説明

コーティング錠剤製剤およびその方法

本発明は、PPAR α/γ二重作動薬としての薬物(例えば、ペリグリタザールまたはムラグルタザール)を含むコーティング錠剤製剤を提供する。該コーティング錠剤は、1個以上の充填剤、1個以上の結合剤、1個以上の崩壊剤、および他の通常の賦形剤、および該錠剤コアの上のコーティングを含み、ここで、該コーティングは1個以上の層を含み得て、該層の少なくとも1個の層は、薬物および1個以上のコーティングポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマーが好ましい)から構成される。スプレー乾燥コーティング方法による該コーティング錠剤の製造方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願60/556,331(2004年3月25日出願)、および60/648,872(2005年2月1日出願)(これらは、本明細書の一部を構成する)の利益を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、薬物(例えば、PPAR α/γ作動薬)でコーティングされた錠剤コア(tablet core)を含むコーティング錠剤製剤、および該コーティング錠剤製剤の製造方法を提供する。
【0003】
(背景技術)
米国特許第6,414,002号中に開示された構造式:
【化1】

を有するPPAR α/γ二重作動薬(通常、ペリグリタザール(peliglitazar)と呼ばれる)は、グルコースおよび脂質のレベルを低下し、従って、このものは、II型糖尿病および異脂肪血症の処置において有用である。この化合物は、以下の反応式:
【化2】

によって、以下に示す塩基触媒分解および酸触媒分解を受けることが知られる。
【0004】
塩基触媒分解を避けるために、該PPAR α/γ二重作動薬を含有するカプセル製剤に、クエン酸を加えることが示唆されている。しかしながら、該クエン酸の添加は塩基触媒分解生成物の生成を完全には防止しないことが知られる。その上、酸触媒分解生成物も同様に存在した。分解のレベルは、25℃/60%相対湿度の通常の保存条件でさえ許容され得なかった。該カプセル製剤の分解生成物の生成は、カプセルを冷蔵することによってのみ、防止された。
【0005】
該カプセル製剤に関係する分解の問題を回避するために、錠剤は、いずれのpH調節剤(例えば、クエン酸)を添加することなく、乾式および湿式の造顆製剤として製剤化した。乾式および湿式の造顆製剤の両方は、該カプセル製剤に対してより良好な安定性を示し、そして該湿式造顆錠剤は、該乾式造顆錠剤よりも優れた安定性を示した。該乾式造顆錠剤は、クエン酸がない場合でさえも、酸触媒分解生成物の存在を示し続けた。該湿式造顆錠剤は、30℃/60%相対湿度で満足すべき安定性を示すが、しかし、40℃/75%相対湿度(開口(open))の加速度的な条件および50℃の条件では、分解レベルの大きな増大を伴う力価の低下が存在した。
【0006】
従って、塩基触媒分解および酸触媒分解を受ける薬物を含有する安定な医薬製剤に対する明白な要求が存在することが分かる。
【0007】
構造式:
【化3】

を有する、PPAR α/γ二重作動薬、ムラグリタザール(muraglitazar)はまた、米国特許第6,414,002号中に開示されている。
【0008】
(発明の概要)
本発明によれば、塩基触媒分解および/または酸触媒分解を受ける薬物を含むが、通常の保存条件(これは、30℃および60%相対湿度である)で驚くほどに安定である、コーティング錠剤を提供する。
【0009】
本発明のコーティング錠剤は、錠剤コア、および該コアの上にコーティングされた少なくとも1個のコーティング層を含み、ここで、該コーティング層は薬物および少なくとも1個のコーティングポリマーから構成される。該薬物は、米国特許第6,414,002号中に包含されまたは開示された化合物であることが好ましい。例えば、PPAR α/γ二重作動薬
【化4】

(これはまた、化合物A、またはペリグリタザールとも呼ばれる)、
および、PPAR α/γ二重作動薬
【化5】

(これはまた、化合物B、またはムラグリタザールとも呼ばれる)
を含む。
【0010】
好ましい実施態様において、本発明のコーティング錠剤は、a)錠剤コア(これは、1個以上のバルク剤または充填剤、場合により1個以上の結合剤、場合により1個以上の崩壊剤、および場合により1個以上の錠剤用滑沢剤、および場合により1個以上の薬物から構成される);b)少なくとも1個のコーティング層(これは、1個以上の薬物およびコーティングポリマー(ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマーが好ましい)を含み、そして該コーティング層は、好ましくは該錠剤コアの上にスプレーコーティングすることによって、該錠剤コアに適用する)、を含む。
【0011】
該錠剤コアは薬物がないか、あるいはいずれかの薬物(これは、該コーティング層中で該薬物と組み合わせて使用し得る)を含み得る。該コーティング層中の該薬物は、好ましくないが、該錠剤コア中で同様に使用し得る。
【0012】
本発明のより好ましい実施態様において、該2コーティング層は、最初のコーティング層(薬物を含有する)の上にコーティングされ、そして保護層として機能する。該第2コーティング層は、薬物を含まないことを除いて、最初のコーティング層と同様な組成であることが好ましい。しかしながら、該第2コーティング層はまた同様に、他のコーティングポリマーからも構成し得る。
【0013】
該コーティング層は、スプレーコーティング技術によって適用することが好ましい。
【0014】
本発明のコーティング錠剤は、通常の乾式造顆または湿式造顆の技術を用いて製造した従来の錠剤と比較して、優れた化学的な安定性を示すことが分かった。該スプレーコーティング方法は、伝統的な錠剤化方法を用いる5〜6回の単位操作と比較して、薬剤を含有する1回の単位操作のみを含む。該薬物が特別の扱いを必要し、従って、全ての単位操作を封じ込めた領域中で行なう必要がある場合に、これは、特に有意である。その上、少ない単位操作は周期時間を減少する。特別な取り扱いを必要とする薬物を使用する場合には、伝統的な方法を用いて製造する場合でさえも、介護者を該薬物から防止するために、該薬物を含有する錠剤をコーティングしなければいけない。該錠剤はまた、光分解、または水分の存在下での該薬剤の加水分解を防止するためにコーティングする。
【0015】
該スプレーコーティング方法はまた、該他のドラッグ錠剤をコア錠剤として使用し(錠剤プラセボコアの代わりに)、そして該問題の薬物およびコーティングポリマーを含有するスプレーコーティングを該他のドラッグ錠剤の上に適用することによって、問題の薬物と別の薬剤との組み合わせ製剤の製造を容易とする。
【0016】
本発明のコーティング錠剤は、同様にパンコーター(pan coaters)または流動層コーティング(fluid-bed coating)を用いて製造し得る。
【0017】
加えて、本発明によれば、本発明のコーティング錠剤を製造するための方法を提供し、ここで、該方法は、錠剤コアを供し、および該錠剤コアを少なくとも1個のコーティング層製剤でコーティングし、そして該コーティング錠剤を乾燥して、本発明のコーティング錠剤を得る工程を含む。該コーティング層製剤は、薬物、ならびに少なくとも1個のコーティングポリマーおよびコーティング溶媒を含む。
【0018】
本発明の方法の好ましい実施態様において、該コーティング層製剤は、該コーティングポリマーの懸濁液として適用する。
【0019】
第2コーティング層は、該乾燥した第1コーティング層の上に、懸濁液として適用し得る。該第2コーティング層は、薬物を含む必要はなく(所望する場合には、含み得るが)、そして該第1コーティング層の他の組成から構成され得る。
【0020】
本発明のコーティング錠剤を製造する際に、薬物およびコーティングポリマーの水中でのコーティング懸濁液が好ましい。使用し得る他のコーティング溶媒としては、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールを含むが、水が好ましい。錠剤コア(これは、薬物を全く含まないことが好ましく、該薬物はコーティング層中に存在すべきである)は、薬物およびコーティングポリマーの上記懸濁液でコーティングする。その結果得られる該コーティング錠剤を乾燥して、本発明のコーティング錠剤を得る。
【0021】
本発明のコーティング錠剤が外側の保護層を含む場合には、薬物を含まないが、最初のコーティング懸濁液の場合と同様に、コーティング懸濁液を製造する。次いで、該コーティング懸濁液を、最初のコーティングについて記載する通り、それまでのコーティング錠剤の上にコーティングして、その上に保護的なコーティング層を得る。
【0022】
本発明のコーティング錠剤は、哺乳動物(例えば、ヒト、イヌ、およびネコ)におけるII型糖尿病および異脂肪血症の処置において有用である。
【0023】
(詳細な記載)
本発明のコーティング錠剤中で使用される錠剤コアは、医薬的に許容し得る固体錠剤コアおよび任意の薬物の製剤化が可能となるように、通常の医薬賦形剤を含む。該錠剤コアは、錠剤、ビーズ、ビーズレット(beadlet)、または丸剤の形態であり得て、上記の全てを総称して錠剤コアと呼ぶ。
【0024】
本発明のコーティング錠剤は、薬物(米国特許第6,414,002号中に開示するPPAR α/γ二重作動薬(例えば、化合物Aおよび化合物B)であることが好ましい)を、完成した錠剤の約0.1%〜約70重量%の範囲(約0.25%〜約25重量%が好ましい)、または約0.1〜約200mg(約0.1〜約50mgが好ましく、約0.1〜約25mgがより好ましい)の量で含む。
【0025】
本発明のコーティング錠剤において使用される錠剤コアは、
a)少なくとも1個のバルク剤または充填剤;
b)好ましいが、場合により少なくとも1個の結合剤;
c)好ましいが、場合により少なくとも1個の崩壊剤;
d)好ましいが、場合により少なくとも1個の滑沢剤;および、
e)場合により、少なくとも1個の薬物、
を含むことが好ましい。ここで、
a)該バルク剤または充填剤は、約1〜約95重量%の範囲内(約10〜約85重量%が好ましい)の量で存在し;
b)該結合剤は、場合により約0〜約20重量%の範囲内(約1〜約10重量%が好ましい)の量で存在し;
c)該崩壊剤は、場合により約0〜約20重量%の範囲内(約0.25〜約15重量%が好ましい)の量で存在し;
d)該滑沢剤は、場合により約0〜約5重量%の範囲内(約0.2〜約2重量%が好ましい)の量で存在し;
e)該任意の薬物は、該薬物の性質に依存したおよび/または該医師用卓上参考書中に開示された治療学的な量で存在する。
【0026】
バルク剤は、微結晶セルロース、および/またはラクトースモノ水和物であり;
崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムであり;そして、
滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである、
ことが好ましい。
【0027】
本発明のコーティング錠剤中に存在する錠剤コアは、様々なプロセスおよび賦形剤の添加の順序によって製造し得る。これらの製剤の有用性は、ある特定の剤形または製造プロセスに限定されない。錠剤コアは、湿式造顆、乾式造顆、直接打錠(direct blending)、またはいずれかの他の医薬的に許容し得るプロセスによって製造し得る。
【0028】
本発明によれば、本発明のコーティング錠剤において使用される錠剤コアを製造するための好ましい方法を提供する。該方法は、1個以上の賦形剤(例えば、バルク剤、崩壊剤、および滑沢剤)を混合し、そして該混合物を錠剤中に圧縮する工程を含む。滑沢剤は、錠剤の圧縮を容易にするために、該混合物に加えることが好ましい。
【0029】
該バルク剤または充填剤は、本発明の錠剤組成物中に、約1〜約95重量%の範囲内(該組成の約10〜約85重量%であることが好ましい)の量で存在する。本明細書中での使用に適当なバルク剤または充填剤の例としては、セルロース誘導体(微結晶セルロース、または木材セルロース)、ラクトース、スクロース、デンプン、アルファ化デンプン(pregelatinized starch)、デキストロース、マンニトール、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、コーンデンプン、加工コーンデンプン、無機塩(例えば、炭酸カルシウム塩、リン酸カルシウム塩、リン酸ジカルシウム塩、硫酸カルシウム塩)、デキストリン/デキスレート(dextrate)、マルトデキストリン、圧縮可能な糖類、および他の公知のバルク剤もしくは充填剤、および/またはそれらの2個以上の混合物(微結晶セルロースが好ましい)を含むが、これらに限定されない。
【0030】
該結合剤は、本発明の医薬組成物中に、該組成物の約0〜約20重量%の範囲内で(約1〜約10重量%が好ましい)存在する。本明細書中での使用に適当な結合剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、コーンデンプン、アルファ化デンプン、加工コーンデンプン、ポリビニルピロリドン(PVP)(分子量は、約5,000〜約1,000,000の範囲であり、約40,000が好ましい)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ラクトース、アカシアガム、エチルセルロース、酢酸セルロース、並びにロウ結合剤(例えば、カルナウバロウ、パラフィン、鯨ロウ(spermaceti)、ポリエチレン類、または微結晶性ロウ)、並びに他の通常の結合剤、および/またはそれらの2個以上の混合物(ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
崩壊剤は、場合により、本発明の医薬組成物中に、該組成物の約0〜約20重量%の範囲内の量(約0.25〜約15重量%が好ましい)で存在する。本明細書中での使用に適当な崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプン、ポテトデンプン、アルファ化デンプン、コーンデンプン、グリコールデンプンナトリウム、微結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、または他の公知の崩壊剤(クロスカルメロースナトリウムが好ましい)を含むが、これらに限定されない。
【0032】
該滑沢剤は、場合により、本発明の医薬組成物中に、該組成物の約0.1〜約5重量%の範囲内の量(約0.2〜約2重量%が好ましい)で存在する。本明細書中での使用に適当な錠剤用滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルナウバロウ、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、もしくは水素添加植物油および脂肪、または他の公知の錠剤用滑沢剤、および/またはそれらの2個以上の混合物(ステアリン酸マグネシウムが好ましい)を含むが、これらに限定されない。
【0033】
コーティング層製剤(これはまた、第1コーティング層とも呼ばれる)は、本明細書中に上記する通り製造し得て、そしてこのものは、薬物、コーティング層ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メタクリル酸ポリマー、またはヒドロキシプロピルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはポリビニルアルコールが好ましい))を含む。該コーティング層はまた、可塑剤(例えば、トリアセチン、フタル酸ジエチル、セバシン酸トリブチル、またはポリエチレングリコール(トリアセチンが好ましい));および、固結防止剤(anti-adherent)もしくは流動促進剤(例えば、タルク)、または不透明化剤(opacifying agent)(例えば、二酸化チタン、ヒュームドシリカ、またはステアリン酸マグネシウム)(二酸化チタンが好ましい)を含む。
【0034】
該第2コーティング層は、薬物を含まず、また少なくとも該薬物は該第1コーティング層中に存在しないが、該1コーティング層と同様な組成物中であり得る。
【0035】
該第1コーティング層は、コーティング層の約10〜約95重量%の範囲内の量(約30〜約88重量%が好ましい)のコーティングポリマー、該コーティング層の約5〜約90重量%の範囲内の量(約14〜約70重量%が好ましい)の薬物、場合により、コーティング層の約5〜約30重量%の範囲内の量(約8〜約9重量%が好ましい)の可塑剤、およびコーティング層の約20〜約40重量%の範囲内の量(約30〜約35重量%が好ましい)の不透明化剤、および場合により0.1〜3%(0.5%〜2%が好ましい)の着色剤(例えば、赤色、黄色、または赤色および黄色の組み合わせの酸化鉄)で、構成し得る。
【0036】
本発明に記載する好ましいコーティング錠剤製剤を、以下に記載する。
【表1】

【0037】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を示す。
(実施例)
実施例1
PPAR α/γ二重作動薬、化合物A(ペリグリタザール)をコーティングしたフィルムコーティング錠剤、0.5mg、1mg、2mg、4mg、8mg、および10mgは、以下の通り製造した。
【0038】
以下の組成を有するフィルムコーティングのための錠剤コアは、以下の通り製造した。
【表2】

【0039】
ラクトースモノ水和物、微結晶セルロース、およびクロスカルメロースナトリウムを適当なミキサー中で混合し、次いでターブラー(Turbula)または適当なミキサーを用いて、ステアリン酸マグネシウムと一緒に混合することによって潤滑した。該潤滑した混合物を、通常の打錠プレスを用いて、200mgまたは適当な重量の錠剤コア中に圧縮した。
【0040】
【表3】

上記の表2中に記載する組成を有する第1フィルムコートのための懸濁液は、以下の通り製造した。
【0041】
該PPAR α/γ二重作動薬を、メカニカルミキサーを用いて、オパドライ(Opadry)(登録商標)オレンジ(これは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである)および水と一緒に混合した。得られた混合物をホモジナイザーを通して、薬剤粒子サイズを減少し、そして薬剤含有の均一な懸濁液を得た。
【0042】
別法として、該懸濁液はまた、以下の通り製造し得る。該PPAR α/γ二重作動薬を水に加え、そしてこのものをホモジナイザーを通して、薬剤粒子サイズを減少する。次いで、オパドライオレンジを、メカニカルミキサーまたはホモジナイザーを用いて混合する。
【0043】
第1フィルムコートを、表2中に示す第1フィルムコートについての標的の重量増加を得るまで、上記懸濁液を用いて該錠剤コアの上に適用した。
【0044】
該第1フィルムコートが乾燥した後に、表2中に記載する組成を有する第2フィルムコート製剤の懸濁液を、約5mg/錠剤の更なる重量の増加を得るまで、該フィルムコーティング錠剤の上に適用した。
【0045】
該フィルムコーティング錠剤の安定性は、綿実油、乾燥剤、熱伝導シール(heat induction seal)を有するHDPEボトル中に錠剤(1mgの力価)をパッケージし、そして該ボトルを、様々な保存条件(すなわち、5℃;30℃/60%相対湿度(RH)、40℃/75% RH、および40℃/75% RH 開口)で6ヶ月間保存することによって、評価した。錠剤はまた、開口ペトリ皿中、40℃/75% RHに曝露した。
【0046】
本発明の得られたフィルムコーティング錠剤は、通常の湿式造顆によって製造される錠剤中(コーティング中ではない)の同様な組成のコーティング薬物である錠剤よりも優れた安定性を有することが分かった。
【0047】
1mg錠剤の場合の結果を、以下に記載する表中に示す。
【表4】

【0048】
ポリマーコーティング中での賦形剤に対する薬剤の高い比率が、通常の錠剤(1mg薬剤/200mg錠剤)を超える本発明のコーティング錠剤(1mg薬剤/10mgポリマーコーティング)の優れた安定性に寄与することが理論付けられる。
【0049】
ペリグリタザール錠剤の場合のバッチパラメータおよび結果を、以下に記載する表中に示す。
【表5】

【0050】
実施例2
PPAR α/γ二重作動薬、化合物B(ムラグリタザール)をコーティングしたフィルムコーティング錠剤、1mgおよび8mgは、以下の通り製造した。
【0051】
以下の組成を有するフィルムコーティングのための錠剤コアは、以下の通り製造した。
【表6】

【0052】
ラクトースモノ水和物、微結晶セルロース、およびクロスカルメロースナトリウムを適当なミキサー中で混合し、次いでターブラーまたは適当なミキサーを用いて、ステアリン酸マグネシウムと一緒に混合することによって潤滑した。該潤滑した混合物を、通常の打錠プレスを用いて、200mgまたは適当な重量の錠剤コア中に圧縮した。
【表7】

【0053】
上記の表5中に記載する組成を有する第1フィルムコートのための懸濁液を、以下の通り製造した。
【0054】
該PPAR α/γ二重作動薬を、メカニカルミキサーを用いて、オパドライ(登録商標)オレンジ(これは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである)および水と一緒に混合した。得られた混合物をホモジナイザーを通して、薬剤粒子サイズを減少し、そして薬剤含有の均一な懸濁液を得た。
【0055】
別法として、該懸濁液はまた、以下の通り製造し得る。該PPAR α/γ二重作動薬を水に加え、そしてこのものをホモジナイザーを通して薬剤粒子サイズを減少する。次いで、オパドライオレンジを、メカニカルミキサーまたはホモジナイザーを用いて混合する。
【0056】
第1フィルムコートを、表6中に示す第1フィルムコートについての標的の重量増加が得られるまで、上記の懸濁液を用いて該錠剤コアの上に適用した。
【0057】
該第1フィルムコートを乾燥した後に、表5中に記載する組成を有する第2フィルムコート製剤の懸濁液を、約5mg/錠剤の更なる重量の増加が得られるまで、該フィルムコーティング錠剤中に適用し得る。
【0058】
1および8mgの錠剤の場合のバッチパラメータおよび結果を、以下の表中に示す。
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤コア、および該錠剤コアの上をコーティングする少なくとも1個のコーティング層を含有するコーティング錠剤であって、該コーティング層は、薬物および少なくとも1個のコーティングポリマー製剤を含む、該コーティング錠剤。
【請求項2】
該薬物は塩基触媒分解および/または酸触媒分解を受ける、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項3】
薬物はPPAR α/γ二重作動薬である、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項4】
薬物は、構造式:
【化1】

を有するペリグリタザールである、請求項3記載のコーティング錠剤。
【請求項5】
薬物は、構造式:
【化2】

を有するムラグリタザールである、請求項3記載のコーティング錠剤。
【請求項6】
コーティング層はスプレー乾燥コーティングである、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項7】
コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、メタクリル酸ポリマー、またはヒドロキシプロピルセルロース、を含有するコーティングポリマー製剤から構成される、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項8】
コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマーを含有するコーティングポリマー製剤から構成される、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項9】
コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化チタン、およびトリアセチンを含む、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項10】
コーティング層は、約14〜約67重量%の薬物、および約30〜約88重量%のコーティングポリマーを含む、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項11】
コーティングポリマー製剤は、200mgの錠剤コアの場合に少なくとも約5mgであり、そして該薬物は、該錠剤コアの重量ベースで少なくとも約0.1%、または0.2mgである、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項12】
更に、該コーティング層の上に配置される第2コーティング層を含有する、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項13】
第2コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、メタクリル酸ポリマー、またはヒドロキシプロピルセルロースを含む、請求項12記載のコーティング錠剤。
【請求項14】
第2コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマーを含む、請求項13記載のコーティング錠剤。
【請求項15】
コーティング層および第2コーティング層は各々、実質的に同じヒドロキシプロピルメチルセルロースベースのポリマーである、請求項12記載のコーティング錠剤。
【請求項16】
完成した錠剤の重量ベースで約0.1〜約70重量%の薬物を含有する、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項17】
薬物は、構造式:
【化3】

を有するペリグリタザールである、請求項15記載のコーティング錠剤。
【請求項18】
薬物は、構造式:
【化4】

を有するムラグリタザールである、請求項15記載のコーティング錠剤。
【請求項19】
該薬物は約0.1〜約25mgの範囲内の量で存在し、そして該コーティングポリマーは約1〜約50mgの範囲の量で存在し、そして場合により、該コーティング層の上に配置された第2コーティング層を含有し、ここで、該第2コーティング層は約1〜約50mgの範囲内の量で存在する、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項20】
錠剤コアは、1個以上の充填剤、場合により1個以上の結合剤、1個以上の崩壊剤、および1個以上の錠剤用滑沢剤を含む、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項21】
錠剤コアは、微結晶セルロース、ラクトースモノ水和物、クロスカルメロースナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムを含む、請求項17記載のコーティング錠剤。
【請求項22】
以下の組成:
【表1】

を有し、ここで、
該薬物は構造式:
【化5】

を有する、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項23】
10mg力価の場合には、該コーティング層は、10mgの薬物および5mgのポリマーベースのコーティングを含み、そして1mg力価の場合には、該コーティング層は、1mgの薬物および6mgのポリマーベースのコーティングを含む、請求項22記載のコーティング錠剤。
【請求項24】
a)1個以上の賦形剤、並びに場合により1個以上の活性成分および場合により1個以上の薬物を含む、錠剤コア;
b)該錠剤コアの上をコーティングする少なくとも1個のコーティング層(ここで、該層は、少なくとも1個の薬物および少なくとも1個のコーティングポリマー製剤を含む);および、
c)場合により、b)のコーティング層の上に配置された第2コーティング層(ここで、該第2コーティング層はコーティングポリマー製剤を含有する)
を含有する、コーティング錠剤。
【請求項25】
以下の組成:
【表2】

【表3】

を有する請求項1記載のコーティング錠剤であって、ここで、
該ラクトースモノ水和物、微結晶セルロース、およびクロスカルメロースナトリウムを適当なミキサー中で混合し、次いでターブラーまたは適当なミキサーを用いて、ステアリン酸マグネシウムと一緒に混合することによって潤滑し、
該潤滑した混合物を、通常の打錠プレスを用いて、200mgまたは適当な重量の錠剤コア中で圧縮する、
該コーティング錠剤。
【請求項26】
以下の組成:
【表4】

【表5】

を有する、請求項1記載のコーティング錠剤。
【請求項27】
錠剤コア、および該錠剤コアの上をコーティングする少なくとも1個のコーティング層を含有するコーティング錠剤の製造方法であって、ここで、
該コーティング層は、薬物および少なくとも1個のコーティングポリマーを含み、そして、
該方法は、1個以上の錠剤コアにコーティング層を適用し、そして該コーティング錠剤を乾燥することを含む、該製造方法。
【請求項28】
該コーティング層は該コーティングポリマーの懸濁液として適用する、請求項27記載の製造方法。
【請求項29】
該コーティング層の上に第2コーティング層を適用し、そしてその結果得られるコーティング錠剤コアを乾燥する工程を含む、請求項27記載の製造方法。

【公表番号】特表2007−530565(P2007−530565A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505121(P2007−505121)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/009615
【国際公開番号】WO2005/094786
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】