説明

サッシ枠取付構造

【課題】 床枠組の前面側に掃き出し窓用のサッシ枠を安定的に取付けること。
【解決手段】 サッシ枠取付構造において、床根太51の前側でサッシ枠40が設けられル長さに対応する範囲に、床根太51の上面に対する低段差部52Aを形成する低根太52を添設し、床根太51の後側で少なくとも低根太52が設けられる長さに対応する範囲に、補強根太53を添設してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサッシ枠取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に掃き出し窓用のサッシ枠を組込もうとするとき、特許文献1に記載の如く、基礎上にその上端面の外側をあけて配設された床パネルと基礎との上に、壁パネルの半土台を設け、半土台の上面より下側に突出する上記サッシ枠の下枠を、半土台の中央部上面に形成してある凹部に嵌入して納めるものがある。これにより、上記サッシ枠の内面を床パネルの床面と面一になるようにしたものである。
【特許文献1】特許3112224
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載のサッシ枠取付構造では、サッシ枠の下枠を半土台に形成した凹部に嵌入して納めるものであり、半土台の断面強度が凹部の形成によって脆弱化して強度不足になるおそれがある。
【0004】
また、特許文献1に記載のサッシ枠取付構造では、サッシ枠の下枠を半土台の脆弱化した凹部に単に納めるとしており、サッシ枠の強固な取付けについて考慮がない。
【0005】
本発明の課題は、床枠組の前面側に掃き出し窓用のサッシ枠を安定的に取付けることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、床枠組の前面側に掃き出し窓用のサッシ枠を取付けてなるサッシ枠取付構造において、上記サッシ枠のサッシ本体部を床枠組を構成する床根太の上部に配置し、床根太の前側で上記サッシ枠が設けられる長さに対応する範囲に、床根太の上面に対する低段差部を形成する低根太を添設し、サッシ本体部の前側に設けられて該サッシ本体部より下側に突出するサッシ下枠部を低根太の上部の低段差部に配置し、床根太の後側で少なくとも低根太が設けられる長さに対応する範囲に、補強根太を添設してなるようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記補強根太が前記サッシ枠のサッシ本体部のための取付部となるようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のサッシ枠取付構造を有してなる床パネルである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の床パネルに壁パネルを接合して構成される建物ユニットである。
【発明の効果】
【0010】
(請求項1)
(a)床枠組の構成材に床根太、低根太、補強根太の3層併せ根太構造を採用し、サッシ枠におけるサッシ本体部の前側に設けられて該サッシ本体部より下側に突出するサッシ下枠部を低根太の上部の低段差部に配置した。従って、上記サッシ枠の内面を床面と面一以下のレベルに設定できる。
【0011】
(b)床根太の後側で少なくとも低根太が設けられる長さに対応する範囲に、補強根太を添設した。従って、床根太の前側に添設される根太を成の低い小断面の低根太にしながら、該床根太を補強できる。
【0012】
(請求項2)
(c)補強根太を上記サッシ枠のサッシ本体部のための取付部としても利用し、上記サッシ枠を床枠組に強固に取付けできる。
【0013】
(請求項3)
(d)上述(a)〜(c)のサッシ枠取付構造を具備する床パネルを工場生産することができる。
【0014】
(請求項4)
(e)上述(d)の床パネルに壁パネルを接合して建物ユニットを構成することにより、上述(a)〜(c)のサッシ枠取付構造を具備する建物の工場生産化率を一層向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は建物ユニットを示す斜視図、図2はサッシ枠の組込構造を示す断面図、図3は併せ根太を示す正面図、図4は併せ根太を示す平面図、図5は図4のV-V線に沿う断面図、図6は図4のVI-VI線に沿う断面図である。
【実施例】
【0016】
図1に示す建物ユニット10は、工場生産段階で、床パネル20の外縁部に壁パネル30を立設して接合され、掃き出し窓11を有する。建物ユニット10は、建築現場に輸送され、複数の他の建物ユニットと隣接設置されてユニット建物を構成する。
【0017】
床パネル20は、図2に示す如く、床枠組21の下面に土台22を設け、床枠組21の上面に床面材23、床仕上げ材24を設けて構成される。壁パネル30は、図2に示す如く、壁枠組31の外面に外壁面材32を、内面に内壁面材33を設け、壁枠組31の内部に掃き出し窓11のための窓取付枠34を設けて構成される。
【0018】
建物ユニット10は、床パネル20の床枠組21の前面側、かつ壁パネル30の窓取付枠34の内部に、掃き出し窓11のためのサッシ枠40を取付ける。サッシ枠40は、矩形枠状のサッシ本体部41を有し、サッシ本体部41の前側に設けられてサッシ本体部41より下側に突出するサッシ下枠部42を備えるとともに、サッシ本体部41の前側に設けられてサッシ本体部41より上側に突出するサッシ上枠部43を備える。サッシ枠40は、サッシ本体部41、サッシ下枠部42、サッシ上枠部43のそれぞれを、床パネル20の床枠組21、壁パネル30の窓取付枠34のそれぞれに止ねじ44により固定される。サッシ枠40は、サッシ本体部41の下面に設けた内側ガイドレール45Aとサッシ本体部41の上面に設けた内側ガイドレール45Bの間に、内側引き戸45を設け、サッシ本体部41の下面に設けた外側ガイドレール46Aとサッシ本体部41の上面に設けた外側ガイドレール46Bの間に、外側引き戸46を設けてある。サッシ枠40は、サッシ下枠部42に設けたガイドレール47Aとサッシ上枠部43に設けたガイドレール47Bの間に、網戸47を設けている。
【0019】
しかるに、建物ユニット10は、掃き出し窓11のサッシ枠40を室内側に引き込み、かつサッシ枠40のサッシ本体部41の内面を床パネル20の床面(床仕上げ材24の上面)以下のレベルに設定するよう下記(1)〜(5)の構成を具備する。
【0020】
尚、床パネル20の床枠組21の構成材として、図3〜図6に示す如く、床根太51、低根太52、補強根太53の3層併せ根太50を採用する。3層併せ根太50は、床根太51の両側に低根太52と補強根太53を添設し、床根太51と補強根太53の成の高さを同一にし、低根太52の成の高さを床根太51、補強根太53の成の高さより低くする。
【0021】
(1)サッシ枠40のサッシ本体部41を、床枠組21を構成する床根太51の上部に、本実施例では床面材23を挟む室内側に引き込んで配置する。このとき、サッシ枠40のサッシ本体部41の内面を床パネル20の床面(床仕上げ材24の上面)以下のレベルに設定する。
【0022】
(2)床根太51の前側(室外側)でサッシ枠40が設けられる長さLに対応する範囲に、床根太51の上面に対する低段差部52Aを形成する低根太52を添設する。床根太51の前側でサッシ枠40が設けられない範囲(低根太52の両側領域)に、成の高さを床根太51の成の高さを同一にする高根太54を添設する。本実施例では、床根太51の前側に合板材55を介して低根太52、高根太54を添設一体化する。
【0023】
(3)サッシ本体部41の前側(室外側)に設けられて該サッシ本体部41より下側に突出するサッシ下枠部42を低根太52の上部の低段差部52Aに配置する。サッシ下枠部42の前側取付片42Aを止ねじ44により合板材54、床根太51に固定する。
【0024】
(4)床根太51の後側(室内側)で少なくとも低根太52が設けられる長さLに対応する範囲に、補強根太53を添設する。本実施例では、床根太51の後側に直に補強根太53を添設一体化する。
【0025】
(5)サッシ本体部41の後側(室内側)で床面材23に沿う後方に向けてサッシ本体部41から突出する後側取付片48を、止ねじ49により床面材23、補強根太53(サッシ本体部41のための取付部)に固定する。
【0026】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)床枠組21の構成材に床根太51、低根太52、補強根太53の3層併せ根太50による構造を採用し、サッシ枠40におけるサッシ本体部41の前側に設けられて該サッシ本体部41より下側に突出するサッシ下枠部を低根太52の上部の低段差部52Aに配置した。従って、サッシ枠40の内面を床面と面一以下のレベルに設定できる。
【0027】
(b)床根太51の後側で少なくとも低根太52が設けられる長さLに対応する範囲に、補強根太53を添設した。従って、床根太51の前側に添設される根太を成の低い小断面の低根太52にしながら、該床根太51を補強できる。
【0028】
(c)補強根太53をサッシ枠40のサッシ本体部41のための取付部としても利用し、サッシ枠40を床枠組21に強固に取付けできる。
【0029】
(d)上述(a)〜(c)のサッシ枠40組込構造を具備する床パネル20を工場生産することができる。
【0030】
(e)上述(d)の床パネル20に壁パネル30を接合して建物ユニットを構成することにより、上述(a)〜(c)のサッシ枠取付構造を具備する建物の工場生産化率を一層向上できる。
【0031】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は建物ユニットを示す斜視図である。
【図2】図2はサッシ枠の組込構造を示す断面図である。
【図3】図3は併せ根太を示す正面図である。
【図4】図4は併せ根太を示す平面図である。
【図5】図5は図4のV-V線に沿う断面図である。
【図6】図6は図4のVI-VI線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0033】
10 建物ユニット
11 掃き出し窓
20 床パネル
21 床枠組
23 床面材
24 床仕上げ材
30 壁パネル
40 サッシ枠
41 サッシ本体部
48 取付片
50 3層併せ根太
51 床根太
52 低根太
53 補強根太

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床枠組の前面側に掃き出し窓用のサッシ枠を取付けてなるサッシ枠取付構造において、
上記サッシ枠のサッシ本体部を床枠組を構成する床根太の上部に配置し、
床根太の前側で上記サッシ枠が設けられる長さに対応する範囲に、床根太の上面に対する低段差部を形成する低根太を添設し、
サッシ本体部の前側に設けられて該サッシ本体部より下側に突出するサッシ下枠部を低根太の上部の低段差部に配置し、
床根太の後側で少なくとも低根太が設けられる長さに対応する範囲に、補強根太を添設してなることを特徴とするサッシ枠取付構造。
【請求項2】
前記補強根太が前記サッシ枠のサッシ本体部のための取付部となる請求項1に記載のサッシ枠取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサッシ枠取付構造を有してなる床パネル。
【請求項4】
請求項3に記載の床パネルに壁パネルを接合して構成される建物ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−249870(P2009−249870A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97082(P2008−97082)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】