説明

サフィンゴールの医薬組成物およびその使用方法

本発明は、(a)スフィンゴ脂質と、(b)乳酸と、(c)必要に応じて安定剤とから実質的になる安定な水溶液であって、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が1:1〜10:1である水溶液を提供する。本発明は、(a)乳酸と、(b)約0.1〜約30mg/mlエマルジョンの量で存在するスフィンゴ脂質と、(b)必要に応じて等張剤と、(c)約0.2〜約200mg/mlエマルジョンの量で存在するリン脂質とから実質的になるエマルジョン製剤をさらに提供する。これらの組成物の製造方法および使用方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2003年2月21日に出願された米国仮出願第60/444,536号明細書の利益を主張し、引用することによりその開示全体が本明細書に取り込まれる。
【0002】
(政府支援の表明)
この研究は、国立がん研究所(National Cancer Institute)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)のRapid Access to Interventional Development(RAID)補助金によって一部支援された。
【0003】
[技術分野]
本発明は、スフィンゴ脂質を送達するための医薬組成物、およびスフィンゴ脂質の医薬組成物を使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0004】
サフィンゴール[L(−)−トレオ−ジヒドロスフィンガニン;(2S,3S)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール]は、天然スフィンゴ脂質、スフィンガニン(D(+)−エリトロ−ジヒドロスフィンガニン;(2S,3R)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオール)の合成光学異性体(エナンチオマー)であり、下記構造を有する。
【化1】

【0005】
その立体化学のため、サフィンゴールは、インビトロおよびインビボの両方で、天然のスフィンガニンと比較すると異なる代謝作用を有する(Stoffel,WおよびBister,K.,(1973)「Stereospecificities in the Metabolic Reactions of the four Isomeric Sphinganines(Dihydrosphinganines)in Rat Liver」,Hopper−Seyler’s Z.Physiol.Chem.354:S169−181;Maurer,B.M.et al.,(2000)「「Synergistic Cytotoxicity in Solid Tumor Cell Lines Between N−(4−hydroxyphenyl)retinamide and Modulators of Ceramide Metabolism」J.Natl.Cancer Inst.92:1897−1909;Venkatarman,K.およびFuterman,A.H.,(2001)「Comparison of the metabolism of L−erythro− and L−threo−sphinganines and ceramides in cultured cells and in subcellular fractions」,Biochim Biophys Acta 1530:219−226)。サフィンゴールは、スフィンゴシンキナーゼ阻害剤、および種々の酵素のクラス、プロテインキナーゼC(PKC)、例えばPKCの調節サブユニットで作用する非定型PKCサブクラス,PKC.(PKCζ)になるとの様々な報告がある(Merrill,A.H.,Jr.,et al.,(1986)「Inhibition of phorbol ester−dependent differentiation of human promyelocytic leukemic(HL−60)cells by sphinganine and other long−chain bases」,J.Biol.Chem.261:12610−12615;Hannun,Y.A.,et al.,(1986)Sphingosine inhibition of protein kinase C activity and of phorbol dibutyrate binding in vitro and in human platelets」,J.Biol.Chem.261:12604−12609)。研究所の調査によると、サフィンゴールは、種々の固形癌およびヘマトポエティック(hematopoetic)癌の治療において単剤として、または他の抗癌剤との併用で有効となり得ることが示唆されている(Adams,L.M.et al.,(1993)「Effect of the protein kinase C(PKC)inhibitor SPC−100270 on drug accumulation and cytotoxicity in drug resistant and sensitive tumor cells in vitro」,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.34:410;Adams,L.M.,et al.,(1993)「Combined effect of the chemopotentiator SPC−100270,a protein kinase C(PKC)inhibitor,and doxorubicin(DOX)or cisplatin(CIS)on murine isografts and human tumor xenografts」,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.34:410;Seimann,D.W.,et al.(1993)「Threo−dihydrosphingosine potentiates the in vivo antitumor efficacy of cisplatin and adriamycin」,Proc.Am.Assoc.Cancer Res.34:411;Schwartz,G.K.,et al.(1995)「Potentiation of apoptosis by treatment with the protein kinase C specific inhibitor safingol in mitomycin−C treated gastric cancer cells」,J.Natl.Cancer Inst.8:1394−1399;Maurer,B.M.et al.,(2000),「Synergistic Cytotoxicity in Solid Tumor Cell Lines Between N−(4−hydroxyphenyl)retinamide and Modulators of Ceramide Metabolism」J.Natl.Cancer Inst.92:1897−1909;Amin,H.M.et al.,(2000)「Characterization of apoptosis induced by protein kinase C Inhibitors and its modulation by the caspase pathway in acute promyelocytic leukaemia」,Br.J.Haematol 110:552−562)。サフィンゴールをプロテインキナーゼC阻害剤として使用する好中球中の酸化的バーストの抑制方法が、Bell et al.に付与された米国特許第4,816,450号明細書に記載されている。サフィンゴールと併用した場合に増加した抗癌活性を有し得る化学療法薬を同定するためのあるスクリーニング方法がSchwartz et al.に付与された米国特許第5,821,072号明細書に記載されている。他の化学療法薬とともにプロテインキナーゼC阻害剤としてサフィンゴールを使用するステップからなる癌の治療方法が、Schwartz et al.に付与された米国特許第6,444,638号明細書に記載されている。抗癌剤、または抗癌増強剤としてのサフィンゴールの臨床的開発における障害の1つは、水への溶解性が制限されることであった。サフィンゴールは、乳酸含有溶液中に調製することができるが、サフィンゴールの単純な乳酸溶液は、動物の末梢静脈から与えると血栓静脈炎および赤血球の溶血を引き起こすが、中心静脈カテーテルを介して投与ではこの毒性が軽減された(Kedderis,L.B.et al.,(1995)「Toxicity of the Protein Kinase C Inhibitor Safingol Administered Alone and in Combination with Chemotherapeutic Agents」,Fund.Appl.Toxicol.25:201−217)。さらに、サフィンゴールの単純な乳酸塩酸性溶液は、不安定であり沈殿しやすい。サフィンゴール水中油型エマルジョン製剤が、Lyonsに付与された米国特許第5,677,341号明細書および第5,635,536号明細書に記載されている。Lyonsのエマルジョンは、植物油中で高くなる(5〜30g/100ml)という欠点を有する。Lyonsのエマルジョン製剤は、癌患者の短縮された第I相臨床試験が行われているが、薬物の不足のため時期を早めて終了しており、現在は製造されていない。Schwartz,G.K.et al.,(1997)「A Pilot Clinical/Phamacological Study of the Protein Kinase C−specific Inhibitor Safingol Alone and in Combination with Doxorubicin」,Clin.Cancer Res.3:537−543を参照されたい。したがって、静脈送達用であり、癌などの症状の治療に使用することもできるサフィンゴールの別の製剤が必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書において特に、増加した安定性を有し、貯蔵のため凍結乾燥することが可能な改善されたサフィンゴールの乳酸溶液を報告する。さらに、本明細書において、リン脂質を使用したサフィンゴールエマルジョン組成物の別の調製方法を報告する。興味深いことに、サフィンゴールの水中植物油型エマルジョンの調製への言及で、Lyonsに付与された米国特許第5,635,536号明細書には、「スフィンゴ脂質を従来の大豆油エマルジョン中に混入して、卵黄から精製した混合リン脂質によって安定化させる本発明者の試みはうまくいかず、本出願人は何回もリン脂質で安定化させたスフィンゴ脂質含有脂質エマルジョンの製造を試みたが失敗した」と明確に述べられている。Parikh et al.に付与された米国特許第6,228,399号明細書には、水不溶性物質の微粒子の調製において、少なくとも1種類の非イオン、陰イオン、または陽イオン界面活性剤とリン脂質との併用が記載されている。Parikh et al.に付与された米国特許第5,922,355号明細書には、水不溶性物質の微粒子の調製において、少なくとも1種類の非イオン、陰イオン、または陽イオン界面活性剤をリン脂質と併用し、さらにエネルギーを加えることが記載されている。しかし、LyonsおよびParikhの報告とは対照的に、本発明者らは本明細書において、静脈内送達に有用なスフィンゴ脂質、特にサフィンゴールのリン脂質系エマルジョンの調製方法を記載しており、安定なエマルジョンを得るために追加の油、あるいは非イオン、陰イオン、または陽イオン界面活性剤は不要である。したがって、本発明は、特に、従来のサフィンゴール製剤よりも臨床用途に好ましい成分が使用され、製造が単純であり、構成要素の減少および/または製造の複雑さの軽減のため製造費が削減される。
【0007】
本発明は、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、すなわち「サフィンゴール」の新規医薬組成物を提供する。これらのサフィンゴールの新規医薬組成物は、癌および他の高増殖性疾患の治療に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、本発明は、(a)スフィンゴ脂質と、(b)乳酸と、(c)必要に応じて安定剤とを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる安定な水溶液であって、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が1:1〜10:1である溶液を提供する。
【0009】
別の実施形態においては、本発明は、(a)スフィンゴ脂質と、(b)乳酸と、(c)必要に応じて安定剤とを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる安定な水溶液であって、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が1:1〜10:1である溶液を凍結乾燥する方法によって製造された再構成可能な組成物を提供する。
【0010】
さらに別の実施形態において、本発明は、乳酸中で安定化されたサフィンゴールを含む、これから実質的になる、またはこれからなる安定な水溶液であって、乳酸のL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンまたはサフィンゴールに対するモル比が約3.5:1〜約4:1であり、サフィンゴールが約2.5〜約5.0mg/mlの量で存在し、約20mg/mlの量のエタノールまたは約5mg/mlの量のマンニトールをさらに含む溶液を凍結乾燥する方法によって製造された溶液、および再構成可能な組成物を提供する。
【0011】
別の実施形態において、本発明は、乳酸中のスフィンゴ脂質の安定化された溶液の調製方法であって、(a)スフィンゴ脂質を希薄乳酸溶液中に溶解させるステップであって、スフィンゴ脂質が約0.1〜約30mg/ml溶液の量で存在するステップと、(b)(a)で得られた生成物に安定剤を加えるステップと、(c)必要に応じて、(c)で得られた生成物を凍結乾燥するステップとを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる方法を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の実施形態は、(a)乳酸と、(b)約0.1〜約30mg/ml溶液の量で存在するスフィンゴ脂質と、(c)必要に応じて等張剤と、(d)約0.2〜約200mg/mlエマルジョンの量で存在するリン脂質とを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなるエマルジョン製剤を提供する。
【0013】
別の実施形態において、本発明は、水性媒体中で安定化されたスフィンゴ脂質を含む、これから実質的になる、またはこれからなるエマルジョンの製造方法であって、(a)スフィンゴ脂質を希薄乳酸溶液中に溶解させるステップであって、スフィンゴ脂質が約0.1〜約30mg/ml溶液の量で存在するステップと、(b)必要に応じて等張剤を加えるステップと、(c)(a)または(b)で得られた生成物にリン脂質を加えることで前記エマルジョンを形成するステップとを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる方法を提供する。
【0014】
さらに別の実施形態において、本発明は、上記の新規組成物を投与するステップを含む、これから実質的になる、またはこれからなる、癌の治療を必要とする被験対象の癌の治療方法を提供する。
【0015】
本発明の実施形態は、前述の治療を実施するための薬剤を調製するための上記組成物の使用をさらに提供する。
【0016】
本発明の上記およびその他の目的および態様を、本発明の図面および上述の明細書においてより詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
これより、本発明の上記およびその他の態様を、本明細書に記載される実施形態に関してより詳細に説明する。本発明は、異なる形態でも具現化可能であり、本明細書において説明される実施形態に限定されるよう構成されたものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の開示が徹底的および包括的であり、本発明の範囲が当業者に完全に伝わるように、これらの実施形態が提供されている。
【0018】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明において使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本発明の限定を意図するものではない。本発明の説明、および本明細書において説明される請求項において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかに異なる場合を除けば、複数形も含むことを意図している。
【0019】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それらの記載内容全体が組み入れられる。
【0020】
(1.有効物質)
本発明は最初はサフィンゴールの送達に関連するが、種々の異なる有効物質を使用して本発明を実施することができる。本発明の組成物および製剤に組み込むことができる有効物質の例としては、限定するものではないが、スフィンゴ脂質、例えばスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンすなわち(2S,3S)−2−アミノ−1,3−オクタデカンジオールすなわち「サフィンゴール」、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、およびリゾスフィンゴ脂質が挙げられる。スフィンゴ脂質は、膜中に通常見られる脂質の一群であり、1つの極性頭部と、2つの非極性尾部とを有する。スフィンゴ脂質は、最終的にパルミトイル−CoAおよびセリンから誘導される。これらは、1分子の長鎖アミノアルコールスフィンゴシン(4−スフィンゲニン)またはその誘導体の1つと、必要に応じて1分子の長鎖酸と、極性頭部アルコールと、必要に応じて極性頭部基におけるジエステル結合中のリン酸とで構成される。セラミドは、2つのアシル部分を含有するスフィンゴ脂質である。より複雑な炭水化物含有スフィンゴ脂質、例えばセレブロシドおよびガングリオシドは、セラミドから誘導される。炭水化物を含有するスフィンゴ脂質は、グリコスフィンゴ脂質と呼ばれる。Lehninger et al.,Principles of Biochemistry,3rd ed.(2000)を参照されたい。
【0021】
ジヒドロスフィンゴシン、および異性体のD、L、またはDL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンなどの特定のスフィンゴ脂質は、プロテインキナーゼC(PKC)の阻害剤になると報告されている。Maurer et al.に付与された米国特許第6,368,831号明細書を参照されたい。さらに、前述したようにサフィンゴールがスフィンゴシンキナーゼ阻害剤となることが報告されている。サフィンゴールおよびその他のスフィンゴ脂質が、PKCまたはスフィンゴシンキナーゼの阻害とは異なる本発明の機能に寄与する機能を果たすことを排除するものではない。したがって、この機能を果たすサフィンゴール、およびその他の化合物は、本発明における有効物質となることができ、さらに本発明に含まれることができ、本発明の基礎となる特定の理論に本出願人らが束縛されるものではない。
【0022】
上記の有効化合物は、公知の調剤技術に従って投与用に製剤することができる。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(第9版、1995)を参照されたい。本発明による医薬組成物の製造においては、有効化合物(異性体、およびそれらの生理学的に許容される塩を含む)が、特に、許容される担体と混合されるのが一般的である。当然ながら担体は、製剤中のあらゆる他の成分と適合性であるという意味で許容される必要があり、患者に対して有害であってはならない。担体は、固体または液体、あるいはその両方であってよく、好ましくは単回投与製剤として本発明の化合物とともに製剤される。1種類以上有効化合物を本発明の組成物中に含めることができ、その組成物は、あらゆる周知の調剤技術によって調製することができる。
【0023】
本発明の実施形態による医薬組成物としては、経口、直腸、局所、吸入(例えばエアロゾルを介して)口腔(例えば舌下)、経膣、局所投与(すなわち、気道表面を含めた皮膚および粘膜の両方の表面)、経皮投与、および非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮内、関節内、胸膜内、腹腔内、脳内、動脈内、または静脈内)に好適な医薬組成物が挙げられるが、あらゆる所与の場合で最も好適な経路は、治療すべき症状の性質および重篤度、ならびに使用される個々の有効化合物の性質に依存する。
【0024】
特定の実施形態においては、本発明による医薬組成物は非経口投与に適している。このような非経口製剤は有効化合物を含むことができ、この薬剤は意図する受容者の血液と等張性であることが好ましい。これらの薬剤は、皮下、筋肉内、皮内、髄腔内の注入、硬膜外注射、脳室内への脳室内注射、または静脈内注射によって投与することができる。このような薬剤は、得られる溶液が無菌となり血液と等張性にする物質と本発明の化合物を混合することによって好都合に調製することができる。ある実施形態においては、本発明による医薬組成物は静脈内注射で投与される。
【0025】
有効物質またはそれらの塩以外に、本発明の医薬組成物は、pH調整剤などの他の添加剤を含むことができる。特に、有用なpH調整剤としては、塩酸などの酸、塩基、あるいは乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、またはグルコン酸ナトリウムなどの緩衝剤が挙げられる。さらに、本発明の組成物は微生物防腐剤を含有することができる。有用な微生物防腐剤としては、メチルパラベン、プロピルパラベン、およびベンジルアルコールが挙げられる。典型的には、マルチドーズ用に設計されたバイアルに製剤が入れられる場合に微生物防腐剤が使用される。本発明の医薬組成物は、当分野で周知の技術を使用して凍結乾燥することができる。
【0026】
(2.溶液製剤)
上述の医薬組成物は、公知の調剤技術に従って投与用に医薬用担体中に製剤することができる。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy(第9版、1995)を参照されたい。
【0027】
本発明の実施形態による医薬組成物は、安定な水溶液と、安定なリン脂質含有エマルジョンを含む。
【0028】
本発明の実施形態による医薬組成物は、(a)スフィンゴ脂質と、(b)乳酸と、(c)必要に応じて安定剤とを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる安定な水溶液を含み、この溶液は、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が0.5:1または1:1から10:1または20:1までとなる。
【0029】
スフィンゴ脂質は、当業者によって理解される、および前述したもののあらゆるスフィンゴ脂質であってよい。ある実施形態においては、スフィンゴ脂質は、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンまたはサフィンゴール、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、リゾスフィンゴ脂質、それらの組み合わせ、およびそれらの薬学的に許容される塩であってよい。特定の実施形態においては、スフィンゴ脂質がサフィンゴールである。スフィンゴ脂質は、溶液中に約0.1〜約30mg/mlの量で含まれることができる。特定の実施形態においては、スフィンゴ脂質が、溶液中に約2.5〜約5.0mg/mlの量で含まれることができる。特定の実施形態においては、水性媒体が水である。
【0030】
安定な水溶液中に必要に応じて存在する安定剤は、乳酸溶液中のスフィンゴ脂質の安定性を増加させることができる。安定剤は、乳酸溶液中へのスフィンゴ脂質の溶解性を増加させることもできる。したがって、「安定剤」と「可溶化剤」とは交換可能に使用することができる。さらに、安定剤は、凍結乾燥法における増量剤として機能することもできる。安定剤は、アルコールまたはポリヒドロキシアルコールであってよい。アルコールまたはポリヒドロキシアルコールは約0.5〜約500mg/mlの量で加えることができる。ある実施形態においては、アルコールがエタノールであってよい。ある実施形態においては、ポリヒドロキシアルコールがマンニトールであってよい。特定の実施形態においては、本発明の溶液が約20mg/mlの量のエタノールを含むことができる。別の実施形態においては、本発明の溶液が約5mg/mlの量のマンニトールを含むことができる。
【0031】
本発明の溶液は、特に、さらに改善された貯蔵特性を得るために凍結乾燥することができ、送達に好適な希釈剤、例えば、水または水およびエタノールで再構成して使用することができる。
【0032】
特定の実施形態においては、本発明の安定な溶液は、乳酸中で安定化されたサフィンゴールを含み、乳酸のサフィンゴールに対するモル比が約1:1または3.5:1〜約4:1または6:1であり、サフィンゴールは約2.5〜約5.0mg/mlの量で存在し、この溶液は、約20mg/mlの量のエタノール、または約5mg/mlの量のマンニトールをさらに含む。
【0033】
本発明のある実施形態は、乳酸中のスフィンゴ脂質の安定化された溶液の製造方法をさらに提供する。一般的な合成方法の変法は、当業者には容易に明らかとなるであろうし、それらは本発明の範囲内にあると考えられる。特に、乳酸中のスフィンゴ脂質の安定化された溶液の製造方法は、(a)スフィンゴ脂質を希薄乳酸溶液中に溶解させるステップと、(b)(a)で得られた生成物に安定剤を加えるステップと、(c)必要に応じて(c)で得られた生成物を凍結乾燥するステップとを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる。
【0034】
スフィンゴ脂質およびその量は、安定剤およびその量とともに前述している。ある実施形態においては、本発明の溶液は、濾過、または当業者に公知の他の方法によって滅菌することができる。この溶液は、前述のように凍結乾燥することもできる。
【0035】
(3.エマルジョン製剤)
本発明の実施形態による医薬組成物は、(a)乳酸と、(b)約0.05または0.1〜約30または60mg/ml溶液の量で存在するスフィンゴ脂質と、(c)必要に応じて等張剤と、(d)約0.1または0.2〜約200または400mg/mlエマルジョンの量で存在するリン脂質とを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなるエマルジョン製剤も含む。
【0036】
スフィンゴ脂質は、当業者によって理解される、および前述したもののあらゆるスフィンゴ脂質であってよい。ある実施形態においては、スフィンゴ脂質は、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンまたはサフィンゴール、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、リゾスフィンゴ脂質、それらの組み合わせ、およびそれらの薬学的に許容される塩であってよい。特定の実施形態においては、スフィンゴ脂質がサフィンゴール。ある実施形態においては、サフィンゴールが約2.0mg/ml溶液の量で存在することができる。
【0037】
特定の実施形態においては、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が、約0.5:1または1〜約10:1または20:1となる。別の実施形態においては、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が約2:1であり、乳酸が1.2mg/ml溶液である。特定の実施形態においては、水性媒体が水である。
【0038】
約1〜約100mg/mlの量で等張剤を加えることができる。等張剤は、グルコースなどのアルドース、またはグリセリンなどのアルコール、または当業者に理解されている他の物質であってよい。特定の実施形態においては、等張剤がグルコースである。ある実施形態においては、グルコースが約45〜約50mg/mlの量で存在する。
【0039】
リン脂質は、あらゆる有効な天然または合成リン脂質、または当業者によって理解されるそれらの組み合わせであってよい。そのようなリン脂質の例としては、限定するものではないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、卵リン脂質、大豆リン脂質、およびそれらの組み合わせが挙げられる。リン脂質は、塩添加または脱塩されることができ、水素化または部分水素化されることができ、あるいは天然半合成または合成であってよい。
【0040】
リン脂質は、約0.2〜約200mg/mlエマルジョンの量で存在することができる。特定の実施形態においては、リン脂質混合物がLipoid E80(登録商標)(リポイドKG(Lipoid KG)、ドイツ)であり、Lipoid E80(登録商標)は、約80%w/wのホスファチジルコリン、8%w/wのホスファチジルエタノールアミン、2.5%w/wの非極性脂質、および3%w/wのスフィンゴミエリンである。別の実施形態においては、Lipoid E80(登録商標)が20mg/mlエマルジョンで存在する。
【0041】
したがって、本発明のリン脂質系エマルジョンが、最小限の植物油含有率を有する。ある実施形態においては、エマルジョンは約5%未満または約10%未満の植物油を有する。特定の実施形態においては、エマルジョンに植物油が存在しない、すなわち、エマルジョンが植物油を実質的に含有しない。
【0042】
ある実施形態においては、本発明のエマルジョンの平均粒径が約0.2μm未満である。特定の実施形態においては、本発明のエマルジョンの平均粒径が約0.03μm未満である。
【0043】
特定の実施形態においては、本発明のエマルジョンは、約2℃〜約8℃の温度で貯蔵した場合に少なくとも3か月の貯蔵寿命を有する。ある実施形態においては、エマルジョンは、約2℃〜約8℃の温度で貯蔵した場合に少なくとも6か月の貯蔵寿命を有する。別の実施形態においては、エマルジョンは、約2℃〜約8℃の温度で貯蔵した場合に少なくとも9か月の貯蔵寿命を有する。本明細書において使用される場合、「貯蔵寿命」とは、大きな化学的または物理的変化を起こすことなくエマルジョンが維持される時間を意味する。例えば、指定の時間の間、エマルジョンがエマルジョンのままであることができ、外観の実質的な変化または沈殿が生じない。さらに、ある実施形態においては、本発明のエマルジョンは、対照溶液と比較して投与後の血流中の循環時間が増加する。ある実施形態においては、本発明のエマルジョンは、中心静脈カテーテル投与後の肺床からの改善されたクリアランスと、遊離スフィンゴ脂質の肺床への濃縮の減少と、遊離スフィンゴ脂質、特にサフィンゴールの肺内の点濃度が増加するための肺毒性低下の可能性とを示す。
【0044】
本発明の実施形態は、エマルジョン製剤の製造方法をさらに提供する。一般的な合成方法の変法は、当業者には容易に明らかとなるであろうし、それらは本発明の範囲内にあると考えられる。特に、エマルジョン製剤の製造方法は、(a)スフィンゴ脂質を希薄乳酸溶液中に溶解させるステップと、(b)必要に応じて等張剤を加えるステップと、(c)(a)または(b)で得られた生成物にリン脂質を加えることによってエマルジョンを形成するステップとを含む、これらから実質的になる、またはこれらからなる。
【0045】
スフィンゴ脂質およびその量、等張剤およびその量、ならびにリン脂質およびその量は前述している。ある実施形態においては、リン脂質を加えてプレエマルジョンを形成することができる。別の実施形態においては、本発明のエマルジョンは、濾過、または当業者に公知の他の方法によって滅菌することができる。
【0046】
(4.治療および投与)
本発明の医薬組成物は、腫瘍、癌、および新生物疾患などの高増殖性疾患、ならびに前悪性および非新生物性または非悪性の高増殖性疾患の治療のために投与することができる。本発明のある実施形態においては、本発明の医薬組成物は、癌細胞中、または腫瘍床中の血管形成のアポトーシスまたはネクローシス、またはその両方を誘導することができる。
【0047】
本発明によって治療することができる腫瘍、癌、および新生物組織の例としては、限定するものではないが、悪性疾患、例えば乳癌;骨肉腫;血管肉腫;線維肉腫および他の肉腫;白血病;リンパ腫;洞腫瘍;卵巣癌、ウレタル(uretal)癌、膀胱癌、前立腺癌、および他の尿生殖器の癌;大腸癌、食道癌、および胃癌、ならびに他の胃腸の癌;肺癌;骨髄腫;膵癌;肝癌;腎臓癌;内分泌癌;皮膚癌;ならびに脳、または中枢神経系および末梢神経(CNS)の悪性または良性の腫瘍、例えば神経膠腫および神経芽細胞腫が挙げられる。
【0048】
前悪性および非新生物性または非悪性の高増殖性疾患の例としては、限定するものではないが、骨髄異形成疾患;子宮頚部上皮内癌;ガードナー症候群などの家族性腸ポリポーシス;口腔白板症;組織球症;ケロイド;血管腫;高増殖性動脈狭窄、炎症性関節炎;関節炎などの角質増殖症および丘疹鱗屑発疹が挙げられる。ウイルスによる高増殖性疾患、例えばいぼ、およびEBVによる疾患(すなわち、感染性単核球症)、瘢痕形成なども挙げられる。本明細書に開示される治療方法は、本明細書で画定される高増殖性疾患に罹患している、その疑いがある、または発症の危険性があるあらゆる被験対象に使用することができる。
【0049】
本発明による治療に適した被験対象としては、限定するものではないが、鳥類および哺乳類の被験対象が挙げられ、好ましくは哺乳類である。本発明の哺乳類としては、限定するものではないが、イヌ、ネコ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ブタ、齧歯類(例えばラットおよびマウス)、ウサギ、霊長類、ヒトなど、および子宮内の哺乳動物が挙げられる。本発明による治療が必要なあらゆる哺乳類被験対象が好適である。ヒト被験対象が好ましい。両方の性およびあらゆる発育段階(すなわち、新生児、乳児、若年、青年、成人)のヒト被験対象を本発明により治療することができる。
【0050】
本発明による鳥類の例としては、ニワトリ、カモ、シチメンチョウ、ガチョウ、ウズラ、キジ、平胸類(例えばダチョウ)、および飼い慣らされた鳥(例えば、オウムおよびカナリア)、ならびに卵の中の鳥が挙げられる。
【0051】
本発明は主としてヒト被験対象の治療に関するが、本発明は、動物被験対象、特に哺乳類被験対象、例えばマウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、およびウマに対して獣医学的目的、ならびに薬物スクリーニングおよび薬物開発の目的で実施することもできる。
【0052】
本明細書において使用される場合、高増殖性疾患の「治療」とは、高増殖性細胞あるいは腫瘍または癌性増殖の本体および集団の殺滅、増殖または寸法増加の阻害または遅延、高増殖性細胞数の減少、あるいは他の解剖学的部位への蔓延、ならびに高増殖性増殖の寸法の減少、または高増殖性細胞数の減少の方法を意味する。本明細書において使用される場合、「治療」は、高増殖性増殖の治癒や完全な廃絶を必ずしも意味しない。本明細書において使用される場合、「治療有効量」は、高増殖性細胞あるいは腫瘍または癌性増殖の殺滅、増殖速度の遅延、高増殖性細胞あるいは腫瘍または癌性増殖の本体の寸法の減少、および/または高増殖性細胞あるいは腫瘍または癌性増殖の数の減少に有効な量である。本発明の範囲内で使用される有効物質の治療有効量は、患者間である程度変動し、患者の年齢および症状、ならびに送達経路などの要因に依存する。増強剤(または複数の増強剤)は、第1の化合物の活性を向上させるのに十分な量で含めることができ、それによってこれら2種類(またはそれを超える)化合物を合わせると、個々の化合物を単独で使用した場合よりも高い治療有効性が得られる(例えば、相乗的相互作用、複合的な毒性の低下などのため)。
【0053】
用量は、当業者に公知の日常的な薬理学的手順によって決定することができる。一般的な提案として、約0.1〜約50mg/kg/日の投与量が治療有効性を有し、全ての重量は有効物質の重量に基づいて計算される。より多い量における毒性の問題によって用量が制限され得る。経口投与の場合、約10mg/kg〜約50mg/kgの用量を使用することができる。サフィンゴールは、約1〜10μM(例えば、7.5μM)のピーク血清レベル、または1または5〜20mg/kg(例えば、10mg/kg)の用量を実現するために静脈内に投与することができる。特定の実施形態においては、本発明によって、より少ない副作用でより多くのサフィンゴールを被験対象に送達することができる。
【0054】
投薬の頻度は、通常、ボーラスとして1日当たり1、2、または3回を、または連続的な静脈内注射によって、または症状の制御のために必要に応じて実施される。治療期間は、治療される症状の種類に依存し、患者の生命が続く限りであってよい。
【0055】
特定の実施形態においては、本発明の有効化合物は、組み合わせて投与することができる。本明細書において使用される場合、2種類以上の化合物の「組み合わせ」の投与は、その2種類の化合物が、一方の存在が他方の生物学的作用を変化させるのに十分な短い時間で投与されることを意味する。これら2種類の化合物は同時(並行して)または連続して投与することができる。同時投与は、投与前にそれらの化合物を混合することによって、または時間は同時であるが、異なる解剖学的部位で、または異なる投与経路を使用して化合物を投与することによって行うことができる。語句「並行投与」、「組み合わせの投与」、「同時投与」、または「同時に投与される」は、本明細書において使用される場合、同時点または一方の直後に化合物が投与されることを意味する。後者の場合、2種類の化合物は、それらの化合物が同時点に投与される場合に実現される場合と観察される結果が区別できないほど十分短い時間間隔で投与される。
【0056】
本明細書に記載の組成物は、Maurer et al.に付与された米国特許第6,368,831号明細書および第6,352,844号明細書(これらの開示全体が本明細書に組み入れられる)などに記載される併用療法に使用することができる。一実施形態において、この併用療法がサフィンゴールおよびフェンレチニドである。
【0057】
これより、以下の実施例を参照しながら本発明のさらなる実施形態を説明する。これらの実施例は本発明の実施形態の説明を目的としており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【実施例1】
【0058】
(乳酸溶液中のサフィンゴールの溶解性および安定性)
種々の濃度でサフィンゴールを使用して以下の溶解性/混和性試験を実施した。以下の表1に示されるように、エタノールによって乳酸/水溶液中のサフィンゴールの溶解性が実質的に増加した。さらに、エタノールを含有するサフィンゴール/乳酸溶液が2〜8℃に冷却された場合に形成される沈殿物は、送達の場合のように室温まで加温すると、エタノールを含有しないサフィンゴール/乳酸溶液中の同様の沈殿物よりも、量が減少し、はるかに容易に溶解した。
【0059】
【表1】

【実施例2】
【0060】
(サフィンゴール溶液の安定性)
液体剤形(乳酸溶液、2%(v/v)エタノール)におけるサフィンゴール薬物安定性の評価を行うために加速安定性試験を実施した。BVLパイロットロットSG012902バイアル(サフィンゴール5.0mg/ml、6mg/ml(4当量)乳酸、2%(v/v)エタノール)およびBVLパイロットロットSG013002バイアル(サフィンゴール2.5mg/ml、3mg/ml乳酸、2%(v/v)エタノール)を安定性のために、室温(25℃±2℃/相対湿度60%±5%)、および加速インキュベーション(40℃±2℃/相対湿度75%±5%)、および50℃オーブン中においた。結果を以下の表2a〜fにまとめており、少なくとも3か月の溶液安定性が示された。
【0061】
【表2A】

【0062】
【表2B】

【0063】
【表2C】

【0064】
【表2D】

【0065】
【表2E】

【0066】
【表2F】

【実施例3】
【0067】
(サフィンゴール溶液の凍結乾燥および凍結乾燥したサフィンゴールの再構成)
薬物の凍結乾燥(フリーズドライ)によって、貯蔵寿命を延長することができ、より高い貯蔵温度が可能となる。凍結乾燥の目的で乳酸/WFI/マンニトール中のサフィンゴールの溶解性を調べた。マンニトールを含有または含有しない5および10mg/mlでサフィンゴールを含有する製剤、およびt−BuOH/WFI製剤について凍結乾燥サイクルを行った(全てWFI=注射用蒸留水で最終体積にした)。以下の表3a〜eおよび表4に見られるように、マンニトールの添加によって、サフィンゴール凍結乾燥を促進する望ましい性質が得られ、送達のため凍結乾燥したサフィンゴールの再構成にエタノール含有溶液を使用すると、発泡が減少し、溶液が沈殿に対して安定化された。
【0068】
【表3】

【0069】
ロットRN102300−1からRN102300−Tの凍結乾燥サイクルは以下の通りであった:
1.0℃に設定した予備冷却した棚の上に製品を置いた。
2.棚を−45℃にし、全ての製品の熱電対が−45℃未満になるまで維持した。
3.104μm〜195μmの窒素スイープを使用して減圧を開始した。
4.棚を−35℃まで上昇させ、43.5時間維持した。
5.棚を−15℃まで上昇させ、約24時間維持した。
6.棚を25℃まで上昇させ、全ての製品の熱電対が24℃を超えるまで維持した。
7.約19μmにおいて最大まで減圧し、約9時間維持した。
8.チャンバーを大気条件にして、バイアルに蓋をした。
【0070】
結果:マンニトールを含有しないバイアルは、ある量が再溶融し(構造が崩壊)、送達のためのそれらの再構成がより困難となった。
【0071】
【表4】

【0072】
ロットRN120500−25および−50ならびにRN072401−25および−50の凍結乾燥サイクルは以下の通りであった:
1.−45℃に設定した予備冷却した棚の上に製品を置いた。
2.全ての製品の熱電対が−45℃未満になるまで棚温度を維持した。
3.100μm〜150μmの窒素スイープを使用して減圧を開始した。
4.棚を−35℃まで上昇させ、および全ての熱電対が−35℃に到達するまで維持した(約3日であった)。
5.棚を−25℃まで上昇させ、全ての熱電対が−25℃に到達するまで維持した(約6.5時間であった)。
6.棚を−10℃まで上昇させ、全ての熱電対が−10℃に到達するまで維持した(約6時間であった)。
7.棚を25℃まで上昇させ、全ての熱電対が25℃に到達するまで維持した(約6.5時間であった)。
8.24時間、最大まで減圧した。
9.チャンバーを大気条件にして、バイアルに蓋をした。
結果:全てのバイアルは均一であり、再溶融は見られなかった。
【0073】
(結果)
t−ブタノールを含有するロットのRN102300−Tは再構成しなかったが、水を加えると濁った白色の混合物を形成した。
【0074】
25mg/バイアルのマンニトール、25mg/バイアルおよび50mg/バイアルのサフィンゴール、ならびに3.5モル当量の乳酸を含有した、凍結乾燥した製品(ロットRN102300−1からRN102300−4、RN120500−25、RN120500−50、RN072401−25、およびRN072401−50)は、1分未満の振盪で再構成した。
【0075】
しかし、これらのロットは、5mLの水で再構成すると激しい発泡が見られた。この泡を分析すると、泡がサフィンゴールを含有することが分かった。泡が安定すると、バイアルの底に沈殿物が形成されることも分かった。
【0076】
次に、凍結乾燥した製品の再構成のための、種々の量のエタノールを含有する希釈溶媒の評価を行った。エタノールは10%v/vおよび25%v/vで使用した。再構成中、25%エタノール溶液では泡の発生は非常にわずかであり、溶液を室温で20分未満維持すると消失し、沈殿物は見られず、再構成後に3日の安定性を示した。10%エタノール溶液で再構成したバイアルは、25%エタノールで再構成したバイアルよりも多くの泡が発生した。10%エタノールで再構成したバイアル中には24時間後に沈殿物は認められなかった。
【実施例4】
【0077】
(サフィンゴールエマルジョンの調製)
サフィンゴールエマルジョンの製造の代表的方法を以下に説明する。一般的な合成方法の変形は当業者には容易に明らかとなるであろうし、本発明の範囲内であると見なされる。
【0078】
【表5】

【0079】
【表6】

【0080】
(プロセスの外観)
(プレエマルジョンの調製)
このエマルジョン製品を製造するために、最初に、ローター/ステーター式均質化ミキサーを使用して薬物および賦形剤を混合する。この段階でプレエマルジョンは均一に見えるが、広い粒径分布を有し、エマルジョンとして安定化させ、滅菌濾過が可能となるために、均質化によってさらに粒径を減少させる必要がある。
【0081】
(均質化)
プレエマルジョンを、マイクロフルイダイザー(Microfluidizer)で均質化して、粒径を濾過可能範囲(0.22μm)未満にする。所定のパスにおいてエマルジョンのサンプルを取り出して粒径を監視する。均質化が完了する時点を決定するために粒径測定を使用する。
【0082】
均質化中はマイクロフルイダイザーの十分な冷却が必要であり、両方の水浴を介して冷水の循環を維持する。
【0083】
(A.製剤)
1.配合容器にはジャケットを取り付けるべきであり、シルバーソン(Silverson)(ローター/ステーター式ミキサー)およびプロップ(prop)ミキサーを有する。
2.最終バッチQS重量の70%となる量の注射用蒸留水(USP/EP)を加える。温度範囲:+15℃〜+30℃。
3.プロップミキサーの混合を開始する(800rpm〜1,200rpm)。
4.乳酸(USP)を加える。
5.注射用蒸留水で3回洗浄するが、全量は全バッチ重量の5.0 %を超えない。
6.プロップミキサーで5分(2分)混合する。
7.デキストロース(USP)を加える。
8.注射用蒸留水(USP/EP)で3回洗浄するが、全量は全バッチ重量の5.0%を超えない。
9.プロップミキサーで10分(2分)混合、または全てのデキストロースが溶解するまで混合する。
10.サフィンゴールを加える。
11.注射用蒸留水(USP/EP)で3回洗浄するが、全量は全バッチ重量の5.0%を超えない。
12.ローター/ステーター式ミキサーで30分(5分)混合、または全てのサフィンゴールが溶解するまで混合する。
13.Lipoid E80(登録商標)を加える。
14.注射用蒸留水(USP/EP)で3回洗浄するが、全量は全バッチ重量の5.0%を超えない。
15.ローター/ステーター式ミキサーで25分(5分)混合、または全てのLipoid E80(登録商標)が溶解するまで混合する。
16.注射用蒸留水(USP/EP)を加えてQSから最終バッチ重量にし、容器温度を+2℃〜+8℃に調整する。
17.溶液をローター/ステーター式ミキサーで10分(2分)混合する
【0084】
(B.マイクロフルイダイザーの設定)
1.マイクロフルイダイザーを設定する。日付と時間を記録する。
2.20リットル〜40リットルのイソプロパノール(USP)を使用してマイクロフルイダイザーを洗浄し、このイソプロパノールは廃棄する。この洗浄手順中マイクロフルイダイザーは5,000psiで作動させる。洗浄液の体積(L)および圧力(psi)を記録する。
3.30リットル〜50リットルの注射用蒸留水(USP/EP)を使用してマイクロフルイダイザーを洗浄し、この水は廃棄する。この洗浄手順中マイクロフルイダイザーは10,000psiで作動させる。流量は約0.84L/分とする。流量が0.5L/分となる場合は、続行する前に相互作用チャンバーをバックフラッシュする必要がある。
4.冷却水供給の温度を+2℃〜+15℃に設定する。注記:冷却水は、相互作用チャンバー冷却ジャケットおよび出口管上のマイクロフルイダイザー冷却ジャケットに供給する。
5.冷水ラインを冷却ジャケットの吸水口および製品冷却ジャケット入口に接続する。
6.洗浄に使用した注射用蒸留水(USP/EP)の残りを、容器、ホース、供給ポンプ弁、およびホモジナイザーから吹き飛ばす。これを実現するには、洗浄水を十分に除去するため、全ての供給弁を開放する必要があり、供給ポンプは高速圧送速度で作動させるべきである。取り込まれた洗浄水をなくすため、全ての供給ポンプおよびホモジナイザー出口弁が開放しているのを1つずつ確認する。
【0085】
(C.均質化)
1.均質化プロセス中、各均質化容器中でプロップミキサーを使用した混合を続ける。
2.プレエマルジョンを、配合容器#2から、ゲルマン・ポリピュア(Gelman Polypure)TDC 1μmフィルター(注射用蒸留水(USP/EP)をあらかじめ流しておいた)を通して、均質化容器#1(底部に出口を有する)まで濾過する。最初の1リットルを廃棄する。約10〜15psigで移動させる。フィルターからのプレエマルジョンの回収を最大にするため、大部分のプレエマルジョンが通過してからも15分∀5分フィルターを加圧し続ける。この時間を記録する。
3.均一化ユニットの供給ポンプおよびポンプラインに注入し、ポンプ空気パージ弁を開放して、プレエマルジョンを元の容器に戻す。
4.均質化プロセスを開始する。マイクロフルイダイザーを17,000psig〜25,000psigで作動させる。推奨される作業圧力範囲は23,000〜25,000psigである。時間および圧力(psig)を記録する。
5.ホモジナイザー出口から均質化容器#2中にエマルジョンを回収する。各パス終了時に、新しく充填された均質化容器の弁を開放し、同時に空となった均質化容器の出口弁を閉じる。ホモジナイザー出口ライン上の三方弁を調整して、次のパスのエマルジョンが空の均質化容器に回収されるようにする。パス記録に従ってQC用のサンプルを採取する。QC結果を待たない。QC規格に適合後の1パスの均質化を行う。必要にパス記録の入力を終了する。
6.履歴情報のために均質化後のpHを測定し記録する。均質化後の典型的なpH範囲は3.0〜4.0である。プロセスが長時間中断される場合は、溶液を+2℃〜+8℃に維持する。
7.許容される粒径結果が得られれば、20mLの「濾過前、均質化後」試料を抜き取り、ホイルに包んで品質管理部に送る。QC結果を待つ。
8.2×20mLの生物負荷試料を抜き取り、環境管理部に提出する。
9.最終重量の均質化されたエマルジョンを得る。
【0086】
表7 イン・プロセス分析
【表7】

【実施例5】
【0087】
(サフィンゴールエマルジョンの安定性)
BVLパイロットロットSG042502について、冷蔵温度(2℃〜8℃)で安定性(上向きおよび倒立)を調べた。分析および粒径を以下の表8に示す。pHおよび外観は以下の表8に示している。製剤の詳細は以下の通りである:
サフィンゴール 2.0 mg/mL
乳酸 1.2 mg/mL
Lipoid e80(登録商標) 20 mg/mL
デキストロース 45 mg/mL
【0088】
表8 分析および粒径
【表8】

【0089】
表9 pHおよび外観
【表9】

【0090】
結果より、本発明のエマルジョンが冷蔵温度で少なくとも3か月安定であり、医薬用に有用となることが分かった。
【0091】
以下の表10に示されるように、さらなる研究から、サフィンゴールエマルジョン(100mg/50mL/バイアル(2mg/ml)が、約2℃〜約8℃の温度で少なくとも9か月安定であったことがわかる。
【0092】
【表10】

【実施例6】
【0093】
(フェンレチニドの許容性および同時投与)
静脈内にフェンレチニドを同時注入した場合に、本発明のサフィンゴールエマルジョンが十分に許容されることを示す試験を実施した。以下の表11にまとめているように、結果から、全体でわずかな肝毒性しか見られなかった。このデータは、本発明のサフィンゴールエマルジョンが静脈内に投与した場合にラットで許容され、したがって、医薬用途に好適であることを示している。
【0094】
【表11】

【0095】
サフィンゴールエマルジョン(サフィンゴール2mg/ml;乳酸:1.2mg/ml;デキストロース45.4mg/ml;Lipoid E80(登録商標)20mg/ml)を、フェンレチニドを使用または非使用で、記載の用量および計画において、フィッシャー(Fisher)ラットに連続注入で静脈内に投与した。エマルジョン(抗癌レチノイド)。D=実験日。
【0096】
以上は本発明の実例であり、本発明を限定するものとして構成されたものではない。本発明は請求項によって定義され、請求項の同等物もその中に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)スフィンゴ脂質と、
(b)乳酸と、
(c)必要に応じて安定剤と
から実質的になり、乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が1:1から10:1である安定な水溶液。
【請求項2】
前記スフィンゴ脂質が、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンまたはサフィンゴール、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、リゾスフィンゴ脂質、それらの組み合わせ、およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
前記スフィンゴ脂質が、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン(「サフィンゴール」)である請求項2に記載の溶液。
【請求項4】
前記スフィンゴ脂質が、約0.1〜約30mg/mlの量で前記溶液中に含まれる請求項1に記載の溶液。
【請求項5】
安定剤をさらに含む請求項1に記載の溶液。
【請求項6】
前記安定剤が、アルコールまたはポリヒドロキシアルコールである請求項5に記載の溶液。
【請求項7】
前記アルコールが、エタノールである請求項6に記載の溶液。
【請求項8】
前記ポリヒドロキシアルコールが、マンニトールである請求項6に記載の溶液。
【請求項9】
請求項1に記載の溶液を凍結乾燥する方法によって製造される再構成可能な組成物。
【請求項10】
乳酸中で安定化されたサフィンゴールを含む溶液であって、乳酸のL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンまたはサフィンゴールに対するモル比が約3.5:1から約4:1であり、サフィンゴールが約2.5〜約5.0mg/mlの量で存在し、前記溶液が、約20mg/mlの量のエタノール、または約5mg/mlの量のマンニトールをさらに含む溶液。
【請求項11】
請求項10に記載の溶液を凍結乾燥する方法によって製造される再構成可能な組成物。
【請求項12】
乳酸中のスフィンゴ脂質の安定化された溶液を製造する方法であって、
(a)前記スフィンゴ脂質を希薄乳酸溶液中に溶解させるステップであって、前記スフィンゴ脂質が約0.1〜約30mg/ml溶液の量で存在するステップと、
(b)(a)で得られた生成物に安定剤を加えるステップと、
(c)(c)で得られた生成物を必要に応じて凍結乾燥するステップとを含む方法。
【請求項13】
癌の治療を必要とする被験対象の癌の治療方法であって、請求項1に記載の溶液の治療有効量を前記被験対象に投与するステップを含む方法。
【請求項14】
前記スフィンゴ脂質が、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、リゾスフィンゴ脂質、それらの組み合わせ、およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記癌が、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、肺癌、皮膚癌、前立腺癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、脳癌、および膵癌からなる群より選択される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が、経口的または非経口的に投与される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が、非経口的に投与される請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が、静脈内に投与される請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記被験対象が、ヒトまたは動物被験対象である請求項13に記載の方法。
【請求項20】
(a)乳酸と、
(b)約0.1〜約30mg/ml溶液の量で存在するスフィンゴ脂質と、
(c)必要に応じて等張剤と、
(d)約0.2〜約200mg/mlエマルジョンの量で存在するリン脂質と
から実質的になるエマルジョン製剤。
【請求項21】
前記スフィンゴ脂質が、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、リゾスフィンゴ脂質、それらの組み合わせ、およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項22】
前記スフィンゴ脂質が、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシンまたはサフィンゴールである請求項21に記載のエマルジョン。
【請求項23】
前記水性媒体が、水である請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項24】
乳酸のスフィンゴ脂質に対するモル比が約1から約10:1である請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項25】
前記等張剤が、グルコースである請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項26】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、卵リン脂質、大豆リン脂質、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項27】
前記エマルジョンの平均粒径が、約0.03μm未満である請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項28】
前記エマルジョンが、約2℃〜約8℃の温度において少なくとも6か月の貯蔵寿命を有する請求項20に記載のエマルジョン。
【請求項29】
水性媒体中で安定化されたスフィンゴ脂質を含むエマルジョンの製造方法であって、
(a)前記スフィンゴ脂質を希薄乳酸溶液中に溶解させるステップであって、前記スフィンゴ脂質が約0.1〜約30mg/ml溶液の量で存在するステップと、
(b)必要に応じて等張剤を加えるステップと、
(c)前記エマルジョンを形成するために、(a)または(b)で得られた生成物にリン脂質を加えるステップと
を含むエマルジョンの製造方法。
【請求項30】
癌の治療を必要とする被験対象の癌の治療方法であって、請求項20に記載のエマルジョンの治療有効量を前記被験対象に投与するステップを含む方法。
【請求項31】
前記スフィンゴ脂質が、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、D−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、L−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、DL−トレオ−ジヒドロスフィンゴシン、リゾスフィンゴ脂質、それらの組み合わせ、およびそれらの薬学的に許容される塩からなる群より選択される請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記リン脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾリン脂質、卵リン脂質、大豆リン脂質、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記癌が、白血病、リンパ腫、神経芽細胞腫、肺癌、皮膚癌、前立腺癌、大腸癌、乳癌、卵巣癌、子宮頚癌、脳癌、および膵癌からなる群より選択される請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記エマルジョンが、経口的または非経口的に投与される請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記エマルジョンが、非経口的に投与される請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記エマルジョンが、静脈内に投与される請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記被験対象が、ヒトまたは動物被験対象である請求項30に記載の方法。

【公表番号】特表2006−518743(P2006−518743A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503721(P2006−503721)
【出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/004960
【国際公開番号】WO2004/075834
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503204428)チルドレンズ・ホスピタル・ロス・アンジェルス・リサーチ・インスティテュート (2)
【Fターム(参考)】