サッシ
【課題】窓部を方立に取付けて施工するものであって、方立により室内と外気との通気を図ることができると共に窓種の選択に自由度があるサッシを提供する。
【解決手段】方立7は窓ユニット5の室内側に位置する基部7aと、基部7aから窓ユニット5の竪枠13の見込面17に対向して位置する中空23の突出部7bとを有し、基部7aは室内に通気自在であり、突出部7bは基部7aに連通しており、窓ユニット5と方立7との間には乾式気密材27、29が方立ての長手方向に亘って設けてあり、突出部7bは乾式気密材27、29よりも室外側から外気を取り込んでいる。
【解決手段】方立7は窓ユニット5の室内側に位置する基部7aと、基部7aから窓ユニット5の竪枠13の見込面17に対向して位置する中空23の突出部7bとを有し、基部7aは室内に通気自在であり、突出部7bは基部7aに連通しており、窓ユニット5と方立7との間には乾式気密材27、29が方立ての長手方向に亘って設けてあり、突出部7bは乾式気密材27、29よりも室外側から外気を取り込んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右に窓部を取付けた方立の内部に、室内と室外とに連通する通気路を形成するサッシが開示されている。
しかし、特許文献1のサッシは、方立が窓枠を兼ねるものであり、施工現場で方立にパネルを嵌め入れたりパネルの周囲をシールする必要があるので、施工現場での施工に手間がかかるという問題があった。また、この特許文献1の技術では、方立にパネルを嵌め入れているので、方立てに取付ける窓種はFIX窓に限られていた。
これに対して、施工が簡単なサッシとして、非特許文献1には、図16に示すように、パネル102の四周を枠組した窓ユニット103を方立101に取り付けたサッシ105が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−180158号公報
【非特許文献1】第144頁 三協立山アルミ「カーテンウォール 総合カタログ 第4版」2011年1月更新 カタログNo.STB0261−D 三協立山アルミニウム株式会社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この非特許文献1のサッシ105では、方立101は窓ユニット103の室内側に設けてあり、左右に隣合う窓ユニット103、103間は乾式気密材107や湿式気密材109により塞いでいる。従って、窓ユニット103を方立101に取付ける種類のサッシでは、従来、方立101により室内と外気との通気を図ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、窓部を方立に取付けて施工するものであって、方立により室内と外気との通気を図ることができると共に窓種の選択に自由度があるサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、窓部と、窓部を取付けた方立とを備え、方立は窓部の室内側に位置する基部と、基部から窓部の見込面に対向して位置する中空の突出部とを有し、基部は室内に通気自在であり、突出部は基部に連通しており、窓部と方立との間には気密材が方立の長手方向に亘って設けてあり、突出部は気密材よりも室外側で外気と通気していることを特徴とするサッシである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、方立の突出部の見込面には、気密材よりも室外側の位置に通気孔が設けてあることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、方立の突出部の先端には、通気部材、外気案内部材又は目板のいずれかが取付け自在であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、通気部材は、中空で且つ左右のいずれかの側面に通気孔が形成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、窓部と方立との間は気密材により気密にしており、方立の突出部は気密材よりも室外側で外気と通気しているので、室内への雨水の浸入を防止しつつ外気との通気を図ることができる。
窓部の見込み面と方立の見込み面とは対向して配置しており、特許文献1のようにパネルを方立に嵌め入れていないので、窓部の窓種がFIX窓のみに制限されることがなく、例えば、縦軸回転窓、外倒し窓や引違い窓等の窓種の選択の自由度がある。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏すると共に、窓部の左右方向に吹く風を取り込み易くなり、換気効率を向上ができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏すると共に、左右方向の風を利用して通気を図りたい場合には通気部材や外気案内部材を取付け、それ以外は目板を取付けることにより、通気のバリエーションを図ることができる。また、通気部材、外気案内部材や目板を選択して取付けることにより、カーテンウォールの外観のバリエーションを図ることもできる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果を奏すると共に、通気孔の位置を風向きに対応させることで、換気効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−A断面図である。
【図2】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、(a)は図6に示すB−B断面図であり、(b)は(a)に示すF部の拡大図である。
【図3】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すC−C断面図である。
【図4】通気部材と方立との取り付け方法を示す図であり、(a)は図1に示すG−G断面図であり、(b)及び(c)はジョイント部材の斜視図であり、(d)は方立にジョイント部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】通気部材と方立との取り付け方法を示す図であり、通気部材の取り付け手順を示す斜視図である。
【図6】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールの正面図である。
【図7】第2実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−Aと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図8】第3実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−Aと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図9】図8に示すE―E断面図である。
【図10】第4実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−Aと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図11】第4実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すB−Bと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図12】第5実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−A断面図である。
【図13】第5実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すB−Bと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図14】第6実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すH−Hと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図15】第6実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すB−Bと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図16】従来のサッシを用いたカーテンウォールの図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明するが、まず、図1〜図6を参照して本発明の第1実施の形態について説明する。
図1及び図6に示すように、本実施の形態に係るサッシを用いたカーテンウォール(サッシ)1は、窓部5と、窓部5を取付けた方立7とを備えている。窓部5は、パネル3の四周を枠組した窓ユニットである(以下「窓ユニット5」とする)。
図1に示すように、カーテンウォール1の左右端以外では、窓ユニット5は方立7の左右に配置しているが、カーテンウォール1の左右端に位置する方立7は、図3に示すように、左右の一方に窓ユニット5を配置しており、他方は躯体15との間を気密材24で塞いでいる。
図1及び図2に示すように、窓ユニット5は、パネル3を上枠9、下枠11及び左右の竪枠13で枠組してある。図2(b)に示すように、窓ユニット5の上枠9及び下枠11は、方立7の左右に固定した金具12にボルト14及びナット16で固定されている。
【0016】
図1に示すように、方立7は、基部7aと突出部7bとを備えており、基部7aは窓ユニット5よりも室内側に位置している。突出部7bは、基部7aから窓ユニット5の竪枠13の見込面17に対向して位置している。本実施の形態では、基部7aと突出部7bとは別体であり、基部7aと突出部7bとの間に乾式気密材を設けて、基部7aの室外側見付け面に突出部7bを係合すると共にねじで基部7aと突出部7bとを固定してある。
基部7aには中空19が形成してあり、図1及び図2(a)に示すように、基部7aの側部には換気部21が設けてある。換気部21は、開閉自在なスリットであり、スリットを開いて室内に通気するようになっている。
図1に示すように、突出部7bには中空23が形成してあり、突出部7bの中空23は連通孔22により基部7aの中空19に連通している。
突出部7bの見込面25と窓ユニット5の竪枠13の見込面17とには、各々対向する位置に乾式気密材27、29が設けてあり、乾式気密材27、29は方立7の長手方向に亘って設けてあると共に互いに当接して、突出部7bと竪枠13との間を気密にしている。
方立7の突出部7bは、基部7aと連結する室内側部では、左右方向の見付け寸法を、基部7aと略同じ寸法としてあり、基部7aの中空19に連通する中空23を形成している部分では、左右方向の見付け寸法を室内側部よりも狭めて室外側に突出してある。
方立7の突出部7bの先端部には、通気部材31が取り付けてある。方立7と通気部材31の取り付けについては、後述する。
また、方立7の突出部7bの先端部には通気孔35が形成されており、通気部材31が取り込んだ外気を突出部7bの中空23に通気している。
通気部材31は中空36を有し、窓ユニット5の室外側面5よりも室外側に突出する頭部37と被取付部39とを備え、頭部37には、その左右の一側、本実施の形態では正面から見て右側に通気孔41が形成されている。
【0017】
ここで、カーテンウォール1の左右の端に位置する方立7について説明する。図3に示すように、方立7の左右一側には窓ユニット5が取付けてあり、他側には方立7の突出部7bと対向して躯体15が位置している。躯体15と突出部7bとの間は気密材24により気密に保持してあり、気密材24はバックアップ材43と湿式気密材45である。
カーテンウォール1の左右端の方立7には、目板32が取付けてり、方立7の突出部7bには、窓ユニット5の竪枠13に対向する見込み面25において、気密材27、29よりも室外側に通気孔47が形成されている。
【0018】
つぎに、図4及び図5を参照して、方立7と通気部材31の固定について説明する。尚、図5では方立7と通気部材31の上側のみを示している。図4に示すように、方立7の突出部7bの先端にはジョイント部材33a、33bがねじ固定してある。ジョイント部材は図4の(b)(c)で示すように2種類あり、一方のジョイント部材33aと、一方のジョイント部材33aよりも長手方向の寸法が長い他方のジョイント部材33bとである。上下の方立7、7に跨がる部位では、他方のジョイント部材33bを用いており、その他の部位では一方のジョイント部材33aを上下に間隔を空けて配置している。図4及び図1に示すように、各ジョイント部材33a、33bには先端に横断面が鉤状の係合部30が形成してあり、通気部材31の被取付部39に形成された横断面が鉤状の被係合部28に係合している。通気部材31に形成された被係合部28は上下に間隔をあけて形成してあり、図5の(2)に矢印で示すように、方立7の突出部7bの先端に対して通気部材31を下方に所定寸法だけスライドさせることにより、各ジョイント部材33a、33bの各係合部30に通気部材31の被係合部28を係合している。
図5に示すように、通気部材31は本体31aと天板31bとを備えており、図5(1)に示すように、天板31bを方立7の突出部7bの先端にねじ固定し、(2)(3)に示すように、本体31aに係止用ねじ34を取付け、天板31bに形成してある係止部38に上から係止する。尚、天板31bの左右の端には、ねじ34を上下方向に挿通可能な凹み42が形成してある。
方立7と目板32の固定も、通気部材31と同様にして取り付けるものであり、図3において、通気部材31の被取付部39と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
【0019】
次に、第1実施の形態に係るカーテンウォール1の作用効果について説明する。カーテンウォール1の施工は、図1に示すように、方立7の基部7aに突出部7bをねじ固定し、突出部7bの先端部にジョイント部材33a、33bをねじ固定し、図4及び5を用いて説明したように、突出部7bの先端に通気部材31を取り付ける。
また、方立7、7の突出部7bの左右側面に乾式気密材27を取付ける。
窓ユニット5の竪枠13に乾式気密材29を取付け、窓ユニット5を方立7の突出部7bの左側及び右側に配置して、各窓ユニット5の上枠9及び下枠11を金具12にボルト14、ナット16で固定する。このようにして、方立7の突出部7bを左右の窓ユニット5で挟むように配置して、方立7の左右両側に窓ユニット5を取付ける。
図3に示すように、カーテンウォール1の端に位置する方立7では、通気部材31と同様にして目板32を固定し、突出部7bの左右の一方側に窓ユニット5の竪枠13を対向配置して金具12に固定し、突出部7bの他方側は躯体15との間を気密材24で気密にする。
【0020】
本実施の形態にかかるカーテンウォール1によれば、窓ユニット5、5間にある方立7の突出部7bに取り付けた通気部材31の通気孔41から中空36内に外気を取込み、取り込んだ外気は、通気孔35から方立7の突出部7bの中空23を通り、基部7aの中空19を通じて換気部21から室内に取込むことができる。尚、室内の空気は換気部21、方立7の基部7aの中空19、突出部7bの中空23を通じて通気部材31の通気孔41から排出することもできる。
例えば、図1に矢印で示すように風が右から左に向けて吹いているときには、図1に示すように通気部材31の右側に形成された通気孔41から風を取込む。一方、左から右へ風が吹いているときには、通気孔41が減圧になるので、この通気孔41から室内の空気を外気に放出することにより、室内の換気をおこなうことができる。
また、躯体15側に位置する方立7では、風があるか否かにかかわらず、突出部7bには窓ユニット5の竪枠13と対向する位置に通気孔47を設けているので、例えば、室内のドア等をあけて室内が減圧になったときに通気孔47から室内に外気を取り込んで室内の換気を図ることができる。
図1に示すように、方立7の突出部7bは、乾式気密材27、29よりも室外側から外気を取込んでいるので、方立7と窓ユニット5との間から雨水の浸入を防止できる。
方立7の見込面25と窓ユニニット5の見込面17を対抗して配置し、これらの見込面25、17間は気密材29、27で塞いでおり、特許文献1のようにパネルを方立7に嵌め入れていないので、窓ユニット5の窓種がFIX窓のみに制限されることがなく、例えば、縦軸回転窓、外倒し窓や引違い窓等の窓種を用いることもでき、窓種の選択の自由度がある。
方立7を基部7aと突出部7bとで構成し、基部7aに換気部21を内蔵すると共に基部7aを窓ユニット5の室内側に配置し、方立7の突出部7bの室内側見付面部7cの室外側に窓ユニット5の竪枠13を重ねて配置しているので、方立7及び窓ユニット5の竪枠13で構成する竪部材の見付け幅寸法を小さくできる。
また、乾式気密材27、29を用いることにより湿式気密材を用いた場合に比べて養生が不要であるから、短期間での施工ができると共に施工が容易である。
パネル3を枠組した窓ユニット5を方立7の左右両側や左右の一側に配置して、窓ユニット5の上枠9と下枠11を金具12にボルト14とナット16で固定して施工するので、方立をパネル枠として兼用し方立にパネルを取付ける従来技術に比較して施工が容易である。
通気部材31は中空36を有し且つ左右のいずれかの側面に通気孔41が形成してあるから、カーテンウォール1の左右を吹く風を取込んだり、通気孔41が減圧になることを利用して室内の換気を図ることができる。
【0021】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
【0022】
図7を参照して、本発明の第2実施の形態を説明する。この第2実施の形態に係るカーテンウォール1では、通気部材31には、突出部48が形成されており、外側から通気部材31を見たときに通気孔41が突出部48の影になって見え難くしている。
この第2実施の形態によれば、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0023】
図8及び図9を参照して、本発明の第3実施の形態を説明する。この第3実施の形態に係るカーテンウォール1では、方立7の突出部7bには、乾式気密材27、29が取付けてある位置よりも室外側の位置で突出部7bの左右に通気孔47が形成されていると共に突出部7bには通気孔が形成されていない外気案内部材61が取付けてある。
この外気案内部材61は、カーテンウォールの面に沿って吹く左右方向の風を方立7の突出部7bに形成した通気孔47に案内するものである。外気案内部材61は、カーテンウォールの意匠を構成する部材でもあり、種々の形状のものを用いることができる。
方立7の基部7aには、風量調整部51が設けてあり、取込む風の強さが異なる場合でも室内に取込む風量が一定になるように調整されている。風量調整部51には開閉扉53が設けてあり、外気の取込口を開閉できるようになっている。風量調整部51は、通風路58に風受け板54を備え、風受け板54をスプリング56により支持し、風受け板54が受ける風圧により通風路58を狭めたり広げるようになっている。
【0024】
この第3実施の形態によれば、通気部材31の作用効果を除いて第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができると共に、カーテンウォール1の外面を吹く左右方向の風は外気案内部材61により通気孔47に案内されて取り込むことができる。また、無風時に室内が減圧になった場合には、方立7の突出部7bに設けた通気孔47から外気を取込むことができる。
【0025】
図10及び図11を参照して、本発明の第4実施の形態を説明する。この第4実施の形態では、方立7は基部7aと突出部7bとが一体に設けてあると共に基部7aには室内側を向いた正面に換気部21が設けてある。
方立7の見込み面には窓固定部63が突出してあり、窓ユニット5にも見込み面に被固定部65が突出してあり、窓固定部63と被固定部65とをねじ64で固定してある。
また、方立7の突出部7bの見込面25と窓ユニット5の見込面17との間は湿式気密材67が上下方向に亘って設けてある。
【0026】
この第4実施の形態によれば、方立7が基部7aと突出部7bを一体に形成している点、及び方立7と窓ユニット5との間の気密材67が湿式気密材である点を除いて上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
更に、第4実施の形態によれば、方立7は基部7aと突出部7bとを一体にしているので、これらを別体にした場合に比較して方立7の製造が容易にできる。
方立7において、換気部21は室内側を向いた正面に設けているので、換気部21に連通する通気孔69は換気部21側から形成できるので、通気孔69の加工が容易にできる。
方立7に窓固定部63を設け、窓ユニット5にも被固定部65を設けてこれらをねじ64で固定しているので、方立7と窓ユニット5とを容易に固定でき、施工し易い。
方立7を基部7aと突出部7bとで構成し、基部7aに換気部21を内蔵すると共に基部7aを窓ユニット5の室内側に配置し、方立7の基部7aの室外側見付面部の室外側に窓ユニット5の竪枠13を重ねて配置しているので、方立7及び窓ユニット5の竪枠13で構成する竪部材の見付け幅寸法を小さくできる。
方立7の基部7aには、室内側を向いた正面に換気部21を設けており、第1実施の形態のように側面部に換気部を設ける場合に比較して、方立7の基部7aの見込み寸法を小さくできるので、方立7の室内側へ突出寸法を小さくでき、サッシの縦骨としての使用に適している。
また、方立7の基部7aに、室内側を向いた正面に換気部21を設けることで、方立7の突出部7bとの通気を直線状にできるので、通気距離を最小限にできるから通気抵抗を最小限にでき、通気量の向上を図ることができる。
【0027】
図12及び図13を参照して、本発明の第5実施の形態を説明する。この第5実施の形態では、左右の窓ユニット5は異なる窓種であり、図12において左側はFIX窓であり、右側は縦軸回転窓である。
このように、左右の窓種が異なることから各窓の竪枠13の形状が異なっている為、方立7の突出部7bの左右の見込み面に設けた窓固定部63及び湿式気密材67の位置は、左側に設けたFIX窓5では室外側にあり、右側に設けた縦軸回転窓5では室内側にある。
また、第5実施の形態では、方立7に設けた窓固定部63は方立7と別体に設けてねじ71で方立7の見込面25に固定している。
【0028】
この第5実施の形態によれば、上述した第4実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、窓固定部63は方立7と別体に設けてねじ71で固定しているから、方立7と窓ユニット5との固定位置は任意にできるので、窓ユニット5の竪枠13の形状や位置に応じて固定位置を変更できるから、更に窓ユニット5の窓種の選定の自由度が高い。
【0029】
図14及び図15を参照して、本発明の第6実施の形態を説明する。この第6実施の形態では、窓部5は第1〜第5実施の形態のようなユニットでなく、方立7に組み込んだいわゆるノックダウン方式で取付けてある。
即ち、左右の方立7、7に窓枠13をねじ73で固定し、方立7の見込面25に係止部材77をねじ78で固定し、パネル75を窓枠13に組み付けた後、押縁79を方立7の係止部材77に係止している。
この第6実施の形態では、図14に示すように、方立7の突出部7aの基部側の室外側面部の長手方向に窓部5の室内側面に当接する乾式気密材81が設けてある。尚、無目にも乾式気密材が設けてあり、窓部の横枠との間を気密に保持してある。
また、換気部21は、方立7の基部7aにおいて、左右に各々設けてある。
【0030】
この第6実施の形態によれば、方立7と窓ユニット5との間の気密材67が湿式気密材である点を除いて、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができると共に、左右の方立7、7間にノックダウン方式により窓部5を施工できる。
方立7は、基部7aと突出部7bを別体にしているので、窓部5の窓種に応じて突出部7bを他の種類のものに変更することができる。
【0031】
上述した第1〜第3及び第6実施の形態において、方立7の突出部7bは基部7aと別体に設けているので、各実施の形態の突出部7bを付け替えると共に、通気部材31や外気案内部材61や目板32を付け変えるだけで、各実施の形態に変更することができる。
上述した第4及び第5実施の形態では、方立7は、基部7aと突出部7bとを一体にしたが、基部7aと突出部7bとは別体にして、連結するものであっても良い。
第4及び第5実施の形態において、方立7の基部7aと突出部7bとを別体にした場合には、方立7の基部7aと突出部7bとが別体である第1〜第3及び第6実施の形態を含めて総合すると、方立7の基部7aには、換気部21(図1参照)を内蔵するタイプと、風量調整部51(図8参照)を内蔵するタイプがあり、方立7の突出部7bには、見込面に乾式気密材27の取り付ける部(図1参照)を有するタイプと、見込面に窓部5との固定部63(図10参照)を有するタイプと、見込面に窓部5との固定部63を窓部の窓種に応じて任意の位置に取り付け自在にしてある(図12参照)タイプと、窓部5の押し縁79の係止部材77を取り付け自在にしてある(図14参照)タイプとがあり、これらのいずれかの基部7aと突出部7bを選択して組み合わせることで、換気の種類や窓部の種類に応じたバリエーションを図ることができる。
更に、第4及び第5実施の形態において、方立7の基部7aと突出部7bとを別体にした場合には、第6実施の形態に示すように、押し縁79の係止部材77を取り付け自在な突出部7bを用いて窓部5を方立7、7間にノックダウンで組み込む場合と、第1〜第5実施の形態に示すように、ユニットとしてある窓部5を方立7、7間に取付ける場合とを方立7の突出部7bを選択することにより、窓部5の取付け方に応じた施工ができる。
【0032】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1実施の形態において、躯体15側に位置する方立7にも外気案内部材61を取り付けても良いし、全ての方立7に図3に示すような通気孔47を設けると共に目板32を設けても良い。また、第1実施の形態において、全ての方立7に通気部材31を設けても良い。
また、通気部材31や目板32及び外気案内部材61の形状は制限されず、カーテンウォールの意匠や外観に応じて任意の形状にすることができる。
乾式気密材27、29は、方立7の突出部7bと窓ユニット5の竪枠13に設けたが、これに限らず、いずれか一方にのみ設けるものであっても良い。
窓ユニットや窓部5は、FIX窓や縦軸回転窓に限らず、引違い窓、内倒し窓や回転窓等であっても良く、窓種は限定されない。
本発明のサッシは、ビルの壁面を構成するカーテンウォールに用いることに限らず、サッシ単体として用いるものであっても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 カーテンウォール
3 パネル
5 窓ユニット(窓部)
7 方立
7a 基部
7b 突出部
23 突出部の中空
25 見込面
27 乾式気密材(気密材)
29 乾式気密材(気密材)
31 通気部材
32 目板
41 通気部材の通気孔
47 方立突出部の通気孔
61 外気案内部材
67 湿式気密材(気密材)
81 乾式気密材(気密材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、左右に窓部を取付けた方立の内部に、室内と室外とに連通する通気路を形成するサッシが開示されている。
しかし、特許文献1のサッシは、方立が窓枠を兼ねるものであり、施工現場で方立にパネルを嵌め入れたりパネルの周囲をシールする必要があるので、施工現場での施工に手間がかかるという問題があった。また、この特許文献1の技術では、方立にパネルを嵌め入れているので、方立てに取付ける窓種はFIX窓に限られていた。
これに対して、施工が簡単なサッシとして、非特許文献1には、図16に示すように、パネル102の四周を枠組した窓ユニット103を方立101に取り付けたサッシ105が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−180158号公報
【非特許文献1】第144頁 三協立山アルミ「カーテンウォール 総合カタログ 第4版」2011年1月更新 カタログNo.STB0261−D 三協立山アルミニウム株式会社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この非特許文献1のサッシ105では、方立101は窓ユニット103の室内側に設けてあり、左右に隣合う窓ユニット103、103間は乾式気密材107や湿式気密材109により塞いでいる。従って、窓ユニット103を方立101に取付ける種類のサッシでは、従来、方立101により室内と外気との通気を図ることができなかった。
【0005】
そこで、本発明は、窓部を方立に取付けて施工するものであって、方立により室内と外気との通気を図ることができると共に窓種の選択に自由度があるサッシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、窓部と、窓部を取付けた方立とを備え、方立は窓部の室内側に位置する基部と、基部から窓部の見込面に対向して位置する中空の突出部とを有し、基部は室内に通気自在であり、突出部は基部に連通しており、窓部と方立との間には気密材が方立の長手方向に亘って設けてあり、突出部は気密材よりも室外側で外気と通気していることを特徴とするサッシである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、方立の突出部の見込面には、気密材よりも室外側の位置に通気孔が設けてあることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、方立の突出部の先端には、通気部材、外気案内部材又は目板のいずれかが取付け自在であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、通気部材は、中空で且つ左右のいずれかの側面に通気孔が形成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、窓部と方立との間は気密材により気密にしており、方立の突出部は気密材よりも室外側で外気と通気しているので、室内への雨水の浸入を防止しつつ外気との通気を図ることができる。
窓部の見込み面と方立の見込み面とは対向して配置しており、特許文献1のようにパネルを方立に嵌め入れていないので、窓部の窓種がFIX窓のみに制限されることがなく、例えば、縦軸回転窓、外倒し窓や引違い窓等の窓種の選択の自由度がある。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏すると共に、窓部の左右方向に吹く風を取り込み易くなり、換気効率を向上ができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明と同様の効果を奏すると共に、左右方向の風を利用して通気を図りたい場合には通気部材や外気案内部材を取付け、それ以外は目板を取付けることにより、通気のバリエーションを図ることができる。また、通気部材、外気案内部材や目板を選択して取付けることにより、カーテンウォールの外観のバリエーションを図ることもできる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明と同様の効果を奏すると共に、通気孔の位置を風向きに対応させることで、換気効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−A断面図である。
【図2】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、(a)は図6に示すB−B断面図であり、(b)は(a)に示すF部の拡大図である。
【図3】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すC−C断面図である。
【図4】通気部材と方立との取り付け方法を示す図であり、(a)は図1に示すG−G断面図であり、(b)及び(c)はジョイント部材の斜視図であり、(d)は方立にジョイント部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】通気部材と方立との取り付け方法を示す図であり、通気部材の取り付け手順を示す斜視図である。
【図6】第1実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールの正面図である。
【図7】第2実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−Aと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図8】第3実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−Aと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図9】図8に示すE―E断面図である。
【図10】第4実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−Aと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図11】第4実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すB−Bと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図12】第5実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すA−A断面図である。
【図13】第5実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すB−Bと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図14】第6実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すH−Hと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図15】第6実施の形態にかかるサッシを用いたカーテンウォールであり、図6に示すB−Bと同じ位置で切断して示す断面図である。
【図16】従来のサッシを用いたカーテンウォールの図であり、(a)は縦断面図であり、(b)は横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明するが、まず、図1〜図6を参照して本発明の第1実施の形態について説明する。
図1及び図6に示すように、本実施の形態に係るサッシを用いたカーテンウォール(サッシ)1は、窓部5と、窓部5を取付けた方立7とを備えている。窓部5は、パネル3の四周を枠組した窓ユニットである(以下「窓ユニット5」とする)。
図1に示すように、カーテンウォール1の左右端以外では、窓ユニット5は方立7の左右に配置しているが、カーテンウォール1の左右端に位置する方立7は、図3に示すように、左右の一方に窓ユニット5を配置しており、他方は躯体15との間を気密材24で塞いでいる。
図1及び図2に示すように、窓ユニット5は、パネル3を上枠9、下枠11及び左右の竪枠13で枠組してある。図2(b)に示すように、窓ユニット5の上枠9及び下枠11は、方立7の左右に固定した金具12にボルト14及びナット16で固定されている。
【0016】
図1に示すように、方立7は、基部7aと突出部7bとを備えており、基部7aは窓ユニット5よりも室内側に位置している。突出部7bは、基部7aから窓ユニット5の竪枠13の見込面17に対向して位置している。本実施の形態では、基部7aと突出部7bとは別体であり、基部7aと突出部7bとの間に乾式気密材を設けて、基部7aの室外側見付け面に突出部7bを係合すると共にねじで基部7aと突出部7bとを固定してある。
基部7aには中空19が形成してあり、図1及び図2(a)に示すように、基部7aの側部には換気部21が設けてある。換気部21は、開閉自在なスリットであり、スリットを開いて室内に通気するようになっている。
図1に示すように、突出部7bには中空23が形成してあり、突出部7bの中空23は連通孔22により基部7aの中空19に連通している。
突出部7bの見込面25と窓ユニット5の竪枠13の見込面17とには、各々対向する位置に乾式気密材27、29が設けてあり、乾式気密材27、29は方立7の長手方向に亘って設けてあると共に互いに当接して、突出部7bと竪枠13との間を気密にしている。
方立7の突出部7bは、基部7aと連結する室内側部では、左右方向の見付け寸法を、基部7aと略同じ寸法としてあり、基部7aの中空19に連通する中空23を形成している部分では、左右方向の見付け寸法を室内側部よりも狭めて室外側に突出してある。
方立7の突出部7bの先端部には、通気部材31が取り付けてある。方立7と通気部材31の取り付けについては、後述する。
また、方立7の突出部7bの先端部には通気孔35が形成されており、通気部材31が取り込んだ外気を突出部7bの中空23に通気している。
通気部材31は中空36を有し、窓ユニット5の室外側面5よりも室外側に突出する頭部37と被取付部39とを備え、頭部37には、その左右の一側、本実施の形態では正面から見て右側に通気孔41が形成されている。
【0017】
ここで、カーテンウォール1の左右の端に位置する方立7について説明する。図3に示すように、方立7の左右一側には窓ユニット5が取付けてあり、他側には方立7の突出部7bと対向して躯体15が位置している。躯体15と突出部7bとの間は気密材24により気密に保持してあり、気密材24はバックアップ材43と湿式気密材45である。
カーテンウォール1の左右端の方立7には、目板32が取付けてり、方立7の突出部7bには、窓ユニット5の竪枠13に対向する見込み面25において、気密材27、29よりも室外側に通気孔47が形成されている。
【0018】
つぎに、図4及び図5を参照して、方立7と通気部材31の固定について説明する。尚、図5では方立7と通気部材31の上側のみを示している。図4に示すように、方立7の突出部7bの先端にはジョイント部材33a、33bがねじ固定してある。ジョイント部材は図4の(b)(c)で示すように2種類あり、一方のジョイント部材33aと、一方のジョイント部材33aよりも長手方向の寸法が長い他方のジョイント部材33bとである。上下の方立7、7に跨がる部位では、他方のジョイント部材33bを用いており、その他の部位では一方のジョイント部材33aを上下に間隔を空けて配置している。図4及び図1に示すように、各ジョイント部材33a、33bには先端に横断面が鉤状の係合部30が形成してあり、通気部材31の被取付部39に形成された横断面が鉤状の被係合部28に係合している。通気部材31に形成された被係合部28は上下に間隔をあけて形成してあり、図5の(2)に矢印で示すように、方立7の突出部7bの先端に対して通気部材31を下方に所定寸法だけスライドさせることにより、各ジョイント部材33a、33bの各係合部30に通気部材31の被係合部28を係合している。
図5に示すように、通気部材31は本体31aと天板31bとを備えており、図5(1)に示すように、天板31bを方立7の突出部7bの先端にねじ固定し、(2)(3)に示すように、本体31aに係止用ねじ34を取付け、天板31bに形成してある係止部38に上から係止する。尚、天板31bの左右の端には、ねじ34を上下方向に挿通可能な凹み42が形成してある。
方立7と目板32の固定も、通気部材31と同様にして取り付けるものであり、図3において、通気部材31の被取付部39と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その詳細な説明を省略する。
【0019】
次に、第1実施の形態に係るカーテンウォール1の作用効果について説明する。カーテンウォール1の施工は、図1に示すように、方立7の基部7aに突出部7bをねじ固定し、突出部7bの先端部にジョイント部材33a、33bをねじ固定し、図4及び5を用いて説明したように、突出部7bの先端に通気部材31を取り付ける。
また、方立7、7の突出部7bの左右側面に乾式気密材27を取付ける。
窓ユニット5の竪枠13に乾式気密材29を取付け、窓ユニット5を方立7の突出部7bの左側及び右側に配置して、各窓ユニット5の上枠9及び下枠11を金具12にボルト14、ナット16で固定する。このようにして、方立7の突出部7bを左右の窓ユニット5で挟むように配置して、方立7の左右両側に窓ユニット5を取付ける。
図3に示すように、カーテンウォール1の端に位置する方立7では、通気部材31と同様にして目板32を固定し、突出部7bの左右の一方側に窓ユニット5の竪枠13を対向配置して金具12に固定し、突出部7bの他方側は躯体15との間を気密材24で気密にする。
【0020】
本実施の形態にかかるカーテンウォール1によれば、窓ユニット5、5間にある方立7の突出部7bに取り付けた通気部材31の通気孔41から中空36内に外気を取込み、取り込んだ外気は、通気孔35から方立7の突出部7bの中空23を通り、基部7aの中空19を通じて換気部21から室内に取込むことができる。尚、室内の空気は換気部21、方立7の基部7aの中空19、突出部7bの中空23を通じて通気部材31の通気孔41から排出することもできる。
例えば、図1に矢印で示すように風が右から左に向けて吹いているときには、図1に示すように通気部材31の右側に形成された通気孔41から風を取込む。一方、左から右へ風が吹いているときには、通気孔41が減圧になるので、この通気孔41から室内の空気を外気に放出することにより、室内の換気をおこなうことができる。
また、躯体15側に位置する方立7では、風があるか否かにかかわらず、突出部7bには窓ユニット5の竪枠13と対向する位置に通気孔47を設けているので、例えば、室内のドア等をあけて室内が減圧になったときに通気孔47から室内に外気を取り込んで室内の換気を図ることができる。
図1に示すように、方立7の突出部7bは、乾式気密材27、29よりも室外側から外気を取込んでいるので、方立7と窓ユニット5との間から雨水の浸入を防止できる。
方立7の見込面25と窓ユニニット5の見込面17を対抗して配置し、これらの見込面25、17間は気密材29、27で塞いでおり、特許文献1のようにパネルを方立7に嵌め入れていないので、窓ユニット5の窓種がFIX窓のみに制限されることがなく、例えば、縦軸回転窓、外倒し窓や引違い窓等の窓種を用いることもでき、窓種の選択の自由度がある。
方立7を基部7aと突出部7bとで構成し、基部7aに換気部21を内蔵すると共に基部7aを窓ユニット5の室内側に配置し、方立7の突出部7bの室内側見付面部7cの室外側に窓ユニット5の竪枠13を重ねて配置しているので、方立7及び窓ユニット5の竪枠13で構成する竪部材の見付け幅寸法を小さくできる。
また、乾式気密材27、29を用いることにより湿式気密材を用いた場合に比べて養生が不要であるから、短期間での施工ができると共に施工が容易である。
パネル3を枠組した窓ユニット5を方立7の左右両側や左右の一側に配置して、窓ユニット5の上枠9と下枠11を金具12にボルト14とナット16で固定して施工するので、方立をパネル枠として兼用し方立にパネルを取付ける従来技術に比較して施工が容易である。
通気部材31は中空36を有し且つ左右のいずれかの側面に通気孔41が形成してあるから、カーテンウォール1の左右を吹く風を取込んだり、通気孔41が減圧になることを利用して室内の換気を図ることができる。
【0021】
以下に本発明の他の実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
【0022】
図7を参照して、本発明の第2実施の形態を説明する。この第2実施の形態に係るカーテンウォール1では、通気部材31には、突出部48が形成されており、外側から通気部材31を見たときに通気孔41が突出部48の影になって見え難くしている。
この第2実施の形態によれば、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0023】
図8及び図9を参照して、本発明の第3実施の形態を説明する。この第3実施の形態に係るカーテンウォール1では、方立7の突出部7bには、乾式気密材27、29が取付けてある位置よりも室外側の位置で突出部7bの左右に通気孔47が形成されていると共に突出部7bには通気孔が形成されていない外気案内部材61が取付けてある。
この外気案内部材61は、カーテンウォールの面に沿って吹く左右方向の風を方立7の突出部7bに形成した通気孔47に案内するものである。外気案内部材61は、カーテンウォールの意匠を構成する部材でもあり、種々の形状のものを用いることができる。
方立7の基部7aには、風量調整部51が設けてあり、取込む風の強さが異なる場合でも室内に取込む風量が一定になるように調整されている。風量調整部51には開閉扉53が設けてあり、外気の取込口を開閉できるようになっている。風量調整部51は、通風路58に風受け板54を備え、風受け板54をスプリング56により支持し、風受け板54が受ける風圧により通風路58を狭めたり広げるようになっている。
【0024】
この第3実施の形態によれば、通気部材31の作用効果を除いて第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができると共に、カーテンウォール1の外面を吹く左右方向の風は外気案内部材61により通気孔47に案内されて取り込むことができる。また、無風時に室内が減圧になった場合には、方立7の突出部7bに設けた通気孔47から外気を取込むことができる。
【0025】
図10及び図11を参照して、本発明の第4実施の形態を説明する。この第4実施の形態では、方立7は基部7aと突出部7bとが一体に設けてあると共に基部7aには室内側を向いた正面に換気部21が設けてある。
方立7の見込み面には窓固定部63が突出してあり、窓ユニット5にも見込み面に被固定部65が突出してあり、窓固定部63と被固定部65とをねじ64で固定してある。
また、方立7の突出部7bの見込面25と窓ユニット5の見込面17との間は湿式気密材67が上下方向に亘って設けてある。
【0026】
この第4実施の形態によれば、方立7が基部7aと突出部7bを一体に形成している点、及び方立7と窓ユニット5との間の気密材67が湿式気密材である点を除いて上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
更に、第4実施の形態によれば、方立7は基部7aと突出部7bとを一体にしているので、これらを別体にした場合に比較して方立7の製造が容易にできる。
方立7において、換気部21は室内側を向いた正面に設けているので、換気部21に連通する通気孔69は換気部21側から形成できるので、通気孔69の加工が容易にできる。
方立7に窓固定部63を設け、窓ユニット5にも被固定部65を設けてこれらをねじ64で固定しているので、方立7と窓ユニット5とを容易に固定でき、施工し易い。
方立7を基部7aと突出部7bとで構成し、基部7aに換気部21を内蔵すると共に基部7aを窓ユニット5の室内側に配置し、方立7の基部7aの室外側見付面部の室外側に窓ユニット5の竪枠13を重ねて配置しているので、方立7及び窓ユニット5の竪枠13で構成する竪部材の見付け幅寸法を小さくできる。
方立7の基部7aには、室内側を向いた正面に換気部21を設けており、第1実施の形態のように側面部に換気部を設ける場合に比較して、方立7の基部7aの見込み寸法を小さくできるので、方立7の室内側へ突出寸法を小さくでき、サッシの縦骨としての使用に適している。
また、方立7の基部7aに、室内側を向いた正面に換気部21を設けることで、方立7の突出部7bとの通気を直線状にできるので、通気距離を最小限にできるから通気抵抗を最小限にでき、通気量の向上を図ることができる。
【0027】
図12及び図13を参照して、本発明の第5実施の形態を説明する。この第5実施の形態では、左右の窓ユニット5は異なる窓種であり、図12において左側はFIX窓であり、右側は縦軸回転窓である。
このように、左右の窓種が異なることから各窓の竪枠13の形状が異なっている為、方立7の突出部7bの左右の見込み面に設けた窓固定部63及び湿式気密材67の位置は、左側に設けたFIX窓5では室外側にあり、右側に設けた縦軸回転窓5では室内側にある。
また、第5実施の形態では、方立7に設けた窓固定部63は方立7と別体に設けてねじ71で方立7の見込面25に固定している。
【0028】
この第5実施の形態によれば、上述した第4実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、窓固定部63は方立7と別体に設けてねじ71で固定しているから、方立7と窓ユニット5との固定位置は任意にできるので、窓ユニット5の竪枠13の形状や位置に応じて固定位置を変更できるから、更に窓ユニット5の窓種の選定の自由度が高い。
【0029】
図14及び図15を参照して、本発明の第6実施の形態を説明する。この第6実施の形態では、窓部5は第1〜第5実施の形態のようなユニットでなく、方立7に組み込んだいわゆるノックダウン方式で取付けてある。
即ち、左右の方立7、7に窓枠13をねじ73で固定し、方立7の見込面25に係止部材77をねじ78で固定し、パネル75を窓枠13に組み付けた後、押縁79を方立7の係止部材77に係止している。
この第6実施の形態では、図14に示すように、方立7の突出部7aの基部側の室外側面部の長手方向に窓部5の室内側面に当接する乾式気密材81が設けてある。尚、無目にも乾式気密材が設けてあり、窓部の横枠との間を気密に保持してある。
また、換気部21は、方立7の基部7aにおいて、左右に各々設けてある。
【0030】
この第6実施の形態によれば、方立7と窓ユニット5との間の気密材67が湿式気密材である点を除いて、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができると共に、左右の方立7、7間にノックダウン方式により窓部5を施工できる。
方立7は、基部7aと突出部7bを別体にしているので、窓部5の窓種に応じて突出部7bを他の種類のものに変更することができる。
【0031】
上述した第1〜第3及び第6実施の形態において、方立7の突出部7bは基部7aと別体に設けているので、各実施の形態の突出部7bを付け替えると共に、通気部材31や外気案内部材61や目板32を付け変えるだけで、各実施の形態に変更することができる。
上述した第4及び第5実施の形態では、方立7は、基部7aと突出部7bとを一体にしたが、基部7aと突出部7bとは別体にして、連結するものであっても良い。
第4及び第5実施の形態において、方立7の基部7aと突出部7bとを別体にした場合には、方立7の基部7aと突出部7bとが別体である第1〜第3及び第6実施の形態を含めて総合すると、方立7の基部7aには、換気部21(図1参照)を内蔵するタイプと、風量調整部51(図8参照)を内蔵するタイプがあり、方立7の突出部7bには、見込面に乾式気密材27の取り付ける部(図1参照)を有するタイプと、見込面に窓部5との固定部63(図10参照)を有するタイプと、見込面に窓部5との固定部63を窓部の窓種に応じて任意の位置に取り付け自在にしてある(図12参照)タイプと、窓部5の押し縁79の係止部材77を取り付け自在にしてある(図14参照)タイプとがあり、これらのいずれかの基部7aと突出部7bを選択して組み合わせることで、換気の種類や窓部の種類に応じたバリエーションを図ることができる。
更に、第4及び第5実施の形態において、方立7の基部7aと突出部7bとを別体にした場合には、第6実施の形態に示すように、押し縁79の係止部材77を取り付け自在な突出部7bを用いて窓部5を方立7、7間にノックダウンで組み込む場合と、第1〜第5実施の形態に示すように、ユニットとしてある窓部5を方立7、7間に取付ける場合とを方立7の突出部7bを選択することにより、窓部5の取付け方に応じた施工ができる。
【0032】
本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
例えば、第1実施の形態において、躯体15側に位置する方立7にも外気案内部材61を取り付けても良いし、全ての方立7に図3に示すような通気孔47を設けると共に目板32を設けても良い。また、第1実施の形態において、全ての方立7に通気部材31を設けても良い。
また、通気部材31や目板32及び外気案内部材61の形状は制限されず、カーテンウォールの意匠や外観に応じて任意の形状にすることができる。
乾式気密材27、29は、方立7の突出部7bと窓ユニット5の竪枠13に設けたが、これに限らず、いずれか一方にのみ設けるものであっても良い。
窓ユニットや窓部5は、FIX窓や縦軸回転窓に限らず、引違い窓、内倒し窓や回転窓等であっても良く、窓種は限定されない。
本発明のサッシは、ビルの壁面を構成するカーテンウォールに用いることに限らず、サッシ単体として用いるものであっても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 カーテンウォール
3 パネル
5 窓ユニット(窓部)
7 方立
7a 基部
7b 突出部
23 突出部の中空
25 見込面
27 乾式気密材(気密材)
29 乾式気密材(気密材)
31 通気部材
32 目板
41 通気部材の通気孔
47 方立突出部の通気孔
61 外気案内部材
67 湿式気密材(気密材)
81 乾式気密材(気密材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓部と、窓部を取付けた方立とを備え、方立は窓部の室内側に位置する基部と、基部から窓部の見込面に対向して位置する中空の突出部とを有し、基部は室内に通気自在であり、突出部は基部に連通しており、窓部と方立との間には気密材が方立の長手方向に亘って設けてあり、突出部は気密材よりも室外側で外気と通気していることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
方立の突出部の見込面には、気密材よりも室外側の位置に通気孔が設けてあることを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【請求項3】
方立の突出部の先端には、通気部材、外気案内部材又は目板のいずれかが取付け自在であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサッシ。
【請求項4】
通気部材は、中空で且つ左右のいずれかの側面に通気孔が形成してあることを特徴とする請求項3に記載のサッシ。
【請求項1】
窓部と、窓部を取付けた方立とを備え、方立は窓部の室内側に位置する基部と、基部から窓部の見込面に対向して位置する中空の突出部とを有し、基部は室内に通気自在であり、突出部は基部に連通しており、窓部と方立との間には気密材が方立の長手方向に亘って設けてあり、突出部は気密材よりも室外側で外気と通気していることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
方立の突出部の見込面には、気密材よりも室外側の位置に通気孔が設けてあることを特徴とする請求項1に記載のサッシ。
【請求項3】
方立の突出部の先端には、通気部材、外気案内部材又は目板のいずれかが取付け自在であることを特徴とする請求項1又は2に記載のサッシ。
【請求項4】
通気部材は、中空で且つ左右のいずれかの側面に通気孔が形成してあることを特徴とする請求項3に記載のサッシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−237188(P2012−237188A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−87338(P2012−87338)
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月6日(2012.4.6)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】
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