説明

ゴムクローラ製造装置

【課題】無端形状のゴムクローラにおける生産性の向上を図ることができるゴムクローラ製造装置を提供すること。
【解決手段】回転軸線回りに回転駆動され、周囲にゴムクローラが成形される複数の内型3A,3Bと、前記内型3A,3Bの周囲に前記ゴムクローラを成形する成形部7A,7Bと、前記ゴムクローラの外部を覆うとともに前記ゴムクローラに加硫を行う加硫部9と、を有し、前記複数の内型3A,3Bが、前記加硫部9の周囲に配置されるとともに、前記加硫部9が、前記内型3A,3Bに対して離間接近可能に構成され、前記加硫部9が、前記複数の内型3A,3Bに成形された前記ゴムクローラのいずれにも加硫を行えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムクローラ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行機構としてクローラを備えた装置は、建設機械、農業機械、土木機械などの分野で各種作業を行う機械の走行装置に採用されている。近年においては、ゴム製のクローラは、走行時における低騒音性や舗装道路への低損傷性などの利点を有するため、広く採用されるようになっている。
上述のゴムクローラにおいては、クローラに極めて大きな応力が作用するので、その応力に耐えうるようゴムクローラの内部にスチールコードなどの芯線が内蔵されている。
【0003】
従来、上述のような無端形状のクローラを形成する場合には、所定長さの長尺状のゴムクローラ製造用の有端の帯状体をテーブル状のプレスで形成し、その両端を結合して無端形状のクローラが形成されていた(例えば、特許文献1および2参照。)。
しかしながら、上述のゴムクローラの製造方法では、その成形・加硫工程が、長尺物の成形と加硫、および、無端形状への形成と加硫の2つに分かれていたため、成形・加硫工程が複雑になっていた。
そこで、近年においては、成形・加硫工程を簡略化するため、内型上に初めから無端形状のクローラを成形し、内型上でクローラを保持した状態で加硫する製造方法が提案されている(例えば、特許文献3および4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−34093号公報 (第3頁等)
【特許文献2】特開2002−127267号公報 (第4頁等)
【特許文献3】特開2004−291299号公報 (第6頁等)
【特許文献4】特許第3265551号公報 (第3頁等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献3においては、ドラム(内型)上にゴム層とエンドレスな芯線を巻いてゴムクローラを成形し、そのままドラム上で加硫可能にしたゴムクローラ成形ドラムおよびゴムクローラの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、ドラム上に無端形状のゴムクローラを成形し、そのままゴムクローラの加硫を行うため、特許文献1および2のように、成形・加硫工程を2回繰り返す必要がない。その結果、ゴムクローラの製造に要する工程を削減できる。
【0006】
上述の特許文献4においては、抗張体(芯線)が埋設される部位に離型板を配置し、更に芯線に対してゴムクローラの内周側の部材と外周側の部材を配置した後、モールド内で型付けし、次いで離型板を取り除くとともに、ゴムトリードされた芯線を離型板の位置にセットし、その後モールド内でゴムを加圧下に加硫するゴムクローラの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、無端形状のゴムクローラを成形し、その後ゴムクローラの加硫を行っているため、特許文献1および2のように、成形・加硫工程を2回繰り返す必要がない。その結果、ゴムクローラの製造に要する工程を削減できる。
【0007】
しかしながら、上述の特許文献3および4においては、ゴムクローラは成形装置の内型上で成形され、その内型上に載せられた状態で、加硫装置により加硫されていた。そのため、ゴムクローラが加硫されている間は、内型が使用されているため、成形装置は次のゴムクローラを成形できないという問題があった。一方、成形装置においてゴムクローラが成形されている間は、加硫装置は稼動していなかった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、無端形状のゴムクローラにおける生産性の向上を図ることができるゴムクローラ製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のゴムクローラ製造装置は、回転軸線回りに回転駆動され、周囲にゴムクローラが成形される複数の内型と、前記内型の周囲に前記ゴムクローラを成形する成形部と、前記ゴムクローラの外部を覆うとともに前記ゴムクローラに加硫を行う加硫部と、を有し、前記複数の内型が、前記加硫部の周囲に配置されるとともに、前記加硫部が、前記内型に対して離間接近可能に構成され、前記加硫部が、前記複数の内型に成形された前記ゴムクローラのいずれにも加硫を行えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、複数の内型が備えられているため、一の内型上に成形されたゴムクローラを加硫部により加硫するとともに、他の内型上に成形部によりゴムクローラを成形することができる。そのため、加硫部および成形部における製造工程をオーバーラップさせることができ、ゴムクローラ製造装置における製造効率の向上を図ることができる。
複数の内型の間に加硫部が配置されているため、複数の内型に成形されたゴムクローラのいずれを加硫する場合でも、加硫部の移動距離を少なくすることができ、ゴムクローラの製造に要する時間を短縮できる。
【0011】
本発明のゴムクローラ製造装置は、回転軸線回りに回転駆動され、周囲にゴムクローラが成形される複数の内型と、前記内型の周囲に前記ゴムクローラを成形する成形部と、前記ゴムクローラの外部を覆うとともに前記ゴムクローラに加硫を行う加硫部と、を有し、前記成形部および前記加硫部が、前記複数の内型の周囲に配置され、前記複数の内型をその上に乗せて回転または回動する方向変換部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、複数の内型が備えられているため、一の内型上に成形されたゴムクローラを加硫部により加硫するとともに、他の内型上に成形部によりゴムクローラを成形することができる。そのため、加硫部および成形部における製造工程をオーバーラップさせることができ、ゴムクローラ製造装置における製造効率の向上を図ることができる。
複数の内型が成形部と加硫部との間に配置されているため、複数の内型のいずれかにゴムクローラの成形または成形されたゴムクローラの加硫を行う場合に、内型の移動距離を少なくすることができる。そのため、内型の移動時間を減らすことができ、ゴムクローラ製造装置における製造効率の向上を図ることができる。
【0013】
複数の内型は方向変更部により、その回転軸線方向が成形部や加硫部の方向変更にされる。そのため、複数の内型を一箇所に配置でき、ゴムクローラ製造装置のサイズを小型化できる。
内型の回転軸線方向を方向変更部により制御できるため、ゴムクローラの加硫終了後における回転軸線方向を所定方向に制御できる。そのため、加硫終了後のゴムクローラの取り出し位置を常に一定に保つことができる。
【0014】
上記発明においては、前記方向変換部がターンテーブルであって、前記複数の内型が、これら内型の前記回転軸線が略同一の直線上に乗らないように配置されていることが望ましい。
本発明によれば、内型がターンテーブルに配置されているため、その回転軸線方向が成形部や加硫部の方向へ容易に変更することができる。
複数の内型の回転軸線方向がそれぞれ異なる向きに配置されているため、一の内型の回転軸線を成形部の方向へ、他の内型の回転軸線を加硫部の方向へ向けることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゴムクローラ製造装置によれば、複数の内型が備えられているため、一の内型上に成形されたゴムクローラを加硫部により加硫するとともに、他の内型上に成形部によりゴムクローラを成形することができる。そのため、加硫部および成形部における製造工程をオーバーラップさせることができ、ゴムクローラ製造装置における製造効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【0016】
複数の内型の間に加硫部が配置されているため、複数の内型に成形されたゴムクローラのいずれを加硫する場合でも、加硫部の移動距離を少なくすることができる。そのため、ゴムクローラの製造に要する時間を短縮でき、生産性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゴムクローラ製造装置の概略構成を説明する図である。
【図2】図1の内型の概略構成を説明する図である。
【図3】図2の内型における小モールドの移動を説明する図である。
【図4】図1の外型装置の概略構成を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るゴムクローラ製造装置の全体構成を説明する図である。
【図6】図5に示すターンテーブルの概略構成を説明する断面視図である。
【図7】図6のターンテーブルの概略構成を説明する上面視図である。
【図8】図5の内型装置の他の実施例を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係るゴムクローラ製造装置について図1から図4を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係るゴムクローラ製造装置の概略構成を説明する図である。
ゴムクローラ製造装置1は、図1に示すように、周囲にゴムクローラが成形される内型3A,3Bをそれぞれ有する2つの内型装置5A,5Bと、内型3A,3Bの周囲にゴムクローラをそれぞれ成形する2つの成形部7A,7Bと、ゴムクローラに加硫を行う1つの外型装置(加硫部)9と、加硫されたゴムクローラを取り出す1つの取出し部11とから概略構成されている。
【0019】
内型装置5A,5Bは、略円環状の内型3A,3Bと、内型3A,3Bをそれぞれ回転駆動する駆動部13A,13Bと、内型3A,3Bおよび駆動部13A,13Bをそれぞれ連結する回転軸15A,15Bと、から概略構成されている。
2つの内型装置5A,5Bは、その回転軸15A,15Bの軸線が略同一直線上に乗るように配置されるとともに、互いに内型3A,3Bが向き合うように配置されている。
【0020】
図2は、図1の内型の概略構成を説明する図である。図3は、図2の内型における小モールドの移動を説明する図である。
内型3A,3Bは、図2に示すように、略円環形状を構成する複数の大モールド17および小モールド19から構成されている。小モールド19は、内型3A,3Bの略円環形状が構成された状態から半径方向内側へ移動可能に構成されている。さらに、小モールド19は半径方向内側へ移動した後に、図3に示すように、回転軸15A,15Bの軸線方向へ移動可能に構成されている。一方、大モールド17も、半径方向へ移動可能に構成されている。
なお、大モールド17および小モールド19の移動については、変位用シリンダなどの公知の駆動機構を用いることができ、特に限定するものではない。
【0021】
成形部7は、図1に示すように、内型装置5における内型3の配置位置であって、内型3の半径方向外方に配置されている。成形部7は、回転軸線回りに回転する内型3の周囲にゴム層とエンドレスな芯線を供給することにより、内型3の上にゴムクローラを成形できるように構成されている。
【0022】
図4は、図1の外型装置の概略構成を説明する図である。
外型装置9は、2つの内型装置5A,5Bの間であって、その回転軸線上に並ぶように配置されている。外型装置9は、上記回転軸線に沿って一方の内型装置5Aおよび他方の内型装置5Bへ移動可能に配置されている。
外型装置9には、ゴムクローラを内型3Aまたは内型3Bとの間に挟んで押圧する外型21が設けられている。外型21は、図4に示すように、円環形状を構成する複数のモールド23から構成されている。モールド23は、円環形状が構成された状態から半径方向外側へ移動可能に構成されている。
【0023】
取出し部11は、図1に示すように、2つの内型装置5A,5Bの間であって外型装置9と干渉しない位置に配置されている。そして、加硫されたゴムクローラを取り出すために一方の内型3Aおよび他方の内型3Bへ移動可能に構成されている。
取出し部11には、加硫されたゴムクローラをつかむ爪部25が一方向に向かって取り付けられている。爪部25が一方向に向かって取り付けられているため、取出し部11は、爪部25が一方の内型3Aおよび他方の内型3Bの方向に向くように回転可能に構成されている。
【0024】
次に、上記の構成からなるゴムクローラ製造装置1における作用について説明する。
まず、一方の内型3Aが駆動部13Aにより回転制御されるとともに、成形部7Aからゴム層やエンドレスな芯線が供給され、ゴムクローラが成形される。
【0025】
ゴムクローラが内型3Aに成形されたら、外型装置9が内型3Aへ移動し、外型21が成形されたゴムクローラの外周を覆う位置まで移動する。なお、この際に外型21のモールド23は半径方向外側に移動しており(図4参照)、ゴムクローラと外型21とは接触することがない。さらに、内型3Aは停止状態に制御され、回転されていない。
外型装置9の移動終了後に、モールド23は半径方向内側へ移動して、略円環形状の外型21を形成するとともに、内型3との間にゴムクローラを挟み込んで加圧する。そして、通常の加硫機における加硫工程と同様に、内型3および外型21に設けられた加熱蒸気供給路(図示せず)に加熱蒸気を流してゴムクローラを加熱して加硫を行う。
【0026】
一方、内型3Aにおいて加硫が行なわれている間に、他方の内型3Bにおいてゴムクローラの成形が成形部7Bにより行われる。なお、この内型3Bにおけるゴムクローラの成形は、内型3Aにおける成形と同様であるのでその説明を省略する。
【0027】
内型3Aにおけるゴムクローラの加硫が終了すると、外型21のモールド23が半径方向外側へ移動し、ゴムクローラから引き離される。その後、外型装置9は他方の内型3B側へ移動する。
この際に、内型3Bにおけるゴムクローラの成形が終了している場合には、外型装置9は内型3Bまで移動して、上述と同様の加硫を行う。一方、内型3Bにおけるゴムクローラの成形が終了していない場合には、一度、外型装置9は、内型3Aおよび内型3Bの中間領域で待機し、内型3Bにおけるゴムクローラの成形が終了した後に内型3Bまで移動する。
【0028】
内型3Aから外型装置9が離れた後、取出し部11が内型3Aまで移動する。この時、取出し部11は、その爪部25が内型3A側に位置するように制御されている。
そして、内型3Aの小モールド19が半径方向内側へ移動するとともに、回転軸15の軸線方向へ移動する。また、大モールド17も半径方向内側へ移動する。
ほぼ同時に、取出し部11の爪部25がゴムクローラの内側に差し込まれ、ゴムクローラを内側から支持する。取出し部11はゴムクローラを支持した後、内型3Aからゴムクローラと取り出す。
【0029】
ゴムクローラが取り出された後の内型3Aにおいては、再び、大モールド17および小モールド19により略円環形状の内型3Aが形成され、内型3Aの上にゴムクローラが成形される。
なお、この間に内型3Bにおいてはゴムクローラの加硫が同時進行で行われている。
【0030】
上記の構成によれば、2つの内型3A,3Bが備えられているため、内型3A上に成形されたゴムクローラを外型装置9により加硫するとともに、内型3B上に成形部7Bによりゴムクローラを成形することができる。そのため、外型装置9および成形部7Bにおける製造工程をオーバーラップさせることができ、ゴムクローラ製造装置1における製造効率の向上を図ることができる。
【0031】
2つの内型3A,3Bの間に外型装置9が配置されているため、2つの内型3A,3Bに成形されたゴムクローラのいずれを加硫する場合でも、外型装置9の移動距離を少なくすることができ、ゴムクローラの製造に要する時間を短縮できる。
【0032】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について図5から図8を参照して説明する。
本実施形態のゴムクローラ製造装置の基本構成は、第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態とは、成形部や外型装置などの配置位置や内型装置の構成が異なっている。よって、本実施形態においては、図5から図8を用いて構成要素の配置や内型装置の構成のみを説明し、外型装置の詳細な構成等の説明を省略する。
図5は、本実施形態に係るゴムクローラ製造装置の全体構成を説明する図である。
【0033】
ゴムクローラ製造装置101は、図5に示すように、周囲にゴムクローラが成形される内型3A,3Bをそれぞれ有する2つの内型装置105A,105Bと、内型装置105A,105Bをその上に載せるターンテーブル(方向変更手段)111と、内型3A,3Bの周囲にゴムクローラを成形する1つの成形部107と、ゴムクローラに加硫を行う1つの外型装置9と、加硫されたゴムクローラを取り出す1つの取出し部11とから概略構成されている。
【0034】
図6は、図5に示すターンテーブルの概略構成を説明する断面視図である。
ターンテーブル111は、図5に示すように、その上に内型装置105A,105Bを載せる円板部113と、円板部113を回転または回動可能に支持する軸部115と、円板部113の回動または回転をガイドするガイド部117と、円板部113の回動または回転を制御する制御部119とから概略構成されている。
【0035】
図7は、図6のターンテーブルの概略構成を説明する上面視図である。
制御部119は、図6および図7に示すように、円板部113の側面に巻きつけられるベルト121と、ベルト121を介して円板部113の回転位相を制御する駆動部123とから概略構成されている。
ガイド部117は、円板部113下面の円周部に沿って設けられた円環状の凹部125と、凹部125内に回転可能に配置されたガイドローラ127と、から構成されている。ガイド部117は、凹部125とガイドローラ127により円板部113の回転または回動をガイドしている。
【0036】
内型装置105A,105Bは、図5に示すように、回転軸15A,15Bの軸線が略平行であるとともに、内型3A,3Bが互いに反対方向を向くように配置されている。
ターンテーブル111の制御部119は、内型装置105A,105Bの内型3A,3Bがそれぞれ成形、加硫される位置に配置されるように、ターンテーブル111の回転位相を制御する。
【0037】
成形部107および外型装置9は、それぞれ内型3A,3Bに対して同時に成形および加硫を行える位置に配置されている。具体的には、成形部107および外型装置9は、ターンテーブル111を間に挟むように配置されている。
外型装置9は、加硫工程が行われる位置に静止した内型装置105A,105Bの回転軸15A,15Bの軸線に沿って移動できるように構成されている。
成形部107は、成形工程が行われる位置に静止した内型装置105A,105Bの内型3A,3Bの半径方向外側に配置されている。
取出し部11は、成形工程が行われる位置に静止した内型装置105A,105Bの回転軸15A,15Bの軸線方向上に配置され、上記軸線に沿って移動できるように配置されている。
【0038】
次に、上記の構成からなるゴムクローラ製造装置101における作用について説明する。
まず、一方の内型3Aが駆動部13Aにより回転制御されるとともに、成形部107からゴム層やエンドレスな芯線が供給され、ゴムクローラが成形される。
ゴムクローラが成形されると、ターンテーブル111の制御部119がターンテーブル111を略180°回転駆動する。なお、この際、ゴムクローラと成形部107とが干渉しないように、あるいは、内型3Bと成形部107とが干渉しないように、成形部107が退避するように構成されていてもよい。
【0039】
ターンテーブル111が回転すると、ゴムクローラが成形された内型3Aは外型装置9と対向する。外型装置9は内型3Aへ移動し、外型21が成形されたゴムクローラの外周を覆う位置まで移動する。以後の加硫工程は第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
一方、内型3Aにおいて加硫が行なわれている間に、他方の内型3Bにおいてゴムクローラの成形が成形部107により行われる。なお、この内型3Bにおけるゴムクローラの成形は、内型3Aにおける成形と同様であるのでその説明を省略する。
【0040】
内型3Aにおけるゴムクローラの加硫が終了すると、外型21のモールド23が半径方向外側へ移動し、ゴムクローラから引き離される。その後、外型装置9は内型3Aから離れる方向へ移動する。
その後、ターンテーブル111の制御部119は、再び、ターンテーブル111を略180°回転駆動する。なお、この際には、内型3Bにおけるゴムクローラの成形は終了している。
【0041】
ターンテーブル111が回転すると、取出し部11が内型3Aまで移動する。以後の内型3Aからゴムクローラの取り出しは第1の実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
一方、内型3Aにおいてゴムクローラの取出しおよび新たなゴムクローラの成形が行われている間に、同時に、内型3Bにおける加硫が行われている。
【0042】
上記の構成によれば、2つの内型3A,3Bが備えられているため、内型3A上に成形されたゴムクローラを外型装置9により加硫するとともに、内型33B上に成形部107によりゴムクローラを成形することができる。そのため、外型装置9および成形部107における製造工程をオーバーラップさせることができ、ゴムクローラ製造装置101における製造効率の向上を図ることができる。
2つの内型3A,3Bが成形部107と外型装置9との間に配置されているため、2つの内型3A,3Bのいずれかにゴムクローラの成形または成形されたゴムクローラの加硫を行う場合に、内型3A,3Bの移動距離を少なくすることができる。そのため、内型3A,3Bの移動時間を減らすことができ、ゴムクローラ製造装置101における製造効率の向上を図ることができる。
【0043】
2つの内型3A,3Bはターンテーブル111により、その回転軸線方向が成形部107や外型装置9の方向へ変更にされる。そのため、2つの内型3A,3Bを一箇所に配置でき、ゴムクローラ製造装置101のサイズを小型化できる。
内型3A,3Bの回転軸線方向をターンテーブル111の回転により制御できるため、ゴムクローラの加硫終了後における回転軸線方向を所定方向に向けることができる。そのため、加硫終了後のゴムクローラの取り出し位置を常に一定に保つことができ、ゴムクローラの取り出しよう容易にすることができる。
【0044】
2つの内型3A,3Bの回転軸線方向がそれぞれ反対方向に向くように配置されているため、内型3Aの回転軸線を成形部107の方向へ、内型3Bの回転軸線を外型装置9の方向へ向けることができる。そのため、成形部107と外型装置9とがそれぞれ同時に成形および加硫を行うことができるため、ゴムクローラの製造に要する時間を短縮でき、製造効率の向上を図ることができる。
【0045】
図8は、図5の内型装置の他の実施例を説明する概略図である。
なお、上述のように、ターンテーブル111上にそれぞれ駆動部13A,13Bを備える内型装置105A,105Bを配置してもよいし、図8に示すように、一つの駆動部163を配置し、駆動ベルト165を介して駆動部163の回転駆動力を回転軸15A,15Bに伝達してもよい。なお、各駆動ベルト165と駆動部163との間には、回転駆動力の伝達を制御するクラッチ(図示せず)が配置されている。
このような構成にすることで、内型装置105A,105Bの駆動部13A,13Bの一方を省略することができ、ゴムクローラ製造装置101の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1,101 ゴムクローラ製造装置
3A,3B 内型
7A,7B,107 成形部
9 外型装置(加硫部)
111 ターンテーブル(方向変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線回りに回転駆動され、周囲にゴムクローラが成形される複数の内型と、
前記内型の周囲に前記ゴムクローラを成形する成形部と、
前記ゴムクローラの外部を覆うとともに前記ゴムクローラに加硫を行う加硫部と、を有し、
前記複数の内型が、前記加硫部の周囲に配置されるとともに、前記加硫部が、前記内型に対して離間接近可能に構成され、
前記加硫部が、前記複数の内型に成形された前記ゴムクローラのいずれにも加硫を行えることを特徴とするゴムクローラ製造装置。
【請求項2】
回転軸線回りに回転駆動され、周囲にゴムクローラが成形される複数の内型と、
前記内型の周囲に前記ゴムクローラを成形する成形部と、
前記ゴムクローラの外部を覆うとともに前記ゴムクローラに加硫を行う加硫部と、を有し、
前記成形部および前記加硫部が、前記複数の内型の周囲に配置され、
前記複数の内型をその上に乗せて回転または回動する方向変換部が設けられていることを特徴とするゴムクローラ製造装置。
【請求項3】
前記方向変換部がターンテーブルであって、
前記複数の内型が、これら内型の前記回転軸線が略同一の直線上に乗らないように配置されていることを特徴とする請求項2記載のゴムクローラ製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−230512(P2011−230512A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148076(P2011−148076)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【分割の表示】特願2005−199693(P2005−199693)の分割
【原出願日】平成17年7月8日(2005.7.8)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】