説明

ゴム成形品及びゴム組成物の製造方法

【課題】耐摩耗性等の物理的特性に優れたゴム組成物を安定して実現できるようにする。
【解決手段】ゴム成形品は、ゴム層を備えたゴム成形品を対象とし、ゴム層は、ポリマーと、ポリマー中に分散したフィラーとを含む。フィラーは、プラズマ照射されたカーボンブラック、クレイ及びシリカのうちの少なくとも1つである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム成形品及びゴム組成物の製造方法に関し、特に伝動ベルト及びコンベアベルト及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な分野においてゴム成形品が使用されている。ゴム成形品の特性は、ポリマーだけでなくフィラー及び架橋剤等をはじめとする種々の添加剤によって決まる。中でもフィラーはゴム成形品の特性に大きく影響する。また、フィラーの物理的及び化学的性質だけでなく、フィラーがポリマー中においてどのように分散しているかがゴム成形品の引っ張り特性、圧縮特性及び硬度等の物理的な特性に大きく影響する。これらの物理的な特性は、ゴム成形品の耐摩耗性及び耐屈曲疲労性等を決定するため、フィラーの分散性はゴム成形品の製品寿命を決定する重要な要素である。
【0003】
フィラーの分散性は、フィラーの粒径、形状及び表面状態等の様々なファクターによって決まる。中でも、フィラーの表面状態はポリマーとの相溶性に大きく影響するため、フィラーの分散性を特に大きく変化させる。フィラーの表面状態は、基本的にはフィラーの材質によって決まるが、フィラーの表面を改質することにより必要な特性を積極的に付与することも検討されている。
【0004】
例えば、カーボンブラックの表面をシリカにより修飾することによりカーボンブラックを配合した場合にもシリカ並の粘弾性特性を実現する方法が検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
また、シリカの表面をビニルモノマーにより修飾することによりシリカの補強性を改良する方法が検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0006】
さらに、シリカをプラズマ処理することによりシランカップリング剤との反応性を向上させ、補強性を向上させることも検討されている(例えば、特許文献3を参照。)。このような表面を改質したフィラーを配合することにより、優れた特性のゴム成形品が実現されると期待される。
【特許文献1】特開平10−25428号公報
【特許文献2】特開2006−273588号公報
【特許文献3】特開2007−106888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の表面を改質したフィラーには以下のような問題がある。まず、フィラーの表面を化学的に修飾する場合には、バッチ処理が必要となるためバッチごとのばらつきが大きな問題となる。表面処理状態のわずかな違いにより、フィラーを配合したゴム組成物の特性が大きくばらついてしまう。このため、安定した製品の供給が困難である。
【0008】
プラズマ処理の場合には、連続的にドライな処理が可能であり、バッチごとのばらつきの影響を排除することが可能である。しかし、従来のフィラーへのプラズマ処理は、シリカとシランカップリング剤との反応性の向上を目的とするものである。このため、プラズマ照射が、フィラーの分散性にどのような影響を与えるかについては、検討されていない。
【0009】
本発明は、前記従来の問題を解決し、フィラーの分散性を向上させ、耐摩耗性等の物理的特性に優れたゴム成形品を安定して実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明はゴム成形品を、プラズマ照射されたフィラーが分散したゴム層を備えている構成とする。
【0011】
具体的に、本発明に係るゴム成形品は、ゴム層を備えたゴム成形品を対象とし、ゴム層は、ポリマーと、ポリマー中に分散したフィラーとを含み、フィラーは、プラズマ照射されたカーボンブラック、クレイ及びシリカのうちの少なくとも1つであることを特徴とする。
【0012】
本発明のゴム成形品は、プラズマ照射されたフィラーが分散したゴム層を備えている。このため、ゴム層におけるフィラーの分散性に優れ、ゴム層の物理的特性が大きく向上する。従って、耐摩耗性及び耐屈曲疲労性等に優れたゴム成形品を安定して実現できる
本発明のゴム成形品において、フィラーは超臨界流体の存在下においてポリマーと混練することにより、ポリマー中に分散していてもよい。
【0013】
本発明のゴム成形品において、フィラーは大気圧においてプラズマ照射されていてもよい。
【0014】
本発明のゴム成形品は、ゴム層と接着された補強層をさらに備え、伝動ベルトとして成形されていても、コンベアベルトとして成形されていてもよい。
【0015】
本発明に係るゴム組成物の製造方法は、フィラーにプラズマを照射することによりプラズマ処理フィラーを形成する工程(a)と、プラズマ処理フィラーとポリマーとを混練する工程(b)とを備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明のゴム組成物の製造方法は、フィラーにプラズマを照射する工程を備えている。このため、ポリマーとフィラーとの混練が容易であり、フィラーの分散性が優れたゴム組成物を得ることができる。従って、耐摩耗性及び耐屈曲疲労性等に優れたゴム成形品を安定して実現することが可能となる。
【0017】
本発明のゴム組成物の製造方法において工程(b)では、超臨界流体の存在下において混練を行ってもよい。この場合において超臨界流体は、二酸化炭素又は窒素としてもよい。
【0018】
本発明のゴム組成物の製造方法において工程(a)は、フィラーを帯電させることによりフィラーに含まれる凝集塊を解砕する工程と、凝集塊が解砕されたフィラーにプラズマを照射する工程とを含む構成としてもよい。
【0019】
本発明のゴム組成物の製造方法においてプラズマの照射は、大気圧において行ってもよい。
【0020】
本発明のゴム組成物の製造方法においてフィラーは、カーボンブラック、クレイ及びシリカのうちの少なくとも1つであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るゴム組成物及びその製造方法によれば、フィラーの分散性が向上し、耐摩耗性等の物理的特性に優れたゴム組成物を安定して実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態に係るゴム組成物は、プラズマ処理されたフィラーが配合されている。プラズマ処理によりフィラーとポリマーとの相溶性が向上し、フィラーの分散性が向上する。その結果、ゴム組成物の耐摩耗性等の物理的特性が大きく向上する。
【0023】
−プラズマ処理工程−
プラズマ処理を行うフィラーは、通常のゴム組成物中に混練されるものであればどのようなものであってもよい。例えば、カーボンブラック、シリカ、クレイ、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、ゼオライト、瀝青質微粉体、珪砂、軽石粉、スレート粉、アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、リトポン、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス玉、ガラス中空体、カーボン繊維、炭素中空体無煙炭粉末、クリオライト、シリコーン樹脂微粉末、シリカ球状微粒子、アラミド短繊維及びアルミナ短繊維等が挙げられる。
【0024】
フィラーとして用いるカーボンブラックとしては、例えば、チャネルブラック;SAF、ISAF、N−339、HAF、N−351、MAF、FEF、SRF、GPF、ECF又はN−234等のファーネスブラック;FT又はMT等のサーマルブラック;アセチレンブラック等が挙げられる。カーボンブラックの添加量は、ポリマー100質量部に対して5〜130質量部とすることが好ましい。
【0025】
クレイとしては、層状粘土鉱物、有機化粘土鉱物等が挙げられる。また、その添加量はポリマー100質量部に対して5質量部〜40質量部とすればよい。
【0026】
シリカは、ゾル−ゲル法、湿式法、乾式法等の各種製法により得られたものを用いればよい。特に、補強効果並びに低発熱性と湿潤時の摩擦特性等の観点から湿式シリカが好ましい。シリカのミクロ構造は特に制限されないが、ゴム分子との相互作用を高めることから窒素吸着比表面積(BET)が100cm2/g〜300m2/g、DBP吸油量が150ml/100g〜300ml/100gにあるものが好ましい。また、その添加量はポリマー100質量部に対して5質量部〜70質量部程度とすればよい。
【0027】
プラズマ処理は、例えば、空気、酸素、窒素、含フッ素ガス及びアルゴン、ヘリウム又はネオン等の希ガス等をガス種とするプラズマを照射すればよい。また、これらの混合気体であってもよい。プラズマの生成雰囲気は大気圧であっても減圧下であってもよい。また、プラズマはグロー放電、コロナ放電又は火花放電等により発生させればよい。
【0028】
また、連続してプラズマを照射する方がバッチ間のばらつきを小さくし、より安定した特性を得ることができる。
【0029】
さらに、フィラーの表面を均一にプラズマ処理するために、フィラー中の凝集塊を解砕した後、プラズマ照射を行うことが好ましい。解砕は例えばフィラー粒子を静電気イオンにより帯電させ、フィラー粒子同士を反発させることにより行えばよい。
【0030】
フィラーへのプラズマ照射はどのような装置を用いて行ってもよいが、例えば図1に示すような装置を用いれば、連続的に均一なプラズマ処理ができる。図1に示すプラズマ照射装置は、チャンバ20内に設置した筒型の加熱炉30においてフィラーを連続的に処理する。プラズマ21は誘導コイル32を備えたプラズマ発生管31を用いて発生させる。誘導コイル32にはマッチング回路34を介して高周波電源33が接続されている。プラズマ21の発生状態はラジカル量センサ51によりモニタすることができる。
【0031】
プラズマ発生管31の一端には導入管35が接続されており、フィラー供給装置40から供給されたフィラー23はプラズマ発生管31に連続的に導入され、プラズマ照射が行われる。プラズマ照射されたフィラー24は、プラズマ発生管31の他端から排出され捕集容器53に回収される。
【0032】
フィラーを導入管35に導く際には、イオナイザ45によりイオン化したガスを用いる。これにより、フィラー粒子は帯電し、フィラー粒子同士の間に静電的な反発力が生じる。その結果、フィラー粒子はほぼ1粒子ごとに解砕された状態となり、均一なプラズマ処理を行うことが可能となる。また、フィラー供給装置40には計量装置49が接続されており、フィラーの供給量等を管理できる。
【0033】
プラズマ発生管31において発生させるプラズマのガス種は、バルブ52を介して供給するガスを変更することにより、任意に設定することができる。また、チャンバ20には、ガス供給口26と、排気口27とが設けられており、チャンバ20内を所定のガスで満たすことが可能である。
【0034】
−混練工程−
プラズマ処理工程において形成されたプラズマ処理フィラーは、既知のゴムの混練方法によりポリマーと混練すればよい。この際に、単一種類のプラズマ処理フィラーを混練しても、複数種類のプラズマ処理フィラーを混練してもよい。
【0035】
未架橋ゴムであるポリマーは、例えば、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−α−オレフィン共重合体ゴム(例えば、EPDM、EPR等)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、クロロスルホンかポリエチレンゴム(CSM)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)等が挙げられる。原料ゴムは、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。
【0036】
ポリマーの形態は、粉状であってもよく、また、粒状であってもよく、さらに、ペレット状であってもよい。
【0037】
また、混練工程において、プラズマ処理フィラー以外の、架橋剤、老化防止剤、可塑剤及び架橋促進剤等の配合剤を適宜配合してもよい。
【0038】
架橋剤としては、例えば、硫黄、硫黄化合物、オキシム類、ニトロソ化合物、ポリアミン、有機過酸化物等が挙げられる。架橋剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。架橋剤の添加量は、原料ゴム100質量部に対して0.5〜5質量部とすることが好ましい。なお、成形架橋工程で電子線架橋等の架橋剤を用いない加工を行う場合には、架橋剤は必ずしも必要でない。
【0039】
老化防止剤としては、例えば、アミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダート・フェノール系、亜リン酸エステル系のもの等が挙げられる。老化防止剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。老化防止剤の添加量は、原料ゴム100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましい。
【0040】
可塑剤としては、例えば、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体、スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体、グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体等が挙げられる。可塑剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。可塑剤の添加量は、原料ゴム100質量部に対して5〜100質量部とすることが好ましい。
【0041】
架橋促進剤としては、例えば、グァニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系のもの等が挙げられる。架橋促進剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。架橋促進剤の添加量は、原料ゴム100質量部に対して1〜10質量部とすることが好ましい。
【0042】
フィラーがシリカの場合には、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤としては、ビス−(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ポリスルフィド(ポリスルフィド部分のS数:2〜8)などのスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系の通常ゴム用に使用されるシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤は、単一種だけを用いてもよく、また、複数種を混合して用いてもよい。シランカップリング剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部〜15質量部とすることが好ましい。後で説明する超臨界流体を用いた混練を行う場合には、シランカップリング剤を添加することにより、ポリマーとフィラーとの相互作用をより高めるという効果も得られる。
【0043】
混練はロール、2軸押出混練装置等を用いて行えばよい。また、混練時間等の混練条件については、ゴム配合組成等に基づいて適宜設定すればよい。
【0044】
混練の順序は、特に規定されない。また、すべての配合剤を一度に混練しても、数回に分けて混練してもよい。例えば、架橋剤を除くプラズマ処理フィラー、架橋促進剤及び老化防止剤等を混練した後、架橋剤を混練してもよい。また、予めプラズマ処理フィラー以外の配合剤を添加したポリマーにプラズマ処理フィラーを混練してもよい。
【0045】
プラズマ処理フィラーは、通常の混練方法により混練を行った場合にも、優れた分散性を示すが、以下に示すような超臨界流体又は亜臨界流体の存在下において混練を行えば、さらに分散性が向上する。
【0046】
超臨界流体とは、超臨界状態の流体をいう。超臨界状態とは、温度が流体の臨界温度(Tc)以上で且つ圧力が流体の臨界圧力(Pc)以上である状態をいう。
【0047】
亜臨界流体とは、亜臨界状態の流体をいう。亜臨界状態とは、温度及び圧力の一方のみが臨界状態に達し且つ他方が臨界状態に達していない状態、或いは、温度及び圧力の両方が臨界状態に達していないが、温度及び圧力の少なくとも一方が常温常圧より十分高く臨界状態に近い状態をいう。本出願において、亜臨界状態とは、温度をT(摂氏)及び圧力をPとしたとき、0.5<T/Tc<1.0且つ0.5<P/Pc、又は、0.5<T/Tc且つ0.5<P/Pc<1.0の条件を満たす状態をいう。
【0048】
ゴムの混練にとって好ましい亜臨界状態は、0.6<T/Tc<1.0且つ0.6<P/Pc、又は、0.6<T/Tc且つ0.6<P/Pc<1.0の条件を満たす状態である。なお、臨界温度Tc(摂氏)がマイナスである場合には温度条件は満たされるものとし、超臨界状態の条件が満たされず且つ0.5<P/Pcの圧力条件が満たされれば亜臨界状態にあるものとする。
【0049】
超臨界流体又は亜臨界流体を生じる物質としては、例えば、二酸化炭素、窒素、水素、キセノン、エタン、アンモニア、メタノール、水等が挙げられる。これらのうちゴムの混練には二酸化炭素及び窒素が好適である。
【0050】
二酸化炭素の臨界温度(Tc)は31.1℃であり、臨界圧力(Pc)は7.38MPaである。従って、超臨界二酸化炭素は、温度Tが31.1℃以上であり且つ圧力Pが7.38MPa以上である状態の二酸化炭素である。亜臨界二酸化炭素は、15.6℃<T<31.1℃且つ3.69MPa<P、又は、15.55℃<T且つ3.69MPa<P<7.38MPaの条件を満たす状態の二酸化炭素である。
【0051】
窒素の臨界温度(Tc)は−147.0℃であり、臨界圧力(Pc)は3.40MPaである。従って、超臨界窒素は、温度Tが−147.0℃以上であり且つ圧力Pが3.40MPa以上である状態の窒素である。亜臨界窒素は、超臨界窒素の条件を満たさず且つ1.70MPa<Pの条件を満たす状態の窒素である。
【0052】
なお、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下には、ゴムの混練に支障を及ぼさない範囲で、その他の液体や気体を共存させてもよい。
【0053】
このような超臨界流体又は亜臨界流体の存在下でのゴムの混練は、耐熱性及び耐圧性に優れた密閉式のゴム混練室内にローター、ニーディングディスク又はスクリュー等の混練部材が設けられた混練装置を用いることにより行うことができる。混練装置は、ポリマー及びフィラーの供給と、フィラー含有未架橋ゴム組成物の排出とを連続的に行う連続方式のもの、例えば特開2002−355880号公報に開示されている2軸押出混練装置等が好ましい。
【0054】
超臨界流体又は亜臨界流体の存在下でのゴムの混練時には、ポリマー及び添加剤が超臨界流体又は亜臨界流体に溶解すると共に、混練部材によって機械的に攪拌混練される。
【0055】
混練工程では、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下でポリマー、フィラー及び架橋剤を除く配合剤を混練した後、同一の混練装置又は別の混練装置を用いて、得られた混練物と架橋剤とをさらに混練して架橋剤を含有する未架橋ゴム組成物を調製してもよい。このように超臨界流体又は亜臨界流体の存在下での混練の後に架橋剤を添加することにより、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下での混練時における架橋反応の進行を防止することができる。
【0056】
また、混練工程では、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下でポリマー及びフィラーを混練した後、同一の混練装置又は別の混練装置、例えば単軸の押出機等を用いて、得られた混練物と架橋剤を含むその他の配合剤とを混練して未架橋ゴム組成物を調製してもよい。
【0057】
いずれの場合においても、同一の混練装置を用いれば、原材料の投入から架橋剤を含む未架橋ゴム組成物の調製までを一連の操作で行うことができる。
【0058】
なお、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下で混練する前には、ポリマー及びフィラーを混練して予め可塑化させることが好ましく、また、超臨界流体又は亜臨界流体の存在下で混練した後には、混練物を脱気することが好ましい。
【0059】
−架橋工程−
混練工程により得られた未架橋ゴム組成物を、通常の成形架橋工程により成形及び架橋を行うことにより、架橋済みゴム組成物が得られる。
【0060】
成形架橋加工方法としては、例えば、プレス、加硫缶、連続加硫機、高周波架橋や放射線架橋や電子線架橋により架橋する特殊架橋機等を用いた加工、トランスファー成形、射出成形、押出成形、射出成形等が挙げられる。
【0061】
温度、圧力、及び時間等の成形架橋条件については、フィラー含有未架橋ゴムの組成やゴム成形品の要求品質等に基づいて適宜設定する。
【0062】
成形架橋工程により、未架橋ゴム組成物に含まれるポリマーの分子間が架橋剤又は電子線により架橋されてネットワーク構造が形成される。これにより、架橋済みゴム組成物が得られる。
【0063】
成形架橋工程は、製造するゴム成形品の種類に応じて行えばよいが、例えば、図2に示すようなゴム層と補強層とを備えたVリブドベルトを製造する場合には、以下のようにすればよい。
【0064】
VリブドベルトBは、ベルト外周側の接着ゴム層11とベルト内周側の圧縮ゴム層12との二重層に構成されたVリブドベルト本体10を備えており、そのVリブドベルト本体10のベルト外周側表面に補強布17が貼設されている。また、接着ゴム層11には、ベルト幅方向にピッチを有する螺旋を形成するように設けられた心線16が埋設されている。
【0065】
接着ゴム層11は、断面横長矩形の帯状に構成され、例えば、厚さ1.0〜2.5mmに形成されている。
【0066】
接着ゴム層11は、原料ゴムに種々のゴム配合剤が配合されて混練された未架橋ゴムが加熱及び加圧されて架橋剤により架橋した架橋ゴムで形成されている。
【0067】
圧縮ゴム層12は、プーリ接触部を構成する複数のVリブ13がベルト内周側に垂下するように設けられている。これらの複数のVリブ13は、各々がベルト長さ方向に延びる断面略逆三角形の突条に形成されていると共に、ベルト幅方向に並設されている。各Vリブ13は、例えば、リブ高さが2.0〜3.0mm、基端間の幅が1.0〜3.6mmに形成されている。また、リブ数は、例えば、3〜6個である(図2では、リブ数が6)。
【0068】
圧縮ゴム層12は、ポリマーにフィラー及び種々のゴム配合剤が配合されて混練されたフィラー含有未架橋ゴム組成物が加熱及び加圧されて架橋剤等により架橋した架橋ゴムにより形成されている。なお、圧縮ゴム層12には、ベルト幅方向に配向するように設けられ、また、Vリブ13表面から突出するように設けられた短繊維14が含まれていてもよい。 短繊維14としては、例えば、繊維長1〜3mmのナイロン短繊維、ビニロン短繊維、ポリエステル短繊維、綿短繊維、アラミド短繊維等が挙げられる。
【0069】
接着ゴム層11と圧縮ゴム層12とは、別々の架橋ゴムで形成されていてもよく、また、全く同じ架橋ゴムで形成されていてもよい。接着ゴム層11及び圧縮ゴム層12のうちの少なくとも1方を本実施形態のゴム組成物により成形すれば、耐摩耗性に優れた伝動ベルトが実現できる。
【0070】
補強布17は、例えば、綿、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の糸で形成された平織、綾織、朱子織等に製織した織布で構成されている。補強布17は、Vリブドベルト本体10に対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬して加熱する接着処理及び/又はVリブドベルト本体10側となる表面にゴム糊をコーティングして乾燥させる接着処理が施されている。なお、補強布17が設けられず、ベルト外周側表面部分が架橋ゴムで構成されていてもよい。また、補強布17は、編物で構成されていてもよい。
【0071】
心線16は、ポリエステル繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、アラミド繊維、ビニロン繊維等の撚り糸で構成されている。心線16は、Vリブドベルト本体10に対する接着性を付与するために、成形加工前にRFL水溶液に浸漬した後に加熱する接着処理及び/又はゴム糊に浸漬した後に乾燥させる接着処理が施されている。
【0072】
Vリブドベルトだけでなく平型ベルト、歯付ベルト等他の種類の伝動ベルトも同様にして形成することができる。
【0073】
また、ゴム層と繊維又は金属等からなる補強層とを積層すればコンベアベルトを形成することができる。図3は、コンベアベルトの一例を示している。
【0074】
コンベアベルトは、帆布層63を中心層とし、その両側に接着ゴム層61が設けられている。コンベアベルトの上下の最外層には、それぞれカバーゴム層62と裏カバーゴム層64とが設けられている。カバーゴム層62及び裏カバーゴム層64は、特に耐摩耗性が要求されるため、これらの層の少なくとも一方を本実施形態のゴム組成物により成形すれば、耐摩耗性に優れたコンベアベルトが得られる。なお、カバーゴム層62及び裏カバーゴム層64は1層であってもよいし、同一又は異なるゴム組成物が2層以上積層されていてもよい。また、カバーゴム層62と裏カバーゴム層64とが同一の構成であっても、異なる構成であってもよい。
【0075】
接着ゴム層61に用いるゴム組成物は特に限定されず、通常のコンベアベルトに用いられるものを適宜選択して用いればよい。帆布層63は特に限定されず、通常のコンベアベルトに用いられるものを適宜選択して用いればよい。例えば、綿布と化学繊維又は合成繊維とからなるものにゴム糊を塗布、浸潤させたもの、RFL処理したものを折り畳んだもの、特殊織のナイロン帆布、スチールコード等を挙げることができる。帆布層63は、単独で用いてもよいし、2種以上のものを積層して用いてもよい。
【0076】
コンベアベルトの製造方法は特に限定されず、通常用いられる方法等を採用すればよい。例えば、まず、ゴム組成物をシート状にプレフォームし、150℃〜170℃の温度で10分〜60分間加圧することにより加硫を行いカバーゴム層等の各層を製造する。次に、得られた各層を帆布上に所定の順序で積層することにより耐摩耗性コンベアベルトを製造することができる。
【0077】
以下に、本発明に係るゴム組成物及びその製造方法について実施例を用いてさらに詳細に説明する。
【0078】
<第1の実施例>
表1に示すように、プラズマ処理フィラーの種類及び混練方法が異なるA〜Fの6種類のゴム組成物を調製した。また、比較例として、プラズマ処理していないフィラーを配合してG〜Lの6種類のゴム組成物を調製した。
【0079】
【表1】

【0080】
ポリマーには、ペレット状のEPDM(デュポン・ダウ・エラストマージャパン社製 商品名:ノーデル4725P)を用いた。
【0081】
ゴム組成物A及びBには、プラズマ処理したカーボンブラック(HAF級、東海カーボン社製 商品名:シースト3)をフィラーとして70質量部添加した。ゴム組成物G及びHにはプラズマ処理していないカーボンブラックを70質量部添加した。
【0082】
ゴム組成物C及びDには、プラズマ処理したクレイ(ホージュン社製 商品名:エスベンNX)を10質量部添加した。ゴム組成物I及びJにはプラズマ処理していないクレイを10質量部添加した。
【0083】
ゴム組成物E及びFには、プラズマ処理したシリカ(東ソー・シリカ社製 商品名:ニプシールVN3)を70質量部添加した。ゴム組成物K及びLにはプラズマ処理していないシリカを70質量部添加した。
【0084】
ゴム組成物A〜Lには共通成分として、5質量部の酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:酸化亜鉛3種)、1質量部のステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)、5質量部のプロセスオイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)、1.2質量部の架橋促進剤(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーPZ)及び1.67質量部の架橋剤(鶴見化学工業社製 商品名:オイル硫黄)を配合した。また、シリカを配合したゴム組成物GとOには、シランカッリング剤(デグサ社製 商品名:Si69)を8質量部配合した。
【0085】
プラズマ照射は、図1に示した連続式の大気圧プラズマ照射装置を用い、フィラーを帯電させることにより凝集塊を解砕し、フィラー粒子が分散した状態においてプラズマが照射されるようにして行った。
【0086】
各ゴム組成物の混練には二軸押出混練装置(日本製鋼社製 型番:TEX30α)を用いた。また、ゴム組成物B、D、F、H、J及びLの混練は超臨界流体の存在下で行った。
【0087】
本実施例において用いた2軸混練装置は、長尺のゴム混練室を備え、その上流端に原料供給部及び下流端に練りゴム排出部がそれぞれ設けられている。ゴム混練室には、各々、外径が30mmであり且つその外径に対する長さの比が59.9である一対のスクリューが並列に長さ方向に沿って設けられていると共に、長さ方向に沿って17個のシリンダC1〜C17に空間が仕切られている。
【0088】
また、原料供給部直下のシリンダC1に水冷式の温調機構が設けられており、これにより原料の融解を防止するように構成されている。また、その他のシリンダC2〜C17のそれぞれに温調機構が設けられており、これにより独立した加熱及び冷却が可能なように構成されている。また、シリンダC7にはガス供給管が接続されている。
【0089】
混練は、スクリュー回転数を200rpm、ガス供給管からシリンダC7への二酸化炭素の供給量を0.5kg/時、シリンダC11及び12の圧力を1.73Pa、未架橋ゴム組成物の押出排出量を6kg/時にそれぞれ設定して行った。また、逆ニーディングディスク及びシールリングの構成、並びにシリンダC7〜10の設定温度を操作することにより、シリンダC7〜C10内を温度が120℃で圧力が9MPaの超臨界二酸化炭素の存在条件とした。なお、温度はシリンダC7〜C10内における混練物の温度であり、圧力はシリンダC10内の圧力である。
【0090】
本実施例においては、シリンダC1〜C6において混練して可塑化した材料を、超臨界二酸化炭素の存在条件のシリンダC7〜C10内においてさらに混練した。シリンダC7〜C10においては架橋剤及び架橋促進剤を添加しない状態で混練を行った。架橋剤及び架橋促進剤は、シリンダC15において混練物に添加した。シリンダC15〜C17においてさらに架橋剤及び架橋促進剤が添加された混練物をさらに混練した。
【0091】
得られた、未架橋ゴム組成物は、摩擦摩耗試験用の試験片に成形架橋した。試験片は、5mm角で高さが10mmの角柱状とした。摩耗試験は、ピンディスク型の摩擦摩耗試験機を用い、5mm角の底面に対して、面圧が0.8MPa、摩擦速度が0.25m/s、摩擦面温度が100℃の条件で24時間行った。試験前後における試験片の重量変化量を、各試料の比重で除すことにより摩耗体積を求めた。なお、相手材にはねずみ鋳鉄(FC200)を用いた。
【0092】
表1に示すように、カーボンブラック、クレイ及びシリカのいずれの場合においても、プラズマ照射フィラーを用いることにより未照射のフィラーよりも摩耗体積が減少し、耐摩耗性が大きく向上した。これは、プラズマ照射によりフィラーの分散性が向上したことによると考えられる。また、超臨界流体の存在下において混練を行うことにより、耐摩耗性をさらに向上させることができた。これは、超臨界流体によりポリマー中におけるフィラーの分散性がさらに向上したためであると考えられる。
【0093】
なお、超臨界流体は、二酸化炭素に代えて窒素等を用いてもよい。また、超臨界流体に代えて亜臨界流体の存在下において混練を行った場合にも同様の効果が得られる。
【0094】
<第2の実施例>
表2に示す3種類のゴム組成物M、N及びOについてVリブドベルトを成形し、耐摩耗性を評価した。ゴム組成物の混練には第1の実施例と同じ二軸押出混練装置を用いた。また、フィラーへのプラズマ照射も第1の実施例と同様に行った。
【0095】
【表2】

【0096】
Vリブドベルトは、ベルト周長を1000mm、ベルト幅を10mm及びベルト厚さを4mmとし、リブ数を3個とした。厚さが0.8mmのシート状にプレフォームしたゴム組成物M、N及びOを架橋成形して圧縮ゴム層とした。接着ゴム層は、通常のEPDMゴム組成物及び補強布をナイロン製の織布をRFL処理及びゴム糊処理したものを用いた。心線はポリエステル繊維(PET)製の撚り糸をRFL処理及びゴム糊処理したものとした。
【0097】
図4は、Vリブドベルトの耐摩耗性試験評価用のベルト走行試験機70のプーリレイアウトを示す。このベルト走行試験機70は、左右に配されたプーリ径60mmの一対の駆動リブプーリ71及び従動リブプーリ72からなる。
【0098】
成形したVリブドベルトのそれぞれについて、まず、初期ベルトベルト質量を計測した。次に、Vリブ側が接触するように駆動リブプーリ71と従動リブプーリ72とにVリブドベルトを巻き掛け、1177Nのデッドウェイトが負荷されるように駆動リブプーリ71を側方に引っ張ると共に、7Wの回転負荷を従動リブプーリ72にかけた。室温において駆動リブプーリ71を3500rpmの回転速度で24時間回転させるベルト走行試験を実施した後、走行後ベルト質量を測定し、次式に基づいて摩耗率を算出した。
【0099】
【数1】

【0100】
表2に示すように、プラズマ照射を行ったフィラーを用いたゴム組成物M及びNにより成形したVリブドベルトは、プラズマ照射していないフィラーを用いたゴム組成物Oにより成形したVリブドベルトよりも、摩耗率が小さかった。また、混練の際に超臨界流体を用いた方が、摩耗率が小さくなった。これは、フィラーへのプラズマ照射により、フィラーの分散性が向上したことを示している。また、フィラーへのプラズマ照射と超臨界流体の存在下における混練とを組み合わせることにより、さらにフィラーの分散性が向上することが明らかとなった。
【0101】
<第3の実施例>
表3に示す3種類のゴム組成物P、Q及びRについてコンベアベルトを成形し、耐摩耗性を評価した。本実施例においては、ポリマーにスチレンブタジエンゴム(SBR、JSR社製 商品名:SBR1500)を用い、カーボンブラックとしてISAF級(昭和キャボット社製 商品名:N220)を用いた。また、接着付与剤にはマロン・インデン樹脂を用い、老化防止剤にはアミン系(大内新興化学社製 商品名:ノクラック6C)を用いた。架橋剤には鶴見化学工業社製のオイル硫黄を用い、架橋促進剤には大内新興化学社製のノクセラーCZを用い、オイルには神戸油化学社製のシンタックHA30を用いた。ゴム組成物の混練には第1の実施例と同じ二軸押出混練装置を用いた。また、フィラーへのプラズマ照射も第1の実施例と同様に行った。
【0102】
【表3】

【0103】
ゴム組成物P、Q及びRをそれぞれ図3に示すコンベアベルトのカバーゴム層62及び裏カバーゴム層64として用いた。カバーゴム層62の厚さは5mmとし、裏カバーゴム層64の厚さは3mmとした。
【0104】
得られたコンベアベルトを、粒径が50mm以下の鉱石を約800トン/分の搬送量となるように200m/分の速度で運転した後のカバーゴム層の厚さを測定することにより、コンベアベルトの耐摩耗性を評価した。
【0105】
プラズマ照射していないフィラーを用いたゴム組成物Rを用いたコンベアベルトは、200時間が経過する前に亀裂が生じた。一方、プラズマ照射したフィラーと用いたゴム組成物P及びQを用いたコンベアベルトは、300時間経過後においても亀裂等は生じなかった。また、カバーゴム層の摩耗量も小さく良好な耐摩耗性を示した。これは、プラズマ照射によりフィラーの分散性が向上したことによると考えられる。また、プラズマ照射したフィラーを超臨界流体の存在下において混練した場合には、さらに良好な耐摩耗性を示した。
【0106】
以上の、実施形態及び各実施例においては、ゴム成形品について説明を行った。しかし、プラズマ照射フィラーによるポリマー中におけるフィラーの分散性向上の効果は、ゴム以外のポリマーにおいても同様に得られる。このため、プラズマ照射フィラーを用いることによりゴム成形品だけでなく樹脂成形品においても、耐摩耗性等を向上させることができる。例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ナイロン、ポリアセタール(POM)又はアクリロニトリルブタジエン共重合体(ABS)等にプラズマ照射フィラーを適用することにより耐摩耗性等に優れた精密ギア等の樹脂製品を実現できる。また、樹脂とフィラーとの混練の際にも超臨界流体を用いれば、さらにフィラーの分散性が向上し、耐摩耗性等を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明に係るゴム組成物及びその製造方法は、耐摩耗性等の物理的特性に優れたゴム組成物を安定して実現でき、特に伝動ベルト及びコンベアベルト等の耐摩耗性を必要とするゴム成形品を実現するためのゴム成形品及びその製造方法等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態に係るプラズマ照射装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るVリブドベルトの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るコンベアベルトの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施例におけるベルト走行試験機のプーリレイアウトを示す図である。
【符号の説明】
【0109】
10 Vリブドベルト本体
11 接着ゴム層
12 圧縮ゴム層
13 Vリブ
14 短繊維
16 心線
17 補強布
20 チャンバ
21 プラズマ
23 フィラー
24 フィラー
26 ガス供給口
27 排気口
30 加熱炉
31 プラズマ発生管
32 誘導コイル
33 高周波電源
34 マッチング回路
35 導入管
40 フィラー供給装置
45 イオナイザ
49 計量装置
51 ラジカル量センサ
52 バルブ
53 捕集容器
61 接着ゴム層
62 カバーゴム層
63 帆布層
64 裏カバーゴム層
69 Si
70 ベルト走行試験機
71 駆動リブプーリ
72 従動リブプーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム層を備えたゴム成形品であって、
前記ゴム層は、
ポリマーと、
前記ポリマー中に分散したフィラーとを含み、
前記フィラーは、プラズマ照射されたカーボンブラック、クレイ及びシリカのうちの少なくとも1つであることを特徴とするゴム成形品。
【請求項2】
前記フィラーは、超臨界流体の存在下において前記ポリマーと混練することにより、前記ポリマー中に分散していることを特徴とする請求項1に記載のゴム成形品。
【請求項3】
前記フィラーは、大気圧においてプラズマ照射されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム成形品。
【請求項4】
前記ゴム層と接着された補強層をさらに備え、
伝動ベルトとして成形されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム成形品。
【請求項5】
前記ゴム層と接着された補強層をさらに備え、
コンベアベルトとして成形されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム成形品。
【請求項6】
フィラーにプラズマを照射することによりプラズマ処理フィラーを形成する工程(a)と、
前記プラズマ処理フィラーとポリマーとを混練する工程(b)とを備えていることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
前記工程(b)では、超臨界流体の存在下において混練を行うことを特徴とする請求項6に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
前記超臨界流体は、二酸化炭素又は窒素からなることを特徴とする請求項7に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項9】
前記工程(a)は、
前記フィラーを帯電させることにより前記フィラーに含まれる凝集塊を解砕する工程と、
凝集塊が解砕された前記フィラーにプラズマを照射する工程とを含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項10】
前記プラズマの照射は、大気圧において行うことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項11】
前記フィラーは、カーボンブラック、クレイ及びシリカのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−227859(P2009−227859A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76311(P2008−76311)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】