説明

サッカロミセス属酵母の検出用プライマーセットおよびその組合せ

【課題】サッカロミセス酵母種を、正確、迅速、かつ簡便に識別できるプライマーセットを提供する。
【解決手段】複数の特定の配列からなるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドからなるプライマーを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌスおよび/またはサッカロミセス・バヤヌスの検出に用いられるLAMP法プライマーセットからなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、サッカロミセス属酵母の検出用プライマーセットおよびその組合せに関し、より詳細には、サッカロミセス属酵母の検出用のLAMP法プライマーセットおよびPCR法プライマーセット並びにそれらの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
サッカロミセス属酵母は、パン製造の他、ビール、ワイン、日本酒、焼酎、ウィスキー等のアルコール飲料製造に広く用いられている。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)はエールのような上面発酵タイプのビール、ワイン、日本酒、サイダーのような果実酒等の醸造酒、また焼酎、ウィスキー等の蒸留酒製造に用いられる。サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)はワイン、シェリー酒、あるいは発泡性ワイン等の製造に用いられる。ピルスナータイプのビール製造に用いられる下面発酵酵母は、現在ではサッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)に分類されている(Kurtzman, C.P. & Fell, J.W. The Yeasts, A Taxonomic Study, 4th edition, 1998, Elsevier Science B.V., The Netherlands、Back, W.:Farbatlas und Handbuch der Geraenkebiologie, Teil I, 1994, Verlag Hans Carl, Nuernberg、Barnett, J.A. et al.:Yeasts, characteristics and identification, 3rd edition, 2000, Cambridge University Press, UK、清酒酵母・麹研究会:「清酒酵母の研究」2003, 新日本印刷, 東京)。このように製造に用いる酵母が適切な酵母かどうか把握するために、サッカロミセス属酵母の菌種を同定する技術は重要である。
【0003】
しかし、これらの酵母がろ過済みの酒類製品に残存したり、あるいは外部から混入した場合には、過剰に発酵して混濁を起こし、特徴的な臭いを生産し、刺激的な苦い味に変質させて製品品質に影響を与える(Back, W.:Farbatlas und Handbuch der Geraenkebiologie, Teil I, 1994, Verlag Hans Carl, Nuernberg、European Brewery Convention:ANALYTICA - MICROBIOLOGICA - EBC, 2nd ed. 2005 Fachverlag Hans Carl, Nuernberg)。
【0004】
また、サッカロミセス属酵母は清涼飲料、特に果汁飲料からも分離される事がある。これらの酵母が混入すると、グルコースやサッカロース等の糖から炭酸ガス、エタノール、不快な臭気を生成し、製品品質を大きく損ねる(Back, W.:Farbatlas und Handbuch der Geraenkebiologie, Teil II, 1999, Verlag Hans Carl, Nuernberg)。
【0005】
このようにサッカロミセス属酵母が製品中で増殖すると産業に与える影響が大きいために、これら酵母を迅速に検出・同定する技術は、品質管理上重要である。また製品から分離されたサッカロミセス属酵母が製造工程で使用していた酵母である場合には、製造工程上流からのリーク、ろ過工程不良等に原因があると考えられ、外部から混入した酵母であった場合には充填機の洗浄不良や配管中の溜まり等の原因が考えられる。従って、汚染があったときに製品から分離された酵母を同定する技術は、対処する目標を明確にするために重要である。
【0006】
しかし、サッカロミセス・パストリアヌス、サッカロミセス・セレビシェ、サッカロミセス・バヤヌスは分類学的に非常に近縁であり、サッカロミセス・パラドクサス、サッカロミセス・ミカタエ等の数種の酵母とともにSaccharomyces sensu strictoという分類学上のグループを形成している(Naumov, G.I. et al.:Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 2000, vol. 50, 1931-1942)。さらにサッカロミセス・パストリアヌスは、サッカロミセス・セレビシエとサッカロミセス・バヤヌスの交雑により形成した種であると考えられており、遺伝子レベル、染色体レベルで両者のハイブリッドであることが確認されている(Kielland-Brandt, M.C. et al.:Genetics of brewing yeast. The Yeast, 2nd edn, vol. 6, pp223-254, Edited by Wheals, et al., Academic Press, New York、Ryu, S.-L. et al.:Yeast, 1996, vol.12, 757、Tamai, Y. et al.:Yeast, 1998, vol. 14, 923-933、Tamai, Y. et al.:Yeast, 2000, vol. 16, 1335-1343)。伝統的な酵母の同定法としては形態学的、生理学的、生化学的手法が用いられ、特に様々な糖の資化能、発酵能を調査する事が多いが、Saccharomyces sensu strictoに属する菌種は表現型的に互いに非常に似通っているため、このような伝統的な方法では区別する事は難しい(Naumova, E.S. et al.:Antonie van Leeuwenhoek, 2003, vol. 83, 155-166)。これらの株を見分ける分子生物学的なアプローチとしては、PCRフィンガープリンティング、DNA/DNA再結合キネティクス、核型解析、ミトコンドリアDNA制限酵素切断解析、rRNA遺伝子塩基配列解析、rDNA制限酵素切断解析、UP−PCR、アイソザイム解析、PCR−温度勾配ゲル電気泳動、リアルタイムPCR等が知られている。
【0007】
これまでに、サッカロミセス属酵母のFLO1遺伝子の一部をPCR法で増幅させる、あるいはrRNA遺伝子の一部をPCR法で増幅させ、RFLPでサッカロミセス属酵母かそれ以外の属の酵母か、あるいは醸造用酵母か非醸造用酵母か識別する方法が開発された(特開平11−56366号公報(特許文献1))。また、下面発酵ビール酵母の26S rRNA遺伝子と5S rRNA遺伝子とのスペーサー領域の配列が2種類存在するという知見に基づいて、それぞれに対して特異的なPCRプライマーセットが開発された(特開2001−8684号公報(特許文献2))。更に、下面発酵酵母の検出のために、Lg−FLO1のN末端部分と酵母第IX番染色体の遺伝子が連結したLg−FLO1類似遺伝子に特異的なプライマーが開発された(特開2002−233382号公報(特許文献3))。
【0008】
しかし、PCRやリアルタイムPCRは高度な温度制御や蛍光観察が必要なため、高価な機器を必要とする。またPCRは反応後に電気泳動、染色、写真撮影等が必要であり、遺伝子増幅工程後の結果判定までに時間がかかる。さらにRAPD PCR、増幅産物の制限酵素処理、塩基配列解析、アイソザイム解析、温度勾配ゲル電気泳動等は通常のPCR以上に時間と煩雑な操作が必要であり、日々の微生物検査業務の中で行うことには問題があった。
【0009】
また、サッカロミセス・パストリアヌス検出用LAMP法プライマーセットが開発されているが(WO2005/093059号公報(特許文献4))、検出精度の点で更に改善の余地を残すものであった。
【特許文献1】特開平11−56366号公報
【特許文献2】特開2001−8684号公報
【特許文献3】特開2002−233382号公報
【特許文献4】WO2005/093059号公報
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、今般、下面発酵酵母に特異的な遺伝子として報告されているFSY1遺伝子の塩基配列(GenBank Accession No. AJ250992; Goncalves, P. M. et al., J. Bacteriol., 2000, vol.19, 5628-5630)を元にLAMP法プライマーセットおよびPCR法プライマーセットを設計し、サッカロミセス属酵母の菌種別検出を試みた。その結果、作製したプライマーセットが下面発酵酵母のみならずサッカロミセス・バヤヌスとも交差反応することを見いだした。
【0011】
本発明者らはまた、サッカロミセス・セレビシエのCYS3遺伝子のプロモーター領域の塩基配列(GenBank Accession No. L05146)を元にLAMP法プライマーセットおよびPCR法プライマーセットを設計し、サッカロミセス属酵母の菌種別検出を試みた。その結果、作製したプライマーセットがサッカロミセス・セレビシエのみならずサッカロミセス・パストリアヌスとも交差反応することを見いだした。
【0012】
本発明者らは更に、FSY1遺伝子を元に作製したプライマーセットと、CYS3遺伝子プロモーター領域を元に作製したプライマーセットとを組み合わせて使用することにより、サッカロミセス属酵母を菌種別に、具体的には、サッカロミセス・パストリアヌスと、サッカロミセス・セレビシエと、サッカロミセス・バヤヌスとを区別して、正確に判別できることを見いだした。
【0013】
本発明の第一の態様によれば、下記ポリヌクレオチドを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)の検出に用いられるLAMP法プライマーセットが提供される:
配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(FIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(F3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(BIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号4の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(B3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【0014】
本発明の第一の態様によれば、また、配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドと、配列番号12の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドとを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)の検出に用いられるPCR法プライマーセットが提供される。
【0015】
本発明の第二の態様によれば、下記ポリヌクレオチドを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の検出に用いられるLAMP法プライマーセットが提供される:
配列番号6の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(FIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号7の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(F3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号8の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(BIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号9の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(B3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【0016】
本発明の第二の態様によれば、また、配列番号13の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドと、配列番号14の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドとを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の検出に用いられるPCR法プライマーセットが提供される。
【0017】
本発明によるプライマーセットによれば、サッカロミセス属酵母を菌種レベルで正確に検出することができる。また、本発明によるプライマーセットは、LAMP法による核酸増幅反応に使用することができ、増幅産物の有無により対象菌種を検出することができる。従って、本発明によるプライマーセットによれば、サッカロミセス属酵母を、菌種レベルで、正確、迅速、かつ簡便に識別することができる。
【0018】
サッカロミセス属酵母は、酒類および清涼飲料などの各種飲料を混濁させる原因菌であり、これらの菌の存在・不存在は各種飲料の品質管理の指標となりうる。従って、本発明によるプライマーセットは、各種飲料(特に、酒類および清涼飲料)の品質管理や環境試料の検査に有用である。
【発明の具体的説明】
【0019】
プライマーおよびプライマーセット
本発明によるLAMP法プライマーセットは、FIP、F3、BIP、およびB3の4種類のプライマーからなり、これらのプライマーは標的ヌクレオチド配列の6つの領域に対応している。具体的には、標的塩基配列について、3’末端側から5’末端側に向かって順番にF3c、F2c、F1c、B1、B2、B3という領域をそれぞれ規定し、この6領域に対し、4種類のプライマー、すなわちFIP、F3、BIPおよびB3を作製する。ここで、F3c、F2c、F1cの各領域に相補的な領域はそれぞれF3、F2、F1であり、またB1、B2、B3の各領域に相補的な領域はそれぞれB1c、B2c、B3cである。
【0020】
FIPは、標的配列のF2c領域と相補的なF2領域を3’末端側にもち、5’末端側に標的遺伝子のF1c領域と同じ配列を持つように作製されたプライマーである。必要ならば、FIPプライマーのF1cとF2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
【0021】
F3は、標的遺伝子のF3c領域と相補的なF3領域をもつように作製されたプライマーである。
【0022】
BIPは、標的配列のB2c領域と相補的なB2領域を3’末端側にもち、5’末端側に標的遺伝子のB1c領域と同じ配列を持つように作製されたプライマーである。必要ならば、BIPプライマーのB1cとB2の間に制限酵素部位を導入することもできる。
【0023】
B3は、標的遺伝子のB3c領域と相補的なB3領域をもつように作製されたプライマーである。
【0024】
FIPおよびBIPプライマーに制限酵素部位が含まれる場合、LAMP法による核酸増幅反応後に増幅産物を制限酵素で処理することによって、電気泳動後に1つのバンドとして観察することができる。この場合、もし標的配列に制限酵素部位があれば、プライマーに人為的に制限酵素部位を導入しなくてもよい。
【0025】
本発明によるLAMP法プライマーセットの実施に当たっては、核酸の増幅反応を加速するためにループプライマー(LFプライマーまたはLBプライマー)を1種類あるいは2種類追加してもよい。ループプライマーをF1−F2間の領域、あるいはB1−B2間の領域にアニールするように設計し、LAMP法反応系に追加して使用すると、これらのプライマーが核酸増幅工程で利用されていないループ部分に結合することにより、全てのループ部分を起点として核酸反応が進み、核酸増幅反応が加速される(例えば、特開2002−345499号公報参照)。
【0026】
具体的には、第一の態様のLAMP法プライマーセットは、配列番号5の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LB)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを、ループプライマーとして、更に含んでいてもよい。
【0027】
第二の態様のLAMP法プライマーセットは、配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LB)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを、ループプライマーとして、更に含んでいてもよい。
【0028】
本発明では、配列番号1〜14の塩基配列で表されるポリヌクレオチドのみならず、配列番号1〜14の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチド(以下、「相同ポリヌクレオチド」と言うことがある)も、プライマーとして用いることができる。なお、これらのポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドもプライマーとして用いることができることはいうまでもない。
【0029】
本明細書において「ハイブリダイズする」とは、標的ポリヌクレオチドにハイブリダイズし、標的ポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドには、実質的にはハイブリダイズしないことを意味する。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で実施することができる。ここで「ストリンジェントな条件」は、プライマー配列とその相補鎖との二重鎖のTm(℃)および必要な塩濃度などに依存して決定でき、プローブとなる配列を選択した後にそれに応じたストリンジェントな条件を設定することは当業者に周知の技術である(例えば、J. Sambrook, E. F. Frisch, T. Maniatis; Molecular Cloning 2nd edition,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)等参照)。ストリンジェントな条件としては、ハイブリダイゼーションに通常用いられる適切な緩衝液中で、ヌクレオチド配列によって決定されるTmよりわずかに低い温度(例えば、Tmよりも0〜約5℃低い温度)においてハイブリダイゼーション反応を実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件としてはまた、ハイブリダイゼーション反応後の洗浄を高濃度低塩濃度溶液で実施することが挙げられる。ストリンジェントな条件の例としては、6×SSC/0.05%ピロリン酸ナトリウム溶液中で、37℃(約14塩基のオリゴヌクレオチドについて)、48℃(約17塩基のオリゴヌクレオチドについて)、55℃(約20塩基のオリゴヌクレオチドについて)、60℃(約23塩基のオリゴヌクレオチドについて)の洗浄条件が挙げられる。
【0030】
相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、少なくとも10塩基である。
【0031】
LAMP法プライマーでは、FIPおよびBIPの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、好ましくは、少なくとも30塩基(例えば、30〜60塩基)、より好ましくは少なくとも42塩基(例えば、42〜47塩基)とすることができる。また、F3、B3、LF、およびLBの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、好ましくは、少なくとも12塩基(例えば、12〜30塩基)、より好ましくは、少なくとも20塩基(例えば、20〜28塩基)とすることができる。
【0032】
PCR法プライマーでは、配列番号11〜14の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドのヌクレオチド長は、好ましくは、少なくとも15塩基(例えば、15〜30塩基)、より好ましくは、少なくとも17塩基(例えば、17〜26塩基)とすることができる。
【0033】
相同ポリヌクレオチドは、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個、好ましくは少なくとも15個、より好ましくは少なくとも18個、特に好ましくは少なくとも20個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドであることができる。
【0034】
配列番号1〜14の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチドの例を示すと以下の通りである。
【0035】
・配列番号1の塩基配列で表されるFIPの相同ポリヌクレオチド:配列番号1の連続する少なくとも38個(38〜46個)、より好ましくは、少なくとも42個(42〜46個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で60塩基、好ましくは最大で53塩基、より好ましくは最大で47塩基とすることができる)。
【0036】
・配列番号2の塩基配列で表されるF3の相同ポリヌクレオチド:配列番号2の連続する少なくとも19個(19〜22個)、より好ましくは、少なくとも20個(20〜22個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で28塩基、より好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0037】
・配列番号3の塩基配列で表されるBIPの相同ポリヌクレオチド:配列番号3の連続する少なくとも36個(36〜42個)、より好ましくは、少なくとも38個(38〜42個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で60塩基、好ましくは最大で53塩基、より好ましくは最大で47塩基とすることができる)。
【0038】
・配列番号4の塩基配列で表されるB3の相同ポリヌクレオチド:配列番号4の連続する少なくとも19個(19〜23個)、より好ましくは、少なくとも20個(20〜23個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で28塩基、より好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0039】
・配列番号5の塩基配列で表されるLBの相同ポリヌクレオチド:配列番号5の連続する少なくとも20個(20〜28個)、より好ましくは、少なくとも23個(23〜28個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基とすることができる)。
【0040】
・配列番号6の塩基配列で表されるFIPの相同ポリヌクレオチド:配列番号6の連続する少なくとも38個(38〜47個)、より好ましくは、少なくとも42個(42〜47個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で60塩基、好ましくは最大で53塩基とすることができる)。
【0041】
・配列番号7の塩基配列で表されるF3の相同ポリヌクレオチド:配列番号7の連続する少なくとも18個(18〜20個)、より好ましくは、少なくとも19個(19〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で28塩基、より好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0042】
・配列番号8の塩基配列で表されるBIPの相同ポリヌクレオチド:配列番号8の連続する少なくとも36個(36〜42個)、より好ましくは、少なくとも38個(38〜42個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で60塩基、好ましくは最大で53塩基、より好ましくは最大で47塩基とすることができる)。
【0043】
・配列番号9の塩基配列で表されるB3の相同ポリヌクレオチド:配列番号9の連続する少なくとも18個(18〜20個)、より好ましくは、少なくとも19個(19〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で28塩基、より好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0044】
・配列番号10の塩基配列で表されるLBの相同ポリヌクレオチド:配列番号10の連続する少なくとも18個(18〜20個)、より好ましくは、少なくとも19個(19〜20個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で28塩基、より好ましくは最大で25塩基とすることができる)。
【0045】
・配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチド:配列番号11の連続する少なくとも15個(例えば、15〜26個)、より好ましくは、少なくとも17個(例えば、17〜26個)、特に好ましくは、少なくとも21個(例えば、21〜26個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で28塩基とすることができる)。
【0046】
・配列番号12の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチド:配列番号12の連続する少なくとも15個(例えば、15〜21個)、より好ましくは、少なくとも17個(例えば、17〜21個)、特に好ましくは、少なくとも18個(例えば、18〜21個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で26塩基、より好ましくは最大で24塩基とすることができる)。
【0047】
・配列番号13の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチド:配列番号13の連続する少なくとも15個(例えば、15〜18個)、より好ましくは、少なくとも17個(例えば、17〜18個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で26塩基、より好ましくは最大で21塩基とすることができる)。
【0048】
・配列番号14の塩基配列で表されるポリヌクレオチドの相同ポリヌクレオチド:配列番号14の連続する少なくとも15個(例えば、15〜17個)、より好ましくは、少なくとも16個(例えば、16〜17個)のヌクレオチド(1または数個の変異が導入されていてもよい)を含んでなるポリヌクレオチド(ヌクレオチド長は最大で30塩基、好ましくは最大で26塩基、より好ましくは最大で21塩基とすることができる)。
【0049】
相同ポリヌクレオチドは、また、それぞれ、対応する塩基配列と少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の同一性を有するポリヌクレオチドであることができる。同一性の数値は、当業界において周知のアルゴリズムに従って算出することができ、例えば、BLAST(http://www.ddbj.nig.ac.jp/search/blast-j.html)を使用して同一性の数値を算出することができる。
【0050】
相同ポリヌクレオチドは、更に、それぞれ、配列番号1〜14の塩基配列に1または数個の変異が導入された改変塩基配列からなり、かつ配列番号1〜14の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドであることができる。
【0051】
ここで「変異」は、同一または異なっていてもよく、置換、欠失、挿入、および付加から選択でき、好ましくは、ある1個の塩基を他の1個の塩基に置換する「一塩基置換」、ある1個の塩基を欠失させる「一塩基欠失」、ある1個の塩基を挿入する「一塩基挿入」、およびある1個の塩基を付加する「一塩基付加」から選択できる。また、変異の個数は、1〜6個、1、2、3、または4個、1または2個、あるいは1個とすることができる。
【0052】
本発明において「ポリヌクレオチド」とはDNA、RNA、およびPNA(peptide nucleic acid)を含む意味で用いられる。
【0053】
本発明によるプライマーセット等を構成するポリヌクレオチドは、例えばホスファイト・トリエステル法(Hunkapiller,M.et al., Nature, 310,105, 1984)等の通常の方法に準じて、核酸の化学合成を行うことにより調製してもよいし、検出対象の菌株の全DNAを取得し、本明細書に開示されるヌクレオチド配列に基づいて目的のヌクレオチド配列を含むDNA断片をPCR法等で適宜取得してもよい。
【0054】
本発明によるLAMP法プライマーセットは、それぞれ単独で使用しても、適宜組み合わせて使用してもよい。本発明によるプライマーセットを組み合わせて実施することにより、サッカロミセス・パストリアヌスと、サッカロミセス・セレビシエと、サッカロミセス・バヤヌスとをより正確に区別して検出することが可能となる。
【0055】
本発明による第一の態様のプライマーセットは、サッカロミセス・パストリアヌスとサッカロミセス・バヤヌスを検出することができる。本発明による第二の態様のプライマーセットは、サッカロミセス・パストリアヌスとサッカロミセス・セレビシエを検出することができる。サッカロミセス・パストリアヌス、サッカロミセス・バヤヌス、およびサッカロミセス・セレビシエを、菌種ごとに正確に検出したい場合には、本発明による第一の態様のプライマーセットと本発明による第二の態様のプライマーセットとを組み合わせて使用することが好ましい。この場合、本発明による第一の態様のプライマーセットと、第二の態様のプライマーセットとの両方で増幅反応が認められた場合には、試料中にサッカロミセス・パストリアヌスが存在すると判断することができる。本発明による第一の態様のプライマーセットに増幅反応が認められ、本発明による第二の態様のプライマーセットに増幅反応が認められなかった場合には、試料中にサッカロミセス・バヤヌスが存在すると判断することができる。本発明による第二の態様のプライマーセットに増幅反応が認められ、本発明による第一の態様のプライマーセットに増幅反応が認められなかった場合には、試料中にサッカロミセス・セレビシエが存在すると判断することができる。本発明による第一の態様のプライマーセットと本発明による第二の態様のプライマーセットのいずれにも増幅反応が認められなかった場合には、試料中にサッカロミセス・パストリアヌス、サッカロミセス・バヤヌス、サッカロミセス・セレビシエのいずれも存在しないと判断することができる。
【0056】
サッカロミセス・パストリアヌス、サッカロミセス・セレビシェ、サッカロミセス・バヤヌスは、それぞれに特異的なプライマーを用いることにより検出できるが、その場合、1試料に対して3つのプライマーセットによる検査が必要となる。しかし、本発明による第一の態様のプライマーセットと第二の態様のプライマーセットとを組合せて用いれば、1試料に対して2つのプライマーセットを用いることにより3菌種を識別することができ、1試料あたりの試薬使用量を減らすことができる。
【0057】
また、本発明による第二の態様のプライマーセットは、サッカロミセス・パストリアヌス検出用プライマーセットと組み合わせることで、より正確にサッカロミセス・パストリアヌスを判定することが出来る。サッカロミセス・パストリアヌス用プライマーはゲノム構造が均一でないサッカロミセス・バヤヌスと交差反応することがある。本発明による第二の態様のプライマーセットは、サッカロミセス・パストリアヌスに含まれるサッカロミセス・セレビシェのゲノム配列と反応するが、サッカロミセス・バヤヌスはこのサッカロミセス・セレビシェのゲノム配列を持たないため、本発明による第二の態様のプライマーセットとは反応しない。この場合、サッカロミセス・パストリアヌス検出用プライマーセットと、本発明による第二の態様のプライマーセットの両方で増幅反応が認められた場合には、試料中にサッカロミセス・パストリアヌスが存在すると判断することができる。サッカロミセス・パストリアヌス検出用プライマーで増幅反応が起こり、本発明による第二の態様のプライマーセットで増幅反応が認められない場合には、試料中にサッカロミセス・バヤヌスが存在すると判断することができる。
【0058】
本発明によるプライマーセットは、また、単独で、あるいは組み合わせて、キットの形態で提供することができる。従って、本発明によれば、第一の態様のプライマーセット、第二の態様のプライマーセット、またはこれらの組み合わせからなる、サッカロミセス属酵母の検出キットが提供される。
【0059】
LAMP法プライマーセットを含む本発明によるキットは、LAMP法による核酸増幅反応の実施に必要な試薬(例えば、Bst DNAポリメラーゼ、反応用試薬混合液)や器具(例えば、反応用チューブ)を含んでいてもよい。
【0060】
PCR法プライマーセットを含む本発明によるキットは、PCR法による核酸増幅反応の実施に必要な試薬(例えば、DNAポリメラーゼ、精製水)や器具(例えば、反応用チューブ)を含んでいてもよい。
【0061】
本発明によるプライマーセットを用いて核酸増幅反応を実施すると、酒類や清涼飲料の品質低下の原因となるサッカロミセス属酵母を菌種レベルで正確に識別することができる。従って、本発明によるプライマーセットおよびキットは、酒類(例えば、ビール、発泡酒、ワイン、果実酒、日本酒)および/または清涼飲料(例えば、果汁飲料)の品質管理や、環境試料(例えば、原料用水)の検査に用いることができる。
【0062】
サッカロミセス・パストリアヌス、サッカロミセス・セレビシエ、およびサッカロミセス・バヤヌスは、ビールおよび発泡酒の製造工程あるいは最終製品に、品質劣化の原因酵母種として見いだされることがある。従って、本発明によるプライマーセットおよびそれらの組合せは、好ましくは、ビールおよび発泡酒の品質管理に用いることができる。
【0063】
サッカロミセス・セレビシエおよびサッカロミセス・バヤヌスは、ワインの製造工程あるいは最終製品に、品質劣化の原因酵母種として見いだされることがある。従って、本発明によるプライマーセットおよびそれらの組合せは、好ましくは、ワインの品質管理に用いることができる。
【0064】
サッカロミセス・セレビシエおよびサッカロミセス・バヤヌスは、清涼飲料(特に、果汁飲料)の製造工程あるいは最終製品に、品質劣化の原因酵母種として見いだされることがある。従って、本発明によるプライマーセットおよびそれらの組合せは、好ましくは、清涼飲料(特に、果汁飲料)の品質管理に用いることができる。
【0065】
LAMP法による核酸増幅反応
本発明によるLAMP法プライマーセットは、LAMP法による核酸増幅反応のプライマーとして用いることができる。本発明によるプライマーセットはまた、LAMP法のみならず、LAMP法を改良した核酸増幅反応のプライマーとしても用いることができる。LAMP法の原理およびそれを利用した核酸増幅方法は周知であり、LAMP法による核酸増幅反応の実施に当たっては、例えば、WO00/28082号公報やNotomi T. et al., Nucleic Acids Research, 28(12),e63(2000)の開示を参照することができる。
【0066】
LAMP法による核酸増幅反応は、市販のLAMP法遺伝子増幅試薬キットに従って実施することができるが、例えば、サンプルのDNA、プライマー溶液、および市販のLAMP法遺伝子増幅試薬キット(例えば、栄研化学社製Loopamp DNA増幅キット)で提供される試薬を、キットに添付されている説明書に従って混合して一定温度(60〜65℃)に保ち、一定時間(標準で1時間)反応させることにより実施できる。
【0067】
LAMP法による核酸増幅反応は、以下のような工程を経て実施することができる。
(i)鎖置換型DNAポリメラーゼの働きにより、FIPのF2領域の3’末端を起点として鋳型DNAと相補的なDNA鎖が合成される。
(ii)FIPの外側に、F3プライマーがアニールし、その3’末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されているFIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(iii)F3プライマーから合成されたDNA鎖と鋳型DNAが二本鎖となる。
(iv)FIPから先に合成されたDNA鎖は、F3プライマーからのDNA鎖によって剥がされて一本鎖DNAとなるが、このDNA鎖は、5’末端側に相補的な領域F1c、F1をもち、自己アニールを起こし、ループを形成する。
(v)上記(iv)の過程でループを形成したDNA鎖に対し、BIPがアニールし、このBIPの3’末端を起点として相補的なDNAが合成される。この過程でループが剥がされて伸びる。さらに、BIPの外側にB3プライマーがアニールし、その3’末端を起点として鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって、先に合成されたBIPからのDNA鎖を剥がしながらDNA合成が伸長する。
(vi)上記(v)の過程で二本鎖DNAが形成される。
(vii)上記(v)の過程で剥がされたBIPから合成されたDNA鎖は両端に相補的な配列を持つため、自己アニールし、ループを形成してダンベル様の構造となる。
(viii)上記ダンベル構造のDNA鎖を起点として、FIP次いでBIPのアニ−リングを介して所望DNAの増幅サイクルが行われる。
【0068】
LAMP法による核酸増幅反応は、上記の工程を適宜改変して実施できることは当業者に自明であろう。本発明によるプライマーセットはそのような改変された方法にも用いることができる。
【0069】
本発明によるLAMP法プライマーセットは、約60〜約65℃(例えば65℃)においてアニーリングと同時にDNA鎖の合成も起こす。アニ−リング反応およびDNA鎖合成により約1時間反応を行うことにより10〜1010倍に核酸を増幅させることができる。
【0070】
本発明によるLAMP法プライマーセットをLAMP法による核酸増幅反応の条件の下で試料核酸と反応させると、検出対象の菌株の中のターゲット領域が増幅される。このような増幅反応が起こると、副産物として形成されるピロリン酸マグネシウムの影響で反応液が白濁するため、この濁度に基づき増幅の有無が目視により判定できる。増幅の有無は、濁度測定装置を用いて濁度を光学的に測定してもよく、また、アガロースゲル電気泳動法などを利用してDNA断片の有無を確認し検出してもよい。
【0071】
核酸増幅が観察されるならば、標的塩基配列が存在することを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的塩基配列が不存在であることを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陰性(−)を表す。
【0072】
PCR法による核酸増幅反応
本発明によるPCR法プライマーセットは、PCR法、RT−PCR法、リアルタイムPCR法、in situ PCR等の核酸増幅法を利用して、サッカロミセス属酵母の識別に用いることができる。
【0073】
核酸増幅物が観察されるならば、標的塩基配列が存在することを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陽性(+)を表す。逆に、核酸増幅が観察されない場合には、標的塩基配列が不存在であることを意味し、プライマーセットの検出対象である菌種陰性(−)を表す。
【0074】
PCR法では、アガロースゲル電気泳動など周知の方法に従って核酸増幅物を検出することができる。また、リアルタイムPCR法では、インターカレーターや蛍光標識プローブを使用し、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計とが一体化された装置において、核酸増幅物を経時的に検出することができる。
【0075】
検出対象試料とその調製
本発明によるプライマーセットおよびキットの検出の対象となる試料としては、ビール、発泡酒、ワインなどの酒類;サイダー、ラムネ、炭酸水などの清涼飲料;原料用に採取された水等の環境試料;酒類や清涼飲料等の製造工程から採取された半製品などが挙げられる。
【0076】
これらをLAMP法やPCR法の試料として用いる場合には、試料中に存在する菌の濃縮、分離、および培養、菌体からの核酸分離、核酸の濃縮などの操作を前処理として実施してもよい。試料中に存在する菌の濃縮や分離の方法としては、ろ過、遠心分離などが挙げられ、適宜選択できる。また試料から濃縮、分離した菌を、さらに培養して菌数を増やしてもよい。培養には、対象とする酵母株の増殖に適切な寒天固体培地や液体培地を用いることができ、また対象とする酵母菌株を選択するために硫酸銅などの薬剤を添加してもよい。飲料試料や環境試料などに存在する菌体、あるいは培養した菌体から核酸を遊離させるためには、例えば、市販のキットを使用する方法や、アルカリ溶液などによって菌体を処理し、100℃での加熱により菌体から核酸を遊離させる方法を選択することができる。また、核酸を更に精製する必要があれば、フェノール/クロロホルム処理、エタノール沈殿や遠心等により核酸の精製を行い、最終的にTE緩衝液などに再溶解させ鋳型DNAとして試験に供してもよい(European Brewery Convention:ANALYTICA - MICROBIOLOGICA - EBC, 2nd ed. 2005 Fachverlag Hans Carl, Nuernberg、Rolfsら:PCR - Clinical diagnostics and research, Springer-Verlag, Berlin, 1992、大嶋泰治ら:蛋白 核酸 酵素, vol. 35, 2523-2541, 1990)。
【0077】
本発明によるプライマーセットおよびキットを用いたサッカロミセス属酵母の検出は、例えば、以下のように実施することができる。
【0078】
まず、試料中に存在すると考えられるサッカロミセス属酵母を適切な培地で増菌培養する。次いで、寒天培地上に形成されたコロニーからDNAを分離し、このDNAに対して本発明によるプライマーセットを用いたLAMP法またはPCR法を実施し、サッカロミセス属酵母の特定遺伝子領域を増幅する。遺伝子増幅産物の存在は、プライマーセットが標的とする菌種の存在を示す。
【実施例】
【0079】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0080】
実施例1:LAMP法プライマーセットによるサッカロミセス酵母の検出
(a)ゲノムDNA抽出法
寒天平板培地上で培養した菌体をかき取り、滅菌蒸留水に懸濁した。この懸濁液を遠心分離(15000rpm、5分間)し、上澄みを捨てた。沈殿した菌体に再度滅菌蒸留水を添加、懸濁し、遠心分離した。上澄みを捨て、得られた菌体にPrepMan Ultra(アプライドバイオシステムズ社製)の溶液100μlを添加し、95℃、10分間加熱した。その後、15000rpm、1分間遠心分離し、上澄みをゲノムDNA溶液として使用した。あるいは洗浄した菌体に0.1N NaOH溶液を100μl添加し、95℃、10分間加熱した。その後、1M Tris緩衝液(pH7.0)を用いて中和し、上澄みをゲノムDNA溶液として使用した。
【0081】
(b)LAMP法プライマー
以下の検出用プライマーを、富士通システムソリューションズ社のeGenome Order(http://genome.e-mp.jp/index.html)、あるいはそれと同等の方法で化学合成し、TE緩衝液(pH8.0)で100μMの濃度になるように溶解した。これらの溶液を、FIP、BIPプライマー:16μM、F3、B3プライマー:2μM、LF、LBプライマー:8μMとなるように混合し、希釈した。
[LAMP法プライマーセットLGF1LB1]
FIP: CTGTCGTGCGAAGCAACGTCTGTGAAAGAAGAAGGCAATAAAATCG (配列番号1)
F3: ACGTCTGGAAAAGACTAAGAGA (配列番号2)
BIP: GTCCGTGTTCCACGTAACCGCCCAGTTAATTGACCCAGACCA (配列番号3)
B3: TGGACATGTAATACATGATGGCA (配列番号4)
LB: CGTGCTTTGGTATATTCTTGTATGATGA (配列番号5)
[LAMP法プライマーセットSCC1LB1]
FIP: CCTCTTCCAGTTCTTGACTCTTTTCCTAAGATGAAAGTGCCGGGAGA (配列番号6)
F3: ACGAAGATGAGAAAGAGGCG (配列番号7)
BIP: TGACAGCAAGGAGAAGAGCACCCCTCGTTGTTTTCCTCCTCA (配列番号8)
B3: GTGCTGTATGCTCGTTTTCG (配列番号9)
LB: GAGCAAGGGGACGAAGGTGA (配列番号10)
【0082】
(c)LAMP増幅反応溶液調製
LAMP法のための遺伝子増幅試薬キットとして、栄研化学社製Loopamp DNA増幅キットを使用した。反応用チューブに、ゲノムDNA溶液:2.5μl、プライマー溶液:2.5μl、2倍濃度反応用緩衝液:12.5μl、Bst DNAポリメラーゼ:1μl、滅菌水:6.5μlを添加し、全量25μlの反応液を調製した。
【0083】
(d)LAMP反応
LAMP反応には、テラメックス社製リアルタイム濁度計LA−200、あるいは栄研化学社製LA−320Cを使用した。反応チューブをセットし、65℃一定(ボンネットは75℃)で反応させ、その間の濁度変化を6秒毎に計測した。濁度が上昇するものを陽性、濁度の上昇が認められないものを陰性とした。
【0084】
(e)プライマーの評価
LGF1LB1を使った場合には、下面発酵酵母以外にサッカロミセス・バヤヌスからも遅れて増幅が見られた。SCC1LB1を使った場合には、サッカロミセス・セレビシエとサッカロミセス・パストリアヌスからも増幅が見られた。
【0085】
このようにLGF1LB1とSCC1LB1は1菌種にのみ特異的なプライマーとは言えないが、両者を組み合わせると、SCC1LB1が陽性でLGF1LB1が陰性の場合はサッカロミセス・セレビシエと、SCC1LB1が陰性でLGF1LB1が遅れて陽性になった場合はサッカロミセス・バヤヌスと、SCC1LB1とLGF1LB1の両者が陽性の場合はサッカロミセス・パストリアヌスと、それぞれ判定できる。
【0086】
表1:各種サッカロミセス属酵母標準株を用いたプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応80分以内に増幅なし)
【表1】

表2:各種酵母標準株およびビール醸造酵母を用いたプライマーの評価(マス内の数字:増幅が起こるまでの反応時間、−:反応80分以内に増幅なし)
【表2】

【0087】
実施例2:PCR法プライマーによるサッカロミセス酵母の検出
(a)PCR法プライマー
LAMP法プライマーセットLGF1LB1の設計の元になった塩基配列からPCR法用のFSYプライマーセットを、LAMP法プライマーセットSCC1LB1の設計の元になった塩基配列からPCR用のCYSプライマーセットを、それぞれ設計し、各種サッカロミセス属酵母で評価した。
【0088】
PCR法にはタカラバイオ社製Ex Taqを用いた。PCRに用いた各プライマーの塩基配列は次の通りである。
[FSYプライマーセット(増幅産物:約350bp)]
FSY3:GGTATATTCTTGTATGATGATTGGTC (配列番号11)
FSY5:GCATATGATCCAAAAGCCATG (配列番号12)
[CYSプライマーセット(増幅産物:約420bp)]
CYS3S3:GTCAAGAACTGGAAGAGG (配列番号13)
CYS3S4:GTCCTGGTAGCGATTGT (配列番号14)
【0089】
これらの試薬をタカラバイオ社製Ex Taqの説明書に従って混合し(全量50μl)、サーマルサイクラーにセットして94℃・30秒、50℃・30秒、72℃・1分の温度プログラムを25回繰り返してPCR反応を実施した。
【0090】
その結果、FSYプライマーセットを使用した場合には、サッカロミセス・バヤヌスとサッカロミセス・パストリアヌスに、CYSプライマーセットを使用した場合には、サッカロミセス・セレビシエとサッカロミセス・パストリアヌスに、それぞれ予想された分子量のバンドが出現し、PCR法プライマーセットもLAMP法プライマーセットと同様の検出特性を示す事が判明した。
【0091】
表3:各種サッカロミセス属酵母標準株を使ったプライマーの評価(+:増幅あり、−:増幅なし)
【表3】

【0092】
実施例3:特許文献にあるプライマーの評価
(a)特許文献のプライマー
土屋らの特許文献(WO2005/093059号公報)に記載されていた以下のサッカロミセス属検出用プライマーセット(SSC1LB1)および下面発酵酵母検出用プライマーセット(SBFY1LF1LB1)を、実施例1(b)と同様にLAMP法用プライマー溶液を調製した。サッカロミセス属検出用プライマーセット(SSC1LB1)はrRNA遺伝子のD2領域を、下面発酵酵母検出用プライマーセット(SBFY1LF1LB1)はメリビアーゼ遺伝子を標的としている。
[サッカロミセス属検出用プライマーセット(SSC1LB1)]
FIP: TGCGAGATTCCCCTACCCCAGACATGGTGTTTTGTGCC(配列番号15)
F3: AGACCGATAGCGAACAAGTA (配列番号16)
BIP: CTGTGGGAATACTGCCAGCTGGCCGTGTTTCAAGACGGGCGG(配列番号17)
B3: CTTGGTCCGTGTTTCAAGAC(配列番号18)
LB: CAAGGATGCTGGCATAATGGTT (配列番号19)
[下面発酵酵母検出用プライマーセット(SBFY1LF1LB1)]
FIP: GCAATTGCTCACTGACGTCGCACACCCCTCAAATGGGTTGG (配列番号20)
F3: CCGAGTTACAATGGCCTTGG(配列番号21)
BIP: ACCGCTGACCGGATTTCTGAAAACTAGACCAGCAGTCATCCA(配列番号22)
B3: CCTTGTCTGCAACGAGTGT (配列番号23)
LF: GGCAAATGTGTTCCAATTGTC (配列番号24)
LB: GGACTAAAGGATTTGGGTTACAC(配列番号25)
【0093】
実施例1(c)および(d)の記載に従って、上記プライマーセットを用いて、LAMP法により各種菌株の検出を行った。結果は図1および図2に示される通りであった。
【0094】
(b)プライマーの評価
その結果、SSC1LB1は試験したサッカロミセス属酵母のほとんどの菌種と反応し、サッカロミセス属酵母の中での識別は出来ないことが分かった。また、SBFY1LF1LB1は下面発酵酵母以外にサッカロミセス・バヤヌスと反応した。SBFY1LF1LB1は下面発酵酵母のメリビアーゼ遺伝子から設計されているが、設計に使用された領域はサッカロミセス・バヤヌスのゲノム中にも96%相同性がある塩基配列が存在していたため、交差反応したと考えられた。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】サッカロミセス属検出用プライマーセット(SSC1LB1)の検出対象菌種への反応特異性を示した図である。使用菌株は次の通りである。サッカロミセス・セレビシエNBRC10217、サッカロミセス・バヤヌスNBRC11022、サッカロミセス・パストリアヌスNBRC11024、NBRC11023、NBRC10610、サッカロミセス・セレビシエ・ディアスタティカスDSM70487、サッカロミセス・パラドクサスNBRC10609、サッカロミセス・カリオカヌスNBRC10947、サッカロミセス・ミカタエNBRC1815、サッカロミセス・クドリアヴゼヴィNBRC1802、サッカロミセス・エクシグスNBRC1128、サッカロミセス・セルバジーNBRC1838、サッカロミセス・ウニスポラスNBRC0316、サッカロミセス・ダイレネンシスNBRC0211、サッカロミセス・クルイベリNBRC1685、Nega:ゲノムDNA無添加。
【図2】下面発酵酵母検出用プライマーセット(SBFY1LF1LB1)の検出対象菌種への反応特異性を示した図である。使用菌株は次の通りである。サッカロミセス・セレビシエNBRC10217、サッカロミセス・バヤヌスNBRC11022、サッカロミセス・パストリアヌスNBRC11024、NBRC11023、NBRC10610、サッカロミセス・セレビシエ・ディアスタティカスDSM70487、サッカロミセス・パラドクサスNBRC10609、サッカロミセス・カリオカヌスNBRC10947、サッカロミセス・ミカタエNBRC1815、サッカロミセス・クドリアヴゼヴィNBRC1802、サッカロミセス・エクシグスNBRC1128、サッカロミセス・セルバジーNBRC1838、サッカロミセス・ウニスポラスNBRC0316、サッカロミセス・ダイレネンシスNBRC0211、サッカロミセス・クルイベリNBRC1685、Nega:ゲノムDNA無添加。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記ポリヌクレオチドを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)の検出に用いられるLAMP法プライマーセット:
配列番号1の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(FIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号2の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(F3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号3の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(BIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号4の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(B3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【請求項2】
配列番号5の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LB)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを更に含んでなる、請求項1に記載のプライマーセット。
【請求項3】
下記ポリヌクレオチドを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の検出に用いられるLAMP法プライマーセット:
配列番号6の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(FIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号7の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(F3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;
配列番号8の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(BIP)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号9の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(B3)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号10の塩基配列で表されるポリヌクレオチド(LB)またはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドを更に含んでなる、請求項3に記載のプライマーセット。
【請求項5】
下記ポリヌクレオチドを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)の検出に用いられるPCR法プライマーセット:
配列番号11の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号12の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【請求項6】
下記ポリヌクレオチドを含んでなる、サッカロミセス・パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)および/またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の検出に用いられるPCR法プライマーセット:
配列番号13の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド;および
配列番号14の塩基配列で表されるポリヌクレオチドまたはその塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号1〜14の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列の連続する少なくとも10個のヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチドである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項8】
配列番号1〜14の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列と少なくとも90%の同一性を有するポリヌクレオチドである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項9】
配列番号1〜14の塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズする少なくとも10塩基のポリヌクレオチドが、それぞれ、対応する塩基配列において、1または数個のヌクレオチドが改変された改変塩基配列からなり、かつ対応する塩基配列の相補配列で表されるポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドである、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプライマーセット。
【請求項10】
請求項1または2に記載のLAMP法プライマーセットと、請求項3または4に記載のLAMP法プライマーセットとを組み合わせて含んでなる、サッカロミセス酵母の検出用キット。
【請求項11】
請求項5に記載のPCR法プライマーセットと、請求項6に記載のPCR法プライマーセットとを組み合わせて含んでなる、サッカロミセス酵母の検出用キット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−161187(P2008−161187A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316103(P2007−316103)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【Fターム(参考)】