説明

コードネーム学習機能を備えた電子楽器

【課題】コードネームの読み方を効率的に学習できるようにするとともに、コード名とその響きを確実に理解できるようにする。
【解決手段】コードネーム練習モードを設け、上記コードネーム練習モードが選択されたら、コードネームの一覧を表示装置の表示画面に表示する。そして、表示画面に表示されたコードネームの一覧の中から任意のコード名が選択されると、その選択されたコードネームの読み方をスピーカから音声によって放音するとともに、楽音で分散和音と同時発音とによってコード音を発音させることにより、コードネームの読み方と和音の響きとを一体的に確認できるようにして、コード名とその響きを確実に理解できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコードネーム学習機能を備えた電子楽器に関し、特に、コードネーム譜の側面に併記されたコードネームの読み方を学習したり、コード名とその響きを学習したりするのに用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コードネームによる和音表記が教育現場でも普及してきており、小学・中学校唱歌にも散見されるようになってきた。また、伴奏の苦手な保育士・幼稚園の先生や学生向けに簡易コードネーム譜にコードネームが付された譜面が本来のコードネーム譜の側面に併記された童謡集なども多く出回ってきている。
【0003】
コードネームによる和音表記を行う電子楽器としては、例えば、特許文献1において提案されている電子楽器がある。この電子楽器は、鍵盤と、楽音発生手段と、演奏情報を記憶する記憶装置と、上記記憶装置から操作すべき鍵の演奏情報を読み出し指定表示する指示手段と、上記記憶装置から操作すべき鍵の階名またはコ−ドを読み出し発生する音声手段とを備えている。
【0004】
上記特許文献1において提案されている電子楽器は、階名を音声で発生させ、演奏練習に必要なレッスン指導を音声アナウンスでガイドすることにより、個人にあった独自のペースで好きな曲を楽しく練習することができる、としている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−301332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、クラシック音楽を勉強した者の多くは、譜面に記載されている音符に従って演奏する練習をしているので、コードネームの読み方が全く分らないことが多い。また、コードネーム譜面に付されているコード名とその響きとが一致しないために、コードネーム譜が活かされていないのが現状である。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み、コードネームの読み方を効率的に学習できるようにするとともに、コード名とその響きを確実に理解できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のコードネーム学習機能を備えた電子楽器は、表示装置にコード名を表示するための表示データを記憶する第1の記憶媒体と、上記第1の記憶媒体に記憶されている表示データを音声で放音するための音声波形データを記憶する第2の記憶媒体と、上記第1の記憶媒体に記憶されている表示データを楽音で放音するための楽音波形データを記憶する第3の記憶媒体と、上記第1の記憶媒体に記憶されているコード名を表示するための表示データを読み出して上記表示装置の表示画面に一覧表示するコード名表示手段と、上記コード名表示手段によって上記表示画面に一覧表示されたコード名を選択するコード名選択手段と、上記コード名選択手段によって選択されたコード名を音声で放音するための音声波形データを上記第2の記憶媒体から読み出すとともに、上記選択されたコード名を楽音で放音するための楽音波形データを上記第3の記憶媒体から読み出す波形データ読出し手段と、上記波形データ読出し手段によって読み出された音声波形データから、音声で放音するための音声信号を生成する音声信号生成手段と、上記波形データ読出し手段によって読み出された楽音波形データから、楽音で放音するための楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、音声信号生成手段によって生成された音声を放音するとともに、上記楽音信号生成手段によって生成された楽音を放音する放音手段とを具備し、上記コード名選択手段によって選択されたコード名を音声で放音するとともに、上記音声によるコード名の放音に続いて、上記選択されたコード名を楽音で放音することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コード名を表示装置に表示可能とするとともに、上記表示装置に表示されたコード名コード名が選択されたら、上記選択すされたコード名を音声で放音するとともに、上記音声によるコード名の放音に続いて、上記選択されたコード名を楽音で放音するようにしたので、コード名の読み方と和音の響きとを一体的に学習することが可能となり、コード名とその響きを確実に理解することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用可能な電子楽器の構成例を示すブロック図である。
図1において、11はCPUであり、12はROM、13はRAMである。また、1は鍵盤、2はタッチセンサ、3は操作パネル、4はパネルスキャン回路、5は楽音信号発生部、6は波形メモリ、7はD/A変換器、8は増幅器、9はスピーカである。
【0012】
CPU11は、プログラムメモリ11aを有しており、このプログラムメモリ11aに記憶されている制御プログラムに従って該自動伴奏装置全体を制御して、コード検出を制御する他、その他の各種の制御を行う制御部21を備えている。また、検出されたキーに基づいてコードの検出やコード変換を行う伴奏データ変換部22を備えている。
【0013】
このCPU11には、自動伴奏パターンデータの基本形を記憶するROM12や、コード検出のオン/オフに基づいてコード変換された自動伴奏パターンデータを記憶するRAM13、楽音信号発生部5等がデータバス10を介して接続されている。
【0014】
CPU11に設けられた制御部21はソフトウェアで実現されるものであり、パネルスキャンにより検出され、RAM13の所定の領域に設定されているコード検出のオン/オフを示すフラグまたはデータに基づいてコード検出動作を制御する。また、基本パターンメモリ24から読み出され、自動伴奏データ変換部22により所要の変換を加えられた基本パターンデータの自動伴奏パターンメモリ27への書込みや、所定のタイミングになると該自動伴奏パターンメモリ27からのデータ読出しの制御を行う。
【0015】
自動伴奏データ変換部22もソフトウェアで実現されるものであり、制御部21の制御の下にキースキャンにより検出されたキー情報に基づいて、所定のタイミングに同時に押下されているキーに基づいて、先ずコード検出テーブル26を参照して入力されたキーのコードを決定する。
【0016】
続いて、決定されたコードに基づいてコード変換テーブル25より自動伴奏のパターンの基本形にどの様なオフセットをかけて演奏するかを示すデータを読み取り、該データに基づいて自動伴奏の基本パターンに所定のオフセットをかけて制御部21に送り、該制御部21がこのデータを自動伴奏パターンメモリ27に記憶させる。
【0017】
ROM12には、上述したCPU11を動作させる制御プログラムの他、コード検出テーブル26、コード変換テーブル25、自動伴奏用の基本パターンデータを記憶する基本パターンメモリ24、その他、種々の固定データを記憶している。
【0018】
自動伴奏の基本パターンメモリ24には、例えば、ボサノバ、スイング等の音楽ジャンル別の演奏パターンの基本形が内蔵するパターン数だけ記憶されている。また、コード変換テーブル25には、CマイナーとかDセブン等、検出されたコードタイプに応じて、自動伴奏の基本パターンにどのようなオフセットをかけて演奏するかを示すデータがコードパターンの数だけ記憶されている。
【0019】
また、コード検出テーブル26には、同時に押下されているキーに応じて、現在外部入力により指示されているコードが何であるかを決定するためのデータが記憶されており、自動伴奏データ変換部22により読み取られる。
【0020】
RAM13には、装置のステータス情報を記憶する領域やCPU11の作業用領域が設けられている他、当該電子楽器を制御するための各種レジスタ、カウンタ、フラグ等が定義されている。また、ROM12に記憶されているデータのうち、必要なデータが転送されて一時的に格納されるデータエリアを有している。なお、RAM13には、自動伴奏パターンメモリ27、コード検出データメモリ28、スイッチフラグ29、ベロシティフラグ30等が設けられている。
【0021】
自動伴奏パターンメモリ27は次に発音される自動伴奏のパターンデータを記憶するものであり、該自動伴奏パターンメモリ27には制御部21及び自動伴奏データ変換部22により検出され所定の変換の加えられた自動伴奏パターンデータが記憶されている。
【0022】
なお、上記自動伴奏パターンデータメモリ27に記憶されるのは、鍵情報(キーナンバ)、小節情報、ENDマーク、ステップタイムSTEP、ゲートタイムGATE及びベロシティを1つの演奏データ単位とした複数の演奏データである。
【0023】
ここで、キーナンバKEYは、音高を指定するものであり、鍵盤1の各鍵に対応して付された番号である。小節情報は、小節の終りを示す情報である。ENDマークは演奏データの終りを示す情報である。
【0024】
また、ステップタイムSTEPは、小節内における発音時刻を指定する情報である。ゲートタイムGATEは、発音すべき時間を指定する情報である。ベロシティVELOは、発音する音の強さを指定する情報である。
【0025】
コード検出データメモリ28はエディタによりコード検出を制御する際に使用されるメモリであり、演奏開始前にエディタにより入力されたコード検出のオン/オフを示すデータを記憶するメモリである。
【0026】
コード検出データメモリ28には、演奏を中止または再開するタイミングをアドレスや小節ナンバー、拍数、あるいはクロックロケーション等で記憶する。コード検出用スイッチフラグ29は、コード検出用切換スイッチ3aのオン/オフを記憶するフラグであり、コード検出用切換スイッチ3aを使用してコード検出のオン/オフを制御する際に使用される。
【0027】
コード検出用ベロシティフラグ30は押鍵されたキーのベロシティが所定の強さを越えコード検出のオフが指示されたキーを記憶するフラグであり、ベロシティによりコード検出を制御する際に使用される。
【0028】
この他、RAM13には、現在演奏が行われている位置を示すアドレスを記憶する領域、現在押下されている鍵盤1のキーナンバやベロシティデータを記憶する領域、検出されたコードを記憶する領域、コード検出の基準となるベロシティ値を記憶する領域、所定の強さ以上のベロシティで押下された鍵盤1のキーナンバを記憶する領域等が設けられている。
【0029】
鍵盤1は、押鍵情報としての鍵番号をCPU11に送るものであり、複数のキーと、これらのキーの押鍵・離鍵動作に連動して開閉するキースイッチとで構成され、演奏者の押鍵・離鍵動作は図示しないキースキャン回路によって検出され、CPU11の制御のもとに検出された信号は楽音信号発生部5に供給される。
【0030】
タッチセンサ2は、鍵盤1に対してスキャン信号を送出し、鍵盤1からの信号に応じてキータッチの強弱(速さ)を検出するものであり、鍵盤1の押下の状態を示すデータ及びキータッチの強弱を示すタッチデータは、鍵盤1から受けたキースイッチの開閉状態を示す信号から形成する。
【0031】
このタッチセンサ2の形成する信号は、押鍵または離鍵されたキーの鍵番号及び押鍵または離鍵の速度を示すタッチデータに基づいて形成され、得られたベロシティデータはCPU11の制御部21によりコード検出のオン/オフ信号に変換されRAM13のベロシティフラグ30に記憶される。なお、タッチセンサ2からCPU11へのデータ転送は、タッチセンサ2がCPU11に対し、キーボードのイベントがあった旨の割り込みをかけることにより行われる。
【0032】
操作パネル3は、音色の選択情報、エディットパラメータの選択情報、エディットデータのライトリクエスト情報の設定等を行なうものであり、操作パネル3には、電源スイッチの他、音色選択スイッチ、メロディ選択スイッチ、リズム選択スイッチ、自動伴奏のスタート/ストップの制御に使用される自動伴奏スイッチ等、各種のスイッチや表示器が設けられている。
【0033】
なお、コード検出用切換スイッチ3aは、操作パネル3上に設けられており、コード検出用切換スイッチ3aにより設定されているモードはパネルスキャンにより検出され、RAM13のコード検出スイッチフラグ29に設定される。なお、コード検出用切換スイッチ3aは独立したスイッチとして、あるいは、例えば、ロータリースイッチの一部として、例えば、ワンフィンガー、フィンガート、フルキー等と組み合わせたシステムスイッチの一部として組み込むように構成してもよい。
【0034】
操作パネル3の各スイッチのセット/リセット状態は内部に含まれるパネルスキャン回路4によって検出されるようになっており、このパネルスキャン回路4で検出したスイッチのセット状態に関するデータは制御部21の制御のもとRAM13上の所定の領域に記憶される。
【0035】
また、操作パネル3には図示しない表示器が設けられており、例えば1個のLEDで構成されており、エディタによりコード検出のオン/オフを入力する際に使用される。また、この操作パネル3には、各種スイッチのオン/オフを検出するパネルスキャン回路4を含んでおり、操作パネル3で検出されたスイッチのオン/オフ状態を示す信号は、パネルインタフェースを介してCPU11に送られ、RAM13の所定領域に記憶される。
【0036】
5は楽音信号発生部であり、CPU11から出力される信号に対応する楽音波形データ及びエンベロープデータを波形メモリ6から読み出し、読み出した楽音波形データにエンベロープを付加して楽音信号として出力するものである。なお、楽音信号発生部5には波形データやエンベロープデータを記憶する波形メモリ6が接続されている。
【0037】
6は楽音波形メモリであり、各種音色や音域に応じた楽音波形データ及びエンベロープデータが記憶される。本実施形態においては、図9(a)に示すように、「コード名トーンデータ」、及び図9(b)に示すように、「コード名波形データ」が楽音波形メモリ6に記憶されており、後述するコードネーム学習モードにおいて選択されたコードネームを、音声によりスピーカ9から放音できるようにしている。この楽音波形メモリ6は楽音信号発生部5により、システムバスを介してアクセスされる。
【0038】
7はD/A変換器であり、入力されたデジタル楽音信号をアナログ楽音信号に変換するものである。このD/A変換器7で変換されたアナログ楽音信号は、増幅器8に供給されるようになっている。
【0039】
増幅器8は、楽音信号発生部5から供給される楽音信号を所定の利得で増幅し、スピーカ9に供給するものである。スピーカ9は、入力された電気信号としてのアナログ信号を音響信号または音声信号に変換するものである。つまり、発生された楽音信号または音声信号に応じて楽音または音声を放音するものである。このスピーカ9により、鍵盤1の鍵の押下に対応した楽音が放音される。また、後述するようにコードネーム学習モードにおいて指定されたコードネームが音声で放音される。
【0040】
次に、図2〜図5のフローチャートを参照しながら本実施形態の電子楽器の動作を説明する。
図2は、電子楽器のメイン処理を示すフローチャートである。最初のステップS21では、CPU11、RAM13、音源LSI(DSP)等を初期化する。次に、ステップS22では、パネル3のスイッチ等の状態を読み込んで対応の処理を行うパネルイベント処理を行う。ステップS23では、鍵盤センサの出力に基づいて通常音の楽音信号を発生する鍵盤イベントを実行する。鍵盤イベントにはキータッチに応じたエンベロープの設定も含まれる。
【0041】
次に、ステップS24では、ペダルセンサの出力に対応したペダルイベント処理が行われる。なお、ペダルイベント処理には、ペダル(ダンパーペダル)以外のペダルの処理を含むことができる。ステップS25では、その他の処理が行われる。
【0042】
図3は、図2のステップS22で行われるパネル処理の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS31において、コードネーム練習モードであるか否かを判断する。この判断の結果、コードネーム練習モードであった場合にはステップS32に進み、コードネーム練習モードに移行する。
【0043】
一方、ステップS31の判断の結果、コードネーム練習モードではなかった場合にはステップS33に進み、コードシーケンスストップ処理を行い、コードシーケンスフラグをクリアする。次に、ステップS34に進み、パネル表示を通常画面表示とする処理を行う。
【0044】
次に、図4のフローチャートを参照しながら、コードネーム練習モードで行われる処理の一例を説明する。
まず、ステップS41において、コードシーケンスを再生中か否かを判断する。この判断の結果、コードシーケンスを再生中であった場合にはメインルーチンにリターンする。また、ステップS41の判断の結果、コードシーケンスを再生中ではなかった場合にはステップS42に進み、コード名を表示画面に一覧表示する。
【0045】
本実施形態の電子楽器においては、図6に示すような表示装置60を操作パネル3に備えており、ステップS42の処理によって表示面61に、「C」、「Cm」、「Cm7」、「Cdim」、「D」、「Dm」、「Dm7」・・・のように、複数のコード名が一覧表示される。なお、図6に示すように、表示装置60の左側には操作釦「L1」〜「L5」が設けられている。また、右側には操作釦「R1」〜「R5」が設けられている。さらに、下側には、操作釦「F1」〜「F7」が設けられている。これらの操作釦を操作することにより、本実施形態の電子楽器に配設されている種々の機能を実現することが可能となる。
【0046】
次に、ステップS43に進み、表示面61に表示された複数のコード名の中からコードが選択されたか否かを判断する。この判断の結果、選択されていない場合にはリターンする。また、ステップS43の判断の結果、コードが選択された場合にはステップS44に進み、選択されたコード名を強調表示する。
【0047】
図6においては、「Cm7」が選択されている様子を示している。
ステップS44において、選択されたコード名の強調処理が終了したら、次に、ステップS45に進み、コード名シーケンス処理を行う。
【0048】
次に、図5のフローチャートを参照しながら、ステップS45で行われるコード名シーケンス処理の一例を説明する。
まず、ステップS51において、コードシーケンスフラグをセットする。
次に、ステップS52に進み、選択されたコードシーケンス読み出しを行い、読み出したデータを用いて発音処理を行う。
【0049】
本実施形態においては、「コード名波形」が、1つまたは複数の波形に分割して楽音波形メモリ6に記憶している。また、コード名を音声で発音するためのデータとして、「音色波形データ」、「コード名」、「音色パラメータ」等が記憶媒体に記憶されている。
【0050】
前述した「Cm7」が選択された場合に、音声を発音するために読み出されるデータ、及び楽音を発音するために読み出されるデータの一例を図7に示す。
図7(a)に示すように、選択された「Cm7」のコード名をスピーカ9から音声で放音するために、「シー」、「マイナー」、「セブン」の波形が楽音波形メモリ6から読み出される。
【0051】
図9(b)に示すように、波形「シー」は「アドレス×0」に記憶している。また、「マイナー」は「アドレス×10」に記憶している。また、「セブン」は「アドレス×11」に記憶している。
【0052】
また、選択された「Cm7」を楽音で発音するためのデータとして、図7(b)に示すように、「Cm7」を構成する楽音データが読み出される。この場合、「KeyNo.60」から「C:シー」が読み出される。また、「KeyNo.63」から「E:イーフラット」が読み出される。また、「KeyNo.67」から「G:ジー」が読み出される。また、「KeyNo.70」から「B:ビーフラット」が読み出される。
これらのコード名トーンデータは、図9(a)に示すように、「KeyNo」毎に、「波形ナンバー」、「ピッチ」、「アタックスピード」、「アタックレベル」、「リリーススピード」等の種類毎に記憶されている。
【0053】
図8に、前述したデータを読み出して、スピーカ9から発音される様子を模式的に示す。図8(a)に示すように、矢印(1)で示したように「シー」が音声で放音される。次に、矢印(2)で示したように「マイナー」が音声で放音される。次に、矢印(3)で示したように「セブン」が音声で放音される。これにより、コード名を知らない使用者でも、選択した「Cm7」が「シー・マイナー・セブン」と呼ばれているコードであることを学習することができる。
【0054】
また、音声による放音に続いて、図8(b)に示したように、ピアノ音による放音が行われる。この場合、「Cm7」を構成する「ド」の楽音、「ミフラット」の楽音、「ソ」の楽音、「ミフラット」の楽音を、単音で順番に発音し、その後、これらの「和音」を発音するようにしている。このように、同時発音と分散和音によってコード音を発音させることにより、コードネームの読み方と和音の響きとが一体となり、コード名とその響きを確実に理解することができるようになる。
【0055】
なお、図8(a)及び(b)に示した放音内容を表示装置60の表示面61に表示するようにしてもよい。また、図7(b)で示した、「Cm7」を構成する音名を、「シー」、「イーフラット」、「ジー」、「ビーフラット」をスピーカ9から音声で放音するようにしてもよい。
【0056】
図5のフローチャートの説明に戻る。
ステップS52における発音処理を終了すると、次に、ステップS53においてコード名シーケンスが終了したか否かを判断する。この判断の結果、終了していない場合にはステップS52に戻って前述した処理を行う。
また、ステップS53の判断の結果、終了した場合にはステップS54に進み、コードシーケンスフラグをクリアする。その後、リターンする。
【0057】
上述した実施形態において、表示装置60にコード名を表示するための表示データはROM12に記憶される。また、ROM12に記憶されている表示データを音声で放音するための音声波形データ、及びROM12に記憶されている表示データを楽音で放音するための楽音波形データは、波形メモリ6に記憶される。
【0058】
また、ROM12に記憶されているコード名を表示するための表示データを読み出して表示装置60の表示面61に一覧表示するコード名表示手段、コード名表示手段によって表示面61に一覧表示されたコード名を選択するコード名選択手段、コード名選択手段によって選択されたコード名を音声で放音するための音声波形データ、及び選択されたコード名を楽音で放音するための楽音波形データを波形メモリ6から読み出す波形データ読出し手段は、CPU11、ROM12及びRAM13から成るコンピュータシステムによって構成される。
【0059】
また、楽音信号発生部5により、波形データ読出し手段によって読み出された音声波形データから、音声で放音するための音声信号を生成する音声信号生成手段、波形データ読出し手段によって読み出された楽音波形データから、楽音で放音するための楽音信号を生成する楽音信号生成手段は構成される。
【0060】
さらに、D/A変換器7、D/A変換器7及びスピーカ9により、音声信号生成手段によって生成された音声を放音するとともに、上記楽音信号生成手段によって生成された楽音を放音する放音手段が構成される。
【0061】
本実施形態においては、上述したように構成したので、コードネーム練習モードを選択して、コードネームの一覧を表示装置60の表示画面61に表示される。そして、表示画面61に表示されたコードネームの一覧の中から任意のコード名を選択すると、その選択したコードネームの読み方をスピーカ9から音声によって放音することができる。また、その直後にピアノ音で分散和音と同時発音とによってコード音を発音させることができる。これにより、コードネームの読み方と和音の響きとを一体的に確認することができ、コード名とその響きを確実に理解することができるようになる。
【0062】
(本発明の他の実施形態)
上述した実施形態の機能を実現するべく各プログラムコードを動作させるように、上記各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに対し、上記実施形態の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)に格納されたプログラムに従って上記各種デバイスを動作させることによって実施したものも、本発明の範疇に含まれる。
【0063】
また、この場合、上記ソフトウェアのプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えば、かかるプログラムコードを格納した記録媒体は本発明を構成する。かかるプログラムコードを記録する記録媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0064】
また、コンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、上述の実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して上述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれる。
【0065】
さらに、供給されたプログラムコードがコンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後、そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合にも本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態を示し、電子楽器の構成例を示すブロック図である。
【図2】電子楽器のメイン処理を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態を示し、パネル処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態を示し、コードネーム練習モードで行われる処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態を示し、コード名シーケンス処理の一例を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態を示し、表示装置の一例を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態を示し、音声を発音するために読み出されるデータ、及び楽音を発音するために読み出されるデータの一例示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示し、スピーカから発音される様子を模式的に示す図である。
【図9】本発明の実施形態を示し、各種音色や音域に応じた楽音波形データ及びエンベロープデータの記憶の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0067】
S51 コードシーケンスフラグをセットする工程
S52 選択されたコードシーケンスを読み出して発音処理を行う工程
S53 コード名シーケンスが終了したか否かを判断する工程
S54 コードシーケンスフラグをクリアする工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置にコード名を表示するための表示データを記憶する第1の記憶媒体と、
上記第1の記憶媒体に記憶されている表示データを音声で放音するための音声波形データを記憶する第2の記憶媒体と、
上記第1の記憶媒体に記憶されている表示データを楽音で放音するための楽音波形データを記憶する第3の記憶媒体と、
上記第1の記憶媒体に記憶されているコード名を表示するための表示データを読み出して上記表示装置の表示画面に一覧表示するコード名表示手段と、
上記コード名表示手段によって上記表示画面に一覧表示されたコード名を選択するコード名選択手段と、
上記コード名選択手段によって選択されたコード名を音声で放音するための音声波形データを上記第2の記憶媒体から読み出すとともに、上記選択されたコード名を楽音で放音するための楽音波形データを上記第3の記憶媒体から読み出す波形データ読出し手段と、
上記波形データ読出し手段によって読み出された音声波形データから、音声で放音するための音声信号を生成する音声信号生成手段と、
上記波形データ読出し手段によって読み出された楽音波形データから、楽音で放音するための楽音信号を生成する楽音信号生成手段と、
音声信号生成手段によって生成された音声を放音するとともに、上記楽音信号生成手段によって生成された楽音を放音する放音手段とを具備し、
上記コード名選択手段によって選択されたコード名を音声で放音するとともに、上記音声によるコード名の放音に続いて、上記選択されたコード名を楽音で放音することを特徴とするコードネーム学習機能を備えた電子楽器。
【請求項2】
上記第1の記憶媒体には、上記示装置にコード名を表示するための表示データを複数記憶されていて、上記表示画面には複数のコード名が一覧表示されることを特徴とする請求項1に記載のコードネーム学習機能を備えた電子楽器。
【請求項3】
上記放音手段は、上記楽音信号生成手段によって生成された上記コード名に対応する和音を構成する各音を順次に演奏放音し、その後で同時に演奏放音することを特徴とする請求項1または2に記載のコードネーム学習機能を備えた電子楽器。
【請求項4】
上記演奏放音はピアノ音で行われることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のコードネーム学習機能を備えた電子楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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