説明

ゴム組成物およびこれを用いた空気入りタイヤ

【課題】優れたドライグリップ性能とウェットグリップ性能とを発揮し得るゴム組成物、空気入りタイヤの提供。
【解決手段】ジエン系ゴム成分100質量部に対し、無機充填剤を5〜350質量部の量で含む充填剤を総量で10〜350質量部の量で配合し、かつ充填剤の総量に対し、軟化剤と下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂とを総量で50質量%以上の量となるよう配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用ゴム組成物として用いた際に、湿潤路面および乾燥路面の双方において優れたグリップ性能を発揮するゴム組成物、ならびに該ゴム組成物を用いて得られる高性能な空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気入りタイヤのトレッドは、種々の性能を有する高性能なタイヤが望まれている。特に空気入りタイヤのグリップ性能は重要な性能の一つであり、ゴムの特性に大きく影響される。こうしたグリップ性能は、ドライグリップ、ウェットグリップなどにより評価され、従来より様々なグリップ性能を付与するタイヤ用ゴム組成物が開発されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、ジエン系ゴムに、スチレンモノマーからなる重合体を含有させたゴム組成物が開示されており、優れたグリップ性能を有することが示されている。また、特にウェットグリップ性能の向上を実現し得るゴム組成物として、ジエン系ゴムに、スチレンまたはα−メチルスチレンなどをモノマー成分とする重合体を含有させたもの(特許文献2参照)、α−メチルスチレンやメチル基、エチル基、プロピル基などで核置換された芳香族置換α−メチルスチレンなどをモノマー成分とする重合体を含有させたもの(特許文献3〜5参照)も開示されている。
【0004】
これらは、いずれもジエン系ゴムに配合する重合体として芳香族ビニル重合体を採用しており、この重合体を形成するモノマーとしての特性を種々の観点から規定することによって、グリップ性能のみならず、必要に応じて耐摩耗性、低燃費性や転がり抵抗などを付与するタイヤ用ゴム組成物である。そして、特許文献3〜5には、芳香族ビニル重合体を形成するモノマーとして、α−メチルスチレンと芳香族置換α−メチルスチレンとのいずれを選択しても、同等の効果を奏するものであることが示されている。
【0005】
一方、タイヤ用ゴム組成物に広く充填剤として配合されているカーボンブラックに代えシリカを配合することにより、ウェットグリップ性能を向上させることが可能となることが知られている。たとえば、特許文献6には、シリカと特定の無機剤とを配合したゴム組成物が開示されており、乾燥路面におけるグリップ性能(ドライグリップ性能)および湿潤路面におけるグリップ性能(ウェットグリップ性能)を良好に兼ね備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−112994号公報
【特許文献2】特開2007−302713号公報
【特許文献3】特開平11−49894号公報
【特許文献4】特開平10−195242号公報
【特許文献5】特開平10−195238号公報
【特許文献6】特開2008−184505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながらモノマーとして、たとえばα−メチルスチレンモノマーを採用した場合、かかるモノマーから得られる樹脂はポリマー中での分散性が低下するおそれがあるため、湿潤路面および乾燥路面の双方において充分対応し得るグリップ性能を発揮するものではない。また、芳香族置換α−メチルスチレンモノマーを採用した場合、良好なウェットグリップ性能を示すものの、ドライグリップ性能に関しては改良の余地が残されている。
さらに、充填剤として上記のようなシリカと特定の無機剤とを配合したゴム組成物においても、良好なウェットグリップ性能を示しつつ、より優れたドライグリップ性能を発揮する観点から、さらなる改善が求められている。
【0008】
このように、湿潤路面での優れたグリップ性能は発揮し得るものの、特に路面が乾いていく状況及び乾いた路面で安定したグリップ性能を充分に確保するのは困難を伴う傾向にあるため、これらいずれのゴム組成物をタイヤに用いても、優れたドライグリップ性能とウェットグリップ性能とを充分に兼ね備えるものではない。
【0009】
そこで、本発明は、タイヤ用ゴム組成物として用いた際、優れたドライグリップ性能とウェットグリップ性能とを発揮し得るゴム組成物、およびそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく、特定量の充填剤および軟化剤と、特定のモノマー2種を共重合させて得られる樹脂とを配合してなるゴム組成物を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100質量部に対し、少なくとも無機充填剤を5〜350質量部の量で含む充填剤を総量で10〜350質量部の量で配合し、かつ
前記充填剤の総量に対し、軟化剤と下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂とを総量で50質量%以上の量となるよう配合してなることを特徴とする。
【0011】
【化1】

【0012】
【化2】

【0013】
(式(I)および式(II)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基である。式(I)中、Xは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。式(II)中、Yは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。ただし、XとYとは同一ではない。)。
前記無機充填剤は、シリカおよび/または下記式(III)で表される無機剤を含むのが望ましい。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(III)
(式(III)中、M1は、Al、Mg、Ti、CaおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、金属酸化物またはその水和物、或いはこれら金属の炭酸塩を示し、mは1〜5の整数、xは0〜10の整数、およびzは0〜10の整数を示す。)。
【0014】
また、前記モノマー(I)および前記モノマー(II)において、前記式(I)および前記式(II)中のRは水素原子であるのが望ましく、前記樹脂のゲル透過クロマトグラフィーで測定されたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は3,000〜30,000であるのが望ましい。
【0015】
前記樹脂は、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCH3である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜70質量%であるのが望ましい。また、前記樹脂は、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が40〜95質量%であってもよい。
さらに、前記樹脂は、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC37である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が30〜90質量%であるのが望ましい。また、前記樹脂は、前記式(I)中のXがCH3である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜95質量%であってもよい。
【0016】
さらに、前記樹脂は、前記式(I)中のXがC37である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が10〜80質量%であるのが望ましい。
前記ジエン系ゴム成分100質量部に対し、前記樹脂を1〜100質量部の量で含むのが好ましく、またジエン系ゴム成分100質量%中、結合スチレン量が20〜60質量%であるスチレン−ブタジエンゴムを50質量%以上の量で含むのが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のゴム組成物によれば、湿潤路面での良好なグリップ性能を有効に保持しつつ、路面が乾いていく状況および乾いた路面でのグリップ性能をより向上させることができる。
したがって、上記ゴム組成物を用いれば、あらゆる路面状況に柔軟に対応し得る高性能な空気入りタイヤを得ることができる。かかる空気入りタイヤは、たとえばスポーツカーや競技者用車両等に採用されるタイヤとして好適である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム成分100質量部に対し、少なくとも無機充填剤を5〜350質量部の量で含む充填剤を総量で10〜350質量部の量で配合し、かつ
前記充填剤の総量に対し、軟化剤と上記式(I)で表されるモノマー(I)および上記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂とを総量で50質量%以上の量となるよう配合してなることを特徴とする。
【0019】
本発明に用いるジエン系ゴム成分としては、たとえば、シス−1,4−ポリイソプレン、低シス−1,4−ポリブタジエン、高シス−1,4−ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム等の少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0020】
かかるジエン系ゴム成分としては、結合スチレン量が20〜60質量%、より好ましくは、20〜45質量%であるスチレン−ブタジエンゴムを用いることが望ましい。この結合スチレン量が20質量%未満であると、湿潤路面及び乾燥路面双方における所望のグリップ性能を発揮することができない可能性があり、一方、結合スチレン量が60質量%を越えると、弾性率が必要以上に高く路面へのゴムの食い込みが少なく、充分なグリップ性能を確保できないおそれがある。
この結合スチレン量を有するスチレン−ブタジエンゴムは、乳化重合、溶液重合等により製造することができ、その合成法は特に限定されるものではない。
【0021】
上記結合スチレン量が20〜60質量%であるスチレン−ブタジエンゴムの含有率は、本発明で使用されるジエン系ゴム成分100質量%中に50質量%以上、好ましくは80
〜100質量%の量で含まれるのが望ましい。この結合スチレン量となるスチレン−ブタジエンゴムの含有量が50質量%未満であると、上記湿潤路面及び乾燥路面双方における所望のグリップ性能を発揮できないおそれがある。なお、結合スチレン量が上記の範囲外となるスチレン−ブタジエンゴムを他のジエン系ゴム成分として使用してもよい。
【0022】
本発明では、上記ジエン系ゴム成分100質量部に対し、少なくとも無機充填剤を5〜350質量部好ましくは30〜250質量部、より好ましくは50〜150質量部で含む充填剤を、総量で10〜350質量部、好ましくは50〜300質量部、より好ましくは80〜200質量部で配合する。上記範囲の量の無機充填剤を含む充填剤を上記範囲の量で含むことで、湿潤路面でのグリップ性能を向上させることができるとともに、耐摩耗性や耐久性等の向上をも図ることができる。
【0023】
上記充填剤に含まれる無機充填剤としては、たとえばシリカおよび下記式(III)で表される無機剤が好適なものとして挙げられる。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(III)
上記式(III)中、M1は、Al、Mg、Ti、CaおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、金属酸化物またはその水和物、或いはこれら金属の炭酸塩を示し、mは1〜5の整数、xは0〜10の整数、およびzは0〜10の整数を示す。
【0024】
上記シリカとしては、特に限定されるものではなく、たとえば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等の少なくとも1種が挙げられ、これらの中でも耐破壊特性の改良効果と、湿潤路面でのグリップ性能の向上との両立効果が最も顕著である湿式シリカの使用が望ましい。
【0025】
また、用いることができるシリカは、窒素吸着法による比表面積が好ましくは80〜300m2/g、より好ましくは110〜220m2/gの範囲であるものが望ましい。この比表面積が80m2/g以上でさらに充分な補強性を発揮し、一方、300m2/g以下では作業性が低下することがないからである。なお、通常は、ゴムの白色補強充填剤として用いられる微紛の無水ケイ酸や含水ケイ酸が用いられる。具体的には、比表面積が220m2/gの日本シリカ工業社製の「ニップシルAQ」や、比表面積が117m2/gのローディア社製の「ゼオシル1115MP」等の市販品を使用することができる。
【0026】
上記シリカを用いる場合、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、5〜200質量部、好ましくは50〜150質量部の量で配合するのが望ましい。シリカの含有量が5質量部未満であると、湿潤路面でのグリップ性能が不十分となり、一方、200質量部を越えると、耐摩耗性や耐久性の低下の要因となるおそれがある。
【0027】
上記式(III)で表される無機剤としては、例えば、アルミナ水和物(Al2O・H2O)、アルミナ類〔Al23・nH2O(nは0〜3の数である)〕、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕、炭酸アルミニウム〔Al2(CO33〕、水酸化マグネシウム〔Mg(OH)2〕、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム〔Ca(OH)2〕、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム〔(ZrO(OH)2・nH2O)、炭酸ジルコニウム〔Zr(CO32〕、各種ゼオライト、長石、マイカ、モンモリロナイト等の少なくとも1種を用いることができる。
【0028】
これらの中でも、グリップ性能の向上に大きく寄与する観点から、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、カオリン等の使用が好ましく、アルミナ水和物、水酸化アルミニウムがさらに好ましい。
【0029】
また、これらの無機剤は、平均粒子径が0.01〜10μmの範囲のものが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜5μmの範囲のものが望ましい。この無機剤の平均粒子径を上記範囲(0.01〜10μm)とすることにより、ゴム組成物の耐破壊特性、耐摩耗性をさらに良好に維持することができる。
【0030】
これらの無機剤の含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、5〜150質量部、好ましくは10〜70質量部の量で配合するのが望ましい。この無機剤の含有量が、150質量部を越えると、耐摩耗性や耐久性が低下するおそれがある。
【0031】
本発明では、上記無機充填剤として、シリカまたは上記式(III)で表される無機剤を各々単独で用いてもよく、これらを併合して用いてもよく、本発明の効果をより有効に発揮する観点から、これらを併合して用いるのが望ましい。
【0032】
本発明で用いる充填剤として、上記無機充填剤のほか、カーボンブラックを用いてもよい。カーボンブラックを配合することで、湿潤路面でのグリップ性能の点ではシリカや上記無機剤には及ばないものの、耐久性の向上や混練性の改善を図ることができる。かかるカーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が70〜250m2/gのものが好ましく、さらに好ましくは、80〜180m2/gが望ましく、たとえば、ASTMコードがN110、N234、N220、N231、N219、N339、N330、N326などを用いることができる。これらのカーボンブラックの含有量は、ジエン系ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部、好ましくは、0〜50質量部であることが望ましい。このカーボンブラックの含有量が、100質量部を越えると、未加硫時の加工性改良幅が小さくなるおそれがある。
【0033】
本発明のゴム組成物には、さらに前記充填剤の総量に対し、軟化剤と後述する下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂とを総量で50質量%以上、好ましくは50〜150質量%の量で配合する。軟化剤と樹脂との総量が充填剤の総量に対して50質量%未満であると、良好なグリップ性能を確保できないおそれがある。
【0034】
上記軟化剤としては、従来からゴム組成物の分野で広く用いられているゴム用軟化剤であれば特に制限なく用いることができる。たとえば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマオイルなどの芳香族系プロセスオイル、特殊プロセスオイルが挙げられる。
【0035】
本発明で用いる樹脂は、下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる、いわゆる共重合体であり、異なるα−メチルスチレン系モノマーを共重合させて得られる樹脂である。
【0036】
【化3】

【0037】
【化4】

【0038】
モノマー(I)は、上記式(I)で表され、式(I)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基であり、好ましくは水素原子であり、Xは水素原子;、炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;、炭素数6〜8のアリール基;、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基;、またはF、Cl、Brなどのハロゲン基を示す、いわゆるα−メチルスチレン系モノマーである。ただし、式(I)中のXと式(II)中のYとは同一ではなく、互いに異なる置換基である。したがって、モノマー(I)と後述するモノマー(II)は互いに化学構造の異なるα−メチルスチレン系モノマーである。なお、式(I)中、Rが水素原子である場合は、下記式(I)’で表されるモノマー(I)となる(以下、式(I)および式(I)’で表されるモノマーをともに「モノマー(I)」という)。
【0039】
【化5】

【0040】
Xは、ベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよく、これらの位置の1箇所であっても複数箇所であってもよい。なかでも、ベンゼン環のパラ位の位置に置換されているのが好ましい。このようなXとしては、水素原子のほか、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基などが挙げられ、鎖状であっても分岐状であってもよい。このようなモノマー(I)としては、具体的には、たとえば、α−メチルスチレン、4,α−ジメチルスチレン、p−tert−ブチル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−オクチル−α−メチルスチレンが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。なかでもα−メチルスチレン、4,α−ジメチルスチレンが好ましく、α−メチルスチレンがより好ましい。
【0041】
上記モノマー(I)を用いると、耐熱性や耐衝撃性を強化できるだけでなく、ドライグリップ性能をより向上させることができる。仮にモノマー(I)を単独で用いると、ゴム成分中への分散性が低下するおそれがあるが、本発明では後述するようにモノマー(I)とは異種のモノマー(II)を同時に用いるため、ゴム成分中に良好に分散し、これらのモノマーを共重合させた樹脂を用いることにより、乾燥路面および湿潤路面の双方において優れたグリップ性能を発揮できるゴム組成物を得ることができる。
【0042】
モノマー(II)は、上記式(II)で表され、式(II)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基であり、好ましくは水素原子であり、Yは炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基;、炭素数6〜8のアリール基;、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基;、またはF、Cl、Brなどのハロゲン基を示す、いわゆるα−メチルスチレン系モノマーである。そして、上述したように、式(I)中のXと式(II)中のYとは同一ではなく、上記モノマー(I)とは化学構造の異なるモノマーである。なお、式(II)中、Rが水素原子である場合は、下記式(II)’で表されるモノマー(II)となる(以下、式(II)および式(II)’で表されるモノマーをともに「モノマー(II)」という)。
【0043】
【化6】

【0044】
Yは、ベンゼン環のオルト位、メタ位、パラ位のいずれの位置に置換されていてもよく、これらの位置の1箇所であっても複数箇所であってもよい。なかでも、ベンゼン環のパラ位の位置に置換されているのが好ましい。このようなYとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビニル基、アリル基などが挙げられ、鎖状であっても分岐状であってもよい。このようなモノマー(II)としては、具体的には、たとえば、4,α−ジメチルスチレン、p−tert−ブチル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−オクチル−α−メチルスチレンが挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。なかでも4,α−ジメチルスチレン、p−tert−ブチル−α−メチルスチレンが好ましく、p−tert−ブチル−α−メチルスチレンがより好ましい。
【0045】
上記モノマー(II)を共重合させることによりゴム成分中に溶解しやすくなり、上記モノマー(I)の有する性能と相まって、モノマー(II)を単独で用いた際に発生しがちなグリップ性能の低下を効果的に抑制できるので、これら互いに異なる2種のα−メチルスチレン系モノマーを共重合させた樹脂を用いることにより、乾燥路面および湿潤路面の双方において優れたグリップ性能を発揮できるゴム組成物を得ることができる。
【0046】
また、上記樹脂のゲル透過クロマトグラフィーで測定されたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、通常3,000〜30,000、好ましくは8,000〜30,000、より好ましくは10,000〜25,000、最も好ましくは10,000〜20,000である。樹脂のMwが上記範囲内であると、あらゆる路面状況に対応し得るグリップ性能を発揮することができる。
【0047】
上記モノマー(I)および(II)の配合量は、これらのモノマーの総量100質量%中、モノマー(II)の割合が、モノマー(I)の式(I)におけるXがメチル基の場合、通常20〜70質量%、好ましくは30〜60質量%の量であり、モノマー(I)の式(I)におけるXがtert−ブチル基の場合、通常40〜90質量%、好ましくは50〜70質量%の量であり、モノマー(II)の式(II)におけるYによっても変動し得る。
【0048】
上記モノマーの総量100質量%中におけるモノマー(II)の割合は、より具体的には、たとえば、モノマー(I)の式(I)におけるXがHであり、かつモノマー(II)における式(II)のYがCH3である場合、20〜70質量%であるのが望ましい。また、モノマー(I)の式(I)におけるXが水素原子であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC49である場合、40〜95質量%であるのが望ましい。さらに、モノマー(I)の式(I)におけるXがCH3であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC49である場合、20〜95質量%であるのが望ましい。また、モノマー(I)の式(I)におけるXが水素原子であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC37である場合、30〜90質量%であるのが望ましい。さらに、モノマー(I)の式(I)におけるXがC37であり、かつモノマー(II)における式(II)のYがC49である場合、10〜80質量%であるのが望ましい。
【0049】
これらのモノマーの配合量を上記範囲内とすることにより、互いのモノマーが奏する効果を阻害することなく、これらのモノマーによる良好な相乗効果を発揮することができ、該樹脂から得られるゴム組成物は、乾燥路面もしくは湿潤路面の一方におけるグリップ性能を必要以上に低下させるおそれがない。
【0050】
ここで、本発明のゴム組成物における上記樹脂の配合量は、少なくとも一種のジエン系ポリマーからなるゴム成分100質量部に対し、通常1〜100質量部、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは2〜20質量部の量である。樹脂の配合量を上記範囲内とすることにより、樹脂が保持する特性を充分に発揮させることができるとともに、ゴム成分の有する特性を阻害するおそれがなく、高性能な空気入りタイヤを実現できるゴム組成物を得ることができる。
【0051】
なお、上記樹脂の重合方法は特に限定されず、上記モノマーを用いて、たとえば以下の方法によりこれらを共重合させて上記樹脂を得ることができる。まず、上記モノマーを有機溶媒とともに混合攪拌して必要に応じて冷却し、−10〜15℃、好ましくは−5〜10℃に保持しながら10〜30分かけて触媒を滴下する。次いで、該温度を保持したまま、さらに10〜40分かけて重合反応させる。
【0052】
上記有機溶媒としては、シクロヘキサン、ベンゼン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、エチルベンゼン等、並びにテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物、またはこれらの2種以上の混合物を用いることができる。
【0053】
重合反応に用いる上記触媒としては、特に限定されず、ボロントリフロライドフェノール錯体などを好適に用いることができる。
【0054】
上記重合反応が終了した後、通常の方法を用いて濾過および乾燥させることにより、本発明の樹脂を得ることができる。
【0055】
本発明のゴム組成物には、上記ジエン系ゴム成分、上記充填剤、上記軟化剤および上記樹脂のほか、必要に応じ、本発明の目的を阻害しない範囲内で他の成分を配合してもよい。このような他の成分としては、たとえば、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、酸化亜鉛、およびステアリン酸などの、ゴム業界で通常使用される配合剤が挙げられる。これら他の成分は、上市のものを好適に用いることができる。なお、本発明のゴム組成物は、上記各成分を通常の方法により、たとえばロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサーなどを用いて混錬し、必要に応じて加硫することにより得ることができる。
【0056】
本発明のゴム組成物の用途は、特に限定されるものではないが、空気入りタイヤに用いるのが好適であり、なかでもトレッドゴムに用いるのが最適である。なお、本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物を用いること以外は、公知の部材を使用して製造することができる。また、本発明の空気入りタイヤに充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。なお、本発明のゴム組成物を用いて空気入りタイヤを製造する場合、タイヤ成形機などを用いて通常の方法により製造することができる。
【0057】
本発明の空気入りタイヤの構成としては、たとえば、該タイヤが、1対のビード部、該ビード部にトロイド状をなして連なるカーカス、該カーカスのクラウン部をたが締めするベルトおよびトレッドを有してなるタイヤであることが挙げられる。本発明の空気入りタイヤは、ラジアル構造を有していてもよいし、バイアス構造を有していてもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0059】
≪数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定≫
樹脂のMnおよびMwの測定は、GPCにより下記測定条件に従って測定した。
液体:テトラヒドロフラン
流速:1mL/min
カラム:shodex KF−6+shodex KF−803+shodex KF−802
温度:40℃
サンプル注入量:50μL
なお、shodex KF−6、shodex KF−803およびshodex KF−802は商品名であり、分子量の校正には標準ポリスチレンを用いた。
【0060】
≪軟化点の測定≫
(JAI)7−1900のボールアンドリング法に準じて測定した。
【0061】
≪スチレン結合量≫
合成された共重合体のスチレン結合量は、1H-NMRスペクトルの積分比から算出した。
【0062】
≪ビニル結合量≫
合成された共重合体のブタジエン部分のビニル結合量は、赤外法で分析した。
【0063】
[樹脂A]
樹脂A(α−メチルスチレン単独重合体)として、上市のもの(FTR0140、三井化学(株)製、軟化点:140℃)を用いた。
【0064】
[樹脂B]
500mlの四つ口フラスコに、攪拌装置、温度計、還流冷却管を取り付け、ここにα−メチルスチレン(関東化学製)108.0g、p−tert−ブチル−α−メチルスチレン(北興化学工業製BUMST)12.0gとトルエン(関東化学製)300mlを反応混合液として仕込み、良く攪拌した。その後、均一に分散させた反応混合液を、ドライアイスで冷却したエタノール浴を用いて−3〜−1℃まで冷却した。一方、滴下ロートに、触媒として四塩化スズ(関東化学製)1.2gとトルエン2.4gとを入れ、該滴下ロートを上記四つ口フラスコに取り付けた。
【0065】
次いで、反応混合液の温度を上記エタノール浴を用いて−3〜−1℃に保持しながら、ここに上記触媒を15分かけて滴下し、重合反応を開始させた。触媒の滴下終了後、−3〜−1℃に保持したまま、さらに30分間攪拌した。重合反応終了後、この反応液を0.5N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄、続けて水洗した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。この反応液をあらかじめ用意したエタノール960g中に30分かけて滴下して、粉末の析出物を得た。この粉末をろ過し、更にエタノール200gで洗浄した後、減圧乾燥して収量72gの樹脂Bを得た。
【0066】
[樹脂C]
α−メチルスチレンを36.0g、p−tert−ブチル−α−メチルスチレンを84.0g仕込み、重合温度を−8〜−7℃で行った以外は、樹脂Bと同様にして調製した。得られた樹脂Cの収量は80gであった。
【0067】
[樹脂D]
重合温度を−18〜−17℃で行った以外は、樹脂Bと同様にして調製した。得られた樹脂Dの収量は101gであった。
【0068】
[樹脂E]
α−メチルスチレンを60.0g、p−tert−ブチル−α−メチルスチレンを60.0g仕込み、重合温度を−6〜−5℃で行った以外は、樹脂Bと同様にして調製した。得られた樹脂Eの収量は78gであった。
これら樹脂A〜Eの物性を表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
[実施例1〜5、比較例1〜8]
表2〜3に示す配合処方に従って各成分を配合し、バンバリーミキサーを用いて混練して、各種ゴム組成物を得た。得られたゴム組成物をトレッドとして用いたタイヤ(タイヤサイズ:215/45R17)を作製し、以下のようにウェットグリップ性能およびドライグリップ性能について評価した。結果を表2〜3に示す。
【0071】
≪ウェットグリップ性能≫
得られたタイヤを乗用車の四輪に装備し、湿潤路面で走行させ、走行時におけるテストドライバーのフィーリングにより以下の基準に従って評価した。なお、比較例1の結果を「0」として相対評価し、数値化した。数値が正の値で大きくなる程、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
+3:運転頻度の低い一般ドライバーが明確に差を認識できる程度
+2:運転頻度の高い一般ドライバーが差を認識できる程度
+1:プロのドライバーが差を認識できる程度
0 :コントロール
−1:プロのドライバーが差を認識できる程度
−2:運転頻度の高い一般ドライバーが差を認識できる程度
−3:運転頻度の低い一般ドライバーが明確に差を認識できる程度
【0072】
≪ドライグリップ性能≫
得られたタイヤを乗用車の四輪に装備させて、乾燥路面で走行させ、走行時におけるテストドライバーのフィーリングにより以下の基準に従って評価した。なお、比較例1の結果を「0」として相対評価し、数値化した。数値が正の値で大きくなる程、ドライグリップ性能に優れることを示す。
+3:運転頻度の低い一般ドライバーが明確に差を認識できる程度
+2:運転頻度の高い一般ドライバーが差を認識できる程度
+1:プロのドライバーが差を認識できる程度
0 :コントロール
−1:プロのドライバーが差を認識できる程度
−2:運転頻度の高い一般ドライバーが差を認識できる程度
−3:運転頻度の低い一般ドライバーが明確に差を認識できる程度
【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
※1:ジェイ・エス・アール(株)社製、#1500(結合スチレン量23.5%)
※2:SAF(N2SA(窒素吸着比表面積):150m2/g)
※3:日本シリカ工業社製、ニップシルAQ
※4:住友化学工業社製、C−301(平均粒子径1μm)
※5:富士興産社製、アロマックス#3 ※6:デグサ社製、Si69
※7:N−1,3−ジメチル−ブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
※8:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド
※9:テトラキス−2−エチルヘキシルチウラムジスルフィルド
【0076】
表2〜3によれば、無機充填剤を一切含まない比較例1〜3、6、ジエン系ゴム成分100質量部に対する無機充填剤の配合量が5〜350質量部の範囲外である比較例4〜5、およびモノマー(I)およびモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂以外の樹脂を配合した比較例7、充填剤の総量に対する軟化剤とモノマー(I)およびモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂との総量が50質量%未満である比較例8に比べ、実施例1〜5は良好なウェットグリップ性能を保持しつつ、優れたドライグリップ性能を充分に発揮することがわかる。
なかでも特に、無機充填剤としてシリカと上記式(III)で表される無機剤とを併用した実施例5は、他の実施例に比べ、ウェットグリップ性能とドライグリップ性能とのバランスに優れた効果を発揮することもわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム成分100質量部に対し、少なくとも無機充填剤を5〜350質量部の量で含む充填剤を総量で10〜350質量部の量で配合し、かつ
前記充填剤の総量に対し、軟化剤と下記式(I)で表されるモノマー(I)および下記式(II)で表されるモノマー(II)を共重合させて得られる樹脂とを総量で50質量%以上の量となるよう配合してなることを特徴とするゴム組成物;
【化1】

【化2】

(式(I)および式(II)中、Rは水素原子、或いは炭素数1〜8の直鎖又は分枝状のアルキル基である。式(I)中、Xは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。式(II)中、Yは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、またはハロゲン基を示す。ただし、XとYとは同一ではない。)。
【請求項2】
前記無機充填剤が、シリカおよび/または下記式(III)で表される無機剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物;
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(III)
(式(III)中、M1は、Al、Mg、Ti、CaおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属、金属酸化物またはその水和物、或いはこれら金属の炭酸塩を示し、mは1〜5の整数、xは0〜10の整数、およびzは0〜10の整数を示す。)。
【請求項3】
前記モノマー(I)および前記モノマー(II)において、前記式(I)および前記式(II)中のRが水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記樹脂のゲル透過クロマトグラフィーで測定されたポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、3,000〜30,000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記モノマー(I)において、前記式(I)中のXが水素原子、CH3またはC37であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項6】
前記モノマー(II)において、前記式(II)中のYがCH3、C37またはC49であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項7】
前記樹脂が、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがCH3である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項8】
前記樹脂が、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が40〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項9】
前記樹脂が、前記式(I)中のXが水素原子である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC37である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が30〜90質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項10】
前記樹脂が、前記式(I)中のXがCH3である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が20〜95質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項11】
前記樹脂が、前記式(I)中のXがC37である前記モノマー(I)および前記式(II)のYがC49である前記モノマー(II)を共重合させて得られ、モノマー(I)とモノマー(II)との総量100質量%中、モノマー(II)の割合が10〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項12】
前記ジエン系ゴム成分100質量部に対し、前記樹脂を1〜100質量部の量で含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項13】
前記ジエン系ゴム成分が、ジエン系ゴム成分100質量%中、結合スチレン量が20〜60質量%であるスチレン−ブタジエンゴムを50質量%以上の量で含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のゴム組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とする空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2010−270259(P2010−270259A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124433(P2009−124433)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】