説明

サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法

【課題】亜硫酸水素塩修飾したDNAを得るための、迅速で効率的な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法であって、サンプル中の高分子を化学物質で変換し、必要に応じて化学中間体を除去するか、または、変換し、結果的に生じた修飾された高分子を精製することによる方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
本発明は、サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法であって、サンプル中の高分子を化学物質で変換し、必要に応じて、化学中間体を除去するか、または、変換し、結果的に生じた修飾した高分子を精製することによる方法を含む。
【0002】
脊椎動物および高等植物によって用いられる、遺伝子発現を制御するための1つの方法が、様々な遺伝子のプロモーター領域に局在するCpGアイランドで見られるシトシンのメチル化である。この遺伝子制御方法を研究するために、メチル化シトシンと非メチル化シトシンとを識別するための手法が開発された。1つの方法は、明らかに5−メチル−シトシンを変換しないがシトシンをウラシルに変換するようなやり方で、DNAを化学的に処理することである。Frommer et al. (1992)参照。また、修飾法の重要なパラメータに対する体系的な調査もなされている。Grunau et al. (2001)参照。処理したDNAを、メチル化特異的PCR(MSP)の鋳型として用いてもよい。DNAメチル化およびそれらに関連する方法が、例えば、米国特許出願第20020197639号、同第20030022215号、同第20030032026号、同第20030082600号、同第20030087258号、同第20030096289号、同第20030129620号、同第20030148290号、同第20030157510号、同第20030170684号、同第20030215842号、同第20030224040号、同第20030232351号、同第20040023279号、同第20040038245号、同第20040048275号、同第20040072197号、同第20040086944号、同第20040101843号、同第20040115663号、同第20040132048号、同第20040137474号、同第20040146866号、同第20040146868号、同第20040152080号、同第20040171118号、同第20040203048号、同第20040241704号、同第20040248090号、同第20040248120号、同第20040265814号、同第20050009059号、同第20050019762号、同第20050026183号、同第20050053937号、同第20050064428号、同第20050069879号、同第20050079527号、同第20050089870号、同第20050130172号、同第20050153296号、同第20050196792号、同第20050208491号、同第20050208538号、同第20050214812号、同第20050233340号、同第20050239101号、同第20050260630号、同第20050266458号、同第20050287553号、ならびに米国特許第5786146号、同第6214556号、同第6251594号、同第6331393号、同第6335165号に述べられている。
【0003】
DNA修飾キットが市販されている。それらは、非メチル化シトシンを有する精製したゲノムDNAを、非メチル化シトシンを有さず加えられたウラシルを有するゲノムDNAへと変換するものである。処理は2段階の化学反応であり、亜硫酸水素塩により促進された脱アミノ化反応と、水酸化ナトリウムにより促進された脱スルホン化段階とから成る。一般的に、脱アミノ化反応は液体状で実行され、氷上でのインキュベーションにより終了し、その後、カラム結合バッファーを加える。固相結合および洗浄の後、DNAを溶出させ、脱スルホン化反応を液体中で実行する。エタノールを加えることにより反応を終了させ、修飾したDNAを沈降により精製する。しかしながら、市販のキット(Zymo、Chemicon)はともに、DNAをカラムに結合させたままで脱スルホン化反応を実行し、カラムを洗浄することにより反応が終了するものである。処理したDNAをカラムから溶出させると、MSP解析が可能になる。修飾は冗長なものであり、収率の損失をもたらし、操作誤差を増やす多くの工程が存在する。利用可能な修飾法は全て、精製したゲノムDNAから開始され、それもまた、収率損失をもたらし、操作誤差を増やす多くの工程が存在する冗長なプロセスである。
【0004】
〔発明の概要〕
本発明は、サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法であって、サンプル中の高分子を化学物質で変換し、必要に応じて化学中間体を除去し、または、変換し、結果的に生じた修飾された高分子を精製することによる方法を含む。
【0005】
〔詳細な説明〕
本発明は、サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法であって、サンプル中の高分子を化学物質で変換し、必要に応じて、化学中間体を除去するか、または、変換し、結果的に生じた修飾した高分子を精製することによる方法を含む。
【0006】
高分子は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、DNA、RNA、細胞代謝産物、脂質、炭水化物、タンパク質が含まれるが、これに限定されない。DNAは、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、ウイルスDNA、核DNA、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、細菌DNA、合成DNAが含まれるが、これに限定されない。RNAは、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、rtRNA、tRNA、miRNA、rRNA、mRNAが含まれるが、これに限定されない。細胞代謝産物は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、代謝回路、または、酵素効果により産生されたものが含まれるが、これに限定されない。脂質は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、リポソーム、細胞膜脂質、細胞内膜脂質、細胞外脂質が含まれるが、これに限定されない。炭水化物は、本分野で既知の任意のものが含まれる。それらには、タンパク質結合炭水化物、核酸結合炭水化物が含まれるが、これに限定されない。タンパク質は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、細胞内タンパク質、細胞外タンパク質が含まれるが、これに限定されない。
【0007】
修飾は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、DNAまたはRNAの亜硫酸水素塩、および、ビオチン化;RNAのフッ素化、および、メチル化;脂質の加熱、リポソーム形成、ミセル形成、単層形成、および、二重層形成;炭水化物の酸化、還元、アミノ化、および、脱アミノ化、ならびに;タンパク質のリン酸化、脱リン酸化、メチル化、ビオチン化、アミノ化、脱アミノ化、グリコシル化、および、脱グリコシル化が含まれる。米国特許出願第20070148670号、Chuang et al. (2007)、Emmerechts et al. (2007)、Frommer et al. (1992)、Grunau et al. (2001)、Hurd et al. (2007)、Jin et al. (2007)、Oakeley (1999)、Rathi et al. (2003)、Rein et al. (1998)、Sambrook et al. (2000)、Wu et al. (2007)参照。
【0008】
サンプルは、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、組織、体液、生検サンプル、保存された組織が含まれるが、これに限定されない。組織は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、全臓器、切除臓器、上皮細胞、神経組織、胃腸組織、筋肉、心臓組織、粘膜組織、内皮細胞が含まれるが、これに限定されない。体液は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、全血、血漿、尿、唾液、硝子体、血清が含まれるが、これに限定されない。生検サンプルは、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、細針吸引物、組織切片、および皮膚サンプルが含まれるが、これに限定されない。保存された組織は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、新鮮な凍結組織、パラフィン包埋組織、保存試薬中に保存された組織が含まれるが、これに限定されない。保存試薬は、本分野で既知の任意のものでありうる。ホルマリン、RNAlater(登録商標)、ジメチルスルホキシドが含まれるが、これに限定されない。
【0009】
精製は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、粒子を基材とする精製、沈降、遠心分離、電気泳動による精製、チャージスイッチ(charge switch)が含まれるが、これに限定されない。粒子を基材とする精製は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、アフィニティ精製、サイズ精製、磁気精製が含まれるが、これに限定されない。サイズ精製の粒子は、本分野で既知の任意のものでありうる。限定されないが、シリカを基材とするもの、珪藻土が含まれる。電気泳動分離による精製は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、サイズによる分離、および/または、電荷による分離が含まれるが、これに限定されない。電気泳動分離精製は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、ゲルであって、低分子量ポリマーで形成されたもの、および/または、毛細管で形成されたものによる精製が含まれるが、これに限定されない。
【0010】
本発明は、亜硫酸水素塩修飾したDNAを得るための、迅速で効率的な方法を提供する。本明細書に記載した方法は、従来の方法における多数の工程を効率的に削除し、それにより、すぐれた結果をもたらし、かつ、起こりうる誤差を減らすものである。その上、4〜5時間というかなりの時間節約をも実現する。
【0011】
本発明は、DNAを抽出し修飾する方法であって、DNAサンプルを入手し;DNA中の非メチル化シトシン残基の少なくとも95%を、ウラシル残基に変換するのに十分な時間および十分な条件で、サンプルを、亜硫酸水素塩の所与量とともに、インキュベーションし;サンプル中のDNAをカラムに結合させ;結合したDNAを洗浄し、混在物を取り除き;脱スルホン化を起こすのに十分な時間および十分な条件で、DNAが結合したカラムを、脱スルホン化試薬とともにインキュベーションし;結合したDNAを洗浄し、脱スルホン化試薬を取り除き;亜硫酸水素塩修飾したDNAを、カラムから溶出させることによる方法を提供する。
【0012】
DNAは、約0.01μgから約30μgまでの濃度でありうる。DNAは、本分野で既知の任意の方法により得られうる。また、DNAは、精製したDNA、または、細胞溶解物から直接に得られたDNAでありうる。例えば、細胞溶解物を、本分野で既知の任意の方法により、任意の適切な組織から形成し、亜硫酸水素塩試薬で直接に処理しうる。細胞溶解は、例えば、プロテイナーゼ、および/または、高塩濃度、および/または、界面活性剤か、音波処理か、凍結融解処理か、あるいは、機械的破砕かによりうる。任意の細胞サンプルが、本発明で用いるのに適切であり、組織、体液、生検サンプル、または、保存された組織から得られうる。
【0013】
亜硫酸水素塩試薬は、本分野で既知の任意のものでありうる。それらには、亜硫酸水素ナトリウム、または、メタ亜硫酸水素塩が含まれるが、これに限定されない。他の試薬が、例えば、米国特許出願第20050089898号、同第20050095623号、同第20050153308号に述べられている。
【0014】
工程(b)のインキュベーション条件は、50〜95℃で、約1〜16時間であり、サーモサイクリング(thermocycling)を伴うもの、または、それを伴わないものである。サーモサイクリングは、例えば、70℃で3時間、90℃で1時間、または、50℃〜95℃のサイクリングでありうる。
【0015】
カラムは、本分野で既知の任意のものでありうる。好ましくは、シリカを基材とするものであるか、珪藻土である。脱スルホン化は、本分野で既知の任意の方法によるものでありうる。好ましくは、水酸化ナトリウムおよびアルコールとともに行われる。好ましくは、アルコールは、イソプロパノールまたはエタノールである。より好ましくは、カラムがシリカを基材とするものである場合、アルコールはエタノールであり、カラムが珪藻土である場合、アルコールはイソプロパノールである。脱スルホン化は、約0℃〜約50℃で、好ましくは、約0〜30分から起こり、好ましくは、約5〜15分で起こり、より好ましくは、約15分で起こる。好ましくは、温度はおよそ室温である。
【0016】
修飾した高分子は、本分野で既知の任意の方法により溶出しうる。それらには、水、または、適切なバッファーによるものが含まれるが、これに限定されない。
【0017】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載した発明を説明するために提示しているが、限定するものではない。本明細書で引用された全ての参照文献は、参照により本明細書に組み入れる。
【0018】
〔実施例1〕
≪新鮮な凍結パラフィン包埋組織から得られた細胞溶解物由来のDNAの迅速な亜硫酸水素塩修飾≫
<PBSに入った細胞培養ペレットを含む微量遠心チューブの場合>
・DNA抽出バッファー(75mM NaCl、25mM EDTA、0.5% Tween 20)100μLを加え、56℃で10分間インキュベーションする。
・以下に記載の3M NaOH添加を行う。
【0019】
または、
<5×10ミクロン(以下の)FFPEブロック切片を含む微量遠心チューブの場合>
FFPE切片は脱パラフィン化が必要である。
・チューブにキシレン1 mLを加え、数回反転して混ぜる。
・室温で5分間インキュベーションし、室温で5分間全速遠心分離する。
・任意のペレットを取り除かないように、上澄みを取り除く。
・1 mLキシレン抽出をくり返す。
・ペレットにEtOH(100%)1 mLを加え、反転してやさしく混ぜる。
・室温、5分間、全速で遠心分離する。
・任意のペレットを取り除かないように、ピペットでEtOHを注意深く取り除く。
・EtOH洗浄をくり返す。
・微量遠心チューブのふたを開けた状態で、37℃のヒートブロック中でペレットを乾燥させる。
【0020】
FFPEサンプルのための抽出/修飾法
・抽出バッファー(10mM Tris, pH 8.0、150mM NaCl、2mM EDTA、0.5% SDS)90μLとプロテイナーゼK 10μLとを加え、56℃で一晩インキュベーションする。
・インキュベーション後、抽出物は透明であるべきである。もしそうでないならば、プロテイナーゼK 10μLを加え、1時間インキュベーションする。
・溶解物が透明になるまで繰り返し、以下に記載の3M NaOH添加を行う。
【0021】
・1/10容量の3M NaOHを加え、56℃で10分間インキュベーションする。
・10mMヒドロキノンを含む亜硫酸水素ナトリウム飽和溶液(pH 5.0)2容量を加え、70℃で3時間、暗所でインキュベーションする。
・10分間氷上でインキュベーションして、反応を止める。0.5容量のイソプロパノールを加え、やさしくボルテックスするか、上下にピペットする。
・サンプルをQiagen DNA精製カラム(QiaAmp DNA精製キット)に加え、1分間遠心し、廃棄チューブを空にする。
・AW1洗浄バッファー500μLを加え、1分間遠心し、廃棄チューブを空にする。
・AW2洗浄バッファー500μLを加え、1分間遠心し、廃棄チューブを空にする。
・脱スルホン化バッファー(300mM NaOH、80%イソプロパノール)200μLを加え、室温で10分間インキュベーションし、1分間遠心し、廃棄チューブを空にする。
・AW2洗浄バッファー500μLを加え、1分間遠心し、廃棄チューブを空にし、1分間遠心する。
・AW2洗浄バッファー500μLを加え、1分間遠心し、廃棄チューブを空にし、1分間遠心する。
・TE 50μLで溶出し、新しい1.5 mL微量遠心チューブへと遠心し、-20℃で保存する。
【0022】
手法の効率を、マーカーとしてβ−アクチンおよびGSTP1を用いた、定量PCRを用いて解析する。β−アクチンプロモーターはメチル化されておらず、そのマーカーは、修飾法についての対照として役立つように設計されている。このマーカーにより生ずるCt値は、解析に加えたゲノム相当物の数を反映する。一方、GSTP1プロモーターは、エピジェネティックにメチル化されており、がん化状態を反映しているかもしれない。したがって、GHSTP1マーカーのCt値は、より変動があり、通常β−アクチンのCt値よりも大きい。前立腺FFPEブロックを、Asterandから入手した。“Zymo”処理とは、Zymo ResearchからEZ DNAメチル化キットとして販売されている市販のDNA修飾キットについて言う。2工程法とは、DNA精製キット(Qiagen QiaAmpミニDNA精製キット)およびDNA修飾キット(例えば、Zymoキット)を用いる2つの別々の手法について言う。Zymo1工程法は、3M NaOH工程まではID手法(ID procedure)と同一であるが、Zymo DNA修飾法の後、3M NaOHをM−希釈バッファーで置き換えている。
【0023】
表1に示した細胞培養ペレットを用いた結果は、Qiagen/Zymo2工程法と比較した場合、1工程法がより低いCt値を生じ、すぐれた結果であることを示している。ペアードT検定によると、GSTP1マーカーはP値0.0001であるが、β−アクチンマーカーを用いた方法はP値0.00006であり、互いに有意差が存在することが、統計的に示されている。表2に示した結果は、Zymo1工程方法と比較した場合、ID1工程がより低いCt値を生じており、β−アクチンマーカーがP値0.02であり、GSTP1マーカーがP値0.003であることを示している。
【0024】
しかしながら、表1に示した前立腺FFPEブロックを用いた結果は、細胞培養物によるものとは反対の結果を示しており、Zymo2工程は、1工程方法よりもより低いCt値を生じている。β−アクチンマーカーの結果では、P値0.021により、方法に有意差が存在することが示されている。一方、GSTP1の結果では、P値0.054により、方法におそらく差異が存在することが示唆されている。それらの異なる結果から、組織ブロックを溶解するためには、細胞培養物のための抽出バッファーでは不十分かもしれないことが示唆される。表4の結果は、前立腺組織ブロックを用いる際に、TweenからSDSに切り替え、より強い抽出バッファーを用いて、ID1工程とZymo1工程方法とを比較している。ID1工程方法は、再びすぐれた結果を示している。このことより、表3ですぐれた結果を生じなかったことは、抽出バッファーのためであることが示唆される。β−アクチンマーカーの結果では、P値0.0008により、方法に有意差が存在することが示されている。一方、GSTP1の結果では、P値0.056により、方法におそらく差異が存在することが示唆されている。QPCR解析法は40サイクルのみであるので、解析がCt値を生じることができない場合、Ct値を生ずる解析と比較することは無意味である。失敗した解析を有する2つのサンプルの場合、P値は0.0025であるだろう。このことはGSTP1マーカーを用いた方法に、有意差が存在することを示すものである。
【0025】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【0026】
〔実施例2〕
≪尿から得られたDNAの亜硫酸水素塩処理≫
本実験の目的は、LnCAP細胞および尿から得られた、精製したDNAに対して、DEMキットとZymo EZ修飾キットとを比較することである。10個の標準化した無作為抽出サンプルを2つのキット間で分配した。
・キット(DEM、Zymo)あたり5つのサンプル
・Fast Start Taqを用いて2回実行したPCR(GSTP1、β−アクチン、APC)
【0027】
GSTP1について、ANOVA分析はP値0.663を示し、ペアードT検定は、DEMとZymoとの間に、統計的な差異が全くないということを示している。
【0028】
βアクチンについて、ANOVA分析はP値0.008を示し、ペアードT検定は、DEMとZymoとの間に、統計的な差異が存在することを示している。
【0029】
・結果は、GSTP1については、ZymoおよびDEMキットが同等であることを示している。
・DEMキットを、精製したDNAではなく、組織について最適化した。ProMUでの更なる最適化により、CT値はより低くなりうる。
・DEMキットは、βアクチンのより高い値を示している。
【表5】

【表6】

【0030】
DNAを含む未処理の溶解物、または、精製したDNAの結合は、亜硫酸水素塩変換で存在する高濃度の塩を利用して、シリカゲルを基材とするカラムに独自に結合する。
【0031】
変換試薬を溶解するためだけに、結合に先立って、エタノールをサンプルに加える。
【0032】
・1/10容量のM−希釈バッファーを加え、70℃で20分間インキュベーションし、二本鎖DNAを化学的に変性する。
・2容量のCT変換試薬(Zymo)を加え、70℃で3時間、暗所でインキュベーションする。
・0.5容量のエタノール(100%)を加え、やさしくボルテックスするか、上下にピペットする。
【0033】
<開始容量45μLの尿由来の精製したDNAを含む微量遠心チューブの場合>
・以下に記載のM−希釈バッファー添加を行う。
【0034】
または、
<ホルマリン固定パラフィン包埋の細胞培養ペレット(GSTP1のハイパーメチル化が起こることが既知である)の5×10ミクロン(以下の)FFPEブロック切片を含む微量遠心チューブの場合>
FFPE切片は脱パラフィン化が必要である。
・チューブにキシレン1 mLを加え、数回反転して混ぜる。
・室温で5分間インキュベーションし、室温、5分間、13,200 rpmで遠心分離する。
・任意のペレットを取り除かないように、上澄みを取り除く。
・1 mLキシレン抽出をくり返す。
・ペレットにEtOH(100%) 1 mLを加え、反転してやさしく混ぜる。
・室温、5分間、13,200 rpmで遠心分離する。
・任意のペレットを取り除かないように、ピペットでEtOHを注意深く取り除く。
・EtOH洗浄をくり返す。
・微量遠心チューブのふたを開けた状態で、37℃のヒートブロック中で、約10分間、ペレットを乾燥させて、エタノール残渣を取り除く。
【0035】
FFPEサンプルのための抽出/修飾法
・バッファーATL(Qiagen)35μLとプロテイナーゼK(Qiagen)10μLとを加え、56℃で一晩インキュベーションする。
・インキュベーション後、抽出物は透明で均一であるべきである。
・以下に記載のM−希釈バッファー(Zymo Research)添加を行う。
【0036】
・サンプルをQiagen DNA精製カラム(QiaAmpマイクロDNA精製キット)に加え、13,200 rpmで1分間遠心し、廃棄チューブを空にする。
・AW1洗浄バッファー500μLを加え、1分間、13,200 rpmで遠心し、廃棄チューブを空にする。
・脱スルホン化バッファー(300mM NaOH、90%エタノール)200μLを加え、室温で、20分間インキュベーションし、13,200 rpmで1分間遠心し、廃棄チューブを空にする。
・AW2洗浄バッファー500μLを加え、1分間(13,200 rpm)遠心し、廃棄チューブを空にし、3分間(13,200 rpm)遠心する。
・AE、TE、または、ヌクレアーゼを含まない水20〜25μLで溶出する。カラムを、室温で3分間インキュベーションし、新しい1.5 mL微量遠心チューブへと1分間遠心し、-20℃または-80℃で保管する。
【0037】
〔実施例3〕
≪ラージスケールDNA修飾≫
ラージスケールDNA修飾(large scale DNA modification)が、メチル化特異的PCR法、および、キットを試験する、品質管理のためのパネルを作るために必要かもしれない。
1.TE 225μLに3.0M NaOH溶液27.5μLを加えた全容量中で、前立腺細胞培養細胞株22Rv1ゲノムDNA(ATCC)20μgを変性する。37℃で10分間インキュベーションする。
2.2容量の変換試薬(Zymo)を加え、70℃で3時間インキュベーションし、氷上に10分間置く。
支持マトリクス(Promega)を含む結合バッファー2 mLを加え、シリンジカラム真空装置にそれを加えることにより、DNAを固相支持体に結合させる。真空機を用いて、マトリクスを濾過する。
真空機を用いて、マトリクスを80%IPA 1 mLで洗浄する。
OD脱スルホン化バッファー(80%IPA中に0.3M NaOH)2 mLを加え、室温、10分間インキュベーションする。真空機を用いて、バッファーを取り除く。
真空機を用いて、80%IPA 1 mLで洗浄する。
3.カラムをシリンジから取り除き、1.5 mL微量遠心チューブ溶出液5×200μL中に入れ、その後EB 1 mLを加える。
【0038】
表5は得られた結果を示す。
【表7】

【0039】
この細胞株では、GSTP1プロモーターが非メチル化されていることが知られている。そのため、このマーカーについてはCt値がないことが期待される。
【0040】
〔実施例4〕
≪迅速で効率的な、ゲノムDNAの亜硫酸水素塩修飾のための改良プロトコル≫
EZ DNAメチル化キットは、Zymo Research(Orange, CA)から提供されており、DNAの亜硫酸水素塩修飾を実行するものである。業者が薦めるとおり、修飾するDNAサンプルを、亜硫酸水素塩変換試薬とともに、50℃で12〜16時間インキュベーションする。ここで、この条件を、同程度の質の亜硫酸水素塩変換したDNAを非常に少ない時間で生成するように改良した。異なる時間でいくつかの温度を試験したところ、DNAサンプルを亜硫酸水素塩変換試薬と、70℃で1〜3時間インキュベーションすることにより、キットで薦められている修飾条件に匹敵するような、効率的な亜硫酸水素塩修飾が提供されることが示された。以下のデータは、異なる時間、異なる温度で、亜硫酸水素塩試薬とともにインキュベーションしたDNAサンプルによるメチル化特異的PCR分析を示す。
【0041】
図1は、Veridexが改良した、70℃で2時間または3時間の変換プロトコルが、業者が薦めている50℃で16時間のプロトコルと同等であることを示している。この新しい手法により、この手法は非常に敏速になる。
【0042】
〔実施例5〕
≪DNA抽出およびパラフィン包埋組織由来の修飾のための、迅速で効率的なプロトコル≫
MSP反応で用いる前の、ゲノムDNAの抽出およびその亜硫酸水素塩修飾は、非常に重要な上流の手法を含み、その手法は、このin vitroでの診断解析の一部である。これらの手法には、多くの冗長な工程が含まれるため、時間がかかる可能性があり、サンプル汚染の機会も高まるかもしれない。プロテイナーゼKを含む溶解バッファー(10mM Tris pH 8.0、150mM NaCl、2mM EDTA、0.5%SDS)と、亜硫酸水素塩修飾キットとを組み合わせることにより、これらのサンプルタイプから入手可能なDNAの必要最小量のDNAを回収し修飾するための、迅速で簡単な加工プロトコルを開発した。
【0043】
以下の工程を行った。
1.FFPE組織(生検)(5×10μ切片)をEppendorfチューブに入れる。
2.チューブを簡単に遠心し、キシレン500μLを加え、中程度の速度で簡単にボルテックスする。
3.室温で10分間インキュベーションする。(インキュベーションの間、少なくとも2間隔で、数回反転してサンプルを混合する。)
4.室温、10分間、全速で遠心分離する。
5.ペレットを失わないように、液体を注意深くデカントすることで、上澄みを取り除く。
6.残ったキシレンを取り除くために、エタノール(100%、200プルーフ)500μLをペレットに加える。中程度の速度で簡単にボルテックスし、チューブを5分間立てたままにし、数回反転して混合する。
7.室温、10分間、全速で遠心分離する。
8.ペレットを失わないように、液体を注意深くデカントすることで、エタノールを取り除く。
9.工程7〜10をくり返す。この工程で、液体の大部分がデカントされたことを確認する。
10.ふたを開けた微量遠心チューブを、オーブン中で、50〜55℃、10〜15分間インキュベーションし、残ったエタノールを蒸発させる。次の工程に進む前に、全てのエタノールが蒸発したことを確認する。もしそうでないならば、更に長くインキュベーションする。
【0044】
11.TNES溶解バッファー(10mM Tris pH 8.0、150mM NaCl、2mM EDTA、0.5%SDS)40μLを加え、チューブを軽くはじいて、組織を懸濁する。
12.プロテイナーゼK(20 mg/mL)10μLを加え、簡単にボルテックスし、非常に簡単に遠心する。
13.500 rpmで震盪しながら、ヒートブロック中で、56℃、一晩、サンプルをインキュベーションする。
14.翌朝、チューブを簡単に遠心し、組織が完全に消化されているか確認する。もし組織が何か残っているならば、新鮮なプロテイナーゼK(20 mg/mL)2μLを加え、やさしくボルテックスして混ぜ、500 rpmのヒートブロック中で、56℃、更に1時間インキュベーションする。
15.ヒートブロック上で、70℃、10分間、チューブをインキュベーションし、遠心して、長期間の保管のために-20℃で保管するか、または、ZymoReserchから市販のDNA修飾キットを用いて、抽出したDNAの亜硫酸水素塩修飾を直接行う。
【0045】
16.M−希釈バッファー5μLを、組織溶解物45μLに直接加える。
17.軽くはじくか、上下にピペットして、サンプルを混ぜる。サンプルを簡単に遠心する。1,100 rpmで震盪しながら、ヒートブロック中で、37℃、15分間、サンプルをインキュベーションする。
この15分インキュベーションの間に、CT変換試薬を調整する(業者の指示どおり)。
18.以上の15分インキュベーション後、準備したCT変換試薬100μLを(簡単に遠心後)、各サンプルに加え、軽くボルテックスする(サンプルが濁るかもしれない)。サンプルを簡単に遠心する。アルミホイルで覆ったヒーティングブロック中で、70℃、3時間、サンプルを(1,100 rpmで震盪しながら)インキュベーションする。(CT変換試薬は光感受性であるため、反応を光に暴露することが最小限になるようにする。)
【0046】
19.サンプルを簡単に遠心する。サンプルを氷上で10分間インキュベーションする。
20.M−結合バッファー400μLをサンプルに加え、上下にピペットして混ぜる。
21.上澄み全て(任意の沈降物を含む)をZymo-Spin Iカラムに充填し、カラムを2 mL収集チューブに入れ、15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。流出物を捨てる。
22.M−洗浄バッファー200μLをカラムに加える。
23.15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。流出物を捨てる。
【0047】
24.M−脱スルホン化バッファー200μLをカラムに加え、室温で15分間、カラムを立てたままにする。
25.15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。流出物を捨てる。
26.M−洗浄バッファー200μLをカラムに加える。
27.15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。
28.更なるM−洗浄バッファー200μLをカラムに加える。
29.30秒間、最大速度で遠心分離する(この最後の洗浄のための、より長い遠心時間が、洗浄バッファーの残渣を完全に除去するために必要である)。流出物を捨てる。
30.カラムを清潔な1.5 mLチューブに入れる。
31.M−溶出バッファー25μLをカラムマトリクスに直接加える。室温で1分間、カラムを立てたままにする。1分間、最大速度で遠心分離し、DNAを溶出する。
32.溶出したDNAを-80℃で保管する。
33.MSP反応で、5μLを用いる。
【0048】
以上に説明したプロトコルは、亜硫酸水素塩修飾の前のDNA精製キットの使用を省略しており、それにより、サンプル加工時間を減らし、精製中のDNAの損失を防ぎ、費用を減らし、汚染の機会を低くする。
【0049】
表6は、DNAの亜硫酸水素塩修飾のために直接に組織溶解物を用いることで、Qiagen DNA単離キットを用いて精製したDNAと同程度のCtや、より低いCtでさえも生じることを示している。したがって、ZymoReserch EZ DNAメチル化キットを用いたDNA修飾の前には、DNAの更なる精製は必要ない。また、データは、TNES/PK消化とEZ DNAメチル化キットとを組み合わせることにより、より多くのDNAサンプルが生ずることを示している。
【表8】

【0050】
表7は、Qiagen DNA単離キットを用いることと比較した場合と同程度の結果や、より良い結果でさえもが起こる下流のDNA修飾のために、FFPE生検組織由来の直接の溶解物を、うまく用いることができ、したがって、不必要なDNA精製工程や損失が避けられることを示している。
【表9】

【0051】
がんや様々な他の疾患の翻訳研究のための有益な材料を含む、集められたホルマリン固定パラフィン包埋組織、新鮮に収集された尿、血液サンプルといった患者サンプルで用いるために、DNAメチル化解析を開発する。サンプル加工は、この診断解析の主要な上流部分である。従来、標準的なフェノール−クロロホルム抽出、または、カラムによる手法により、これらのサンプルタイプからDNAを精製し、その後、亜硫酸水素塩修飾法を受けている。パラフィン包埋された集められた組織や体液からのDNAの精製のために、いくつもの市販キットがある。しかしながら、開始組織または体液が非常に少量しか手に入らない場合、このような広範囲な精製中の損失により、DNA収量が著しく低下しうる。DNAの低収量により、下流の解析性能に重大な影響がありうるし、時間もかかりうる。DNAの損失を避けるために、いくつかの研究では、亜硫酸水素溶液修飾プロトコルでの標準を用いて、ゲノムDNAの亜硫酸水素塩修飾のために、直接消化した組織溶解物が用いられてきた。さらなる精製工程を行なわずに下流の亜硫酸水素塩修飾を行なうために、本発明で開発したプロトコル(TNESプロトコルと呼ぶ)は、尿沈降物由来の除タンパク質した溶解組織抽出物、または、溶解細胞を用い、かつ、直接的にZymoReserch EZなどの市販のDNAメチル化キットと共に用いることにより、ゲノムDNAを迅速に効率的に抽出し、亜硫酸水素塩修飾する。その上、本発明は、追加の精製工程中の損失を最小化することにより、マルチプレックスPCR解析性能を改良する。
【0052】
〔実施例6〕
≪尿由来のDNAサンプルの加工≫
A.尿サンプルからDNAを抽出するためのプロトコル(TNESプロトコル)
1.収集後、加工するまで尿を4℃に保つ。
2.ラベルした50 mL Falconポリプロピレンチューブに尿を入れ、前立腺がん患者における脱落腫瘍細胞であるLNCap細胞(10,000細胞/50 mL)をチューブ当たりに混入する。その後、細胞および微粒子を、4℃、3,000×gの遠心分離により、ペレット化する。
3.遠心分離後、ラベルした滅菌50mLチューブに、尿の上澄みを注意深くデカントし、2工程のペレット洗浄を行う。
4.1回目の洗浄について、元の50 mLチューブ中、冷PBS 40 mLで、4℃で、ペレットを洗浄し、チューブをやさしく数回反転し、ペレットを再懸濁し、3,000×gで遠心分離する。洗浄液の大部分をできるかぎり取り除き、チューブの広範囲でペレットを除去することを防止するために、長く細いガラスまたはプラスチックチューブ(汲み出しパスツールピペットまたは長いプラスチックチップ)に取り付けた真空機を用いて、PBS洗浄液を吸引する(洗浄液を捨てる)。
5.2回目の洗浄について、Pipetmanでやさしく上下にピペットして、ペレットをより少ない容量の冷PBS 1 mLに再懸濁する。ペレットを懸濁したら、その後50 mLチューブから1.5 mL微量遠心チューブへ移す。追加のPBS 0.4 mLで、チップと50 mLチューブをすすぎ、1.5mLチューブ中の元の1 mLと組み合わせて、ペレットの大部分をできるかぎり回収する。
6.10,000×gで5分間遠心分離し、汲み出しピペット/プラスチックチップを有す真空吸引により、洗浄液を取り除く。わずかに傾けたチューブを用いて、液体の大部分をできるかぎり取り除く(洗浄液を廃棄する)。洗浄した尿ペレットを含むチューブを、その後、精製した尿の50 mLチューブと同じ箱の中に入れ、輸送するまで-20℃で保管する。
7.洗浄したペレット100μL程度に、TNES溶解バッファー(10mM Tris pH 8.0、150mM NaCl、2mM EDTA、0.5%SDS)100μLを加え、56℃で30分間インキュベーションし、その後、亜硫酸水素塩修飾キットで加工するまで-20℃で保管した(以下のパートBを参照のこと)。細胞のみの場合、TNESバッファー20μLを、細胞懸濁液20μLに加える。
【0053】
B.ZymoResearchのEZ-DNAメチル化キットを用いた、ゲノムDNAの亜硫酸水素ナトリウム修飾
EZ DNAメチル化キットは、Zymo Research(Orange, CA)から提供されており、DNAの亜硫酸水素塩修飾を実行するものである。業者が薦めるとおり、修飾するDNAサンプルを、亜硫酸水素塩変換試薬とともに、50℃で12〜16時間インキュベーションする。ここで、これらの条件を、同程度の質の亜硫酸水素塩変換したDNAを非常に少ない時間で精製するように改良した。いくつかの温度と異なる時間とを試験したところ、DNAサンプルを亜硫酸水素塩変換試薬と、70℃で1〜3時間インキュベーションすることにより、キットで薦められている修飾条件に匹敵するような、効率的な亜硫酸水素塩修飾が提供されることが示された。
【0054】
尿サンプルを加工するためのプロトコルは、以下のとおりである。
<M−洗浄バッファー(キットを使い始める前に調整すること)>
M−洗浄バッファーの調整:M−洗浄バッファー濃縮物に、無水エタノール24 mLを加え、D5001についての最終M−洗浄バッファーを作る(D5002については、エタノール96 mLを用いる)。
1.DNA修飾法
a.M−希釈バッファー5μLを、尿溶解物45μLに直接加える。または、より多くのサンプル量に対しては、M−希釈バッファーと尿未処理溶解物とを、比例的にスケールアップする。例えば、尿溶解物150μLに対しては、M−希釈バッファー20μLと水30μLとを加える(全量200μL)。
b.軽くはじくか、上下にピペットして、サンプルを混ぜる。サンプルを簡単に遠心する。1,100 rpmで震盪しながら、ヒートブロック中で、37℃、15分間、サンプルをインキュベーションする。
この15分インキュベーションの間に、CT変換試薬を調整する(業者の指示どおり)。
c.以上の15分インキュベーション後、準備したCT変換試薬100μLを(簡単に遠心後)、各サンプルに加え(または、スケールアップしたプロトコルでは、CT試薬400μLを加え)、軽くボルテックスする(サンプルが濁るかもしれない)。サンプルを簡単に遠心する。アルミホイルで覆ったヒーティングブロック中で、70℃、3時間、サンプルを(1,100 rpmで震盪しながら)インキュベーションする。(CT変換試薬は光感受性であるため、反応を光暴露することが最小限にするようにする。)
【0055】
2.脱塩
a.サンプルを簡単に遠心する。サンプルを氷上で10分間インキュベーションする。より多い量の尿サンプルの場合、各300μLの2つのチューブに分注する。
b.M−結合バッファー400μLをサンプルに加え、上下にピペットして混ぜる。または、スケールアップした尿サンプルについては、M−結合バッファー800μLを各分液に加え、混ぜ、急速に遠心する。
c.上澄み全て(任意の沈降物を含む)をZymo-Spin Iカラムに充填し、カラムを2 mL収集チューブに入れ、15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。流出物を捨てる。より多いサンプル量については、サンプル全てがカラム上に充填されるまで、分注した各チューブ由来の上澄みを1つずつカラムに加え、遠心分離することにより、この工程をくり返す。
d.M−洗浄バッファー200μLをカラムに加える。
e.15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。流出物を捨てる。
【0056】
3.脱スルホン化、2回目の脱塩、溶出
a.M−脱スルホン化バッファー200μLをカラムに加え、室温で15分間、カラムを立てたままにする。
b.15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。流出物を捨てる。
c.M−洗浄バッファー200μLをカラムに加える。
d.15〜30秒間、最大速度で遠心分離する。
e.更なるM−洗浄バッファー200μLをカラムに加える。
f.30秒間、最大速度で遠心分離する(この最後の洗浄のための、より長い遠心時間が、洗浄バッファーの残渣を完全に除去するために必要である)。流出物を捨てる。
g.カラムを清潔な1.5 mLチューブに入れる。
h.M−溶出バッファー25μLをカラムマトリクスに直接加える。室温で1分間、カラムを立てたままにする。1分間、最大速度で遠心分離し、DNAを溶出する。
i.溶出したDNAを-80℃で保管する。
j.MSP反応で、5μLを用いる。
【0057】
結果:
以上に説明したプロトコルは、亜硫酸水素塩修飾の前のDNA精製キットの使用を省略しており、それにより、サンプル加工時間を減らし、精製中のDNAの損失を防ぎ、費用を減らし、汚染の機会を低くする。
【0058】
表8は、尿50 mLからTNESプロトコルにより加工したDNAサンプルで、Cepheid Smart CyclerでのMSP解析の最終結果を示している。市販のQiagen DNA単離キット(QiAmp Viral RNA kit)を用いて精製したDNAを用いた、以上に説明したTNES/PK消化プロトコルを用いたところ、β−アクチンとGSTP1についてより良いCtが見られる(Ctが3低くなった)。したがって、この方法を用いたDNA修飾の前には、DNAの更なる精製は必要ない。また、データは、TNES/PK消化とEZ DNAメチル化キットとを組み合わせることにより、より多くのDNAサンプルが生ずることを示している。
【0059】
表8:TNESプロトコル、対Qiagen DNA単離キット(LNCaP細胞10,000個/尿50 mL)
【表10】

【0060】
TNES抽出プロトコルの結果は、連続希釈したLNCaP前立腺細胞(健康な提供者から収集した尿50 mLについて10,000個〜100個の範囲で混ぜた)に対してでさえ、より説得力のあるものである。DNA抽出の直後に、亜硫酸水素塩修飾するよう組み合わせたプロトコルにより、2個の市販のキットを組み合わせたものと比べて、前立腺メチル化解析の感度を10倍まで改良できる(表9参照)。TNESプロトコルにより、尿50 mL当たり100個の細胞を検出することができる。その濃度は、Ct値とコピー数分析の両方を用いたQiagenプロトコルでは検出できないものである。
【0061】
表9:TNESプロトコル、対Qiagen DNA単離キット(LNCaP細胞10,000個、1,000個、100個/尿50 mL)
【表11】

【0062】
以上の発明は、理解を明瞭にするために、例示や実施例により幾分か詳細に説明しているが、その説明および実施例は、発明の範囲を限定するものではない。
【0063】
〔参照文献〕

【0064】
〔実施の態様〕
(1)サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法において、
(a)前記サンプル中の前記高分子を化学物質で変換する工程と、
(b)必要に応じて、化学中間体を除去するか、または、変換する工程と、
(c)結果的に生じた修飾された前記高分子を精製する工程と、
を含む、方法。
(2)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子が、DNA、RNA、細胞代謝産物、脂質、炭水化物、および、タンパク質からなる群から選択される、方法。
(3)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子がDNAであり、ウイルスDNA、核DNA、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、細菌DNA、および、合成DNAから選択される、方法。
(4)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子がRNAであり、rtRNA、tRNA、miRNA、rRNA、および、mRNAから選択される、方法。
(5)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子が細胞代謝産物であり、代謝回路、または、酵素効果によって産生される細胞代謝産物から選択される、方法。
(6)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子が脂質であり、リポソーム、細胞膜脂質、細胞内膜脂質、および、細胞外脂質から選択される、方法。
(7)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子が炭水化物であり、タンパク質結合炭水化物、および、核酸結合炭水化物から選択される、方法。
(8)実施態様(1)に記載の方法において、
前記高分子がタンパク質であり、細胞内タンパク質、および、細胞外タンパク質から選択される、方法。
(9)実施態様(3)に記載の方法において、
前記修飾が、亜硫酸水素塩、および、ビオチン化から選択される、方法。
(10)実施態様(4)に記載の方法において、
前記修飾が、フッ素化、および、メチル化から選択される、方法。
【0065】
(11)実施態様(6)に記載の方法において、
前記修飾が、加熱、リポソーム形成、ミセル形成、単層形成、および、二重層形成から選択される、方法。
(12)実施態様(7)に記載の方法において、
前記修飾が、酸化、還元、アミノ化、および、脱アミノ化から選択される、方法。
(13)実施態様(8)に記載の方法において、
前記修飾が、リン酸化、脱リン酸化、メチル化、ビオチン化、アミノ化、脱アミノ化、グリコシル化、および、脱グリコシル化から選択される、方法。
(14) 実施態様(1)に記載の方法において、
前記サンプルが、組織、体液、生検サンプル、および、保存された組織から選択される、方法。
(15)実施態様(1)に記載の方法において、
前記サンプルが組織であり、全臓器、切除臓器組織、上皮細胞、神経組織、胃腸組織、筋肉、心臓組織、粘膜組織、および、内皮細胞から選択される、方法。
(16)実施態様(1)に記載の方法において、
前記サンプルが体液であり、全血、血漿、尿、唾液、硝子体、および、血清から選択される、方法。
(17)実施態様(1)に記載の方法において、
前記サンプルが生検サンプルであり、細針吸引物、組織切片、および、皮膚サンプルから選択される、方法。
(18)実施態様(1)に記載の方法において、
前記サンプルが保存された組織であり、新鮮な凍結組織、パラフィン包埋組織、および、保存試薬中に保存された組織から選択される、方法。
(19)実施態様(18)に記載の方法において、
前記保存試薬が、ホルマリン、RNAlater(登録商標)、および、ジメチルスルホキシドから選択される、方法。
(20)実施態様(1)に記載の方法において、
前記精製が、粒子を基材とする精製、沈降、遠心分離、電気泳動による精製、および、チャージスイッチから選択される、方法。
【0066】
(21)実施態様(20)に記載の方法において、
前記精製が粒子を基材とする精製であり、アフィニティ精製、サイズ精製、および、磁気精製から選択される、方法。
(22)実施態様(21)に記載の方法において、
前記サイズ精製の粒子が、シリカを基材とするもの、および、珪藻土から選択される、方法。
(23)実施態様(20)に記載の方法において、
前記電気泳動による精製が、サイズ、および/または、電荷による、方法。
(24)実施態様(20)に記載の方法において、
前記電気泳動による精製が、低分子量ポリマー、および/または、毛細管で形成されるゲルによる、方法。
(25)DNAを抽出し修飾する方法において、
(a)DNAを含むサンプルを入手する工程と、
(b)前記DNA中の非メチル化シトシン残基の十分量を、ウラシル残基に変換するのに十分な時間および十分な条件で、前記サンプルを、亜硫酸水素塩の所与量とともに、インキュベーションする工程と、
(c)前記サンプル中の前記DNAをカラムにかける工程と、
(d)結合した前記DNAを洗浄し、混在物を除去する工程と、
(e)D脱スルホン化を起こすのに十分な時間および十分な条件で、DNAが結合した前記カラムを、脱スルホン化試薬とともにインキュベーションする工程と、
(f)結合した前記DNAを洗浄し、前記脱スルホン化試薬を除去する工程と、
(g)亜硫酸水素塩修飾された前記DNAを、前記カラムから溶出させる工程と、
を含む、方法。
(26)実施態様(25)に記載の方法において、
方法であって、
(a)細胞サンプルを入手する工程と、
(b)前記細胞サンプルを溶解し、溶解物を入手する、工程と、
を含む方法により、前記DNAが入手される、方法。
(27)実施態様(26)に記載の方法において、
前記溶解物が約0.01〜30μgである、方法。
(28)実施態様(27)に記載の方法において、
前記溶解物が、実施態様(25の工程(b)に記載の前記カラムに、直接にかけられる、方法。
(29)実施態様(25)に記載の方法において、
前記溶解物が、プロテイナーゼ、および/または、高塩濃度、および/または、界面活性剤によるインキュベーション、音波処理、凍結融解処理、あるいは、機械的破砕によって入手される、方法。
(30)実施態様(25)に記載の方法において、
前記亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム、または、メタ亜硫酸水素塩である、方法。
【0067】
(31)実施態様(25)に記載の方法において、
工程(b)の前記インキュベーション条件が、50〜95℃、約1〜16時間であり、
サーモサイクリングを伴うか、または、伴わない、方法。
(32)実施態様(25)に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、pHを変化させて行われる、方法。
(33)実施態様(32)に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、塩基性条件下で行われる、方法。
(34)実施態様(33)に記載の方法において、
前記条件が、水酸化ナトリウム、および、アルコールを含む、方法。
(35)実施態様(34)に記載の方法において、
前記アルコールが、イソプロパノール、または、エタノールである、方法。
(36)実施態様(35)に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、約0℃〜約50℃で、約0〜30分から起こる、方法。
(37)実施態様(36)に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、約15分で起こる、方法。
(38)実施態様(36)に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、室温で起こる、方法。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】生物由来サンプルから単離しないDNA修飾が、単離後のこのような修飾と同等であることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルから事前に抽出せずに高分子を修飾する方法において、
(a)前記サンプル中の前記高分子を化学物質で変換する工程と、
(b)必要に応じて、化学中間体を除去するか、または、変換する工程と、
(c)結果的に生じた修飾された前記高分子を精製する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子が、DNA、RNA、細胞代謝産物、脂質、炭水化物、および、タンパク質からなる群から選択される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子がDNAであり、ウイルスDNA、核DNA、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、細菌DNA、および、合成DNAから選択される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子がRNAであり、rtRNA、tRNA、miRNA、rRNA、および、mRNAから選択される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子が細胞代謝産物であり、代謝回路、または、酵素効果によって産生される細胞代謝産物から選択される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子が脂質であり、リポソーム、細胞膜脂質、細胞内膜脂質、および、細胞外脂質から選択される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子が炭水化物であり、タンパク質結合炭水化物、および、核酸結合炭水化物から選択される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、
前記高分子がタンパク質であり、細胞内タンパク質、および、細胞外タンパク質から選択される、方法。
【請求項9】
請求項3に記載の方法において、
前記修飾が、亜硫酸水素塩、および、ビオチン化から選択される、方法。
【請求項10】
請求項4に記載の方法において、
前記修飾が、フッ素化、および、メチル化から選択される、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法において、
前記修飾が、加熱、リポソーム形成、ミセル形成、単層形成、および、二重層形成から選択される、方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法において、
前記修飾が、酸化、還元、アミノ化、および、脱アミノ化から選択される、方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法において、
前記修飾が、リン酸化、脱リン酸化、メチル化、ビオチン化、アミノ化、脱アミノ化、グリコシル化、および、脱グリコシル化から選択される、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、
前記サンプルが、組織、体液、生検サンプル、および、保存された組織から選択される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、
前記サンプルが組織であり、全臓器、切除臓器組織、上皮細胞、神経組織、胃腸組織、筋肉、心臓組織、粘膜組織、および、内皮細胞から選択される、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法において、
前記サンプルが体液であり、全血、血漿、尿、唾液、硝子体、および、血清から選択される、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、
前記サンプルが生検サンプルであり、細針吸引物、組織切片、および、皮膚サンプルから選択される、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法において、
前記サンプルが保存された組織であり、新鮮な凍結組織、パラフィン包埋組織、および、保存試薬中に保存された組織から選択される、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記保存試薬が、ホルマリン、RNAlater(登録商標)、および、ジメチルスルホキシドから選択される、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法において、
前記精製が、粒子を基材とする精製、沈降、遠心分離、電気泳動による精製、および、チャージスイッチから選択される、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
前記精製が粒子を基材とする精製であり、アフィニティ精製、サイズ精製、および、磁気精製から選択される、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、
前記サイズ精製の粒子が、シリカを基材とするもの、および、珪藻土から選択される、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、
前記電気泳動による精製が、サイズ、および/または、電荷による、方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法において、
前記電気泳動による精製が、低分子量ポリマー、および/または、毛細管で形成されるゲルによる、方法。
【請求項25】
DNAを抽出し修飾する方法において、
(a)DNAを含むサンプルを入手する工程と、
(b)前記DNA中の非メチル化シトシン残基の十分量を、ウラシル残基に変換するのに十分な時間および十分な条件で、前記サンプルを、亜硫酸水素塩の所与量とともに、インキュベーションする工程と、
(c)前記サンプル中の前記DNAをカラムにかける工程と、
(d)結合した前記DNAを洗浄し、混在物を除去する工程と、
(e)脱スルホン化を起こすのに十分な時間および十分な条件で、DNAが結合した前記カラムを、脱スルホン化試薬とともにインキュベーションする工程と、
(f)結合した前記DNAを洗浄し、前記脱スルホン化試薬を除去する工程と、
(g)亜硫酸水素塩修飾された前記DNAを、前記カラムから溶出させる工程と、
を含む、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法において、
方法であって、
(a)細胞サンプルを入手する工程と、
(b)前記細胞サンプルを溶解し、溶解物を入手する、工程と、
を含む方法により、前記DNAが入手される、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法において、
前記溶解物が約0.01〜30μgである、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法において、
前記溶解物が、請求項25の工程(b)に記載の前記カラムに、直接にかけられる、方法。
【請求項29】
請求項25に記載の方法において、
前記溶解物が、プロテイナーゼ、および/または、高塩濃度、および/または、界面活性剤によるインキュベーション、音波処理、凍結融解処理、あるいは、機械的破砕によって入手される、方法。
【請求項30】
請求項25に記載の方法において、
前記亜硫酸水素塩が、亜硫酸水素ナトリウム、または、メタ亜硫酸水素塩である、方法。
【請求項31】
請求項25に記載の方法において、
工程(b)の前記インキュベーション条件が、50〜95℃、約1〜16時間であり、
サーモサイクリングを伴うか、または、伴わない、方法。
【請求項32】
請求項25に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、pHを変化させて行われる、方法。
【請求項33】
請求項32に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、塩基性条件下で行われる、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法において、
前記条件が、水酸化ナトリウム、および、アルコールを含む、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法において、
前記アルコールが、イソプロパノール、または、エタノールである、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、約0℃〜約50℃で、約0〜30分から起こる、方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、約15分で起こる、方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法において、
前記脱スルホン化が、室温で起こる、方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−542216(P2009−542216A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518328(P2009−518328)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/015329
【国際公開番号】WO2008/002680
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(505060347)ベリデックス・エルエルシー (43)
【氏名又は名称原語表記】Veridex,LLC
【住所又は居所原語表記】33 Technology Drive,Warren,NJ 07059,U.S.A.
【Fターム(参考)】