サッシ
【課題】軸回りの回転により開閉する障子を所定角度で固定することができると共に意匠性に優れるサッシを提供する。
【解決手段】本発明のサッシ1は、軸回りの回転により開閉する障子3と、操作ハンドル11と、回転制御器13とを備えている。操作ハンドル11は、障子3の開閉操作をするものであり、障子3に着脱自在に取付けてあり、回転制御器13は、障子3の回転を所定角度で固定するものであり、一端部に障子3に係合する障子係合部17を有し、他端部に枠6に連結する枠連結部19を有し、回転制御器13の障子係合部17は障子3の見込み面3aに係脱自在であり、枠連結部19は枠6に設けた取付金具21に脱着自在としてある。
【解決手段】本発明のサッシ1は、軸回りの回転により開閉する障子3と、操作ハンドル11と、回転制御器13とを備えている。操作ハンドル11は、障子3の開閉操作をするものであり、障子3に着脱自在に取付けてあり、回転制御器13は、障子3の回転を所定角度で固定するものであり、一端部に障子3に係合する障子係合部17を有し、他端部に枠6に連結する枠連結部19を有し、回転制御器13の障子係合部17は障子3の見込み面3aに係脱自在であり、枠連結部19は枠6に設けた取付金具21に脱着自在としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦軸回転サッシ、横軸回転サッシ、内開きサッシや内倒しサッシ等のサッシの開閉時に障子が軸回りを回転して、障子の上下左右のうちの一側部が室内側に突出するサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸回りの転回により開閉する障子と枠との施開錠を操作する操作ハンドルを枠に脱着自在に設けたことが開示されている。
また、この公報には、回転制御器で障子の回転を所定角度で固定することが開示されているが、回転制御器は一端を枠の見込み面に他端を障子の見込み面に常時固定している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−285610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、サッシに回転制御器を取付けたままの状態にしてあると、サッシの意匠を阻害するという問題がある。
一方、特許文献1には枠と障子とに回転制御器を固定する方法については開示されていないが、一般的には枠と障子との各々に回転制御器をねじ固定するので、障子を開けるときにのみにその都度回転制御器を取付けたり取り外したりしようとすれば、回転制御器の取付け及び取外しに手間がかかる。
【0005】
本発明は、軸回りの回転により開閉する障子を所定角度で固定することができると共に意匠性に優れるサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、軸回りの回転により開閉する障子と、操作ハンドルと、回転制御器とを備え、操作ハンドルは、障子の開閉操作をするものであり、障子に着脱自在に取付けてあり、回転制御器は、障子の回転を所定角度で固定するものであり、一端部に障子に係合する障子係合部を有し、他端部に枠に連結する枠連結部を有し、回転制御器の障子係合部は障子の見込み面に係脱自在であり、枠連結部は枠に設けた取付金具に脱着自在としてあることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、回転制御器の障子係合部は、中間突出位置と中間突出位置よりも突出した最大突出位置とに移動自在な係合軸と、係合軸を最大突出位置に向けて常時付勢する付勢部材と、係合軸を中間突出位置に保持する保持機構と、最大突出位置にある係合軸を中間突出位置へ引込み操作する引込み操作部とを有し、保持機構が係合軸を中間突出位置に保持した状態で、障子が障子係合部を乗り越えるときに障子が係合軸を押して引込み方向に移動させることにより係合軸の保持が解除されて、係合軸が付勢部材の付勢力により最大突出位置に移動して障子の見込み面に係合し、引込み操作部の操作により係合軸を最大突出位置から中間突出位置に移動させて係合軸を障子から外せることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、障子を閉じている通常の状態では、操作ハンドル及び回転制御器を取り外してあり、メンテナンスや清掃等の為に障子を開くときにのみ操作ハンドル及び回転制御器を取付けるので、障子を閉じているときには操作ハンドルや回転制御器がないからサッシの意匠性に優れ、不用意に障子を開けて人や物が落下する危険性が少なくなる。
また、回転制御器は障子の見込み面に係合により取り付くものなので、サッシに回転制御器を取付けたときに外観を大きく損ねることがない。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果を奏すると共に、回転制御器の障子係合部を乗り越えるように障子を回転させるだけで障子係合部を障子に係合できると共に、回転制御器と障子との係合の解除は引込み操作部を操作するだけであるから、回転制御器の障子係合部と障子との係脱が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態にかかるサッシにおいて枠に回転制御器を取付けた状態を示す図であり、(a)はサッシの下部における横断面図、(b)は室内側から見た正面図であり、(c)は縦断面図であり、(d)は(c)に示すD部の拡大図であり、図2は図1(a)に示すA−A断面図であり、図3は図1(b)に示すB−B断面図であり、図4は枠に回転制御器を装着した部分の分解斜視図であり、図5は障子係合部を切断して示す斜視図であり、図6は障子係合部を構成する部品の図であり、(a)は第1カムの斜視図であり、(b)は第2カムの斜視図であり、(c)は案内部材の斜視図であり、(d)は(c)のD−D線で示す位置で切断した断面図であり、(e)は(d)のE−E線で示す位置で切断した断面図であり、図7は回転制御器の障子係合部と障子との係脱を説明する図であり、(A)〜(D)は障子を移動したときの各位置における障子係合部の係脱を示す断面図であり、図8(A)〜(B3)は、図7に示す(A)及び(B)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと第3カムとの関係を示す断面図であり、(a)〜(b3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図であり、図9(C)〜(D3)は、図7に示す(C)及び(D)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと案内部材との関係を示す断面図であり、(c)〜(d3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図であり、図10は障子を開くときの回転制御器の作用を説明する図であり、各回転角度におけるサッシの横断面図であり、図11の(a)は障子が閉じ位置にあるときに室内側から見たサッシの正面図であり、(b)は(a)に示すC部の拡大図であり且つ操作ハンドルによる障子の固定解除操作を説明する図であり、図12は本実施の形態にかかるサッシの横断面図である。尚、図1(c)に二点鎖線で示すのは窓拭き作業用のフックである。
【0011】
本実施の形態にかかるサッシ1は、縦軸回転サッシであり、障子3は縦軸の軸回りを回転して開閉するものである。このサッシ1には、操作ハンドル11(図11参照)と回転制御器13(図1参照)とが各々脱着自在に設けてある。
図11及び図12に示すように、障子3の竪框5には、操作ハンドル11の係合孔7が設けてあり、この操作ハンドル係合孔7は操作ハンドル11を脱着自在に係合すると共に障子3を枠6に対して施解錠することも兼ねている。操作ハンドル係合孔7は図11(b)に示すようにスライド自在なカバー9で覆ってあり、カバー9を図11(b)に示すように矢印方向にスライドさせて操作ハンドル係合孔7を露出するようになっている。枠6に対する障子3の解錠は、操作ハンドル11を操作ハンドル係合孔7に差し込んで回動操作すると竪框に設けてあるデッドボルト8(図12参照)が障子側に引込み且つ操作ハンドルは係合孔7に係合して保持された状態になる。
回転制御器13は、図10の(a)〜(c)に示すように障子3の回転を所定角度で固定するものであり、図1及び図4に示すように、本体部15と、腕部16とを有し、腕部16の先端部(一端部)に障子3に係合する障子係合部17を有し、本体部15の端部(他端部)に枠6に連結する枠連結部19とが設けられている。
図4に示すように、枠6の下側見込み面6aには2つの取付金具21が間隔を開けて各々ねじ固定してある。2つの取付金具21には各々対向する突起部22が形成してあり、突起部22が下側見込み面6aとの間に隙間を形成している。
枠連結部19は本体部15から突設した舌片であり、取付金具21の突起部22と枠6の下側見込み面6aとの間の隙間に室内側から挿入して装着するようになっている。尚、取付金具21に枠連結部19を装着後、枠連結部19のねじ孔にボルト23で締め付けることにより取付金具21に圧接して枠連結部19の脱落を防止している。
本体部15は平面視略半円状を成す基板25を有し、基板25の外周には歯27が形成されており、歯27の内周側には係止孔29が周方向に略90度の角度で3個形成されている。
腕部16は軸部26により基板25に軸着してあり、軸部26の軸回りを回転自在である。腕部16には基板25の外周に形成してある歯27と歯合する歯車30を有する減速器31が設けてある。減速器31は図2に示すようにボックス内に複数の摩擦板28が設けてあると共に粘性流体が充填されており、歯車30に連結された摩擦板28と粘性流体との摩擦抵抗により歯車30の回転を制動している。粘性流体は、例えば、シリコンオイルである。
図1及び図4に示すように、腕部16において軸部26と減速器31との間には、回転固定部33が設けてある。図3に示すように、回転固定部33は基板25に形成してある係止孔29に上から嵌合する嵌合部材35と嵌合部材35を常時基板25に向けて付勢するスプリング37とを有しており、操作摘み39を引き上げて嵌合部材35を係止孔29から外すようになっている。
図1及び図4に示すように、障子係合部17は腕部16の先端部に設けてあり、障子係合部17は、図5に示すように、ケース40内に係合軸41と、保持機構42と、付勢部材49とを有し、係合軸41は中間突出位置(図7(A)参照)と中間突出位置よりも突出した最大突出位置(図7(C)参照)とに移動自在になっており、保持機構42は係合軸41を中間突出位置で保持する。
一方、図1に示すように、障子3の下見込み面3aには切除部56に係合金具57をねじで止めてあり、障子係合部17の係合軸41は係合金具57の係合孔57aに係合するようになっている。係合金具57は、図1(d)に示すように、室内側部3bが障子3の下見込み面3aから下方に突出した突部57bになっており、この突部57bには室内側と室外側とに各々テーパ57cが形成されており、係合軸41を乗り越えるときの押圧と乗り越えた後に係合軸41が係合孔57aに係合するのをスムーズにしている。
保持機構42は、図5に示すように、係合軸41が係止している第1カム43と、第1カム43にカム面が係合する第2カム45と、第1カム43と第2カム45との移動を案内すると共に所定位置で第2カムのカム面に係合する第3カム47で構成されている。付勢部材49はコイルスプリングであり、係合軸41を最大突出位置に向けて常時付勢している。
図6に示すように、第1カム43は筒状であり、一端に第1カム面43aが形成してあり、他端に係合軸41の係止部43b(図5参照)が筒の内方に向けて突設してあり、第1カム43の筒内に挿入された係合軸41の外周段部41aに係止するようになっている。第1カム43の外周面には、外方に向けて突設した突起43cが形成されている。第1カム面43aは周方向に沿って山と谷を有する連続した凹凸になっている。
第2カム45は、第1カム43と同じ径の筒状であり、一端に第1カム面43と噛み合う第2カム面45aを有している。この第2カム45の外周面には、外方に向けて突設した突起45bが設けてある。
第3カム47は筒状であり、筒内には第1カム43と第2カム45を直列に配置している(図5参照)。第3カム47の内周面には、第1カム43と第2カム45の移動を直線状に案内する案内溝47bが四方に形成されており、且つ案内溝47bは筒の一端から筒両端間の途中まで形成されている。この案内溝47aには、第1カム43の突起43cと第2カム45の突起45bがスライド自在に係合する。図6の(d)(e)に示すように第3カム47の内周面において、隣り合う案内溝47、47間で且つ案内溝47の下端の位置に第3カム面47aが形成されている。この第3カム面47aには案内溝47bから外れた第1カム43の突起43cが係合する。
付勢部材49はケース40と第1カム43との間に設けてあり、係合軸41の突出方向に向けて第1カム43を係合軸41の突出方向に常時付勢している。
係合軸41には突出側端と反対側の端にケース40から突出した引込み操作部51が設けてあり、引込み操作部51の引込み操作により係合軸41の突出端がケース40側に引き込むものである。また、係合軸41には軸方向中間部にスプリングピン41bが取付けてあり、係合軸41を押し下げたときに第2カム45に当接して押し下げるようになっている。
尚、図4に示すように、障子係合部17の室内側面及び室外側面には、ゴム製の保護部材59が貼着されており、枠6に当接したときに枠6が傷つかないようになっている。
【0012】
次に、本実施の形態にかかるサッシ1における回転制御器13の取付け、障子3の開閉操作、作用及び効果について説明する。
回転制御器13の取付け前に予め、サッシ1の下枠6の下側見込み面6aには取付け金具21をねじで固定しておき、障子3の下見込み面3aには切除部に係合金具57をねじで止めておく。
回転制御器13の装着は、枠連結部19を取付け金具21、21と下枠6との間に室内側から差し込んで装着し、ボルト23で締め付けて枠6に固定する。腕部16は下枠6の横に下枠6と略平行に配置しておき、操作つまみ39を操作して基板25の係止孔29に嵌合部材35を嵌めて腕部16が動かないようにしておく。
図11(a)に示す障子3の閉じ状態において、枠6に対する障子3の施錠を解除するが、施錠の解除は、図11(b)に示すように、障子3のカバー9をスライドして操作ハンドル係合孔7を露出し、操作ハンドル係合孔7に操作ハンドル11を差し込んで回転操作して開錠する。これにより図12に示すラッチボルト8が障子側に引っ込んで枠6から外れ、障子3は回転可能になると共に操作ハンドル11は係合孔7に係合して抜けなくなる。
次に、障子係合部17と障子3との係合について説明する。図7(A)に示すように、障子係合部17では、係合軸41は枠6の上側見込み面6bよりも少し突出した中間突出位置に位置する。この中間突出位置では、図8(A)(a)に示すように、第1カム43の突起43cは第3カム47の案内溝47bから外れて第3カム面47aの谷47e(図6(d)参照)に係合しており、第1カム面43aの山43e(図6(a)参照)が第2カム面45aの傾斜面に当接している。
障子3を閉じ位置(図7(A))から回転させて障子3が障子係合部17を乗り越えようとしたときに、図7(B)に示すように障子3の室内側部3bに設けた突部57bが係合軸41に乗り上げて、突部57bが中間突出位置にある係合軸41を引込み方向に押し込む。これにより、図8(B1)(b1)に示すように、係合軸41のスプリングピン41bが第2カム45を押し下げるので、第2カム45と共に第1カム43も押し下がり、第1カム43の突起43cが第3カム面47aから外れ、且つ第1カム面43aの山43eが第2カム面45aの傾斜面に沿って上方に移動して第1カム43が矢印F方向に回転する。
続いて、障子3の室内側部3bが係合軸41を乗り越えると、図8(B2)(b2)に示すように、第1カム43は付勢部材49の付勢力により係合軸41と共に上方に移動し、第1カム43の突起43cが第3カム面47aに係合して、第1カム43は第3カム面47aの傾斜に沿って回転しつつ上昇する。
そして、図8(b3)に示すように、第1カム43の突起43cが第3カム面47aから外れて第3カムの案内溝47bに位置すると案内溝47aに沿って上昇する。したがって、図7(C)に示すように突部57bが通過した後には、図9(C)((c)に示すように、係合軸41は最大突出位置に位置し、係合軸41が障子3の見込み面内に入り込んで障子3の係合金具57に係合する。
障子係合部17の係合軸41を障子3の下見込み面3aに係合させた後、操作つまみ39を引き上げて基板の係止孔39から嵌合部材35を引き上げて、図10(a)に示す位置から腕16を任意の位置まで回動し、例えば、図10(b)に示すように枠6に対して障子を直角にした位置や図10(c)に示すような略180回転させた位置で、嵌合部材35はスプリング37の付勢力により各係止孔39の位置で自動的に係止孔39に嵌合し、腕部16の回転を停止する。
これにより、障子3は所定の回転角度で固定されるから、例えば、障子3の室外側面を清掃したりメンテナンス作業等を室内側からすることができる。尚、障子3の清掃やメンテナンスの時には、図1(c)に示すように回転制御器13に設けてあるフック掛63に作業者が装着する案全帯フック64を係止するようになっている。また、安全を高める為、図10(c)に示すように障子3と枠6とをチェーン63で固定してもよい。
一方、障子3を閉じるときには、障子3を図10(a)に示す位置に戻し、図7(D)の位置で係合軸41の下端にある引込み操作部51(図5参照)を下方に引くと、図9(D1)(d1)で示すように、第1カム43の突起43cと第2カムの突起45bが第3カム47の案内溝47bに案内されながら第1カム43と第2カム45とが下方に移動し、第1カム43の突起43cが案内溝47bから外れると第1カム面43aの山が第2カム面45aに傾斜に沿って移動し、第1カム43が矢印F方向の回転を開始する。
更に引込み操作部51を下方に下げた後、引込み操作部51を離すと、付勢部材49の付勢力により、図9(D2)(d2)で示すように、第1カムが上昇しつつ回転して、図9(D3)(d3)に示すように、第1カム43の突起43cは第3カム面47aの段差部に係合して止まり、係合軸41は中間突出位置に保持される。これにより、係合軸41は障子3との係合が外れるので(図7(D)参照)、障子3を図11に示す閉じ状態にし、障子3に取付けたままにしてある操作ハンドル11を下方に向けて回動して障子を施錠した後、操作ハンドル11を障子の操作ハンドル係合孔7から外して、操作ハンドル係合孔7にカバー9をスライドして被せる。
次に、回転制御器13を枠6に固定してあるボルト23を緩めた後、本体部15を室内側に引き抜いて回転制御器13を枠6から外す。
【0013】
本実施の形態によれば、障子3が閉じ状態にあるときには、図11に示すように、操作ハンドル11や回転制御器13はサッシ1から取り外してあるので、サッシ1の意匠性に優れる。
障子3は略90度や180度回転した位置で固定でき、障子の室外側面における清掃作業やメンテナンス等が安全に且つ容易にできる。
障子3は通常閉じ状態にして操作ハンドルを外してあり、清掃作業やメンテナンス等の時にのみ操作ハンドルを取付けて障子を開くものであるから、特にベランダがないマンションやビルにおいて不用意に障子を開けて人や物が落下する危険性が少なく、安全性が高い。
回転制御器13は障子3の見込み面3aに係合により取り付くものなので、サッシ1に回転制御器13を取付けたときに外観を大きく損ねることがない。
取付金具21は、枠6の見込み面6aに取付けているから、回転制御器13を枠6から外した後に取付金具21を取付けたままの状態にしても目立たないので、外観が良い。
回転制御器13の枠連結部19を枠6に装着後、障子係合部17を乗り越えるように障子3を回転させるだけで、障子係合部17は自動的に障子3に係合でき、回転制御器13と障子との係合が容易にできる。しかも、回転制御器13と障子3との係合の解除は引込み操作部51を操作するだけであるから、回転制御器13の障子係合部と障子との係脱がワンタッチで容易にできる。
回転制御器13における腕部16の回転は、減速器31により減速されているので、突風に障子3が煽られても急激に回転するのを防止でき、安全性が高い。
回転制御器13において、嵌合部材35は操作つまみを一度引き上げて腕部16を回転すると、嵌合部材35がスプリング37に押されながら基板25上をスライドし、係止孔37に自動的に係合するので、障子3の角度固定が容易にできる。
【0014】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
本実施の形態では、障子3に設けた突部57bが係合軸41を押し下げているが、突部57bを設けないで、例えば、障子の室内側部にあるタイト材61が係合軸41を押下げることができる程度に十分に硬い場合には、タイト部材61で係合軸41を押下げても良いし、障子3の框が係合軸41を直接押し下げるものであっても良い。
障子係合部17の係合軸41は、障子3の見込み面に設けた切除部56や係合金具57に係合することに限らず、障子3の見込み面に設けた溝や凹みに係合するものであっても良い。
係止孔29は90度間隔で3個設けることに限らず、45度間隔にして5個設けたり、30度間隔にして7個設けても良いし、配置角度や数は制限されない。
回転制御器13の枠連結部19を取付ける取付金具21は、枠6の見込み面6aに設けることに限らず、例えば、枠6の室内側見付面に設けて枠連結部19をL字形状にして上方から取付金具21に差し込む構成にしても良く、枠6に対する取付金具21の取付け位置は制限されない。
サッシ1は、縦軸回転サッシに限らず、横軸回転サッシ、内開きサッシや内倒しサッシであってもよく、障子が回転して障子の上下左右のうちの一側部が室内側に突出するものであれば良い。例えば、横軸回転サッシの場合には、竪枠の見込み面に回転制御器の枠連結部を脱装自在に取付け、障子係合部は障子の竪見込み面に係合する構成とすることができる。
保持機構42は、係合軸41を中間突出位置で保持し、係合軸41が押し込まれたときに保持を解除して付勢部材49により係合軸41を最大突出位置に突出させるものであれば上述した実施の形態に限らず、他の構造であってもよい。また、引込み操作部51は係合軸41を最大突出位置から中間突出位置へ引き込むものであれば良く、係合軸41の端部に設けることに限らず、保持機構42のケース40に設けて操作するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態にかかるサッシにおいて枠に回転制御器を取付けた状態を示す図であり、(a)はサッシの下部における横断面図、(b)は室内側から見た正面図であり、(c)は縦断面図であり、(d)は(c)に示すD部の拡大図である。
【図2】図1(b)に示すA−A断面図である。
【図3】図1(b)に示すB−B断面図である。
【図4】枠に回転制御器を装着した部分の分解斜視図である。
【図5】障子係合部を切断して示す斜視図である。
【図6】障子係合部を構成する部品の図であり、(a)は第1カムの斜視部であり、(b)は第2カムの斜視であり、(c)は案内部材の斜視図であり、(d)は(c)にD−D線で示す断面図であり、(e)は(d)にE−E線で示す断面図である。
【図7】回転制御器の障子係合部と障子との係脱を説明する図であり、(A)〜(D)は障子を移動したときの各位置における障子係合部の係脱を示す断面図である。
【図8】(A)〜(B3)は、図7に示す(A)及び(B)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと第3カムとの関係を示す断面図であり、(a)〜(b3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図である。
【図9】(C)〜(D3)は、図7に示す(C)及び(D)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと案内部材との関係を示す断面図であり、(c)〜(d3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図である。
【図10】障子を開くときの回転制御器の作用を説明する図であり、各回転角度におけるサッシの横断面図である。
【図11】(a)は障子が閉じ位置にあるときに室内側から見たサッシの正面図であり、(b)は(a)に示すC部の拡大図であり且つ操作ハンドルによる障子の固定解除操作を説明する図である。
【図12】本実施の形態にかかるサッシの横断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 サッシ
3 障子
3a 障子の見込み面
6 枠
6a 枠の見込み面
11 操作ハンドル
13 回転制御器
17 障子係合部
19 枠連結部
21 取付金具
41 係合軸
42 保持機構
49 付勢部材
51 引込み操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦軸回転サッシ、横軸回転サッシ、内開きサッシや内倒しサッシ等のサッシの開閉時に障子が軸回りを回転して、障子の上下左右のうちの一側部が室内側に突出するサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸回りの転回により開閉する障子と枠との施開錠を操作する操作ハンドルを枠に脱着自在に設けたことが開示されている。
また、この公報には、回転制御器で障子の回転を所定角度で固定することが開示されているが、回転制御器は一端を枠の見込み面に他端を障子の見込み面に常時固定している。
【0003】
【特許文献1】特開2004−285610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、サッシに回転制御器を取付けたままの状態にしてあると、サッシの意匠を阻害するという問題がある。
一方、特許文献1には枠と障子とに回転制御器を固定する方法については開示されていないが、一般的には枠と障子との各々に回転制御器をねじ固定するので、障子を開けるときにのみにその都度回転制御器を取付けたり取り外したりしようとすれば、回転制御器の取付け及び取外しに手間がかかる。
【0005】
本発明は、軸回りの回転により開閉する障子を所定角度で固定することができると共に意匠性に優れるサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、軸回りの回転により開閉する障子と、操作ハンドルと、回転制御器とを備え、操作ハンドルは、障子の開閉操作をするものであり、障子に着脱自在に取付けてあり、回転制御器は、障子の回転を所定角度で固定するものであり、一端部に障子に係合する障子係合部を有し、他端部に枠に連結する枠連結部を有し、回転制御器の障子係合部は障子の見込み面に係脱自在であり、枠連結部は枠に設けた取付金具に脱着自在としてあることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、回転制御器の障子係合部は、中間突出位置と中間突出位置よりも突出した最大突出位置とに移動自在な係合軸と、係合軸を最大突出位置に向けて常時付勢する付勢部材と、係合軸を中間突出位置に保持する保持機構と、最大突出位置にある係合軸を中間突出位置へ引込み操作する引込み操作部とを有し、保持機構が係合軸を中間突出位置に保持した状態で、障子が障子係合部を乗り越えるときに障子が係合軸を押して引込み方向に移動させることにより係合軸の保持が解除されて、係合軸が付勢部材の付勢力により最大突出位置に移動して障子の見込み面に係合し、引込み操作部の操作により係合軸を最大突出位置から中間突出位置に移動させて係合軸を障子から外せることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、障子を閉じている通常の状態では、操作ハンドル及び回転制御器を取り外してあり、メンテナンスや清掃等の為に障子を開くときにのみ操作ハンドル及び回転制御器を取付けるので、障子を閉じているときには操作ハンドルや回転制御器がないからサッシの意匠性に優れ、不用意に障子を開けて人や物が落下する危険性が少なくなる。
また、回転制御器は障子の見込み面に係合により取り付くものなので、サッシに回転制御器を取付けたときに外観を大きく損ねることがない。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の効果を奏すると共に、回転制御器の障子係合部を乗り越えるように障子を回転させるだけで障子係合部を障子に係合できると共に、回転制御器と障子との係合の解除は引込み操作部を操作するだけであるから、回転制御器の障子係合部と障子との係脱が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態にかかるサッシにおいて枠に回転制御器を取付けた状態を示す図であり、(a)はサッシの下部における横断面図、(b)は室内側から見た正面図であり、(c)は縦断面図であり、(d)は(c)に示すD部の拡大図であり、図2は図1(a)に示すA−A断面図であり、図3は図1(b)に示すB−B断面図であり、図4は枠に回転制御器を装着した部分の分解斜視図であり、図5は障子係合部を切断して示す斜視図であり、図6は障子係合部を構成する部品の図であり、(a)は第1カムの斜視図であり、(b)は第2カムの斜視図であり、(c)は案内部材の斜視図であり、(d)は(c)のD−D線で示す位置で切断した断面図であり、(e)は(d)のE−E線で示す位置で切断した断面図であり、図7は回転制御器の障子係合部と障子との係脱を説明する図であり、(A)〜(D)は障子を移動したときの各位置における障子係合部の係脱を示す断面図であり、図8(A)〜(B3)は、図7に示す(A)及び(B)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと第3カムとの関係を示す断面図であり、(a)〜(b3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図であり、図9(C)〜(D3)は、図7に示す(C)及び(D)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと案内部材との関係を示す断面図であり、(c)〜(d3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図であり、図10は障子を開くときの回転制御器の作用を説明する図であり、各回転角度におけるサッシの横断面図であり、図11の(a)は障子が閉じ位置にあるときに室内側から見たサッシの正面図であり、(b)は(a)に示すC部の拡大図であり且つ操作ハンドルによる障子の固定解除操作を説明する図であり、図12は本実施の形態にかかるサッシの横断面図である。尚、図1(c)に二点鎖線で示すのは窓拭き作業用のフックである。
【0011】
本実施の形態にかかるサッシ1は、縦軸回転サッシであり、障子3は縦軸の軸回りを回転して開閉するものである。このサッシ1には、操作ハンドル11(図11参照)と回転制御器13(図1参照)とが各々脱着自在に設けてある。
図11及び図12に示すように、障子3の竪框5には、操作ハンドル11の係合孔7が設けてあり、この操作ハンドル係合孔7は操作ハンドル11を脱着自在に係合すると共に障子3を枠6に対して施解錠することも兼ねている。操作ハンドル係合孔7は図11(b)に示すようにスライド自在なカバー9で覆ってあり、カバー9を図11(b)に示すように矢印方向にスライドさせて操作ハンドル係合孔7を露出するようになっている。枠6に対する障子3の解錠は、操作ハンドル11を操作ハンドル係合孔7に差し込んで回動操作すると竪框に設けてあるデッドボルト8(図12参照)が障子側に引込み且つ操作ハンドルは係合孔7に係合して保持された状態になる。
回転制御器13は、図10の(a)〜(c)に示すように障子3の回転を所定角度で固定するものであり、図1及び図4に示すように、本体部15と、腕部16とを有し、腕部16の先端部(一端部)に障子3に係合する障子係合部17を有し、本体部15の端部(他端部)に枠6に連結する枠連結部19とが設けられている。
図4に示すように、枠6の下側見込み面6aには2つの取付金具21が間隔を開けて各々ねじ固定してある。2つの取付金具21には各々対向する突起部22が形成してあり、突起部22が下側見込み面6aとの間に隙間を形成している。
枠連結部19は本体部15から突設した舌片であり、取付金具21の突起部22と枠6の下側見込み面6aとの間の隙間に室内側から挿入して装着するようになっている。尚、取付金具21に枠連結部19を装着後、枠連結部19のねじ孔にボルト23で締め付けることにより取付金具21に圧接して枠連結部19の脱落を防止している。
本体部15は平面視略半円状を成す基板25を有し、基板25の外周には歯27が形成されており、歯27の内周側には係止孔29が周方向に略90度の角度で3個形成されている。
腕部16は軸部26により基板25に軸着してあり、軸部26の軸回りを回転自在である。腕部16には基板25の外周に形成してある歯27と歯合する歯車30を有する減速器31が設けてある。減速器31は図2に示すようにボックス内に複数の摩擦板28が設けてあると共に粘性流体が充填されており、歯車30に連結された摩擦板28と粘性流体との摩擦抵抗により歯車30の回転を制動している。粘性流体は、例えば、シリコンオイルである。
図1及び図4に示すように、腕部16において軸部26と減速器31との間には、回転固定部33が設けてある。図3に示すように、回転固定部33は基板25に形成してある係止孔29に上から嵌合する嵌合部材35と嵌合部材35を常時基板25に向けて付勢するスプリング37とを有しており、操作摘み39を引き上げて嵌合部材35を係止孔29から外すようになっている。
図1及び図4に示すように、障子係合部17は腕部16の先端部に設けてあり、障子係合部17は、図5に示すように、ケース40内に係合軸41と、保持機構42と、付勢部材49とを有し、係合軸41は中間突出位置(図7(A)参照)と中間突出位置よりも突出した最大突出位置(図7(C)参照)とに移動自在になっており、保持機構42は係合軸41を中間突出位置で保持する。
一方、図1に示すように、障子3の下見込み面3aには切除部56に係合金具57をねじで止めてあり、障子係合部17の係合軸41は係合金具57の係合孔57aに係合するようになっている。係合金具57は、図1(d)に示すように、室内側部3bが障子3の下見込み面3aから下方に突出した突部57bになっており、この突部57bには室内側と室外側とに各々テーパ57cが形成されており、係合軸41を乗り越えるときの押圧と乗り越えた後に係合軸41が係合孔57aに係合するのをスムーズにしている。
保持機構42は、図5に示すように、係合軸41が係止している第1カム43と、第1カム43にカム面が係合する第2カム45と、第1カム43と第2カム45との移動を案内すると共に所定位置で第2カムのカム面に係合する第3カム47で構成されている。付勢部材49はコイルスプリングであり、係合軸41を最大突出位置に向けて常時付勢している。
図6に示すように、第1カム43は筒状であり、一端に第1カム面43aが形成してあり、他端に係合軸41の係止部43b(図5参照)が筒の内方に向けて突設してあり、第1カム43の筒内に挿入された係合軸41の外周段部41aに係止するようになっている。第1カム43の外周面には、外方に向けて突設した突起43cが形成されている。第1カム面43aは周方向に沿って山と谷を有する連続した凹凸になっている。
第2カム45は、第1カム43と同じ径の筒状であり、一端に第1カム面43と噛み合う第2カム面45aを有している。この第2カム45の外周面には、外方に向けて突設した突起45bが設けてある。
第3カム47は筒状であり、筒内には第1カム43と第2カム45を直列に配置している(図5参照)。第3カム47の内周面には、第1カム43と第2カム45の移動を直線状に案内する案内溝47bが四方に形成されており、且つ案内溝47bは筒の一端から筒両端間の途中まで形成されている。この案内溝47aには、第1カム43の突起43cと第2カム45の突起45bがスライド自在に係合する。図6の(d)(e)に示すように第3カム47の内周面において、隣り合う案内溝47、47間で且つ案内溝47の下端の位置に第3カム面47aが形成されている。この第3カム面47aには案内溝47bから外れた第1カム43の突起43cが係合する。
付勢部材49はケース40と第1カム43との間に設けてあり、係合軸41の突出方向に向けて第1カム43を係合軸41の突出方向に常時付勢している。
係合軸41には突出側端と反対側の端にケース40から突出した引込み操作部51が設けてあり、引込み操作部51の引込み操作により係合軸41の突出端がケース40側に引き込むものである。また、係合軸41には軸方向中間部にスプリングピン41bが取付けてあり、係合軸41を押し下げたときに第2カム45に当接して押し下げるようになっている。
尚、図4に示すように、障子係合部17の室内側面及び室外側面には、ゴム製の保護部材59が貼着されており、枠6に当接したときに枠6が傷つかないようになっている。
【0012】
次に、本実施の形態にかかるサッシ1における回転制御器13の取付け、障子3の開閉操作、作用及び効果について説明する。
回転制御器13の取付け前に予め、サッシ1の下枠6の下側見込み面6aには取付け金具21をねじで固定しておき、障子3の下見込み面3aには切除部に係合金具57をねじで止めておく。
回転制御器13の装着は、枠連結部19を取付け金具21、21と下枠6との間に室内側から差し込んで装着し、ボルト23で締め付けて枠6に固定する。腕部16は下枠6の横に下枠6と略平行に配置しておき、操作つまみ39を操作して基板25の係止孔29に嵌合部材35を嵌めて腕部16が動かないようにしておく。
図11(a)に示す障子3の閉じ状態において、枠6に対する障子3の施錠を解除するが、施錠の解除は、図11(b)に示すように、障子3のカバー9をスライドして操作ハンドル係合孔7を露出し、操作ハンドル係合孔7に操作ハンドル11を差し込んで回転操作して開錠する。これにより図12に示すラッチボルト8が障子側に引っ込んで枠6から外れ、障子3は回転可能になると共に操作ハンドル11は係合孔7に係合して抜けなくなる。
次に、障子係合部17と障子3との係合について説明する。図7(A)に示すように、障子係合部17では、係合軸41は枠6の上側見込み面6bよりも少し突出した中間突出位置に位置する。この中間突出位置では、図8(A)(a)に示すように、第1カム43の突起43cは第3カム47の案内溝47bから外れて第3カム面47aの谷47e(図6(d)参照)に係合しており、第1カム面43aの山43e(図6(a)参照)が第2カム面45aの傾斜面に当接している。
障子3を閉じ位置(図7(A))から回転させて障子3が障子係合部17を乗り越えようとしたときに、図7(B)に示すように障子3の室内側部3bに設けた突部57bが係合軸41に乗り上げて、突部57bが中間突出位置にある係合軸41を引込み方向に押し込む。これにより、図8(B1)(b1)に示すように、係合軸41のスプリングピン41bが第2カム45を押し下げるので、第2カム45と共に第1カム43も押し下がり、第1カム43の突起43cが第3カム面47aから外れ、且つ第1カム面43aの山43eが第2カム面45aの傾斜面に沿って上方に移動して第1カム43が矢印F方向に回転する。
続いて、障子3の室内側部3bが係合軸41を乗り越えると、図8(B2)(b2)に示すように、第1カム43は付勢部材49の付勢力により係合軸41と共に上方に移動し、第1カム43の突起43cが第3カム面47aに係合して、第1カム43は第3カム面47aの傾斜に沿って回転しつつ上昇する。
そして、図8(b3)に示すように、第1カム43の突起43cが第3カム面47aから外れて第3カムの案内溝47bに位置すると案内溝47aに沿って上昇する。したがって、図7(C)に示すように突部57bが通過した後には、図9(C)((c)に示すように、係合軸41は最大突出位置に位置し、係合軸41が障子3の見込み面内に入り込んで障子3の係合金具57に係合する。
障子係合部17の係合軸41を障子3の下見込み面3aに係合させた後、操作つまみ39を引き上げて基板の係止孔39から嵌合部材35を引き上げて、図10(a)に示す位置から腕16を任意の位置まで回動し、例えば、図10(b)に示すように枠6に対して障子を直角にした位置や図10(c)に示すような略180回転させた位置で、嵌合部材35はスプリング37の付勢力により各係止孔39の位置で自動的に係止孔39に嵌合し、腕部16の回転を停止する。
これにより、障子3は所定の回転角度で固定されるから、例えば、障子3の室外側面を清掃したりメンテナンス作業等を室内側からすることができる。尚、障子3の清掃やメンテナンスの時には、図1(c)に示すように回転制御器13に設けてあるフック掛63に作業者が装着する案全帯フック64を係止するようになっている。また、安全を高める為、図10(c)に示すように障子3と枠6とをチェーン63で固定してもよい。
一方、障子3を閉じるときには、障子3を図10(a)に示す位置に戻し、図7(D)の位置で係合軸41の下端にある引込み操作部51(図5参照)を下方に引くと、図9(D1)(d1)で示すように、第1カム43の突起43cと第2カムの突起45bが第3カム47の案内溝47bに案内されながら第1カム43と第2カム45とが下方に移動し、第1カム43の突起43cが案内溝47bから外れると第1カム面43aの山が第2カム面45aに傾斜に沿って移動し、第1カム43が矢印F方向の回転を開始する。
更に引込み操作部51を下方に下げた後、引込み操作部51を離すと、付勢部材49の付勢力により、図9(D2)(d2)で示すように、第1カムが上昇しつつ回転して、図9(D3)(d3)に示すように、第1カム43の突起43cは第3カム面47aの段差部に係合して止まり、係合軸41は中間突出位置に保持される。これにより、係合軸41は障子3との係合が外れるので(図7(D)参照)、障子3を図11に示す閉じ状態にし、障子3に取付けたままにしてある操作ハンドル11を下方に向けて回動して障子を施錠した後、操作ハンドル11を障子の操作ハンドル係合孔7から外して、操作ハンドル係合孔7にカバー9をスライドして被せる。
次に、回転制御器13を枠6に固定してあるボルト23を緩めた後、本体部15を室内側に引き抜いて回転制御器13を枠6から外す。
【0013】
本実施の形態によれば、障子3が閉じ状態にあるときには、図11に示すように、操作ハンドル11や回転制御器13はサッシ1から取り外してあるので、サッシ1の意匠性に優れる。
障子3は略90度や180度回転した位置で固定でき、障子の室外側面における清掃作業やメンテナンス等が安全に且つ容易にできる。
障子3は通常閉じ状態にして操作ハンドルを外してあり、清掃作業やメンテナンス等の時にのみ操作ハンドルを取付けて障子を開くものであるから、特にベランダがないマンションやビルにおいて不用意に障子を開けて人や物が落下する危険性が少なく、安全性が高い。
回転制御器13は障子3の見込み面3aに係合により取り付くものなので、サッシ1に回転制御器13を取付けたときに外観を大きく損ねることがない。
取付金具21は、枠6の見込み面6aに取付けているから、回転制御器13を枠6から外した後に取付金具21を取付けたままの状態にしても目立たないので、外観が良い。
回転制御器13の枠連結部19を枠6に装着後、障子係合部17を乗り越えるように障子3を回転させるだけで、障子係合部17は自動的に障子3に係合でき、回転制御器13と障子との係合が容易にできる。しかも、回転制御器13と障子3との係合の解除は引込み操作部51を操作するだけであるから、回転制御器13の障子係合部と障子との係脱がワンタッチで容易にできる。
回転制御器13における腕部16の回転は、減速器31により減速されているので、突風に障子3が煽られても急激に回転するのを防止でき、安全性が高い。
回転制御器13において、嵌合部材35は操作つまみを一度引き上げて腕部16を回転すると、嵌合部材35がスプリング37に押されながら基板25上をスライドし、係止孔37に自動的に係合するので、障子3の角度固定が容易にできる。
【0014】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
本実施の形態では、障子3に設けた突部57bが係合軸41を押し下げているが、突部57bを設けないで、例えば、障子の室内側部にあるタイト材61が係合軸41を押下げることができる程度に十分に硬い場合には、タイト部材61で係合軸41を押下げても良いし、障子3の框が係合軸41を直接押し下げるものであっても良い。
障子係合部17の係合軸41は、障子3の見込み面に設けた切除部56や係合金具57に係合することに限らず、障子3の見込み面に設けた溝や凹みに係合するものであっても良い。
係止孔29は90度間隔で3個設けることに限らず、45度間隔にして5個設けたり、30度間隔にして7個設けても良いし、配置角度や数は制限されない。
回転制御器13の枠連結部19を取付ける取付金具21は、枠6の見込み面6aに設けることに限らず、例えば、枠6の室内側見付面に設けて枠連結部19をL字形状にして上方から取付金具21に差し込む構成にしても良く、枠6に対する取付金具21の取付け位置は制限されない。
サッシ1は、縦軸回転サッシに限らず、横軸回転サッシ、内開きサッシや内倒しサッシであってもよく、障子が回転して障子の上下左右のうちの一側部が室内側に突出するものであれば良い。例えば、横軸回転サッシの場合には、竪枠の見込み面に回転制御器の枠連結部を脱装自在に取付け、障子係合部は障子の竪見込み面に係合する構成とすることができる。
保持機構42は、係合軸41を中間突出位置で保持し、係合軸41が押し込まれたときに保持を解除して付勢部材49により係合軸41を最大突出位置に突出させるものであれば上述した実施の形態に限らず、他の構造であってもよい。また、引込み操作部51は係合軸41を最大突出位置から中間突出位置へ引き込むものであれば良く、係合軸41の端部に設けることに限らず、保持機構42のケース40に設けて操作するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態にかかるサッシにおいて枠に回転制御器を取付けた状態を示す図であり、(a)はサッシの下部における横断面図、(b)は室内側から見た正面図であり、(c)は縦断面図であり、(d)は(c)に示すD部の拡大図である。
【図2】図1(b)に示すA−A断面図である。
【図3】図1(b)に示すB−B断面図である。
【図4】枠に回転制御器を装着した部分の分解斜視図である。
【図5】障子係合部を切断して示す斜視図である。
【図6】障子係合部を構成する部品の図であり、(a)は第1カムの斜視部であり、(b)は第2カムの斜視であり、(c)は案内部材の斜視図であり、(d)は(c)にD−D線で示す断面図であり、(e)は(d)にE−E線で示す断面図である。
【図7】回転制御器の障子係合部と障子との係脱を説明する図であり、(A)〜(D)は障子を移動したときの各位置における障子係合部の係脱を示す断面図である。
【図8】(A)〜(B3)は、図7に示す(A)及び(B)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと第3カムとの関係を示す断面図であり、(a)〜(b3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図である。
【図9】(C)〜(D3)は、図7に示す(C)及び(D)の各位置における係合軸と第1カムと第2カムと案内部材との関係を示す断面図であり、(c)〜(d3)は第1〜第3カムのみを抜き出して示す断面図である。
【図10】障子を開くときの回転制御器の作用を説明する図であり、各回転角度におけるサッシの横断面図である。
【図11】(a)は障子が閉じ位置にあるときに室内側から見たサッシの正面図であり、(b)は(a)に示すC部の拡大図であり且つ操作ハンドルによる障子の固定解除操作を説明する図である。
【図12】本実施の形態にかかるサッシの横断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 サッシ
3 障子
3a 障子の見込み面
6 枠
6a 枠の見込み面
11 操作ハンドル
13 回転制御器
17 障子係合部
19 枠連結部
21 取付金具
41 係合軸
42 保持機構
49 付勢部材
51 引込み操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸回りの回転により開閉する障子と、操作ハンドルと、回転制御器とを備え、操作ハンドルは、障子の開閉操作をするものであり、障子に着脱自在に取付けてあり、回転制御器は、障子の回転を所定角度で固定するものであり、一端部に障子に係合する障子係合部を有し、他端部に枠に連結する枠連結部を有し、回転制御器の障子係合部は障子の見込み面に係脱自在であり、枠連結部は枠に設けた取付金具に脱着自在としてあることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
回転制御器の障子係合部は、中間突出位置と中間突出位置よりも突出した最大突出位置とに移動自在な係合軸と、係合軸を最大突出位置に向けて常時付勢する付勢部材と、係合軸を中間突出位置に保持する保持機構と、最大突出位置にある係合軸を中間突出位置へ引込み操作する引込み操作部とを有し、保持機構が係合軸を中間突出位置に保持した状態で、障子が障子係合部を乗り越えるときに障子が係合軸を押して引込み方向に移動させることにより係合軸の保持が解除されて、係合軸が付勢部材の付勢力により最大突出位置に移動して障子の見込み面に係合し、引込み操作部の操作により係合軸を最大突出位置から中間突出位置に移動させて係合軸を障子から外せることを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【請求項1】
軸回りの回転により開閉する障子と、操作ハンドルと、回転制御器とを備え、操作ハンドルは、障子の開閉操作をするものであり、障子に着脱自在に取付けてあり、回転制御器は、障子の回転を所定角度で固定するものであり、一端部に障子に係合する障子係合部を有し、他端部に枠に連結する枠連結部を有し、回転制御器の障子係合部は障子の見込み面に係脱自在であり、枠連結部は枠に設けた取付金具に脱着自在としてあることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
回転制御器の障子係合部は、中間突出位置と中間突出位置よりも突出した最大突出位置とに移動自在な係合軸と、係合軸を最大突出位置に向けて常時付勢する付勢部材と、係合軸を中間突出位置に保持する保持機構と、最大突出位置にある係合軸を中間突出位置へ引込み操作する引込み操作部とを有し、保持機構が係合軸を中間突出位置に保持した状態で、障子が障子係合部を乗り越えるときに障子が係合軸を押して引込み方向に移動させることにより係合軸の保持が解除されて、係合軸が付勢部材の付勢力により最大突出位置に移動して障子の見込み面に係合し、引込み操作部の操作により係合軸を最大突出位置から中間突出位置に移動させて係合軸を障子から外せることを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−106523(P2008−106523A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290735(P2006−290735)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(000150316)株式会社中西エンジニアリング (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000175560)三協立山アルミ株式会社 (529)
【出願人】(000150316)株式会社中西エンジニアリング (31)
【Fターム(参考)】
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