およびR10は、各々メチルであり、そしてR12は、二つの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
15が水素である、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
がメチルである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
15が水素である、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
がメチルである、請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
15が水素である、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
がメチルである、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項12】
15が水素である、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項13】
がメチルである、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項14】
15が水素である、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項15】
がメチルである、請求項5に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
不連続相が水を含有し、そして連続相が請求項1に記載の組成物を含有する、水性エマルション。
【請求項17】
連続相が水を含有し、そして不連続相が請求項1に記載の組成物を含有する、水性エマルション。
【請求項18】
不連続相が非水性ヒドロキシル溶媒を含有し、そして連続相が請求項1に記載の組成物を含有する、非水性エマルション。
【請求項19】
連続相が非水性ヒドロキシル溶媒を含有し、そして不連続相が請求項1に記載の組成物を含有する、非水性エマルション。
【請求項20】
前記コーティング樹脂が、ポリエステル、アクリル、エポキシ、ポリウレタン、アルキド、塩素化ポリオレフィン、ポリビニリデンフルオリド、ウレタン−ポリエステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル−ウレタン共重合体、PVC、エポキシエステル、エポキシ−アミノ、エポキシ−フェノール、フェノール、スチレン−アクリル、エポキシアクリル、ウレタン−アクリル、シリコーン、アクリル−ポリエステル、エポキシ−ポリアミド、フルオロ重合体、ポリビニルアセタート、ビニル−アクリル、シリコーン−アクリル、ビニルアセタート−エチレン、スチレン−アクリル、炭化水素、ビニルアセタート−アクリル、およびシラン系からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項21】
アルコキシラート、エトキシラート、エチレンオキシドのブロック共重合体、エチレンオキシドの共重合体、プロピレンオキシドの共重合体、ブチレンオキシドの共重合体、アルキルフェノールエトキシラート、アルキルフェノールプロポキシラート、アリールアリールアルコキシラート、アミンアルコキシラート、アミンエトキシラート、脂肪酸アルコキシラート、脂肪アルコールアルコキシラート、アルキルスルホナート、アルキルベンゼンスルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アミン、硫酸化脂肪酸アミド、イセチオン酸ナトリウムの酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムのエステル、硫酸化脂肪酸エステル、スルホン化脂肪酸エステル、石油スルホナート、N−アシルサルコシナート、アルキルポリグリコシド、アルキルエトキシ化アミン、アルキルアセチレンジオール、ピロリドン系界面活性剤、硫酸2−エチルヘキシル、イソデシルアルコールエトキシラート、エチレンジアミンアルコキシラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、ジフェニルエーテルジェミニ型界面活性剤、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、アミンエトキシラート、アルキルポリグリコシド、およびオキソ−トリデシルアルコールエトキシラートからなる群から選択される少なくとも一つの共界面活性剤をさらに含有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
前記シリコーンが、全組成物の約0.01から約5重量パーセントまでの量で存在する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
前記シリコーンが、全組成物の約0.05から約2重量パーセントまでの量で存在する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項24】
前記シリコーンが、全組成物の約0.01から1重量パーセントまでの量で存在する、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項25】
前記シリコーンが存在しない組成物と比較して、高められた湿潤、流動、および平滑を示す、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項26】
請求項1に記載のコーティング組成物により塗布された基質。
【請求項27】
印刷インク組成物であって:
a)一般式:
MM’
を有するシリコーンと、
〔式中、
M=RSiO1/2
M’=RSiO1/2
式中、Rは、3から6までの炭素原子の分岐の一価炭化水素ラジカルおよびRからなる群から選択され、ここで、R
10SiR12および(R)SiR12(Si(R)SiO1/2
からなる群から選択され、
式中、R、R、およびR10は、各々独立して、1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルおよび6から13までの炭素原子を有するアリールまたはアルカリールの一価炭化水素ラジカルの群から選択され、そしてR12は、1から3までの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルであり、
およびRは、各々独立して、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択され、式中、Rは:
13(CO)(CO)(CO)14および
12SiR(R13(CO)(CO)(CO)14
からなる群から選択されるアルキルポリアルキレンオキシドを有する置換基であり、
式中、R13は、構造:
−CH−CH(R15)(R16O−
を有する直鎖または分岐の二価炭化水素ラジカルであり、
式中、R15は、Hまたはメチルであり;R16は、下付き文字dが0または1であってよい1から6までの炭素の二価アルキルラジカルであり;
14は、H、1から6までの炭素原子の一価炭化水素ラジカル、およびアセチルからなる群から選択され、下付き文字a、b、およびcは、ゼロまたは正数であり、そして次の関係を満たす:
2≦a+b+c≦20、式中、a≧2
そして、RおよびRは、各々独立して1から6までの炭素原子を有する一価炭化水素ラジカルまたはRの群から選択される〕
b)少なくとも一つの印刷インク樹脂と、
〔ここで、組成物は加水分解に対する高められた耐性を示す〕
を含有する印刷インク組成物。
【請求項28】
前記印刷インク樹脂が、ポリウレタン、アクリル、ポリアクリラート、エポキシ、ポリアミド、ポリエステル、アルキド、ニトロセルロース、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリビニルクロリド、ポリビニルブチラール、アクリルそしてスチレンアクリル、ポリアクリラート、ポリビニル、ポリアミド、エポキシアクリラート、ウレタンアクリラート、スチレンアクリル、ポリエステルアクリラート、および不飽和を有するこれらに対応する単量体からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項29】
がiso−プロピルである、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項30】
がiso−ブチルである、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項31】
がtert−ブチルである、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項32】
がRであり、そしてRが式:R10SiR12を有し、式中、R、R、およびR10は、各々メチルであり、そしてR12が二つの炭素原子を有する二価炭化水素ラジカルである、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項33】
15が水素である、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項34】
がメチルである、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項35】
15が水素である、請求項28に記載の印刷インク組成物。
【請求項36】
がメチルである、請求項28に記載の印刷インク組成物。
【請求項37】
15が水素である、請求項29に記載の印刷インク組成物。
【請求項38】
がメチルである、請求項29に記載の印刷インク組成物。
【請求項39】
15が水素である、請求項30に記載の印刷インク組成物。
【請求項40】
がメチルである、請求項30に記載の印刷インク組成物。
【請求項41】
15が水素である、請求項31に記載の印刷インク組成物。
【請求項42】
がメチルである、請求項31に記載の印刷インク組成物。
【請求項43】
不連続相が水を含有し、そして連続相が請求項27に記載の組成物を含有する、水性エマルション。
【請求項44】
連続相が水を含有し、そして不連続相が請求項27に記載の組成物を含有する、水性エマルション。
【請求項45】
不連続相が非水性ヒドロキシル溶媒を含有し、そして連続相が請求項27に記載の組成物を含有する、非水性エマルション。
【請求項46】
連続相が非水性ヒドロキシル溶媒を含有し、そして不連続相が請求項27に記載の組成物を含有する、非水性エマルション。
【請求項47】
アルコキシラート、エトキシラート、エチレンオキシドのブロック共重合体、エチレンオキシドの共重合体、プロピレンオキシドの共重合体、ブチレンオキシドの共重合体、アルキルフェノールエトキシラート、アルキルフェノールプロポキシラート、アリールアリールアルコキシラート、アミンアルコキシラート、アミンエトキシラート、脂肪酸アルコキシラート、脂肪アルコールアルコキシラート、アルキルスルホナート、アルキルベンゼンスルホナート、アルキルナフタレンスルホナート、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アルコール、硫酸化脂肪アミン、硫酸化脂肪酸アミド、イセチオン酸ナトリウムの酸エステル、スルホコハク酸ナトリウムのエステル、硫酸化脂肪酸エステル、スルホン化脂肪酸エステル、石油スルホナート、N−アシルサルコシナート、アルキルポリグリコシド、アルキルエトキシ化アミン、アルキルアセチレンジオール、ピロリドン系界面活性剤、硫酸2−エチルヘキシル、イソデシルアルコールエトキシラート、エチレンジアミンアルコキシラート、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、ジフェニルエーテルジェミニ型界面活性剤、エチレンオキシド/プロピレンオキシド共重合体、アミンエトキシラート、アルキルポリグリコシド、およびオキソ−トリデシルアルコールエトキシラートからなる群から選択される少なくとも一つの共界面活性剤をさらに含有する、請求項27に記載の印刷インク組成物。
【請求項48】
前記シリコーンが、全組成物の約0.01から約5重量パーセントまでの量で存在する、請求項27の印刷インク組成物。
【請求項49】
前記シリコーンが、全組成物の約0.05から約2重量パーセントまでの量で存在する、請求項27の印刷インク組成物。
【請求項50】
前記シリコーンが、全組成物の約0.01から1重量パーセントまでの量で存在する、請求項27の印刷インク組成物。
【請求項51】
前記シリコーンが存在しない組成物と比較して、高められた湿潤、流動、および平滑を示す、請求項27の印刷インク組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−507004(P2010−507004A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−533341(P2009−533341)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【国際出願番号】PCT/US2007/022063
【国際公開番号】WO2008/048592
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(508229301)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】