説明

コーナー庇

【課題】雨水を常に良好に排水処理ことができるコーナー庇を提供する
【解決手段】建物のコーナー部を構成する一方の壁面に設けた庇本体10と他方の壁面に設けた庇本体10とをそれぞれ中空状に形成するとともに一端部をトメ切りにし、上記2つの庇本体10をコーナーブロック24を介してトメ接合により互いに連結するとともに、上記コーナーブロック24の上面には庇本体10の接合部に対応する位置に樋溝30部を設けたことを特徴とする。なお、上記庇本体10の長手方向に沿って内部に中空部を形成するための壁部14、15は、そのトメ切り側の端部を切欠くのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物のコーナー部に設けられたコーナー庇に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、住宅やオフィスビルには壁面に庇を設けることがある。この場合、一定の長さの庇本体を端部を突合せて接合させるのであるが、建物の1つの壁面に沿って複数の庇本体を接合して連続させるときは、隣り合う庇本体の端部は目で明瞭に認識しやすいから、接合作業も比較的容易に行なうことができる。
【0003】
ところが、コーナー部の壁面は互いに直角をなすように形成されているので、接合の作業が容易でないほか、庇本体をトメ切りにしてトメ接合したときは、接合部は平面で接合する場合よりも長くなる。このため、例えば特許文献1に示されるものと同様に、2つの庇本体をコーナーブロックを介して接合することが行なわれている。
【特許文献1】特開2004−19137
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、雨が降ったときなど、雨水は接合部から内部に浸入しやすい。そして、浸入した雨水はコーナーブロック又はその周辺部に溜まる。その結果、雨が上がった後にも、コーナー部にたまった雨水がコーナー部から垂れ落ち続けるという問題があった。
【0005】
このため、接合部をコーキング処理することも行なわれている。しかし、コーキング作業は常に安定して行なわれるとは限らず、長期間にわたって良好の水切りが保持される保証はない。
【0006】
本発明は上記問題点を解消し、雨水を常に良好に排水処理ことができるコーナー庇を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、建物のコーナー部を構成する一方の壁面に設けた庇本体と他方の壁面に設けた庇本体とをそれぞれ中空状に形成するとともに一端部をトメ切りにし、上記2つの庇本体をコーナーブロックを介してトメ接合により互いに連結するとともに、上記コーナーブロックの上面には庇本体の接合部に対応する位置に樋溝部を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記庇本体の長手方向に沿って内部に中空部を形成するための壁部を形成するとともに、該壁部のうち上記コーナーブロックの樋溝部に干渉する部位の壁部は、トメ切り側の端部を切除したことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記庇本体の接合部の先端部には排水溝を下向きに形成したことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項3において、上記コーナーブロックの樋溝の先端は、上記庇本体の接合部の先端の手前に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、建物のコーナー部に設けられた2つの中空状の庇本体の一端部をトメ切りにし、これらの庇本体をコーナーブロックを介してトメ接合により互いに連結するとともに、上記コーナーブロックの上面には庇本体の接合部に対応する位置に樋溝部を設けたから、雨水が上記接合部などから内部に浸入したとき、樋溝部内に落ちて排水される。したがって、雨水がコーナーブロック又はその周辺部に溜まって雨上がり後もコーナー部から垂れ落ち続けるということがない。また、コーキング処理によるものではないから、長期間にわたって雨水を常に良好に排水処理ことができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、庇本体の内部に中空部を形成するために、庇本体の長手方向に沿って壁部を形成する場合があるが、他の庇本体とトメ接合すると、壁部の端部も突合せられるので、壁部がコーナーブロックの樋溝部を横切るので、樋溝部内を流れる雨水の流れを止めてしまうが、上記壁部のトメ切り側の端部を切欠いたから、雨水がせき止められることがなく、排水が円滑に行われる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、庇本体の接合部の先端部には排水溝を下向きに形成したから、雨水は樋溝の先端部から排水され、壁を伝い落ちることがないので、壁面を汚さない。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、コーナーブロックの樋溝の先端は、上記庇本体の接合部の先端の手前に配置されているから、コーナーブロックは排水溝から外部に露出することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明に係るコーナー庇の横断面図であり、図2はその縦断面図である。
【0016】
同図において符号1は窓部で、この窓部1は、建物の躯体の柱2と窓台3とまぐさ4とによって開口形成され、窓部1の上枠5と下枠6との間には障子7が配置されている。8は額縁、9aは外装材、9bは内装材である。
【0017】
上記窓部のコーナー部の上部にはコーナー庇が取り付けられている。コーナー庇は、コーナー部をはさんで設けられた2つの庇本体10を接合してなるもので、庇本体10は水平の下面板11と傾斜した上面板12とをと中間の壁部14と先端側の壁部15とによって連結し、内部に2つの中空部a、bを形成してなるものである。上記上面板12の先端は下方に屈曲している。この屈曲部16の先端と下面板11の先端との間には溝17が形成されている。また、上面板12の基部は上方に起立する取付部18とその上部にL字形に屈曲する受け部20とに連続形成されている。そして、庇本体10は上記取付部18を窓台3にビス止め固定されている。21はビス頭を隠すキャップ材である。なお、受け部20にはシーリング材22が施されている。23はビスホールで、庇本体10の小口にキャップ36(図1、図3等参照)を固定する場合や、後述のコーナーカバー37を固定する場合に、ビスを止めるのに使用される。
【0018】
次に、コーナー部をはさんで設けられた2つの庇本体10は、図3、図4に示されるように、コーナーブロック24を介して接合連結されている。
【0019】
すなわち、庇本体10のコーナー部側の端部25は45度にトメ切りされている。
【0020】
コーナーブロック24は合成樹脂からなり、全体が略正方形で、上記上面板12と下面板11との間で基部側の壁部13と先端側の壁部15の内側に嵌合する程度の大きさに形成されている。中央部にはやや基部側の角隅部寄りに台部26が形成されている。先端側は庇本体10のビスホール23との干渉を避けるために段差27を介して一段低くなり、底面部28に連続している。そして、上記台部26には基部側と先端側の角隅部の対角線上に樋溝30が形成され、その基部側は閉鎖され、先端側は開放されている。
【0021】
また、一方の角隅部は直角に切欠きされ、切欠き部からは立上り片31がL字形に形成されている。他方の角隅部の両側には流れ止め32が形成されている。
【0022】
さらに、台部26には庇本体10の中間の壁部14との干渉を避ける逃げ溝33が形成されている。
【0023】
なお、上記コーナーブロック24の構成に対応し、図5に示されるように、庇本体10の上面板12のトメ切り側の基部にはコーナーブロック24の立上り片31を通すための切欠き34が形成されている。また、中間の壁部14と先端側の壁部15のトメ切り側の端部14a、15aは切除されている。
【0024】
上記構成において、上記2つの庇本体10にそれぞれコーナーブロック24を嵌め込んでトメ接合する。このとき、コーナーブロック24の立上り片31の背面にはシール材35を貼り付けておき(水密を図るため)、庇本体10の切欠き34を通って取付部18の正面側に露出するようにする。これにより、庇本体10は安定して接合する。また、庇本体10の中間の壁部14は逃げ溝33内に入り込むが、先端側の部分は切り欠きされているので樋溝30には達しない。また、コーナーブロック24の段差27は庇本体10のビスホール23の手前に係合し、またコーナーブロック24の端部は庇本体10の先端側の壁部15の背面側に係合する。以上により、2つの庇本体10はコーナーブロック24を介して接合され、一体的に連結される。
【0025】
なお、2つの庇本体10の接合部の上部には図2〜図4に示されるように、コーナーカバー37を取り付けるのが好ましい。コーナーカバー37の先端には各庇本体10の先端側の屈曲部16の外側面に係合する係合片38を形成する。これにより、両庇本体10が互いに開き方向に移動するのを阻止することができる。
【0026】
上記構成によれば、建物のコーナー部に設けられた2つの中空状の庇本体10の一端部をトメ切りにし、これらの庇本体10をコーナーブロック24を介してトメ接合により互いに連結するとともに、上記コーナーブロック24の上面には庇本体10の接合部に対応する位置に樋溝30部を設けたから、雨水が上記接合部や上面板12の基部の切欠き部などから内部に浸入したとき、樋溝30部内に落ちる。樋溝30の基部側は閉鎖されているので、内部の雨水は先端側に移動する。このとき、庇本体10の中間の壁部14と先端側の壁部15は切欠きされているので、雨水の流れを妨げることはなく、雨水は樋溝30に連続的に続く底面部28に流れ込む。ここで雨水は横に広がって流れるが、流れ止め32によって阻止されるから、先端側の壁部15の切欠きからさらに先端に流れていく。先端には下面板11がなく、溝17が形成されているから、この溝17が排水溝となり、ここからすみやかに排水される。したがって、雨水がコーナーブロック24又はその周辺部に溜まって雨上がり後もコーナー部から垂れ落ち続けるということがない。また、コーキング処理によるものではないから、長期間にわたって雨水を常に良好に排水処理ことができる。
【0027】
また、庇本体10の内部に中空部を形成するために、庇本体10の長手方向に沿って中間の壁部14と先端側の壁部15が形成されているが、上記壁部のトメ切り側の端部は切除されているから、雨水がせき止められることがなく、排水が円滑に行われる。
【0028】
さらに、上述のように庇本体10の接合部の先端部には排水溝17を下向きに形成したから、雨水は樋溝30の先端部から排水され、壁を伝い落ちることがないので、壁面を汚さない。
【0029】
さらにまた、コーナーブロック24の樋溝30の先端は、上記庇本体10の接合部の先端の手前に配置されているから、コーナーブロック24は排水溝17から外部に露出することがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るコーナー庇を示す建物の横断面図
【図2】図1の縦断面図
【図3】コーナー庇の分解斜視図
【図4】コーナー庇の組立て完成図
【図5】コーナー庇の要部の縦断面図
【符号の説明】
【0031】
10 庇本体
17 溝(排水溝)
24 コーナーブロック
30 樋溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のコーナー部を構成する一方の壁面に設けた庇本体と他方の壁面に設けたアルミニウム製の庇本体とをそれぞれ中空状に形成するとともに一端部をトメ切りにし、上記2つの庇本体をコーナーブロックを介してトメ接合により互いに連結するとともに、上記コーナーブロックの上面には庇本体の接合部に対応する位置に樋溝部を設けたことを特徴とするコーナー庇。
【請求項2】
上記庇本体の長手方向に沿って内部に中空部を形成するための壁部を形成するとともに、該壁部のうち上記コーナーブロックの樋溝部に干渉する部位の壁部は、トメ切り側の端部を切除したことを特徴とする、請求項1に記載のコーナー庇。
【請求項3】
上記庇本体の接合部の先端部には排水溝を下向きに形成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコーナー庇。
【請求項4】
上記コーナーブロックの樋溝の先端は、上記庇本体の接合部の先端の手前に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のコーナー庇。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−68269(P2009−68269A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−238518(P2007−238518)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】