説明

コーヒー製品

本発明のコーヒー製品は、(i)粉砕コーヒー組成物の全重量に対して1〜90重量%の量の、未焙煎コーヒーからなる第1の部分と、(ii)粉砕コーヒー組成物の全重量に対して99〜10重量%の量の、第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されている粉砕コーヒーからなる第2の部分と、を10:90〜80:20の重量比で含み、製品100g当たり少なくとも4gのクロロゲン酸を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、焙煎及び未焙煎部分を含むコーヒー製品、このようなコーヒー製品を調製する方法、並びに望ましい消費者利益をもたらす、製品の使用に関する。
【発明の背景】
【0002】
コーヒーが数百種類の化合物の複合混合物であり、これらが組み合わされて、多くの消費者が所望する独特の魅力的な芳香と味が形成されることは知られている。更に、コーヒーは、その魅力的な風味のためだけでなく、他の理由のため、例えば、短期的に覚醒状態を高めるためにも摂取される。コーヒーの健康に対するプラスの影響については数十年に亘って研究されていて、このようなコーヒー化合物のうちのいくつかが消費者に利益をもたらすことができること、特に、カフェイン摂取によって覚醒状態を高めることができることが以前から知られている。しかし、いくつかのコーヒー化合物が優れた抗酸化物質であること、及び、重量比で見て、コーヒーが、緑茶等の周知の抗酸化物質供給源よりも顕著に多くの抗酸化物質を消費者に提供することができることは、消費者にあまり知られていない。
【0003】
コーヒー中で同定されている、抗酸化物質の非常に重要な供給源は、クロロゲン酸として知られているクラスのものである。
【0004】
コーヒー中のクロロゲン酸は、主として、キナ酸と、異なる位置に結合したフェノール基(例えば、コーヒー酸、フェルラ酸、クマル酸、メトキシケイ皮酸)と、のモノエステル及びジエステルである。このようなクロロゲン酸は、in vitroの抗酸化活性(例えば、ラジカル捕捉、耐LDL酸化性、DNA損傷保護)、並びにラット及びハムスターの大腸、肝臓及び舌におけるin vivoの抗変異原性作用を有することが示されている。更に、クロロゲン酸は、胃全体の酸の分泌を減少させて、胸焼けの原因と考えられる刺激から胃粘膜を保護することができる。
【0005】
健康及び栄養の観点からは、消費者が上述のコーヒーの健康上のプラス面から恩恵を受けられることが望ましく、それ故、コーヒー製品中の利用可能なクロロゲン酸の量を最大化することは非常に有利であろう。
【0006】
従来のコーヒー加工法は周知であるが、そこでは、最終製品につながる豆の全てが焙煎されている。しかし、従来の焙煎プロセスでは、焙煎前に存在していたクロロゲン酸の相当な量が分解することが判明している。それにもかかわらず、魅力的な「焙煎」コーヒー風味を実現することが消費者にとって重要であるために、従来は、いくつかの有益な化合物の望ましくない分解が生じることを知りながら、豆を相当程度まで焙煎することが必要であった。
【0007】
特に、従来の焙煎プロセスでは、生コーヒー豆中に元々含有されているクロロゲン酸が約40〜90重量%も減少し得ることが判明している。
【0008】
従って、従来の焙煎コーヒーより高い濃度のクロロゲン酸を保持し、他方で、それでもなお、許容可能な、又は更に魅力的な焙煎コーヒー風味をもたらすコーヒー製品を提供することが非常に望ましい。理想的には、コーヒー製品は、少なくとも消費者が所望する官能特性を提供し、及び/又は望ましくない官能特性を回避若しくは最小化するものである。
【0009】
国際公開第02/41700(A1)号パンフレットでは、焙煎コーヒー豆及び生コーヒー豆の混合について検討されている。しかし、生コーヒー及び焙煎コーヒーのバッチは一緒に粉砕され、クロロゲン酸レベルがあまり高くない製品を生じるような態様で加工される。
【0010】
以上に鑑みて、本発明は、上述の利益の1つ又は複数を提供すること、及び/又は上述の問題の1つ又は複数を解決することを目的とする。
【発明の概要】
【0011】
そこで、本発明は、
(i)コーヒー製品の全重量に対して1〜90重量%の量の、未焙煎の粉砕又は/及び未粉砕コーヒーからなる第1の部分と、
(ii)コーヒー製品の全重量に対して99〜10重量%の量の、第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されている粉砕コーヒーからなる第2の部分と、
を含み、
クロロゲン酸が、コーヒー製品100g当たり少なくとも4g存在するコーヒー製品を提供する。
【0012】
本発明はまた、本明細書に記載のコーヒー製品を成分として含むコーヒー飲料製品を提供する。ここで、コーヒー飲料製品は、例えば、(a)焙煎粉砕コーヒー製品、(b)可溶性コーヒー製品、(c)一回分のコーヒーパッド、タブレット又はカプセル(d)レディトゥドリンク(ready to drink)コーヒー製品、或いは(e)任意の他の適当なコーヒー製品である。
【0013】
更なる態様において、本発明は、摂取時に生体に提供される、生物学的に利用可能な天然の抗酸化物質の量がより多い、本明細書に記載のコーヒー製品の使用を提供する。
【0014】
本発明は更に、
可溶性コーヒー製品を調製する方法であって、
全固形物(Ts)量がコーヒー製品の50重量%となる抽出レベルを基準として、コーヒー製品100g当たり少なくとも8gのクロロゲン酸を含有する可溶性コーヒー組成物が提供されるように、
(A)コーヒー製品の全重量に対して1〜90重量%の量の、未焙煎コーヒーからなる第1の部分を得るステップと、
(B)任意選択で第1の部分を粉砕するステップと、
(C)コーヒー製品の全重量に対して99〜10重量%の量の、第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されているコーヒーからなる第2の部分を得るステップと、
(D)第2の部分を粉砕するステップと、
(E)任意選択で、第2の部分から芳香をストリッピングして、第1の芳香部分と、ストリッピングされた第2の部分と、を得るステップと、
(F)第1の部分を、第2の粉砕部分又はストリッピングされた第2の部分と混合するステップと、
(G)第1及び第2の部分を共抽出し、抽出物を得るステップと、
(H)任意選択で抽出物から芳香をストリッピングするステップと、
(I)任意選択で、第1の芳香部分を、ストリッピングされた又はされていない混合抽出物に添加するステップと、
(J)任意選択で抽出物を乾燥するステップと、
を含む方法(以下、「方法1」と称する。)を提供する。
【0015】
このような方法は、最終製品において、所望の高濃度のクロロゲン酸、及び芳香の大幅な改善をもたらすことが判明している。
【0016】
様々な抽出物のストリッピングは任意選択であるが、最終的な芳香に対する制御を従来よりも顕著に向上させることを可能にすることから、そのようなステップを行うことは非常に好ましい。すなわち、好都合なことに、様々なマーケットで消費者が所望する様々な味及び芳香プロファイルに調節することがより容易なコーヒー製品の提供が可能になる。
【0017】
更なる態様において、本発明は、
可溶性コーヒー製品を調製する方法であって、
50重量%の全固形物(Ts)の抽出レベルを基準として、コーヒー製品100g当たり少なくとも8gのクロロゲン酸を含有する可溶性コーヒー製品が提供されるように、
(A)未焙煎コーヒーからなる第1の部分を得るステップと、
(B)任意選択で第1の部分を粉砕するステップと、
(C)第1の部分を抽出して、第1の抽出物を得るステップと、
(D)任意選択で第1の部分を乾燥するステップと、
(E)第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されているコーヒーからなる第2の部分を得るステップと、
(F)第2の部分を粉砕するステップと、
(G)任意選択で、第2の部分から芳香をストリッピングして、第1の芳香部分と、ストリッピングされた第2の部分と、を得るステップと、
(H)ストリッピングされた又はされていない第2の部分を抽出して、第2の抽出物を得るステップと、
(I)任意選択で第2の部分を乾燥するステップと、
(J)最初の混合コーヒーブレンドが、1〜90重量%の未焙煎の粉砕又は/及び未粉砕コーヒーと、99〜10重量%の焙煎粉砕コーヒーと、からなるように、第1及び第2の部分を抽出物の化学量論比で混合するステップと、
(K)任意選択で混合抽出物から芳香をストリッピングするステップと、
(L)任意選択で、第1の芳香部分を、ストリッピングされた又はされていない混合抽出物に添加するステップと、
(M)任意選択で抽出物を乾燥するステップと、
を含む方法(以下、「方法2」と称する。)を提供する。
【0018】
任意選択ではあるが、ストリッピングステップは上述の理由により非常に好ましい。
【0019】
更なる態様において、本発明は、
完全に又は部分的に脱カフェイン化された可溶性コーヒー製品を調製する方法であって、
(A)コーヒー製品組成物の全重量に対して1〜90重量%の量の、未焙煎脱カフェインコーヒーからなる第1の部分を得るステップと、
(B)任意選択で第1の部分を粉砕するステップと、
(C)コーヒー製品組成物の全重量に対して99〜10重量%の量の、第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されている、脱カフェイン化された又はされていないコーヒーからなる第2の部分を得るステップと、
(D)第2の部分を粉砕するステップと、
(E)方法1のステップ(E)〜(J)又は方法2のステップ(F)〜(M)を実施するステップと、
を含む方法(以下、「方法3」と称する。)を提供する。
【0020】
このような方法は、最終製品において、所望の高濃度のクロロゲン酸、カフェインの減少又は除去、及び芳香の大幅な改善をもたらすことが判明している。
【発明の詳細な説明】
【0021】
本発明は、コーヒー製品を提供する。このコーヒー製品は、水で還元された場合、摂取時に好ましい味及び芳香を呈し、顕著に高濃度の抗酸化物質をクロロゲン酸の形で生体に提供するコーヒー飲料、が提供されるように、一部が焙煎され、一部が未焙煎すなわち生のままであるコーヒー豆のブレンドに依拠する。
【0022】
クロロゲン酸は下記一般式を有する。
【化1】

【0023】
最も一般的なクロロゲン酸を下記表に示す。
【表1】

【0024】
上記構造の定義の範囲に属する異性体は他にも存在する。従って、本発明との関連において、「クロロゲン酸」という語は、上記構造により定義される全てのクロロゲン酸異性体を意味する。
【0025】
本発明の一態様において、コーヒー製品は、生コーヒー豆及び焙煎コーヒー豆の混合物から得られ、コーヒー製品中の生部分及び焙煎部分の重量比は1:99〜90:10であり、好ましくは30:70〜50:50であり、より好ましくは35:65〜45:55であり、特に好ましくは37:63〜42:58である。
【0026】
この比が1:99未満の場合は、製品中に存在するクロロゲン酸の量が、生物学的に利用可能な抗酸化物質の有効量をもたらすには不十分であることが判明している。
【0027】
製品中の生豆及び焙煎豆の重量比が60:40を超える場合は、主として焙煎香味の減弱のために、望ましくない官能プロファイルを有するものと知覚される可能性があることが判明している。当然ながら、場合により、焙煎部分の焙煎レベルを深くすることによってこれを補うことは可能である。この場合、生豆部分及び焙煎豆部分の重量比はあまり重要でなく、90:10の高い比も可能であろう。
【0028】
しかしながら、本発明者らは、製品における、許容可能な味と十分に高濃度のクロロゲン酸との均衡をもたらすためには、重量比が35:65〜45:55、或いは更に37:63〜42:58であることが特に好ましいことを見出した。これは、これらの比率の範囲から外れると、望ましい利点の1つが、他の利点の改善と比較して不均衡に減少すると考えられるためである。
【0029】
コーヒー製品中のクロロゲン酸含有量は、製品100g当たり少なくとも4g、より好ましくは少なくとも5g、更に好ましくは少なくとも6g、特に好ましくは少なくとも8g、例えば少なくとも9gである。
【0030】
生コーヒー部分は、生のアラビカ豆及び生のロブスタ豆のブレンドであってもよい。しかし、生コーヒー部分は、実質的に又は完全にロブスタコーヒー豆から得られることが特に好ましい。
【0031】
従って、生コーヒー豆の少なくとも65%、より好ましくは75%、更に好ましくは85%、特に好ましくは95%、例えば100重量%、がロブスタであることが好ましい。これは、ロブスタコーヒー豆が、豆1グラム当たり、アラビカ豆よりも多いクロロゲン酸をもたらすことが判明しているためである。
【0032】
焙煎コーヒー部分は、アラビカ及びロブスタのブレンドであってもよいが、実質的に又は完全にアラビカ豆から得られることが特に好ましい。これは、アラビカは、より高品質のコーヒーと関連した、より豊かな味及び芳香プロファイルをもたらすためである。
【0033】
生コーヒー部分及び/又は焙煎コーヒー部分は、少なくとも部分的に脱カフェイン化されていてもよい。カフェイン濃度がカフェイン抜きから通常のカフェイン濃度まで調節可能な製品を提供するためである。しかし、生コーヒー部分は、脱カフェインコーヒーから得られたものであることが特に好ましい。
【0034】
本発明のコーヒー製品を使用して可溶性コーヒー製品を得ることが好ましい。
【0035】
可溶性コーヒーは、インスタントコーヒーとしても知られているが、周知のものであり、数十年に亘って商業的に製造されている。これは種々の方法で焙煎粉砕コーヒーから製造され、それらは全て当業者に周知である。
【0036】
任意選択ではあるが、典型的には、第1のステップは、予め焙煎・粉砕してあるコーヒーからの、最も揮発性の高い芳香成分のストリッピングを含む。
【0037】
任意の適切なストリッピング法を使用することができるが、特に好ましい方法はEP−A−1078576に開示のものである。
【0038】
ストリッピングに続いて、揮発性のより低い成分が「抽出」ステップに供される。抽出は、可溶性コーヒーの加工の分野の一般的な用語であり、水及び/又は蒸気を用いて、焙煎粉砕コーヒー豆からコーヒー成分の複合混合物を抽出する方法を示す。
【0039】
製品は、抽出後に濃縮ステップにかけてもよく、ストリッピングステップを実施した場合は、濃縮ステップに続いて、ストリッピングされた芳香を抽出物に再導入してもよい。
【0040】
最後に、芳香付けされた抽出物が、通常は、凍結乾燥、噴霧乾燥、凝集等の任意の標準的な方法に従って乾燥される。
【0041】
これによって、好適には粉末又は顆粒の形態である固体可溶性製品が生産される。
【0042】
可溶性コーヒー混合物は、生部分及び焙煎部分の共抽出によって生産してもよい。
【0043】
或いは、可溶性コーヒー製品は、焙煎コーヒー部分及び生コーヒー部分を別々に用意し、次いで、それらを各々抽出し、得られた抽出物を混合することによって生産することができる。これは、焙煎豆及び未焙煎豆の各々に適合するように抽出条件を調整することができることから有利である。
【0044】
本発明のコーヒー製品が可溶性コーヒー製品に使用される場合、本明細書に記載の抽出法によって、存在するクロロゲン酸の濃度が高められるであろうことは理解されるべきである。従って、このような製品において、クロロゲン酸含有量は、50%全抽出固形物という理論上の抽出レベルで定義されるが、これより高い又は低い抽出レベルでは、クロロゲン酸含有量がそれぞれ増加又は減少するためである。
【0045】
従って、可溶性コーヒー製品において、クロロゲン酸含有量は、50重量%の全固形物の抽出レベルを基準として、コーヒー製品100g当たり少なくとも8g、より好ましくは10g、特に好ましくは可溶性コーヒー製品100g当たり12gである。
【0046】
本発明のコーヒー製品は、他の利点を有することも判明している。例えば、アラビノガラクタンが生コーヒー中に存在する。
【0047】
アラビノガラクタンは、植物の成長及び発達に関与する多糖(プロテオグリカン)のファミリーである。これは高等植物に見出され、多くの異なる組織、例えば、細胞膜上、細胞壁中、及び細胞外マトリクス中に存在する。
【0048】
アラビノガラクタンは、典型的には10〜4000kDaの分子量を有する。これは、典型的には10重量%未満のタンパク質を含有し、タンパク質は通常、主としてプロリン/ヒドロキシプロリン、アラニン、セリン及びスレオニンからなる。アラビノガラクタンの90重量%を超える部分が、主として、β−(1−3)−ガラクタン鎖と、主にアラビノシル残基で終端しているβ−(1−6)−ガラクトシル側鎖と、で構成される多糖類からなる。
【0049】
重要なことに、アラビノガラクタンは、摂取された場合に、生体にプレバイオティックの効果をもたらす。
【0050】
アラビノガラクタンを生体が利用できるようにするために、生コーヒー部分は粉砕することが好ましい。粉砕することにより、アラビノガラクタンの抽出が可能となる。
【0051】
コーヒー製品に、生コーヒー又は焙煎コーヒーから単離された追加的なアラビノガラクタンを組み込むことも好ましい。アラビノガラクタンを単離するための適切な方法は、国際公開第2005/116083号パンフレット(参照されることにより本明細書に組み込まれる。)に記載されている。
【0052】
従って、本発明では、粉砕生コーヒー部分に存在するアラビノガラクタンを使用して、また、場合により、他の供給源からコーヒー製品に組み込まれたアラビノガラクタンと共に使用して、コーヒー製品が摂取された場合に生体にプレバイオティックの効果を生じさせることが可能である。
【0053】
本発明は、可溶性コーヒー製品、或いは可溶性コーヒー製品をベースとした製品、又は可溶性コーヒー製品から得られる製品、として使用するのに特に好適である。
【0054】
例えば、本発明のコーヒー製品は、いわゆるレディトゥドリンク飲料において使用してもよい。本発明の製品が適するレディトゥドリンク飲料としては、天然又は人工甘味料成分と共にコーヒー成分を含有し、場合により、これらの成分が水、牛乳等の液体で予め希釈されている2種混合飲料が挙げられる。この場合、コーヒー成分は、本発明のコーヒー製品を含むことができる。
【0055】
コーヒー、甘味料及びクリーム(牛乳、液体クリーマー、固体(例えば粉末状)クリーマー等)を含有する3種混合飲料は、本発明のコーヒー製品を含んでもよい。
【0056】
更に、可溶性コーヒーを成分として含有する飲料は、本発明のコーヒー製品を含んでもよい。
【0057】
更に、本発明は、バルクで、又は家庭での調製用の一回分の飲料の形で使用される、標準的に入れるコーヒー、エスプレッソ、コーヒーベースの飲料調製物、の成分として使用することができる。
【実施例】
【0058】
以下の実施例において、全ての量は、特に断らない限り重量パーセントである。
【0059】
(実施例1)
可溶性コーヒー製品を次のように製造した。
【0060】
アラビカ豆及び/又はロブスタ豆をミディアムローストにし(CTN80)、生のアラビカ豆及び/又は生のロブスタ豆と混合した。次いで、標準法に従って豆を粉砕・抽出した。次いで、得られた産物を乾燥して可溶性コーヒー製品を得た。これらの製品を、完全に焙煎アラビカ豆及び/又は焙煎ロブスタ豆から得た従来の可溶性コーヒー製品と比較した。表1を参照されたい。
【0061】
クロロゲン酸異性体を高圧液体クロマトグラフィーで分離し、UV吸光光度法で検出した。クロロゲン酸異性体の抗酸化活性を、安定なフリーラジカル(ABTS)を用いて産物のラジカル捕捉能を測定することによって順に評価した。個々のクロロゲン酸異性体の抗酸化活性の総和から総抗酸化活性を得た。抗酸化活性を、「クロロゲン酸当量」(g/粉末産物100g)で示す。結果を表1に示す。
【0062】
【表2】

【0063】
(実施例2)
可溶性コーヒー製品を次のように調製した。
【0064】
アラビカ豆及び/又はロブスタ豆を様々な程度まで焙煎し、生のアラビカ豆及び/又は生のロブスタ豆と混合した。次いで、従来の方法を用いて豆を粉砕・抽出した。得られた産物を乾燥して可溶性コーヒー製品を得た。次いで、これらの製品を、完全に焙煎アラビカ豆及び/又は焙煎ロブスタ豆から得た可溶性コーヒー試料と比較した。表2を参照されたい。
【0065】
クロロゲン酸異性体を高圧液体クロマトグラフィーで分離し、UV吸光光度法で検出した。抗酸化活性を、「クロロゲン酸当量」(g/粉末産物100g)で示す。結果を表2に示す。
【0066】
【表3】

【0067】
(実施例3)
可溶性コーヒー製品を次のように調製した。
【0068】
アラビカ豆及び/又はロブスタ豆を様々な程度まで焙煎し、生のアラビカ豆及び/又は生のロブスタ豆と混合した。次いで、焙煎豆を粉砕し、他方、生コーヒー豆を未粉砕形態で使用した。焙煎粉砕コーヒー及び未粉砕生コーヒーをブレンドし、従来の方法を用いて抽出した。得られた産物を乾燥して可溶性コーヒー製品を得た。次いで、これらの製品を、完全に焙煎アラビカ豆及び/又は焙煎ロブスタ豆から得た可溶性コーヒー試料と比較した。
【0069】
クロロゲン酸異性体を高圧液体クロマトグラフィーで分離し、UV吸光光度法で検出した。抗酸化活性を、「クロロゲン酸当量」(g/粉末産物100g)で示す。結果を表3に示す。
【0070】
【表4】

【0071】
本発明を特定の実施形態に関して説明してきたが、この説明が、限定された意味で解釈されることは意図されていない。開示された実施形態の様々な修正、及び本発明の他の実施形態は、当業者であれば、本発明の説明を参照することにより明らかとなるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲内のそのような修正を包含する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)コーヒー製品の全重量に対して1〜90重量%の量の、未焙煎の粉砕又は/及び未粉砕コーヒーからなる第1の部分と、
(ii)コーヒー製品の全重量に対して99〜10重量%の量の、第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されている粉砕コーヒーからなる第2の部分と、
を含み、
クロロゲン酸の含有量が、コーヒー製品100g当たり少なくとも4gであるコーヒー製品。
【請求項2】
(i)及び(ii)の重量比が30:70〜50:50である、請求項1に記載のコーヒー製品。
【請求項3】
(i)及び(ii)の重量比が37:63〜42:58である、請求項1に記載のコーヒー製品。
【請求項4】
第1の部分が、脱カフェイン化されたコーヒーから得られるものであり、
第2の部分が、脱カフェイン化された又はされていないコーヒーから得られるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーヒー製品。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーヒー製品から得られる液体又は固体コーヒー組成物、を含むコーヒー製品。
【請求項6】
可溶性コーヒー製品を調製する方法であって、
50%Tsの抽出レベルを基準として、可溶性コーヒー製品100g当たり少なくとも8gのクロロゲン酸を含有する可溶性コーヒー組成物が提供されるように、
(A)(i)粉砕コーヒー組成物の全重量に対して1〜90重量%の量の、未焙煎の粉砕又は/及び未粉砕コーヒーからなる第1の部分と、
(ii)粉砕コーヒー組成物の全重量に対して99〜10重量%の量の、第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されている粉砕コーヒーからなる第2の部分と、
を含むコーヒー製品を得るステップと、
(B)任意選択で、第2の部分から芳香をストリッピングして、第1の芳香部分と、ストリッピングされた第2の部分と、を得るステップと、
(C)部分(i)と、ストリッピングされた又はされていない部分(ii)と、を混合し、共抽出するステップと、
(D)任意選択で抽出物から芳香をストリッピングするステップと、
(E)任意選択で、第1の芳香部分を、ストリッピングされた又はされていない抽出物に添加するステップと、
(F)任意選択で抽出物を乾燥するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
可溶性コーヒー製品を調製する方法であって、
50%Tsの抽出レベルを基準として、可溶性コーヒー製品100g当たり少なくとも8gのクロロゲン酸を含有する可溶性コーヒー製品が提供されるように、
(A)未焙煎コーヒーからなる第1の部分を得るステップと、
(B)任意選択で第1の部分を粉砕するステップと、
(C)第1の部分を抽出して、第1の抽出物を得るステップと、
(D)任意選択で第1の抽出物を乾燥するステップと、
(E)第1の部分よりも高い焙煎度まで焙煎されているコーヒーからなる第2の部分を得るステップと、
(F)第2の部分を粉砕するステップと、
(G)任意選択で、第2の部分から芳香をストリッピングして、第1の芳香部分と、ストリッピングされた第2の部分と、を得るステップと、
(H)ストリッピングされた又はされていない第2の部分を抽出して、第2の抽出物を得るステップと、
(I)任意選択で第2の抽出物を乾燥するステップと、
(J)最初の混合コーヒーブレンドが、1〜90重量%の未焙煎の粉砕又は/及び未粉砕コーヒーと、99〜10重量%の焙煎粉砕コーヒーと、からなるように、第1及び第2の抽出物を抽出物の化学量論比で混合するステップと、
(K)任意選択で混合抽出物から芳香をストリッピングするステップと、
(L)任意選択で、第1の芳香部分を、ストリッピングされた又はされていない混合抽出物に添加するステップと、
(M)任意選択で抽出物を乾燥するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
還元されてコーヒー飲料となった場合に、摂取時に生体に提供される、生物学的に利用可能な天然の抗酸化物質の量がより多い、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーヒー製品の使用。


【公表番号】特表2008−535506(P2008−535506A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505785(P2008−505785)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003209
【国際公開番号】WO2006/108578
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】