説明

コーティング配合物、組成物並びにそれらの製造及び使用方法

少なくとも1種のポリアミン及び少なくとも1種のポリオールを含み、ポリエーテルアミンを実質的に含まない第一の部分と少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第二の部分、又は少なくとも1種のポリアミン、少なくとも1種のポリオール及び触媒を含む第一の部分と少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第二の部分のような、少なくとも二つの部分を含む配合物を提供する。また、コーティング組成物及びペイント組成物のような組成物並びにコーティング及びペイント組成物を含む組成物の製造方法及び使用方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物並びに高分子イソシアネート(ポリイソシアネートとも称する)を含む少なくとも一つの成分並びに少なくとも1種のポリアミン及び少なくとも1種のポリオールを含む少なくとも別の成分を含む、多数の成分を含む配合物(formulation)から製造されるコーティング組成物に関する。本発明は、また、舗装路面標示(pavement marking)組成物並びに配合物及び前記配合物から製造された組成物を用いる舗装路面標示のための方法及び装置に関する。ポリオールの添加によって、本発明は舗装路面標示システムの反応性及び硬化速度を制御する方法を提供し、コストを削減する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されるように、基材へのコーティングの適用は、基材を保護し、かつ基材の性質を改善するために行われている。例えば、これに限定するものではないが、種々の環境条件から基材を保護し且つ基材と他の物体との接触時に基材を保護するコーティングが開発されている。耐久性、強度、環境抵抗性などのような基材の性質を改善するコーティングも開発されている。
【0003】
自動車産業において、コーティングは自動車車両の種々の部品の保護に用いられている。一例として、コーティングは、腐蝕、摩耗、衝撃、化学薬品、紫外線、熱サイクルなどによるコスメティック・ダメージ(cosmetic damage)(例えば劣化、擦傷、デンティング(denting))から自動車部品を保護するのに用いられている。このようなコーティングはコスメティック・ダメージを防ぐのが望ましく、更に、比較的取り扱いの容易な、特に揮発分放出が比較的少ない組成物を提供することも望ましい。従って、本発明は、保護能力が改善され、取り扱いが容易で且つ揮発分の放出が比較的少ないコーティングを形成する組成物を提供する。
【0004】
また、表面への適用後に乾燥又は硬化された場合に反射性を獲得する液体の舗装路面標示用組成物も知られている。舗装路面標示用組成物は、例えば道路、ハイウェイ、駐車場及びリクレーショントレールに、ストライプ、バー並びにレーン、横断歩道、駐車スペース、標識記号及び凡例(legend)などを標示するための標示の形態で適用できる。舗装路面標示用組成物は、ペイントとして、吹付によるなどして表面に適用できる。また、組成物は、シート又はテープなどのような形態に予め作成して、表面に適用できる。例えば特許文献2(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)を参照。
【0005】
例えば特許文献3(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に開示されるように、舗装路面標示ストライプ又は他の形状の舗装路面標示は、結合剤(バインダー)を用いて舗装路面に接着される反射性光学部材(reflective optical element)を含むことができ、現在のトラフィックペイント系は典型的には逆反射のための従来型の1.5nηガラス微小球を用いている。
【0006】
更に、特許文献4(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)は、少なくとも1種のイソシアネートを含む第一の成分を用意し;少なくとも1種のポリエーテル第2級アミン及び少なくとも1種の別のアミンを含む第二の成分を用意し;最終ポリマーの可撓性を調整するために第一の成分と第二の成分とを接触させてポリマーを形成することを含む、ポリマーの製造方法を開示する。また、特許文献4は、ポリオールを第一及び/又は第二の成分中に存在させることによって、ポリ尿素−ポリウレタンハイブリッドポリマーのようなハイブリッドポリマーを形成できることを更に開示している。
【0007】
更にまた、特許文献5(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)は、少なくとも1種のイソシアネートを含む第一の成分並びに少なくとも1種のポリエーテル第2級アミン及び少なくとも1種のアスパラギン酸エステルアミンを含む第二の成分を用意し、第一の成分と第二の成分とを接触させてポリマーを形成することによる、ポリマーの形成方法を開示している。また、特許文献5はポリオールを第一及び/又は第二の成分中に存在させることによって、ポリ尿素−ポリウレタンハイブリッドポリマーのようなハイブリッドポリマーを形成できることを更に開示している。
【0008】
特許文献6(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)は、結合剤並びに充填剤、増量剤、顔料及びそれらの組合せから選ばれた材料と逆反射要素とを含む、舗装路面標示に有用な組成物を開示している。結合剤は、過剰量の少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のヒドロキシ基含有物質との反応生成物を含む第一の成分と、少なくとも1種のポリアミンを含む第二の成分とを含むものとして開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7,297,372号(Liら)
【特許文献2】米国特許第6,166,106号(Purgettら)
【特許文献3】米国特許第6,451,874号(Purgettら)
【特許文献4】米国特許出願公開公報第2007/0208156A1号(Poseyら)
【特許文献5】米国特許出願公開公報第2007/0208157A1号(Poseyら)
【特許文献6】米国特許第7,342,056号(Patelら)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
コーティングは周知であるが、使用中の収縮及び亀裂がより少ないコーティングが必要とされている。また、使用時に混合でき且つ特に舗装路面標示用組成物として利用できる充分な硬化時間及び粘着時間を提供する、多成分を含む配合物が必要とされている。更に、配合物中の各成分の製造に必要な反応工程を最小限に抑えると共に、追加反応性成分の必要性が少ない配合物を用いてこれらの特性を実現できるこのようなコーティングを得ることが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は少なくとも二つの部分を含んでなる配合物及びこれらの配合物から調製される組成物に関する。
【0012】
本発明はコーティング及びペイント組成物並びにこのようなコーティング及びペイント組成物の形成方法及び使用方法にも関する。
【0013】
本発明は、(a)少なくとも1種のポリアミン及び少なくとも1種のポリオールを含み、ポリエーテルアミンを実質的に含まない第一の部分と、(b)少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第二の部分とを含む、少なくとも二つの部分を含んでなる配合物を提供する。
【0014】
本発明は、(a)少なくとも1種のポリアミン、少なくとも1種のポリオール及び触媒を含む第一の部分と(b)少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第二の部分とを含む、少なくとも二つの部分を含んでなる配合物も提供する。
【0015】
前記の少なくとも1種のポリイソシアネートはビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエン2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート及び1,3−フェニレンジイソシアネートのうち少なくとも1種、例えばヘキサメチレンジイソシアネートを含むことができる。
【0016】
前記の少なくとも1種のポリオールは少なくとも1種のポリエステルポリオールを含むことができる。
【0017】
前記の少なくとも1種のポリアミンは少なくとも1種のアスパラギン酸エステルアミンを含むことができる。
【0018】
前記の第一の部分はポリエーテルアミンを含まないことができる。
【0019】
前記の第一の部分は触媒を含むことができる。
【0020】
本発明は、本発明に係る配合物の第一の部分と第二の部分とを合することによって調製される組成物にも関する。
【0021】
この組成物は約2〜約8分の可使時間(pot life)と約5〜約20分の非粘着時間(tack free time)を有することができる。
【0022】
この組成物はコーティング組成物又はペイント組成物を含むことができる。
【0023】
本発明は、本発明に係る配合物の第一の部分と第二の部分とを合することによって形成されるポリマーにも関する。
【0024】
本発明は、本発明に係る組成物を舗装路面に適用し且つ前記組成物に反射性材料を適用することを含む舗装路面標示方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書中に示した具体的な記載は一例であり、本発明の態様の説明を目的として記載したものにすぎない。
【0026】
本発明は配合物及びその使用方法に関する。例えば配合物はペイント組成物のようなコーティング組成物の形成に使用できる。コーティングは、限定するものではないが、舗装路面標示組成物を含む反射性ペイント組成物のような反射性コーティング組成物であることができる。
【0027】
配合物は少なくとも二つの部分の配合物を含み、従って、二つの部分又はそれ以上であることができる。使用時に、配合物のこれらの少なくとも二つの部分を互いに合して、コーティング組成物又は舗装路面標示組成物(これらに限定するものではないが)のような組成物を形成する。
【0028】
本明細書中では、前記の少なくとも二つの部分の配合物の1つの部分(one part)を、限定的でないが便宜上、第一の部分(first part)、第一の成分及び/又は成分Aと称する。第一の部分は、少なくとも1種のポリアミン及び少なくとも1種のポリオールを含む。
【0029】
本明細書中で使用するポリアミンは、それぞれが少なくとも1つの活性水素を含む少なくとも2つの第2級アミン基(N−H基)を有する化合物を意味する。従って、配合物の第一の成分は少なくとも2つの第2級アミン基を有する化合物を含む少なくとも1種のポリアミンを含む。
【0030】
ポリアミンは好ましくは脂肪族ポリアミンを含み、脂肪族ポリアミンのみからなることができる。好ましい反応速度を得るために、アミン成分は、好ましくはポリアミンとして主鎖に沿った複数の第2級アミンを含むアスパラギン酸エステルアミンのような1種又はそれ以上の第2級アミンを含み、それのみを含むことができる。また、第一の成分中のアミン含有物質は少なくとも1種のポリアミンだけであることもできる。第一の部分と第二の部分とを合した際にポリエーテルアミンが反応を引き起こさないように、第一の成分はポリエーテルアミンを実質的に含まないのが好ましい。より好ましくは、第一の部分はポリエーテルアミンを含まない。
【0031】
また、第一の部分は少なくとも1種のポリオールを含むことができる。ポリオールは、限定するものではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール及び他のポリオール、ポリオール連鎖延長剤、例えば1,4−ブタンジオールを含むことができる。好ましい態様は、化学的性質及び耐候性を改善するポリオールを含む。
【0032】
加えて、第一の成分は、第一の成分と第二の成分との混合時に反応の促進を助ける少なくとも1種の有機錫触媒(これに限定するものではないが)のような触媒を含むことができる。本発明において使用できる他の任意的な触媒としては、例えば有機金属化合物及びキレート、アルコキシド、カルボキシド並びに第3級アミン、更にそれらの混合物が挙げられる。錫化合物の例はジブチル錫ジ(エチルヘキサノエート)、ジメチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジスルフィド、ジブチル錫メルカプチド、ジブチル錫ビス(メルカプチド)、ジブチル錫ジラウレート及びそれらの混合物などである。第3級アミンの一例はジアゾビシクロ[2.2.2]オクタンDABCO L−33(Air Products)である。本発明において有用な触媒の他の例には、亜鉛、錫、コバルト、マンガン及びビスマスのオクタン酸塩;ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)、コバルトトリス(2−エチルヘキサノエート)、亜鉛アセチルアセトノエート、ジルコニウムアセチルアセトノエート、チタンアセチルアセトノエート、オレイン酸及びヘキサン酸;並びにそれらの混合物などがある。本発明において有用な触媒の典型的な濃度は約0.001〜約2.000%w/wの範囲であることができる。
【0033】
本明細書中では、配合物のもう1つの部分を、これもまた限定的でないが便宜上、第二の部分(second part)、第二の成分及び/又は成分Bと称する。配合物の第二の部分は1種又はそれ以上のポリイソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネートから得られるポリイソシアネートを含むことができる。
【0034】
理論によって拘束するつもりはないが、ポリアミンはポリイソシアネートと反応して尿素基を生成でき;ポリオールのヒドロキシ官能基はイソシアネート基と反応してウレタン基を生成する。
【0035】
本発明の配合物は、希釈剤、顔料、反応性材料及び/又は充填剤のような非反応性添加剤を含むことができる。これらの非反応性添加剤は、第一の部分及び/又は第二の部分に含めることもできるし、別の部分として添加することもできる。
【0036】
また、理論によって拘束するつもりはないが、配合物の第一の部分中に少なくとも1種のポリオール(例えばポリエステルポリオール)の使用によって、ハイブリッドポリウレタン−ポリ尿素ポリマーを形成できる。
【0037】
組成物中のポリイソシアネートは単一のポリイソシアネート又は2種若しくはそれ以上の異なるポリイソシアネートの混合物を含むことができる。
【0038】
配合物中に含めることができるポリイソシアネートの量は5〜約85容量%、より好ましくは約10〜約50容量%の範囲であることができる。更に好ましくはポリイソシアネートは配合物中に約20〜約50容量%、最も好ましくは約25〜約33容量%の量で存在する。
【0039】
ポリイソシアネートは、ジイソシアネート又はそれらの組合せを含む、種々のポリイソシアネート又はポリイソシアネートの組合せを含むことができる。従って、ポリイソシアネートは単一分子中に2つ又はそれ以上の反応性イソシアネート(−NCO)基を有する種々の有機化合物を含むことができ、その例としては、例えば脂肪族及び/又は脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。例えばポリイソシアネートとしてはジイソシアネート、トリイソシアネート、テトライソシアネートなど及びそれらの混合物が挙げられる。好ましくはポリイソシアネートは1種又はそれ以上の脂肪族ポリイソシアネートを含む。
【0040】
ポリイソシアネートの代表例としては、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、p−フェニレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン及び2,4−トルエンジイソシアネート又はそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。より好ましい例は4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン及び4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアネートジフェニルメタン並びにトルエン−2,4,6−トリイソシアネートなどである。ポリイソシアネートはジシクロヘキシルメタン4.4’−ジイソシアネート(H12MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、テトラメチル−1,3−キシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はそれらの混合物を基材とするような、液体脂肪族イソシアネートオリゴマー又はプレポリマーを含むことができる。
【0041】
例えば米国特許第6,451,874号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に開示されるように、ポリイソシアネートとしては、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン(H12MDI,Bayer Corp.(Pittsburgh,Pa.)から入手可能)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI,Bayer Corp.(Pittsburgh,Pa.)から入手可能)、イソホロンジイソシアネート(IPDI,Evonik-Degussa(Piscataway,N.J.)から入手可能)、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI,Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wis.)から入手可能)、ヘキサンメチレンジイソシアネート(HDI,Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wis.)から入手可能)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI,Aldrich Chemical Co.(Milwaukee,Wis.)から入手可能)及び1,3−フェニレンジイソシアネートが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0042】
更に、単量体イソシアネートは有用である可能性はあるが、好ましくはない。しかし、単量体イソシアネートは、好ましいと考えられる付加物及びプレポリマーの生成に使用できるであろう。ポリイソシアネートはモノマー性(monomeric)ポリイソシアネートの誘導体を含むこともできる。これらの誘導体としては、ビウレット基を含むポリイソシアネート、例えばBayer Corp.(Pittsburgh,Pa)から商標名「DESMODUR」N−100として入手可能なヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のビウレット付加物;イソシアヌレート基を含むポリイソシアネート、例えばBayer Corp.(Pittsburgh,Pa)から商標名「DESMODUR」N−3300として入手可能なもの;及びウレタン基、ウレトジオン基、カルボジイミド基、アロホネート(allophonate)基などを含むポリイソシアネートが挙げられるが、これらに限定するものではない。これらの誘導体は、高分子であり、非常に蒸気圧が低く、イソシアネートモノマーを無視できるほどしか含まないので、好ましい。
【0043】
多くの有用な単量体イソシアネート付加物が市販されている。また、現在市販されていないが製造できると考えられる有用な付加物及びプレポリマーも多く、例えば前記アスパラギン酸エステルアミンとジイソシアネート(例えばIPDI、TMXDIなど)との反応生成物がある。例えば米国特許第6,166,572号(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)参照。
【0044】
好ましいポリイソシアネートとしては、Rhodia製のHDB−LV及びRhodia製のHDBが挙げられる。
【0045】
前述のように、前記の少なくとも1種のポリアミンは、少なくとも2つの第2級アミン基を有する化合物を含む。少なくとも2つの第2級アミン基(NH基)が存在すれば、1つ又はそれ以上の第1級アミン基(NH2基)も存在できる。ポリアミンは好ましくは、1種又はそれ以上の脂肪族ポリアミンを含み、1種又はそれ以上の脂肪族ポリアミンのみを含むことができる。好ましくはポリアミンはアスパラギン酸エステルアミンを含む。適当なアスパラギン酸エステルアミンは、Bayer Corp.から商標名「Desmophen NH1420」、「Desmophen NH1520」及び「Desmophen NH1220」として市販されている。有用であると考えられる他の脂肪族ジアミンとしては、例えばDorf Ketal(TX)から商標名「Clearlink 1000 Diamines」として市販されているような比較的反応性の低いジアミン、BASF Corporation(NJ)製のPolyClear 136、及びHuntsman,Houston.Texasから商標名「Jefflink 754 Diamine」として市販されているような脂環式ビス(第2級アミン)が挙げられる。
【0046】
好ましいアスパラギン酸エステルアミンは、例えば米国特許第7,342,056号(引用することによってこの開示全体を本明細書中に組み入れる)に開示されたような、下記式I:
【0047】
【化1】

【0048】
(式中、R1は2価の有機基(好ましくは炭素数1〜40の2価の有機基)であり、各R2は、独立して、100℃又はそれ以下の温度においてイソシアネー基に対して不活性な有機基である)
を有するものであることができる。
【0049】
上記式において、好ましくはR1は分岐鎖、非分岐鎖又は環状であることができる脂肪族基(好ましくは炭素数1〜40)であり、より好ましくはR1は、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、2,2,4−及び2,2,4−トリメチル−1,6−ジアミノヘキサン、1−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル−シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン又は3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルヘキシルメタンからアミノ基を除去することによって得られる2価の炭化水素基の群から選ばれる。比較的高分子量のポリエーテルポリアミン、例えばHuntsman LLC(Houston,Texas)によって商標名「Jeffamine」として市販されている製品及びEmerald Performance Materials(Akron,Ohio)によって商標名「HYPRO」として販売されているアミンを末端とするブタジエン−アクリロニトリルポリマーも適当である。他の適当なポリアミン前駆体としては、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、2,5−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,4−及び/又は2,6−ヘキサヒドロトルイレンジアミン並びに2,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタンが挙げられる。2,4−及び/又は2,6−ジアミノトルエン並びに2,4’−及び/又は4,4’−ジアミノジフェニルメタンのような芳香族ポリアミンも適当であるが、それほど好ましくはない。
【0050】
前記式において、好ましくは各R2は独立して炭素数1〜40の有機基であり;より好ましくは各R2は独立して分岐鎖又は非分岐鎖であることができるアルキル基(好ましくは炭素数1〜20)であり、;最も好ましくは各R2は独立して低級アルキル基(炭素数1〜4)である。
【0051】
前記アスパラギン酸エステルアミンに加えて、1種又はそれ以上のアミノ官能性共反応体も使用できる。これらのアミン(アスパラギン酸エステルアミン以外の)は、典型的には、連鎖延長剤及び/又は耐衝撃性改良剤の役割を果たす。このようなアミン官能性共反応体の使用は、靭性の改善のためにポリマー主鎖中に軟質セグメントを存在させるのに役立ち得る。このようなアミン官能性共反応体は第1級アミン、第2級アミン又はそれらの組合せであることができる。第2級アミン、複数種の第2級アミンのブレンド又は第2級アミンと第1級アミンとのブレンドを使用できる。
【0052】
アミン官能性共反応体は好ましくはアミンを末端とするポリマーである。このようなポリマーの例としては、Huntsman Chemicalから商標名「Jeffamine」ポリプロピレングリコールジアミン、例えば「Jeffamine XTJ−510」として入手可能なもの、Emerald Peformance Materials(Akron,Ohio)から商標名「HYPRO」ATBNとして入手可能なもの(アミンを末端とするアクリロニトリルブタジエンコポリマー)並びに米国特許第3,436,359号(Hubinら)及び米国特許第4,833,213号(Leirら)(これらの特許を引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示されたもの(アミンを末端とするポリエーテル、特にポリテトラヒドロフランジアミン)が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0053】
前述のように、第一の成分は、少なくとも1種のポリオールも含む。ポリオールはヒドロキシルを末端とするラクトン中間体及び/又はヒドロキシルを末端とするポリエーテル、ポリエステル若しくはポリエーテル−エステル中間体であることができる。ポリエステル中間体は、一般に、炭素数約2〜約10、望ましくは約2〜約6のグリコール又はトリオールから製造する。グリコール又はトリオールの具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、トリメタノールプロパンなどが挙げられ、エチレングリコール及びプロピレングリコールが好ましい。例えばポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール又はポリエステルポリオールを使用できるが、エステル及びエーテル形成性ポリオールから製造されたポリエステル−エーテル中間体を使用するのが好ましく、望ましくは少なくとも2個のヒドロキシル末端基を有する分岐鎖ポリエステル−エーテル中間体の使用が好ましい。望ましくは混合ポリエステル−エーテルは、約2〜約3個のヒドロキシル基を含む多官能価であり、好ましくは三官能価である。ポリエーテル、ポリエステル又はポリエーテル−エステル中間体の当量は一般に約190〜約500、好ましくは約300〜約400である。例えば米国特許第3,534,652号(引用することによって本明細書中に組み入れる)参照。
【0054】
ポリオールの1つの好ましい種類はダイマー酸から製造されたポリエステルポリオールである。ダイマー酸は炭素数36の二酸生成物を生じる炭素数18の不飽和脂肪酸の二量化の生成物である。典型的には、不飽和酸の混合物は二量化によって、炭素数36の二酸の混合物を生成する。好ましいダイマー酸系ポリオールは水素化されて、低色度を生じる。ダイマー酸から製造されたいくつかのポリエステルポリオールは、Uniqema Corporation(New Castle,Delaware)から商標名「Priplast」として市販されている。
【0055】
ダイマージオールは、炭素数36の炭化水素ジオールを生じる、カルボン酸及びダイマー酸の残留不飽和の還元によって得られる。ダイマージオールはUniqema Corporationから商標名「Pripol 2033」として市販されている。
【0056】
好ましいポリエステルポリオールとしては、商標名「Fomrez 1066−187」、「Fomrez 66−225」、「Fomrez 11−225」であるChemtura製の分岐鎖ヒドロキシル末端飽和ポリエステル、商標名「CAPA 2054」、[CAPA 2085」、「CAPA 2077A」、「CAPA 3091」、「CAPA 3031」であるPerstorp製のポリカプロラクトンポリエステル(polycapolactone polyester)が挙げられる。
【0057】
本発明の態様において、ポリマーの反応性及び性質はポリオールに対するポリアミンの比を適切に制御することによって調整できる。一般に、ポリオールはイソシアネートとの反応性が比較的低い。反応を促進するために、触媒、例えばジブチル錫ジラウレート(DBTDL)又はトリブチル錫ジラウレート(TBTDL)のような有機錫触媒を使用できる。従って、第一の部分の成分中のポリオール及び錫触媒の量を調整することによって、ハイブリッドポリ尿素/ポリウレタン系の反応性を制御する。本発明に係るポリマーの生成速度の低下は、本発明の態様の利点である。硬化速度が遅いほど、舗装路面標示系が基材を湿潤させる時間が長くなり、従ってコーティングと基材の間により良好な接着強度を得ることが可能になる。更に、比較的遅い硬化速度により、反射性粒子のような粒子は、適用されたコーティングへのその後の適用時に、コーティングに接着することが可能になる。また、ポリオールは、コストがアスパラギン酸エステルアミンのようなポリアミンの何分の1かであることができるので、アスパラギン酸エステルアミンのようなポリアミンの代わりに1種又はそれ以上のポリオールを用いることによって製造コストを削減できる。
【0058】
ポリオール部分に対するアスパラギン酸エステルアミンのようなポリアミン部分の重量比(組成物の他の部分を含まず、いずれの部分も100に等しい)は約0.1:99.9〜約99.9:0.1、より好ましくは約5.0:95.0〜約95.0:5.0の範囲であることができる。更に好ましくは、ポリオール部分に対するポリアミン部の重量比は約25.0:75.0〜約80.0:20.0、更に好ましくは約40.0:60.0〜約75.0:25.0である。ポリ尿素/ポリウレタン反応のための配合物中に存在するポリイソシアネートの量は、好ましくはポリアミン/ポリオール化合物の当量に対するイソシアネートの当量の比に基づき、過剰である。例えばポリイソシアネート:ポリアミン/ポリオール重量比は、好ましくは約1.15:1未満、より好ましくは約1.1:1未満、最も好ましくは約1.05:1未満である。
【0059】
追加成分(ingredients)は、少なくとも2つの成分のいずれか一方又は両方に加えることができ、そして/又は配合物の別の追加成分であることができる。従って、前述のように、配合物は2種又はそれ以上の成分を含むことができる。添加剤は米国特許第5,340,652号(引用することによって本明細書中に組み入れる)に開示されたような添加剤であることができる。例えば、望ましい結果を得るために、種々の添加剤を用いることができる。例えば、製造性及び全体的耐久性を改善するために、耐候安定剤(例えば紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤)、分散助剤及び粉砕助剤、湿潤剤、耐衝撃性改良剤、脱泡剤(例えばBYK-Chemie製のBYK501)、触媒(例えばAir Products製のT−12、CasChem製のCotin200及びCoscat28)、分子篩(モレキュラーシーブ)(例えばUOP LLC製のUOP Powder)、懸濁安定剤、殺生剤を結合剤に添加することができる。
【0060】
TiO2(例えばKronos製のKronos 2160)(これに限定するものではないが)などの顔料;タルク(例えばR.T.Vanderbilt製のNytal 300)、CaCO3、クレイ、セラミック微小球、中空ポリマー微小球(Sphere One,Inc.製のExtendosphere XOL−150)及び中空ガラス微小球(これに限定するものではないが)などの充填剤;増量剤;希釈剤;可塑剤;レベリング剤;並びに界面活性剤を配合物中に含めることもできる。顔料(例えばオーガニックイエロー65、オーガニックイエロー74及びオーガニックイエロー83)は、日中において望ましい外観特性を与えると共に、種々の照明条件下におけるコーティングの反射性能に寄与することができる。充填剤及び増量剤を使用すると、容量当たりのコストが比較的低い材料によって、液体コーティングの流動性を改質すると共に、最終コーティングのかさ容量を増すことができる。
【0061】
追加材料は、例えば組合せた組成物/コーティングの約15〜約40重量%を占めることができる。
【0062】
本発明の配合物を反射性舗装路面標示材料として使用する場合には、配合物を合してコーティング組成物とし、標示すべき舗装路面にコーティング組成物を配置し、好ましくはその後に反射添加剤をコーティング組成物上に配置するのが望ましい。例えばコーティング組成物は、プライマー層を用いて若しくは用いずに、通行舗装路面に直接、又は通行舗装路面に適用された基材に、適用できる。これは、吹付コーティング技術を用いて実施できる。典型的には、第一の成分及び第二の成分は、装置から出る直前にそれらを合することができる吹付装置を用いて適用する。例えば二成分高圧無気衝突混合系を使用できる。静的ミキサーを装着した複数成分吹付装置も使用できる。
【0063】
反射性添加剤は、反射性粒子、例えば反射性微小球、例えばセラミック粒子又はガラス粒子であることができるが、これらに限定するものではない。好ましくは反射性添加剤はガラス粒子を含み、その例はSwarco Holding AG製のガラス粒子、例えばMegalux(600〜1700μm)、Plus 9 Clusterビーズ(500〜1500μm)、Swarcolux(75〜1400μm)及びReflex(45〜850μm);並びにPotters Industries製のガラス粒子、例えばハイウェイ安全球(Highway safety sphere)、Visibead、Ultra 1.9及びVisimaxなどである。ガラス粒子の屈折率は、好ましくは約1.5又はそれ以上であり、約1.9又はそれ以上であることができ、湿潤反射性(wet reflective)を構成するためには約2.3又はそれ以上であると考えられる。一般に、反射性素子は直径約数mm以下である。セラミック球又はガラス球は添加剤で処理して、付着性、浮遊性及び他の有益な性質を向上させることができる。
【0064】
二部分スプレーコーティング及び反射性素子の適用などによる舗装路面標示の場合には、2つの部分のそれぞれの粘度挙動を検討すべきである。衝突混合の場合は、適切な混合及び均一な硬化を可能にするために、二つの部分は、高剪断速度において粘度が可能な限り近くなければならない。複数成分の静的混合/スプレー系は、2つの成分間の粘度差に比較的寛容であると思われる。剪断速度及び温度の関数としての粘度の特性決定は、二部分スプレー装置ラインにおけるコーティングの温度及び圧力の始点の決定に役立つと考えられる。粘度は、反射性素子の埋封に関する懸案事項でもある。望ましい粘度は、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計、スピンドル4を60rpm又は12rpmで用いた場合、25℃において約3,000〜約40,000cpsであることができる。
【0065】
少なくとも2つの成分の混合時の配合物の可使時間は、100gを用いるように変更されたASTM C−881を用いた場合、約2〜約8分、より好ましくは約3〜約5分であることができる。少なくとも2つの成分の混合時の配合物の非粘着時間は、ASTM D−711を用いた場合、約5〜約20分、より好ましくは約5〜約8分であることができる。
【0066】
セラミックビーズ又は他の反射性微小球は、舗装路面にコーティングされた結合剤に直接適用できる。別法として、セラミックビーズ又は他の反射性微小球は、垂直面を有する逆反射光学要素の形態で適用することもできる。垂直面は、逆反射に関してより良好な向きを提供する。また、垂直面は、そうでなければ逆反射メカニズムを妨げる、雨天時における逆反射面への水の層の付着を防ぐことができる。
【0067】
本発明の配合物中に添加できる種々の反射性材料を含む種々の添加剤は、例えば米国特許第6,451,874B1号(Purgettら)(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたものであることができる。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は、説明のみを目的とし、本発明の範囲を限定するものではない。特に断らない限り、単位は重量%である。
【0069】
例1〜8
表I〜VIIIに示す例において、ポリアスパラギン酸アミン及びポリエステルポリオールを含む、表のA液に記載した成分は、表中に記載するように、他の記載成分と約8〜約9分間混合した。その後、記載した追加成分を加え、得られた混合物を約10〜約15分間高速で混合して、表中に記載した粘度を得た。
【0070】
その後、各例について表I〜VIIIのB液に記載した成分を加えた。得られた生成物を、記載した試験条件に供した。試験結果を、各例について各表中に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【表3】

【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
【表7】

【0078】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のポリアミン及び少なくとも1種のポリオールを含み、ポリエーテルアミンを実質的に含まない第一の部分;並びに
(b)少なくとも1種のポリイソシアネートを含む第二の部分
を含む、少なくとも二つの部分を含んでなる配合物。
【請求項2】
前記第一の部分である成分(a)が少なくとも1種のポリアミン、少なくとも1種のポリオール及び触媒を含む請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記第一の部分が触媒を含む請求項1に記載の配合物。
【請求項4】
前記の少なくとも1種のポリイソシアネートがビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエン2,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート及び1,3−フェニレンジイソシアネートのうちの少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項5】
前記の少なくとも1種のポリイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートを含む請求項4に記載の配合物。
【請求項6】
前記の少なくとも1種のポリオールが少なくとも1種のポリエステルポリオールを含む請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項7】
前記ポリアミンが少なくとも1種のアスパラギン酸エステルアミンを含む請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項8】
前記第一の部分がポリエーテルアミンを含まない請求項1又は2に記載の配合物。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の第一の部分と第二の部分とを合することによって調製される組成物。
【請求項10】
約2〜約8分の可使時間及び約5〜約20分の非粘着時間を有する請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
コーティング組成物又はペイント組成物を含む請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の第一の部分と第二の部分とを合することによって形成されるポリマー。
【請求項13】
約2〜約8分の可使時間及び約5〜約20分の非粘着時間を有する請求項12に記載のポリマー。
【請求項14】
請求項9に記載の組成物を舗装舗装路面に適用し、前記組成物に反射性材料を適用することを含んでなる舗装路面標示方法。

【公表番号】特表2012−502170(P2012−502170A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526917(P2011−526917)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/055710
【国際公開番号】WO2010/030544
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】