サンプル・プレート
【課題】
【解決手段】開示されるサンプル・プレートは、複数のサンプル・ウェル(19)を備える。各サンプル・ウェル(19)は複数のポケット(21)を備え、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサによりポケット(21)内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア(20A、20B)が挿入される。多重ELISAの実施が可能になるように、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを抗体または抗原で被覆するようにしてもよい。あるいは、試薬ビーズをDNAまたはRNA配列で被覆して、相補的DNAまたはRNA配列の存在を調べる検査を行うためのハイブリダイゼーション用プローブとして作用させるようにしてもよい。
【解決手段】開示されるサンプル・プレートは、複数のサンプル・ウェル(19)を備える。各サンプル・ウェル(19)は複数のポケット(21)を備え、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサによりポケット(21)内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア(20A、20B)が挿入される。多重ELISAの実施が可能になるように、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを抗体または抗原で被覆するようにしてもよい。あるいは、試薬ビーズをDNAまたはRNA配列で被覆して、相補的DNAまたはRNA配列の存在を調べる検査を行うためのハイブリダイゼーション用プローブとして作用させるようにしてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル・プレート、自動装置、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する方法、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を実施するためのキット、核酸プローブ法を実施するためのキット、サンプル・プレートを製造する方法および自動装置の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムに関する。
【0002】
好適な実施形態は、サンプル・プレートに試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する自動試薬ビーズ/マイクロスフェアディスペンサに関する。サンプル・プレートを用いて、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)や他のイムノアッセイ法(免疫測定法)等の診断検査を実施することができる。あるいは、サンプル・プレートを用いて、DNA配列またはRNA配列の検査を実施することも可能である。
【背景技術】
【0003】
イムノアッセイ法は、生物学的製剤の検査に適している。この測定法では、体内で生成される抗体の能力を利用して、バクテリアやウィルス等の異物やホルモン等の体内生成物に関係する可能性のある特異的抗原を認識して、特異的抗原に結合させる。特異的な抗原抗体結合が生じると、発色物質、蛍光物質、または化学発光物質を用いて、あるいは、あまり望ましくはないが、放射性物質を用いて、この結合を検出することができる。放射性物質の使用があまり望ましくないのは、物質の取り扱い、貯蔵および廃棄に関して環境上および安全上の懸念があるためである。同じ原理で、レクチン、リウマチ因子、プロテインAや核酸等を結合パートナーとして用いて、特異的な結合対を形成可能な物質を検出したり定量したりすることも可能である。
【0004】
ELISA法は、特に好適なイムノアッセイ法であり、結合対の一成分をサンプル容器等の不溶性担体表面(以下、「固相」)に結合させて、反応後に、酵素にコンジュゲート(結合)された特異的結合剤(以下、「コンジュゲート」)を用いて、結合対を検出する。ELISA法は当該技術分野で周知であり、長年、研究目的のみならず商業目的でも用いられてきた。イムノアッセイの理論と実践に関しては数多くの本や総説に詳述されている。たとえば、検出測定のための固相の特性や選択、捕捉成分で固相を被覆する方法および試薬、標識の特質と選択、成分を標識する方法等に関する議論がなされている。標準的な教科書の例としては、ELISA and Other Solid Phase Immunoassays, Theoretical and Practical Aspects(ELISAおよび他の固相イムノアッセイ、理論と実践), D.M. KemenyおよびS.J. Challacombe編、John Wiley出版、1988年が挙げられる。このような議論は、他の特異的結合対の測定にも適用される。
【0005】
最も一般的な形態のELISAでは、固相を結合対の一成分で被覆する。一定分量(アリコート)の対象試料を、固体被覆固相を用いて、インキュベート(incubate)し、存在する被分析物を固相上に捕捉する。残った試料と含有されている場合には妨害物質を洗浄除去した後、被分析物質に特異的で、かつ、所定の酵素にコンジュゲート(結合)されている第2の結合剤を固相に加える。2回目のインキュベーションの際に、固相上で捕捉された被分析物がコンジュゲートに結合する。非結合コンジュゲートを除去する2回目の洗浄処理後、その酵素に対する発色基質を固相に加えると、酵素の存在により、基質から発色生成物への変換が開始される。所定時間後、直接または反応終了後に分光光度計を用いて、形成された生成物の量を測定する。
【0006】
以上、バイオアッセイの一般的な方法の概要を説明したが、ELISA法で蛍光発生基質やルミネッセンス(発光)発生基質を用いたり、結合対の第2の成分を蛍光分子や発光性分子で直接標識したり(この場合には、厳密にはELISA法ではないが、処理工程はほとんど同じである)、抗体の代わりに結合剤として核酸や他の特異的対形成剤を用いる等、当該分野で周知のようにさまざまな変形が可能である。ただし、いずれの測定法でも、サンプルチューブから血液、血清、尿等の液体試料を吸引して、固相に供給する必要がある。固相に供給する前に試料を希釈してもよいし、あるいは、ディープウェル・マイクロプレートに供給し、その場(in situ)希釈し、希釈した被分析物質を機能性固相に移送するようにしてもよい。
【0007】
最も一般的な種類の固相は、マイクロプレートとして知られている標準的なサンプル容器である。このマイクロプレートは、保存が容易で、さまざまな生物学的試料と共に用いることができる。マイクロプレートは、1960年代から市販されており、たとえば、ポリスチレン、PVC、パースペクス(Perspex)またはルーサイト(Lucite)から形成され、長さ約5インチ(12.7cm)、幅約3.3インチ(8.5cm)、奥行き約0.55インチ(1.4cm)である。ポリスチレンは光学的透明度が高いため反応結果の視覚的解釈が容易であるため、ポリスチレン製のマイクロプレートが特に好まれている。ポリスチレン製のマイクロプレートは、さらに、コンパクトで軽量、かつ、簡単に洗浄できる。本発明の出願人により製造されたマイクロプレートは、MICROTITRE(登録商標)の名称で市販されている。周知のマイクロプレートは、8×12アレイで対象に配列される96個のウェル(「マイクロウェル」として一般に知られている)を備える。マイクロウェルは、通常、約350μlの最大容量を持つ。ただし、通常、マイクロウェルに供給される流体の量は10ないし200μlに過ぎない。マイクロプレートのマイクロウェルを8または12個のウェルを含むストリップ片として構成し、これを移動させて担体と組み合わせることにより従来寸法のプレートを得るようにしてもよい。
【0008】
ポジティブコントロール(陽性対照)およびネガティブコントロール(陰性対照)は、通常、市販のキットと共に供給される。これらのコントロールを用いて品質管理を行ない、相対的カットオフを求める。処理したマイクロプレートを測定後、コントロールの測定結果を製造業者の有効値と照合して、分析が正しく実施されたことを確認し、その値を用いて、陽性試料と陰性試料とを識別し、カットオフ値を算出する。定量分析用に通常準備されている標準を用いて、標準曲線を作成し、試料中の被分析物質の濃度を標準曲線から補間する。
【0009】
概要を上述したELISA法は、ピペット操作、インキュベーション、洗浄、各工程間におけるマイクロプレートの移動、測定およびデータ解析等多くの工程を含む。近年、試料分配、希釈、特定温度でのインキュベーション、洗浄、酵素コンジュゲート(酵素複合体)添加、試薬添加、反応停止および結果の解析等のELISA法に含まれる工程(「状態」)を自動化したシステムが開発されている。液体試料の吸引や供給に用いられるピペット機構に、使用後に取り外される使い捨てのチップを用いることにより、患者試料の二次汚染を防ぐ。複合的な計器制御を行なって、容積、時間、波長および温度が適当であること、また、分析が完全に有効であり、モニターされていることを確認する。ELISA法を実施する自動イムノアッセイ(免疫測定)装置は、現在、製薬会社、獣医学および植物学研究所、病院および大学等の研究機関で、病気や感染の検査等の体外(in vitro)診断や新しいワクチンや薬剤の生産促進に広く用いられている。
【0010】
市販されているELISAキットには、製造業者により特異的抗体(または特異的抗原)で被覆されたマイクロウェルを有するマイクロプレートが含まれている。たとえば、B型肝炎抗原診断キットの場合、キット製造業者は、マイクロプレートのマイクロウェル内に抗B型肝炎抗体を流体に懸濁させた形で供給する。マイクロプレートを所定の時間インキュベートすると、この間に、液体充填レベル(通常、マイクロウェルの最大液体容量の約半分)より下のマイクロウェルの壁に抗体が付着する。次に、マイクロウェルを洗浄すると、液体充填レベルまで抗B型肝炎抗体で壁が均一に被覆されたマイクロウェルを備えたマイクロプレートが得られる。
【0011】
検査室は、多くの患者から採取した体液等を含有する多数のサンプルチューブを受けつける。ピペット機構を用いて、所定量の体液をサンプルチューブから吸引して、上述のように製造業者により準備されたマイクロプレートの1つ以上のマイクロウェル内に供給する。1人の患者に対して多くの異なる病気の検査を行ないたい場合には、患者から採取した体液を、製造業者により各々異なる結合剤で被覆された複数の別々のマイクロプレートに分配して供給する必要がある。各マイクロプレートを、各々、別の病気の存在を検出できるように、別々に処理する。複数の異なる被分析物を分析するためには、さまざまなマイクロプレートが必要であり、異なるマイクロプレートに同一試料から一定分量(アリコート)を分配供給する必要がある。この場合、多くの処理工程が必要となり、また、多くのマイクロプレートをほぼ同時に処理するために多くのインキュベータと洗浄ステーションが必要となる。自動システムでは、機器に複数のインキュベータを備える必要があり、また、必要条件が異なるマイクロプレート間の衝突を避けるために、複雑なプログラミングが必要となる。手動操作の場合には、何人もの技術者が必要となるか、そうでなければ、試料のスループットが低下するかのいずれかである。別々に被覆されたマイクロウェルの複数のストリップ片を1つの担体に組み合わせて、1つの試料から一定分量(アリコート)を異なる種類のウェルに加え、複合マイクロプレート内でELISA法を実施することも可能ではある。しかし、測定法開発上の制約により、このような組み合わせは困難であり、当該分野で周知のように、このようにストリップ片を組み合わせることは、ユーザーの測定結果誤認を招きかねず、異なるマイクロウェル内で複数の異なる被覆を行なうマイクロプレートの製造は、品質管理が困難である。
【0012】
従来のELISA法では、マイクロプレート単位で複数の患者試料に対して同一のテストを1つ実施すること、あるいは、予想される被分析物のうちのどれが実際に存在するかを区別せずに患者試料における多様な被分析物の1つまたは複数の存在を検出することに主眼がおかれてきた。たとえば、1つのマイクロウェルを用いて、いずれの被分析物が存在するかを同定することなく、ある患者がHIV-1またはHIV-2に対する抗体またはHIV-1またはHIV-2抗原を持っているか否かの判定や、HCV抗体および抗原に関する同様の判定が、通常行なわれている。
【0013】
しかし、多重化を可能にする新世代の測定法(アッセイ)が開発されている。多重化により、同一の患者試料に対して同時に複数の異なる試験を実施することが可能になる。
【0014】
多重化に対する最近のアプローチでは、96個のサンプル・ウェルを備えるマイクロプレートを用いて、各サンプル・ウェル内に異なる捕捉抗体からなるアレイを配置する。このアレイは、直径350μm、容積20nlのスポットで形成されるアレイである。各スポットは、650μmの間隔ピッチで配列されている。各スポットが、各々異なる捕捉抗体に対応する。
【0015】
多重化により、各サンプル・プレートで単一の対象被分析物に関する試験を行なう従来のELISA法と比べて、より多くのデータ点が得られ、また、測定毎により多くの情報を得ることができる。複数の別々の試験を1つの測定に組み合わせることにより、かなりの時間とコストの節約になる。また、多重化により、自動装置の総設置面積を削減することができる。
【0016】
周知のELISA法および現在開発中の新しい多重化技術には多くの利点があるものの、構成を改良し、従来のELISA法よりもフレキシビリティを高くできるサンプル・プレートおよびそれに関連する自動装置が求められている。
【0017】
ELISA法に加えて、ハイブリダイゼーション用プローブ(交雑プローブ、hybridization probe)を用いてDNA配列またはRNA配列の存在を調べる方法も知られている。ハイブリダイゼーション用プローブは、通常、DNAフラグメント(断片)またはRNAフラグメントを含有し、このDNAまたはRNAフラグメントを用いて、プローブ上のDNA配列またはRNA配列に相補的なヌクレオチド配列の存在を検出する。ハイブリダイゼーション用プローブが一本鎖核酸(たとえば、DNAまたはRNA)にハイブリダイズすることにより、ハイブリダイゼーション用プローブと分析対象の試料との間の相補性により塩基配列のペアリングが生じる。ハイブリダイゼーション用プローブを、放射性分子またはより好適には蛍光分子等の分子マーカーでタグ付けまたは標識するようにしてもよい。プローブは、ハイブリダイゼーションまでは不活性であり、ハイブリダイゼーションの時点で、立体構造が変化し、複合体分子が活性化して、(紫外線により検出可能な)蛍光を発する。紫外線によりプローブを可視化することにより、プローブに対する中程度から高度の配列類似性を有するDNA配列またはRNA転写物を検出することができる。
【0018】
液体試料内の被分析物を検出する測定(アッセイ)装置およびアセンブリが米国特許5620853(チロン・コーポレーション)に開示されている。測定装置は、ウェルの底部から上方に突出する指部を有し、供給された試薬ビーズを収容する成形されたウェルを備える。試薬ビーズは、指部の高さ方向には上下動可能に、指部に捕捉される。この測定装置は、試薬ビーズをできるだけ多量の流体の流れにさらすことにより、試薬ビーズの底面からの信号に基づき測定結果を出すように構成されている。
【発明の概要】
【0019】
しかし、米国特許5620853に開示される構成には多くの問題点がある。
【0020】
第1に、指部の高さ方向に試薬ビーズが自由に上下動可能であるため、処理工程または測定工程で、望ましくない高さで試薬ビーズが動けなくなってしまう可能性がある。特に、ウェルの設計はかなり複雑に入り組んでいるため、指部の動きや指部の損傷により、試薬ビーズが望ましくない高さで動けなくなってしまう可能性がある。また、指部は、基部から突出しているため、特にピペット操作や洗浄処理の際に損傷を受けやすい。試薬ビーズが指部内で望ましくない高さで動けなくなってしまうと、測定精度に悪影響が出る可能性が高い。
【0021】
第2に、試薬ビーズを1つ収容するように構成される指部を備えるウェルは、流体をビーズの近傍にピペットで供給し、ウェル内に収容されたビーズを流体で被覆するように設計されている。この場合、各ウェルに、およそ300μlの流体が必要となる。米国特許5620853には、さらに、複数のウェルが互いに流体連結される構造が開示されている。マルチウェル構造では、各ウェルがおよそ300μlの流体を必要とする。したがって、マルチウェル構造では、従来のシステムと比べて、大量の流体を供給する必要がある。
【0022】
第3に、指部の構成は、所定の大きさのサンプル・プレートに対する最大ウェル充填密度を減少させ、所定のサンプル・プレート上で同時に実行可能な試験の数を減少させる。
【0023】
第4に、米国特許5620853に開示されるマルチウェル構造では、クロストーク(crosstalk)がおきやすい。
【0024】
第5に、米国特許5620853に開示される構造では、ビーズが1つだけの場合には、突出する指部だけが流体の均一性に対して影響を与える。この場合、ウェルの一部領域に混合されていない流体が捕捉される可能性が高い。マルチウェル構造では、すべてのビーズ上に流体を供給するためには、1つのウェルから別のウェルへ入り組んだ経路を通って、流体を移動させる必要があるという大きな問題がある。これは、流体の混合とビーズ間の再現性に関する重大な問題につながる。シングルウェル構造は、米国特許5620853に開示されるインライン型のマルチウェル構造とはまったく異なり、これら2つの異なる構造では、流体特性もまったく異なる。したがって、用いられる構造に応じて流体の挙動が異なり、シングルウェル形式が用いられるかマルチウェル形式が用いられるかによって結果が非常に大きく変動する可能性が高い。理論的には、2つの異なる構造を独立に検証することも可能であるが、コストの増大とスループットの低下につながる。
【0025】
最後に、米国特許5620853に開示されるサンプル・ウェルは、製造工程が複雑で、製造の際の信頼性に欠ける可能性がある。長く薄い指部は、成形するのが難しく、製造時または使用時に損傷を受けやすい。また、指部は、その上端に、金型でアンダーカット成形されるフィーチャ(特徴的構造)を備える。部品をツールから取り出す際には、フィーチャがツール材を通りぬけられるように指部を曲げる必要がある。このような製造工程は、一般に信頼性が低いため望ましくない。さらに、処理パラメータの変動により、ツールから部品を外して、部品の正確な機械公差を損なうことなく残すようにすることができなくなる可能性がある。各指部の相対的な位置は、正確に試薬ビーズを上下に動かし、指部の上端から外に試薬ビーズが出ないようにするために重要であるが、実際のところ、大量生産を行なう際には、これを制御することは非常に難しい。また、シングルビーズ用構造の設計とマルチウェル構造の設計とは全く異なる。したがって、全く異なるツールの設計が必要となり、製造がさらに複雑になる。大量生産を行なう場合には、設計特性と品質保証の両方を考慮すると、サンプル・プレートの製造コストが非常に高くなる。
【0026】
したがって、試薬ビーズを保持するためのサンプル・プレートの改良が望まれている。
【0027】
本発明の一つの態様は、サンプル・プレートであって、1つ以上のサンプル・ウェルを備え、前記1つ以上のサンプル・ウェルが、基部と、前記基部内に備えられる1つ以上のポケットまたは凹部と、を備え、前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、使用時に、前記テーパ部によって前記穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に保持または固定される。
【0028】
テーパ部を有する穴は、たとえば、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが単純に置かれるだけで、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に保持または固定されないような浅いまたは小さな窪みのようなものではない。
【0029】
本発明のサンプル・プレートは、米国特許5620853に開示されるサンプル・プレートと比べて、特に優れた利点がある。
【0030】
好適な実施形態において、使用時に、穴のテーパ部との干渉または摩擦嵌め合いにより、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが穴内に実質的に保持または固定される。
【0031】
本発明の好適な実施形態において、挿入された試薬ビーズをしっかりと固定または閉じ込める働きをする複数のテーパ穴またはテーパ部を備えるサンプル・プレート内に、試薬ビーズを挿入することが望ましい。試薬ビーズを挿入する際には、所定の力を加えることが望ましい。所定の力は、試薬ビーズを圧縮するのに十分な大きさ、および/または、穴のテーパ部を変形するのに十分な大きさであり、結果として、穴のテーパ部との干渉または摩擦嵌め合いを生じさせるまたは増大させる大きさであることが望ましい。
【0032】
本発明のサンプル・プレートは、したがって、製造中、および、テーパ穴に試薬ビーズを挿入して、その後、サンプル・プレートを操作、処理する工程を含むそれに続く処理工程において、特に頑丈である。試薬ビーズがサンプル・プレートに挿入された後は、いずれの方向にも自由に移動することができず、サンプル・プレートに実質的に固定されることが望ましい。テーパの角度は、確実に、試薬ビーズを穴に閉じ込めることができる、あるいは、しっかりと固定できる角度にすることが望ましい。
【0033】
好適な実施形態において、使用時に、サンプル・プレート(すなわち、サンプル・プレートの平面)を水平軸に対して10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°または90°より大きな角度で傾けても、または、逆さにしても、試薬ビーズが、穴内に実質的に保持または固定されていることが望ましい。
【0034】
好適な実施形態において、穴の開口部および/または穴の断面形状(すなわち、穴の開口部および穴の基部の中間の位置)は、円形である。ただし、穴の開口部および/または穴の断面形状は、ほぼ円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形でもよい。
【0035】
好適な実施形態において、穴の開口部の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択されることが望ましい。
【0036】
好適な実施形態において、穴の開口部の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも大きいことが望ましい。穴の開口部が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の開口部における断面形状のうち最も短い距離が、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも大きいことが望ましい。
【0037】
好適な実施形態において、穴の直径、好ましくは、穴の開口部および穴の基部の中間位置における穴の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい、および/または、穴の開口部の直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい。穴が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の断面形状のうち最も短い距離、好ましくは、穴の開口部および穴の基部の中間位置における穴の断面形状のうち最も短い距離は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい、および/または、穴の開口部の直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい。
【0038】
好適な実施形態において、穴の直径、好ましくは、穴の開口部および穴の基部の中間位置における穴の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択されることが望ましい。
【0039】
好適な実施形態において、穴のテーパ部は、ほぼ直線状にテーパされていることが望ましい。たとえば、穴の直径または外周は、穴の深さに対してほぼ線形に変化する(たとえば、減少する)ことが望ましい。穴が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の断面形状の断面寸法(たとえば、穴の断面形状のうち最も短い距離)または周囲の長さは、穴の深さに対してほぼ線形に変化する(たとえば、減少する)ことが望ましい。
【0040】
好適な実施形態において、試薬ビーズは不透明であることが望ましく、ビーズの上端からのみ信号が得られることが望ましい。圧入線よりも下方のビーズの底部は流体に接触しないことが望ましい。好適な実施形態では、使用時に、試薬ビーズは、穴のテーパ部と実質的に流体密封シールを形成し、その結果、流体がサンプル・ウェルから試薬ビーズを通って流れないようにすることが望ましい。したがって、好適な実施形態として試薬ビーズを挿入したサンプル・プレートは、従来の空のサンプル・ウェルとかなり似ている。
【0041】
好適な実施形態において、操作、ピペット操作または洗浄の際に損傷を受けやすくならないように、試薬ビーズを、サンプル・ウェルの底部から上方に突出させないことが望ましい。ただし、1つ以上の試薬ビーズを、サンプル・ウェルの底部から上方にわずかに突出させることも可能である。
【0042】
好適な実施形態において、試薬ビーズがサンプル・ウェルの底部から上方に突出することがないように、穴の深さは、試薬ビーズの直径以上であることが望ましい。
【0043】
好適な実施形態において、穴の深さは、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択されることが望ましい。
【0044】
好適な実施形態において、試薬ビーズがサンプル・ウェルの底部から上方に突出することがないように、穴の直径が試薬ビーズの直径よりも小さくなる部分における穴の深さが試薬ビーズの半径以上であることが望ましい。穴が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の断面形状のうち最も短い距離が試薬ビーズの直径よりも小さくなる部分における穴の深さが試薬ビーズの半径以上であることが望ましい。
【0045】
好適な実施形態において、使用時に、試薬ビーズが穴の基部に接触しないことが望ましい。ただし、試薬ビーズが穴の基部に接触するようにしてもよい。
【0046】
好適な実施形態の利点として、試薬ビーズは望ましくはウェルの底部と同じ高さになるように挿入されるため、本発明のサンプル・プレートを、ハードウェアを変更することなく、周知の自動マイクロプレート処理システムに用いることができる。さらに、好適な実施例におけるサンプル・ウェルは、基本的に、従来のマイクロプレートのウェルの比率と同様な比率の円筒形であるため、サンプル・ウェルの流体操作特性やその他の取扱特性は、周知のものである。ピペット操作、混合、洗浄およびインキュベーション等の好適な実施形態における処理工程は、望ましくは、従来のマイクロプレートと同様の流体特性に従うものである。
【0047】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートは、望ましくは、約800μlの流体容量を有する。また、使用時に、サンプル・プレートの基部内に配置された試薬ビーズをすべて被覆するのに必要な流体の量は約300μlに過ぎない。
【0048】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートの別の利点は、サンプル・ウェルの中心に直接流体が供給可能なことであり、好適な実施形態において、試薬ビーズを固定するためのポケット、凹部または穴がサンプル・ウェルの中心領域に配置されないように、サンプル・プレートを構成してもよい。このような構成により、特に、洗浄ヘッドやピペット先端からの流体ジェット(噴流)の力により試薬ビーズを被覆している試薬が試薬ビーズから不用意に洗い流されるのを防ぐことができる。
【0049】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートは、1つのサンプル・ウェルで複数のテストを実施可能な構成が望ましい。同一のサンプル・ウェル内の別々の穴内に異なる試薬ビーズを挿入することにより、多重化の実施が可能になる。好適な実施形態において、試薬ビーズは、必要に応じて、ウェルの基部内のテーパ穴に圧入可能であり、この結果、サンプル・ウェル全体を高い自由度で効率よく用いることが可能になる。
【0050】
本発明の一実施形態におけるサンプル・プレートは、直径12mmのサンプル・ウェルを1つ以上備えるものでもよい。各サンプル・ウェルは、58mm2の断面表面積を有し、この大きさのサンプル・ウェルを全部で54個、従来のマイクロプレートの設置面積内に備えることが可能である。各サンプル・ウェル内には、さまざまな数のビーズを挿入可能である。テーパ穴は、必要に応じて、異なる大きさの試薬ビーズを収容できるように、異なる直径を有するものでもよい。
【0051】
別の実施形態において、1つ以上のサンプル・ウェルが、6×3.0mmの直径のポケット、凹部もしくはテーパ穴、10×2.0mmの直径のポケット、凹部もしくはテーパ穴、または、21×1.75mmの直径のポケット、凹部もしくはテーパ穴を備えるものでもよい。サンプル・ウェルの中心領域には、ポケット、凹部またはテーパ穴が備えられない構成が望ましい。ポケット、凹部またはテーパ穴は、サンプル・ウェルの中心領域の周囲に1つ以上の同心円状にまたは他のパターンで配置されるものでもよい。
【0052】
一実施形態において、サンプル・ウェルの9×6アレイを備えるサンプル・プレートでもよい。各サンプル・ウェルに6個のポケット、凹部またはテーパ穴が設けられている場合には、1つのサンプル・プレートで324個の試薬ビーズが収容可能である。各サンプル・ウェルに10個のポケット、凹部またはテーパ穴が設けられている場合には、1つのサンプル・プレートで540個の試薬ビーズが収容可能である。各サンプル・ウェルに21個のポケット、凹部またはテーパ穴が設けられている場合には、1つのサンプル・プレートで1134個の試薬ビーズが収容可能である。
【0053】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートでは、流体混合の問題は生じない。サンプル・ウェルは、望ましくは、ポケット、凹部またはテーパ穴内に圧入または挿入されるビーズを備える。挿入後の試薬ビーズの上端は、サンプル・ウェルの底部と同一平面上にある、または、同じ高さにあることが望ましい。好適な実施形態において、混合するとは、ビーズ表面よりも上方に存在する流体を用いて、ビーズ周囲のポケット領域から流体を取り出すことを意味する。
【0054】
本発明のさらに別の利点として、他の周知の構成と比べて、本発明のサンプル・プレートの製造が比較的容易であることが挙げられる。サンプル・プレートは、単純なツールを用いた成形により製造可能であるため、製造しやすく、信頼性が高い。サンプル・プレートの形成に用いられる射出成形ツールは単純な設計で、アンダーカットや薄いフィーチャ(特徴)を成形する必要がない。したがって、異なる形式のサンプル・プレートを容易に製造可能である。6個のポケットまたは穴を有するサンプル・ウェルを製造するツールを、異なる数(たとえば、21個)のポケットを有するサンプル・ウェルの製造に簡単に適合させることができる。
【0055】
好適な実施形態の別の利点として、テストプロトコルは基本的に同じままで、異なるウェル設計および形式に対応可能であることが挙げられる。ピペット操作およびインキュベーション処理は変更の必要がなく、また、洗浄処理でも、吸引方法にマイナーな変更が必要となるに過ぎない。
【0056】
したがって、本発明のサンプル・プレートは、米国特許5620853に開示されるサンプル・プレート等の周知のサンプル・プレートと比べて、特に優れている。
【0057】
テーパ部は、望ましくは、(i)2ないし4°、(ii)4ないし6°、(iii)6ないし8°、(iv)8ないし10°、(v)少なくとも1°および(vi)1ないし15°からなる群から選択されるテーパを有する。
【0058】
基部に備えられるポケットまたは凹部が、(必要に応じて、テーパ部を備える穴の代わりに)保持部材、膜、リップまたは環状部を有するチャンバを備えるようにしてもよい。使用時には、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、保持部材、膜、リップまたは環状部を介してチャンバ内に挿入するようにしてもよく、また、保持部材、膜、リップまたは環状部によりチャンバ内に実質的に保持または固定するようにしてもよい。
【0059】
1つ以上のポケットまたは凹部は、望ましくは、1つ以上のポケットまたは凹部内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの挿入が容易になるように、円錐形に広がった部分または拡張部分を備える。
【0060】
望ましくは、1つ以上のサンプル・ウェルが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のポケットまたは凹部を備え、各ポケットまたは凹部が、テーパ部を有する穴であって、使用時に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される穴を備える。
【0061】
基部内に備えられる1つ以上のポケット、凹部または穴は、望ましくは、(i)サンプル・ウェルの中心部の周囲に配置される、および/または、(ii)1つ以上の中心ポケットまたは凹部の周囲に配置される複数のポケットまたは凹部を備える、および/または、(iii)実質的に最密充填されるように配置される、および/または、(iv)実質的に対称にまたは非対称に配置される、および/または、(v)実質的に直線状にまたは曲線状に配置される、および/または、(vi)実質的に規則的にまたは不規則に配置される、および/または、(vii)アレイに配置される、および/または、(viii)基部の中心にポケット、凹部または穴が位置しないように、1つ以上の同心円状に配置される。
【0062】
サンプル・プレートは、望ましくは、ポリスチレンから製造または形成される。
【0063】
サンプル・プレートは、ストリップ形式でもアレイ形式でもよい。たとえば、好適な実施形態において、サンプル・プレートが6×1ストリップ片を備えるものでもよい。あるいは、他の好適な実施形態において、サンプル・プレートが9×6ストリップ片を備えるものでもよい。
【0064】
別の実施形態において、サンプル・プレートがA×Bの形式で配置されるサンプル・ウェルを備え、
Aが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択され、
Bが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択されるものでもよい。
【0065】
一実施形態において、1つ以上のサンプル・ウェルが1つ以上の脆弱領域または接続部により他の1つ以上のサンプル・ウェルと相互に連結されることによって、サンプル・プレートがユーザーにより複数の小さなサンプル・プレートに分割可能な構成でもよい。この構成により、サンプル・プレートを複数の小さなサンプル・プレートに折り割ったり分割したりできる。たとえば、サンプル・プレートの6×1ストリップ片を、各々1つのサンプル・ウェルを備える個別の1×1サンプル・プレートに折り割ることもできるし、各々3×1サンプル・ウェルのストリップ片を備える2つのサンプル・プレートに折り割ることもできる。
【0066】
別の構成は、複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ収容チャンバと流体連結されるものでもよい。
【0067】
1つ以上のサンプル・ウェルは、複数の試薬ビーズ収容チャンバを規定する外周壁と複数の放射状壁部材とを備え、使用時に、試薬ビーズは試薬ビーズ収容チャンバ内に収容され、放射状壁部材により、試薬ビーズは中央流体収容領域内を径方向に通過できない。
【0068】
使用時に、1つ以上の中央流体収容領域内に供給される流体が、外周壁から溢れることなく、および/または、複数の放射状壁部材から溢れることなく、一部またはすべての試薬ビーズ収容チャンバ内に流入するようにしてもよい。
【0069】
1つ以上のサンプル・ウェルが1つ以上の脆弱領域または接続部により他の1つ以上のサンプル・ウェルと相互に連結されることによって、サンプル・プレートがユーザーにより複数の小さなサンプル・プレートに分割可能な構成でもよい。
【0070】
サンプル・プレートは、イムノアッセイ(免疫測定法)サンプル・プレートを備えるものでもよい。あるいは、サンプル・プレートは、相補的DNAまたはRNA試料の存在を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブを備えるものでもよい。
【0071】
サンプル・プレートは、望ましくは、プレート・フレームホルダーの雌型、雄型またはその他のドッキング部に対してサンプル・プレートを固定するための対応する雌型、雄型またはその他のドッキング部を有する基部を備える。
【0072】
本発明の態様は、上述したサンプル・プレートと、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせである。
【0073】
別の構成は、上述したサンプル・プレートと、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上の試薬ビーズ収容チャンバ内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせでもよい。
【0074】
望ましくは、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、試薬を担持し、試薬を含有し、または試薬で被覆され、試薬は、液体試料に含まれる対象被分析物の測定を行なうように配置および構成される。
【0075】
別の実施形態において、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、核酸プローブを担持し、核酸プローブを含有し、または核酸プローブで被覆され、核酸プローブが、一本鎖核酸、DNAまたはRNAとハイブリダイゼーションするように配置および構成される。
【0076】
本発明の別の態様は、プレート・フレームホルダーと、上述したサンプル・プレートと、の組み合わせである。
【0077】
プレート・フレームホルダーは、望ましくは、サンプル・プレートをプレート・フレームホルダーにしっかりと固定するための雄型、雌型またはその他のドッキング部を備える。
【0078】
本発明の態様は、自動装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
上述したサンプル・プレートと、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御するように配置および構成される制御システムと、を備える。
【0079】
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、望ましくは、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、環状チャンバが、使用時に、穴内に設けられるチャンバに向けて、環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
プランジャが、使用時に、チャンバからシリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される。
【0080】
本発明の態様は、1つ以上の対象被分析物質用の液体測定装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
上述したサンプル・プレートと、を備える。
【0081】
本発明の態様は、サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するための試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサであって、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、前記環状チャンバが、使用時に、前記長手方向の穴内に設けられるチャンバに向けて、前記環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
前記長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
前記プランジャが、使用時に、前記チャンバから前記シリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される。
【0082】
本発明の態様は、方法であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを準備し、
上述したサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御する。
【0083】
本発明の態様は、サンプル・プレートを用いて、複数の被分析物に関して試料を分析する方法であって、
上述したサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える。
【0084】
本発明の態様は、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用いて、試料に含まれる抗原または抗体を検出する方法であって、
上述したサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える。
【0085】
本発明の別の態様は、核酸プローブを用いて、試料に含まれるDNA配列またはRNA配列を検出する方法であって、
上述したサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える。
【0086】
本発明の態様は、試料に含まれる1つ以上の対象被分析物を測定する方法であって、
サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上のポケットまたは凹部内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備える。
【0087】
一実施形態において、方法は、さらに、(i)サンプル・プレートをインキュベートする、および/または、(ii)サンプル・プレートを洗浄する、および/または、(iii)サンプル・プレートを吸引する、および/または、(iv)サンプル・プレートに酵素コンジュゲート(酵素複合体)を加える、および/または、(v)サンプル・プレートに可視化剤を加える、および/または、(vi)サンプル・プレートを視覚的に分析する、のうち1つ以上を実施する。
【0088】
本発明の態様は、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を実施するためのキットであって、
上述した1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、抗体、抗原またはその他の生体分子を含有する試薬で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える。
【0089】
本発明の別の態様は、核酸プローブ法を実施するためのキットであって、
上述した1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、DNA配列またはRNA配列で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える。
【0090】
本発明の態様は、サンプル・プレートを製造する方法であって、
各々、基部を有する1つ以上のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の基部内に1つ以上のポケットまたは凹部を形成し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される。
【0091】
本発明の態様は、自動装置の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる。
【0092】
本発明の態様は、コンピュータで実行可能な命令が格納されるコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記命令が、自動装置の制御システムにより実行可能に構成され、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる。
【0093】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、望ましくは、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、(vi)光ディスク、(vii)RAM、および(viii)ハードディスクドライブからなる群から選択される。
【0094】
別の構成は、装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結されるサンプル・プレートと、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの1つ以上内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御するように配置および構成される制御システムと、を備える。
【0095】
試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバは、広く、単純に、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容領域または収用区域を備えるものでもよい。したがって、「試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ」という用語を「試薬ビーズ/マイクロスフェア収容領域または収用区域」という用語に置き換えてもよい。
【0096】
1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、外周壁、表面または溝を備え、サンプル・ウェル内に供給された流体が外周壁、表面または溝によりサンプル・ウェル内に閉じ込められる構成が望ましい。
【0097】
装置は、望ましくは、さらに、1つ以上の壁部材、表面または溝を備え、1つ以上の壁部材、表面または溝が、外周壁、表面または溝と共に、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを規定する構成が望ましい。
【0098】
使用時に、1つ以上の中央流体収容領域内に供給される流体が、外周壁、表面または溝から溢れることなく、および/または、1つ以上の壁部材、表面または溝から溢れることなく、一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に流入する構成が望ましい。
【0099】
1つ以上の壁部材、表面または溝が、外周壁、表面または溝の一部と共に、個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを規定する構成が望ましい。
【0100】
1つ以上の壁部材、表面または溝は、望ましくは、放射状に、直線状に、または曲線状に、外周壁から内側に伸長する。
【0101】
少なくとも一部またはすべての壁部材、表面または溝は、望ましくは、外周壁と一体に成形または外周壁から伸長して成形される。あるいは、少なくとも一部またはすべての壁部材、表面または溝が、外周壁から径方向に間隔をあけて、または、外周壁との間に隙間ができるような構成でもよい。
【0102】
外周壁、表面または溝は、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される高さまたは深さを有する。
【0103】
壁部材、表面または溝は、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される高さまたは深さを有する。
【0104】
少なくとも一部または実質的にすべての複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバは、望ましくは、使用時に、1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように、または、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように、構成および配置される。
【0105】
一実施形態において、少なくとも一部または実質的にすべてのサンプル・ウェルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0106】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0107】
一実施形態において、1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される直径または最大幅を有する。
【0108】
1つ以上の流体収容領域は、望ましくは、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結され、使用時に、1つ以上の流体収容領域に収容される流体が、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバに流入する。
【0109】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の流体収容領域を備える。
【0110】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、望ましくは、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される。
【0111】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、試薬を担持または含有するものでもよく、試薬は、(i)試料を分析する、および/または、(ii)核酸増幅反応により試料を分析する、(iii)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により試料を分析する、および/または、(iv)イムノアッセイ(免疫測定法)により試料を分析する、および/または、(v)はハイブリダイゼーション用プローブ法により試料を分析する、ように配置および構成される。
【0112】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、ポリスチレン、プラスチックまたはポリマーを備える。
【0113】
一実施形態において、使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、鉄コーティングまたは磁気コーティングを備える、または、鉄特性または磁気特性を有する。
【0114】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、静電気防止コーティングを備える、または、静電気防止特性を有する。
【0115】
装置は、望ましくは、さらに、磁気装置および/または静電装置を備え、磁気装置および/または静電装置は、(i) 試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される際に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付けて、複数のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが収容されるように、配置および構成される、および/または、(ii) 複数のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付け、および/または、維持して、少なくとも所定の時間、ポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが維持または保持されるように、配置および構成される。
【0116】
一実施形態において、装置は、さらに、機械装置および/または電気装置を備え、機械装置および/または電気装置は、(i) 試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される際に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを案内して、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが収容されるように、配置および構成される、および/または、(ii) 複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを保持して、少なくとも所定の時間、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが維持または保持されるように、配置および構成される。
【0117】
装置は、望ましくは、さらに、磁気装置および/または静電装置を備え、磁気装置および/または静電装置は、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に収容された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動および/または攪拌するように配置および構成される。
【0118】
装置は、望ましくは、さらに、機械装置および/または電気装置を備え、機械装置および/または電気装置は、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に収容された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動および/または攪拌するように配置および構成される。
【0119】
一実施形態において、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、望ましくは、使用時に、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを含有するチューブを備える。
【0120】
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、望ましくは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ内に含有される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサの供給領域、供給端部または供給先端に送る、または、移動させる、らせん形ネジ、らせん状刃先または試薬ビーズ/マイクロスフェア移動装置を備える。
【0121】
装置は、望ましくは、さらに、1つ以上の試薬ビーズが1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから供給されたか否かを検出する1つ以上のセンサを備える。
【0122】
装置は、望ましくは、さらに、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに対してサンプル・プレートを移動させる移動ステージを備える。
【0123】
制御システムは、望ましくは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに対してサンプル・プレートを移動させることによって、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが連続的に供給されるように、移動ステージを制御する、ように配置および構成される。
【0124】
装置は、望ましくは、さらに、回転カルーセル(回転式コンベヤ)を備え、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、カルーセルに取り付けられる、または、取り付け可能である。
【0125】
制御システムは、望ましくは、第1の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサからサンプル・プレートの複数の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に所望の第1の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをすべて供給した後、カルーセルを回転し、第2の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを所定位置までもってきて、第2の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサからサンプル・プレートの複数の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に第2の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給可能にする、ように配置および構成される。この工程は、さらに別の(たとえば、第3の、第4の、第5の、第6の、第7の、第8の、等)試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに関しても繰り返されることが望ましい。
【0126】
一実施形態において、装置は、さらに、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上の流体収容領域内に流体を供給するための流体供給装置を備える。
【0127】
流体供給装置は、望ましくは、一回に、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上の流体収容領域内に「x」mlの流体を供給するように構成および配置される。ここで、xは、望ましくは、(i)<10、(ii)10-20、(iii)20-30、(iv)30-40、(v)40-50、(vi)50-60、(vii)60-70、(viii)70-80、(ix)80-90、(x)90-100、(xi)100-110、(xii)110-120、(xiii)120-130、(xiv)130-140、(xv)140-150、(xvi)150-160、(xvii)160-170、(xviii)170-180、(xix)180-190、(xx)190-200および(xxi)>200からなる群から選択される。
【0128】
一実施形態において、装置は、さらに、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否か、あるいは、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に存在するか否かを判定する画像解析装置またはカメラを備える。
【0129】
望ましくは、サンプル・プレートが第1の色を有し、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが第1の色と対照的な第2の異なる色を有することにより、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが存在するか否かの視覚的検出を容易にする。
【0130】
一実施形態において、サンプル・プレートが、さらに、ルミネッセンス(発光)マーカーまたは蛍光マーカーを備えるようにしてもよい。
【0131】
装置は、さらに、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがルミネッセンス・マーカーまたは蛍光マーカーを妨害するか否か、あるいは、ルミネッセンス・マーカーまたは蛍光マーカーを部分的に妨害するするか否かを判定することによって、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否か、あるいは、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に存在するか否かを判定するルミネッセンス/蛍光検出装置を備えるようにしてもよい。
【0132】
装置は、望ましくは、さらに、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否か、あるいは、サンプル・プレートの試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に存在するか否かを検出する磁気センサおよび/または電気センサおよび/または容量センサおよび/またはメカニカルセンサを備える。
【0133】
制御システムは、望ましくは、サンプル・ウェル内に存在する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数、および/または、サンプル・ウェル内に存在しない試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数、および/または、サンプル・ウェルに供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数、および/または、サンプル・ウェルに供給されることが望ましい試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数を求める。
【0134】
一実施形態において、制御システムは、サンプル・ウェル内に存在する数、および/または、サンプル・ウェル内に存在しない数、および/または、サンプル・ウェルに供給された数、および/または、サンプル・ウェルに供給されることが望ましい数として求められた試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数に基づいて、サンプル・ウェル内に供給されたまたは供給されることが望ましい流体の量を測定および/または調整する。
【0135】
制御システムは、望ましくは、流体がサンプル・ウェル内に供給される際に、サンプル・ウェル内の少なくとも一部または実質的にすべての試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、少なくとも部分的にまたは完全に流体に浸漬されるように、構成および配置される。
【0136】
制御システムは、望ましくは、サンプル・ウェル内に供給された流体の高さを、サンプル・ウェル内に存在する、存在しない、供給された、または、供給されることが望ましい試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数と無関係に、ほぼ一定に保つことができるように、構成および配置される。
【0137】
別の構成は、上述した装置と、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ内に、および/または、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に配置される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせである。
【0138】
また別の構成は、方法であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを準備し、
複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結されるサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの1つ以上への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御する。
【0139】
別の構成は、複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結される。
【0140】
1つ以上のサンプル・ウェルは、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを規定する外周壁と複数の放射状壁部材とを備え、使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に収容され、放射状壁部材により、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは中央流体収容領域内を径方向に通過できない。
【0141】
1つ以上の放射状壁部材は、望ましくは、外周壁と一体に成形される。あるいは、外周壁との間に隙間ができるような構成でもよい。
【0142】
1つ以上の放射状壁部材は、望ましくは、1つ以上の突起部を備え、1つ以上の突起部は、望ましくは、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを閉じ込めるのに役立つ、および/または、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが中央流体収容領域内を径方向に通過できないようにするのに役立つ。
【0143】
一実施形態において、放射状壁部材は、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される高さまたは深さを有する。
【0144】
1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0145】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0146】
1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される直径または最大幅を有する。
【0147】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の流体収容領域を備える。
【0148】
以下、例示を目的として、本発明のさまざまな実施例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の第1実施例において、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサが回転カルーセル(回転式コンベヤ)に取り付けられ、回転カルーセルから伸長し、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを係合するアームより下方の移動ステージ上にサンプル・プレートが載置された状態を示す説明図。
【図2】本発明の第1実施例における試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す説明図。
【図3】本発明の第1実施例において、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサがカルーセルに取り付けられ、アームが試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを係合している状態を詳細に示す説明図。
【図4A】本発明の第1実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルの第1の構造を示す説明図。
【図4B】本発明の別の実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルの第1の構造とは異なる第2の構造を示す説明図。
【図4C】本発明の一実施例において、サンプル・プレートのサンプル・ウェルの異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバまたは収用部内に異なる種のまたは異なる種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをどのように供給するかを示す説明図。
【図5】本発明の第1実施例におけるサンプル・ウェルのストリップ片を示す説明図。
【図6】本発明の第2実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルを示す説明図。
【図7A】第2実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルを示す平面図。
【図7B】第2実施例におけるサンプル・ウェルの底部の詳細を示す説明図。
【図7C】第2実施例において、サンプル・ウェルのポケットに試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される様子を示す説明図。
【図8A】本発明の第2実施例における試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す説明図。
【図8B】試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサの断面図。
【図9】第2実施例における試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサの分解図。
【図10】x−y−z移動ステージ上に載置され、サンプル・プレートの上で試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと協働する試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置を備える本発明の第2実施例におけるマイクロアレイ装置を示す説明図。
【図11】本発明の第2実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置を取り付けた状態を詳細に示す断面図。
【図12A】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置により移送される試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す説明図。
【図12B】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置により駆動されるプランジャ機構によって、試薬ビーズ/マイクロスフェアディスペンから試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される様子を示す説明図。
【図13A】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置から試薬ビーズ/マイクロスフェアシリンジが押し出される様子を示す説明図。
【図13B】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置から試薬ビーズ/マイクロスフェアシリンジが押し出された状態を示す説明図。
【図14A】各々6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片を備える9つのサンプル・プレートをプレート・フレームに充填した様子を示す説明図。
【図14B】1つ以上のサンプル・プレートを充填可能なプレート・フレームを示す図。
【図15A】6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片の詳細を示す説明図。
【図15B】6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片をプレート・フレームに充填する様子を示す説明図。
【図16A】1個のウェルをプレート・フレームに充填する様子を示す説明図。
【図16B】分離構造により連結された2個のサンプル・ウェルを詳細に示す説明図。
【図16C】端部構造を備えるサンプル・ウェルを示す説明図。
【図16D】ID/方向合わせタブを備えるサンプル・ウェルを示す説明図。
【図17A】サンプル・ウェルのストリップ片の底面を示す図。
【図17B】サンプル・ウェルのストリップ片をプレート・フレームに対して位置合わせするための雌型位置合わせ/保持構造を示す説明図。
【図17C】プレート・フレームの基部に対応して設けられる雄型位置合わせ/保持構造を示す説明図
【図18】好適な実施例において、テーパー角度6.0°のテーパー穴を複数備えるサンプル・ウェルのストリップ片の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0150】
本発明の第1実施例を図1を参照して詳細に説明する。第1実施例において、回転カルーセル(回転式コンベヤ)1は、カルーセル1の外周または周囲に配置される複数のドッキング部または部分を備える。図1に示す例では、24個のドッキング部が備えられているが、異なる数のドッキング部を備えるようにしてもよい。たとえば、他の実施例において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20.21、22、23、25、26、27、28、29、30、または31個以上のドッキング部を備えるものでもよい。
【0151】
複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、使用時に、ドッキング部の一部または全部において、カルーセル1に取り付けられる、または、固定されることが望ましい。各ドッキング部は、望ましくは、上部クリップ3と、下部保持ピン4と、を備える。上部クリップ3と下部保持ピン4とを用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2をドッキング部に固定する。他の実施例において、保持ピン4が上部位置に、また、クリップ3が下部位置に備えられる構成でもよい。
【0152】
1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2を図2に詳細に示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、望ましくは、下部じょうご形状供給部6と上部キャップ部7とを有する管状体5を備える。各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2には、使用時に、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが充填される。一実施例において、2000個の直径1.75mmの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2に充填するようにしてもよい。他の実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の容量は、これより大きくても、あるいは、小さくてもよい。
【0153】
他の実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、1.75mm以外の直径を有する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを取り扱うように構成されるものでもよい。第1の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2内に第1の直径を有する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填し、第2の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2内に第2の異なる直径を有する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填するようにしてもよい。さらに、所定の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2に、複数の異なる直径を有する、または、異なる直径をまじえた試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填するようにしてもよい。
【0154】
試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の少なくとも一部は、望ましくは、じょうご形状供給部6から伸長し、カルーセル1上のドッキング部の保持ピン4に接続されるまたは固定されるフック8を備える。管状体5の上部は、ドッキング部のクリップ3によりドッキング部に固定されるように構成される。ドッキング部の少なくとも一部の上部クリップ3は、図1と異なる形状でもよい。また、他の方法を用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2をカルーセル1のドッキング部に固定するようにしてもよい。
【0155】
各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、望ましくは、中央らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9を備え、回転されると、供給部6に向かって、管状体5内で試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを移動させる。使用時に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容する管状体5の本体は、中心孔を有する環状ディスクまたは基部を備える。らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9は、管状体5の本体に形成された中心孔を貫通することが望ましい。供給部6は、らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9を貫通させる管状穴を備える。供給部6内の管状穴の直径およびらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のピッチは、望ましくは、供給部6内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給部6のノズルに向かって進み、必要に応じて、供給部6から一度に1つずつ供給されるように、設定される。
【0156】
らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のシャフトまたは上端部は、望ましくは、第1コグ(歯車)または他の第1駆動機構10に接続される。図1に示すように、らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9の上端部における第1コグまたは第1駆動機構10は、カルーセル1のアーム12上に望ましくは配置された対応する第2駆動コグ11または第2駆動機構により駆動される構成が望ましい。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の第1コグ10上の歯がカルーセル1のアーム12の第2駆動コグ11上の対応する歯と係合して連動することによって、カルーセル1のアーム12上の第2駆動コグ11の回転により、第1コグ10が回転し、この結果、第1コグ10に接続されたらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9が回転する。
【0157】
本発明の一実施例において、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2に、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが充填されることが望ましい。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、ポリスチレン、プラスチックまたはポリマー製のコアを備え、コアは、鉄コーティングまたは磁気コーティングで被覆されるか、鉄特性または磁気特性を有する。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、試料の分析に用いられる試薬(たとえば、抗体や抗原)で被覆されていてもよい。一実施例において、試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase chain reactions)によって、または、イムノアッセイ(免疫測定法)の一部として、試料を分析するために用いられるものでもよい。あるいは、同等に好適な実施例として、試薬が、試料内に相補的DNAまたはRNA配列が存在するか否かを検出するためのハイブリダイゼーション用プローブとして用いられるDNA配列またはRNA配列を含有するものでもよい。また、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを静電気防止コーティングで被覆してもよいし、静電気防止特性を有するようにしてもよい。
【0158】
一実施例において、1つ以上のセンサを、カルーセル1上に、望ましくは、供給部6または試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の下方に、または、近傍に、配置するようにしてもよい。1つ以上のセンサは、供給部6からサンプル・プレート13の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否かをモニターする。らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のピッチおよびらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9の回転速度は、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6から0.5秒未満で個々の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給可能なものであればよい。
【0159】
図1に示すように、サンプル・プレート13は、望ましくは、カルーセル1のアーム12の下方の移動ステージ上に載置される。サンプル・プレート13は、複数のサンプル・ウェルを備えることが望ましい。各サンプル・ウェルは、望ましくは、中央流体収容領域と、中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備える。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13内の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される。サンプル・プレート13を移動ステージにより移動させることによって、所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6のノズルのごく近くに位置させることができる。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給した後、サンプル・プレート13を移動ステージにより動かして、別の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2のノズルのすぐ近くに配置させる。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給して、サンプル・プレート13を移動させる工程を繰り返すことが望ましい。特定の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に所望の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをすべて供給した後、カルーセル1を回転させて、第2の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2をカルーセル1のアーム12上に備えられた第2駆動コグ11に係合させる。次に、第2の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する。この工程を繰り返して、カルーセル1に取り付けられたさらに別の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13のさらに別の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する。サンプル・プレート13内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する間に、カルーセル1に取り付けられた試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の一部を取り換えたり再充填させたりすることもできる。
【0160】
特に優れた特徴として、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが任意の所望の方法で供給可能であることが挙げられる。たとえば、1つのサンプル・ウェルにおいて、同じ種または同じ種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、すべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給するようにしてもよい。あるいは、1つのサンプル・ウェルにおいて、同じ種または同じ種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア対を隣接する試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給するようにしてもよい。好適な実施例では、各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給し、特定のサンプル・ウェルの試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの各々に、異なる種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する。ただし、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの一部を空のままにしておいてもよい。また、対象となる試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、他の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される他の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと比較して直径が小さい場合には、特別に、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの一部に2つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するようにしてもよい。
【0161】
図3に、クリップ3および保持ピン4によりカルーセル1上のドッキング部に複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2が固定される様子を詳細に示す。保持ピン4が、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6上に備えられたフック8に係合する。保持ピン4、フック8およびクリップ3により、使用中に、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の本体が回転するのを防ぐことができる。らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のスピンドルまたはシャフトに取り付けられた第1コグ10の歯がカルーセル1のアーム12から伸長する第2駆動コグまたは第2駆動機構11と互いにかみ合いまたは連動して係合されることにより、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2内のらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9が回転または駆動されることが望ましい。第2駆動コグまたは第2駆動機構11は、望ましくは、電気モータにより駆動または回転される。
【0162】
図4Aに、サンプル・プレート11の個々のサンプル・ウェル14を示す。図4Aに示した実施例において、サンプル・ウェル14は、中央流体収容領域16の周囲に配置された8個の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を備えるものでもよい。別の実施例において、他の数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を備えるものでもよい。各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15は、少なくとも2つの放射状壁部材17と、サンプル・ウェル14の外壁または内壁と、により規定される。放射状壁部材17は、サンプル・ウェル14の壁からサンプル・ウェル14の中心に向かって伸長する構成が望ましい。ただし、壁部材17は、サンプル・ウェル14の中心までずっと伸びるのではないため、中央流体収容領域16が形成可能となる。中央流体収容領域16にその端部が隣接する放射状壁部材17の少なくとも一部または望ましくはすべてが、個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内での試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの保持を助けるように、また、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが中央流体収容領域16内に流入することがないように設計された拡張部を備えるようにしてもよい。あるいは、放射状壁部材17の少なくとも一部または実質的にすべての高さを、中央流体収容領域16の範囲で単に減少させるようにしてもよい。
【0163】
図4Aに示す実施例において、放射状壁部材17は、サンプル・ウェル14の外壁または内壁から伸長する。ただし、図4Bに示す実施例のように、放射状壁部材17が、サンプル・ウェル14の壁から伸長せず、サンプル・ウェル14の外壁または内壁から間隔をおいて配置されるものでもよい。サンプル・ウェル14の外壁または内壁にその端部が達しない放射状壁部材17の少なくとも一部または望ましくはすべてが、個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内での試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの保持を助けるように設計された拡張部を備えるようにしてもよい。あるいは、放射状壁部材17の少なくとも一部または実質的にすべての高さを、サンプル・ウェル14の外壁または内壁に向かって単に減少させるものでもよい。
【0164】
図4Cに、サンプル・ウェルの個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に8種類の異なる試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給した実施例を示す。図4Cに示す実施例では、第1の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Aが第1の試薬で被覆され、第2の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Bが異なる第2の試薬で被覆され、第3の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Cが異なる第3の試薬で被覆され、第4の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Dが異なる第4の試薬で被覆され、第5の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Eが異なる第5の試薬で被覆され、第6の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Fが異なる第6の試薬で被覆され、第7の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Gが異なる第7の試薬で被覆され、第8の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Hが異なる第8の試薬で被覆される。したがって、この実施例では、1つの液体試料で、ほぼ同時に、個々に選択された8種類の異なるイムノアッセイ(免疫測定法)を実施可能であるため、多重試験が可能である。
【0165】
図5に、本発明の別の実施例として、6個のサンプル・ウェル14からなるストリップ片を備えるサンプル・プレートを示す。各サンプル・ウェル14は、8個の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を有する。
【0166】
第1実施例のサンプル・ウェル14は、複数の直線状の放射状壁部材17を備えているが、別の実施例において、隣接する試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を仕切る壁は曲線状でもよい。また別の実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15が、複数の多角形(たとえば、六角形)チャンバからなるハニカム構造を形成するものでもよいし、および/または、複数の円形試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を備えるものでもよい。
【0167】
第1実施例では、試験対象の流体は、サンプル・ウェル14の中央流体収容領域16内に供給される。流体は、たとえば、患者から採取した血液試料、血清試料、唾液試料または尿試料でもよい。サンプル・ウェル14の中央流体収容領域16内に供給された流体は、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を規定する2つの放射状壁部材17の間の隙間を流れることにより、隣接する各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に流入する。好適な実施例において、供給された流体が、放射状壁部材17の上端部から溢れないことが望ましい。
【0168】
サンプル・ウェル14の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部が、鉄層もしくは磁気層または鉄コーティングもしくは磁気コーティングを備える、および/または、鉄特性または磁気特性を備えるようにしてもよい。磁気装置または静電装置を用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2から供給される際に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付けて、サンプル・ウェル14の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給されるように試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを誘導するようにしてもよい。試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給した後には、磁気装置または静電装置を用いて、所定の時間、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付け、保持または維持するようにしてもよい。
【0169】
あるいは、機械装置または電気装置を用いて、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に送るまたは向かわせるようにしてもよいし、および/または、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、所定の時間、収容チャンバ15内に保持または維持するようにしてもよい。
【0170】
さらに別の実施例において、磁気装置、静電装置、機械装置または電気装置を用いて、適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動または攪拌するようにしてもよい。一実施例において、液体試料が中央流体収容領域16内に供給されて、各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に拡散された後に、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に配置された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動または攪拌するようにしてもよい。この工程により、さまざまな試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、供給された液体試料で完全に濡らすまたは被覆することができる。一実施例において、サンプル・プレート13に含まれるサンプル・ウェル14の各中央流体収容領域16内に10ないし200mlの液体試料を供給することができる。
【0171】
カルーセル1上に配置されたセンサまたは試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6の近傍に配置されたセンサに加えて、または、センサの代わりに、視覚検出システムを用いて、1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがサンプル・プレート13の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給されたか否か、または、正しく配置されたか否かを判定するようにしてもよい。一実施例において、実質的に透明なサンプル・プレート13の色と対照をなすように、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを着色するようにしてもよい。サンプル・プレート13に1つ以上のルミネッセンス(発光)または蛍光マーカを含有させ、ルミネッセンス/蛍光検出装置を用いて、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがサンプル・ウェル14の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に正しく供給されたか否かを判定するようにしてもよい。この判定を、たとえば、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアによりサンプル・プレート13上のルミネッセンスまたは蛍光マーカーが観察できなくなる、または、検出できなくなるか否かにより行なうようにしてもよい。あるいは、磁気センサ、電気センサ、容量センサまたはメカニカルセンサを用いて、サンプル・プレート14の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが存在するか存在しないかを判定するようにしてもよい。
【0172】
一実施例において、制御システムを用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数および/または位置および/または種類を判定するようにしてもよい。また、制御システムにより、いずれの試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内にさらに試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するべきかを決めるようにしてもよい。サンプル・ウェル14の中央流体収容領域内に液体試料が供給された後、制御システムが、適当な量の液体試料が供給されたか、また、すべての試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、少なくとも部分的に、または、完全に液体試料に浸漬されたか、を確認するようにしてもよい。
【0173】
サンプル・ウェル14の中央流体収容領域内に供給するべき液体試料の量は、サンプル・ウェル14内に形成された試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15の数、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径、および、所定のサンプル・ウェル14に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数に応じて決まる。制御システムを用いて、サンプル・ウェル14内に供給される液体試料の量を変えて、サンプル・ウェル14内に存在する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数や試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15の数、ならびに、供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径と関係なく、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に一定の深さまで液体試料に浸漬されるようにしてもよい。
【0174】
サンプル・プレート13は、さまざまな形式で構成可能である。たとえば、図1および図3に示すように、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の2次元アレイを備えるようにしてもよい。たとえば、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の4×4、4×6、4×8、4×10、4×12、6×6、6×8、6×10、6×12、8×8、8×10、8×12、10×10、10×12または12×12アレイを備えるものでもよい。他の実施例において、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の1次元ストリップ片を備えるようにしてもよい。たとえば、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の4×1、6×1、8×1、10×1または12×1ストリップ片を備えるものでもよい。さらに別の実施例において、アレイやストリップ片以外の形式でサンプル・ウェルを備えるものでもよい。
【0175】
本発明の第2実施例を図6を参照して説明する。第2実施例におけるサンプル・プレートは、複数のサンプル・ウェル19を備える(ただし、サンプル・プレートがサンプル・ウェル19を1つだけ備える構成も可能である)。好適な実施例において、サンプル・プレートは、サンプル・ウェル19の9×6アレイを備えるものでもよい。図6に1つのサンプル・ウェル19を示す。サンプル・プレートは、サンプル・ウェル19のストリップ片を備えるものでもよく、たとえば、サンプル・プレートが、サンプル・ウェル19の1×9または1×6アレイまたはストリップ片を備えるものでもよい。
【0176】
各サンプル・ウェル19は、望ましくはサンプル・ウェル19の基部に設けられる複数のポケット、凹部または穴21を有する。図6に示す実施例では、サンプル・ウェル19は、サンプル・ウェル19の基部に形成されるまたは設けられる10個のポケット、凹部または穴21を有する。他の実施例において、サンプル・ウェル19の基部にさまざまな数のポケット、凹部または穴21を備えるようにしてもよい。たとえば、サンプル・プレートが、サンプル・ウェル19の少なくとも一部または全部に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個以上のポケット、凹部または穴21を備えるものでもよい。
【0177】
ポケット、凹部または穴21は、サンプル・ウェル19の周縁部または周囲に備えられることが望ましく、サンプル・ウェル19の基部の中心または中心領域は、ほぼ平坦で、ポケット、凹部または穴21が形成されていないことが望ましい。図1ないし図5を参照して上述した第1実施例では、サンプル・プレートは、複数の放射状壁部材を備え、各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを保持する。これに対して、第2実施例では、サンプル・プレート19のポケット、凹部または穴21内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが固定されるため、放射状壁部材は不要であり、望ましくは、設けられない。ただし、第1実施例と第2実施例の態様を組み合わせて、サンプル・プレートが、複数の放射状壁部材によって部分的に規定される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備えるようにしてもよい。少なくとも一部の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバが、さらに、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの基部にポケット、凹部または穴を備える構成でもよい。この構成の実施例では、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバに供給するようにしてもよいし、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの基部に設けられたポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをしっかりと固定するようにしてもよい。
【0178】
さらに別の実施例において、従来のマイクロプレートと、第1実施例および/または第2実施例のサンプル・プレートとのハイブリッド構成でもよい。たとえば、サンプル・プレートが、1つ以上の従来のサンプル・ウェルと、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するための複数の凹部、ポケットまたは穴を有する1つ以上のサンプル・ウェルを備えるようにしてもよい。
【0179】
図6に示す第2実施例では、サンプル・ウェル19の基部に設けられたポケット、凹部または穴21の少なくとも一部またはすべてが、少なくとも一部の長さに沿ってテーパした、または、ほぼ全長にわたってテーパした穴を備える。ポケット、凹部または穴21を、たとえば、6°のテーパ角度で設けるようにしてもよい。たとえば、テーパ穴の上端(すなわち、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容部)の直径は1.82mmである。穴の周囲のサンプル・ウェル19の基部が円錐形に広がった部分を備え、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aおよび20Bのポケット、凹部または穴21への挿入が容易になるようにしてもよい。たとえば、円錐形に広がった部分の外径は2.25mmである。
【0180】
図7Aに、本発明の第2実施例におけるサンプル・プレートに備えられるサンプル・ウェル19とこれに隣接する2つのサンプル・ウェル19の一部の平面図を示す。図7Aに示すサンプル・ウェルは、サンプル・プレートに備えられるサンプル・ウェル19のアレイの一部を形成する。各サンプル・ウェル19は、サンプル・ウェル19の底部または基部に配置される10個のポケット、凹部または穴21を備える。使用時に、サンプル・ウェル19の各ポケット、凹部または穴21に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが挿入され、テーパして穴の直径が小さくなることにより、ポケット、凹部または穴21内で試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが固定される。
【0181】
図7Bに、サンプル・ウェル19の底部の詳細、具体的に言えば、サンプル・ウェル19の底部に設けられ、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される複数のポケット、凹部または穴21を示す。サンプル・ウェル19の基部に設けられる各ポケット、凹部または穴21は、各テーパ穴の入口に円錐形に広がった部分または領域を備えることが望ましい。好適な実施例において、各ポケット、凹部または穴21内に、1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給および挿入される。
【0182】
図7Cに、本発明の第2実施例において、サンプル・ウェル19の基部に設けられたポケット、凹部または穴21内に配置され、固定された試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aの詳細を示す。試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aは、ポケット、凹部または穴21内に固定され、ポケット、凹部または穴21内に固定または配置された状態で、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aの上面がウェル底部表面の約0.3mm下の位置におかれる、または、配置される。したがって、好適な実施例において、サンプル・ウェル19の底部に設けられたポケット、凹部または穴21に配置および固定される試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが、ポケット、凹部または穴21の入り口または表面から上方に突出せず、よって、サンプル・ウェル19の底部表面から上方に突出しないことが望ましい。ただし、サンプル・ウェル19の基部に設けられた1つ以上のポケット、凹部または穴21に配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、比較的浅いポケット、凹部または穴21に配置されるものでもよいし、あるいは、テーパされた1つ以上のポケット、凹部または穴21内に配置され、ポケット、凹部または穴21内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを配置した際に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがポケット、凹部または穴21の入り口または表面から上方にわずかに突出し、よって、サンプル・ウェル19の底部表面から上方に突出するものでもよい。
【0183】
以下、図8A、図8Bおよび図9を参照して説明するように、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22により、サンプル・プレートのサンプル・ウェル19の底部に設けられたポケット、凹部または穴21内に供給されることが望ましい。図8Aに示す第2実施例の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、上部キャップ23と、シリンジ本体24と、シリンジ本体24の下部領域から突出するバレル25と、を備える。
【0184】
図8Bに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22の断面図、具体的に言えば、シリンジ本体24の内部にプランジャ・ガイド26が備えられた好適な実施例の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す。プランジャ・ガイド26は、望ましくは、その上部外面にネジが形成されている。望ましくは、シリンジ本体24の上部内面に、プランジャ・ガイド26の上部外面上に形成されたネジにかみ合う相補的なネジが形成され、使用時に、シリンジ本体24にプランジャ・ガイド26がしっかりとネジで固定される。キャップ23の内面にもネジが形成され、プランジャ・ガイド26の上部に固定される構成が望ましい。
【0185】
プランジャ27がプランジャ・ガイド26内に配置され、プランジャ・ガイド26により規定される穴内でプランジャ27の上方に位置するアクチュエータ/プランジャ・ボス28を作動させることにより、プランジャ27が押し下げられる。アクチュエータ・スプリング(図示しない)が、プランジャ27とアクチュエータ/プランジャ・ボス28との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28が押し下げられると、アクチュエータ・スプリングを介して、プランジャ27に力が伝達され、その結果、プランジャ27が押し下げられる。望ましくは、リターン・スプリング(図示しない)が、プランジャ・ガイド26の底部とプランジャ27との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28の押し下げを停止した際に、プランジャ27とアクチュエータ/プランジャ・ボス28の両方が上方の位置に戻る。
【0186】
図9は、図8Aおよび図8Bを参照して上述した第2実施例の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22の分解図を示す。図9に示すように、バレル25の上部の内側にシリコーン部材30が配置されている。使用時には、シリンジ本体24内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、シリンジ本体24の底部内に形成されたらせん状通路を通って送られる、または、導かれることにより、シリンジ本体24の底部で、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが一列にまたはひと続きに配置される。一列のまたはひと続きの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、バレル25のすぐ上で、プランジャ・ガイド26の下方に位置するチャンバ内に入る。チャンバは、プランジャ27の下方でバレル25の上方の穴内に位置する1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容可能な形状および配置である。プランジャ27が押し下げられると、プランジャ27がチャンバ内に位置する1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを下方に押し出す。1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aは、望ましくは、シリコーン部材30を介してプランジャ27により押し出される。好適な実施例において、プランジャ27は、バレル25を介して、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のバレル25のすぐ下に置かれたサンプル・ウェル19のポケット、凹部または穴21内に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを連続的に押し出すことが望ましい。シリコーン部材30により、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のチャンバからシリンジ本体24のバレル25内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの偶発的な放出を防ぐことができる。
【0187】
シリンジ本体24の底部をらせん形状にして、シリンジ本体24の底部に配置されるチャンバに向かって試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを誘導するまたは導くことが望ましい。チャンバは、いかなる時点においても、シリコーン部材30の上方に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが1つだけ載るように構成することが望ましい。チャンバは、プランジャ27が移動する穴内に形成され、プランジャ27を押し下げることにより、チャンバ内に位置する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、シリコーン部材30を介して、バレル25内に押し出される。
【0188】
必要に応じて、振動機構を設け、シリンジ本体24の外側で作動させて、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがシリンジ本体24を通ってシリンジ本体24の底部まで移動し、チャンバ内に順次入るように一列にまたはひと続きに並べるようにしてもよい。
【0189】
試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、たとえば、キット製造業者やその他供給業者により、シリンジ本体24にあらかじめ詰められたり、充填されたものでもよい。あるいは、エンドユーザが試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをシリンジ本体24に充填するようにしてもよい。
【0190】
第2実施例のマイクロアレイ装置または自動装置を図10を参照して説明する。図10に示すように、複数のシリンジ本体37が、トレイまたはパック36上に充填され、トレイまたはパック36は、自動的にマイクロアレイ装置または自動装置に投入される。3軸移動機構またはロボットアームにより、複数のシリンジ本体37が充填されたトレイまたはパック36を、マイクロアレイ装置または自動装置の試薬ビーズ/マイクロスフェア供給作業領域まで動かすことができる。
【0191】
マイクロアレイ装置または自動装置は、望ましくは、3軸移動機構を備え、3軸移動機構は、ガイドレール31を含む第1移動ステージを備え、第1アーム32が、ガイドレール31に沿って第1の(x)水平方向に移動可能である。第1アーム32を包囲するまたは取り囲む取り付けブロック33を有する第2移動ステージを備えることが望ましい。取り付けブロック33は、(望ましくは、第1の(x)水平方向と直交する)第2の(y)水平方向に移動可能であり、第1アーム32に沿って前後に移動可能である。さらに、リニア・アクチュエータ(図示しない)を内蔵する本体/シリンジ駆動機構34を有する第3ステージを備えることが望ましい。本体/シリンジ駆動機構34は、取り付けブロック33上にスライド可能に取り付けられて、鉛直(z)方向に昇降可能である。
【0192】
3軸移動機構は、望ましくは、さらに、取付けブロック33から伸長する格納式アーム35を備える。3軸移動機構は、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が充填されたトレイまたはパック36から1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を選択して持ち上げるようにプログラミングされている。本体/シリンジ駆動機構34は、管状ハウジング内に弾性的に取り付けられたテーパ状のスピゴット(差し込み口、spigot)を備える。スピゴットは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のシリンジ・キャップ23上に設けられたテーパ部に係合する。トレイまたはパック36内で適当な位置に置かれた試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のシリンジ・キャップ23上まで、スピゴットが下降して、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を本体/シリンジ駆動機構34に着脱可能に固定することができる。本体/シリンジ駆動機構34およびそれに固定された試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を、(当初は、取付けブロック33の本体内に格納されている)格納式アーム35が伸びる高さまで上昇させることができる。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を本体/シリンジ駆動機構34により下降させると、シリンジ本体24の上部が格納式アーム35により固定される。格納式アーム35は、望ましくは、シリンジ本体24の上部周縁の最外径よりも小さな内径を持つ孔を備える。
【0193】
好適な実施例において、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が、複数の同一の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを含有することが望ましい。一実施例において、1つのトレイまたはパック36に、最大15個の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が充填または準備可能であり、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が、最大約2000個の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容する容量を備えるものでもよい。
【0194】
好適な実施例において、シリンジ駆動機構34は、トレイまたはパック36から1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を持ちあげて、その試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のバレル25の位置を合わせて下降させ、その試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のバレル25がサンプル・プレートのサンプル・ウェル19内に形成された所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ポケットまたは凹部21のすぐ上にくるようにする。シリンジ駆動機構34を作動させて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のアクチュエータ/プランジャ・ボス28を押し下げ、その結果、プランジャ27により、シリコーン部材30を介してチャンバからバレル25を通ってサンプル・ウェル19の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ポケットまたは凹部21内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが押し出される。アクチュエータ/プランジャ・ボス28およびプランジャ27の所定鉛直方向位置への移動に対して、所望の大きさの力で、シリンジ駆動機構34が、アクチュエータ/プランジャ・ボス28およびプランジャ27を押し下げるように構成されることが望ましい。この結果、一定の大きさの力で、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが、サンプル・ウェル19の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ポケットまたは凹部21内にしっかりと連続して圧入される。
【0195】
図11に、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を選択して持ち上げる様子を詳細に示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34は、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のシリンジ・キャップ23の上部に設けられたテーパ凹部に係合するように構成されたテーパ下端を有するスピゴット39を備える。スピゴット39は中心孔を備え、プランジャ・プッシュロッド40が中心孔を通って取り付けられる。プランジャ・プッシュロッド40は、リニアアクチュエータ送りネジ42を駆動するリニアアクチュエータ41により上方または下方に駆動され、リニアアクチュエータ送りネジ42によりプランジャ・プッシュロッド40が昇降する。
【0196】
図11に示すように、ある試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を選択して持ち上げる場合には、その試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22上まで試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34を下降させて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34のスピゴット39をその試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のシリンジ・キャップ23と係合させる。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34がその試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22上まで下がると、スピゴット39が圧縮されて、これ以上は上昇不可能な限界まで上昇する。次に、スピゴット39が圧縮された状態で下降すると、スピゴット39のテーパとシリンジ・キャップ23の対応するテーパとが係合して、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34に試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22が取り付けられる。
【0197】
図11に示す試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、図8A、図8Bおよび図9に示す試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22と同様のものであるが、図8Bおよび図9に示すスペーサ29が図11の実施例では保持キャップ43に置き換えられている。また、図11に示す作動バネ44は、アクチュエータ/プランジャ・ボス28とプランジャ27との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28に加えられた力をプランジャ27に伝達する。さらに、図11に示すように、リターン・スプリング45が、プランジャ27とプランジャガイド26の基部との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28の押し下げまたは作動を停止した際に、プランジャ27(およびアクチュエータ/プランジャ・ボス28)を上方の位置に戻す役割を果たす。
【0198】
図12Aに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を選択して持ち上げ、所望の位置に試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を移送する様子を示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が所定の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を係合した後、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が上昇し、スピゴット39は圧縮状態から解放される。これにより、スピゴット39が下方の位置に戻って、シリンジ本体24を含む試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22が、スピゴット39のテーパとシリンジ・キャップ23の対応するテーパとを介して、スピゴット39に固定される。
【0199】
図12Bに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22から(図示しない)サンプル・プレートの(図示しない)サンプル・ウェルのポケットまたは凹部内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを供給する様子を示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34のリニアアクチュエータ41が作動し、リニアアクチュエータ送りネジ42が伸びて、プッシュロッド40を下方に押し下げる。プッシュロッド40の下方への移動により、アクチュエータ/プランジャ・ボス28が押し下げられる。アクチュエータ/プランジャ・ボス28は、作動バネ44を介して、プランジャ27に力を伝達し、直接プランジャ27に接触しないことが望ましい。プランジャ27は、シリンジ本体24内に形成された中心孔内のチャンバから試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを押し出す。プランジャ27により、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが、膜30を介して、バレル25内を下方に移動し、(図示しない)サンプル・プレートの凹部またはポケット内に押し出されることが望ましい。
【0200】
図13Aに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34の端部から試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22が放出される様子を示す。この動作モードでは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、トレイまたはパック36の上方に位置する。プランジャ27が最大限に伸びるまで、リニアアクチュエータ41がリニアアクチュエータ送りネジ42を下方に動かす。この際、スピゴット39も最大限まで伸びる。リニアアクチュエータ41がアクチュエータ/プランジャ・ボス28を介してプランジャ27に力を加え続けると、図13Bに示すように、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22の本体がテーパしたスピゴット39の端部から押し出される。押し出された試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサのトレイまたはパック36内に戻るように落下する。
【0201】
本発明の実施例の特徴を説明するために、9個のサンプル・ウェル19を備えるサンプル・プレートを用いて、試験を行なった。各サンプル・ウェル19は、サンプル・ウェル19の中心部分の周囲に円形に配置された10個のポケット、凹部または穴21を備え、各ポケット、凹部または穴21に、さまざまな濃度の試薬で被覆した試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填した。第1のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、10μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであり、第2のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、8μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであった。また、第3のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、4μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであり、第4のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、2μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであった。さらに、第5のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、1μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであり、第6のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、0.5μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであった。第7のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、試薬で被覆しなかった。すなわち、試薬濃度は0μg/mであった。第8のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、さまざまな濃度の試薬で被覆されたものであり、その濃度は、10μg/ml、8μg/ml、4μg/ml、2μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0μg/ml、0μg/ml、0μg/ml、0μg/mlであった。第9のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、第8のサンプル・ウェル内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと同様の濃度で、第8のサンプル・ウェル内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと同様に配列した。
【0202】
試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、ヒツジの免疫グロブリンG(IgG)を含む捕捉抗体で被覆し、0.02%ケーソン(登録商標)防腐剤を含有する重炭酸塩緩衝液に入れて運んだ。
【0203】
試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを運ぶ際に用いた防腐剤を捨ててサンプル・プレートのサンプル・ウェル19を空にした後、各サンプル・ウェル19に、1/1000希釈のロバ抗ヒツジIgGペルオキシダーゼ・コンジュゲートのトリス緩衝食塩水(Tris Buffered Saline:TBS)コンジュゲート希釈緩衝液を400μl加えた。サンプル・プレートを室温でインキュベートし、中くらいの強さで45分間振動させた。マイクロアレイ装置(Dynex Technologies社から市販されているDS2(登録商標)のシングルチャネル洗浄ヘッドを用いて、非結合コンジュゲートをサンプル・ウェル19から吸引した。サンプル・ウェル19から非結合コンジュゲートを吸引した後すぐに、各サンプル・ウェル19に、1/20希釈のトリス緩衝食塩水洗浄液を500μl加え、その後、洗浄液をサンプル・ウェル19から吸引した。このようにサンプル・ウェル19を洗浄液で洗浄して吸引する処理をさらに2回繰り返した。3回目の洗浄と洗浄液の吸引が完了した後すぐに、各サンプル・ウェル19にルミノール(化学発光マーカー)を300μl加えた。中くらいの強さで15分間振動させつつ、サンプル・プレートを暗所で室温でインキュベートした後、サンプル・プレートを測定用チャンバに移動させた。
【0204】
カメラをゲイン20で6分30秒の露光時間に設定した。ルミノールを加えて22分後および29分後に撮像を行なった。次に、カメラの露光時間を8分37秒に変更し、ルミノールを加えて38分後、47分後、56分後および65分後に撮像を行なった。撮像した画像の解析から、ルミノールを加えてから15分後から22分後の範囲で最大の信号強度が得られた。この結果は、ルミノールの減衰曲線に一致する。
【0205】
好適な実施例において、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをサンプル・プレートのポケット、凹部、穴または試薬ビーズ収容チャンバ内に供給した後、以下の工程を実施するようにしてもよい。最初に、液体試料をサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェルに加える。液体試料は、1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア上に被覆された試薬と反応する特異的抗原等の1つ以上の被分析物を含有するものでもよい。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが特異的捕捉抗体で被覆されることが望ましい。
【0206】
液体試料をサンプル・ウェルに加えた後、サンプル・プレートをインキュベートする。サンプル・プレートのインキュベーションにより抗原抗体複合体を形成後、サンプル・プレートに1回以上の洗浄および吸引処理を実施して、非反応液体試料を除去し、続いて、そのための洗浄流体を除去する。次に、酵素コンジュゲート(酵素複合体)を加える。酵素コンジュゲートは、形成された抗原抗体複合体の抗原部分に結合するが、抗体や抗原抗体複合体の抗体部分には結合しない。サンプル・プレートをインキュベートした後、1回以上の洗浄および吸引処理を行なう。サンプル・プレートを1回以上洗浄および吸引後、ルミノール(または他の可視化剤)を加えることが望ましい。次に、サンプル・プレートを吸引して、過剰なルミノール(または他の可視化剤)を吸引除去する。ルミノール(または他の可視化剤)は、抗原抗体複合体の抗原部分に結合した酵素に接触すると、分解されて特徴的な色を発する。最後に、サンプル・プレートの分析を行ない、終点を決定する。
【0207】
本発明の特に好適な実施例を図14Aおよび図14Bを参照して説明する。図14Aに、9つのサンプル・プレートをプレート・フレームに充填した様子を示す。図14Aに示す各サンプル・プレートは、6×1サンプル・ウェルのストリップ片を備える。サンプル・プレートは、取り出し可能にプレート・フレームに充填される。9つのサンプル・プレートまたはストリップ片の各々は、6個のサンプル・ウェルを備え、各サンプル・ウェルは、使用時に試薬ビーズが収容される10個のテーパ穴を備える。試薬ビーズは、サンプル・ウェルの基部より上方に突出しないように、テーパ穴内に充填されることが望ましい。図14Bに、サンプル・プレートを充填可能なプレート・フレームの詳細を示す。
【0208】
図15Aに、6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片の詳細を示す。好適な実施例において、ストリップ片のサンプル・ウェルは、分離または分割可能である。一実施例において、サンプル・プレートまたはストリップ片は、1個ずつのサンプル・ウェルに分離または分割可能である。図15Bに、プレート・フレームに6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片を充填する様子を示す。
【0209】
図16Aに、(サンプル・ウェルのストリップ片から分離された)1個のサンプル・ウェルをプレート・フレームに充填する様子を示す。サンプル・ウェルは、望ましくは、プレート・フレームの基部に形成される雄型部と係合または連結する雌型部を備える。これにより、サンプル・プレートまたはサンプル・ストリップは、プレート・フレームに充填される際に、プレート・フレームにしっかり固定される。
【0210】
図16Bに、分離構造47により連結された2個のサンプル・ウェルを詳細に示す。分離構造47により、ユーザーは連結されているサンプル・ウェルを分割することができる。一実施例において、サンプル・ウェルを互いに分割した後、邪魔し合うことなく、プレート・フレーム上で隣接して配置させることができる。分離構造47は、1つ、2つ、または3つ以上の切断点46を備えることが望ましい。一実施例において、2つのサンプル・ウェルを連結する接続片47を第1の切断点46で一方のサンプル・ウェルから分離するようにしてもよい。次に、第2の切断点46で残ったサンプル・ウェルから接続片47を切断することにより、接続片47を残ったサンプル・ウェルから折り取るまたは取り除くようにしてもよい。
【0211】
図16Cに、端部分離構造48を備えるサンプル・ウェルを示す。端部分離構造48により、他のサンプル・ウェルの邪魔をすることなく、プレート・フレーム内で個別に端部ウェルを用いることができる。端部分離構造48は、プレート・フレームからサンプル・ウェルのストリップ片を取り出す際に、あるいは、プレート・フレームからサンプル・ウェルを1つ取り出す際に、ユーザが保持可能な部分を提供する。
【0212】
図16Dに、ID/方向合わせタブ49を備えるサンプル・ウェルを示す。タブ49上に識別子を印刷したり、あるいは、取り付けたりできる。識別子は、2次元または3次元バーコードおよび/またはヒトが読み取り可能な文字列でもよい。タブ49を用いて、プレート・フレームのフィーチャ(特徴的構造)および/または他のサンプル・ウェル上のフィーチャと整列させることにより、ユーザーはサンプル・ウェルを正しい方向に置くことができる。
【0213】
図17Aに、好適な実施例において、使用時に試薬ビーズを各々挿入可能な10個の穴または凹部を備えるサンプル・ウェルのストリップ片の底面を示す。各サンプル・ウェルは、その基部または底面に、使用時に、プレート・フレームの基部に形成される雄型部と対になる雌型部を備える
【0214】
図17Bに、サンプル・ウェルのストリップ片をプレート・フレームに対して位置合わせするための雌型位置合わせ/保持構造50を詳細に示す。図17Cに、プレート・フレームの基部に対応して設けられる雄型位置合わせ/保持構造51を示す。一実施例において、雄型部51は、雄型部51上にサンプル・ウェルを置いた場合に内側に変形する複数の可撓性突起を備えるものでもよい。プレート・フレーム上の突起が閉じる方向に動くことにより、プレート・フレーム上にサンプル・ウェルを取り付け固定する場合、および/または、プレート・フレームからサンプル・ウェルを取り外す場合に、過度の力を加える必要なく、サンプル・ウェルを所定位置に保持することができる。
【0215】
図18に、本発明の好適な実施例において、複数のテーパ穴52を備えるサンプル・ウェルのストリップ片の断面図を示す。テーパ穴は、使用時に試薬ビーズを挿入可能なポケットとして機能する。テーパ角度は、6.0°が望ましい。
【0216】
上述した実施例では、主に、イムノアッセイ(免疫測定法)やELISA法に用いられる生体分子で被覆される試薬ビーズを中心に説明してきたが、核酸配列を含有する、または、核酸配列で被覆される試薬ビーズで、試薬ビーズ上のDNAまたはRNA配列と相補的なDNAまたはRNA配列を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブとして用いられる試薬ビーズにも同様に本発明を適用可能である。当業者には自明のように、ハイブリダイゼーション用プローブは、ハイブリダイゼーションまでは不活性であり、ハイブリダイゼーションの時点で、立体構造が変化し、複合体分子が活性化されて、紫外線により蛍光を発する。したがって、上述したさまざまな実施例や上述した実施例の様々な態様を、相補的なDNAまたはRNA配列を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブとして利用可能な、DNAまたはRNA配列(または他のヌクレオチド配列)を含有するまたはこれらの配列で被覆される試薬ビーズにも同様に適用可能である。
【0217】
以上、本発明を好適な実施例を参照して説明したが、当業者には自明のように、以下の特許請求の範囲に明記する本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな形態および詳細に変更可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプル・プレート、自動装置、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する方法、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を実施するためのキット、核酸プローブ法を実施するためのキット、サンプル・プレートを製造する方法および自動装置の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムに関する。
【0002】
好適な実施形態は、サンプル・プレートに試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する自動試薬ビーズ/マイクロスフェアディスペンサに関する。サンプル・プレートを用いて、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)や他のイムノアッセイ法(免疫測定法)等の診断検査を実施することができる。あるいは、サンプル・プレートを用いて、DNA配列またはRNA配列の検査を実施することも可能である。
【背景技術】
【0003】
イムノアッセイ法は、生物学的製剤の検査に適している。この測定法では、体内で生成される抗体の能力を利用して、バクテリアやウィルス等の異物やホルモン等の体内生成物に関係する可能性のある特異的抗原を認識して、特異的抗原に結合させる。特異的な抗原抗体結合が生じると、発色物質、蛍光物質、または化学発光物質を用いて、あるいは、あまり望ましくはないが、放射性物質を用いて、この結合を検出することができる。放射性物質の使用があまり望ましくないのは、物質の取り扱い、貯蔵および廃棄に関して環境上および安全上の懸念があるためである。同じ原理で、レクチン、リウマチ因子、プロテインAや核酸等を結合パートナーとして用いて、特異的な結合対を形成可能な物質を検出したり定量したりすることも可能である。
【0004】
ELISA法は、特に好適なイムノアッセイ法であり、結合対の一成分をサンプル容器等の不溶性担体表面(以下、「固相」)に結合させて、反応後に、酵素にコンジュゲート(結合)された特異的結合剤(以下、「コンジュゲート」)を用いて、結合対を検出する。ELISA法は当該技術分野で周知であり、長年、研究目的のみならず商業目的でも用いられてきた。イムノアッセイの理論と実践に関しては数多くの本や総説に詳述されている。たとえば、検出測定のための固相の特性や選択、捕捉成分で固相を被覆する方法および試薬、標識の特質と選択、成分を標識する方法等に関する議論がなされている。標準的な教科書の例としては、ELISA and Other Solid Phase Immunoassays, Theoretical and Practical Aspects(ELISAおよび他の固相イムノアッセイ、理論と実践), D.M. KemenyおよびS.J. Challacombe編、John Wiley出版、1988年が挙げられる。このような議論は、他の特異的結合対の測定にも適用される。
【0005】
最も一般的な形態のELISAでは、固相を結合対の一成分で被覆する。一定分量(アリコート)の対象試料を、固体被覆固相を用いて、インキュベート(incubate)し、存在する被分析物を固相上に捕捉する。残った試料と含有されている場合には妨害物質を洗浄除去した後、被分析物質に特異的で、かつ、所定の酵素にコンジュゲート(結合)されている第2の結合剤を固相に加える。2回目のインキュベーションの際に、固相上で捕捉された被分析物がコンジュゲートに結合する。非結合コンジュゲートを除去する2回目の洗浄処理後、その酵素に対する発色基質を固相に加えると、酵素の存在により、基質から発色生成物への変換が開始される。所定時間後、直接または反応終了後に分光光度計を用いて、形成された生成物の量を測定する。
【0006】
以上、バイオアッセイの一般的な方法の概要を説明したが、ELISA法で蛍光発生基質やルミネッセンス(発光)発生基質を用いたり、結合対の第2の成分を蛍光分子や発光性分子で直接標識したり(この場合には、厳密にはELISA法ではないが、処理工程はほとんど同じである)、抗体の代わりに結合剤として核酸や他の特異的対形成剤を用いる等、当該分野で周知のようにさまざまな変形が可能である。ただし、いずれの測定法でも、サンプルチューブから血液、血清、尿等の液体試料を吸引して、固相に供給する必要がある。固相に供給する前に試料を希釈してもよいし、あるいは、ディープウェル・マイクロプレートに供給し、その場(in situ)希釈し、希釈した被分析物質を機能性固相に移送するようにしてもよい。
【0007】
最も一般的な種類の固相は、マイクロプレートとして知られている標準的なサンプル容器である。このマイクロプレートは、保存が容易で、さまざまな生物学的試料と共に用いることができる。マイクロプレートは、1960年代から市販されており、たとえば、ポリスチレン、PVC、パースペクス(Perspex)またはルーサイト(Lucite)から形成され、長さ約5インチ(12.7cm)、幅約3.3インチ(8.5cm)、奥行き約0.55インチ(1.4cm)である。ポリスチレンは光学的透明度が高いため反応結果の視覚的解釈が容易であるため、ポリスチレン製のマイクロプレートが特に好まれている。ポリスチレン製のマイクロプレートは、さらに、コンパクトで軽量、かつ、簡単に洗浄できる。本発明の出願人により製造されたマイクロプレートは、MICROTITRE(登録商標)の名称で市販されている。周知のマイクロプレートは、8×12アレイで対象に配列される96個のウェル(「マイクロウェル」として一般に知られている)を備える。マイクロウェルは、通常、約350μlの最大容量を持つ。ただし、通常、マイクロウェルに供給される流体の量は10ないし200μlに過ぎない。マイクロプレートのマイクロウェルを8または12個のウェルを含むストリップ片として構成し、これを移動させて担体と組み合わせることにより従来寸法のプレートを得るようにしてもよい。
【0008】
ポジティブコントロール(陽性対照)およびネガティブコントロール(陰性対照)は、通常、市販のキットと共に供給される。これらのコントロールを用いて品質管理を行ない、相対的カットオフを求める。処理したマイクロプレートを測定後、コントロールの測定結果を製造業者の有効値と照合して、分析が正しく実施されたことを確認し、その値を用いて、陽性試料と陰性試料とを識別し、カットオフ値を算出する。定量分析用に通常準備されている標準を用いて、標準曲線を作成し、試料中の被分析物質の濃度を標準曲線から補間する。
【0009】
概要を上述したELISA法は、ピペット操作、インキュベーション、洗浄、各工程間におけるマイクロプレートの移動、測定およびデータ解析等多くの工程を含む。近年、試料分配、希釈、特定温度でのインキュベーション、洗浄、酵素コンジュゲート(酵素複合体)添加、試薬添加、反応停止および結果の解析等のELISA法に含まれる工程(「状態」)を自動化したシステムが開発されている。液体試料の吸引や供給に用いられるピペット機構に、使用後に取り外される使い捨てのチップを用いることにより、患者試料の二次汚染を防ぐ。複合的な計器制御を行なって、容積、時間、波長および温度が適当であること、また、分析が完全に有効であり、モニターされていることを確認する。ELISA法を実施する自動イムノアッセイ(免疫測定)装置は、現在、製薬会社、獣医学および植物学研究所、病院および大学等の研究機関で、病気や感染の検査等の体外(in vitro)診断や新しいワクチンや薬剤の生産促進に広く用いられている。
【0010】
市販されているELISAキットには、製造業者により特異的抗体(または特異的抗原)で被覆されたマイクロウェルを有するマイクロプレートが含まれている。たとえば、B型肝炎抗原診断キットの場合、キット製造業者は、マイクロプレートのマイクロウェル内に抗B型肝炎抗体を流体に懸濁させた形で供給する。マイクロプレートを所定の時間インキュベートすると、この間に、液体充填レベル(通常、マイクロウェルの最大液体容量の約半分)より下のマイクロウェルの壁に抗体が付着する。次に、マイクロウェルを洗浄すると、液体充填レベルまで抗B型肝炎抗体で壁が均一に被覆されたマイクロウェルを備えたマイクロプレートが得られる。
【0011】
検査室は、多くの患者から採取した体液等を含有する多数のサンプルチューブを受けつける。ピペット機構を用いて、所定量の体液をサンプルチューブから吸引して、上述のように製造業者により準備されたマイクロプレートの1つ以上のマイクロウェル内に供給する。1人の患者に対して多くの異なる病気の検査を行ないたい場合には、患者から採取した体液を、製造業者により各々異なる結合剤で被覆された複数の別々のマイクロプレートに分配して供給する必要がある。各マイクロプレートを、各々、別の病気の存在を検出できるように、別々に処理する。複数の異なる被分析物を分析するためには、さまざまなマイクロプレートが必要であり、異なるマイクロプレートに同一試料から一定分量(アリコート)を分配供給する必要がある。この場合、多くの処理工程が必要となり、また、多くのマイクロプレートをほぼ同時に処理するために多くのインキュベータと洗浄ステーションが必要となる。自動システムでは、機器に複数のインキュベータを備える必要があり、また、必要条件が異なるマイクロプレート間の衝突を避けるために、複雑なプログラミングが必要となる。手動操作の場合には、何人もの技術者が必要となるか、そうでなければ、試料のスループットが低下するかのいずれかである。別々に被覆されたマイクロウェルの複数のストリップ片を1つの担体に組み合わせて、1つの試料から一定分量(アリコート)を異なる種類のウェルに加え、複合マイクロプレート内でELISA法を実施することも可能ではある。しかし、測定法開発上の制約により、このような組み合わせは困難であり、当該分野で周知のように、このようにストリップ片を組み合わせることは、ユーザーの測定結果誤認を招きかねず、異なるマイクロウェル内で複数の異なる被覆を行なうマイクロプレートの製造は、品質管理が困難である。
【0012】
従来のELISA法では、マイクロプレート単位で複数の患者試料に対して同一のテストを1つ実施すること、あるいは、予想される被分析物のうちのどれが実際に存在するかを区別せずに患者試料における多様な被分析物の1つまたは複数の存在を検出することに主眼がおかれてきた。たとえば、1つのマイクロウェルを用いて、いずれの被分析物が存在するかを同定することなく、ある患者がHIV-1またはHIV-2に対する抗体またはHIV-1またはHIV-2抗原を持っているか否かの判定や、HCV抗体および抗原に関する同様の判定が、通常行なわれている。
【0013】
しかし、多重化を可能にする新世代の測定法(アッセイ)が開発されている。多重化により、同一の患者試料に対して同時に複数の異なる試験を実施することが可能になる。
【0014】
多重化に対する最近のアプローチでは、96個のサンプル・ウェルを備えるマイクロプレートを用いて、各サンプル・ウェル内に異なる捕捉抗体からなるアレイを配置する。このアレイは、直径350μm、容積20nlのスポットで形成されるアレイである。各スポットは、650μmの間隔ピッチで配列されている。各スポットが、各々異なる捕捉抗体に対応する。
【0015】
多重化により、各サンプル・プレートで単一の対象被分析物に関する試験を行なう従来のELISA法と比べて、より多くのデータ点が得られ、また、測定毎により多くの情報を得ることができる。複数の別々の試験を1つの測定に組み合わせることにより、かなりの時間とコストの節約になる。また、多重化により、自動装置の総設置面積を削減することができる。
【0016】
周知のELISA法および現在開発中の新しい多重化技術には多くの利点があるものの、構成を改良し、従来のELISA法よりもフレキシビリティを高くできるサンプル・プレートおよびそれに関連する自動装置が求められている。
【0017】
ELISA法に加えて、ハイブリダイゼーション用プローブ(交雑プローブ、hybridization probe)を用いてDNA配列またはRNA配列の存在を調べる方法も知られている。ハイブリダイゼーション用プローブは、通常、DNAフラグメント(断片)またはRNAフラグメントを含有し、このDNAまたはRNAフラグメントを用いて、プローブ上のDNA配列またはRNA配列に相補的なヌクレオチド配列の存在を検出する。ハイブリダイゼーション用プローブが一本鎖核酸(たとえば、DNAまたはRNA)にハイブリダイズすることにより、ハイブリダイゼーション用プローブと分析対象の試料との間の相補性により塩基配列のペアリングが生じる。ハイブリダイゼーション用プローブを、放射性分子またはより好適には蛍光分子等の分子マーカーでタグ付けまたは標識するようにしてもよい。プローブは、ハイブリダイゼーションまでは不活性であり、ハイブリダイゼーションの時点で、立体構造が変化し、複合体分子が活性化して、(紫外線により検出可能な)蛍光を発する。紫外線によりプローブを可視化することにより、プローブに対する中程度から高度の配列類似性を有するDNA配列またはRNA転写物を検出することができる。
【0018】
液体試料内の被分析物を検出する測定(アッセイ)装置およびアセンブリが米国特許5620853(チロン・コーポレーション)に開示されている。測定装置は、ウェルの底部から上方に突出する指部を有し、供給された試薬ビーズを収容する成形されたウェルを備える。試薬ビーズは、指部の高さ方向には上下動可能に、指部に捕捉される。この測定装置は、試薬ビーズをできるだけ多量の流体の流れにさらすことにより、試薬ビーズの底面からの信号に基づき測定結果を出すように構成されている。
【発明の概要】
【0019】
しかし、米国特許5620853に開示される構成には多くの問題点がある。
【0020】
第1に、指部の高さ方向に試薬ビーズが自由に上下動可能であるため、処理工程または測定工程で、望ましくない高さで試薬ビーズが動けなくなってしまう可能性がある。特に、ウェルの設計はかなり複雑に入り組んでいるため、指部の動きや指部の損傷により、試薬ビーズが望ましくない高さで動けなくなってしまう可能性がある。また、指部は、基部から突出しているため、特にピペット操作や洗浄処理の際に損傷を受けやすい。試薬ビーズが指部内で望ましくない高さで動けなくなってしまうと、測定精度に悪影響が出る可能性が高い。
【0021】
第2に、試薬ビーズを1つ収容するように構成される指部を備えるウェルは、流体をビーズの近傍にピペットで供給し、ウェル内に収容されたビーズを流体で被覆するように設計されている。この場合、各ウェルに、およそ300μlの流体が必要となる。米国特許5620853には、さらに、複数のウェルが互いに流体連結される構造が開示されている。マルチウェル構造では、各ウェルがおよそ300μlの流体を必要とする。したがって、マルチウェル構造では、従来のシステムと比べて、大量の流体を供給する必要がある。
【0022】
第3に、指部の構成は、所定の大きさのサンプル・プレートに対する最大ウェル充填密度を減少させ、所定のサンプル・プレート上で同時に実行可能な試験の数を減少させる。
【0023】
第4に、米国特許5620853に開示されるマルチウェル構造では、クロストーク(crosstalk)がおきやすい。
【0024】
第5に、米国特許5620853に開示される構造では、ビーズが1つだけの場合には、突出する指部だけが流体の均一性に対して影響を与える。この場合、ウェルの一部領域に混合されていない流体が捕捉される可能性が高い。マルチウェル構造では、すべてのビーズ上に流体を供給するためには、1つのウェルから別のウェルへ入り組んだ経路を通って、流体を移動させる必要があるという大きな問題がある。これは、流体の混合とビーズ間の再現性に関する重大な問題につながる。シングルウェル構造は、米国特許5620853に開示されるインライン型のマルチウェル構造とはまったく異なり、これら2つの異なる構造では、流体特性もまったく異なる。したがって、用いられる構造に応じて流体の挙動が異なり、シングルウェル形式が用いられるかマルチウェル形式が用いられるかによって結果が非常に大きく変動する可能性が高い。理論的には、2つの異なる構造を独立に検証することも可能であるが、コストの増大とスループットの低下につながる。
【0025】
最後に、米国特許5620853に開示されるサンプル・ウェルは、製造工程が複雑で、製造の際の信頼性に欠ける可能性がある。長く薄い指部は、成形するのが難しく、製造時または使用時に損傷を受けやすい。また、指部は、その上端に、金型でアンダーカット成形されるフィーチャ(特徴的構造)を備える。部品をツールから取り出す際には、フィーチャがツール材を通りぬけられるように指部を曲げる必要がある。このような製造工程は、一般に信頼性が低いため望ましくない。さらに、処理パラメータの変動により、ツールから部品を外して、部品の正確な機械公差を損なうことなく残すようにすることができなくなる可能性がある。各指部の相対的な位置は、正確に試薬ビーズを上下に動かし、指部の上端から外に試薬ビーズが出ないようにするために重要であるが、実際のところ、大量生産を行なう際には、これを制御することは非常に難しい。また、シングルビーズ用構造の設計とマルチウェル構造の設計とは全く異なる。したがって、全く異なるツールの設計が必要となり、製造がさらに複雑になる。大量生産を行なう場合には、設計特性と品質保証の両方を考慮すると、サンプル・プレートの製造コストが非常に高くなる。
【0026】
したがって、試薬ビーズを保持するためのサンプル・プレートの改良が望まれている。
【0027】
本発明の一つの態様は、サンプル・プレートであって、1つ以上のサンプル・ウェルを備え、前記1つ以上のサンプル・ウェルが、基部と、前記基部内に備えられる1つ以上のポケットまたは凹部と、を備え、前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、使用時に、前記テーパ部によって前記穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に保持または固定される。
【0028】
テーパ部を有する穴は、たとえば、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが単純に置かれるだけで、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に保持または固定されないような浅いまたは小さな窪みのようなものではない。
【0029】
本発明のサンプル・プレートは、米国特許5620853に開示されるサンプル・プレートと比べて、特に優れた利点がある。
【0030】
好適な実施形態において、使用時に、穴のテーパ部との干渉または摩擦嵌め合いにより、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが穴内に実質的に保持または固定される。
【0031】
本発明の好適な実施形態において、挿入された試薬ビーズをしっかりと固定または閉じ込める働きをする複数のテーパ穴またはテーパ部を備えるサンプル・プレート内に、試薬ビーズを挿入することが望ましい。試薬ビーズを挿入する際には、所定の力を加えることが望ましい。所定の力は、試薬ビーズを圧縮するのに十分な大きさ、および/または、穴のテーパ部を変形するのに十分な大きさであり、結果として、穴のテーパ部との干渉または摩擦嵌め合いを生じさせるまたは増大させる大きさであることが望ましい。
【0032】
本発明のサンプル・プレートは、したがって、製造中、および、テーパ穴に試薬ビーズを挿入して、その後、サンプル・プレートを操作、処理する工程を含むそれに続く処理工程において、特に頑丈である。試薬ビーズがサンプル・プレートに挿入された後は、いずれの方向にも自由に移動することができず、サンプル・プレートに実質的に固定されることが望ましい。テーパの角度は、確実に、試薬ビーズを穴に閉じ込めることができる、あるいは、しっかりと固定できる角度にすることが望ましい。
【0033】
好適な実施形態において、使用時に、サンプル・プレート(すなわち、サンプル・プレートの平面)を水平軸に対して10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°または90°より大きな角度で傾けても、または、逆さにしても、試薬ビーズが、穴内に実質的に保持または固定されていることが望ましい。
【0034】
好適な実施形態において、穴の開口部および/または穴の断面形状(すなわち、穴の開口部および穴の基部の中間の位置)は、円形である。ただし、穴の開口部および/または穴の断面形状は、ほぼ円形、楕円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形でもよい。
【0035】
好適な実施形態において、穴の開口部の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択されることが望ましい。
【0036】
好適な実施形態において、穴の開口部の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも大きいことが望ましい。穴の開口部が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の開口部における断面形状のうち最も短い距離が、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも大きいことが望ましい。
【0037】
好適な実施形態において、穴の直径、好ましくは、穴の開口部および穴の基部の中間位置における穴の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい、および/または、穴の開口部の直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい。穴が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の断面形状のうち最も短い距離、好ましくは、穴の開口部および穴の基部の中間位置における穴の断面形状のうち最も短い距離は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい、および/または、穴の開口部の直径よりも少なくとも5%小さいことが望ましい。
【0038】
好適な実施形態において、穴の直径、好ましくは、穴の開口部および穴の基部の中間位置における穴の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択されることが望ましい。
【0039】
好適な実施形態において、穴のテーパ部は、ほぼ直線状にテーパされていることが望ましい。たとえば、穴の直径または外周は、穴の深さに対してほぼ線形に変化する(たとえば、減少する)ことが望ましい。穴が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の断面形状の断面寸法(たとえば、穴の断面形状のうち最も短い距離)または周囲の長さは、穴の深さに対してほぼ線形に変化する(たとえば、減少する)ことが望ましい。
【0040】
好適な実施形態において、試薬ビーズは不透明であることが望ましく、ビーズの上端からのみ信号が得られることが望ましい。圧入線よりも下方のビーズの底部は流体に接触しないことが望ましい。好適な実施形態では、使用時に、試薬ビーズは、穴のテーパ部と実質的に流体密封シールを形成し、その結果、流体がサンプル・ウェルから試薬ビーズを通って流れないようにすることが望ましい。したがって、好適な実施形態として試薬ビーズを挿入したサンプル・プレートは、従来の空のサンプル・ウェルとかなり似ている。
【0041】
好適な実施形態において、操作、ピペット操作または洗浄の際に損傷を受けやすくならないように、試薬ビーズを、サンプル・ウェルの底部から上方に突出させないことが望ましい。ただし、1つ以上の試薬ビーズを、サンプル・ウェルの底部から上方にわずかに突出させることも可能である。
【0042】
好適な実施形態において、試薬ビーズがサンプル・ウェルの底部から上方に突出することがないように、穴の深さは、試薬ビーズの直径以上であることが望ましい。
【0043】
好適な実施形態において、穴の深さは、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択されることが望ましい。
【0044】
好適な実施形態において、試薬ビーズがサンプル・ウェルの底部から上方に突出することがないように、穴の直径が試薬ビーズの直径よりも小さくなる部分における穴の深さが試薬ビーズの半径以上であることが望ましい。穴が円形以外の断面形状を有する場合には、穴の断面形状のうち最も短い距離が試薬ビーズの直径よりも小さくなる部分における穴の深さが試薬ビーズの半径以上であることが望ましい。
【0045】
好適な実施形態において、使用時に、試薬ビーズが穴の基部に接触しないことが望ましい。ただし、試薬ビーズが穴の基部に接触するようにしてもよい。
【0046】
好適な実施形態の利点として、試薬ビーズは望ましくはウェルの底部と同じ高さになるように挿入されるため、本発明のサンプル・プレートを、ハードウェアを変更することなく、周知の自動マイクロプレート処理システムに用いることができる。さらに、好適な実施例におけるサンプル・ウェルは、基本的に、従来のマイクロプレートのウェルの比率と同様な比率の円筒形であるため、サンプル・ウェルの流体操作特性やその他の取扱特性は、周知のものである。ピペット操作、混合、洗浄およびインキュベーション等の好適な実施形態における処理工程は、望ましくは、従来のマイクロプレートと同様の流体特性に従うものである。
【0047】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートは、望ましくは、約800μlの流体容量を有する。また、使用時に、サンプル・プレートの基部内に配置された試薬ビーズをすべて被覆するのに必要な流体の量は約300μlに過ぎない。
【0048】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートの別の利点は、サンプル・ウェルの中心に直接流体が供給可能なことであり、好適な実施形態において、試薬ビーズを固定するためのポケット、凹部または穴がサンプル・ウェルの中心領域に配置されないように、サンプル・プレートを構成してもよい。このような構成により、特に、洗浄ヘッドやピペット先端からの流体ジェット(噴流)の力により試薬ビーズを被覆している試薬が試薬ビーズから不用意に洗い流されるのを防ぐことができる。
【0049】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートは、1つのサンプル・ウェルで複数のテストを実施可能な構成が望ましい。同一のサンプル・ウェル内の別々の穴内に異なる試薬ビーズを挿入することにより、多重化の実施が可能になる。好適な実施形態において、試薬ビーズは、必要に応じて、ウェルの基部内のテーパ穴に圧入可能であり、この結果、サンプル・ウェル全体を高い自由度で効率よく用いることが可能になる。
【0050】
本発明の一実施形態におけるサンプル・プレートは、直径12mmのサンプル・ウェルを1つ以上備えるものでもよい。各サンプル・ウェルは、58mm2の断面表面積を有し、この大きさのサンプル・ウェルを全部で54個、従来のマイクロプレートの設置面積内に備えることが可能である。各サンプル・ウェル内には、さまざまな数のビーズを挿入可能である。テーパ穴は、必要に応じて、異なる大きさの試薬ビーズを収容できるように、異なる直径を有するものでもよい。
【0051】
別の実施形態において、1つ以上のサンプル・ウェルが、6×3.0mmの直径のポケット、凹部もしくはテーパ穴、10×2.0mmの直径のポケット、凹部もしくはテーパ穴、または、21×1.75mmの直径のポケット、凹部もしくはテーパ穴を備えるものでもよい。サンプル・ウェルの中心領域には、ポケット、凹部またはテーパ穴が備えられない構成が望ましい。ポケット、凹部またはテーパ穴は、サンプル・ウェルの中心領域の周囲に1つ以上の同心円状にまたは他のパターンで配置されるものでもよい。
【0052】
一実施形態において、サンプル・ウェルの9×6アレイを備えるサンプル・プレートでもよい。各サンプル・ウェルに6個のポケット、凹部またはテーパ穴が設けられている場合には、1つのサンプル・プレートで324個の試薬ビーズが収容可能である。各サンプル・ウェルに10個のポケット、凹部またはテーパ穴が設けられている場合には、1つのサンプル・プレートで540個の試薬ビーズが収容可能である。各サンプル・ウェルに21個のポケット、凹部またはテーパ穴が設けられている場合には、1つのサンプル・プレートで1134個の試薬ビーズが収容可能である。
【0053】
好適な実施形態におけるサンプル・プレートでは、流体混合の問題は生じない。サンプル・ウェルは、望ましくは、ポケット、凹部またはテーパ穴内に圧入または挿入されるビーズを備える。挿入後の試薬ビーズの上端は、サンプル・ウェルの底部と同一平面上にある、または、同じ高さにあることが望ましい。好適な実施形態において、混合するとは、ビーズ表面よりも上方に存在する流体を用いて、ビーズ周囲のポケット領域から流体を取り出すことを意味する。
【0054】
本発明のさらに別の利点として、他の周知の構成と比べて、本発明のサンプル・プレートの製造が比較的容易であることが挙げられる。サンプル・プレートは、単純なツールを用いた成形により製造可能であるため、製造しやすく、信頼性が高い。サンプル・プレートの形成に用いられる射出成形ツールは単純な設計で、アンダーカットや薄いフィーチャ(特徴)を成形する必要がない。したがって、異なる形式のサンプル・プレートを容易に製造可能である。6個のポケットまたは穴を有するサンプル・ウェルを製造するツールを、異なる数(たとえば、21個)のポケットを有するサンプル・ウェルの製造に簡単に適合させることができる。
【0055】
好適な実施形態の別の利点として、テストプロトコルは基本的に同じままで、異なるウェル設計および形式に対応可能であることが挙げられる。ピペット操作およびインキュベーション処理は変更の必要がなく、また、洗浄処理でも、吸引方法にマイナーな変更が必要となるに過ぎない。
【0056】
したがって、本発明のサンプル・プレートは、米国特許5620853に開示されるサンプル・プレート等の周知のサンプル・プレートと比べて、特に優れている。
【0057】
テーパ部は、望ましくは、(i)2ないし4°、(ii)4ないし6°、(iii)6ないし8°、(iv)8ないし10°、(v)少なくとも1°および(vi)1ないし15°からなる群から選択されるテーパを有する。
【0058】
基部に備えられるポケットまたは凹部が、(必要に応じて、テーパ部を備える穴の代わりに)保持部材、膜、リップまたは環状部を有するチャンバを備えるようにしてもよい。使用時には、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、保持部材、膜、リップまたは環状部を介してチャンバ内に挿入するようにしてもよく、また、保持部材、膜、リップまたは環状部によりチャンバ内に実質的に保持または固定するようにしてもよい。
【0059】
1つ以上のポケットまたは凹部は、望ましくは、1つ以上のポケットまたは凹部内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの挿入が容易になるように、円錐形に広がった部分または拡張部分を備える。
【0060】
望ましくは、1つ以上のサンプル・ウェルが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のポケットまたは凹部を備え、各ポケットまたは凹部が、テーパ部を有する穴であって、使用時に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される穴を備える。
【0061】
基部内に備えられる1つ以上のポケット、凹部または穴は、望ましくは、(i)サンプル・ウェルの中心部の周囲に配置される、および/または、(ii)1つ以上の中心ポケットまたは凹部の周囲に配置される複数のポケットまたは凹部を備える、および/または、(iii)実質的に最密充填されるように配置される、および/または、(iv)実質的に対称にまたは非対称に配置される、および/または、(v)実質的に直線状にまたは曲線状に配置される、および/または、(vi)実質的に規則的にまたは不規則に配置される、および/または、(vii)アレイに配置される、および/または、(viii)基部の中心にポケット、凹部または穴が位置しないように、1つ以上の同心円状に配置される。
【0062】
サンプル・プレートは、望ましくは、ポリスチレンから製造または形成される。
【0063】
サンプル・プレートは、ストリップ形式でもアレイ形式でもよい。たとえば、好適な実施形態において、サンプル・プレートが6×1ストリップ片を備えるものでもよい。あるいは、他の好適な実施形態において、サンプル・プレートが9×6ストリップ片を備えるものでもよい。
【0064】
別の実施形態において、サンプル・プレートがA×Bの形式で配置されるサンプル・ウェルを備え、
Aが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択され、
Bが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択されるものでもよい。
【0065】
一実施形態において、1つ以上のサンプル・ウェルが1つ以上の脆弱領域または接続部により他の1つ以上のサンプル・ウェルと相互に連結されることによって、サンプル・プレートがユーザーにより複数の小さなサンプル・プレートに分割可能な構成でもよい。この構成により、サンプル・プレートを複数の小さなサンプル・プレートに折り割ったり分割したりできる。たとえば、サンプル・プレートの6×1ストリップ片を、各々1つのサンプル・ウェルを備える個別の1×1サンプル・プレートに折り割ることもできるし、各々3×1サンプル・ウェルのストリップ片を備える2つのサンプル・プレートに折り割ることもできる。
【0066】
別の構成は、複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ収容チャンバと流体連結されるものでもよい。
【0067】
1つ以上のサンプル・ウェルは、複数の試薬ビーズ収容チャンバを規定する外周壁と複数の放射状壁部材とを備え、使用時に、試薬ビーズは試薬ビーズ収容チャンバ内に収容され、放射状壁部材により、試薬ビーズは中央流体収容領域内を径方向に通過できない。
【0068】
使用時に、1つ以上の中央流体収容領域内に供給される流体が、外周壁から溢れることなく、および/または、複数の放射状壁部材から溢れることなく、一部またはすべての試薬ビーズ収容チャンバ内に流入するようにしてもよい。
【0069】
1つ以上のサンプル・ウェルが1つ以上の脆弱領域または接続部により他の1つ以上のサンプル・ウェルと相互に連結されることによって、サンプル・プレートがユーザーにより複数の小さなサンプル・プレートに分割可能な構成でもよい。
【0070】
サンプル・プレートは、イムノアッセイ(免疫測定法)サンプル・プレートを備えるものでもよい。あるいは、サンプル・プレートは、相補的DNAまたはRNA試料の存在を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブを備えるものでもよい。
【0071】
サンプル・プレートは、望ましくは、プレート・フレームホルダーの雌型、雄型またはその他のドッキング部に対してサンプル・プレートを固定するための対応する雌型、雄型またはその他のドッキング部を有する基部を備える。
【0072】
本発明の態様は、上述したサンプル・プレートと、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせである。
【0073】
別の構成は、上述したサンプル・プレートと、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上の試薬ビーズ収容チャンバ内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせでもよい。
【0074】
望ましくは、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、試薬を担持し、試薬を含有し、または試薬で被覆され、試薬は、液体試料に含まれる対象被分析物の測定を行なうように配置および構成される。
【0075】
別の実施形態において、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、核酸プローブを担持し、核酸プローブを含有し、または核酸プローブで被覆され、核酸プローブが、一本鎖核酸、DNAまたはRNAとハイブリダイゼーションするように配置および構成される。
【0076】
本発明の別の態様は、プレート・フレームホルダーと、上述したサンプル・プレートと、の組み合わせである。
【0077】
プレート・フレームホルダーは、望ましくは、サンプル・プレートをプレート・フレームホルダーにしっかりと固定するための雄型、雌型またはその他のドッキング部を備える。
【0078】
本発明の態様は、自動装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
上述したサンプル・プレートと、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御するように配置および構成される制御システムと、を備える。
【0079】
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、望ましくは、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、環状チャンバが、使用時に、穴内に設けられるチャンバに向けて、環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
プランジャが、使用時に、チャンバからシリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される。
【0080】
本発明の態様は、1つ以上の対象被分析物質用の液体測定装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
上述したサンプル・プレートと、を備える。
【0081】
本発明の態様は、サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するための試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサであって、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、前記環状チャンバが、使用時に、前記長手方向の穴内に設けられるチャンバに向けて、前記環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
前記長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
前記プランジャが、使用時に、前記チャンバから前記シリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される。
【0082】
本発明の態様は、方法であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを準備し、
上述したサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御する。
【0083】
本発明の態様は、サンプル・プレートを用いて、複数の被分析物に関して試料を分析する方法であって、
上述したサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える。
【0084】
本発明の態様は、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用いて、試料に含まれる抗原または抗体を検出する方法であって、
上述したサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える。
【0085】
本発明の別の態様は、核酸プローブを用いて、試料に含まれるDNA配列またはRNA配列を検出する方法であって、
上述したサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える。
【0086】
本発明の態様は、試料に含まれる1つ以上の対象被分析物を測定する方法であって、
サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上のポケットまたは凹部内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備える。
【0087】
一実施形態において、方法は、さらに、(i)サンプル・プレートをインキュベートする、および/または、(ii)サンプル・プレートを洗浄する、および/または、(iii)サンプル・プレートを吸引する、および/または、(iv)サンプル・プレートに酵素コンジュゲート(酵素複合体)を加える、および/または、(v)サンプル・プレートに可視化剤を加える、および/または、(vi)サンプル・プレートを視覚的に分析する、のうち1つ以上を実施する。
【0088】
本発明の態様は、酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を実施するためのキットであって、
上述した1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、抗体、抗原またはその他の生体分子を含有する試薬で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える。
【0089】
本発明の別の態様は、核酸プローブ法を実施するためのキットであって、
上述した1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、DNA配列またはRNA配列で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える。
【0090】
本発明の態様は、サンプル・プレートを製造する方法であって、
各々、基部を有する1つ以上のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の基部内に1つ以上のポケットまたは凹部を形成し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される。
【0091】
本発明の態様は、自動装置の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる。
【0092】
本発明の態様は、コンピュータで実行可能な命令が格納されるコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記命令が、自動装置の制御システムにより実行可能に構成され、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる。
【0093】
コンピュータ読み取り可能な媒体は、望ましくは、(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、(vi)光ディスク、(vii)RAM、および(viii)ハードディスクドライブからなる群から選択される。
【0094】
別の構成は、装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結されるサンプル・プレートと、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの1つ以上内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御するように配置および構成される制御システムと、を備える。
【0095】
試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバは、広く、単純に、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容領域または収用区域を備えるものでもよい。したがって、「試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ」という用語を「試薬ビーズ/マイクロスフェア収容領域または収用区域」という用語に置き換えてもよい。
【0096】
1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、外周壁、表面または溝を備え、サンプル・ウェル内に供給された流体が外周壁、表面または溝によりサンプル・ウェル内に閉じ込められる構成が望ましい。
【0097】
装置は、望ましくは、さらに、1つ以上の壁部材、表面または溝を備え、1つ以上の壁部材、表面または溝が、外周壁、表面または溝と共に、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを規定する構成が望ましい。
【0098】
使用時に、1つ以上の中央流体収容領域内に供給される流体が、外周壁、表面または溝から溢れることなく、および/または、1つ以上の壁部材、表面または溝から溢れることなく、一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に流入する構成が望ましい。
【0099】
1つ以上の壁部材、表面または溝が、外周壁、表面または溝の一部と共に、個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを規定する構成が望ましい。
【0100】
1つ以上の壁部材、表面または溝は、望ましくは、放射状に、直線状に、または曲線状に、外周壁から内側に伸長する。
【0101】
少なくとも一部またはすべての壁部材、表面または溝は、望ましくは、外周壁と一体に成形または外周壁から伸長して成形される。あるいは、少なくとも一部またはすべての壁部材、表面または溝が、外周壁から径方向に間隔をあけて、または、外周壁との間に隙間ができるような構成でもよい。
【0102】
外周壁、表面または溝は、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される高さまたは深さを有する。
【0103】
壁部材、表面または溝は、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される高さまたは深さを有する。
【0104】
少なくとも一部または実質的にすべての複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバは、望ましくは、使用時に、1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように、または、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように、構成および配置される。
【0105】
一実施形態において、少なくとも一部または実質的にすべてのサンプル・ウェルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0106】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0107】
一実施形態において、1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される直径または最大幅を有する。
【0108】
1つ以上の流体収容領域は、望ましくは、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結され、使用時に、1つ以上の流体収容領域に収容される流体が、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバに流入する。
【0109】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の流体収容領域を備える。
【0110】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、望ましくは、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される。
【0111】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、試薬を担持または含有するものでもよく、試薬は、(i)試料を分析する、および/または、(ii)核酸増幅反応により試料を分析する、(iii)ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により試料を分析する、および/または、(iv)イムノアッセイ(免疫測定法)により試料を分析する、および/または、(v)はハイブリダイゼーション用プローブ法により試料を分析する、ように配置および構成される。
【0112】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、ポリスチレン、プラスチックまたはポリマーを備える。
【0113】
一実施形態において、使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、鉄コーティングまたは磁気コーティングを備える、または、鉄特性または磁気特性を有する。
【0114】
使用時に、1つ以上のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的にすべては、静電気防止コーティングを備える、または、静電気防止特性を有する。
【0115】
装置は、望ましくは、さらに、磁気装置および/または静電装置を備え、磁気装置および/または静電装置は、(i) 試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される際に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付けて、複数のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが収容されるように、配置および構成される、および/または、(ii) 複数のポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付け、および/または、維持して、少なくとも所定の時間、ポケット、凹部、穴、または試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが維持または保持されるように、配置および構成される。
【0116】
一実施形態において、装置は、さらに、機械装置および/または電気装置を備え、機械装置および/または電気装置は、(i) 試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される際に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを案内して、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが収容されるように、配置および構成される、および/または、(ii) 複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを保持して、少なくとも所定の時間、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが維持または保持されるように、配置および構成される。
【0117】
装置は、望ましくは、さらに、磁気装置および/または静電装置を備え、磁気装置および/または静電装置は、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に収容された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動および/または攪拌するように配置および構成される。
【0118】
装置は、望ましくは、さらに、機械装置および/または電気装置を備え、機械装置および/または電気装置は、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に収容された1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動および/または攪拌するように配置および構成される。
【0119】
一実施形態において、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、望ましくは、使用時に、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを含有するチューブを備える。
【0120】
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、望ましくは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ内に含有される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサの供給領域、供給端部または供給先端に送る、または、移動させる、らせん形ネジ、らせん状刃先または試薬ビーズ/マイクロスフェア移動装置を備える。
【0121】
装置は、望ましくは、さらに、1つ以上の試薬ビーズが1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから供給されたか否かを検出する1つ以上のセンサを備える。
【0122】
装置は、望ましくは、さらに、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに対してサンプル・プレートを移動させる移動ステージを備える。
【0123】
制御システムは、望ましくは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに対してサンプル・プレートを移動させることによって、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが連続的に供給されるように、移動ステージを制御する、ように配置および構成される。
【0124】
装置は、望ましくは、さらに、回転カルーセル(回転式コンベヤ)を備え、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサは、カルーセルに取り付けられる、または、取り付け可能である。
【0125】
制御システムは、望ましくは、第1の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサからサンプル・プレートの複数の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に所望の第1の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをすべて供給した後、カルーセルを回転し、第2の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを所定位置までもってきて、第2の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサからサンプル・プレートの複数の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に第2の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給可能にする、ように配置および構成される。この工程は、さらに別の(たとえば、第3の、第4の、第5の、第6の、第7の、第8の、等)試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに関しても繰り返されることが望ましい。
【0126】
一実施形態において、装置は、さらに、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上の流体収容領域内に流体を供給するための流体供給装置を備える。
【0127】
流体供給装置は、望ましくは、一回に、1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上の流体収容領域内に「x」mlの流体を供給するように構成および配置される。ここで、xは、望ましくは、(i)<10、(ii)10-20、(iii)20-30、(iv)30-40、(v)40-50、(vi)50-60、(vii)60-70、(viii)70-80、(ix)80-90、(x)90-100、(xi)100-110、(xii)110-120、(xiii)120-130、(xiv)130-140、(xv)140-150、(xvi)150-160、(xvii)160-170、(xviii)170-180、(xix)180-190、(xx)190-200および(xxi)>200からなる群から選択される。
【0128】
一実施形態において、装置は、さらに、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否か、あるいは、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に存在するか否かを判定する画像解析装置またはカメラを備える。
【0129】
望ましくは、サンプル・プレートが第1の色を有し、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが第1の色と対照的な第2の異なる色を有することにより、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが存在するか否かの視覚的検出を容易にする。
【0130】
一実施形態において、サンプル・プレートが、さらに、ルミネッセンス(発光)マーカーまたは蛍光マーカーを備えるようにしてもよい。
【0131】
装置は、さらに、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがルミネッセンス・マーカーまたは蛍光マーカーを妨害するか否か、あるいは、ルミネッセンス・マーカーまたは蛍光マーカーを部分的に妨害するするか否かを判定することによって、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否か、あるいは、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に存在するか否かを判定するルミネッセンス/蛍光検出装置を備えるようにしてもよい。
【0132】
装置は、望ましくは、さらに、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否か、あるいは、サンプル・プレートの試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に存在するか否かを検出する磁気センサおよび/または電気センサおよび/または容量センサおよび/またはメカニカルセンサを備える。
【0133】
制御システムは、望ましくは、サンプル・ウェル内に存在する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数、および/または、サンプル・ウェル内に存在しない試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数、および/または、サンプル・ウェルに供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数、および/または、サンプル・ウェルに供給されることが望ましい試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数を求める。
【0134】
一実施形態において、制御システムは、サンプル・ウェル内に存在する数、および/または、サンプル・ウェル内に存在しない数、および/または、サンプル・ウェルに供給された数、および/または、サンプル・ウェルに供給されることが望ましい数として求められた試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数に基づいて、サンプル・ウェル内に供給されたまたは供給されることが望ましい流体の量を測定および/または調整する。
【0135】
制御システムは、望ましくは、流体がサンプル・ウェル内に供給される際に、サンプル・ウェル内の少なくとも一部または実質的にすべての試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、少なくとも部分的にまたは完全に流体に浸漬されるように、構成および配置される。
【0136】
制御システムは、望ましくは、サンプル・ウェル内に供給された流体の高さを、サンプル・ウェル内に存在する、存在しない、供給された、または、供給されることが望ましい試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数と無関係に、ほぼ一定に保つことができるように、構成および配置される。
【0137】
別の構成は、上述した装置と、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ内に、および/または、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ、ポケット、凹部または穴内に配置される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせである。
【0138】
また別の構成は、方法であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを準備し、
複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結されるサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの1つ以上への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御する。
【0139】
別の構成は、複数のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートであって、1つ以上の前記サンプル・ウェルが、1つ以上の中央流体収容領域と、前記1つ以上の中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備え、前記1つ以上の中央流体収容領域が、少なくとも一部またはすべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと流体連結される。
【0140】
1つ以上のサンプル・ウェルは、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを規定する外周壁と複数の放射状壁部材とを備え、使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に収容され、放射状壁部材により、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは中央流体収容領域内を径方向に通過できない。
【0141】
1つ以上の放射状壁部材は、望ましくは、外周壁と一体に成形される。あるいは、外周壁との間に隙間ができるような構成でもよい。
【0142】
1つ以上の放射状壁部材は、望ましくは、1つ以上の突起部を備え、1つ以上の突起部は、望ましくは、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを閉じ込めるのに役立つ、および/または、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが中央流体収容領域内を径方向に通過できないようにするのに役立つ。
【0143】
一実施形態において、放射状壁部材は、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される高さまたは深さを有する。
【0144】
1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0145】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備える。
【0146】
1つ以上のサンプル・ウェルは、望ましくは、(i)<1mm、(ii)1-2mm、(iii)2-3mm、(iv)3-4mm、(v)4-5mm、(vi)5-6mm、(vii)6-7mm、(viii)7-8mm、(ix)8-9mm、(x)9-10mm、(xi)10-11mm、(xii)11-12mm、(xiii)12-13mm、(xiv)13-14mm、(xv)14-15mm、(xvi)15-16mm、(xvii)16-17mm、(xviii)17-18mm、(xix)18-19mm、(xx)19-20mmおよび(xxi)>20mmからなる群から選択される直径または最大幅を有する。
【0147】
サンプル・ウェルは、望ましくは、1つ以上の円形、長円形、三角形、正方形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形または多角形の流体収容領域を備える。
【0148】
以下、例示を目的として、本発明のさまざまな実施例を、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の第1実施例において、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサが回転カルーセル(回転式コンベヤ)に取り付けられ、回転カルーセルから伸長し、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを係合するアームより下方の移動ステージ上にサンプル・プレートが載置された状態を示す説明図。
【図2】本発明の第1実施例における試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す説明図。
【図3】本発明の第1実施例において、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサがカルーセルに取り付けられ、アームが試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを係合している状態を詳細に示す説明図。
【図4A】本発明の第1実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルの第1の構造を示す説明図。
【図4B】本発明の別の実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルの第1の構造とは異なる第2の構造を示す説明図。
【図4C】本発明の一実施例において、サンプル・プレートのサンプル・ウェルの異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバまたは収用部内に異なる種のまたは異なる種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをどのように供給するかを示す説明図。
【図5】本発明の第1実施例におけるサンプル・ウェルのストリップ片を示す説明図。
【図6】本発明の第2実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルを示す説明図。
【図7A】第2実施例におけるサンプル・プレートのサンプル・ウェルを示す平面図。
【図7B】第2実施例におけるサンプル・ウェルの底部の詳細を示す説明図。
【図7C】第2実施例において、サンプル・ウェルのポケットに試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される様子を示す説明図。
【図8A】本発明の第2実施例における試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す説明図。
【図8B】試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサの断面図。
【図9】第2実施例における試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサの分解図。
【図10】x−y−z移動ステージ上に載置され、サンプル・プレートの上で試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと協働する試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置を備える本発明の第2実施例におけるマイクロアレイ装置を示す説明図。
【図11】本発明の第2実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサに試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置を取り付けた状態を詳細に示す断面図。
【図12A】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置により移送される試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す説明図。
【図12B】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置により駆動されるプランジャ機構によって、試薬ビーズ/マイクロスフェアディスペンから試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給される様子を示す説明図。
【図13A】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置から試薬ビーズ/マイクロスフェアシリンジが押し出される様子を示す説明図。
【図13B】試薬ビーズ/マイクロスフェア・シリンジ・ピックアップ装置から試薬ビーズ/マイクロスフェアシリンジが押し出された状態を示す説明図。
【図14A】各々6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片を備える9つのサンプル・プレートをプレート・フレームに充填した様子を示す説明図。
【図14B】1つ以上のサンプル・プレートを充填可能なプレート・フレームを示す図。
【図15A】6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片の詳細を示す説明図。
【図15B】6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片をプレート・フレームに充填する様子を示す説明図。
【図16A】1個のウェルをプレート・フレームに充填する様子を示す説明図。
【図16B】分離構造により連結された2個のサンプル・ウェルを詳細に示す説明図。
【図16C】端部構造を備えるサンプル・ウェルを示す説明図。
【図16D】ID/方向合わせタブを備えるサンプル・ウェルを示す説明図。
【図17A】サンプル・ウェルのストリップ片の底面を示す図。
【図17B】サンプル・ウェルのストリップ片をプレート・フレームに対して位置合わせするための雌型位置合わせ/保持構造を示す説明図。
【図17C】プレート・フレームの基部に対応して設けられる雄型位置合わせ/保持構造を示す説明図
【図18】好適な実施例において、テーパー角度6.0°のテーパー穴を複数備えるサンプル・ウェルのストリップ片の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0150】
本発明の第1実施例を図1を参照して詳細に説明する。第1実施例において、回転カルーセル(回転式コンベヤ)1は、カルーセル1の外周または周囲に配置される複数のドッキング部または部分を備える。図1に示す例では、24個のドッキング部が備えられているが、異なる数のドッキング部を備えるようにしてもよい。たとえば、他の実施例において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20.21、22、23、25、26、27、28、29、30、または31個以上のドッキング部を備えるものでもよい。
【0151】
複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、使用時に、ドッキング部の一部または全部において、カルーセル1に取り付けられる、または、固定されることが望ましい。各ドッキング部は、望ましくは、上部クリップ3と、下部保持ピン4と、を備える。上部クリップ3と下部保持ピン4とを用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2をドッキング部に固定する。他の実施例において、保持ピン4が上部位置に、また、クリップ3が下部位置に備えられる構成でもよい。
【0152】
1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2を図2に詳細に示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、望ましくは、下部じょうご形状供給部6と上部キャップ部7とを有する管状体5を備える。各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2には、使用時に、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが充填される。一実施例において、2000個の直径1.75mmの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2に充填するようにしてもよい。他の実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の容量は、これより大きくても、あるいは、小さくてもよい。
【0153】
他の実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、1.75mm以外の直径を有する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを取り扱うように構成されるものでもよい。第1の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2内に第1の直径を有する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填し、第2の異なる試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2内に第2の異なる直径を有する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填するようにしてもよい。さらに、所定の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2に、複数の異なる直径を有する、または、異なる直径をまじえた試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填するようにしてもよい。
【0154】
試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の少なくとも一部は、望ましくは、じょうご形状供給部6から伸長し、カルーセル1上のドッキング部の保持ピン4に接続されるまたは固定されるフック8を備える。管状体5の上部は、ドッキング部のクリップ3によりドッキング部に固定されるように構成される。ドッキング部の少なくとも一部の上部クリップ3は、図1と異なる形状でもよい。また、他の方法を用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2をカルーセル1のドッキング部に固定するようにしてもよい。
【0155】
各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2は、望ましくは、中央らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9を備え、回転されると、供給部6に向かって、管状体5内で試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを移動させる。使用時に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容する管状体5の本体は、中心孔を有する環状ディスクまたは基部を備える。らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9は、管状体5の本体に形成された中心孔を貫通することが望ましい。供給部6は、らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9を貫通させる管状穴を備える。供給部6内の管状穴の直径およびらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のピッチは、望ましくは、供給部6内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給部6のノズルに向かって進み、必要に応じて、供給部6から一度に1つずつ供給されるように、設定される。
【0156】
らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のシャフトまたは上端部は、望ましくは、第1コグ(歯車)または他の第1駆動機構10に接続される。図1に示すように、らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9の上端部における第1コグまたは第1駆動機構10は、カルーセル1のアーム12上に望ましくは配置された対応する第2駆動コグ11または第2駆動機構により駆動される構成が望ましい。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の第1コグ10上の歯がカルーセル1のアーム12の第2駆動コグ11上の対応する歯と係合して連動することによって、カルーセル1のアーム12上の第2駆動コグ11の回転により、第1コグ10が回転し、この結果、第1コグ10に接続されたらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9が回転する。
【0157】
本発明の一実施例において、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2に、複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが充填されることが望ましい。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、ポリスチレン、プラスチックまたはポリマー製のコアを備え、コアは、鉄コーティングまたは磁気コーティングで被覆されるか、鉄特性または磁気特性を有する。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、試料の分析に用いられる試薬(たとえば、抗体や抗原)で被覆されていてもよい。一実施例において、試薬は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase chain reactions)によって、または、イムノアッセイ(免疫測定法)の一部として、試料を分析するために用いられるものでもよい。あるいは、同等に好適な実施例として、試薬が、試料内に相補的DNAまたはRNA配列が存在するか否かを検出するためのハイブリダイゼーション用プローブとして用いられるDNA配列またはRNA配列を含有するものでもよい。また、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを静電気防止コーティングで被覆してもよいし、静電気防止特性を有するようにしてもよい。
【0158】
一実施例において、1つ以上のセンサを、カルーセル1上に、望ましくは、供給部6または試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の下方に、または、近傍に、配置するようにしてもよい。1つ以上のセンサは、供給部6からサンプル・プレート13の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給されたか否かをモニターする。らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のピッチおよびらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9の回転速度は、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6から0.5秒未満で個々の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給可能なものであればよい。
【0159】
図1に示すように、サンプル・プレート13は、望ましくは、カルーセル1のアーム12の下方の移動ステージ上に載置される。サンプル・プレート13は、複数のサンプル・ウェルを備えることが望ましい。各サンプル・ウェルは、望ましくは、中央流体収容領域と、中央流体収容領域の周囲に配置される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバと、を備える。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13内の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される。サンプル・プレート13を移動ステージにより移動させることによって、所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6のノズルのごく近くに位置させることができる。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給した後、サンプル・プレート13を移動ステージにより動かして、別の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2のノズルのすぐ近くに配置させる。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給して、サンプル・プレート13を移動させる工程を繰り返すことが望ましい。特定の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に所望の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをすべて供給した後、カルーセル1を回転させて、第2の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2をカルーセル1のアーム12上に備えられた第2駆動コグ11に係合させる。次に、第2の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する。この工程を繰り返して、カルーセル1に取り付けられたさらに別の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13のさらに別の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する。サンプル・プレート13内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する間に、カルーセル1に取り付けられた試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の一部を取り換えたり再充填させたりすることもできる。
【0160】
特に優れた特徴として、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2からサンプル・プレート13の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが任意の所望の方法で供給可能であることが挙げられる。たとえば、1つのサンプル・ウェルにおいて、同じ種または同じ種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、すべての試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給するようにしてもよい。あるいは、1つのサンプル・ウェルにおいて、同じ種または同じ種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア対を隣接する試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給するようにしてもよい。好適な実施例では、各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給し、特定のサンプル・ウェルの試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの各々に、異なる種類の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給する。ただし、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの一部を空のままにしておいてもよい。また、対象となる試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、他の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に供給される他の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと比較して直径が小さい場合には、特別に、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの一部に2つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するようにしてもよい。
【0161】
図3に、クリップ3および保持ピン4によりカルーセル1上のドッキング部に複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2が固定される様子を詳細に示す。保持ピン4が、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6上に備えられたフック8に係合する。保持ピン4、フック8およびクリップ3により、使用中に、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の本体が回転するのを防ぐことができる。らせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9のスピンドルまたはシャフトに取り付けられた第1コグ10の歯がカルーセル1のアーム12から伸長する第2駆動コグまたは第2駆動機構11と互いにかみ合いまたは連動して係合されることにより、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2内のらせん状ビット、らせん形ネジまたはネジ機構9が回転または駆動されることが望ましい。第2駆動コグまたは第2駆動機構11は、望ましくは、電気モータにより駆動または回転される。
【0162】
図4Aに、サンプル・プレート11の個々のサンプル・ウェル14を示す。図4Aに示した実施例において、サンプル・ウェル14は、中央流体収容領域16の周囲に配置された8個の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を備えるものでもよい。別の実施例において、他の数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を備えるものでもよい。各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15は、少なくとも2つの放射状壁部材17と、サンプル・ウェル14の外壁または内壁と、により規定される。放射状壁部材17は、サンプル・ウェル14の壁からサンプル・ウェル14の中心に向かって伸長する構成が望ましい。ただし、壁部材17は、サンプル・ウェル14の中心までずっと伸びるのではないため、中央流体収容領域16が形成可能となる。中央流体収容領域16にその端部が隣接する放射状壁部材17の少なくとも一部または望ましくはすべてが、個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内での試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの保持を助けるように、また、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが中央流体収容領域16内に流入することがないように設計された拡張部を備えるようにしてもよい。あるいは、放射状壁部材17の少なくとも一部または実質的にすべての高さを、中央流体収容領域16の範囲で単に減少させるようにしてもよい。
【0163】
図4Aに示す実施例において、放射状壁部材17は、サンプル・ウェル14の外壁または内壁から伸長する。ただし、図4Bに示す実施例のように、放射状壁部材17が、サンプル・ウェル14の壁から伸長せず、サンプル・ウェル14の外壁または内壁から間隔をおいて配置されるものでもよい。サンプル・ウェル14の外壁または内壁にその端部が達しない放射状壁部材17の少なくとも一部または望ましくはすべてが、個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内での試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの保持を助けるように設計された拡張部を備えるようにしてもよい。あるいは、放射状壁部材17の少なくとも一部または実質的にすべての高さを、サンプル・ウェル14の外壁または内壁に向かって単に減少させるものでもよい。
【0164】
図4Cに、サンプル・ウェルの個々の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に8種類の異なる試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給した実施例を示す。図4Cに示す実施例では、第1の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Aが第1の試薬で被覆され、第2の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Bが異なる第2の試薬で被覆され、第3の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Cが異なる第3の試薬で被覆され、第4の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Dが異なる第4の試薬で被覆され、第5の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Eが異なる第5の試薬で被覆され、第6の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Fが異なる第6の試薬で被覆され、第7の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Gが異なる第7の試薬で被覆され、第8の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア18Hが異なる第8の試薬で被覆される。したがって、この実施例では、1つの液体試料で、ほぼ同時に、個々に選択された8種類の異なるイムノアッセイ(免疫測定法)を実施可能であるため、多重試験が可能である。
【0165】
図5に、本発明の別の実施例として、6個のサンプル・ウェル14からなるストリップ片を備えるサンプル・プレートを示す。各サンプル・ウェル14は、8個の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を有する。
【0166】
第1実施例のサンプル・ウェル14は、複数の直線状の放射状壁部材17を備えているが、別の実施例において、隣接する試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を仕切る壁は曲線状でもよい。また別の実施例において、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15が、複数の多角形(たとえば、六角形)チャンバからなるハニカム構造を形成するものでもよいし、および/または、複数の円形試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を備えるものでもよい。
【0167】
第1実施例では、試験対象の流体は、サンプル・ウェル14の中央流体収容領域16内に供給される。流体は、たとえば、患者から採取した血液試料、血清試料、唾液試料または尿試料でもよい。サンプル・ウェル14の中央流体収容領域16内に供給された流体は、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15を規定する2つの放射状壁部材17の間の隙間を流れることにより、隣接する各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に流入する。好適な実施例において、供給された流体が、放射状壁部材17の上端部から溢れないことが望ましい。
【0168】
サンプル・ウェル14の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部が、鉄層もしくは磁気層または鉄コーティングもしくは磁気コーティングを備える、および/または、鉄特性または磁気特性を備えるようにしてもよい。磁気装置または静電装置を用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2から供給される際に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付けて、サンプル・ウェル14の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給されるように試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを誘導するようにしてもよい。試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給した後には、磁気装置または静電装置を用いて、所定の時間、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを引き付け、保持または維持するようにしてもよい。
【0169】
あるいは、機械装置または電気装置を用いて、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に送るまたは向かわせるようにしてもよいし、および/または、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、所定の時間、収容チャンバ15内に保持または維持するようにしてもよい。
【0170】
さらに別の実施例において、磁気装置、静電装置、機械装置または電気装置を用いて、適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動または攪拌するようにしてもよい。一実施例において、液体試料が中央流体収容領域16内に供給されて、各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に拡散された後に、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に配置された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを振動または攪拌するようにしてもよい。この工程により、さまざまな試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、供給された液体試料で完全に濡らすまたは被覆することができる。一実施例において、サンプル・プレート13に含まれるサンプル・ウェル14の各中央流体収容領域16内に10ないし200mlの液体試料を供給することができる。
【0171】
カルーセル1上に配置されたセンサまたは試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ2の供給部6の近傍に配置されたセンサに加えて、または、センサの代わりに、視覚検出システムを用いて、1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがサンプル・プレート13の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給されたか否か、または、正しく配置されたか否かを判定するようにしてもよい。一実施例において、実質的に透明なサンプル・プレート13の色と対照をなすように、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを着色するようにしてもよい。サンプル・プレート13に1つ以上のルミネッセンス(発光)または蛍光マーカを含有させ、ルミネッセンス/蛍光検出装置を用いて、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがサンプル・ウェル14の適当な試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に正しく供給されたか否かを判定するようにしてもよい。この判定を、たとえば、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアによりサンプル・プレート13上のルミネッセンスまたは蛍光マーカーが観察できなくなる、または、検出できなくなるか否かにより行なうようにしてもよい。あるいは、磁気センサ、電気センサ、容量センサまたはメカニカルセンサを用いて、サンプル・プレート14の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが存在するか存在しないかを判定するようにしてもよい。
【0172】
一実施例において、制御システムを用いて、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数および/または位置および/または種類を判定するようにしてもよい。また、制御システムにより、いずれの試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内にさらに試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するべきかを決めるようにしてもよい。サンプル・ウェル14の中央流体収容領域内に液体試料が供給された後、制御システムが、適当な量の液体試料が供給されたか、また、すべての試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、少なくとも部分的に、または、完全に液体試料に浸漬されたか、を確認するようにしてもよい。
【0173】
サンプル・ウェル14の中央流体収容領域内に供給するべき液体試料の量は、サンプル・ウェル14内に形成された試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15の数、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15内に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径、および、所定のサンプル・ウェル14に供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数に応じて決まる。制御システムを用いて、サンプル・ウェル14内に供給される液体試料の量を変えて、サンプル・ウェル14内に存在する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの数や試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ15の数、ならびに、供給される試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径と関係なく、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に一定の深さまで液体試料に浸漬されるようにしてもよい。
【0174】
サンプル・プレート13は、さまざまな形式で構成可能である。たとえば、図1および図3に示すように、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の2次元アレイを備えるようにしてもよい。たとえば、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の4×4、4×6、4×8、4×10、4×12、6×6、6×8、6×10、6×12、8×8、8×10、8×12、10×10、10×12または12×12アレイを備えるものでもよい。他の実施例において、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の1次元ストリップ片を備えるようにしてもよい。たとえば、サンプル・プレート13が、サンプル・ウェル14の4×1、6×1、8×1、10×1または12×1ストリップ片を備えるものでもよい。さらに別の実施例において、アレイやストリップ片以外の形式でサンプル・ウェルを備えるものでもよい。
【0175】
本発明の第2実施例を図6を参照して説明する。第2実施例におけるサンプル・プレートは、複数のサンプル・ウェル19を備える(ただし、サンプル・プレートがサンプル・ウェル19を1つだけ備える構成も可能である)。好適な実施例において、サンプル・プレートは、サンプル・ウェル19の9×6アレイを備えるものでもよい。図6に1つのサンプル・ウェル19を示す。サンプル・プレートは、サンプル・ウェル19のストリップ片を備えるものでもよく、たとえば、サンプル・プレートが、サンプル・ウェル19の1×9または1×6アレイまたはストリップ片を備えるものでもよい。
【0176】
各サンプル・ウェル19は、望ましくはサンプル・ウェル19の基部に設けられる複数のポケット、凹部または穴21を有する。図6に示す実施例では、サンプル・ウェル19は、サンプル・ウェル19の基部に形成されるまたは設けられる10個のポケット、凹部または穴21を有する。他の実施例において、サンプル・ウェル19の基部にさまざまな数のポケット、凹部または穴21を備えるようにしてもよい。たとえば、サンプル・プレートが、サンプル・ウェル19の少なくとも一部または全部に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個以上のポケット、凹部または穴21を備えるものでもよい。
【0177】
ポケット、凹部または穴21は、サンプル・ウェル19の周縁部または周囲に備えられることが望ましく、サンプル・ウェル19の基部の中心または中心領域は、ほぼ平坦で、ポケット、凹部または穴21が形成されていないことが望ましい。図1ないし図5を参照して上述した第1実施例では、サンプル・プレートは、複数の放射状壁部材を備え、各試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバ内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを保持する。これに対して、第2実施例では、サンプル・プレート19のポケット、凹部または穴21内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが固定されるため、放射状壁部材は不要であり、望ましくは、設けられない。ただし、第1実施例と第2実施例の態様を組み合わせて、サンプル・プレートが、複数の放射状壁部材によって部分的に規定される複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバを備えるようにしてもよい。少なくとも一部の試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバが、さらに、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの基部にポケット、凹部または穴を備える構成でもよい。この構成の実施例では、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバに供給するようにしてもよいし、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容チャンバの基部に設けられたポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをしっかりと固定するようにしてもよい。
【0178】
さらに別の実施例において、従来のマイクロプレートと、第1実施例および/または第2実施例のサンプル・プレートとのハイブリッド構成でもよい。たとえば、サンプル・プレートが、1つ以上の従来のサンプル・ウェルと、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するための複数の凹部、ポケットまたは穴を有する1つ以上のサンプル・ウェルを備えるようにしてもよい。
【0179】
図6に示す第2実施例では、サンプル・ウェル19の基部に設けられたポケット、凹部または穴21の少なくとも一部またはすべてが、少なくとも一部の長さに沿ってテーパした、または、ほぼ全長にわたってテーパした穴を備える。ポケット、凹部または穴21を、たとえば、6°のテーパ角度で設けるようにしてもよい。たとえば、テーパ穴の上端(すなわち、試薬ビーズ/マイクロスフェア収容部)の直径は1.82mmである。穴の周囲のサンプル・ウェル19の基部が円錐形に広がった部分を備え、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aおよび20Bのポケット、凹部または穴21への挿入が容易になるようにしてもよい。たとえば、円錐形に広がった部分の外径は2.25mmである。
【0180】
図7Aに、本発明の第2実施例におけるサンプル・プレートに備えられるサンプル・ウェル19とこれに隣接する2つのサンプル・ウェル19の一部の平面図を示す。図7Aに示すサンプル・ウェルは、サンプル・プレートに備えられるサンプル・ウェル19のアレイの一部を形成する。各サンプル・ウェル19は、サンプル・ウェル19の底部または基部に配置される10個のポケット、凹部または穴21を備える。使用時に、サンプル・ウェル19の各ポケット、凹部または穴21に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが挿入され、テーパして穴の直径が小さくなることにより、ポケット、凹部または穴21内で試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが固定される。
【0181】
図7Bに、サンプル・ウェル19の底部の詳細、具体的に言えば、サンプル・ウェル19の底部に設けられ、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される複数のポケット、凹部または穴21を示す。サンプル・ウェル19の基部に設けられる各ポケット、凹部または穴21は、各テーパ穴の入口に円錐形に広がった部分または領域を備えることが望ましい。好適な実施例において、各ポケット、凹部または穴21内に、1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが供給および挿入される。
【0182】
図7Cに、本発明の第2実施例において、サンプル・ウェル19の基部に設けられたポケット、凹部または穴21内に配置され、固定された試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aの詳細を示す。試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aは、ポケット、凹部または穴21内に固定され、ポケット、凹部または穴21内に固定または配置された状態で、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aの上面がウェル底部表面の約0.3mm下の位置におかれる、または、配置される。したがって、好適な実施例において、サンプル・ウェル19の底部に設けられたポケット、凹部または穴21に配置および固定される試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが、ポケット、凹部または穴21の入り口または表面から上方に突出せず、よって、サンプル・ウェル19の底部表面から上方に突出しないことが望ましい。ただし、サンプル・ウェル19の基部に設けられた1つ以上のポケット、凹部または穴21に配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、比較的浅いポケット、凹部または穴21に配置されるものでもよいし、あるいは、テーパされた1つ以上のポケット、凹部または穴21内に配置され、ポケット、凹部または穴21内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを配置した際に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがポケット、凹部または穴21の入り口または表面から上方にわずかに突出し、よって、サンプル・ウェル19の底部表面から上方に突出するものでもよい。
【0183】
以下、図8A、図8Bおよび図9を参照して説明するように、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22により、サンプル・プレートのサンプル・ウェル19の底部に設けられたポケット、凹部または穴21内に供給されることが望ましい。図8Aに示す第2実施例の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、上部キャップ23と、シリンジ本体24と、シリンジ本体24の下部領域から突出するバレル25と、を備える。
【0184】
図8Bに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22の断面図、具体的に言えば、シリンジ本体24の内部にプランジャ・ガイド26が備えられた好適な実施例の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを示す。プランジャ・ガイド26は、望ましくは、その上部外面にネジが形成されている。望ましくは、シリンジ本体24の上部内面に、プランジャ・ガイド26の上部外面上に形成されたネジにかみ合う相補的なネジが形成され、使用時に、シリンジ本体24にプランジャ・ガイド26がしっかりとネジで固定される。キャップ23の内面にもネジが形成され、プランジャ・ガイド26の上部に固定される構成が望ましい。
【0185】
プランジャ27がプランジャ・ガイド26内に配置され、プランジャ・ガイド26により規定される穴内でプランジャ27の上方に位置するアクチュエータ/プランジャ・ボス28を作動させることにより、プランジャ27が押し下げられる。アクチュエータ・スプリング(図示しない)が、プランジャ27とアクチュエータ/プランジャ・ボス28との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28が押し下げられると、アクチュエータ・スプリングを介して、プランジャ27に力が伝達され、その結果、プランジャ27が押し下げられる。望ましくは、リターン・スプリング(図示しない)が、プランジャ・ガイド26の底部とプランジャ27との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28の押し下げを停止した際に、プランジャ27とアクチュエータ/プランジャ・ボス28の両方が上方の位置に戻る。
【0186】
図9は、図8Aおよび図8Bを参照して上述した第2実施例の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22の分解図を示す。図9に示すように、バレル25の上部の内側にシリコーン部材30が配置されている。使用時には、シリンジ本体24内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、シリンジ本体24の底部内に形成されたらせん状通路を通って送られる、または、導かれることにより、シリンジ本体24の底部で、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが一列にまたはひと続きに配置される。一列のまたはひと続きの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、バレル25のすぐ上で、プランジャ・ガイド26の下方に位置するチャンバ内に入る。チャンバは、プランジャ27の下方でバレル25の上方の穴内に位置する1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容可能な形状および配置である。プランジャ27が押し下げられると、プランジャ27がチャンバ内に位置する1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを下方に押し出す。1つの試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aは、望ましくは、シリコーン部材30を介してプランジャ27により押し出される。好適な実施例において、プランジャ27は、バレル25を介して、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のバレル25のすぐ下に置かれたサンプル・ウェル19のポケット、凹部または穴21内に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを連続的に押し出すことが望ましい。シリコーン部材30により、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のチャンバからシリンジ本体24のバレル25内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの偶発的な放出を防ぐことができる。
【0187】
シリンジ本体24の底部をらせん形状にして、シリンジ本体24の底部に配置されるチャンバに向かって試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを誘導するまたは導くことが望ましい。チャンバは、いかなる時点においても、シリコーン部材30の上方に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが1つだけ載るように構成することが望ましい。チャンバは、プランジャ27が移動する穴内に形成され、プランジャ27を押し下げることにより、チャンバ内に位置する試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが、シリコーン部材30を介して、バレル25内に押し出される。
【0188】
必要に応じて、振動機構を設け、シリンジ本体24の外側で作動させて、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアがシリンジ本体24を通ってシリンジ本体24の底部まで移動し、チャンバ内に順次入るように一列にまたはひと続きに並べるようにしてもよい。
【0189】
試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、たとえば、キット製造業者やその他供給業者により、シリンジ本体24にあらかじめ詰められたり、充填されたものでもよい。あるいは、エンドユーザが試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをシリンジ本体24に充填するようにしてもよい。
【0190】
第2実施例のマイクロアレイ装置または自動装置を図10を参照して説明する。図10に示すように、複数のシリンジ本体37が、トレイまたはパック36上に充填され、トレイまたはパック36は、自動的にマイクロアレイ装置または自動装置に投入される。3軸移動機構またはロボットアームにより、複数のシリンジ本体37が充填されたトレイまたはパック36を、マイクロアレイ装置または自動装置の試薬ビーズ/マイクロスフェア供給作業領域まで動かすことができる。
【0191】
マイクロアレイ装置または自動装置は、望ましくは、3軸移動機構を備え、3軸移動機構は、ガイドレール31を含む第1移動ステージを備え、第1アーム32が、ガイドレール31に沿って第1の(x)水平方向に移動可能である。第1アーム32を包囲するまたは取り囲む取り付けブロック33を有する第2移動ステージを備えることが望ましい。取り付けブロック33は、(望ましくは、第1の(x)水平方向と直交する)第2の(y)水平方向に移動可能であり、第1アーム32に沿って前後に移動可能である。さらに、リニア・アクチュエータ(図示しない)を内蔵する本体/シリンジ駆動機構34を有する第3ステージを備えることが望ましい。本体/シリンジ駆動機構34は、取り付けブロック33上にスライド可能に取り付けられて、鉛直(z)方向に昇降可能である。
【0192】
3軸移動機構は、望ましくは、さらに、取付けブロック33から伸長する格納式アーム35を備える。3軸移動機構は、複数の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が充填されたトレイまたはパック36から1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を選択して持ち上げるようにプログラミングされている。本体/シリンジ駆動機構34は、管状ハウジング内に弾性的に取り付けられたテーパ状のスピゴット(差し込み口、spigot)を備える。スピゴットは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のシリンジ・キャップ23上に設けられたテーパ部に係合する。トレイまたはパック36内で適当な位置に置かれた試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のシリンジ・キャップ23上まで、スピゴットが下降して、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を本体/シリンジ駆動機構34に着脱可能に固定することができる。本体/シリンジ駆動機構34およびそれに固定された試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を、(当初は、取付けブロック33の本体内に格納されている)格納式アーム35が伸びる高さまで上昇させることができる。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を本体/シリンジ駆動機構34により下降させると、シリンジ本体24の上部が格納式アーム35により固定される。格納式アーム35は、望ましくは、シリンジ本体24の上部周縁の最外径よりも小さな内径を持つ孔を備える。
【0193】
好適な実施例において、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が、複数の同一の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを含有することが望ましい。一実施例において、1つのトレイまたはパック36に、最大15個の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が充填または準備可能であり、各試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37が、最大約2000個の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容する容量を備えるものでもよい。
【0194】
好適な実施例において、シリンジ駆動機構34は、トレイまたはパック36から1つの試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37を持ちあげて、その試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のバレル25の位置を合わせて下降させ、その試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のバレル25がサンプル・プレートのサンプル・ウェル19内に形成された所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ポケットまたは凹部21のすぐ上にくるようにする。シリンジ駆動機構34を作動させて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22、37のアクチュエータ/プランジャ・ボス28を押し下げ、その結果、プランジャ27により、シリコーン部材30を介してチャンバからバレル25を通ってサンプル・ウェル19の所望の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ポケットまたは凹部21内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが押し出される。アクチュエータ/プランジャ・ボス28およびプランジャ27の所定鉛直方向位置への移動に対して、所望の大きさの力で、シリンジ駆動機構34が、アクチュエータ/プランジャ・ボス28およびプランジャ27を押し下げるように構成されることが望ましい。この結果、一定の大きさの力で、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが、サンプル・ウェル19の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ポケットまたは凹部21内にしっかりと連続して圧入される。
【0195】
図11に、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を選択して持ち上げる様子を詳細に示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34は、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のシリンジ・キャップ23の上部に設けられたテーパ凹部に係合するように構成されたテーパ下端を有するスピゴット39を備える。スピゴット39は中心孔を備え、プランジャ・プッシュロッド40が中心孔を通って取り付けられる。プランジャ・プッシュロッド40は、リニアアクチュエータ送りネジ42を駆動するリニアアクチュエータ41により上方または下方に駆動され、リニアアクチュエータ送りネジ42によりプランジャ・プッシュロッド40が昇降する。
【0196】
図11に示すように、ある試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を選択して持ち上げる場合には、その試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22上まで試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34を下降させて、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34のスピゴット39をその試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22のシリンジ・キャップ23と係合させる。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34がその試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22上まで下がると、スピゴット39が圧縮されて、これ以上は上昇不可能な限界まで上昇する。次に、スピゴット39が圧縮された状態で下降すると、スピゴット39のテーパとシリンジ・キャップ23の対応するテーパとが係合して、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34に試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22が取り付けられる。
【0197】
図11に示す試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、図8A、図8Bおよび図9に示す試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22と同様のものであるが、図8Bおよび図9に示すスペーサ29が図11の実施例では保持キャップ43に置き換えられている。また、図11に示す作動バネ44は、アクチュエータ/プランジャ・ボス28とプランジャ27との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28に加えられた力をプランジャ27に伝達する。さらに、図11に示すように、リターン・スプリング45が、プランジャ27とプランジャガイド26の基部との間に備えられ、アクチュエータ/プランジャ・ボス28の押し下げまたは作動を停止した際に、プランジャ27(およびアクチュエータ/プランジャ・ボス28)を上方の位置に戻す役割を果たす。
【0198】
図12Aに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を選択して持ち上げ、所望の位置に試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を移送する様子を示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が所定の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22を係合した後、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34が上昇し、スピゴット39は圧縮状態から解放される。これにより、スピゴット39が下方の位置に戻って、シリンジ本体24を含む試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22が、スピゴット39のテーパとシリンジ・キャップ23の対応するテーパとを介して、スピゴット39に固定される。
【0199】
図12Bに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22から(図示しない)サンプル・プレートの(図示しない)サンプル・ウェルのポケットまたは凹部内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを供給する様子を示す。試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34のリニアアクチュエータ41が作動し、リニアアクチュエータ送りネジ42が伸びて、プッシュロッド40を下方に押し下げる。プッシュロッド40の下方への移動により、アクチュエータ/プランジャ・ボス28が押し下げられる。アクチュエータ/プランジャ・ボス28は、作動バネ44を介して、プランジャ27に力を伝達し、直接プランジャ27に接触しないことが望ましい。プランジャ27は、シリンジ本体24内に形成された中心孔内のチャンバから試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aを押し出す。プランジャ27により、試薬ビーズすなわちマイクロスフェア20Aが、膜30を介して、バレル25内を下方に移動し、(図示しない)サンプル・プレートの凹部またはポケット内に押し出されることが望ましい。
【0200】
図13Aに、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ・ピックアップ装置またはシリンジ駆動装置34の端部から試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22が放出される様子を示す。この動作モードでは、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、トレイまたはパック36の上方に位置する。プランジャ27が最大限に伸びるまで、リニアアクチュエータ41がリニアアクチュエータ送りネジ42を下方に動かす。この際、スピゴット39も最大限まで伸びる。リニアアクチュエータ41がアクチュエータ/プランジャ・ボス28を介してプランジャ27に力を加え続けると、図13Bに示すように、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22の本体がテーパしたスピゴット39の端部から押し出される。押し出された試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ22は、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサのトレイまたはパック36内に戻るように落下する。
【0201】
本発明の実施例の特徴を説明するために、9個のサンプル・ウェル19を備えるサンプル・プレートを用いて、試験を行なった。各サンプル・ウェル19は、サンプル・ウェル19の中心部分の周囲に円形に配置された10個のポケット、凹部または穴21を備え、各ポケット、凹部または穴21に、さまざまな濃度の試薬で被覆した試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを充填した。第1のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、10μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであり、第2のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、8μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであった。また、第3のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、4μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであり、第4のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、2μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであった。さらに、第5のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、1μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであり、第6のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、0.5μg/mlの濃度の試薬で被覆されたものであった。第7のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、試薬で被覆しなかった。すなわち、試薬濃度は0μg/mであった。第8のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、さまざまな濃度の試薬で被覆されたものであり、その濃度は、10μg/ml、8μg/ml、4μg/ml、2μg/ml、1μg/ml、0.5μg/ml、0μg/ml、0μg/ml、0μg/ml、0μg/mlであった。第9のサンプル・ウェル内の10個のビーズは、第8のサンプル・ウェル内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと同様の濃度で、第8のサンプル・ウェル内の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと同様に配列した。
【0202】
試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを、ヒツジの免疫グロブリンG(IgG)を含む捕捉抗体で被覆し、0.02%ケーソン(登録商標)防腐剤を含有する重炭酸塩緩衝液に入れて運んだ。
【0203】
試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを運ぶ際に用いた防腐剤を捨ててサンプル・プレートのサンプル・ウェル19を空にした後、各サンプル・ウェル19に、1/1000希釈のロバ抗ヒツジIgGペルオキシダーゼ・コンジュゲートのトリス緩衝食塩水(Tris Buffered Saline:TBS)コンジュゲート希釈緩衝液を400μl加えた。サンプル・プレートを室温でインキュベートし、中くらいの強さで45分間振動させた。マイクロアレイ装置(Dynex Technologies社から市販されているDS2(登録商標)のシングルチャネル洗浄ヘッドを用いて、非結合コンジュゲートをサンプル・ウェル19から吸引した。サンプル・ウェル19から非結合コンジュゲートを吸引した後すぐに、各サンプル・ウェル19に、1/20希釈のトリス緩衝食塩水洗浄液を500μl加え、その後、洗浄液をサンプル・ウェル19から吸引した。このようにサンプル・ウェル19を洗浄液で洗浄して吸引する処理をさらに2回繰り返した。3回目の洗浄と洗浄液の吸引が完了した後すぐに、各サンプル・ウェル19にルミノール(化学発光マーカー)を300μl加えた。中くらいの強さで15分間振動させつつ、サンプル・プレートを暗所で室温でインキュベートした後、サンプル・プレートを測定用チャンバに移動させた。
【0204】
カメラをゲイン20で6分30秒の露光時間に設定した。ルミノールを加えて22分後および29分後に撮像を行なった。次に、カメラの露光時間を8分37秒に変更し、ルミノールを加えて38分後、47分後、56分後および65分後に撮像を行なった。撮像した画像の解析から、ルミノールを加えてから15分後から22分後の範囲で最大の信号強度が得られた。この結果は、ルミノールの減衰曲線に一致する。
【0205】
好適な実施例において、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアをサンプル・プレートのポケット、凹部、穴または試薬ビーズ収容チャンバ内に供給した後、以下の工程を実施するようにしてもよい。最初に、液体試料をサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェルに加える。液体試料は、1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェア上に被覆された試薬と反応する特異的抗原等の1つ以上の被分析物を含有するものでもよい。試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが特異的捕捉抗体で被覆されることが望ましい。
【0206】
液体試料をサンプル・ウェルに加えた後、サンプル・プレートをインキュベートする。サンプル・プレートのインキュベーションにより抗原抗体複合体を形成後、サンプル・プレートに1回以上の洗浄および吸引処理を実施して、非反応液体試料を除去し、続いて、そのための洗浄流体を除去する。次に、酵素コンジュゲート(酵素複合体)を加える。酵素コンジュゲートは、形成された抗原抗体複合体の抗原部分に結合するが、抗体や抗原抗体複合体の抗体部分には結合しない。サンプル・プレートをインキュベートした後、1回以上の洗浄および吸引処理を行なう。サンプル・プレートを1回以上洗浄および吸引後、ルミノール(または他の可視化剤)を加えることが望ましい。次に、サンプル・プレートを吸引して、過剰なルミノール(または他の可視化剤)を吸引除去する。ルミノール(または他の可視化剤)は、抗原抗体複合体の抗原部分に結合した酵素に接触すると、分解されて特徴的な色を発する。最後に、サンプル・プレートの分析を行ない、終点を決定する。
【0207】
本発明の特に好適な実施例を図14Aおよび図14Bを参照して説明する。図14Aに、9つのサンプル・プレートをプレート・フレームに充填した様子を示す。図14Aに示す各サンプル・プレートは、6×1サンプル・ウェルのストリップ片を備える。サンプル・プレートは、取り出し可能にプレート・フレームに充填される。9つのサンプル・プレートまたはストリップ片の各々は、6個のサンプル・ウェルを備え、各サンプル・ウェルは、使用時に試薬ビーズが収容される10個のテーパ穴を備える。試薬ビーズは、サンプル・ウェルの基部より上方に突出しないように、テーパ穴内に充填されることが望ましい。図14Bに、サンプル・プレートを充填可能なプレート・フレームの詳細を示す。
【0208】
図15Aに、6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片の詳細を示す。好適な実施例において、ストリップ片のサンプル・ウェルは、分離または分割可能である。一実施例において、サンプル・プレートまたはストリップ片は、1個ずつのサンプル・ウェルに分離または分割可能である。図15Bに、プレート・フレームに6個のサンプル・ウェルを含むストリップ片を充填する様子を示す。
【0209】
図16Aに、(サンプル・ウェルのストリップ片から分離された)1個のサンプル・ウェルをプレート・フレームに充填する様子を示す。サンプル・ウェルは、望ましくは、プレート・フレームの基部に形成される雄型部と係合または連結する雌型部を備える。これにより、サンプル・プレートまたはサンプル・ストリップは、プレート・フレームに充填される際に、プレート・フレームにしっかり固定される。
【0210】
図16Bに、分離構造47により連結された2個のサンプル・ウェルを詳細に示す。分離構造47により、ユーザーは連結されているサンプル・ウェルを分割することができる。一実施例において、サンプル・ウェルを互いに分割した後、邪魔し合うことなく、プレート・フレーム上で隣接して配置させることができる。分離構造47は、1つ、2つ、または3つ以上の切断点46を備えることが望ましい。一実施例において、2つのサンプル・ウェルを連結する接続片47を第1の切断点46で一方のサンプル・ウェルから分離するようにしてもよい。次に、第2の切断点46で残ったサンプル・ウェルから接続片47を切断することにより、接続片47を残ったサンプル・ウェルから折り取るまたは取り除くようにしてもよい。
【0211】
図16Cに、端部分離構造48を備えるサンプル・ウェルを示す。端部分離構造48により、他のサンプル・ウェルの邪魔をすることなく、プレート・フレーム内で個別に端部ウェルを用いることができる。端部分離構造48は、プレート・フレームからサンプル・ウェルのストリップ片を取り出す際に、あるいは、プレート・フレームからサンプル・ウェルを1つ取り出す際に、ユーザが保持可能な部分を提供する。
【0212】
図16Dに、ID/方向合わせタブ49を備えるサンプル・ウェルを示す。タブ49上に識別子を印刷したり、あるいは、取り付けたりできる。識別子は、2次元または3次元バーコードおよび/またはヒトが読み取り可能な文字列でもよい。タブ49を用いて、プレート・フレームのフィーチャ(特徴的構造)および/または他のサンプル・ウェル上のフィーチャと整列させることにより、ユーザーはサンプル・ウェルを正しい方向に置くことができる。
【0213】
図17Aに、好適な実施例において、使用時に試薬ビーズを各々挿入可能な10個の穴または凹部を備えるサンプル・ウェルのストリップ片の底面を示す。各サンプル・ウェルは、その基部または底面に、使用時に、プレート・フレームの基部に形成される雄型部と対になる雌型部を備える
【0214】
図17Bに、サンプル・ウェルのストリップ片をプレート・フレームに対して位置合わせするための雌型位置合わせ/保持構造50を詳細に示す。図17Cに、プレート・フレームの基部に対応して設けられる雄型位置合わせ/保持構造51を示す。一実施例において、雄型部51は、雄型部51上にサンプル・ウェルを置いた場合に内側に変形する複数の可撓性突起を備えるものでもよい。プレート・フレーム上の突起が閉じる方向に動くことにより、プレート・フレーム上にサンプル・ウェルを取り付け固定する場合、および/または、プレート・フレームからサンプル・ウェルを取り外す場合に、過度の力を加える必要なく、サンプル・ウェルを所定位置に保持することができる。
【0215】
図18に、本発明の好適な実施例において、複数のテーパ穴52を備えるサンプル・ウェルのストリップ片の断面図を示す。テーパ穴は、使用時に試薬ビーズを挿入可能なポケットとして機能する。テーパ角度は、6.0°が望ましい。
【0216】
上述した実施例では、主に、イムノアッセイ(免疫測定法)やELISA法に用いられる生体分子で被覆される試薬ビーズを中心に説明してきたが、核酸配列を含有する、または、核酸配列で被覆される試薬ビーズで、試薬ビーズ上のDNAまたはRNA配列と相補的なDNAまたはRNA配列を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブとして用いられる試薬ビーズにも同様に本発明を適用可能である。当業者には自明のように、ハイブリダイゼーション用プローブは、ハイブリダイゼーションまでは不活性であり、ハイブリダイゼーションの時点で、立体構造が変化し、複合体分子が活性化されて、紫外線により蛍光を発する。したがって、上述したさまざまな実施例や上述した実施例の様々な態様を、相補的なDNAまたはRNA配列を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブとして利用可能な、DNAまたはRNA配列(または他のヌクレオチド配列)を含有するまたはこれらの配列で被覆される試薬ビーズにも同様に適用可能である。
【0217】
以上、本発明を好適な実施例を参照して説明したが、当業者には自明のように、以下の特許請求の範囲に明記する本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまな形態および詳細に変更可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル・プレートであって、
1つ以上のサンプル・ウェルを備え、
前記1つ以上のサンプル・ウェルが、
基部と、
前記基部内に備えられる1つ以上のポケットまたは凹部と、を備え、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、使用時に、前記テーパ部によって前記穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に保持または固定される、サンプル・プレート。
【請求項2】
請求項1に記載のサンプル・プレートであって、
前記テーパ部が、(i)2ないし4°、(ii)4ないし6°、(iii)6ないし8°、(iv)8ないし10°、(v)少なくとも1°および(vi)1ないし15°からなる群から選択されるテーパを有する、サンプル・プレート。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、前記1つ以上のポケットまたは凹部内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの挿入が容易になるように、円錐形に広がった部分または拡張部分を備える、サンプル・プレート。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記1つ以上のサンプル・ウェルが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のポケットまたは凹部を備え、
各ポケットまたは凹部が、テーパ部を有する穴であって、使用時に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される穴を備える、サンプル・プレート。
【請求項5】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
前記基部内に備えられる前記1つ以上のポケット、凹部または穴は、
(i)前記サンプル・ウェルの中心部の周囲に配置される、および/または、
(ii)1つ以上の中心ポケットまたは凹部の周囲に配置される複数のポケットまたは凹部を備える、および/または、
(iii)実質的に最密充填されるように配置される、および/または、
(iv)実質的に対称にまたは非対称に配置される、および/または、
(v)実質的に直線状にまたは曲線状に配置される、および/または、
(vi)実質的に規則的にまたは不規則に配置される、および/または、
(vii)アレイに配置される、および/または、
(viii)前記基部の中心にポケット、凹部または穴が位置しないように、1つ以上の同心円状に配置される、サンプル・プレート。
【請求項6】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
A×Bの形式で配置されるサンプル・ウェルを備え、
Aが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択され、
Bが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項7】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
ユーザーにより複数の小さなサンプル・プレートに分割可能なように、前記1つ以上のサンプル・ウェルが、1つ以上の脆弱領域または接続部により他の1つ以上のサンプル・ウェルと相互に連結されている、サンプル・プレート。
【請求項8】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
イムノアッセイ・サンプル・プレートを備える、サンプル・プレート。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
相補的DNAまたはRNA試料の存在を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブを備える、サンプル・プレート。
【請求項10】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
プレート・フレームホルダーの雌型、雄型またはその他のドッキング部に対して前記サンプル・プレートを固定するための対応する雌型、雄型またはその他のドッキング部を有する基部を備える、サンプル・プレート。
【請求項11】
組み合わせであって、
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートと、
前記1つ以上のサンプル・ウェルの前記1つ以上のポケット、凹部または穴内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせ。
【請求項12】
請求項11に記載の組み合わせであって、
前記試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、試薬を担持し、試薬を含有し、または試薬で被覆され、
前記試薬は、液体試料に含まれる対象被分析物の測定を行なうように配置および構成される、組み合わせ。
【請求項13】
請求項11に記載の組み合わせであって、
前記試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、核酸プローブを担持し、核酸プローブを含有し、または核酸プローブで被覆され、
前記核酸プローブが、一本鎖核酸、DNAまたはRNAとハイブリダイゼーションするように配置および構成される、組み合わせ。
【請求項14】
組み合わせであって、
プレート・フレームホルダーと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートと、の組み合わせ。
【請求項15】
請求項14に記載の組み合わせであって、
前記プレート・フレームホルダーが、前記サンプル・プレートを前記プレート・フレームホルダーにしっかりと固定するための雄型、雌型またはその他のドッキング部を備える、組み合わせ。
【請求項16】
自動装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートと、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御するように配置および構成される制御システムと、を備える、自動装置。
【請求項17】
請求項16に記載の自動装置であって、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサが、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、前記環状チャンバが、使用時に、前記穴内に設けられるチャンバに向けて、前記環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
前記長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
前記プランジャが、使用時に、前記チャンバから前記シリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される、自動装置。
【請求項18】
1つ以上の対象被分析物質用の液体測定装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートと、を備える液体測定装置。
【請求項19】
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するための試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサであって、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、前記環状チャンバが、使用時に、前記長手方向の穴内に設けられるチャンバに向けて、前記環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
前記長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
前記プランジャが、使用時に、前記チャンバから前記シリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ。
【請求項20】
方法であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを準備し、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御する、方法。
【請求項21】
サンプル・プレートを用いて、複数の被分析物に関して試料を分析する方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える、方法。
【請求項22】
酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用いて、試料に含まれる抗原または抗体を検出する方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える、方法。
【請求項23】
核酸プローブを用いて、試料に含まれるDNA配列またはRNA配列を検出する方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える、方法。
【請求項24】
試料に含まれる1つ以上の対象被分析物を測定する方法であって、
サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上のポケットまたは凹部内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備える、方法。
【請求項25】
請求項20ないし24のいずれかに記載の方法であって、さらに、
(i)前記サンプル・プレートをインキュベートする、および/または、
(ii)前記サンプル・プレートを洗浄する、および/または、
(iii)前記サンプル・プレートを吸引する、および/または、
(iv)前記サンプル・プレートに酵素コンジュゲート(酵素複合体)を加える、および/または、
(v)前記サンプル・プレートに可視化剤を加える、および/または、
(vi)前記サンプル・プレートを視覚的に分析する、のうち1つ以上を実施する、方法。
【請求項26】
酵素免疫吸着測定法(ELISA)を実施するためのキットであって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、抗体、抗原またはその他の生体分子を含有する試薬で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える、キット。
【請求項27】
核酸プローブ法を実施するためのキットであって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、DNA配列またはRNA配列で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える、キット。
【請求項28】
サンプル・プレートを製造する方法であって、
それぞれ基部を有する1つ以上のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の基部内に1つ以上のポケットまたは凹部を形成し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される、方法。
【請求項29】
自動装置の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる、コンピュータプログラム。
【請求項30】
コンピュータで実行可能な命令が格納されるコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記命令が、自動装置の制御システムにより実行可能に構成され、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
請求項30に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、(vi)光ディスク、(vii)RAM、および(viii)ハードディスクドライブからなる群から選択される、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項32】
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
使用時に、前記穴の前記テーパ部との干渉または摩擦嵌め合いにより、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが前記穴内に実質的に保持または固定される、サンプル・プレート。
【請求項33】
請求項1ないし10および32のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
使用時に、前記サンプル・プレートを水平軸に対して10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°または90°より大きな角度で傾けても、または、逆さにしても、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが前記穴内に実質的に保持または固定されている、サンプル・プレート。
【請求項34】
請求項1ないし10、32および33のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の開口部および/または前記穴の断面形状が円形である、サンプル・プレート。
【請求項35】
請求項1ないし10および32ないし34のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の開口部の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項36】
請求項1ないし10および32ないし35のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径は、前記穴の開口部の直径よりも少なくとも5%小さい、サンプル・プレート。
【請求項37】
請求項1ないし10および32ないし36のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項38】
請求項1ないし10および32ないし37のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の深さは、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項39】
請求項1ないし10および32ないし38のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の前記テーパ部は、ほぼ直線状にテーパされている、サンプル・プレート。
【請求項40】
請求項1ないし10および32ないし39のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、前記穴の前記テーパ部と実質的に流体密封シールを形成する、サンプル・プレート。
【請求項41】
請求項1ないし10および32ないし40のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の開口部の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも大きい、サンプル・プレート。
【請求項42】
請求項1ないし10および32ないし41のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも少なくとも5%小さい、サンプル・プレート。
【請求項43】
請求項1ないし10および32ないし42のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の深さは、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径以上である、サンプル・プレート。
【請求項44】
請求項1ないし10および32ないし43のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径が試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも小さくなる部分における穴の深さを備える、サンプル・プレート。
【請求項45】
請求項44に記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径が試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも小さくなる部分における前記穴の深さが、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの半径以上である、サンプル・プレート。
【請求項46】
組み合わせであって、
請求項32ないし45のいずれかに記載のサンプル・プレートと、
前記1つ以上のサンプル・ウェルの前記1つ以上のポケット、凹部または穴内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせ。
【請求項1】
サンプル・プレートであって、
1つ以上のサンプル・ウェルを備え、
前記1つ以上のサンプル・ウェルが、
基部と、
前記基部内に備えられる1つ以上のポケットまたは凹部と、を備え、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、使用時に、前記テーパ部によって前記穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが実質的に保持または固定される、サンプル・プレート。
【請求項2】
請求項1に記載のサンプル・プレートであって、
前記テーパ部が、(i)2ないし4°、(ii)4ないし6°、(iii)6ないし8°、(iv)8ないし10°、(v)少なくとも1°および(vi)1ないし15°からなる群から選択されるテーパを有する、サンプル・プレート。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、前記1つ以上のポケットまたは凹部内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの挿入が容易になるように、円錐形に広がった部分または拡張部分を備える、サンプル・プレート。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記1つ以上のサンプル・ウェルが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のポケットまたは凹部を備え、
各ポケットまたは凹部が、テーパ部を有する穴であって、使用時に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される穴を備える、サンプル・プレート。
【請求項5】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
前記基部内に備えられる前記1つ以上のポケット、凹部または穴は、
(i)前記サンプル・ウェルの中心部の周囲に配置される、および/または、
(ii)1つ以上の中心ポケットまたは凹部の周囲に配置される複数のポケットまたは凹部を備える、および/または、
(iii)実質的に最密充填されるように配置される、および/または、
(iv)実質的に対称にまたは非対称に配置される、および/または、
(v)実質的に直線状にまたは曲線状に配置される、および/または、
(vi)実質的に規則的にまたは不規則に配置される、および/または、
(vii)アレイに配置される、および/または、
(viii)前記基部の中心にポケット、凹部または穴が位置しないように、1つ以上の同心円状に配置される、サンプル・プレート。
【請求項6】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
A×Bの形式で配置されるサンプル・ウェルを備え、
Aが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択され、
Bが、(i)1、(ii)2、(iii)3、(iv)4、(v)5、(vi)6、(vii)7、(viii)8、(ix)9、(x)10および(xi)>10からなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項7】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
ユーザーにより複数の小さなサンプル・プレートに分割可能なように、前記1つ以上のサンプル・ウェルが、1つ以上の脆弱領域または接続部により他の1つ以上のサンプル・ウェルと相互に連結されている、サンプル・プレート。
【請求項8】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
イムノアッセイ・サンプル・プレートを備える、サンプル・プレート。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
相補的DNAまたはRNA試料の存在を検出するためのハイブリダイゼーション用プローブを備える、サンプル・プレート。
【請求項10】
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートであって、
プレート・フレームホルダーの雌型、雄型またはその他のドッキング部に対して前記サンプル・プレートを固定するための対応する雌型、雄型またはその他のドッキング部を有する基部を備える、サンプル・プレート。
【請求項11】
組み合わせであって、
前記いずれかの請求項に記載のサンプル・プレートと、
前記1つ以上のサンプル・ウェルの前記1つ以上のポケット、凹部または穴内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせ。
【請求項12】
請求項11に記載の組み合わせであって、
前記試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、試薬を担持し、試薬を含有し、または試薬で被覆され、
前記試薬は、液体試料に含まれる対象被分析物の測定を行なうように配置および構成される、組み合わせ。
【請求項13】
請求項11に記載の組み合わせであって、
前記試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの少なくとも一部または実質的に全部が、核酸プローブを担持し、核酸プローブを含有し、または核酸プローブで被覆され、
前記核酸プローブが、一本鎖核酸、DNAまたはRNAとハイブリダイゼーションするように配置および構成される、組み合わせ。
【請求項14】
組み合わせであって、
プレート・フレームホルダーと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートと、の組み合わせ。
【請求項15】
請求項14に記載の組み合わせであって、
前記プレート・フレームホルダーが、前記サンプル・プレートを前記プレート・フレームホルダーにしっかりと固定するための雄型、雌型またはその他のドッキング部を備える、組み合わせ。
【請求項16】
自動装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートと、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御するように配置および構成される制御システムと、を備える、自動装置。
【請求項17】
請求項16に記載の自動装置であって、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサが、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、前記環状チャンバが、使用時に、前記穴内に設けられるチャンバに向けて、前記環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
前記長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
前記プランジャが、使用時に、前記チャンバから前記シリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される、自動装置。
【請求項18】
1つ以上の対象被分析物質用の液体測定装置であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサと、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートと、を備える液体測定装置。
【請求項19】
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するための試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサであって、
長手方向の穴を囲む環状チャンバを有するシリンジ本体であって、前記環状チャンバが、使用時に、前記長手方向の穴内に設けられるチャンバに向けて、前記環状チャンバ内に供給された試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを導くまたは送るように構成されるシリンジ本体と、
前記長手方向の穴内に備えられるプランジャと、
シリンダーまたはノズルと、を備え、
前記プランジャが、使用時に、前記チャンバから前記シリンダーまたはノズル内に試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを供給するように構成される、試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサ。
【請求項20】
方法であって、
1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを準備し、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから前記1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御する、方法。
【請求項21】
サンプル・プレートを用いて、複数の被分析物に関して試料を分析する方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える、方法。
【請求項22】
酵素免疫吸着測定法(Enzyme Linked ImmunoSorbent Assay:ELISA)を用いて、試料に含まれる抗原または抗体を検出する方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える、方法。
【請求項23】
核酸プローブを用いて、試料に含まれるDNA配列またはRNA配列を検出する方法であって、
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートを準備し、
サンプル・ウェルの1つ以上のポケット、凹部または穴内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記サンプル・ウェルに試料を加える、方法。
【請求項24】
試料に含まれる1つ以上の対象被分析物を測定する方法であって、
サンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェルの1つ以上のポケットまたは凹部内に1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを挿入し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備える、方法。
【請求項25】
請求項20ないし24のいずれかに記載の方法であって、さらに、
(i)前記サンプル・プレートをインキュベートする、および/または、
(ii)前記サンプル・プレートを洗浄する、および/または、
(iii)前記サンプル・プレートを吸引する、および/または、
(iv)前記サンプル・プレートに酵素コンジュゲート(酵素複合体)を加える、および/または、
(v)前記サンプル・プレートに可視化剤を加える、および/または、
(vi)前記サンプル・プレートを視覚的に分析する、のうち1つ以上を実施する、方法。
【請求項26】
酵素免疫吸着測定法(ELISA)を実施するためのキットであって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、抗体、抗原またはその他の生体分子を含有する試薬で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える、キット。
【請求項27】
核酸プローブ法を実施するためのキットであって、
請求項1ないし10のいずれかに記載の1つ以上のサンプル・プレートと、
複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアであって、DNA配列またはRNA配列で被覆される複数の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、を備える、キット。
【請求項28】
サンプル・プレートを製造する方法であって、
それぞれ基部を有する1つ以上のサンプル・ウェルを備えるサンプル・プレートを準備し、
前記1つ以上の基部内に1つ以上のポケットまたは凹部を形成し、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、テーパ部を有する穴を備え、
前記1つ以上のポケットまたは凹部は、使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアを収容するように配置および構成される、方法。
【請求項29】
自動装置の制御システムにより実行可能なコンピュータプログラムであって、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる、コンピュータプログラム。
【請求項30】
コンピュータで実行可能な命令が格納されるコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
前記命令が、自動装置の制御システムにより実行可能に構成され、
前記自動装置は、1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサを備え、
前記コンピュータ・プログラムは、前記制御システムに、
(i) 前記1つ以上の試薬ビーズ/マイクロスフェア・ディスペンサから、テーパ部を有する穴を備える1つ以上のポケットまたは凹部を備えるサンプル・プレートの1つ以上のサンプル・ウェル内への試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの供給を制御させる、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
請求項30に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体であって、
(i)ROM、(ii)EAROM、(iii)EPROM、(iv)EEPROM、(v)フラッシュメモリ、(vi)光ディスク、(vii)RAM、および(viii)ハードディスクドライブからなる群から選択される、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項32】
請求項1ないし10のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
使用時に、前記穴の前記テーパ部との干渉または摩擦嵌め合いにより、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが前記穴内に実質的に保持または固定される、サンプル・プレート。
【請求項33】
請求項1ないし10および32のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
使用時に、前記サンプル・プレートを水平軸に対して10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°または90°より大きな角度で傾けても、または、逆さにしても、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアが前記穴内に実質的に保持または固定されている、サンプル・プレート。
【請求項34】
請求項1ないし10、32および33のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の開口部および/または前記穴の断面形状が円形である、サンプル・プレート。
【請求項35】
請求項1ないし10および32ないし34のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の開口部の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項36】
請求項1ないし10および32ないし35のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径は、前記穴の開口部の直径よりも少なくとも5%小さい、サンプル・プレート。
【請求項37】
請求項1ないし10および32ないし36のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径は、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項38】
請求項1ないし10および32ないし37のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の深さは、(i)<0.5mm、(ii)0.5-1.0mm、(iii)1.0-1.5mm、(iv)1.5-2.0mm、(v)2.0-2.5mm、(vi)2.5-3.0mm、(vii)3.0-3.5mm、(viii)3.5-4.0mm、(ix)4.0-4.5mm、(x)4.5-5.0mm、(xi)<5.0mmおよび(xii)>5.0mmからなる群から選択される、サンプル・プレート。
【請求項39】
請求項1ないし10および32ないし38のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の前記テーパ部は、ほぼ直線状にテーパされている、サンプル・プレート。
【請求項40】
請求項1ないし10および32ないし39のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
使用時に、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアは、前記穴の前記テーパ部と実質的に流体密封シールを形成する、サンプル・プレート。
【請求項41】
請求項1ないし10および32ないし40のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の開口部の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも大きい、サンプル・プレート。
【請求項42】
請求項1ないし10および32ないし41のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径は、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも少なくとも5%小さい、サンプル・プレート。
【請求項43】
請求項1ないし10および32ないし42のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の深さは、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径以上である、サンプル・プレート。
【請求項44】
請求項1ないし10および32ないし43のいずれかに記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径が試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも小さくなる部分における穴の深さを備える、サンプル・プレート。
【請求項45】
請求項44に記載のサンプル・プレートであって、
前記穴の直径が試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの直径よりも小さくなる部分における前記穴の深さが、試薬ビーズすなわちマイクロスフェアの半径以上である、サンプル・プレート。
【請求項46】
組み合わせであって、
請求項32ないし45のいずれかに記載のサンプル・プレートと、
前記1つ以上のサンプル・ウェルの前記1つ以上のポケット、凹部または穴内に挿入または配置される1つ以上の試薬ビーズすなわちマイクロスフェアと、の組み合わせ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【公表番号】特表2012−527607(P2012−527607A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511344(P2012−511344)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001443
【国際公開番号】WO2011/012859
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511284052)ダイネックス・テクノロジース・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DYNEX TECHNOLOGIES INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001443
【国際公開番号】WO2011/012859
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(511284052)ダイネックス・テクノロジース・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】DYNEX TECHNOLOGIES INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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