説明

ゴム組成物の製造方法およびそれにより得られるゴム組成物

【課題】低空気透過性能を維持したうえで、柔軟性、耐亀裂性および耐破壊性能に優れたゴム組成物の製造方法およびそれにより得られるゴム組成物を提供する。
【解決手段】(A)ハロゲン化ブチルゴムおよびイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物から選ばれる1種以上のゴム30〜95重量%および(B)エポキシ化率が5〜85%のエポキシ化天然ゴム5〜70重量%含有するゴム成分100重量部に対して、補強剤を20〜100重量部含有するゴム組成物の製造方法であって、(1)密閉型ミキサー中で50〜200℃にて、ゴム(A)、および補強剤全量の80重量%以上の補強剤を10秒以上混合する工程、ならびに(2)エポキシ化天然ゴム(B)、残りの補強剤および工程(1)で得られた混合物を混合する工程からなるゴム組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物の製造方法およびそれにより得られるゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、タイヤ内部に空気を充填することにより、車両の荷重を支え、乗り心地を向上させることができ、それには、タイヤ内の空気圧を保持することが非常に重要となる。
【0003】
空気圧保持を目的として、空気入りタイヤ内面には、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどのような空気透過量の低い(低空気透過性能に優れる)ゴムからなるインナーライナー層が設けられている。インナーライナー層は低空気透過性能を充分に確保するとともに、柔軟性、耐亀裂性、耐破壊性能および他のタイヤ部材との接着性が必要となる部材であり、それらの性能をいかに向上させるかがこれまで検討されてきた。
【0004】
特許文献1には、ゴム成分として、ハロゲン化ブチルゴムおよびエポキシ化天然ゴムを添加して、低空気透過性能および接着性を向上させたゴム組成物が開示されているが、柔軟性、耐亀裂性および耐破壊性能はまだ充分なものではなかった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−339288号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低空気透過性能を維持したうえで、柔軟性、耐亀裂性および耐破壊性能に優れたゴム組成物の製造方法およびそれにより得られるゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物から選ばれる1種以上のゴム30〜95重量%および(B)エポキシ化率が5〜85%のエポキシ化天然ゴム5〜70重量%含有するゴム成分100重量部に対して、補強剤を20〜100重量部含有するゴム組成物の製造方法であって、(1)密閉型ミキサー中で50〜200℃にて、ゴム(A)、および補強剤全量の80重量%以上の補強剤を10秒以上混合する工程、ならびに
(2)エポキシ化天然ゴム(B)、残りの補強剤および工程(1)で得られた混合物を混合する工程からなるゴム組成物の製造方法に関する。
【0008】
前記補強剤は、カーボンブラックまたはシリカであることが好ましい。
【0009】
また、本発明は、前記製造方法により得られるゴム組成物に関する。
【0010】
さらに、本発明は、前記ゴム組成物からなるインナーライナー層を有する空気入りタイヤに関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、はじめに、ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物から選ばれる1種以上のゴムと特定量の補強剤とを混合してバウンドラバーを形成したうえで、さらに、エポキシ化天然ゴムを混合することにより、得られたゴム組成物の低空気透過性能を維持したうえで、さらに柔軟性および耐破壊性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のゴム組成物の製造方法は、(1)密閉型ミキサー中で50〜200℃にて、(A)ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物から選ばれる1種以上のゴム(ゴム(A))、およびゴム組成物に配合する補強剤全量のうち80重量%以上の補強剤を10秒以上混合する工程、ならびに(2)(B)エポキシ化率が5〜85%のエポキシ化天然ゴム(ゴム(B))、残りの補強剤および工程(1)で得られた混合物を混合する工程からなる。
【0013】
ゴム(A)であるハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、フッ素化ブチルゴム(F−IIR)などが挙げられ、Br−IIRが好ましい。
【0014】
また、ゴム(A)であるイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物におけるモノマー成分のイソモノオレフィンの炭素数は4〜7である。炭素数が上記範囲外では、下層との接着性に劣る。
【0015】
炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物としては、とくに制限はないが、共架橋性の点からイソモノオレフィン単位量/パラアルキルスチレン単位量が、重量比で90/10〜98/2であり、ハロゲン含有率が0.5〜5重量%であるのが好ましい。
【0016】
炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物のハロゲンとしては、F、Cl、Br、Iなどがあげられ、特に制限はないが、Brが好ましい。
【0017】
ゴム(A)として、ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物のいずれか一方、またはそれらを組み合わせて使用することもできるが、ハロゲン化ブチルゴムが好ましく、Br−IIRがより好ましい。
【0018】
ハロゲン化ブチルゴムまたは炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物のハロゲン含有率は、0.1〜5重量%が好ましい。ハロゲン含有率が0.1重量%未満では、加硫度が低すぎて強度が低下する傾向がある。また、ハロゲン含有率が5重量%をこえると、加硫度が高くなり、硬くなる傾向がある。
【0019】
ゴム(B)のエポキシ化率は、5%以上である。ENRのエポキシ化率が5%未満では、ゴム(B)を配合することによる改質効果が小さい。また、ゴム(B)のエポキシ化率は、85%以下が好ましく、75%以下がより好ましく、65%以下がさらに好ましい。ゴム(B)のエポキシ化率が85%をこえると、ポリマーがゲル化してしまう。ここでいうエポキシ化率とは、エポキシ化される前の全二重結合部分の割合に対する、主鎖の二重結合部分を酸素で環化した部分の割合のことである。たとえば、NMR測定データから、5.10ppm付近の天然ゴム由来メチンプロトンの面積強度Aと、2.7ppm付近のエポキシ基由来プロトンの面積強度Bを求め、下記式
エポキシ化率(%)=B/(A+B)×100
より求めることができる。
【0020】
前記補強剤としては、カーボンブラック、シリカ、クレー、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、マイカなどがあげられるが、バウンドラバーを多く形成し、補強性に優れることから、カーボンブラックまたはシリカが好ましい。
【0021】
前記カーボンブラックとしては、とくに制限はなく、たとえば、HAF、ISAF、SAF、GPF、FEF、FTなどを用いることができる。
【0022】
通常のゴム組成物の混練では、ゴム成分および補強剤を、添加剤とともにまとめて混練しているため、ゴム成分および補強剤の間に充分な相互作用が得られず、充分な柔軟性、耐亀裂性および耐破壊性能が得られない。
【0023】
それに対して、本発明のように、工程(1)において、先にゴム(A)および多量の補強剤を混練りすることで、ゴム(A)および補強剤が強い相互作用を示し、補強剤近傍において、ゴム(A)をバウンドラバーとすることができる。バウンドラバーは補強剤に強固につなぎとめられているため、外部刺激に対して大きな応力を発現することができる。
【0024】
工程(1)を経ることでバウンドラバーとなったゴム(A)は、破壊に対する強度が増大し、また、ゴム(B)よりも優れる柔軟性がさらに向上する。
【0025】
そして、本発明の製造方法により得られたゴム組成物では、ゴム組成物に外部刺激を与えた場合、弾性率の非常に高い部分、すなわち補強剤の近傍に応力集中が生じるため、バウンドラバーとなったゴム(A)の力学特性が、ゴム組成物の力学特性に対して支配的となり、結果として低空気透過性能を維持したまま、柔軟性、耐亀裂性および耐破壊性能を大幅に向上したゴム組成物を得ることができる。
【0026】
前記工程(1)における補強剤の配合率は、補強剤全量の80重量%以上、好ましくは85重量%以上である。工程(1)で配合する補強剤が80重量%未満では、目的のゴム成分のバウンドラバー量が得られず、タイヤ性能が向上せず、耐破壊性能が充分ではない。また、補強剤の配合率は、ゴム(A)の性質を充分に引き出すために、100重量%であることがとくに好ましい。
【0027】
工程(1)の混合工程は、密閉型ミキサーによりおこなわれる。ここで、密閉型ミキサーとしては、たとえば、バンバリーミキサー、ニーダーなどがあげられる。
【0028】
工程(1)において、密閉型ミキサー中における混合温度は50℃以上である。混合温度が50℃未満では、混合中の熱によって形成されるバウンドラバーを形成するだけの熱が得られず、バウンドラバーが形成されにくい。また、工程(1)において、密閉型ミキサー中における混合温度は200℃以下である。混合温度が200℃をこえると、ゴムの耐熱性能をこえるため、ゴムが劣化してしまう。
【0029】
工程(1)において、混合時間は10秒以上、好ましくは30秒以上である。混合時間が10秒未満では、混合中のゴムに熱が発生せず、その結果としてバウンドラバーが形成されにくい。また、混合時間は600秒以下が好ましく、480秒以下がより好ましい。混合時間が600秒をこえても、バウンドラバーの増加は認められないため、コストアップする傾向があり、さらに、長時間混練りすることで、ゴムの劣化が生じる傾向もある。
【0030】
工程(2)では、工程(1)において得られた混合物とともに、ゴム(B)、および残りの補強剤を混合する。なお、残りの補強剤とは、ゴム組成物の製造において使用される補強剤のうち、工程(1)において使用されなかった補強剤をいう。
【0031】
工程(2)の混合工程は、密閉型ミキサーによりおこなわれることが好ましい。
【0032】
工程(2)において、密閉型ミキサー中における混合温度は30〜200℃が好ましい。混合温度が30℃未満では、工程(1)で得られた混合物が高粘度であるため、ゴム(B)との混合が困難となる傾向があり、混合温度が200℃をこえると、ゴムの劣化が生じる傾向がある。
【0033】
工程(2)において、混合時間は30〜600秒が好ましい。混合時間が30秒未満では、ゴム(A)とゴム(B)の混合が不充分である傾向があり、混合時間が600秒をこえると、ゴム温度が上昇し、ゴムの劣化が生じる傾向がある。
【0034】
本発明のゴム組成物の製造方法において、ゴム組成物に一般的に使用される添加剤、たとえば、オイルなどの軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などを配合することができるが、添加剤の分散性を向上させるために、工程(2)において混合されることが好ましい。
【0035】
工程(1)および工程(2)を経て得られた混合物は、一般的なゴム組成物の製造と同様に、オープンロールなどのロール機において、加硫剤および加硫促進剤とともに混合され、さらに加硫されることでゴム組成物とされることが好ましい。
【0036】
本発明の製造方法により得られるゴム組成物は、ゴム成分および補強剤からなる。
【0037】
ゴム成分は、ゴム(A)およびゴム(B)からなる。
【0038】
ゴム組成物において、ゴム成分中のゴム(A)の含有率は、30重量%以上、好ましくは35重量%以上である。ゴム(A)の含有率が30重量%未満では、低空気透過性能および透湿性に劣り、ゴム(A)のタイヤ性能が損なわれる。ゴム(A)の含有率は、95重量%以下、好ましくは90重量%以下である。ゴム(A)の含有率が95重量%をこえると、配合ゴムとの接着性が改善されない。
【0039】
前記ゴム成分中のゴム(B)の含有率は、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましい。ゴム(B)の含有率が5重量%未満では、接着性が改善されない。ゴム(B)の含有率は、70重量%以下が好ましく、65重量%以下がより好ましい。ゴム(B)の含有率が70重量%をこえると、低空気透過性能に劣る。さらに、ゴム(B)がマトリクス相となり、それによって系全体の透湿性が悪化する。
【0040】
前記補強剤は、前記ゴム成分100重量部に対して、20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましく、40重量部以上がさらに好ましい。補強剤の配合量が20重量部未満では、補強性が低くなる傾向がある。補強剤の配合量は100重量部以下が好ましく、90重量部以下がより好ましく、80重量部以下がさらに好ましい。補強剤の配合量が100重量部をこえると、加工性が悪くなる。
【0041】
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分、補強剤のほかにも、その他の配合剤として、タイヤ用ゴム配合に用いられる一般的なもの、たとえば、薬品オイルなどの可塑剤、粘着付与剤、硫黄、亜鉛華などの架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤などを含むことができる。
【0042】
ゴム組成物中の補強剤近傍に作製したバウンドラバー中のゴム(A)の含有率は、未加硫ゴム組成物をトルエンなどの良溶媒に浸漬させ、上記溶媒に不溶となったCBゲルとゴム成分(バウンドラバー)を取り出す化学分析によって定量することができる。また、透過型電子顕微鏡でも、補強剤の存在位置により、バウンドラバーがどの原料ゴムで構成されているかが判断できる。
【0043】
前記バウンドラバー中のゴム(A)の含有率は65〜100%が好ましい。ゴム(A)の含有率が65%未満では、ゴム(A)のタイヤ性能および力学特性が充分に発現しない傾向がある。
【0044】
本発明の製造方法により得られたゴム組成物は、タイヤとして使用されることが好ましい。とくに、柔軟性および耐破壊性能に優れ、充分な低空気透過性能を示すため、タイヤ部材のなかでもインナーライナー層として好適に使用される。
【実施例】
【0045】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに制限されるものではない。
【0046】
実施例1および比較例1〜2
次に、実施例および比較例において、評価用ゴムに用いた薬品を示す。また、評価用ゴムの配合内容を表1に示す。
【0047】
臭素化ブチルゴム(Br−IIR):日本ブチル(株)製(販売元:エクソンモービル(有))のエクソンブロモブチル2255(臭素含有率:2.0重量%)
エポキシ化天然ゴム(ENR):クンプーランガスリー社(Kumpulan Guthrie Berhad)製のENR−50(エポキシ化率50%)
カーボンブラック(HAF):三菱化学(株)製のダイヤブラックH
オイル:昭和シェル石油(株)製のマシン油22
接着性レジン:エッソ(株)のESCOREZ1102
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)のノクセラーNS
加硫促進剤DM:大内新興化学工業(株)のノクセラーDM
【0048】
<評価用ゴムの作製方法>
(実施例1の評価用ゴムの作製)
表1の工程(1)に示す配合量のBr−IIRおよびHAFを、バンバリーミキサーを用いて100℃の条件下で5分間混練りし、その後、工程(1)により得られた混合物に対して、表1の工程(2)に示す配合量のENR、オイル、接着性レジン、ステアリン酸および亜鉛華を加え、バンバリーミキサーを用いて、100℃の条件下で5分間混練りして混練物を作製した。次に、前記混練物に対して、表1に示す配合量の硫黄、加硫促進剤NSおよびDMを加え、8インチロールを用いて、50℃で5分間混練りし、得られた混練物を160℃で10分間プレス加硫することにより、実施例1の評価用ゴムを作製した。なお、工程(2)で得られた混練物をトルエンに48時間浸漬させ、得られたバウンドラバーを熱分解ガスクロマトグラフィーにて分析することにより算出した実施例1の評価用ゴムにおけるバウンドラバー中のゴム(A)の含有率は90%であった。
【0049】
(比較例1の評価用ゴムの作製)
ENRを工程(1)で添加および混練りし、HAFを工程(2)で添加および混練りした以外は、実施例1と同様にして比較例1の評価用ゴムを作製した。なお、工程(2)で得られた混練物をトルエンに48時間浸漬させ、得られたバウンドラバーを熱分解ガスクロマトグラフィーにて分析することにより算出した、比較例1の評価用ゴムにおけるバウンドラバー中のゴム(A)の含有率は30%であった。
【0050】
(比較例2の評価用ゴムの作製)
ENRを工程(1)で配合し、Br−IIRを工程(2)で配合した以外は、実施例1と同様にして比較例2の評価用ゴムを作製した。なお、工程(2)で得られた混練物をトルエンに48時間浸漬させ、得られたバウンドラバーを熱分解ガスクロマトグラフィーにて分析することにより算出した、比較例2の評価用ゴムにおけるゴムバウンドラバー中のゴム(A)の含有率は0%であった。
【0051】
上記3種類のゴム組成物を用いて、下記に示す各特性試験を行った。
【0052】
(低空気透過性能測定試験)
JIS K7126「プラスチックフィルムおよびシートの気体透過度試験方法(A法)」に準じて、試験気体を空気(窒素:酸素=8:2)、試験温度を25℃とし、実施例1および比較例1〜2のゴム組成物からなる厚さ0.5mmの加硫ゴムシートを用いて空気透過量を測定し、空気透過係数(単位:×10-11cc・cm/cm2・sec・cmHg)を算出した。測定には、東洋精機製作所(株)製の恒温式ガス透過率測定装置M−C1を用いた。空気透過係数が低いほど、低空気透過性能に優れることを示す。
【0053】
(引張試験)
JIS K6250「加硫ゴム・熱可塑性ゴムの物理試験方法通則」に準じて、(株)インテスコ製のインテスコ引張試験機を用いて、室温にて、100%モジュラス(M100)、破断強度および破断時伸びの測定を行なった。M100が低いほど柔軟性に富み、破断強度および破断時伸びが大きいほど耐破壊性能に優れることを示す。
【0054】
試験結果を表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
本発明の製造方法により作製された実施例1のゴム組成物は、従来の製造方法で作製された比較例1のゴム組成物に対して、低空気透過性能を維持しながら、柔軟性および耐破壊性能に優れているものであった。
【0057】
一方、比較例2のゴム組成物は、比較例1のゴム組成物に対して、低空気透過性能は維持されているが、柔軟性および耐破壊性能が低下しており充分な性能が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ハロゲン化ブチルゴムおよび炭素数4〜7のイソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物から選ばれる1種以上のゴム30〜95重量%および(B)エポキシ化率が5〜85%のエポキシ化天然ゴム5〜70重量%含有するゴム成分100重量部に対して、補強剤を20〜100重量部含有するゴム組成物の製造方法であって、
(1)密閉型ミキサー中で50〜200℃にて、ゴム(A)および補強剤全量の80重量%以上の補強剤を10秒以上混合する工程、ならびに
(2)エポキシ化天然ゴム(B)、残りの補強剤および工程(1)で得られた混合物を混合する工程からなるゴム組成物の製造方法。
【請求項2】
補強剤が、カーボンブラックまたはシリカである請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の製造方法により得られるゴム組成物。
【請求項4】
請求項3記載のゴム組成物からなるインナーライナー層を有する空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2007−84610(P2007−84610A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272148(P2005−272148)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】