説明

コード読取装置およびコード読取方法

【課題】用紙に印刷されたコードの印刷品質が劣悪であっても、コード読取の精度を向上し、コード読取時間の短縮を実現することのできるコード読取装置を提供する。
【解決手段】用紙に印刷されたコードを読み取るコード読取装置100であって、用紙を撮像して画像データを取得する撮像部111と、印刷精度印の有無を判断する印刷精度印有無判断部102と、印刷精度印があると判断された場合、画像データにおけるコード部位を含む範囲について所定の画像処理を行い加工データを作成する画像処理部103と、画像データもしくは加工データのコード部位からコードの種類を判別し、コードのデコード処理を行うデコード処理部104とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルや伝票等の複写用紙に印刷、又は複写されたバーコード、2次元コード等のコード情報を読み取るコード読取装置およびコード読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、店舗において販売する商品や輸送業務における輸送物の管理を行うために、ラベルや伝票等の複写用紙に印刷されたバーコード、2次元コード等のコード情報を読み取るコード読取装置が用いられている。このコード読取装置は、一般に、光源から記録媒体に読取光を照射しイメージセンサで走査して電気信号に変換し、画像処理を施してデコード処理するものである。
【0003】
例えば、バーコードや2次元コード等のコード情報を印刷する複写用紙は、図7(a)に示すように、裏カーボン紙や感圧紙を複数枚重ねて構成され、インパクトプリンタを用いて最上位の用紙31に文字情報と同時に、図7(b)に示すようなバーコード311を印刷し、下位用紙32にこれらを複写している。ところが、複写されたバーコードは、図7(c)に示すように、下位用紙ほどぼやけてしまい、コード読取装置によるバーコードの読み取りが不安定となり、リトライ等を行わなければならない状況となり、結果的に読取時間が増加することになる。
【0004】
このため、下位用紙を読み取った際のバーコード部位を含む画像データについて、鮮鋭化処理等の画像処理を施して読取精度を上げることが行われるが、画像処理に時間を要することになってしまう。
【0005】
また、複写用紙において、バーコードのみを下位用紙ごとに印刷するようにした例があるが、この例では、バーコードの印刷機構が複雑になると共に、印刷に時間を要することになってしまう。
【0006】
下位用紙の複写によって劣化したバーコードの読取精度を向上させるために行う画像処理の例としては、読取対象領域の濃淡コントラストを算出し、これが所定の閾値を下回った際に警告を発するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−54645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この例は、コード情報が読取不能になる前に、必要な措置を講ずることができるようにするためのもので、複写用紙の下位用紙に複写されたコード、特に二次元コードの品質レベルが劣悪なものである場合には、コード内容をご認識したり、コードの読み取りに時間を要してしまう等の事情がある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、用紙に印刷されたコードの印刷品質が劣悪であっても、コード読取の精度を向上し、コード読取時間の短縮を実現することのできるコード読取装置およびコード読取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1のコード読取装置は、用紙に印刷されたコードを読み取るコード読取装置であって、前記用紙を撮像して前記コードの部位を含む画像データを取得する撮像部と、前記コード部位の印刷品質レベルを示す印刷精度印の有無を判断する精度印有無判断部と、前記精度印有無判断部によって前記印刷精度印があると判断された場合、前記画像データにおける前記コード部位を含む範囲について所定の画像処理を行い加工データを作成する画像処理部と、前記画像データのコード部位、もしくは前記加工データのコード部位から前記コードの種類を判別し、前記コードのデコード処理を行うデコード処理部とを有する構成としている。
【0010】
この構成により、上位の用紙に鮮明に印刷されたコードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間でコードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写されたコードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0011】
また、本発明の第2のコード読取装置は、前記画像データから前記コード部位を抽出する画像コード部位抽出部を有し、前記画像処理部が、前記精度印有無判断部によって前記印刷精度印があると判断された場合、前記コード部位について所定の画像処理を行い加工データを作成する構成としている。
【0012】
この構成により、画像データに対して画像処理を行う前に画像データからコード部位を抽出しているため、より画像処理における処理負荷を軽減し、画像処理時間を短縮することが可能である。
【0013】
また、本発明の第3のコード読取装置は、前記加工データから前記コード部位を抽出する加工コード部位抽出部を有し、前記画像処理部が、前記精度印有無判断部によって前記印刷精度印があると判断された場合、前記画像データ全体について所定の画像処理を行い加工データを作成する構成としている。
【0014】
この構成により、画像データに対して画像処理を行った後にコード部位を抽出しているため、画像データ中のコード部位抽出を容易に行うことができる。
【0015】
また、本発明の第4のコード読取装置は、前記精度印有無判定部が、複数種類の前記印刷制度印について、前記複数種類を区別する構成としている。
【0016】
この構成により、コードを読み取る対象の用紙が何枚目の下位用紙であり、その複写品質レベルがどの程度であるかを区別することができるので、複写されたコードの品質に応じて最適な画像処理を行うことが可能となる。従って、下位用紙が複数枚であっても、それぞれに複写されたコードついてコード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0017】
また、本発明の第5のコード読取装置は、前記印刷精度印が、前記用紙の所定の領域を囲む枠である。
【0018】
この構成により、コードを読み取る対象の用紙に予め印刷された枠により判断することできるので、不鮮明に複写されたコードを読み取る際に、最適な画像処理を行うことによってコード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0019】
また、印刷精度印は、用紙に印刷されたコードの色であってもよい。これにより、コードを読み取る対象の用紙に予め印刷されたコードの色により判断することできるので、不鮮明に複写されたコードを読み取る際に、最適な画像処理を行うことによってコード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0020】
また、本発明の第6のコード読取装置は、前記コードが、バーコードである構成としている。
【0021】
この構成により、上位の用紙に鮮明に印刷されたバーコードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間でバーコードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写されたバーコードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0022】
また、コードは、2次元コードであってもよい。これにより、上位の用紙に鮮明に印刷された2次元コードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間で2次元コードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写された2次元コードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0023】
また、コードは、画像コードであってもよい。これにより、上位の用紙に鮮明に印刷された画像コードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間で画像コードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写された画像コードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0024】
また、コードは、数字であってもよい。これにより、上位の用紙に鮮明に印刷された数字コードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間で数字コードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写された数字コードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0025】
また、コードは、文字であってもよい。これにより、上位の用紙に鮮明に印刷された文字コードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間で文字コードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写された文字コードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【0026】
また、本発明の第1のコード読取方法は、用紙に印刷されたコードを読み取るコード読取方法であって、前記用紙が撮像され前記コードの部位を含む画像データが取得されるステップと、前記コード部位の印刷品質レベルを示す印刷精度印の有無が判断される精度印有無判断ステップと、前記精度印有無判断ステップにおいて前記印刷精度印があると判断された場合、前記画像データにおける前記コード部位を含む範囲について所定の画像処理が行われ加工データが作成されるステップと、前記画像データのコード部位、もしくは前記加工データのコード部位から前記コードの種類が判別され、前記コードのデコード処理が行われるステップとを有する方法としている。
【0027】
この方法により、上位の用紙に鮮明に印刷されたコードを読み取る際には、最も簡易な画像処理を行って短時間でコードをデコード処理することができる。また、下位用紙に不鮮明に複写されたコードを読み取る際には、複写品質を判断して、最適な画像処理を行うことにより、コード読取における精度向上を図ることができるとともに、リトライ回数を少なくして読取時間を短縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、用紙に印刷されたコードの印刷品質が劣悪であっても、コード読取の精度を向上し、コード読取時間の短縮を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態におけるコード読取装置について説明する。本発明の実施形態では、店舗において販売する商品や輸送業務における輸送物の管理を行うために、物品に添付されたラベル又は伝票等の複写用紙に印刷、又は複写されたバーコードやQRコード等の2次元コードを読み取り可能なコード読取装置を例示する。
【0030】
また、本発明の実施形態における複写用紙は、図6(a)に示すように、裏カーボン紙や感圧紙を複数枚重ねて構成され、インパクトプリンタ等を用いて最上位の用紙31に文字情報とバーコード311を印刷し、下位用紙にこれらを同時に複写したものである。さらに、下位用紙32には、図6(b)に示すように、予め下位用紙に複写されるバーコード321の複写品質レベルを表す印刷精度印322が印刷されている。この印刷精度印322は、例えば、特定のマーク、或いは特定の領域を囲む枠である。また、複写される際に特定の色で発色したコードの色であってもよい。また、印刷精度印322は最上位の用紙31に印刷されていてもよい。
【0031】
次に外観斜視図を用いて説明を行う。
図1は本発明の実施形態におけるコード読取装置100を表面側から見た状態を示す外観斜視図である。図2は本発明の実施形態におけるコード読取装置100を裏面側から見た状態を示す外観斜視図である。
【0032】
図1に示すように、本実施形態のコード読取装置100は、筐体10の表面側に、液晶ディスプレイからなり各種情報を表示する表示部12、バーコードや2次元コードなどのコードの読み取り動作を開始させるトリガスイッチ13、テンキーやファンクションキーからなり使用者の操作によって情報を入力するキーボード14、コードの読み取りを確認するための読取確認ランプ15、コード読取が終了したことを報知するブザー口16、携帯端末装置や集配信装置、携帯プリンタ等の周辺機器との間で情報通信を行う赤外線を用いた光通信インタフェースコネクタ17、外部メモリとしてのメモリカードを収納するためのメモリカードスロット18、外部から給電を行うための給電端子20等を有して構成されている。
【0033】
また、図2に示すように、筐体10の裏面側には、横長のスキャナ読取口11、電池が収納される筐体10の凹部を塞ぐ電池カバー19等を有して構成されている。スキャナ読取口11からは、図示しないマーカ用レーザ光及びLED照明光を読取対象である用紙のコード部位を含む範囲へ照射し、反射光を入射してイメージセンサで受光する。
【0034】
次に、コード読取装置100の装置構成例に関してブロック図を用いて説明する。図3は本発明の実施形態におけるコード読取装置100の構成ブロック図である。
【0035】
コード読取装置100は、制御部110、撮像部111、照明部112、赤色光マーカー113、通信部A114および通信部B115、時計部116、メモリ117、メモリカードスロット118、表示部119、キーボード120、ブザー121、LED122、給電部123、2次電池124を有する。コード読取装置100としては、ハンディターミナル等を想定している。
【0036】
制御部110は、不図示のCPU及びRAM、ROM等の周辺回路からなり、ROMに記憶されたOSや、コード部位の画像処理やデコード処理などのためのプログラムソフトウエアによって装置各部を統括制御する。また、制御部110は、撮像部111、照明部112、赤色光マーカー113、通信部A114、通信部B115、時計部116、メモリ117、メモリカードスロット118、表示部119、キーボード120、ブザー121、LED22の制御を行う。
【0037】
撮像部111は、イメージセンサーユニット等を想定しており、画像を撮像する。また撮像部111は、複写用紙などの用紙からの反射光を結像レンズを介して受光し、電気信号に変換して複写用紙などの用紙のコード部位を含む画像のデータを生成する。
【0038】
照明部112は、イメージセンサー用照明であり、暗所において撮影対象を照射する。赤色光マーカー113は、撮影範囲を赤色光で照射する。通信部A114は、LAN(LOCAL AREA NETWORK)に接続しているクレードルやプリンタに対して、IrDAによる赤外線通信を行う。通信部B115は、LANに接続しているアクセスポイントやプリンタに対して、Bluetoothによる無線通信を行う。
【0039】
時計部116は、時刻情報を制御部110へ供給する。メモリ117は、各種情報を記憶、保持する。例えば、メモリ117は、ラベルや伝票に固有の情報や後述するデコード処理部104によってデコードした読取データなどを記憶する。メモリ117に記憶された情報は、通信部114、115を介して携帯端末装置や携帯プリンタ等の周辺機器、及び上位機器に送信することが可能である。
【0040】
メモリカードスロット118は、外部記憶装置などのSDメモリカードを接続するためのスロットであり、これにより各種情報を外部メディアへの記録および外部メディアからの情報読み込みが可能となる。表示部119は、LCD(液晶ディスプレイ)などを想定しており、画像や文字などの各種情報を表示する。キーボード120は、各種情報の入力を行う。ブザー121は、例えばコードの読み取りに成功したときなどに鳴動する。LED122は、例えばコードの読み取りに成功したときなどに発光する。給電部123は、2次電池124から供給される電力を最適な電圧に変換し、符号110〜122の各部に電力を供給する。
【0041】
また、制御部110はさらに、コード部位抽出部101、印刷精度印有無判定部102、画像処理部103、デコード処理部104を有する。
【0042】
コード部位抽出部101は、撮像部111で生成された画像データからコード部位を探索し、見つかった場合にこれを抽出する。また、印刷精度印有無判定部102は、撮像部111で生成された画像データ中に複写用紙の例えば下位用紙に印刷された印刷精度印を示すデータがあるか否かを判定する。
【0043】
画像処理部103は、コード部位抽出部102によって抽出したコード部位の画像データに対し、デコード処理を容易にするために鮮鋭化等の画像処理を施す。この鮮鋭化処理の詳細については後述する。
【0044】
尚、上記においてはコード部位抽出部101によるコード部位抽出を先に行い、続いて画像処理部103による画像処理を行っているが、先に画像処理部103による画像処理を画像データ全体に対して行い、その後に画像処理後のデータからコード部位抽出部102がコード部位を抽出するようにしてもよい。
【0045】
デコード処理部104は、画像処理部103で画像処理が施された画像データや撮像部111で生成された画像データをデコードし、バーコードや2次元コードの読取データとしてメモリ117に記憶する。
【0046】
ここで、画像処理部103が行う画像の鮮鋭化処理に関して具体的に説明する。本実施形態においては、鮮鋭化処理を行うための鮮鋭化フィルタとして、例えば4方向ラプラシアンフィルタ、8方向ラプラシアンフィルタを使用する。
【0047】
4方向ラプラシアンフィルタは、次のような式で表されるものである。
g(i,j)=f[i,j]−∇
=5f[i,j]−(f[i−1,j]+f[i+1,j]+f[i,j−1]+f[i,j+1])
【0048】
4方向ラプラシアンフィルタを図8(a)を用いて視覚的に説明すると、図8(a)の中央の画素に対し、図8(a)の全9画素を足しこんだ値を中央の画素に割り当てることによって作成されるフィルタである。図8(a)は本発明の実施形態における4方向ラプラシアンフィルタを説明するための図である。
【0049】
また、8方向ラプラシアンフィルタは、次のような式で表されるものである。
g(i,j)=f[i,j]−∇
=9f[i,j]−(f[i−1,j]+f[i+1,j]+f[i,j−1]+f[i,j+1]+f[i−1,j−1]+f[i+1,j−1]+f[i+1,j+1]+f[i−1,j+1])
【0050】
8方向ラプラシアンフィルタを図8(b)を用いて視覚的に説明すると、図8(b)の中央の画素に対し、図8(b)の全9画素を足しこんだ値を中央の画素に割り当てることによって作成されるフィルタである。図8(b)は本発明の実施形態における8方向ラプラシアンフィルタを説明するための図である。
【0051】
ラプラシアンフィルタを用いることで、原画素に対し、上下左右のラプラシアン(2次微分)を引くことにより、エッジ部分の濃度変化が強調され、鮮鋭化された画像を作成することが可能となる。尚、4方向ラプラシアンフィルタよりも8方向ラプラシアンフィルタを使用した画像処理を行った方が、画像の鮮鋭化強度は大きくなる。
【0052】
次に、以上のように構成された本実施形態のコード読取装置100の動作について、図4〜図6を用いて説明する。図4は、本発明の実施形態におけるコード読取装置100の動作手順を説明するためのフローチャートである。図5は、本発明の実施形態におけるコード読取装置100の操作状態を示す図である。図6は、本発明の実施形態におけるコード読取装置100の画像処理を説明するための図である。
【0053】
図4に示すフローチャートにおいて、まず、コード読取における撮像条件、例えば、露光時間やゲイン、コードの抽出やデコード処理に失敗した場合のリトライ回数等を設定し、キーボード120が入力する(ステップS101)。
【0054】
次いで、本実施形態におけるコード読取装置100を、図5(a)に示すように片手で把持してスキャナ読取口11を複写用紙に近づける。そして、トリガボタン13を操作し、赤色光マーカー113によってレーザマーカが照射された範囲のコード部位を含む画像を撮像部111が撮像する(ステップS102)。ここで、図5(b)は、コードがバーコード300である場合の撮像状態を示す図、図5(c)は、コードが2次元コード400である場合の撮像状態を示す図である。
【0055】
続いて、コード部位抽出部101は撮像した画像データを探索し(ステップS103)、コード部位が存在するか否かを判定する(ステップS104)。
【0056】
その結果、コード部位が存在すると判定された場合には、印刷精度印有無判定部102は、撮像した画像データから複写用紙の複写されたコードの品質レベルを表す印刷精度印を探索する(ステップS105)する。そしてコード部位抽出部101は、ステップS103において見つけたコード部位からコードを抽出する(ステップS106)。
【0057】
次に、ステップS105における印刷精度印の探索の結果、印刷精度印有無判定部102は撮像した複写用紙から印刷精度印を見つけたか否かを判定する(ステップS107)。
【0058】
ステップS107において、撮像した複写用紙から印刷精度印を見つけられなかったと判定された場合は、撮像したこの複写用紙はコードが鮮明に印刷されている例えば最上位の用紙であると判断することができる。そこで、画像処理部103による画像処理を施すことなく、直ちにデコード処理部104がコード種類を判定し、デコード処理を行う(ステップS108)。
【0059】
このように、複写用紙が最上位の用紙のように明らかにコードが鮮明に印刷されていると考えられる場合は、画像処理を省略することができるので、コード読取時間を短縮することが可能となる。
【0060】
ステップS108の処理終了後、デコード処理部104はデコード処理部104によるデコード処理に成功したか否かを判定する(ステップS109)。その結果、デコードに成功したと判定された場合は、デコードしたデータを表示部119が表示を行い、処理を終了する。
【0061】
また、コード読取装置100の使途に応じ、通信部114、115は携帯端末装置、集配信装置や携帯プリンタ等の上位機器、周辺機器に各種情報(デコードしたデータ等)を送信する。
【0062】
なお、ステップS109においてデコード処理部104がデコードに成功したと判定した場合は、例えば図5(d)に示すように、LED122を点灯させるとともに、ブザー121から「ピッ」と瞬間的に鳴動する電子音を発音させて、使用者にデコードに成功したことを報知するようにしてもよい。
【0063】
一方、ステップS104において、コード部位抽出部101が撮像した画像データからコード部位を探索したものの見つからなかった場合は、撮像部111による撮像をリトライするか否かを制御部110が判定する(ステップS117)。この判定は、ステップS101において設定した撮像条件のリトライ回数に従って実行されるもので、設定したリトライ回数に達していない場合は、ステップS102に戻り、再度スキャナ読取口11を複写用紙に向けて撮像部111はコード部位を含む画像を撮像する。
【0064】
なお、ステップS104においてコード部位が見つからなかった場合は、例えば、ブザー21が「ピーッ」とやや長い電子音を発音させて使用者に報知するようにしてもよいし、LED122がステップS109においてコード部位が見つかった場合とは異なる色で点灯するようにしてもよい。これにより、使用者はコード読取に失敗したことを確実に知ることができる。
【0065】
また一方、ステップS107において、印刷精度印有無判定部102によって印刷精度印があると判定した場合は、その印刷精度印はレベル1(レベル2よりも品質が良いことを示す)の複写品質を表すものであるか否かを判定する(ステップS110)。
【0066】
判定の結果、印刷精度印がレベル1の複写品質を表すものである場合には、画像処理部104は、抽出したコードに対して弱レベルの鮮鋭化等画像処理を施す。図6は、鮮鋭化処理の効果を模式的に示すもので、(B)のようにぼやけたバーコードが、鮮鋭化画像処理によって(C)のように鮮明になる。ステップS111における画像処理としては、例えば4方向ラプラシアンフィルタを用いた画像のエッジ強調を行うことが考えられる。
【0067】
ステップS111における画像処理後、画像処理を施したコードをデコード処理部104がデコード処理してデータに変換し(ステップS112)、デコードに成功したか否かを判定する(ステップS113)。デコードに成功したと判定された場合は、ステップS109の処理において説明したように、デコードに成功したデータを表示部119に表示すると共に、通信部A114もしくは通信部B115が携帯端末装置や周辺機器、上位機器に送信して処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS113においてデコードに失敗したと判定された場合には、画像処理部103は、抽出したコードに対して強レベルの画像処理を施す。そして、デコード処理部104は、デコード処理(ステップS115)と、デコードに成功したか否かの判定(ステップS116)を行い、デコードに成功したと判定した場合は、前述したようにデコードに成功したデータを表示部119が表示すると共に、通信部A114もしくは通信部B115が周辺機器や上位機器に送信して処理を終了する。尚、ステップS114における画像処理としては、例えば8方向ラプラシアンフィルタを用いた画像のエッジ強調を行うことが考えられる。
【0069】
このように、本実施形態のコード読取装置100では、例えば複写用紙の下位用紙に複写されたコードの品質レベルに応じた強度の画像処理を施すことができる。これにより、下位用紙などのコードの品質レベルが比較的低下していると考えられる用紙であっても、コードの複写品質が比較的良好な場合は、処理時間の短い弱レベルの画像処理を施すことで、リトライ回数を少なくすることができ、結果的にコード読取時間を短縮することが可能となる。また、更に下位の用紙でコードの複写品質が劣悪な場合は、強レベルの画像処理を施すことにより、確実にデコードすることができ、コード読取精度の向上を図ることが可能となる。
【0070】
一方、ステップS116の処理手順でデコードに失敗したと判定した場合は、ステップS117において、制御部110が撮像をリトライするか否かを判定する。その結果、ステップS101で設定したリトライ回数に達していないためリトライを行うと判断した場合は、ステップS102の処理に戻り、前述と同様に撮像部111がコード部位を含む画像を撮像する。
【0071】
また、ステップS117において、制御部110が設定したリトライ回数に達したためにリトライをしないと判定した場合は、デコード処理を断念して(ステップS118)、処理を終了する。
【0072】
本実施形態では、画像処理の強度レベルを「弱」、「強」の2段階として説明したが、例えば複写用紙の重層が多い場合は、下位用紙の枚数に応じて画像処理の強度レベルを3段階以上としてもよい。これにより、いずれの下位用紙においても精度良くコード読取を行うことができる。
【0073】
また、S102において撮像した画像からコード部位を抽出した後に鮮鋭化等の画像処理を行っているが、画像処理を行った後にコード部位を抽出するようにしてもよい。これにより、画像データ中のコード部位抽出を容易に行うことができる。
【0074】
また、印刷精度印として複数の種類の印を取り扱ってもよく、その印の種類によって、画像処理の処理レベルを定めてもよい。これにより、望んだ画像処理を即座に実施することが可能である。
【0075】
以上説明したように、このような本発明の実施形態におけるコード読取装置によれば、ラベルや伝票等の複写用紙のコード部位を含む画像を撮像してコード部位を抽出するとともに、予め例えば下位用紙に印刷された印刷精度印の有無を判定し、印刷精度印がない場合は、撮像した複写用紙は例えば最上位の用紙であると判断して抽出したコード部位に画像処理を施すことなくデコード処理を行う。これにより、コード読取時間の短縮を図ることができる。
【0076】
また、撮像したコード部位を含む画像に印刷精度印がある場合は、まず、弱レベルの鮮鋭化等画像処理を施してからデコード処理を行い、デコード処理が成功しなかった場合は、さらに強レベルの画像処理を施してからデコード処理を行う。これにより、弱レベルの画像処理を施すだけでデコード処理に成功するコードの複写品質が比較的良好な下位用紙では、コード読取時間の短縮が可能となる。一方、コードの複写品質が劣悪な下位用紙については、強レベルの画像処理を施すことでコード読取の精度を向上させることができる。
【0077】
また、上記においては、より印刷品質が劣悪になることが予想される複写用紙に対して印刷精度印を適用することを主として説明したが、最上位用紙に印刷精度印を付するようにしてもよい。
【0078】
本発明は、上記したバーコードや2次元コードを読み取るコード読取装置に限定されるものではなく、文字、数字、マーク情報を光学的に読み取るOCR装置やOMR装置等にも適用することができる。また、画像内に情報を含ませた画像コードをコードとして用いてもよい。
【0079】
このような本発明の実施携帯におけるコード読取装置100によれば、用紙に印刷されたコードを読み取るコード読取装置100であって、用紙を撮像してコードの部位を含む画像データを取得する撮像部111と、コード部位の印刷品質レベルを示す印刷精度印の有無を判断する印刷精度印有無判断部102と、印刷精度印有無判断部102によって印刷精度印があると判断された場合、画像データにおけるコード部位を含む範囲について所定の画像処理を行い加工データを作成する画像処理部103と、画像データのコード部位、もしくは加工データのコード部位からコードの種類を判別し、コードのデコード処理を行うデコード処理部104とを有する構成とすることで、用紙に印刷されたコードの印刷品質が劣悪であっても、コード読取の精度を向上し、コード読取時間の短縮を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明のコード読取装置は、用紙に印刷されたコードの印刷品質が劣悪であっても、コード読取の精度を向上し、コード読取時間の短縮を実現することのできるコード読取装置等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態におけるコード読取装置を表面側から見た状態を示す外観斜視図
【図2】本発明の実施形態におけるコード読取装置を裏面側から見た状態を示す外観斜視図
【図3】本発明の実施形態におけるコード読取装置の概略構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態におけるコード読取装置の動作手順を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の実施形態におけるコード読取装置の操作状態を示す図
【図6】(a)本発明の実施形態におけるバーコードが印刷された複写用紙の上位の用紙と、印刷されたバーコードを拡大して示す図 (b)本発明の実施形態におけるバーコードが印刷された複写用紙の下位用紙と、複写されたバーコードを拡大して示す図 (c)本発明の実施形態における下位用紙に複写されたバーコードを読み取り、画像処理を行った後のバーコードの状態を模式的に示す図
【図7】(a)本発明の実施形態におけるバーコードが印刷された複写用紙を示す図 (b)本発明の実施形態におけるバーコードが印刷された複写用紙の上位の用紙と、印刷されたバーコードを拡大して示す図 (c)本発明の実施形態におけるバーコードが印刷された複写用紙の下位用紙と、複写されたバーコードを拡大して示す図
【図8】(a)本発明の実施形態における4方向ラプラシアンフィルタを説明するための図 (b)本発明の実施形態における8方向ラプラシアンフィルタを説明するための図
【符号の説明】
【0082】
10 筐体
11 スキャナ読取口
12 表示部
13 トリガスイッチ
14 キーボード
15 読取確認ランプ
16 ブザー口
17 光通信インターフェースコネクタ
18 メモリカードスロット
19 電池カバー
20 給電端子
100 コード読取装置
101 コード部位抽出部
102 印刷精度印有無判定部
103 画像処理部
104 デコード処理部
110 制御部
111 撮像部
112 照明部
113 赤色光マーカー
114 通信部A
115 通信部B
116 時計部
117 メモリ
118 メモリカードスロット
119 表示部
120 キーボード
121 ブザー
122 LED
123 給電部
124 2次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に印刷されたコードを読み取るコード読取装置であって、
前記用紙を撮像して前記コードの部位を含む画像データを取得する撮像部と、
前記コードの印刷品質レベルを示す印刷精度印の有無を判断する精度印有無判断部と、
前記精度印有無判断部によって前記印刷精度印があると判断された場合、前記画像データについて画像処理を行い加工データを作成する画像処理部と、
前記画像データ、もしくは前記加工データから前記コードを判別し、デコード処理を行うデコード処理部と
を有するコード読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコード読取装置であって、
前記画像データから前記コード部位を抽出する画像コード部位抽出部を有し、
前記画像処理部は、
前記精度印有無判断部によって前記印刷精度印があると判断された場合、前記コード部位について画像処理を行い加工データを作成するコード読取装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコード読取装置であって、
前記加工データから前記コード部位を抽出する加工コード部位抽出部を有し、
前記画像処理部は、
前記精度印有無判断部によって前記印刷精度印があると判断された場合、前記画像データ全体について所定の画像処理を行い加工データを作成するコード読取装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のコード読取装置であって、
前記精度印有無判定部は、複数種類の前記印刷制度印について、前記複数種類を区別するコード読取装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコード読取装置であって、
前記印刷精度印は、前記用紙の所定の領域を囲む枠であるコード読取装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のコード読取装置であって、
前記コードは、バーコードであるコード読取装置。
【請求項7】
用紙に印刷されたコードを読み取るコード読取方法であって、
前記用紙が撮像され前記コードの部位を含む画像データが取得されるステップと、
前記コード部位の印刷品質レベルを示す印刷精度印の有無が判断される精度印有無判断ステップと、
前記精度印有無判断ステップにおいて前記印刷精度印があると判断された場合、前記画像データにおける前記コード部位を含む範囲について所定の画像処理が行われ加工データが作成されるステップと、
前記画像データのコード部位、もしくは前記加工データのコード部位から前記コードの種類が判別され、前記コードのデコード処理が行われるステップと
を有するコード読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−140033(P2008−140033A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324527(P2006−324527)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】