説明

コードレス電話システムの親機

【課題】十分な省電力効果が得られると共に、子機におけるサーチの停止を抑制することができるコードレス電話システムの親機を提供すること。
【解決手段】第1実施形態のMFP1によれば、MFP1において一時的に発生された同期信号を受信すると、子機51は、サーチを停止せず、間欠的なサーチを継続することなる。また、MFP1においては、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させた後、再び無線通信制御回路22の動作を停止するので、MFP1における省電力効果が十分に得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードレス電話システムの親機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、親機と子機との間で無線通信を介して通話可能な電話システムが知られている。この種の電話システムでは、子機との間で通話が行われていない場合でも、親機と子機との間で無線通信が行われている。具体的には、親機と子機との間で定期的に同期信号を送受信することにより、親機と子機との間のリンクが保たれている。
【0003】
一方、長時間電源を入れた状態になりがちなOA機器などの消費エネルギーを削減すること目的として、低消費電力モードに設定可能に構成された装置が知られている。このような低消費電力モードをコードレス電話システムに適用する場合、例えば、しばらく電話がかかってくる予定がないなど、コードレス電話システムを使用する意思がない場合、ユーザは親機を低消費電力モードに設定することにより、消費電力を低減することができる。
【0004】
低消費電力モードにおいては、消費電力を節減するために親機の各種機能を停止させることが考えられるが、親機から子機へ定期的に同期信号を送信するためには、かなりの電力を消費するため、低消費電力モードへ移行時には、同期信号の送信も停止することが考えられる。
【0005】
このような同期信号の停止に起因して、親機と子機とのリンクが切断されると、子機は、自らが親機の圏外にいると判断し、親機からの同期信号を受信するためのサーチを開始する。
【0006】
このサーチは、親機からの同期信号を受信し、リンクが確立されるまでの間、繰り返し行われるが、子機における電力の消耗を抑制するために、親機からの同期信号が受信されない状態が所定時間以上継続した場合には、子機におけるサーチを停止するように構成されている場合がある。
【0007】
このように子機が、サーチを停止してしまうと、低消費電力モードから復帰した親機が、同期信号の送信を開始したとしても、子機側では、その同期信号を受信できず、リンクが確立されないという問題点があった。一方で、子機のサーチを停止せず、常時実行するようにすれば、親機の復帰時に、親機と子機とは確実にリンクを確立することができるが、そのようにすると、子機において電力が激しく消耗される。
【0008】
このような問題点に対し、特許文献1には、次のようなアイデアが提案されている。すなわち、無線基地局からの呼び出しが行われない状態においては、無線端末局が受信部の電源をオンにしてから次のオンするまでの時間を長くするというものである。
【特許文献1】特開平11−136181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているアイデアでは、子機(無線端末局)のサーチ回数を低減することにより、有る程度の電力削減効果は得られるものの、サーチは継続し続けることとなるので、消費電力低減という点については未だ改善の余地があるという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、十分な省電力効果が得られると共に、子機におけるサーチの停止を抑制することができるコードレス電話システムの親機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するために、請求項1記載のコードレス電話システムの親機は、親機から発生される電波を間欠的にサーチするサーチ手段と、そのサーチ手段により電波が受信されない状態が所定時間継続した後、前記サーチ手段によるサーチの実行を停止するサーチ停止手段とを有する1台もしくは複数台の子機と通信を行うものであって、前記電波を発生する電波発生手段と、その電波発生手段の動作を停止する動作停止手段と、その電波発生手段の動作を停止してから、1台もしくは複数台の子機において複数回のサーチが実行された後であって、且つ前記所定時間を経過する前に、前記電波発生手段の動作を一時的に回復させて電波を発生させ、再び前記電波発生手段の動作を停止する一時復帰手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2記載のコードレス電話システムの親機は、請求項1記載のコードレス電話システムの親機において、前記一時復帰手段は、前記電波発生手段の動作を回復させる回復手段と、その回復手段による動作回復の後、前記1台もしくは複数台の子機との通信が確立されたかを判断する判断手段と、その判断手段により前記1台もしくは複数台の子機の全てとの通信が確立されたと判断されることを条件として、前記電波発生手段の動作を停止する再停止手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
請求項3記載のコードレス電話システムの親機は、請求項2記載のコードレス電話システムの親機において、前記サーチ手段は、前記所定時間内に、所定回、サーチを実行するものであり、前記一時復帰手段は、前記動作停止手段または前記再停止手段による前記電波発生手段の動作の停止から数えて前記所定回目に相当するサーチが、前記1台もしくは複数台の子機において実行される間に、前記電波発生手段の動作を一時的に回復させて電波を発生させるものであることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載のコードレス電話システムの親機は、請求項2記載のコードレス電話システムの親機において、前記所定時間に対応した回復周期を決定する周期決定手段を備え、前記一時復帰手段は、前記周期決定手段により決定された回復周期で、前記電波発生手段の動作を回復させるものであることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載のコードレス電話システムの親機は、請求項4記載のコードレス電話システムの親機において、前記1台もしくは複数台の子機の種別を判別する子機種別判定手段を備え、前記周期決定手段は、前記子機種別判定手段により前記1台もしくは複数台の子機の全ての種別が既知であると判定された場合、前記1台もしくは複数台の子機に対応した所定時間のうち、最短の時間よりも短い周期を、前記回復周期として決定することを特徴とする。
【0016】
請求項6記載のコードレス電話システムの親機は、請求項4または5に記載のコードレス電話システムの親機において、前記周期決定手段は、前記電波発生手段による電波の発生を所定の試験周期毎で行う試験手段と、前記電波発生手段により電波を発生する毎に、前記1台もしくは複数台の子機との通信が確立されたかを判断する子機応答判断手段と、前記子機応答判断手段により1台または複数台の子機の全てとの通信が確立されたと判断される場合、前記試験周期を延長する延長手段とを備え、前記子機応答判断手段により前記1台もしくは複数台の子機のうち少なくとも1台の子機からの応答がないと判断されたときの試験周期よりも短い周期を、前記回復周期として決定することを特徴とする。
【0017】
請求項7記載のコードレス電話システムの親機は、請求項6記載のコードレス電話システムの親機において、前記延長手段による前記試験周期の延長を、所定の上限値までに制限する延長制限手段を備え、前記周期決定手段は、前記試験周期が前記延長制限手段により制限される所定の上限値に到達し、且つ、前記子機応答判断手段により前記1台もしくは複数台の全ての子機との通信が確立されたと判断された場合、前記所定の上限値を前記回復周期として決定することを特徴とする。
【0018】
請求項8記載のコードレス電話システムの親機は、請求項7記載のコードレス電話システムの親機において、前記1台もしくは複数台の子機の種別を判別する子機種別判定手段と、前記子機種別判定手段により前記1台もしくは複数台のうち少なくとも1台の子機の種別が既知であると判定した場合、その子機に対応した所定時間のうち、最短の時間よりも短い周期を、前記所定の上限値として設定する上限値設定手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項9記載のコードレス電話システムの親機は、請求項6から8のいずれかに記載のコードレス電話システムの親機において、前記周期決定手段により前記回復周期が決定されると、前記子機応答判断手段により通信が確立されないと判断された子機のサーチ停止を解除するように指示するメッセージを出力するメッセージ出力手段を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項10記載のコードレス電話システムの親機は、請求項9記載のコードレス電話システムの親機において、前記メッセージ出力手段により出力されるメッセージは、該当の子機の電池を一時的に取り外すように指示するメッセージであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載のコードレス電話システムの親機によれば、電波発生手段の動作を停止してから、1台もしくは複数台の子機において複数回のサーチが実行された後であって、且つ所定時間を経過する前に、電波発生手段の動作が一時的に回復させられて電波が発生される。よって、親機から発生される電波を間欠的にサーチするサーチ手段を備えた子機にとっては、サーチをしても親機からの電波を受信できない状態がしばらく継続することになるが、複数回のサーチを実行した後であって所定時間を経過する前に、親機において電波発生手段が一時的に回復させられて電波が発生されるので、その電波を受信することにより、子機におけるサーチの停止が抑制されるという効果がある。
【0022】
また、一時復帰手段により、電波発生手段の動作が一時的に回復させられた後は、再び電波発生手段の動作が停止されるので、親機における省電力効果が十分に得られるという効果がある。
【0023】
なお、1台もしくは複数台の子機とは、コードレス電話システムの親機と通信を行う子機が、1台であっても良いし、複数台であっても良いことを意味している。
【0024】
ここで、前記動作停止手段は、低消費電力モードで動作する場合に、前記電波発生手段の動作を停止するものであっても良い。このようにすれば、低消費電力モード動作時に、十分な省電力効果が得られる。
【0025】
また、前記コードレス電話システムの親機は、前記低消費電力モードが解除されることを条件として、前記電波発生手段の動作停止を終了し、前記電波発生手段の動作を再開する動作再開手段を備えるものであっても良い。低消費電力モードが解除されると、親機の電波発生手段が電波の発生を開始するが、このとき、子機はサーチを停止していないので、子機は、親機からの電波を受信することができ、親機と子機との間で、速やかに通信が確立するという効果がある。
【0026】
請求項2記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項1記載のコードレス電話システムの親機の奏する効果に加え、回復手段による動作回復の後、1台もしくは複数台の子機の全てとの通信が確立されたと判断されることを条件として、電波発生手段の動作が停止されるので、全ての子機においてサーチの停止が確実に抑制されるという効果がある。
【0027】
請求項3記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項2記載のコードレス電話システムの親機の奏する効果と同様の効果を奏する。さらに、前記一時復帰手段は、前記動作停止手段または前記再停止手段による前記電波発生手段の動作の停止から数えて所定回目に相当するサーチ、すなわち、前記所定時間内において最後に実行されるサーチが、前記1台もしくは複数台の子機において実行される間に、電波発生手段の動作を一時的に回復させて電波を発生させる。よって、子機がサーチを停止する直前になってから、電波発生手段の動作を回復させることができ、電波発生手段の動作回復頻度が低減されるので、さらなる省電力効果が得られるという効果がある。
【0028】
また、全ての子機との通信が確立された後、すぐに、電波発生手段の動作が停止させられるので、電波発生手段の動作時間を短くすることができ、さらなる省電力効果が得られるという効果がある。
【0029】
請求項4記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項2記載のコードレス電話システムの親機の奏する効果に加え、前記所定時間に対応した回復周期を決定する周期決定手段を備え、前記一時復帰手段は、前記周期決定手段により決定された回復周期で、電波発生手段の動作を回復させるので、子機がサーチを停止するまでの所定時間に応じた、適切なタイミングで、電波発生手段の動作を復帰させることができるという効果がある。
【0030】
請求項5記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項4記載のコードレス電話システムの親機の奏する効果に加え、前記周期決定手段は、前記子機種別判定手段により前記1台もしくは複数台の子機の全ての種別が既知であると判定された場合、種別が既知であると判定された1台もしくは複数台の子機に対応した所定時間のうち、最短の時間よりも短い周期が、前記回復周期として決定されるので、全ての子機のサーチの停止を抑制することができる適切な回復周期が、簡単な処理で決定されるという効果がある。
【0031】
請求項6記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項4または5に記載のコードレス電話システムの親機と同様の効果を奏する。また、電波発生手段による電波の発生が所定の試験周期毎で行われる。そして、電波発生手段により電波を発生する毎に、1台もしくは複数台の子機との通信が確立されたかが判断され、1台または複数台の子機の全てとの通信が確立されたと判断される場合、前記試験周期が延長される。そして、1台もしくは複数台の子機のうち少なくとも1台の子機からの応答がないと判断されたときの試験周期よりも短い周期が、回復周期として決定される。よって、全ての子機においてサーチの停止を確実に抑制することができる適切な回復周期を、決定することができるという効果がある。
【0032】
ここで、前記周期決定手段は、前記子機応答判断手段により前記1台もしくは複数台の子機のうち少なくとも1台の子機からの応答がないと判断されたときの試験周期よりも短い周期であって、その試験周期の1つ前に設定された試験周期以上の周期を、前記回復周期として決定するように構成されても良い。このようにすれば、全ての子機においてサーチの停止を確実に抑制することができると共に、可能な限り長い回復周期を決定し、より高い省電力効果を得ることができる。
【0033】
請求項7記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項6記載のコードレス電話システムの親機の奏する効果に加え、前記周期決定手段は、前記試験周期が前記延長制限手段により制限される所定の上限値に到達し、且つ、前記子機応答判断手段により前記1台もしくは複数台の全ての子機との通信が確立されたと判断された場合、前記所定の上限値を前記回復周期として決定するので、回復周期を短時間で決定することができるという効果がある。
【0034】
請求項8記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項7記載のコードレス電話システムの親機と同様の効果を奏する。さらに、前記子機種別判定手段により前記1台もしくは複数台のうち少なくとも1台の子機の種別が既知であると判定された場合、その子機に対応した所定時間のうち、最短の時間よりも短い周期が、前記所定の上限値として設定され、それ以上は試験周期が延長されないので、子機がサーチを停止する前に、回復周期が決定される可能性が高い。よって、回復周期を短時間で決定することができると共に、一旦サーチを停止した子機をサーチ可能な状態にリセットするという面倒な操作をユーザに行わせる必要を低減できるという効果がある。
【0035】
請求項9記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項6から8のいずれかに記載のコードレス電話システムの奏する効果に加え、周期決定手段により回復周期が決定されると、子機応答判断手段により通信が確立されないと判断された子機のサーチ停止を解除するように指示するメッセージが出力されるので、回復周期決定のために子機のサーチが停止されたことに、ユーザが気づき、適切な措置をとることができるという効果がある。
【0036】
請求項10記載のコードレス電話システムの親機によれば、請求項9記載のコードレス電話システムの親機の奏する効果に加え、メッセージ出力手段により出力されるメッセージは、該当の子機の電池を一時的に取り外すように指示するメッセージであるので、例えば、親機とは異なる製造メーカの子機が利用されており、サーチ停止を解除する方法が不明である場合であっても、確実にサーチ停止を解除できる方法を、ユーザに知らしめることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明のコードレス電話システムの親機の第1実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1と、子機51との外観構成を示した斜視図である。MFP1と子機51とからなるデジタルコードレス電話システムが、特許請求の範囲に記載のコードレス電話システムに相当する。
【0038】
MFP1および子機51は、無線通信300(図2参照)を介して通信可能に構成されている。MFP1は、MFP1および子機51が、無線通信300を介して通信可能に動作している通常モードか、あるいはMFP1における消費電力を削減することができる低消費電力モードで動作することができる。
【0039】
本実施形態では、MFP1が低消費電力モードで動作している場合、MFP1は、無線通信制御回路22(図2参照)へ供給されている電力が遮断することとしている。よって、無線通信制御回路22を動作させた状態で単に無線通信300を禁止する(停止させる)よりも消費電力を抑制することができる。
【0040】
無線通信制御回路22へ供給されている電力を遮断すると、無線通信300を行うことが不可能となるが、本実施形態のMFP1は、十分な省電力効果が得られると共に、子機におけるサーチの停止を抑制することができるように構成されている。詳細は後述する。
【0041】
まず、MFP1(親機)について説明する。MFP1は、電話機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種機能を有しており、電話機能による通話やファクシミリ機能によるデータ送信を行うために電話回線網100(図2参照)と接続されている。MFP1の上部には、ファクシミリ機能、スキャナ機能、又は、コピー機能の実行時に原稿を読み取るためのスキャナ17が配置されている。
【0042】
MFP1の筐体内部には記録用紙に画像を印刷する装置として、所謂インクジェットプリンタで構成されたプリンタ18が内蔵されている。プリンタ18は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを使用する印刷ヘッド、紙送り装置を備えカラー印刷を行う。
【0043】
MFP1の上面には、操作パネル6が設けられており、操作キー15、LCD16、スピーカ24、マイクロフォン26とを具備する。操作キー15には、低消費電力モード移行ボタン15aや、通常モード移行ボタン15bなどの各種ボタンが設けられている。
【0044】
MFP1が通常モードで動作している場合に、ユーザによって、低消費電力モード移行ボタン15aが押下されると、低消費電力モードが設定され、MFP1は低消費電力モードへと移行する。また、MFP1が低消費電力モードで動作している場合に、ユーザによって、通常モード移行ボタン15bが押下されると、低消費電力モードの設定が解除され、MFP1は通常モードへと移行する。
【0045】
また、ユーザは、操作キー15に設けられた各種キーを操作することによって、MFP1のスキャナ機能やコピー機能を利用することができる。LCD16には、操作手順や実行中の処理の状態が表示されると共に、操作方法を示す情報などが表示される。
【0046】
スピーカ24は、入力された電気信号を音に変換して発音するものであり、エラー発生時の注意音や、電話回線網100(図2参照)を介した外部装置(図示しない)からの着呼に応じて呼出音などが発音される。
【0047】
マイクロフォン26は、入力された音を音信号に変換して出力するものである。MFP1が電話回線網100(図2参照)介して外部装置(図示しない)と通話可能に接続されている場合、ユーザから発せられる音声は、このマイクロフォン26によって音信号に変換され、電話回線網100を介して外部装置へと送信される。
【0048】
操作パネル6の左方には、子機51を載置可能な子機用充電台30が一体的に設けられており、子機51が載置されている場合は、子機51の充電池57(図2参照)が充電される。
【0049】
次に、子機51について説明する。子機51の前面には、操作キー55とLCD56とが設けられている。操作キー55には、電話番号を入力するための数字ボタンなどの各種ボタンが設けられている。LCD56には、子機51の操作手順や通話の状態などが表示される。LCD56の上方には、スピーカ62が設けられている。スピーカ62は、MFP1のスピーカ24と同様に、注意音や呼出音などが発音される。
【0050】
子機51の前面の下方には、マイクロフォン64が設けられている。マイクロフォン64は、入力された音を音信号に変換して出力するものである。MFP1が電話回線網100(図2参照)介して外部装置(図示しない)と通話可能に接続されている場合、ユーザは子機51を用いて外部装置と通話を行うことができる。例えば、ユーザから発せられる音声は、このマイクロフォン64によって音信号に変換され、無線通信300および電話回線網100を介して外部装置へと送信される。
【0051】
次に、図2を参照して、MFP1(親機)および子機51の電気的構成について説明する。
【0052】
図2は、MFP1および子機51の電気的構成を示すブロック図である。まず、MFP1について説明する。MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、スキャナ17、プリンタ18、計時回路19、電力供給回路20、スイッチ21、無線通信制御回路22、スピーカ24、マイクロフォン26、NCU28、モデム29、子機用充電台30とを主に有している。
【0053】
CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14は、バスライン31を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、スキャナ17、プリンタ18、計時回路19、スイッチ21、無線通信制御回路22、スピーカ24、マイクロフォン26、NCU28、モデム29、バスライン31は、入出力ポート32を介して互いに接続されている。
【0054】
CPU11は、ROM12やRAM13やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム或いは、NCU28または無線通信制御回路22を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート32と接続された各部を制御するものである。
【0055】
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。図4のフローチャートに示す低消費電力モード処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。また、ROM12には、対応機種情報メモリ12aが設けられる。対応機種情報メモリ12aは、後述する低消費電力モード処理(図4参照)に対応した子機の機種、およびその機種に対応したタイムアウト時間が格納されたメモリである。なお、タイムアウト時間については、図3を参照して後述する。
【0056】
RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。フラッシュメモリ14は書換可能な不揮発性のメモリであり、このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。フラッシュメモリ14には、回復周期メモリ14aおよび使用子機登録メモリ14bが設けられている。
【0057】
回復周期メモリ14aは、回復周期が設定されるメモリである。MFP1は、低消費電力モードで動作する場合、無線通信制御回路22へ供給する電力を遮断するが、回復周期メモリ14aに設定された回復周期毎に、無線通信制御回路22へ電力を供給し、無線通信制御回路22を一時的に回復させる。回復周期については、図3を参照して後で詳細に説明する。なお、第1実施形態では、回復周期メモリ14aに設定される回復周期は、MFP1に予め設定されているものとして説明する。
【0058】
使用子機登録メモリ14bは、MFP1と通話する子機を特定するための子機IDや、その子機が、対応機種情報メモリ12aに記憶された既知の機種であるか否かを示す種別が登録されるメモリである。以下、この使用子機登録メモリ14bに情報が登録されている子機を、「登録されている子機」と称する。なお、第1実施形態では、使用子機登録メモリ14bには、1台の子機51の情報のみが登録されているものして説明するが、複数台の子機51の情報が、使用子機登録メモリ14b登録されても良い。
【0059】
計時回路19は、現在の日時を刻む時計機能を有するとともに、MFP1がキー入力や外部装置(図示しない)からの着呼を待つ待機時間などを計時する既知の回路である。
【0060】
電力供給回路20は、無線通信制御回路22が動作するために必要な電力を供給するための電源回路である。スイッチ21は、CPU11から入力される信号に従って、電力供給回路20から供給される電力を、無線通信制御回路22へ供給または遮断するものである。例えば、通常モード動作時には、CPU11からハイ信号が入力されると、スイッチ21がオンされ、電力供給回路20から無線通信制御回路22へ電力が供給される。一方、低消費電力モード動作時には、CPU11からロウ信号が入力され、スイッチ21がオフされ、電力供給回路20から無線通信制御回路22へ供給される電力が遮断されるので、動作を停止する。
【0061】
無線通信制御回路22は、無線通信用アンテナ23を有しており、子機51の無線通信制御回路60と無線通信300を行い、子機51との間でデータ通信や、音信号などの送受信を可能にする既知の回路である。通常モードでの動作中、無線通信制御回路22は、定期的に同期信号(特許請求の範囲に記載の電波の一例)を発生する。そして子機51は、この同期信号に基づいてMFP1との間で同期をとることにより、MFP1と子機52と間が通信可能な状態に保たれる。
【0062】
一方、通常モードから低消費電力モードへ移行すると、電力供給回路20から無線通信制御回路22への電力の供給が遮断され、無線通信制御回路22から同期信号が送信されず、MFP1と子機51との間の通信が遮断される。
【0063】
NCU28は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などの制御を行うものである。モデム29は、ファクシミリ機能により送信が指示された画像データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調してNCU28を介して送信したり、電話回線網100からNCU28を介して入力された信号を受信し、LCD16に表示したりプリンタ18で記録可能な画像データに復調するものである。
【0064】
次に、子機51の電気的構成について説明する。子機51は、CPU52、ROM53、RAM54、操作キー55、LCD56、充電池57、無線通信制御回路60、スピーカ62、マイクロフォン64とを主に有している。
【0065】
CPU52、ROM53、RAM54、操作キー55、LCD56、充電池57、無線通信制御回路60、スピーカ62、マイクロフォン64は、バスライン66を介して互いに接続されている。
【0066】
CPU52は、ROM53やRAM54に記憶される固定値やプログラム或いは、無線通信制御回路60を介して送受信される各種信号に従って、バスライン66により接続された各部を制御するものである。ROM53は、子機51で実行される各種の制御プログラムを記憶する書換不能なメモリである。
【0067】
上述したように、MFP1が低消費電力モードで動作される間、MFP1と子機51との間が通信不可能となると、CPU52は、このROM53に格納されたプログラムに従って、無線通信制御回路60の動作を一旦停止し、その後、間欠的に動作させる。これにより、子機51は、MFP1から発生される同期信号を間欠的にサーチすることができる。また、そのサーチにより同期信号が受信されない状態が継続すると、CPU52は、無線通信制御回路60の動作を停止させることにより、サーチの実行を停止するのであるが、詳細は、図3(a)を参照して、後述する。
【0068】
RAM54は各種のデータを一時的に記憶するための書換可能なメモリである。RAM54には、サーチカウンタ54aが設けられている。サーチカウンタ54aは、MFP1と子機51との通信が遮断されてからの経過時間を示すカウンタである。MFP1との通信が遮断されてからの時間が、子機51において予め定められたタイムアウト時間を経過したにも関わらず、MFP1からの同期信号が受信されないと、CPU52は、無線通信制御回路60の動作を停止し、サーチを停止する。
【0069】
なお、MFP1と子機51との通信が遮断されてから、サーチが停止されるまでの時間を、本明細書では、タイムアウト時間と称する。このタイムアウト時間は、特許請求の範囲に記載の「所定時間」に相当する時間である。
【0070】
充電池57は、MFP1の充電回路30bから供給される電力を蓄電するものである。充電池57に蓄電された電力は、子機51の各部へ動作電力として供給される。
【0071】
無線通信制御回路60は、無線通信用アンテナ61を有しており、MFP1の無線通信制御回路22と無線通信300を行い、MFP1から同期信号を受信し、または音信号などを送受信する既知の回路である。
【0072】
次に図3を参照して、上述のように構成されたMFP1の動作について説明する。図3(a)は、子機51の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図3(b)はMFP1と、MFP1に登録された子機51との動作タイミングを並べて示すタイミングチャートである。
【0073】
なお、図3(a)は、子機51の動作をより分かりやすく示すために添付したタイミングチャートであり、本発明を適用しない親機に登録されている子機51の動作タイミングを示している。
【0074】
図3(a)に示すように、例えば、親機が低消費電力モードへ移行することにより、同期信号の発生を停止すると、子機51は、親機との間の通信が遮断されたと判断し、親機から発生される同期信号を探すために、サーチを行う。子機51における消費電力節約のため、子機51は、間欠的にサーチを実行するものであり、予め定められたサーチ間隔を空けて、サーチを実行する。なお、図3および以降の図面においては、サーチ実行中の区間をグレー色で表している。また、図3(a)においては、サーチが実行される区間に、符号「S」を付しているが、全ての図面に符号を付すと、図面が見にくくなるので、以降の図面では、サーチの実行区間に、特に符号は付さない。
【0075】
子機51は、図3(a)に示すタイムアウト時間内に、例えば、13回のサーチを実行する。そして、そのタイムアウト時間内に、親機からの同期信号を受信できれば、その同期信号に基づいて、親機と同期をとる。
【0076】
一方、図3(a)に示すように、タイムアウト時間を経過しても、親機からの同期信号を受信できない場合、子機51は、無線通信制回路60の動作を停止し、サーチの実行を停止する。したがって、その後、MFP1の低消費電力モードが解除され、MFP1が同期信号の発生を再開されたとしても、子機51は、その同期信号を受信できず、子機51を使用することができない状態が継続する。
【0077】
これに対し、図3(b)に示すように、本実施形態のMFP1は、低消費電力モードの動作時において、回復周期メモリ14a(図2参照)に設定された回復周期毎に、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させて、同期信号を発生させることにより、子機のサーチの停止を抑制する。本明細書では、図3(b)に示すように、無線通信制御回路22の動作を停止させてから、次に、無線通信制御回路22の動作を開始するまでの間の時間を、回復周期と称している。
【0078】
図3に示すように、例えば、時間tにおいて、MFP1の無線通信制御回路22の動作を停止してから、子機51において、12回のサーチ(特許請求の範囲に記載の複数回のサーチ)が実行された後であって、且つタイムアウト時間を経過する前に(図3(b)においては時間t)、MFP1は、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させて同期信号を発生させる。
【0079】
その間に、子機51は、13回目のサーチを実行するので、子機51は同期信号を受信することができ、タイムアウト時間内に、MFP1との間の通信を確立できたと判断し、サーチを停止しない。
【0080】
さらに、子機51は、MFP1との間の通信を確立できたと判断した場合、サーチカウンタ54a(図12参照)の値を「0」とすると共に、MFP1に対し、応答信号を送信する(時間t参照)。そして応答信号を受信したMFP1は、子機との通信が確立されたと判断し、時間tに示すように、無線通信制御回路22の動作を再び停止する。このように、無線通信制御回路22の動作を再び停止することにより、MFP1における省電力効果が十分に得られる。
【0081】
また、無線通信制御回路22の動作停止に起因して、子機51は、再びサーチを開始することになるが、通信確立時に、サーチカウンタ54aの値が一旦「0」に戻されているので、次に、タイムアウト時間を経過するまでの間、サーチを停止せず、継続する。
【0082】
このように、本第1実施形態のMFP1によれば、子機51におけるサーチの停止を抑制することができるので、例えば、MFP1において、低消費電力モードの設定が解除され、通常モードで無線通信制御回路22を再開させるとき、子機51はサーチを停止しておらず、MFP1からの同期信号を受信可能な状態であるため、MFP1と子機との間で、速やかに通信が確立する。
【0083】
また、本第1実施形態のMFP1によれば、無線通信制御回路22の動作の停止(時間t,t)から数えて13回目に相当するサーチ、すなわち、タイムアウト時間内において最後に実行されるサーチが、子機51において実行される間に、無線通信制御回路22の動作が回復されるよう、予め回復周期が定められ、回復周期メモリ14aに設定されている。よって子機51がサーチを停止する直前に、無線通信制御回路22の動作が回復されるので、無線通信制御回路22の動作回復頻度が低減し、さらなる省電力効果が得られる。
【0084】
なお、第1実施形態では、説明を簡単にするために1台の子機51が登録されている場合について説明したが、複数台の子機が登録されている場合には、それら登録されている子機のタイムアウト時間のうち、最短のタイムアウト時間を有する子機を基準として、そのタイムアウト時間よりも短い回復周期を定め、回復周期メモリ14aに設定すれば良い。このようにすれば、登録された全子機について、サーチの停止を抑制することができる。
【0085】
次に、図4を参照し、上述したMFP1の動作を、フローチャートを用いて説明する。図4は、MFP1で実行される低消費電力モード処理を示すフローチャートである。
【0086】
まず、MFP1に登録されている子機51の種別を、使用子機登録メモリ14bから読み出し、その種別に基づいて、その子機が、対応機種情報メモリ12aに記憶された、既知の対応機種であるか否かを判断する(S2)。子機51の種別が、対応機種情報メモリ12aに記憶されていない場合(S2:No)、処理を終了する。
【0087】
一方、S2の判断が肯定される場合(S2:Yes)、ユーザによって、低消費電力モード移行ボタン15aが押下されることにより、低消費電力モードにセットされたか否かを判断する(S4)。S4の判断が否定される場合(S4:No)、処理を待機するが、S4の判断が肯定される場合(S4:Yes)、無線通信制御回路22への電力の供給を停止してその動作を停止する(S6)。これにより、MFP1は、低消費電力モードにセットされる。なお、低消費電力モードへの移行時は、無線通信制御回路22以外の他の機能部への電力も遮断するように構成されていても良い。
【0088】
次に、低消費電力モードが解除されたか否かを、ユーザによって、通常モード移行ボタン15bが押下されたか否かに基づいて判断する(S8)。S8の判断が肯定される場合(S8:Yes)、無線通信制御回路22への電力の供給を開始することにより、MFP1の低消費電力モードを解除し(S10)、S4の処理に戻る。
【0089】
一方、S8の判断が否定される場合(S8:No)、無線通信制御回路22の動作停止からの時間が、回復周期を経過したか否かを判断する(S12)。S12の判断が否定される場合(S12:No)、S8に戻り処理を繰り返す。
【0090】
一方、S12の判断が肯定されると(S12:Yes)、無線通信制御回路22の動作を回復させる(S14)。そして、S14の処理による無線通信制御回路22の動作回復の後、子機51との通信が確立されたか否かを、通信が確立された場合に子機51から送信される応答信号に基づいて判断する(S18)。S18の判断が否定される場合(S18:No)、無線通信制御回路22の動作を回復させたまま、待機する。
【0091】
一方、S18の判断が肯定されると(S18:Yes)、無線通信制御回路22への電力の供給を停止することにより、再び無線通信制御回路22の動作を停止する(S20)。すなわち、子機51との通信が確立されてから、無線通信制御回路22の動作を停止することができる。
【0092】
また、MFP1に、複数台の子機が登録されている場合には、その登録されている子機の全てとの通信が確立されたか否かを、S18で判断するように構成すれば良い。このようにすれば、全ての子機との間で通信が確立されてから、無線通信制御回路22の動作を停止することができ、全て子機のサーチ停止を確実に抑制できる。
【0093】
そして、S20の処理の後は、S8に戻り、処理を繰り返す。そして、S20の処理で、無線通信制御回路22の動作が停止されてからの時間が、予め定められた回復周期を経過する毎に、無線通信制御回路22の動作が回復させられる。S8からS20の処理は、低消費電力モードの解除が、ユーザによって指示されるまで、繰り返される。
【0094】
本第1実施形態のMFP1によれば、回復周期メモリ14aに予め設定された回復周期毎に、無線通信制御回路22の動作を回復させることにより、MFP1において、十分な省電力効果が得られると共に、子機におけるサーチの停止を抑制することができる。
【0095】
次いで、図5および図6を参照して、第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、子機51のタイムアウト時間に適した回復周期が、回復周期メモリ14aに予め設定されているものとして説明した。これに対し、第2実施形態では、ユーザに、所望の設定時間を入力させ、その入力された設定時間に基づいて、回復周期を決定するように構成されている。
【0096】
デジタルコードレス電話システムの共通規格DECT(Degital Enhanced Cordless Telecommunications)が使用される場合、どのような親機と子機との間でも通信が可能であるため、製造メーカが異なる子機や、タイムアウト時間が全く異なる子機がMFP1に登録される場合があり得る。本第2実施形態のMFP1は、以下に詳述するように、そのような子機51についても、サーチの停止を確実に抑制することができるように構成されている。
【0097】
なお、第2実施形態におけるMFP1の外観構成と電気的構成とは、第1実施形態におけるMFP1と同一のものであるとして説明を行う。以下、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0098】
図5(a)は、第2実施形態における子機51の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、図5(b)は第2実施形態のMFP1と、MFP1に登録された子機51との動作タイミングを並べて示すタイミングチャートである。
【0099】
なお、図5(a)は、子機51の動作を、より分かりやすく示すために添付したタイミングチャートであり、本発明を適用しない親機に登録されている子機51の動作タイミングを示している。
【0100】
図5(a)に示すように、第2実施形態の子機51は、例えば、時間t20から時間t21までの長さのタイムアウト時間を有する。そして第1実施形態で説明した子機51と同様に、タイムアウト時間内に、親機からの同期信号を受信できれば、その同期信号に基づいて、親機と同期をとる一方で、タイムアウト時間を経過しても、親機からの同期信号を受信できない場合、子機51は、サーチの実行を停止する。
【0101】
図5(b)に示すように、第2実施形態のMFP1は、第1実施形態と同様に、低消費電力モードの動作時において、回復周期メモリ14a(図2参照)に記憶された回復周期毎に、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させることにより、子機のサーチを抑制する点において第1実施形態のMFP1と共通するが、第2実施形態のMFP1は、回復周期を、ユーザによって入力される設定時間に基づいて決定する点が、第1実施形態のMFP1と異なっている。
【0102】
ここで、図5(b)を参照して、第2実施形態のMFP1において決定される回復周期について説明する。図5(b)に示すように、回復周期は、ユーザによって入力される設定時間STから、オン最大時間OTを減算することにより、決定される。
【0103】
設定時間STとしては、子機51のタイムアウト時間よりも短い時間を、ユーザに入力させる。なお、MFP1に複数台の子機が登録されている場合は、それら登録されている子機のタイムアウト時間のうち、最短のタイムアウト時間よりも短い時間を、ユーザに入力させる。
【0104】
オン最大時間OTは、MFP1のROM12に予め記憶された値であり、子機のサーチ間隔(すなわち、1回のサーチが終了してから、次のサーチが開始されるまでの間隔)の最大値よりも長い時間となるように、予め定められ、ROM12に記憶させる固定値である。第2実施形態で例示する子機のサーチ間隔の最大値は、10分であるものとして説明する。子機のサーチ間隔の最大値は、子機の機種によって様々に異なるが、十分に大きい値が、オン最大時間OTが、予め定められる。本実施形態では、オン最大時間OTが15分であるものとして説明する。
【0105】
このようにして決定された回復周期は、回復周期メモリ14aに設定される。そして、MFP1は、低消費電力モードでの動作時には、設定された回復周期毎に、無線通信制御回路22を動作させる。その結果、第2実施形態のMFP1においても、第1実施形態と同様に、子機51のタイムアウト時間に到達する前に、親機と子機との間の通信が確立され、子機のサーチが停止されない。
【0106】
第1実施形態で説明したように、子機51は、MFP1との間の通信を確立できたと判断した場合、サーチカウンタ54a(図12参照)の値を「0」とすると共に、MFP1に対し、応答信号を送信する。
【0107】
応答信号を受信しない場合、MFP1は、無線通信制御回路22の動作から、オン最大時間OTを経過するまでの間、無線通信制御回路22の動作を継続するように構成されている。しかしながら、上述したように、オン最大時間OTは、サーチ間隔よりも長い時間となるように定められているから、オン最大時間OTの間、子機51において、少なくとも一回のサーチが実行され、そのサーチによりMFP1と子機51との通信が確立され、応答信号が送信される。
【0108】
MFP1は、オン最大時間OTを経過する前に、子機51からの応答信号を受信した場合、MFP1は子機との通信が確立されたと判断し、時間t13に示すように、オン最大時間OTよりも、短い時間で、無線通信制御回路22の動作を停止する。よって、より高い省電力効果が得られる。
【0109】
次に、図6を参照し、第2実施形態のMFP1の動作を、フローチャートを用いて説明する。図6は、第2実施形態のMFP1で実行される低消費電力モード処理を示すフローチャートである。図6に示すように、第2実施形態の低消費電力モード処理は、S2の処理が設けられていない点、および、S62,S63,S64,S66の処理が追加されている点において、第1実施形態の低消費電力モード処理(図4参照)と異なる。図6に示すフローチャートにおいて、図4に示すフローチャートと同一の部分については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0110】
図6に示すように、第2実施形態の低消費電力モード処理では、まず、回復周期が、回復周期メモリ14aに設定されているか否かを判断する(S62)。S62の判断が肯定される場合(S62:Yes)、S4の処理に移行し、第1実施形態で説明したのと同様の処理を実行する。
【0111】
一方、S62の判断が否定される場合(S62:No)、次に、ユーザによって、設定時間入力モードへの移行が指示されたか否かを判断する(S63)。ユーザは、MFP1の操作キー15で所定の操作を行うことにより、設定時間入力モードへの移行を指示することができる。
【0112】
S63の判断が否定される場合(S63:No)、処理を待機する。一方、S63の判断が肯定される場合(S63:Yes)、ユーザにより設定時間STが入力されたか否かを判断する(S64)。S64の判断が否定される場合(S64:No)、処理を待機するが、S64の判断が肯定されると(S64:Yes)、設定時間STからオン最大時間OTを減算して得られる値を、回復周期として決定し、回復周期メモリ14aに設定する(S66)。
【0113】
すなわち、タイムアウト時間よりも短い設定時間をユーザに入力させ、入力された設定時間に基づいて、子機51のタイムアウト時間に対応した回復周期を決定することができる。
【0114】
そして、S4の処理に移行し、低消費電力モードへの移行が指示された場合には、無線通信制御回路22の動作を停止すると共に、決定された回復周期毎に、その動作を一時的に回復させる。
【0115】
第2実施形態のMFP1によれば、子機51のタイムアウト時間に応じた適切なタイミングで、無線通信制御回路22の動作を復帰させることができる。
【0116】
なお、第2実施形態のMFP1において、子機51のタイムアウト時間が、例えば、予め対応機種情報メモリ12a(図2参照)に記憶されていたり、あるいは、MFP1がインターネットに接続可能に構成され、インターネットを介して、子機51のタイムアウト時間が取得できる場合も考えられる。このような場合、そのタイムアウト時間より短い設定時間を、MFP1が自動で決定し、その設定時間からオン最大時間を減算することで、回復周期が決定されるように構成されていても良い。
【0117】
次いで、図7から図12を参照して、第3実施形態について説明する。上記第2実施形態では、子機51のタイムアウト時間よりも短い設定時間をユーザに入力させることにより、回復周期を決定するものとして説明した。これに対し、第3実施形態では、ユーザが、タイムアウト時間を知らなくても、適切な回復周期を設定することができるように構成されている。
【0118】
なお、第3実施形態におけるMFP1の外観構成と電気的構成とは、第1実施形態におけるMFP1と同一のものであるとして説明を行う。以下、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる点について説明する。また、説明を簡単にするために、本第3実施形態では、MFP1には、1台の子機51のみが登録されているものとして説明するが、複数台の子機が登録されている場合にも適用可能である。複数台の子機が登録されている場合については、特に必要がある部分のみ、説明を付け加えている。
【0119】
図7は、第3実施形態のMFP1において、子機51のタイムアウト時間を確認する互換性確認処理を実行する間における、MFP1と子機51との動作タイミングを並べて示すタイミングチャートである。
【0120】
図7に示すように、子機51のタイムアウト時間を確認する際、MFP1は、試験周期毎に無線通信制御回路22を動作させ、同期信号を発生させる。そして、その同期信号により、子機51との通信が確立される場合、その試験周期を延長する。
【0121】
例えば、時間t30に、無線通信制御回路22の動作を停止すると、一分間の試験周期の後(時間t31)に、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させる。そして、無線通信制御回路22から発生した同期信号に基づいて、子機51との通信が確立されると、時間t32において無線通信制御回路22の動作を停止する。
【0122】
そして、次に、二分間の試験周期の後(時間t33)、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させる。そして、無線通信制御回路22から発生した同期信号に基づいて、子機51との通信が確立されると、時間t34において無線通信制御回路22の動作を停止する。このような処理を、子機51との通信が確立できなくなるまでの間、繰り返す。
【0123】
図7において、時間t52は、試験周期80分の経過後であって、無線通信制御回路22の動作を一時的に回復させた時間を示している。これに対し、子機51ではサーチが実行され、通信が確立するので、MFP1は、時間t53において、無線通信制御回路22の動作を停止する。
【0124】
次に、80分の試験周期を延長し、90分とする。そして、時間t53から90分経過した、時間t54において、無線通信制御回路22の動作を回復させる。しかしながら、子機51は、時間t54においてタイムアウトし、サーチを停止している。よって、無線通信制御回路22の動作を回復させても、子機51との間で通信が確立されない。
【0125】
この結果、子機51のタイムアウト時間が80分より大であり、90分より小であることが判定できる。本第3実施形態のMFP1によれば、タイムアウト直前に設定された試験周期(図7に示す例では80分)に基づいて、タイムアウト時間に応じた回復周期を決定するのであるが、詳細は、図10を参照して後述する。
【0126】
なお、本第3実施形態のMFP1および後述する第4実施形態のMFP1で実行される互換性確認処理において、無線通信制御回路22の動作を継続するオン最大時間は、5分または、そのときに設定されている試験周期の1/2の長さ(最長は20分)であるものとする。
【0127】
図8は、試験周期メモリの構成の一例を示す図である。図8に示すように、試験周期メモリは、試験周期の値を格納するものであり、小さい値から順に読み出すことができる構成になっている。なお、試験周期メモリは、例えば、MFP1のフラッシュメモリ14に予め格納されている。
【0128】
第3実施形態のMFP1は、試験周期メモリから、読み出した値を試験周期として設定し、その試験周期に従って、無線通信制御回路22を動作させて、通信が確立されるか否かを判断する。通信が確立される場合は、MFP1は、試験周期メモリから次の値を読み出して、試験周期として設定し、処理を繰り返す。
【0129】
このようにすれば、子機51との間で通信が確立される毎に、試験周期を延長することができる。なお、本第3実施形態では、試験周期の上限値に相当する最終の値は500分としている。
【0130】
次に、図9を参照し、第3実施形態のMFP1の動作を、フローチャートを用いて説明する。図9は、第3実施形態のMFP1で実行される低消費電力モード処理を示すフローチャートである。図9に示すように、第3実施形態の低消費電力モード処理は、S2の処理が設けられていない点、および、S90,S92の処理が追加されている点において、第1実施形態の低消費電力モード処理(図4参照)と異なる。図9に示すフローチャートにおいて、図4に示すフローチャートと同一の部分については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0131】
図9に示すように、第3実施形態の低消費電力モード処理では、まず、回復周期が、回復周期メモリ14aに設定されているか否かを判断する(S90)。S90の判断が肯定される場合(S90:Yes)、S4の処理に移行し、第1実施形態で説明したのと同様の処理を実行する。
【0132】
一方、S90の判断が否定される場合(S90:No)、互換性確認処理を実行する(S92)。この互換性確認処理は、図7を参照して説明したように、試験周期毎に無線通信制御回路22を動作させることにより、子機のタイムアウト時間に対応した回復周期を決定する処理であるが、詳細は図10を参照して後述する。
【0133】
次に、S4の処理に移行し、低消費電力モードへの移行が指示された場合には、無線通信制御回路22の動作を停止すると共に、決定された回復周期毎に、その動作を一時的に回復させる。
【0134】
図10は、第3実施形態のMFP1で実行される互換性確認処理(S92)を示すフローチャートである。
【0135】
互換性確認処理(S92)では、まず、ユーザによって、互換性確認モードへの移行が指示されたか否かを判断する(S901)。ユーザは、MFP1の操作キー15で所定の操作を行うことにより、互換性確認モードへの移行を指示することができる。
【0136】
S901の判断が否定される場合(S901:No)、処理を待機する。一方、S901の判断が肯定される場合(S901:Yes)、MFP1に登録されている子機51の種別を、使用子機登録メモリ14b(図2参照)から読み出し、その種別に基づいて、その子機が、対応機種情報メモリ12aに記憶された、既知の対応機種であるか否かを判断する(S902)。なお、MFP1に複数台の子機が登録されている場合は、その登録された子機の全てが既知の対応機種であるか否かを判断する(S902)。
【0137】
S902の判断が肯定される場合(S902:Yes)、図11に示す処理に移行する。
【0138】
図11は、MFP1に登録されている全ての子機の種別が、既知の対応機種である場合に実行される処理を示すフローチャートである。図11に示すように、まず、登録された子機のタイムアウト時間のうち、最短の時間よりも短い周期を、回復周期として決定し、回復周期メモリ14a(図2参照)に設定する(S110)。このようにすれば、登録された全ての子機のサーチの停止を抑制することができる適切な回復周期が簡単に決定される。
【0139】
次に、LCD16(図1参照)に、「他社機が子機登録されていません」というメッセージを表示する(S112)。
【0140】
そして、互換性確認処理(S92)を終了することについて、ユーザが了解したか否かを判断する(S114)。S114の判断が否定される場合(S114:No)、処理を待機するが、S114の判断が肯定される場合(S114:Yes)、互換性確認処理(S92)を終了し、図9に示すS4の処理に戻り、設定された回復周期に従って、無線通信制御回路22を動作させる。
【0141】
図10に戻り説明する。S902の判断が否定される場合(S902:No)、試験周期として、試験周期メモリ(図8参照)の先頭の値を設定する(S904)。そして、無線通信制御回路22への電力の供給を停止してその動作を停止する(S906)。これにより、MFP1は、低消費電力モードに移行する。
【0142】
次に、無線通信制御回路22の動作停止からの時間が、現在で設定されている試験周期を経過したか否かを判断する(S908)。S908の判断が否定される場合(S908:No)、処理を待機する。
【0143】
一方、S908の判断が肯定されると(S908:Yes)、無線通信制御回路22の動作を回復させる(S910)。そして、S910の処理による無線通信制御回路22の動作回復の後、子機51との通信が確立されたか否かを判断する(S912)。なお、MFP1に複数台の子機が登録されている場合、S912の判断では、その複数台の子機全てとの通信が確立されたか否かを判断する。
【0144】
一方、S912の判断が肯定されると(S912:Yes)、次に、現在で設定されている試験周期が、試験周期メモリにおける上限値、すなわち最終の値(本実施形態では、例えば500分)であるか否かを判断する(S914)。
【0145】
S914の判断が肯定される場合(S914:Yes)、図12(b)に示す処理に移行するが、詳細は後述する。
【0146】
一方、S914の判断が否定される場合(S914:No)、試験周期メモリから次の値を読み出して、試験周期として設定することにより、試験周期を延長し(S916)、S906に戻り、処理を繰り返す。このようにすれば、無線通信制御回路22による同期信号の発生が、試験周期毎に行われ(S910)、無線通信制御回路22により同期信号を発生する毎に、登録された子機の全てとの間で、通信が確立されたかが判断され(S912)、S914の判断が否定される毎に(S914:No)、試験周期が延長される(S916)。
【0147】
そして、処理を繰り返す内にS912の処理において、オン最大時間を経過しても、子機との通信が確立されないと判断されると、図12(a)に示す処理に移行する。なお、複数台の子機が登録されている場合であって、その複数台のうち、1台でも通信が確立できない子機が存在した場合、S912の判断が否定される。
【0148】
図12(a)は、子機との通信が確立されない場合に実行される処理を示すフローチャートである。子機のタイムアウト時間よりも試験周期の方が長い場合、子機は、タイムアウト時間内に、MFP1からの同期信号を受信できず、サーチを停止している可能性が極めて高い。
【0149】
そこで、図12(a)に示すように、まず、現在で設定されている試験周期の1つ前に設定された試験周期の値を、回復周期として、回復周期メモリ14a(図2参照)に設定する(S120)。すなわち、登録された子機のうち、少なくとも1台の子機からの応答がないと判断されたときの試験周期の、1つ前に設定された試験周期を、回復周期として決定する。1つ前に設定された試験周期が用いられたときは、子機との通信が確立されていたから、この試験周期を回復周期として決定することにより、登録された全ての子機のサーチ停止を防止することができる。また、可能な限り長い回復周期を決定し、より高い省電力効果を得ることができる。
【0150】
次に、回復周期が決定されると、子機のサーチ停止を解除するように指示するメッセージを出力する(S122)。なお、このメッセージは、該当の子機の電池を一時的に取り外すように指示するメッセージである。具体的には、例えば、LCD16(図1参照)に、「互換性確認モードが終了しました。子機の電池を一度抜き、再度、電池をセットして下さい」というメッセージを表示する。
【0151】
このようにすれば、回復周期決定のためにする子機のサーチが停止されたことに、ユーザが気づき、適切な措置をとることができる。また、子機の電池を一時的に取り外すことにより、子機にリセットがかかり、サーチ停止状態を解除することができる。また、電池を一時的に取り外すようメッセージで指示することにより、例えば、MFP1とは異なる製造メーカの子機が登録されており、サーチ停止を解除する方法が不明である場合であっても、確実にサーチ停止を解除できる方法を、ユーザに知らしめることができる。
【0152】
なお、MFP1に複数台の子機が登録されている場合には、登録されている子機のうち、S912の判断で、通信が確立されていないと判断された子機のサーチ停止を解除するように、その子機を知らせるメッセージを、合わせて表示しても良い。
【0153】
次に、全ての子機との間で通信が確立されたか否かを判断する(S124)。このとき、無線通信制御回路22は動作を継続中であるので、子機のサーチ停止状態が解除されていれば、全ての子機との間で通信が確立する。S124の判断が否定される場合(S124:No)、処理を待機するが、子機のサーチ停止状態が解除されて、S124の判断が肯定されると(S124:Yes)、図9に示すS4の処理に戻り、設定された回復周期に従って、無線通信制御回路22を動作させる。
【0154】
次に、図12(b)を参照して、試験周期メモリにおける最終の値、すなわち、試験周期の上限値が設定されているにも拘わらず、全ての子機との通信が確立している場合について説明する。
【0155】
図12(b)は、全ての子機との通信が確立しており、且つ、現在で設定されている試験周期が、試験周期の上限値であると判断された場合(S914:Yes)、実行される処理である。
【0156】
この場合、登録された子機のタイムアウト時間は、試験時間の上限値よりも長いことが予測される。よって本第3実施形態では、図12(b)に示すように、試験周期メモリの最終の値(試験周期の上限値)を、回復周期として決定し、回復周期メモリ14aに設定する(S126)。
【0157】
次に、LCD16(図1参照)に、「互換性確認モードが終了しました」というメッセージを表示する(S128)。
【0158】
そして、互換性確認処理(S92)を終了することについて、ユーザが了解したか否かを判断する(S130)。S130の判断が否定される場合(S130:No)、処理を待機するが、S130の判断が肯定される場合(S130:Yes)、互換性確認処理(S92)を終了し、図9に示すS4の処理に戻り、設定された回復周期に従って、無線通信制御回路22を動作させる。
【0159】
このように、第3実施形態においても、子機51のタイムアウト時間に対応した回復周期で、無線通信制御回路22の動作を回復させるので、子機51がサーチを停止するまでに要するタイムアウト時間に応じた、適切なタイミングで、無線通信制御回路22の動作を復帰させることができる。
【0160】
次いで、図13から図17を参照して、第4実施形態について説明する。本第4実施形態は、1台もしくは3台以上の子機が登録されている場合にも適用可能であるが、説明を簡単にするために、MFP1には、子機51と子機52との2台が登録されているものとして説明する。
【0161】
なお、第4実施形態におけるMFP1の外観構成と電気的構成とは、第1実施形態から第3実施形態におけるMFP1と同一のものであるとして説明を行う。
【0162】
また、本第4実施形態は、第3実施形態と同様に、登録された子機のタイムアウト時間を確認する互換性確認処理(図16参照)を実行するものであるが、第3実施形態の互換性確認処理では、試験周期の上限値は、予め定められた固定値であった。これに対し、本第4実施形態の互換性確認処理は、既知の子機のタイムアウト時間に基づいて、試験周期の上限値を設定するものである点において、第3実施形態と異なっている。以下の説明では、第3実施形態と同じ部分については同一の符号を付して説明を省略し、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0163】
図13は、MFP1に登録された子機51,52の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図13に示すように、子機51,52は、親機との通信が遮断されると、それぞれサーチを開始するが、子機51と子機52とでは、タイムアウト時間が異なる場合がある。図13には、子機51のタイムアウト時間が、時間t60から時間t62までであり、子機52のタイムアウト時間が、時間t60から時間t61までである例を示している。
【0164】
図14は、MFP1において互換性確認処理が実行されるときの、MFP1および子機51,52の動作タイミングを示すタイミングチャートである。第4実施形態で実行される互換性確認処理も、基本的には、第3実施形態の互換性確認処理と同様に、子機51,52のいずれかが、タイムアウトしたか否かを判断し、いずれの子機もタイムアウトしていない場合、試験周期を延長する。
【0165】
図14に示す例では、試験周期が、時間t78から時間t79までの長さとなったとき、子機51はタイムアウトしないが、子機52はタイムアウトする。よって、互換性確認処理では、この試験周期より、1つ前に設定された試験周期(時間t76から時間t77までの時間)を、回復周期として設定する。
【0166】
図15は、上述のように回復周期が決定された後、子機52のサーチ停止状態を解除した場合における、MFP1および子機51,52の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図15に示すように、MFP1が、決定された回復周期毎に無線通信制御回路22を動作させることにより、子機51および子機52のサーチの停止が抑制される。
【0167】
図16は、第4実施形態のMFP1で実行される互換性確認処理(S16)を示すフローチャートである。この互換性確認処理(S16)は、図9のフローチャートに示す、互換性確認処理(S92)に代えて実行される処理である。
【0168】
図16に示すように、第4実施形態の互換性確認処理(S92)は、第3実施形態の互換性確認処理(S16)にS160、S162の処理が追加されている点において異なるが、他の部分は、第3実施形態の互換性確認処理(S92)と同一である。よって、図16に示すフローチャートにおいて、図10に示すフローチャートと同一の部分については、共通の符号を付して説明を省略する。
【0169】
S160、S162は、試験周期の上限値を設定する処理である。まず、登録された子機のうち、少なくとも1台の子機の種別が既知であるか否かを判定する(S160)。S160の判断が否定される場合(S160:No)、S162の処理をスキップするが、S160の判断が肯定される場合(S160:Yes)、種別が既知であると判断された子機、すなわち対応機種である子機のタイムアウト時間のうち、最短のタイムアウト時間よりも長い値を図8に示した試験周期メモリから一時的に消去し、試験周期の上限値を設定する(S162)。このときに、試験周期メモリの末尾に、最短のタイムアウト時間よりわずかに短い時間(例えば30秒)を加えても良い。
【0170】
そして、このように設定された試験周期の上限値を用いて、子機51,52のいずれかがタイムアウトするまで試験周期を延長する、S906からS916の処理を繰り返す。試験周期の上限値に到達する前に、S912の判断が否定される場合(S912:No)、すなわち、いずれかの子機がタイムアウトした場合には、図12(a)を参照して説明したように、回復周期が決定される。
【0171】
一方、いずれの子機もタイムアウトせずに、試験周期が上限値に到達し、試験周期が上限値に到達してもなお、全ての子機との通信が確立されていると判断された場合、試験周期の上限値を、回復周期として決定する(S126)(図12(b)参照)。
【0172】
図17を参照して、第4実施形態のMFP1に、タイムアウト時間が未知の子機53と、タイムアウト時間が既知の子機54とが登録されている場合について説明する。図17は、第4実施形態のMFP1と、そのMFP1に登録された子機53,54の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0173】
ここで、既知である子機54のタイムアウト時間(例えば30分)よりも、わずかに短い時間が、試験周期の上限値として設定される。一方、未知である子機53のタイムアウト時間は、実際には、例えば、45分であるとする。
【0174】
この場合、例えば、時間t92において、試験周期が上限値に到達したが、時間t93において、全ての子機との通信が確立されていると判断された場合、その試験周期の上限値を回復周期として、そのまま処理が継続される。
【0175】
このように、本第4実施形態によれば、登録されている子機のタイムアウト時間よりも短い値が、試験周期の上限値として設定され、それ以上は試験周期が延長されないので、子機がタイムアウトする前に、回復周期が決定される可能性が高い。よって、回復周期を短時間で決定することができると共に、子機をリセットするという面倒な操作をユーザに行わせる必要を低減させることができる。
【0176】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】本発明の実施形態におけるMFPと、子機との外観構成を示した斜視図である。
【図2】MFPおよび子機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】(a)は、子機の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(b)はMFPと、MFPに登録された子機との動作タイミングを並べて示すタイミングチャートである。
【図4】第1実施形態のMFPで実行される低消費電力モード処理を示すフローチャートである。
【図5】(a)は、第2実施形態における子機の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(b)は第2実施形態のMFPと、MFPに登録された子機との動作タイミングを並べて示すタイミングチャートである。
【図6】第2実施形態のMFPで実行される低消費電力モード処理を示すフローチャートである。
【図7】第3実施形態のMFPにおいて、子機のタイムアウト時間を確認する互換性確認処理を実行する間における、MFPと子機との動作タイミングを並べて示すタイミングチャートである。
【図8】試験周期メモリの構成の一例を示す図である。
【図9】第3実施形態のMFPで実行される低消費電力モード処理を示すフローチャートである。
【図10】第3実施形態のMFPで実行される互換性確認処理を示すフローチャーである。
【図11】第3実施形態のMFPにおいて、登録されている全ての子機の種別が、既知の対応機種である場合に実行される処理を示すフローチャートである。
【図12】(a)は、第3実施形態のMFPにおいて、子機との通信が確立されない場合に実行される処理を示すフローチャートであり、(b)は、全ての子機との通信が確立しており、且つ、現在で設定されている試験周期が、試験周期の上限値であると判断された場合に、実行される処理である。
【図13】第4実施形態のMFPに登録された子機の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図14】第4実施形態のMFPにおいて互換性確認処理が実行されるときの、MFPおよび子機の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図15】子機のサーチ停止状態を解除した場合における、第4実施形態のMFPおよび子機の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図16】第4実施形態のMFPで実行される互換性確認処理を示すフローチャートである。
【図17】第4実施形態のMFPと、そのMFPに登録された子機との動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0178】
22 無線通信制御回路(電波発生手段の一例)
52 CPU(サーチ手段、サーチ停止手段の一例)
S2 子機種別判定手段の一例
S6 動作停止手段の一例
S14〜S20 一時復帰手段の一例
S14 回復手段の一例
S18 判断手段の一例
S20 再停止手段の一例
S66 周期決定手段の一例
S92 周期決定手段の一例
S120 周期決定手段の一例
S122 メッセージ出力手段の一例
S110 周期決定手段の一例
S160 子機種別判定手段の一例
S162 上限値設定手段の一例
S910 試験手段の一例
S912 子機応答判断手段の一例
S916 延長手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機から発生される電波を間欠的にサーチするサーチ手段と、そのサーチ手段により電波が受信されない状態が所定時間継続した後、前記サーチ手段によるサーチの実行を停止するサーチ停止手段とを有する1台もしくは複数台の子機と通信を行う、コードレス電話システムの親機であって、
前記電波を発生する電波発生手段と、
その電波発生手段の動作を停止する動作停止手段と、
その電波発生手段の動作を停止してから、1台もしくは複数台の子機において複数回のサーチが実行された後であって、且つ前記所定時間を経過する前に、前記電波発生手段の動作を一時的に回復させて電波を発生させ、再び前記電波発生手段の動作を停止する一時復帰手段とを備えることを特徴とするコードレス電話システムの親機。
【請求項2】
前記一時復帰手段は、
前記電波発生手段の動作を回復させる回復手段と、
その回復手段による動作回復の後、前記1台もしくは複数台の子機との通信が確立されたかを判断する判断手段と、
その判断手段により前記1台もしくは複数台の子機の全てとの通信が確立されたと判断されることを条件として、前記電波発生手段の動作を停止する再停止手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項3】
前記サーチ手段は、前記所定時間内に、所定回、サーチを実行するものであり、
前記一時復帰手段は、前記動作停止手段または前記再停止手段による前記電波発生手段の動作の停止から数えて前記所定回目に相当するサーチが、前記1台もしくは複数台の子機において実行される間に、前記電波発生手段の動作を一時的に回復させて電波を発生させるものであることを特徴とする請求項2記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項4】
前記所定時間に対応した回復周期を決定する周期決定手段を備え、
前記一時復帰手段は、前記周期決定手段により決定された回復周期で、前記電波発生手段の動作を回復させるものであることを特徴とする請求項2記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項5】
前記1台もしくは複数台の子機の種別を判別する子機種別判定手段を備え、
前記周期決定手段は、前記子機種別判定手段により前記1台もしくは複数台の子機の全ての種別が既知であると判定された場合、前記1台もしくは複数台の子機に対応した所定時間のうち、最短の時間よりも短い周期を、前記回復周期として決定することを特徴とする請求項4記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項6】
前記周期決定手段は、
前記電波発生手段による電波の発生を所定の試験周期毎で行う試験手段と、
前記電波発生手段により電波を発生する毎に、前記1台もしくは複数台の子機との通信が確立されたかを判断する子機応答判断手段と、
前記子機応答判断手段により1台または複数台の子機の全てとの通信が確立されたと判断される場合、前記試験周期を延長する延長手段とを備え、
前記子機応答判断手段により前記1台もしくは複数台の子機のうち少なくとも1台の子機からの応答がないと判断されたときの試験周期よりも短い周期を、前記回復周期として決定することを特徴とする請求項4または5に記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項7】
前記延長手段による前記試験周期の延長を、所定の上限値までに制限する延長制限手段を備え、
前記周期決定手段は、前記試験周期が前記延長制限手段により制限される所定の上限値に到達し、且つ、前記子機応答判断手段により前記1台もしくは複数台の全ての子機との通信が確立されたと判断された場合、前記所定の上限値を前記回復周期として決定することを特徴とする請求項6記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項8】
前記1台もしくは複数台の子機の種別を判別する子機種別判定手段と、
前記子機種別判定手段により前記1台もしくは複数台のうち少なくとも1台の子機の種別が既知であると判定した場合、その子機に対応した所定時間のうち、最短の時間よりも短い周期を、前記所定の上限値として設定する上限値設定手段とを備えることを特徴とする請求項7記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項9】
前記周期決定手段により前記回復周期が決定されると、前記子機応答判断手段により通信が確立されないと判断された子機のサーチ停止を解除するように指示するメッセージを出力するメッセージ出力手段を備えることを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載のコードレス電話システムの親機。
【請求項10】
前記メッセージ出力手段により出力されるメッセージは、該当の子機の電池を一時的に取り外すように指示するメッセージであることを特徴とする請求項9記載のコードレス電話システムの親機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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