説明

サイレン制御システム、およびサイレン制御装置

【課題】コストを低減することができ、かつ、サイレンの不測の誤動作を防止することができるサイレン制御システムの提供を目的とする。
【解決手段】公衆回線網1に接続されてサイレン制御要求を送信可能な操作側ユニット2、および、公衆回線網1に接続され、予め設定されたサイレン制御コマンドを含む所定の制御データの受信に応じてサイレン装置3に制御信号を出力する受信側ユニット4を備えるサイレン制御装置5と、
公衆回線網1に接続されて前記操作側ユニット2からのサイレン制御要求に応じて前記制御データを受信側ユニット4に送信する制御用サーバ6とを有してサイレン制御システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサイレン制御システム、およびサイレン制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
サイレン制御システムとしては、従来、特許文献1に記載されたものが知られている。この従来例においてシステムは、サイレン装置とともに子局を構成する屋外拡声装置と親局とを有する。親局は無線送受信装置と操作卓とにより構成され、操作卓から送出される選択呼び出し信号が無線回線を介して上記屋外拡声装置により受信されると、この選択呼び出し信号が屋外拡声装置内部の制御部により解析され、これにより屋外拡声装置から制御信号がモータサイレンに供給されてモータサイレンが起動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-195185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来例は、デジタル無線通信あるいはアナログ無線通信の制御機器からなるために、多大な導入コストがかかってしまうという欠点がある。
【0005】
この点、上述したデジタル無線通信等に代えて公衆回線網を利用すればコストを低減することが可能であるが、この場合には、公衆回線網を介して誤って不測のデータを子局が受信することによりサイレンが誤動作してしまうおそれが生じる。
【0006】
本発明は以上の欠点を解消すべくなされたものであって、コストを低減することができ、かつ、サイレンの不測の誤動作を防止することができるサイレン制御システムの提供を目的とする。また、本発明の他の目的は、コストを低減することができ、かつ、サイレンの不測の誤動作を防止することができるサイレン制御装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば上述した目的は、
公衆回線網1に接続されてサイレン制御要求を送信可能な操作側ユニット2、および、公衆回線網1に接続され、予め設定されたサイレン制御コマンドを含む所定の制御データの受信に応じてサイレン装置3に制御信号を出力する受信側ユニット4を備えるサイレン制御装置5と、
公衆回線網1に接続されて前記操作側ユニット2からのサイレン制御要求に応じて前記制御データを受信側ユニット4に送信する制御用サーバ6とを有するサイレン制御システムを提供することにより達成される。
【0008】
本発明によればサイレン制御システムは、操作側ユニット2および受信側ユニット4を備えるサイレン制御装置5と、制御用サーバ6とを有し、操作側ユニット2への操作により受信側ユニット4からサイレン装置3に制御信号を出力してサイレン装置3を制御する。操作側ユニット2と受信側ユニット4はいずれも公衆回線網1に接続され、上記制御信号の出力は、操作側ユニット2から公衆回線網1に送信されるサイレン制御要求に基づいてなされる。
【0009】
制御用サーバ6は、上述した操作側ユニット2と受信側ユニット4との間の公衆回線網1を利用した通信に介在し、操作側ユニット2からのサイレン制御要求に基づいて受信側ユニット4に所定の制御用データを送信する。この制御用データには受信側ユニット4に予め設定されたサイレン制御コマンドが含まれており、該コマンドを受信側ユニット4が実行することによりサイレン装置3に制御信号が出力される。
【0010】
したがって本発明によれば、操作側ユニット2と受信側ユニット4との間の通信に公衆回線網1を利用することにより、デジタル無線通信を利用する場合に比してコストを低減することができる上に、制御用サーバ6、すなわち専用のサーバを利用することにより、不特定多数に開放された一般のサーバを利用した場合に比して通信時のセキュリティを容易に高めることができる。
【0011】
また、サイレン制御用コマンドを受信側ユニット4に予め設定しておき、このコマンドを制御用サーバ6から受信側ユニット4に送信する制御用データに含めることにより、制御用データを複雑化、秘匿化することが可能で、公衆回線網1を通じて受信側ユニット4に不測の入力がなされることによる受信側ユニット4の誤動作を良好に防止することができる。
【0012】
以上のサイレン制御システムは、昨今提案され始めたM2M(Machine to Machine)サービスを利用して構築することが可能であり、この場合、上記サービスにおいて提供されることがある専用のサーバを上述した制御用サーバ6として利用してシステムを構築することができる。このように専用のサーバとともに上述したシステムを構築可能なサイレン制御装置5は、
公衆回線網1を介して接続される操作側ユニット2と受信側ユニット4を備え、操作側ユニット2からのサイレン制御要求に基づいて受信側ユニット4からサイレン装置3に制御信号を出力可能で、
かつ、前記操作側ユニット2は、公衆回線網1を介して接続された制御用サーバ6にサイレン制御要求を送信可能に形成されるとともに、
前記受信側ユニット4は、サイレン制御要求に応じて前記制御用サーバ6から送信される、予め設定されたサイレン制御コマンドを含む所定の制御用データを受信することによりサイレン装置3に制御信号を出力して構成することができる。
【0013】
このサイレン制御装置5や上述したサイレン制御システムにおいて、操作側ユニット2による制御用サーバ6からの制御用データ、すなわちサイレン制御コマンドの送信操作は、制御用サーバ6により運営されたwebページを利用して、例えば具体的には、webサーバを兼ねる制御用サーバ6においてユーザインターフェイスとして構成したwebページに操作側ユニット2のブラウザでアクセスした上で、制御用データの受信側ユニット4への送信要求を入力することによることが可能であるが、このほかにも、電子メールを利用して行うこともできる。すなわち、受信側ユニット4においてサイレン制御コマンドを含む電子メールからサイレン制御コマンドが生成できるように電子メール受信手段9を構成しておけば、操作側ユニット2の電子メール送信手段8からメールサーバを兼ねる制御用サーバ6を介して受信側ユニット4にサイレン制御コマンドを含む電子メールを送信する操作によることができる。このように電子メールにサイレン制御コマンドを含めておくことにより、セキュリティをより容易に高めることができる上に、制御用サーバ6や受信側ユニット4の構成を簡易にすることもできる。
【0014】
また、以上のように電子メールを利用する場合、制御用サーバ6にプッシュ型電子メール配送するメール配送手段12を備えることにより、通信の迅速性を確保することができる。この場合、新規の電子メールを受信した際に、制御用サーバ6から受信側ユニット4まで単にそのまま電子メールのコピー等を送信するほか、その際に制御用サーバ6から受信側ユニット4に電子メール受信要求を送信し、これにより受信側ユニット4からの問い合わせタイミングを新規電子メールの受信のタイミングに合わせて構成することもできる。
【0015】
さらに、上述したように公衆回線網1を利用する本発明においては、この公衆回線網1として例えば固定電話回線を構成する公衆交換電話網を利用することが可能であるが、これ以外に、携帯電話回線などを構成する無線通信網10をも利用することもできる。公衆回線網1を兼ねる無線通信網10としては、例えば携帯電話やPHS、衛星電話の通信網、さらにはモバイルWiMAXなど多数のものがある。上述した無線通信網10は上述した有線の公衆交換電話網が敷設されない僻地なども通信可能域としている場合があり、これを利用することで有線の通信回線を新たに敷設するよりもコストを抑えることが可能になる。
【0016】
加えて、上述したように無線通信による場合、有線通信に比べて接続状態が不安定になりやすい。このため、上述した電子メールの送信に時間がかかってしまうおそれも否定できないが、電子メールに含まれる送信側ユニットからの送信時刻と、当該電子メールの受信時刻との差が所定の閾値を超えるときに電子メールに基づくサイレン制御要求コマンドの実行を禁止する制御手段11を受信側ユニット4に設ければ、タイミングを逸したサイレンの鳴動を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、コストを低減することができ、かつ、サイレンの不測の誤動作を防止することができるサイレン制御システム、サイレン制御装置を提供することができ、サイレン制御のコストとの兼ね合いによる利便性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】サイレン制御システムのハードウェア構成図で、(a)はネットワークを含む全体構成図、(b)は親局装置の構成図である。
【図2】サイレン制御システムのハードウェア構成図で、(a)は子局装置の構成図、(b)は制御用サーバの構成図である。
【図3】装置の入力スイッチ、表示部を示すもので、(a)は操作側ユニットのものを示す図、(b)は受信側ユニットのものを示す図である。
【図4】親局装置、制御用サーバ、子局装置の間のネットワークを介したサイレン吹鳴のやり取りを示すシーケンス図である。
【図5】操作側ユニットの動作を示すフローチャートで、自局(親局)サイレン装置を駆動する過程を示す図である。
【図6】操作側ユニットの動作を示すフローチャートで、子局サイレン装置を駆動する過程を示す図である。
【図7】操作側ユニットの動作を示すフローチャートで、子局サイレン装置を監視する過程を示す図である。
【図8】操作側ユニットの動作を示すフローチャートで、子局サイレン装置の駆動後の管理過程を示す図である。
【図9】受信側ユニットの動作を示すフローチャートで、操作側ユニットとの通信による自局(子局)サイレン装置の制御、管理過程を示す図である。
【図10】他の実施の形態を示す図で、(a)は親局装置のハードウェア構成図、(b)は制御用サーバのハードウェア構成図、(c)は受信側ユニットのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1ないし図9に本発明の実施の形態を示す。この実施の形態においてサイレン吹鳴システムは、図1(a)に示すように、サイレン装置3を備えた子局装置20と、この子局装置20に公衆回線網1を介して接続されて上記サイレン装置3の吹鳴等を制御可能な親局装置21と、これら親局装置21、子局装置20の間の公衆回線網1を介した通信を媒介、管理する制御用サーバ6とを有する。この実施の形態において、親局装置21と制御用サーバ6とはインターネット1aを介して、制御用サーバ6と子局装置20とは携帯電話会社が提供する無線パケット通信網(無線通信網10)を介して接続される。
【0020】
また、図1(b)および図2(a)に示すように、上記親局装置21は操作側ユニット2を、子局装置20は受信側ユニット4を有し、上述したサイレン装置3の制御は、操作側ユニット2の受信側ユニット4への通信に従い、受信側ユニット4からサイレン装置3に制御信号を出力してなされる。したがって操作側ユニット2、受信側ユニット4、制御用サーバ6によりサイレン制御システムが構成され、操作側ユニット2、受信側ユニット4によりサイレン制御装置5が構成される。
【0021】
親局装置21は、上述したように公衆回線網1を介することにより、子局装置20を遠隔操作、監視可能にされる。この実施の形態においては、親局装置21が自治体の消防本部に設置され、この消防本部の管轄する消防署(分署)等に子局装置20、すなわちサイレン装置3が設置されることにより、消防署等のサイレン装置3を消防本部から遠隔管理する。また、親局装置21による子局装置20の制御に通信を利用することによって子局装置20を複数にすることも容易であり、この実施の形態においては、図1(a)に示すように、上述した消防本部の管轄する複数の消防署等に子局装置20が設置され、これを消防本部の親局装置21で一括制御することより、消防本部の管轄地域の住民に危険を一斉報知することもできるようにされる。さらに、この実施の形態においては、上記消防署等に固定電話回線の敷設されていないような僻地のものが含まれるが、この消防署等の場所において携帯電話による通信が可能であることにより、上述したように無線パケット通信網を利用することで回線の敷設工事を省いている。
【0022】
上記親局装置21は、図1(b)に示すようにこの実施の形態においては、上述した操作側ユニット2に加えてサイレン装置3’も備え、これにより消防本部近傍で危険を報知できるようにされる。上述した子局装置20、および親局装置21が備えるサイレン装置3、3’は、図1(b)および図2(a)に示すように、サイレン本体3aと、制御部3bとを有する。サイレン本体3aは、モーターサイレンからなり、具体的には例えば、風切り窓が開設されるロータケーシング内にファンロータを回転可能に収容して形成され、回転するファンロータによって高速開閉される風切り窓から空気を断続的に噴出させ、これにより空気を震動させることによって吹鳴する。また、上記ロータケーシングには風切り窓を開閉可能なシャッタが設けられ、これにより吹鳴音を即座に停止することができる。さらに、サイレン制御装置5を寒冷地に設置するこの実施の形態においては、サイレン本体3aの凍結によってファンロータが回転できない事態を防ぐために、サイレン本体3aにはヒータが設けられる。
【0023】
また、上記制御部3bは、上述したサイレン本体3a、すなわちファンロータを駆動するモータを備えたもので、このモータの駆動を制御してサイレン本体3aの吹鳴を制御する。また、制御部3bは上述したシャッタやヒータをも制御する。なお、この実施の形態においてはサイレン装置3として以上のようにモータサイレンを用いているが、これに代えて電子サイレンを用いることも可能である。
【0024】
一方、上述した操作側ユニット2は、図1(b)に示すように、入力操作手段22と、記憶手段23と、子局サイレン管理手段24と、表示手段25と、制御手段26とを備える。上記入力操作手段22はサイレン装置3を制御するための入力スイッチ等であり、図3(a)に示すように、サイレン装置3を起動させるための起動スイッチ22aに加え、サイレン装置3に災害等の種類に応じて設定される吹鳴パターンを選択するための吹鳴パターン選択スイッチ22bの複数を備える。また、入力操作手段22は、上述したように複数設けられる子局装置20について、サイレン吹鳴制御の対象を選択するための局選択スイッチ22cの複数、上述した吹鳴パターンを含めてこのように選択可能にされたスイッチの誤った選択を解除するための選択解除スイッチ22d、表示手段25の表示をリセットするための表示復帰スイッチ22e、子局装置20を吹鳴させることなく単に監視するための監視スイッチ22fを備える。なお、局選択スイッチ22cには、全ての局選択スイッチ22c、22c、・・が一括操作されたとみなす一括指定のものが設定され、個々の局選択スイッチ22cを操作した場合に比べた迅速性が高められる。
【0025】
さらに、上述したように親局装置21がサイレン装置3を備えることに対応して、入力操作手段22は、このサイレン装置3のみを直接緊急制御するための親局サイレン制御スイッチ22gを備え、この親局サイレン制御スイッチ22gとしては、吹鳴を開始させる吹鳴スイッチ、この吹鳴を停止させる吹鳴停止スイッチに加え、モータをテスト駆動するためのモータテストスイッチ、シャッタをテスト駆動するためのシャッタテストスイッチ、ヒータを起動するためのヒータスイッチが設定される。
【0026】
また、上記入力操作手段22は、図示省略されるが、上述した入力スイッチに加え、操作により全ての入力スイッチと同じ機能の入力が可能なタッチパネルを備える。なお、以降においては、発明の理解をしやすくするため、入力操作手段22への操作が入力スイッチを介してなされる場合に絞って説明する。
【0027】
上記記憶手段23は、図1(b)に示すように、上述した吹鳴パターン毎の受信側ユニット4の制御に応じて予め受信側ユニット4に設定されたコマンドを格納するコマンドファイル23aを備える。また、記憶手段23には、図示省略されるが、各受信側ユニット4に設定されたメールアドレスや、操作側ユニット2、すなわち自局に設定されたメールアドレス、上述した制御サーバによる電子メールの送受信を可能にするための適宜の認証データなども格納される。
【0028】
上記子局サイレン管理手段24は、受信側ユニット4を制御するための制御データを生成し、上述した公衆回線を通じて受信側ユニット4に送信するもので、インターネット1aに接続される。この子局サイレン管理手段24は、上述した制御データの送信に電子メールを利用するこの実施の形態においては、適宜のメールソフトなどを利用して構成される、電子メール送信手段8と、電子メール受信手段24aを備える。電子メール送信手段8は、ヘッダに送信先としての上述した受信側ユニット4のメールアドレスを含み、ボディに上述したコマンドを含む電子メールを生成し、送信する。また、後述する受信側ユニット4での処理のために、上記ヘッダには、送信元としての自局のメールアドレスが、上記ボディには電子メールを送信する時刻が上述したコマンドと識別可能な形態で含められる。
【0029】
上記電子メール受信手段24aは、受信側ユニット4からの電子メールを受信するためのもので、送信先が受信側ユニット4のメールアドレスであることにより電子メールを認証し、認証成立時には、そのボディに含まれたコマンドに基づいて操作側ユニット2に予め設定されたコマンドを生成する。
【0030】
上記表示手段25は、図3(a)に示すように、上述した起動スイッチ22aや吹鳴パターンスイッチ22b、局選択スイッチ22c、選択解除スイッチ22d、表示復帰スイッチ22e、監視スイッチ22f、親局サイレン制御スイッチ22gの操作状態を示すために、これらのスイッチを兼ねて構成される起動スイッチ表示部25a、吹鳴パターンスイッチ表示部25b、局選択スイッチ表示部25c、選択解除スイッチ表示部25d、表示復帰スイッチ表示部25e、監視スイッチ表示部25f、親局サイレン制御スイッチ表示部25gを備える。各表示部は、上述したスイッチボタンを透光性のある材料により形成し、その裏面に点灯、消灯可能なLED等の照明を配置して構成される。また、表示手段25は、各子局装置20のサイレン装置3の制御状態を示すための子局制御状態表示部25hを各子局装置20に対応して複数備えるとともに、親局装置21のサイレン装置3の制御状態を示すための親局制御状態表示部25iを備える。上記子局制御状態表示部25hは、例えば、各子局装置20、20、・・に対応して、そのサイレン装置3が吹鳴していることを示すサイレン動作表示部、操作側ユニット2の送信した電子メールについての受信側ユニット4からの受信確認が所定時間内に届いていないことを示すタイムアウト表示部、受信側ユニット4の電池の消耗を示す電池消耗表示部、さらには操作側ユニット2から送信した電子メールが所定時間外に受信側ユニット4に届いてしまったことを示す無効表示部からなる。また、親局制御状態表示部25iは、例えば、上述したモータテストスイッチに対応し、モータが正常であることを示すモータ正常表示部、シャッタテストスイッチに対応し、シャッタが正常であることを示すシャッタ正常表示部からなる。
【0031】
上記制御手段26は、上述した入力操作手段22、記憶手段23、子局サイレン管理手段24、および表示手段25を制御するもので、入力操作手段22の操作を検知すると、当該入力操作手段22に対応する表示手段25の表示部を点灯させる。また、操作された入力操作手段22が起動スイッチ22aであるときには、制御手段26は、吹鳴パターン選択スイッチ22bや局選択スイッチ22c、監視スイッチ22fの操作の有無を検知し、所定の条件が満たされていれば、子局サイレン管理手段24の電子メール送信手段8から電子メールを送信させる。すなわち、サイレン装置3の制御あるいは監視には、局選択スイッチ22c22cサイレン装置3の特定と、吹鳴パターン選択スイッチ22bあるいは監視スイッチ22fによる制御か監視かの特定が必要であるため、これらのスイッチが操作されていることを条件として、制御手段26は電子メール送信手段8から電子メールを送信させる。
【0032】
さらに、制御手段11は、上述した吹鳴パターン選択スイッチ22bや監視スイッチ22f、局選択スイッチ22cのいずれが操作されているか、さらにはそれぞれ複数からなる吹鳴パターン選択スイッチ22bや局選択スイッチ22cにおいては、どの種類のスイッチが操作されているかに応じ、電子メール送信手段8から送信される電子メールを変更させる。すなわち、局選択スイッチ22cは、上述したように子局装置20が複数あるうち、電子メールを送信すべき制御対象としての子局装置20を特定するものであるため、その種類や数に応じて電子メールの送信先のメールアドレスが変更、追加、一部削除される。また、吹鳴パターン選択スイッチ22bや監視スイッチ22fは、吹鳴か監視か、さらに吹鳴であるときにはどの種類の吹鳴パターンであるかを特定するものであるため、どのスイッチ、種類であるかに応じて電子メールのボディに含めるサイレン制御コマンドが変更される。このコマンドは、どのスイッチ、種類であるかに応じて予め設定されており、このコマンドが上述した記憶手段23のコマンドファイル23aに格納されていることにより、操作されたスイッチに応じたコマンドが電子メール送信手段8によりコマンドファイル23aを参照して取得され、電子メールに含められる。
【0033】
加えて、制御手段26は、選択解除スイッチ22dの操作を検知すると、局選択スイッチ22c、吹鳴パターン選択スイッチ22b、監視スイッチ22fの全てを非操作状態、すなわち非入力状態にし、対応する表示手段25の表示部の全てを消灯状態にする。すなわち、これらのスイッチやこれに対応する表示部で操作、点灯状態にあるものを非操作状態、消灯状態に移行させる。加えて、表示復帰スイッチ22eの操作を検知すると、上述した表示手段25の全てを消灯状態にする。
【0034】
さらに、以上に加えて制御手段26は、電子メールを受信すると、電子メール受信手段24aにより電子メールを認証させ、認証が成立すると、さらに電子メール受信手段24aによって電子メールのボディに含まれたコマンドからコマンドを生成させる。このようにして生成されたコマンドがこの後、制御手段26によって実行されることにより、制御状態情報に応じた表示手段25の子局制御状態表示部25hが点灯される。加えて、制御手段26は、子局サイレン管理手段24から電子メールを受信側ユニット4に送信した後、受信側ユニット4から所定時間内に受信確認の電子メールが届かないときには、上述したタイムアウト表示部(25h)を点灯する。
【0035】
また、上述した操作側ユニット2は、親局装置21のサイレン装置3’を制御するための親局サイレン管理手段27を備える。親局サイレン管理手段27は、上記サイレン装置3’に制御信号を出力するもので、この制御信号により当該サイレン装置3’が制御される。
【0036】
上述した制御手段11は、上述した親局サイレン制御スイッチ22gの操作が検知されたときには、親局サイレン管理手段27から親局装置21のサイレン装置3’に制御信号を出力させる。親局サイレン管理手段27が出力する制御信号は、操作された親局サイレン制御スイッチ22gの種類に応じて変更され、例えば、吹鳴スイッチが操作されたときにはサイレン装置3を吹鳴させるための吹鳴信号に、吹鳴停止スイッチが操作されたときにはサイレン装置3の吹鳴を停止させるための吹鳴停止信号にされる。
【0037】
一方、上述した子局装置20は、図2(a)に示すように、親局装置21のものと同じサイレン装置3と、受信側ユニット4とを有し、この受信側ユニット4は、電子メール受信手段9と、記憶手段29と、入力操作手段30と、サイレン管理手段31と、電子メール送信手段32と、制御手段11とを有する。上記電子メール受信手段9は、上述したように無線パケット通信網10に接続されて親局装置21から送信される電子メールを受信するためのもので、この実施の形態においては、携帯電話会社により提供される無線パケット通信網10のための通信モジュールを内蔵したプロトコルコンバータを受信側ユニット4に組み込むことによりその機能が実現される。この電子メール受信手段9は、受信した電子メールを送信先が操作側ユニット2であることにより認証する。また、この電子メール受信手段9による認証は、上述したように電子メールに含まれる送信時刻と、受信時刻とを比較し、その差が所定の閾値を超えるか否かよってもなされる。上記閾値は、サイレン装置3により報知される危険状態が、時間的にどの程度継続されるか等に応じて適宜に決定される。さらに、図2(a)に示すように、電子メール受信手段9はコマンド生成手段9aを備え、このコマンド生成手段9aは、認証された電子メールのボディに含まれたコマンドに基づいて、受信側ユニット4の制御手段11のコマンドを生成する。
【0038】
なお、この実施の形態においては、上述した閾値として一定の単一のものが設定されるが、複数設定することも不可能ではなく、この場合、例えば閾値による認証に先立って電子メールに含まれるコマンドを解析し、コマンドの種類、すなわち危険の要因に応じるなどして閾値を複数の中から決定するなどすれば足りる。
【0039】
上記記憶手段29は、図2(a)に示すように、サイレン装置3の制御状態に応じて予め送信側ユニットの制御手段11に設定されたコマンドを格納するコマンドファイル29aを備えるとともに、図示省略されるが、操作側ユニット2に設定されたメールアドレスや、自局20に設定されたメールアドレス、上述した制御用サーバ6による電子メールの送受信を可能にするための適宜の認証データなども格納される。
【0040】
上記入力操作手段22は、自局20のサイレン装置3を制御するための入力スイッチ等であり、図3(b)に示すように、上述した親局装置21における親局サイレン制御スイッチ22gと同じ構成、機能からなる子局サイレン制御スイッチ30aを備える。また、以上に加え、入力操作手段22は、起動スイッチ20bを備えると共に、図示省略されるが、吹鳴パターンを選択入力可能なタッチパネルをも備える。
【0041】
また、上記サイレン管理手段31は、自局のサイレン装置3を制御するもので、上述した親局サイレン管理手段27と同じ機能を備えるものであり、自局20のサイレン装置3に制御信号を出力することができる。この制御信号が吹鳴信号であるときには、サイレン管理手段31からは、サイレン装置3吹鳴状態の全期間中に渡って吹鳴信号が連続してサイレン装置3に出力される。
【0042】
なお、図2においては省略されるが、受信側ユニット4においても、操作側ユニット2同様の上述したスイッチの操作状態を示すための表示手段28が形成される。また、タッチパネルも設けられ、送信側ユニット同様、上述したように吹鳴パターン選択スイッチ22bの機能のみならず、全ての入力スイッチと同じ機能の入力ができるようにして使い勝手を高めることが可能である。
【0043】
上記電子メール送信手段32は、操作側ユニット2に電子メールを送信するもので、ヘッダに送信先としての上述した受信側ユニット4のメールアドレスを含み、ボディに上述したコマンドを含む電子メールを生成し、送信する。
【0044】
上記制御手段11は、上述した入力スイッチ30の操作を検知すると、当該入力スイッチ30に対応する表示手段28の表示部を点灯させる。また、操作された入力スイッチ30が起動スイッチ30bであるときには、タッチパネルによって吹鳴パターンの入力がされていることを条件に、入力された吹鳴パターンに応じた制御信号、すなわち吹鳴信号をサイレン管理手段31から自局サイレン装置3に出力させる。また、制御手段11は、例えば吹鳴信号の出力を検知した際など、サイレン管理手段31によって吹鳴信号の出力が開始がされた前後のタイミングにおいてサイレン管理手段31の出力を検知し、受信側ユニット4の制御状態情報として電子メール送信手段32に電子メールを生成、送信させる。電子メール送信手段32による電子メールの生成は、コマンドファイル29aを参照して、上述した制御情報に応じて操作側ユニット2の制御手段26が実行するコマンドをボディに記録してなされる。
【0045】
なお、このコマンド以外に、上述した子局サイレン管理手段24のように電子メールの生成や送信の時刻を含めておき、操作側ユニット2の電子メール受信手段24aに受信側ユニット4におけるように送信時刻と、受信時刻との比較による認証機能を加えることも可能である。
【0046】
さらに、制御手段11は、子局サイレン制御スイッチ30aの操作が検知されたときには、サイレン管理手段31から自局のサイレン装置3に制御信号を出力させる。この場合も上述同様、サイレン管理手段31から制御信号の出力の開始がされた前後のタイミングで、サイレン管理手段31の出力を検知し、サイレン装置3の制御状態情報を知らせる電子メールを電子メール送信手段32により生成、送信させる。
【0047】
加えて、制御手段11は、電子メールを受信すると、電子メール受信手段9により認証させる。認証成立時には当該電子メールに基づいてコマンド生成手段9aによりコマンドを生成させ、生成されたコマンドに応じてサイレン管理手段31に制御信号を出力させ、これにより、コマンドに応じた吹鳴パターンでサイレン装置3を吹鳴等させる。この場合にも上述同様、サイレン管理手段31から制御信号の出力の開始がされた前後のタイミングで、サイレン装置3の制御状態情報を知らせる電子メールを電子メール送信手段32により生成、送信させる。また、コマンドがサイレン装置3の吹鳴ではなく監視である場合には、サイレン管理手段31の出力を直ちに検知し、サイレン装置3の制御状態情報を知らせる電子メールを電子メール送信手段32により生成、送信させる。
【0048】
また、サイレン装置3の吹鳴が開始されると、制御手段11はサイレン管理手段31からの制御信号の出力を監視し、この出力が検知されなくなる、すなわちサイレン装置3の吹鳴が終了すると、上述した吹鳴開始時同様、サイレン装置3の制御状態情報を知らせる電子メールを電子メール送信手段32により生成、送信させる。
【0049】
一方、認証非成立時には、制御手段11は、コマンド生成手段9aによりコマンドを生成させることなく、サイレン管理手段31からの制御信号の出力を禁止し、サイレン装置3の吹鳴を禁止する。また、認証不成立が電子メールの送信時刻と受信時刻との差が閾値を超えたことによる場合には、制御手段11は、受信側ユニット4の制御状態を示すコマンドのひとつであるタイムアウトコマンドを記録した電子メールを電子メール送信手段32により生成、送信させる。
【0050】
また、上述した制御用サーバ6は、この実施の形態においてはメールサーバにより構成される。この制御用サーバ6は、運営する会社とM2Mサービスあるいはこれと近似するサービスを契約した特定の契約者のみが利用する専用サーバとして提供されるもので、専用によってセキュリティを高めることで電子メールの盗聴を良好に防止する。以上の制御用サーバ6は、インターネット1aに接続されるとともに、上述したプロトコルコンバータが接続等されることで無線パケット通信網を利用可能にされる。
【0051】
また、上記制御用サーバ6は、図2(b)に示すように、インターネット1aに接続される受信手段34と、無線パケット通信網に接続される送信手段35と、記憶手段36と、制御手段37とを備える。上記送信手段35は電子メールをプッシュメール配送するメール配送手段12を備える。このメール配送手段12は、電子メールを受信すると、直ちに当該電子メールの宛先に電子メールの受信要求の通知を行って迅速に電子メールを宛先に送信できるようにする。
【0052】
上記記憶手段36は、図2(b)に示すように、上述した操作側ユニット2や受信側ユニット4のそれぞれに設定されるメールアカウントのメールボックス7を備え、操作側ユニット2や受信側ユニット4宛てに送信されて上述した受信手段34により受信される電子メールを蓄積して格納する。また、図示省略されるが、この制御用サーバ6との電子メールの送受信を可能にするために操作側ユニット2や受信側ユニット4に設定される適宜の認証データなども格納される。
【0053】
上記制御手段37は、受信手段により操作側ユニット2や受信側ユニット4からの電子メールを受信すると、対応するメールボックス7に格納するとともに、このメールボックス7が管理するメールアドレス、言い換えれば当該電子メールの宛先に対し、上述したメール配送手段12により通知等を実行させる。
【0054】
以上のサイレン吹鳴システムにおいて、親局装置21、制御用サーバ6、子局装置20の間の通信によって子局装置20のサイレン装置3が吹鳴する流れを図4に沿って説明する。子局装置20のサイレン装置3の吹鳴は、親局装置21の入力操作手段22の操作をトリガとしてなされ、操作に応じたサイレン装置3の制御コマンドを含む子局装置20宛ての電子メールが親局装置21の電子メール送信手段8により生成され、送信される。電子メールがインターネット1aを介して制御用サーバ6における子局装置20のメールボックス7に格納されると、制御用サーバ6は、メール配送手段12により電子メールの受信要求を無線パケット通信網10を介して子局装置20に送信する。この受信要求は、例えばショート・メッセージ・サービス(SMS)により行うことができる。次いで、受信要求に応じた子局装置20の電子メール受信手段9からの送信要求がなされると、メール配送手段12が制御サーバから子局装置20に電子メールを送信する。
【0055】
電子メールを受信した子局装置20では、コマンド生成手段9aにより電子メールを解析してサイレン制御コマンドが生成され、このコマンドに応じて子局装置20の制御手段11がサイレン管理手段31から子局装置20のサイレン装置3、より具体的には制御部3bに制御信号を出力させ、これによりサイレン装置3が吹鳴を開始する。吹鳴開始のタイミングで、子局装置20の制御手段11はサイレン管理手段31に出力を問い合わせ、サイレン管理手段31による制御状態情報をコマンドとして含む電子メールを子局装置20の電子メール送信手段32により生成、送信させる。この電子メールが制御用サーバ6における親局装置21のメールボックス7’に格納されると、上述同様、メール配送手段12による親局装置21への電子メール受信要求、これに応じた親局装置21からの電子メール送信要求、さらにこの送信要求に応じた制御用サーバ6からの電子メール送信を経て親局装置21の電子メール受信手段24aにより電子メールが迅速に受信され、これを解析したコマンドに応じて親局装置21の制御手段26により、表示手段25による子局装置20の制御状態に応じた表示処理がなされる。
【0056】
また、サイレンの吹鳴が終了すると、子局装置20の制御手段11は、電子メール送信手段32より子局装置20の制御状態、すなわち吹鳴完了を知らせるコマンドを含む電子メールを生成、送信する。上述同様に電子メールが制御サーバにおける親局装置21のメールボックス7’に格納されると、メール配送手段12による親局装置21への電子メール受信要求、親局装置21からの電子メール送信要求を経て電子メールが親局装置21に受信され、この電子メールを解析した親局装置21の制御手段26によって、表示手段25による子局装置20の制御状態に応じた表示の変更がなされる。
【0057】
図5ないし図8に、子局装置20のサイレン装置3の吹鳴動作に伴う操作側ユニット2のフローチャートを示す。操作側ユニット2は、まず最初に親局装置21のサイレン装置3’を吹鳴させる吹鳴スイッチ22gの入力を制御手段26により監視し(ステップS1)、この入力を検知すると、当該スイッチ22gの表示部25gを点灯させ、自局のサイレン装置3’に親局サイレン管理手段27から吹鳴信号を出力させた後、今度はこの吹鳴信号の出力を監視する(ステップS2)。この状態で吹鳴停止スイッチ22gの入力を検知すると(ステップS3)、制御手段26は親局サイレン管理手段27から吹鳴停止信号を出力させ、吹鳴スイッチ22gの表示部25gを消灯させることにより(ステップS4)サイレン吹鳴動作を終了する。
【0058】
また、上述した吹鳴停止スイッチの入力が検知されない状態で(ステップS3)吹鳴信号の出力の停止を検知すると(ステップS5)、吹鳴スイッチ22gの表示部25gを消灯して(ステップS6)サイレン吹鳴動作が終了する。
【0059】
一方、上述した吹鳴スイッチ22gの入力が検知されない状態で、親局サイレン制御スイッチ22g以外の入力スイッチが入力されると(ステップS7)そのスイッチを点灯させた上(ステップS8)、制御手段26は起動スイッチ22aの入力の有無を確認する(ステップS9)。起動スイッチ22aの入力がなく、さらに選択解除スイッチ22dの入力がない場合には(ステップS10)、局選択スイッチ22c等が入力されたと考えられるため、その後に起動スイッチ22aが押されるまで所定時間α待機し(ステップS11)、この所定時間が経過すると点灯している入力スイッチを消灯して(ステップS12)初期状態に復帰する。また、上述した選択解除スイッチ22dの入力が検知された場合には(ステップS10)、所定時間α待機することなく初期状態に復帰する。
【0060】
また、上述した起動スイッチ22aの入力が検知されたときには(ステップS9)、起動スイッチ表示部25aを点灯し(ステップS13)、この後、局選択スイッチ22cと監視スイッチ22fが入力されているか(ステップS14)、局選択スイッチ22cと吹鳴パターン選択スイッチ22bが入力されているかを確認する(ステップS15)。いずれも入力が確認できない場合には、起動スイッチ22aの誤操作と考えられるため、点灯しているスイッチを消灯し(ステップS12)、初期状態に復帰する。これに対し、局選択スイッチ22cと吹鳴パターン選択スイッチ22bの入力が検知された場合には、制御手段26は、局選択スイッチ22cにより指定された子局装置20に対し、吹鳴パターン選択スイッチ22bにより指定された吹鳴パターンに応じた吹鳴コマンドを含む電子メールを子局サイレン管理手段24により送信し(ステップS16)、これにより子局装置20のサイレン装置3が吹鳴する。
【0061】
一方、上述した局選択スイッチ22cと監視スイッチ22fの入力が検知されたときには、子局装置20の監視が命じられているために、制御手段26は、監視コマンドを含む電子メールを子局サイレン管理手段24により送信させる(ステップS17)。この後、子局装置20から電子メールを受信すると(ステップS18)、制御手段26は、この電子メールに含まれるコマンドに基づいて電子メール受信手段24aによりコマンドを生成させ(ステップS19)、このコマンドを実行して子局制御状態表示部25hにより子局装置20の制御状態を知らせる(ステップS20)。
【0062】
上述した監視は、子局装置20の複数を対象にすることが可能であるため、制御手段11は、上述した受信を所定時間β待ち(ステップS21)、電子メールを送信した全ての子局装置20から電子メールが受信されたかを確認し(ステップS22)、未受信の子局装置20についてはタイムアウト表示部25hを点灯させた上で(ステップS23)、サイレン監視動作を終了する。
【0063】
また、上述したように子局装置20のサイレン装置3を吹鳴させる電子メールを送信した後は、制御手段26は子局装置20からの制御状態の電子メールを待ち、電子メールを受信したら(ステップS24)、電子メール受信手段24aによりコマンドを生成させ(ステップS25)、このコマンドを実行して子局制御状態表示部25hを点灯させる(ステップS26)。制御手段26はこの電子メールの受信を所定時間γ待ち(ステップS27)、電子メールを送信した全ての子局装置20から電子メールが受信されたか、すなわち子局制御状態表示部25hの点灯状態を確認した上で、(ステップS28)、消灯している子局装置20があるときはそのタイムアウト表示部25hを点滅させる(ステップS29)。
【0064】
さらにこの後、子局装置20のサイレン装置3の吹鳴が完了すると親局装置21に電子メールが届くため、制御手段26はこの電子メールを待ち、これを受信すると(ステップS30)、コマンドを生成させ(ステップS31)、このコマンドを実行して子局制御状態表示部25hを消灯させる(ステップS32)。この電子メールの受信を所定時間γ待つと(ステップS33)、制御手段26は、子局制御状態表示部25hが消灯されない子局装置20があるかを確認し(ステップS34)、点灯している子局装置20があるときはそのタイムアウト表示部25hを点灯させ(ステップS35)、これにより一連のサイレン吹鳴動作を終了する。
【0065】
次に、図9を用いて、親局装置21による子局装置20、すなわち受信側ユニット4によるサイレン装置3の制御動作に伴うフローチャートを示す。受信側ユニット4は、まず最初に親局装置21からの電子メールの受信を制御手段11により監視し(ステップS41)、電子メールを受信したらコマンド生成手段9aによりコマンドを生成し(ステップS42)、生成したコマンドを実行してサイレン装置3を吹鳴させた上で、子局装置20の制御状態を示すコマンドを含む電子メールを生成して(ステップS43)、送信する(ステップS44)。この後、制御手段11は、サイレン管理手段31から吹鳴信号が出力されていれば(ステップS45)、吹鳴信号の出力を監視し(ステップS46)、出力の停止を検知したら(ステップS47)、吹鳴動作の完了を示すコマンドを含む電子メールを生成し(ステップS48)、送信することにより(ステップS49)、一連のサイレン吹鳴動作を終了する。コマンドが監視などの場合には、コマンド実行後の電子メールの送信により(ステップS44)により監視動作が完了する。
【0066】
なお、上述した実施の形態および他の実施の形態においては、子局装置20を複数設ける場合を示したが、サイレン装置3を設置したい場所の数に応じて仮に子局装置20が単一になる場合には、局選択スイッチ22cを省いてより簡易にシステムを構築することができる。また、親局装置21の制御手段26において親局装置21のサイレン装置3’のための制御と、子局装置20のサイレン装置3のための制御を個別に並行処理できるようにしてシステムの融通性をより高めることも可能である。
【0067】
図10に本発明の他の実施の形態を示す。なお、この実施の形態において、上述した実施の形態と同一の構成要素は、図中に同一の符号を付して説明を省略する。この実施の形態は、上述したように電子メールを用いるのではなく、操作側ユニット2から制御用サーバ6にサイレン吹鳴を要求するデータを送信し、制御用サーバ6から受信側装置にコマンドデータを送信する場合を示すものである。親局装置21と制御サーバとはインターネット1aを介して暗号化通信を行い、制御サーバと子局装置20とは無線パケット通信網10上にVPNを設定して通信する。
【0068】
上記制御用サーバ6は、サイレン管理手段38を備え、webサーバとして構成されて上記サイレン管理手段38の送受信手段38aにより子局装置20のサイレン装置3を管理するためのwebページを運営する。
【0069】
一方、親局装置21は、例えばパーソナルコンピュータにより構成され、マウスやキーボード等の入力手段39と、適宜のディスプレイからなる表示手段40と、上記webページにアクセスするための認証情報41aを記憶する記憶手段41と、webページにアクセス可能なブラウザ42aを備えたサイレン管理要求手段42と、制御手段43とを備え、制御手段43により上記入力手段39の入力に従って上記webページを介してサイレン吹鳴要求を制御用サーバ6に入力し、また、表示手段40によりwebページを介して子局装置20のサイレン装置3の制御情報を取得することができる。
【0070】
また、上述した制御用サーバ6は、親局装置21や子局装置20を認証するための認証情報44aと、コマンドファイル44bを備えた記憶手段44と、制御手段45とを備え、制御手段45により親局装置21や子局装置20を認証し、また、親局装置21からのwebページを介した入力に応じ、コマンドファイル44bを参照して受信側ユニット4が備える制御手段48のコマンドを生成した上で、上述したサイレン管理手段31の送受信手段38aにより子局装置20との間で所定の認証を経た上でデータを送受信する。さらに、子局装置20から受信したサイレン装置3の制御状態は制御手段45によりwebページ上に反映する。
【0071】
一方、子局装置20は、制御用サーバ6との間で通信するための送受信手段46と、制御用サーバ6へのコマンドデータ送信に必要な認証情報47a、およびコマンドファイル47bを格納する記憶手段47と、サイレン管理手段48と、上述した制御手段48とを備え、制御用サーバ6からコマンドデータを受信すると送受信手段46がコマンドを生成し、このコマンドを制御手段48が実行してサイレン管理手段31によりサイレン装置3を制御する。また、サイレン装置3の制御情報がサイレン管理手段31により得られると、制御手段48は、コマンドファイル47bを参照して制御用サーバ6に制御情報を示すコマンドデータを送信する。
【0072】
したがってこの実施の形態においては、公衆回線網1のセキュリティを高めてコマンドデータ自体をそのまま送受信させることから、操作側ユニット2や受信側ユニット4の構成を比較的簡易にすることができる。また、webページを介することにより、親局装置21からの子局装置20のサイレン装置3の制御を直感的に把握することが容易になる。さらに、親局装置21を汎用のコンピュータで構成することができ、導入コストをより低く抑えることも可能になる。
【符号の説明】
【0073】
1 公衆回線網
2 操作側ユニット
3 サイレン装置
4 受信側ユニット
5 サイレン制御装置
6 制御用サーバ
7 メールボックス
8 電子メール送信手段
9 電子メール受信手段
10 無線通信網
11 制御手段
12 メール配送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆回線網に接続されてサイレン制御要求を送信可能な操作側ユニット、および、公衆回線網に接続され、予め設定されたサイレン制御コマンドを含む所定の制御データの受信に応じてサイレン装置に制御信号を出力する受信側ユニットを備えるサイレン制御装置と、
公衆回線網に接続されて前記操作側ユニットからのサイレン制御要求に応じて前記制御データを受信側ユニットに送信する制御用サーバとを有するサイレン制御システム。
【請求項2】
公衆回線網を介して接続される操作側ユニットと受信側ユニットを備え、操作側ユニットからのサイレン制御要求に基づいて受信側ユニットからサイレン装置に制御信号を出力可能で、
かつ、前記操作側ユニットは、公衆回線網を介して接続された制御用サーバにサイレン制御要求を送信可能に形成されるとともに、
前記受信側ユニットは、サイレン制御要求に応じて前記制御用サーバから送信される、予め設定されたサイレン制御コマンドを含む所定の制御用データを受信することによりサイレン装置に制御信号を出力するサイレン制御装置。
【請求項3】
前記操作側ユニットは、サイレン制御コマンドを含む受信側ユニット宛ての所定の電子メールを制御用サーバ内のメールボックスに送信可能な電子メール送信手段を備え、
前記受信側ユニットは、前記電子メールを制御用サーバから受信するとともに、電子メールを分析してサイレン制御コマンドを生成可能な電子メール受信手段を備える請求項2記載のサイレン制御装置。
【請求項4】
前記操作側ユニットと受信側ユニットは無線通信網を介して接続され、
かつ、前記受信側ユニットは、電子メールに含まれる操作側ユニットからの送信時刻と、電子メール受信時刻との差が所定の閾値を超えるときに当該電子メールに基づくサイレン装置への制御信号の出力を禁止する制御手段を備える請求項3記載のサイレン制御装置。
【請求項5】
請求項3または4記載のサイレン制御装置と、
前記制御用サーバとを有し、
かつ、前記制御用サーバは、前記電子メールをプッシュ型電子メール配送するメール配送手段を備えるサイレン制御システム。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−247826(P2012−247826A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116646(P2011−116646)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(304065189)阪国電機株式会社 (3)
【Fターム(参考)】