説明

サイクロン式掃除機

【課題】連通孔の開閉を確実に行うと共に、気流により振動しにくい弁を有するサイクロン式掃除機を提供すること。
【解決手段】電動送風機5が内蔵された掃除機本体2に対して着脱自在に取り付けられる筒状の集塵容器11の側壁11Aに連通孔18を形成し、この連通孔18を開閉するように、前記集塵容器11の側壁11Aの周方向一端側を固定端40とすると共に他端側を自由端41とした弁14を設け、この弁14を板状の合成ゴムにて形成すると共に、この弁14に、肉厚部としてのリブ43を、前記集塵容器11の中心軸Xと交差するように一体形成した。これによって、前記弁14は前記連通孔18のを確実に閉塞すると共に、気流によって比較的容易に開いて前記連通孔18を開放することができる。更に、前記リブ43によって、前記弁14が部分的に厚くなっているので、気流によって前記弁14が振動しにくくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクロン式掃除機に関するものであり、特に、集塵容器から塵埃が漏れにくいサイクロン式掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のサイクロン式掃除機としては、電動送風機を内蔵する掃除機本体と、この掃除機本体に着脱自在に取り付けられる集塵室とを有し、この集塵室に吸気口を設け、この吸気口を覆うように、掃除機作動時に開放して気流を集塵室の内周面に沿う旋回流とする弁を設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、このようなサイクロン式掃除機は、前記電動送風機の停止時に、前記弁が前記吸気口を覆うので、塵捨て時に塵埃が前記吸気口から漏れることが防止される。
【特許文献1】特開2003−180576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようなサイクロン式掃除機においては、気流によって前記弁が確実に開くようにこの弁を薄く形成すると、前記吸気口の閉塞が前記弁自体の弾性による復元力によってなされていたので、前記弁と前記集塵室内面との密着が良好に行われないことがあり得るため、塵埃が前記吸気口から漏れることを完全に阻止することが困難であるばかりでなく、前記弁の内側と外側を通る気流の僅かな圧力差によって、前記弁が楽器のリードのように振動して音を発生させてしまう虞もあった。この点を改良するため、前記弁を厚めに形成すると、今度は気流によって弁が開きにくくなる虞が生じる。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、連通孔の開閉を確実に行うと共に、気流により振動しにくい弁を有するサイクロン式掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載のサイクロン式掃除機は、電動送風機が内蔵された掃除機本体と、この掃除機本体に対して着脱自在に取り付けられた筒状の集塵容器とを有し、この集塵容器の側壁に連通孔を形成し、この連通孔を開閉するように、前記集塵容器の側壁の周方向一端側を固定端とすると共に他端側を自由端とした弁を設けたサイクロン式掃除機において、前記弁を肉薄な弾性体にて形成すると共に、前記弁に、前記集塵容器の中心軸と交差するように延びる肉厚部を一体形成したものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載のサイクロン式掃除機は、請求項1において、前記集塵容器に塵埃貯溜部を設けると共に、前記肉厚部を、前記弁における前記塵埃貯溜部側の縁部に形成したものである。
【0007】
更に、本発明の請求項3に記載のサイクロン式掃除機は、請求項2において、前記弁の自由端縁に肉厚部を一体形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の請求項1に記載のサイクロン式掃除機は、以上のように構成することにより、前記電動送風機を作動させて気流を発生させると、この気流により、前記弁が前記固定端側を基点として撓んで前記連通孔を開放し、気流が前記集塵容器の側壁の接線方向に導かれる。一方、前記電動送風機が停止すると、前記弁が前記連通孔を閉塞する。この際、前記肉厚部が、筒状の前記集塵容器の中心軸と交差するように、即ち、前記弁の固定端側から自由端側に延びて一体形成されているため、部分的に前記弁の腰が強くなっており、これによって、前記弁による前記連通孔の閉塞が確実に行われる。また、前記肉厚部が形成されていない部分(肉薄部)については、比較的腰が弱いので、気流によって比較的容易に前記弁が前記連通孔を開放することができる。更に、前記肉厚部を形成することによって、前記弁が部分的に厚くなっているので、気流によって前記弁が振動しにくくすることができる。
【0009】
また、前記集塵容器に塵埃貯溜部を設け、前記肉厚部を前記弁における前記塵埃貯溜部側縁部に形成したことで、塵埃が溜められる貯溜部側の縁部を確実に前記集塵容器に接触させて、塵埃の漏れを防ぐことができる。
【0010】
更に、前記弁の自由端縁に肉厚部を一体形成したことで、前記弁の自由端における反塵埃貯溜部側の捲れを抑制し、前記弁の自由端を確実に前記集塵容器に接触させて、塵埃の漏れを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1乃至図6に基づいて説明する。1は手持ち型のサイクロン式掃除機である。このサイクロン式掃除機1は、掃除機本体2と、この掃除機本体2に対して着脱自在に取り付けられるノズル3と、前記掃除機本体2に対して着脱自在に取り付けられる集塵手段4とを有して構成されている。
【0012】
前記掃除機本体2は、電動送風機5が内蔵された胴部6と、図示しない吸引経路が内部に設けられた接続部7と、把持部8と、電源コード9とを有して構成されている。また、前記把持部8には、前記集塵手段4を着脱するための操作部10及び図示しないスイッチ操作部が設けられている。そして、前記接続部7の吸引経路の一端には、前記ノズル3が着脱自在に取り付けられている。
【0013】
前記集塵手段4は、集塵容器11と、筒状体12と、二次フィルタ体13と、弁14と、シール部材15とを有して構成されている。前記集塵容器11は、比較的硬質で透明な合成樹脂によって、一端が開放、他端が閉塞した有底筒状に形成されている。そして、前記集塵容器11の一端開口部16の内側面には、段差部17が形成されていると共に、前記集塵容器11の側壁11Aで且つ前記段差部17よりもやや他端寄りには、連通孔18が貫通して形成されている。また、前記集塵容器11の側壁11Aの一端側には係合受部19が形成されており、この係合受部19に前記掃除機本体2の図示しない係合爪が係合することで、前記集塵手段4が前記掃除機本体2に固定されるように構成されている。また、前記集塵容器11の側壁11Aには、前記連通孔18に隣接して、取付溝20が前記集塵容器11の一端側から他端側に延びるように形成されている。
【0014】
前記筒状体12は、比較的硬質の合成樹脂等で一体成型されていると共に、有底筒状の円筒部21と、この円筒部21の開口端から外側に形成されたフランジ部22と、返し部23とを有して構成されている。そして、前記円筒部21の側壁21Aには、一次フィルタとして作用する多数の小孔24が形成されていると共に、前記円筒部21の底壁21Bにも、一次フィルタとして作用する複数の小孔25が形成されている。また、前記円筒部21の底壁21Bの内側には、補助フィルタ26が着脱自在に取り付けられている。更に、前記円筒部21の底壁21Bの中央部には、前記円筒部21の開口端側へ延びるように、平板状の突起27が一体に形成されている。なお、この突起27は、後述する二次フィルタ34の閉塞端34B側を裏返すように折り返して下流側に最大限伸ばした状態で前記二次フィルタ体13を前記筒状体12に取り付けた際に、その先端が前記二次フィルタ34の閉塞端34Bに当接しない程度の長さに形成されている。また、前記フランジ部22は、位置決め部22Aを除いてほぼ円形に形成されていると共に、前記筒状体12を前記一端開口部16から前記集塵容器11に挿入した際に、その外周部が前記段差部17に当接するように構成されている。更に、前記返し部23は、前記円筒部21の側壁21Aから連続して徐々に径が大きくなる拡径部28と、この拡径部28から連続して形成された短円筒部29とで構成されている。そして、前記集塵容器11内において、この集塵容器11に前記筒状体12を取り付けた際に前記返し部23の短円筒部29の先端が位置する場所から前記集塵容器11の他端側の底壁11Bまでの空間が、塵埃貯溜部30となる。
【0015】
前記二次フィルタ体13は、両端が開口した短円筒部31と、この短円筒部31の一端から外側に形成されたフランジ部32と、前記短円筒部31の他端から延びて形成された支持体33と、前記短円筒部31に固定された可撓性を有する袋状の二次フィルタ34とを有して構成されている。なお、前記短円筒部31とフランジ部32と支持体33は、比較的軟質な合成樹脂によって一体成型されている。そして、前記短円筒部31の内側には、指掛け部35が形成されている。また、前記フランジ部32は、位置決め部32Aを除いてほぼ円形に形成されていると共に、前記シール部材15を取り付けるための取付部36が形成されている。また、前記支持体33は、複数の柱状体37及びこれらの柱状体37の先端同士を環状に接続する環状部38とにより、全体として裁頭円錐形に形成されていると共に、前記柱状体37同士及び前記環状部38の内側を、気流が流通可能に構成されている。また、前記二次フィルタ34は、前記短円筒部31と支持体33を外側から覆っていると共に、その開口端34Aが前記短円筒部31に固定されている。一方、前記二次フィルタ34の閉塞端34B側は、これを裏返すように、前記環状部38を通して前記支持体33の内側へ折り返し可能に構成されている。そして、このように折り返された前記二次フィルタ34は、前記支持体33によって支えられる。なお、前記二次フィルタ34の閉塞端34Bは、前記二次フィルタ34の折り返された部分が前記環状部38に当接するまで、前記支持体33内に押し込むことが可能である。更に、前記取付部36に取り付けられたシール部材15は、前記二次フィルタ体13を前記一端開口部16から前記集塵容器11に挿入した際に、外周部が前記集塵容器11の側壁11Aの内面に密着するように構成されている。
【0016】
前記弁14は、図6に示すように、板状の合成ゴムによってほぼ方形に形成されている。そして、前記弁14の一縁には、前記取付溝20に挿入される取付リブ39が形成されている。そして、この取付リブ39を前記取付溝20に挿入することで、前記弁14は前記集塵容器11に取り付けられる。この際、前記弁14は、常態では、その外面が前記連通孔18の周囲の前記側壁11Aに当接する。また、前記弁14が前記集塵容器11に取り付けられた状態において、前記取付リブ39が形成された側が固定端40となると共に、この固定端40の反対側となる縁が自由端41となる。また、前記弁14が前記集塵容器11に取り付けられた状態において、前記塵埃貯溜部30側となる縁42に、腰を持たせるための肉厚部としてのリブ43が、前記集塵容器11の中心軸Xと直交するように形成されている。更に、前記連通孔18の周囲の前記側壁11Aに当接する前記弁14の外面は、平板状に形成されていると共に、前記弁14の内面に突出するように、前記リブ43が形成されている。なお、図5においては、前記塵埃貯溜部30側となる縁42が上方となるように記載されている。
【0017】
次に、本実施形態の作用について説明する。前記掃除機本体2に前記ノズル3及び集塵手段4が取り付けられた状態で、前記電源コード9の先端に設けられた図示しない電源プラグを、同じく図示しない電源に接続した後、同じく図示しないスイッチ操作部を操作することで、前記電動送風機5が作動する。そして、このように前記電動送風機5が作動することで、前記ノズル3から図示しない吸引経路、前記集塵手段4を経て前記電動送風機5に至る吸引気流が形成される。この吸引気流は、図4に示すように、前記連通孔18を通過して前記集塵容器11内に入る際に、前記連通孔18を閉塞している前記弁14を撓ませる。そして、前述したように、前記弁14は固定端40と自由端41とを有することで、自由端41側が内側に移動するように傾斜する。このため、前記気流は、前記集塵容器11内において、傾斜した前記弁14に沿って方向転換され、図4に示すように、前記集塵容器11の側壁11Aの内面に沿う反時計回りの渦流Fとされる。なお、前述したように、前記リブ43が前記弁14の縁42に形成されていることで、この縁42側の弾性力が他の部分の弾性力よりも強くなっているので、前記縁42側の撓み量が他の部分の撓み量よりも小さくなっている。換言すれば、前記弁14の前記縁42側以外の部分の弾性力が、リブ43が形成された前記縁42側の部分の弾性力よりも小さくなっているので、前記弁14は前記電動送風機5によって形成された気流によって、確実に大きく撓ませることができる。即ち、前記弁14は、前記縁42側以外の部分が、前記縁42側の部分よりも僅かに内側に膨らむように変形する。従って、板状の前記弁14を用いているにも拘わらず、前記気流は、前記側壁11Aの内面に沿って旋回しながら前記塵埃貯溜部30側に移動するように案内され、それ以外の方向に流れる気流の量を少なく抑えることができる。また、前記集塵容器11内に渦流Fが形成されると、前記連通孔18を通過したばかりの渦流F1が前記弁14の外側を通ると共に、一周した渦流の一部F2が前記弁14の内側を通ることで、渦流F1とF2との僅かな圧力差によって、前記弁14が楽器のリードのように振動して音を発生させる虞があるが、前述したように、前記弁14にリブ43が形成されていることで、このリブ43の分、前記弁14が部分的に厚くなっているので、前記弁14の振動が抑えられる。
【0018】
このように、前記集塵容器11内で渦流Fが形成されると、この渦流Fに含まれる粗い塵埃が遠心分離され、前記側壁11Aと返し部23との間から前記塵埃貯溜部30に移動すると共に、砂等の粗くて重い塵埃が分離された気流は、前記小孔25から、或いは前記返し部23を乗り越えて前記小孔24から、前記筒状体12内に流入する。なお、前記気流が前記返し部23を乗り越える際に、この気流に含まれる塵埃の多くは、前記返し部23によって下方に返されることになる。そして、前記気流に含まれる綿埃等の粗くて軽い塵埃は、前記筒状体12内に流入する際に、一次フィルタとして作用する前記小孔24及び25、或いは前記補助フィルタ26によって捕捉される。更に、前記小孔24及び25、或いは前記補助フィルタ26を通過した細かい塵埃は、前記二次フィルタ34によって捕捉される。そして、前記二次フィルタ34によって細かい塵埃が分離された清浄な気流は、前記柱状体37の間、或いは前記環状部38の内側から前記短円筒部31を通過して、前記電動送風機5に至る。なお、前述したように、前記突起27が平板状に形成されていることで、前記突起27と環状部38との間隔を広くすることができるので、前記支持体33の環状部38と前記筒状体12の突起27との間を経由して前記二次フィルタ34を通過する気流が妨げられないようにすることができる。
【0019】
そして、図示しないスイッチ操作部を操作して前記電動送風機5を停止させると、吸引気流も消滅する。そして、この吸引気流が消滅すると、前記弁14は自身の弾性力によって復元し、その外面が前記連通孔18の周囲の前記側壁11Aに当接して前記連通孔18を閉塞する。この際、前述したように、前記弁14の縁42に前記リブ43が形成されていることで、前記縁42側の弾性力が他の部分の弾性力よりも強くなっているので、少なくとも、塵埃が溜まっている前記塵埃貯溜部30側の縁42は、確実に復元して前記側壁11Aに当接することになる。従って、前記塵埃貯溜部30に溜められた塵埃が、前記連通孔18から図示しない吸引経路及び前記ノズル3を経て外部に漏れ出ることを、前記弁14によって確実に阻止することができる。
【0020】
前記集塵容器11の塵埃貯溜部30内に溜まった塵埃を廃棄する場合、前記操作部10を押して前記係合受部19と図示しない係合爪との係合を解除した後、前記集塵容器11を前記ノズル3側に移動させて前記集塵手段4を前記掃除機本体2から取り外し、更に、前記二次フィルタ体13及び筒状体12を前記集塵容器11の一端開口部16から取り外してこの一端開口部16を開放させる。このように、前記集塵容器11の一端開口部16を開放させることで、前記塵埃貯溜部30に溜まった塵埃を前記一端開口部16から廃棄することが可能となる。この際、前述したように、前記縁42が前記連通孔18を閉塞しているので、前記塵埃貯溜部30に溜められた塵埃が、前記連通孔18から意図しない場所に廃棄されることが防止される。なお、前記二次フィルタ体13は、前記指掛け部35に指を掛けて引き出すことで、前記集塵容器11の一端開口部16から取り外される。また、前記筒状体12は、平板状の前記突起27を摘んで引き出すことで、前記集塵容器11の一端開口部16から容易に取り外される。更に、前記突起27は、前述したように幅が広く且つ薄い平板状に形成されているので、この突起27を親指と人指し指で摘んだ際に、指と前記円筒部21の側壁21Aの内面との間の余裕を大きくすることができ、これによって、前記突起27を摘む指が前記円筒部21の側壁21Aの内面に当たりにくくできるので、前記突起27を容易に且つ確実に摘むことができる。
【0021】
そして、前記塵埃貯溜部30に溜められた塵埃を廃棄した後も、前記集塵容器11の側壁11Aや底壁11Bの内面には、細かい塵埃が付着している。また、塵埃貯溜部30内に溜まった塵埃を廃棄するために前記集塵容器11から取り外された前記二次フィルタ体13及び筒状体12にも、塵埃が付着している。従って、これらに付着した塵埃を除去する必要がある。前記集塵容器11及び筒状体12に付着した塵埃は、ブラシ等によって掃き落とすことができるばかりでなく、水洗いによって洗い流すこともできる。なお、前記筒状体12に取り付けられた前記補助フィルタ26も、前記筒状体12から取り外して洗浄することができる。一方、前記二次フィルタ体13は、その二次フィルタ34に塵埃が付着する。そして、前記二次フィルタ34は、図2に示すように、閉塞端34B側が裏返されるように折り返されているので、この折り返された部分を前記支持体33の内側から押し出した後、前記二次フィルタ34の表面に付着した塵埃をブラシ等で掃き落としたり、前記二次フィルタ34自身に染み込んだ塵埃を水等で洗い落としたりすることで、前記二次フィルタ34を清浄にすることができる。このようにして、前記集塵手段4を構成する各要素が清浄にされる。
【0022】
そして、清浄にされた前記補助フィルタ26を、同じく清浄にされた前記筒状体12に装着した後、この筒状体12を清浄にされた前記集塵容器11の一端開口部16から挿入し、更に、清浄にされた前記二次フィルタ体13を前記筒状体12の下流側に挿入することで、前記集塵手段4が再び組み立てられる。なお、平板状の前記突起27を摘んで持つことで、容易に前記筒状体12を前記集塵容器11に挿入することができる。また、前記二次フィルタ体13を前記集塵容器11の一端開口部16から挿入する前に、前記二次フィルタ34の閉塞端34B側を裏返すように、前記環状部38を通して前記支持体33の内側へ予め折り返しておく。そして、このように再び組み立てられた前記集塵手段4を、再び前記掃除機本体2に取り付けることで、前記サイクロン式掃除機1が再び使用可能となる。
【0023】
なお、前記二次フィルタ34の閉塞端34B側を折り返さないまま、前記二次フィルタ体13を前記集塵容器11の一端開口部16から挿入して装着してしまうことがある。この際、前記二次フィルタ34の閉塞端34Bが前記突起27の先端に当接し、この突起27によって、前記閉塞端34B側が前記環状部38から前記支持体33の内側に押し込まれると共に、前記突起27も、前記環状部38から前記支持体33の内側に入り込む。なお、前述したように、前記二次フィルタ34の閉塞端34B側を裏返すように折り返して下流側に最大限伸ばした状態で前記二次フィルタ体13を前記筒状体12に取り付けた際に、前記突起27の先端が前記二次フィルタ34の閉塞端34Bに当接しない(換言すれば、前記突起27の先端が前記二次フィルタ34の閉塞端34Bに当接している状態では、前記支持体33の先端に設けられた前記環状部38と前記二次フィルタ34の折り返し部との間に余裕がある)ので、前記二次フィルタ34は、前記突起27によって前記支持体33の内側に押し込まれたとしても、過度の張力が加わらず、破れにくい。
【0024】
以上のように、本発明のサイクロン式掃除機1は、電動送風機5が内蔵された掃除機本体2に対して着脱自在に取り付けられる筒状の集塵容器11の側壁11Aに連通孔18を形成し、この連通孔18を開閉するように、前記集塵容器11の側壁11Aの周方向一端側を固定端40とすると共に他端側を自由端41とした弁14を設け、この弁14を板状の合成ゴムにて形成すると共に、この弁14に、肉厚部としてのリブ43を、前記集塵容器11の中心軸Xと交差するように一体形成したことで、部分的に前記弁14の腰が比較的強くなっており、これによって、前記弁14による前記連通孔18の閉塞が確実に行われ、一方、前記リブ43が形成されていない部分の腰が比較的弱いので、気流によって比較的容易に前記弁14が前記連通孔18を開放することができる。更に、前記リブ43によって、前記弁14が部分的に厚くなっているので、気流によって前記弁14が振動しにくくすることができるものである。
【0025】
また、本発明のサイクロン式掃除機1は、前記集塵容器11に塵埃貯溜部30を設け、前記リブ43を前記弁14における前記塵埃貯溜部30側の縁部42に形成したことで、塵埃が溜められる貯溜部30側の縁部42を確実に前記集塵容器11に接触させて、塵埃の漏れを防ぐことができるものである。
【0026】
次に、本発明の第二の実施形態について、図7に基づいて説明する。なお、本実施形態と前述した第一の実施形態とは、弁51以外が全て共通するので、弁51についてのみ説明し、それ以外の説明を省略する。前記弁51は、板状の合成ゴムによってほぼ方形に形成されている。そして、前記弁51の一縁には、前記取付溝20に挿入される取付リブ52が形成されている。そして、この取付リブ52を前記取付溝20に挿入することで、前記弁51は前記集塵容器11に取り付けられる。この際、前記弁51は、常態では、その外面が前記連通孔18の周囲の前記側壁11Aに当接する。また、前記弁51が前記集塵容器11に取り付けられた状態において、前記取付リブ52が形成された側が固定端53となると共に、この固定端53の反対側となる縁が自由端54となる。また、前記弁51が前記集塵容器11に取り付けられた状態において、前記塵埃貯溜部30側となる縁55に、腰を持たせるための肉厚部としてのリブ56が形成されていると共に、前記自由端54の縁57にも、肉厚部としてのリブ58が一体に形成されている。なお、前記リブ56と前記リブ58は連続して形成されている。また、前記縁55の反対側に位置する縁59には、肉厚部としてのリブは形成されていない。更に、前記連通孔18の周囲の前記側壁11Aに当接する前記弁51の外面は、平板状に形成されていると共に、前記弁51の内面に突出するように、前記リブ56及び58が形成されている。なお、図7においては、前記塵埃貯溜部30側となる縁55が上方となるように記載されている。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。前記電動送風機5が作動させて吸引気流を形成すると、この吸引気流は、前記連通孔18を通過して前記集塵容器11内に入る際に、前記連通孔18を閉塞している前記弁51を撓ませる。そして、前述したように、前記弁51は固定端53と自由端54とを有することで、自由端54側が内側に移動するように傾斜する。このため、前記気流は、前記集塵容器11内において、傾斜した前記弁51に沿って方向転換され、前記集塵容器11の側壁11Aの内面に沿う渦流Fとされる。なお、前述したように、前記リブ56が前記弁51の縁55に形成されていることで、この縁55側の弾性力が他の部分の弾性力よりも強くなっているので、前記縁55側の撓み量が他の部分の撓み量よりも小さくなっている。換言すれば、前記弁51の前記縁55側以外の部分の弾性力が、リブ56が形成された前記縁55側の部分の弾性力よりも小さくなっているので、前記弁51は前記電動送風機5によって形成された気流によって、確実に大きく撓ませることができる。即ち、前記弁51は、前記縁56側以外の部分が、前記縁55側の部分よりも僅かに内側に膨らむように変形する。従って、板状の前記弁51を用いているにも拘わらず、前記気流は、前記側壁11Aの内面に沿って旋回しながら前記塵埃貯溜部30側に移動するように案内され、それ以外の方向に流れる気流の量を少なく抑えることができる。なお、前記リブ58は、前記弁51の自由端54側にのみ形成されているため、気流による撓みに対して、殆ど抵抗とならない。また、前記集塵容器11内に渦流Fが形成されると、前記連通孔18を通過したばかりの渦流F1が前記弁51の外側を通ると共に、一周した渦流の一部F2が前記弁51の内側を通ることで、渦流F1とF2との僅かな圧力差によって、前記弁51が楽器のリードのように振動して音を発生させる虞があるが、前述したように、前記弁51にリブ56,58が形成されていることで、これらのリブ56,58の分、前記弁51が部分的に厚くなっているので、前記弁51の振動が抑えられる。
【0028】
そして、前記電動送風機5を停止させると、吸引気流も消滅する。そして、この吸引気流が消滅すると、前記弁51は自身の弾性力によって復元し、その外面が前記連通孔18の周囲の前記側壁11Aに当接して前記連通孔18を閉塞する。この際、前述したように、前記弁51の縁55に前記リブ56が形成されていることで、前記縁55側の弾性力が他の部分の弾性力よりも強くなっているので、少なくとも、塵埃が溜まっている前記塵埃貯溜部30側の縁55は、確実に復元して前記側壁11Aに当接することになる。また、前記自由端縁57に前記リブ58が形成されていると共に、前記リブ56と前記リブ58とが連続して一体的に形成されているため、前記縁55が復元して前記側壁11Aに当接すると、前記自由端縁57も確実に復元するので、前記縁59側が捲れることなく、前記側壁11Aに当接することになる。従って、前記縁55側ばかりでなく前記自由端57側の弁51の捲れを抑制することができるので、前記塵埃貯溜部30に溜められた塵埃が、前記連通孔18から外部に漏れ出ることを、前記弁51によって確実に阻止することができる。
【0029】
以上のように、本発明のサイクロン式掃除機1は、前記弁51の自由端縁57に肉厚部としてのリブ58を一体形成したことで、前記弁51の自由端54における前記塵埃貯溜部30とは反対側の縁59側の捲れを抑制し、前記弁51の自由端54を確実に前記集塵容器11に接触させて、塵埃の漏れを防ぐことができるものである。
【0030】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、上記各実施形態では、前記弁に肉厚部となるリブを形成したが、肉厚部は必ずしもリブ状である必要はなく、図8に示すように、前記弁61の厚さが直線的に徐々に厚くなるようにして、縁62に肉厚部63を形成してもよく、また、図9に示すように、前記弁71の厚さが曲線的に連続して徐々に厚くなるようにして、縁72に肉厚部73を形成してもよい。更に、図10に示すように、前記弁81の縁82の近傍に肉厚部83を形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すサイクロン式掃除機の側面図である。
【図2】同、集塵機構部の拡大断面図である。
【図3】同、電動送風機の停止時における集塵機構部のA−A断面図である。
【図4】同、電動送風機の作動時における集塵機構部のA−A断面図である。
【図5】同、電動送風機の作動時における弁周辺の拡大断面図である。
【図6】同、弁の拡大図であり、(a)は集塵容器の内側から見た外観図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態を示すサイクロン式掃除機の弁の拡大図であり、(a)は集塵容器の内側から見た外観図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図である。
【図8】本発明の第三の実施形態を示すサイクロン式掃除機の弁の拡大図であり、(a)は集塵容器の内側から見た外観図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図である。
【図9】本発明の第四の実施形態を示すサイクロン式掃除機の弁の拡大図であり、(a)は集塵容器の内側から見た外観図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図である。
【図10】本発明の第五の実施形態を示すサイクロン式掃除機の弁の拡大図であり、(a)は集塵容器の内側から見た外観図、(b)はB−B断面図、(c)はC−C断面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 サイクロン式掃除機
2 掃除機本体
5 電動送風機
11 集塵容器
14,51,61,71,81 弁
30 塵埃貯溜部
40,53 固定端
41,54 自由端
42,55,62,72,82 塵埃貯溜部側の縁
43,56,58 リブ(肉厚部)
57 自由端縁
63,73,83 肉厚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動送風機が内蔵された掃除機本体と、この掃除機本体に対して着脱自在に取り付けられた筒状の集塵容器とを有し、この集塵容器の側壁に連通孔を形成し、この連通孔を開閉するように、前記集塵容器の側壁の周方向一端側を固定端とすると共に他端側を自由端とした弁を設けたサイクロン式掃除機において、
前記弁を肉薄な弾性体にて形成すると共に、前記弁に、前記集塵容器の中心軸と交差するように延びる肉厚部を一体形成したことを特徴とするサイクロン式掃除機。
【請求項2】
前記集塵容器に塵埃貯溜部を設けると共に、前記肉厚部を、前記弁における前記塵埃貯溜部側の縁部に形成したことを特徴とする請求項1記載のサイクロン式掃除機。
【請求項3】
前記弁の自由端縁に肉厚部を一体形成したことを特徴とする請求項2記載のサイクロン式掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−279283(P2009−279283A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136122(P2008−136122)
【出願日】平成20年5月24日(2008.5.24)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】