説明

サンルーフのパネル構造

【課題】部品点数を増大することなく、ルーフパネルの外周縁端からのウエザストリップの延出長をより低減することができるサンルーフのパネル構造を提供する。
【解決手段】ルーフパネル21と、ルーフパネル21の外周縁部21aに沿って該ルーフパネル21の下面に固着されルーフパネル21の外周縁部21aに沿って下向きに湾曲されてなる係止凹部31を有するとともに、該係止凹部31に繋がる外周縁部32がルーフパネル21の下側に間隔を空けて開口11の縁部11a側に指向する鋼板からなるインナーパネル23とを備える。ウエザストリップ24は、ルーフパネル21の外周縁部21aに沿って該外周縁部21a及びインナーパネル23の外周縁部32間に挟持されるとともに係止凹部31に係止される係止凸部42、及び開口11の縁部11aに弾性的に接触可能なシール部46を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ルーフの開口を開閉するサンルーフのパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サンルーフのパネル構造として種々のものが提案されている。例えば特許文献1では、ガラス材からなるルーフパネル(11)と、該ルーフパネルの全周に亘ってその外周縁に取着された樹脂材からなるリム(11b)と、該リムの全周に亘ってその外周縁に嵌着された弾性材からなる枠状のウエザストリップ(20)とを備える。この場合、ルーフパネルをその開閉作動に係る機能ブラケットに連結するための金属板からなる枠状のインナーパネルが、ルーフパネル又はリムの全周に亘ってその外周縁に更に取着されると推定される。つまり、ルーフパネル、リム、ウエザストリップ及びインナーパネルの4部品で構成されるパネル構造であり、部品点数の増大ひいてはコストの増大を余儀なくされている。
【0003】
そこで、特許文献2では、リムを割愛した3部品で構成されるパネル構造が提案されている。この構成では、インナーパネルの周縁に縦フランジ(17)を形成し、該縦フランジをウエザストリップの溝に挟み込ませつつ該ウエザストリップをルーフパネル及びインナーパネル間に挿入することで組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−243792号公報
【特許文献2】特開2003−094953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2では、リムを設けることなくウエザストリップを組み付けるために、インナーパネルの縦フランジをルーフパネル外形(外周縁)よりも外側に配置する必要があり、その分、ルーフパネルの外周縁端からのウエザストリップの延出長を広く確保する必要がある。この場合、ウエザストリップを成形する際の材料消費量が増加する。また、ウエザストリップの延出長が広くなると、該ウエザストリップがなす枠状のコーナー部でウエザストリップ全体に波打ちが生じる可能性がある。従って、このような波打ちの発生を防止するようにコーナーを成形する必要があり、その分、製造工数が増加する。以上のようなウエザストリップの材料消費量及び製造工数の増加により、コストの増大を余儀なくされる。
【0006】
本発明の目的は、部品点数を増大することなく、ルーフパネルの外周縁端からのウエザストリップの延出長をより低減することができるサンルーフのパネル構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ルーフの開口を開閉するサンルーフのパネル構造において、ルーフパネルと、前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの下面に固着され、前記ルーフパネルの外周縁部に沿って下向きに湾曲されてなる係止凹部を有するとともに、該係止凹部に繋がる外周縁部が前記ルーフパネルの下側に間隔を空けて前記開口の縁部側に指向する鋼板からなるインナーパネルと、前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの外周縁部及び前記インナーパネルの外周縁部間に挟持されるとともに前記係止凹部に係止される係止凸部、及び前記開口の縁部に弾性的に接触可能なシール部を有するウエザストリップとを備えたことを要旨とする。
【0008】
同構成によれば、前記ルーフパネル、前記ウエザストリップ及び前記インナーパネルの3部品で構成できるため、部品点数を削減することができる。また、前記インナーパネルは、その外周縁部及び前記ルーフパネルの外周縁部間に前記係止凸部を挟持するとともに、前記係止凹部において前記係止凸部を係止することで、前記ウエザストリップを支持・固定できるため、その外周縁端の位置が前記ルーフパネルの外周縁端の位置によって制約されることを緩和できる。従って、前記開口の縁部側に向かう前記ルーフパネルの外周縁端からの前記ウエザストリップの延出長をより短縮することができ、その分、該ウエザストリップを成形する際の材料消費量を減少することができる。また、前記ウエザストリップの形状も、全体として簡易なものにできるため、製造工数を減少することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のサンルーフのパネル構造において、前記係止凹部は、前記ルーフパネルを介して前記係止凸部を下向きに押圧した際に、該係止凸部が前記係止凹部に係止される側に前記ウエザストリップを移動させる分力を発生させる傾斜部を有することを要旨とする。
【0010】
同構成によれば、例えば前記インナーパネルの外周縁部上に前記ウエザストリップ(係止凸部)を載置・仮組みした状態で、前記インナーパネル上に前記ルーフパネルを固着する場合には、前記係止凸部が前記ルーフパネルを介して下向きに押圧されることで、前記傾斜部において前記係止凸部が前記係止凹部に係止される側に前記ウエザストリップを移動させる分力が発生する。従って、仮組み状態での前記係止凸部及び前記係止凹部の係止が不完全であったとしても、その後の前記インナーパネル上への前記ルーフパネルの固着に合わせて発生する前記分力によって、前記係止凸部及び前記係止凹部の係止を完全にすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のサンルーフのパネル構造において、
前記ウエザストリップは、前記係止凸部との間で前記インナーパネルの外周縁部を挟持する挟持片を有することを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、前記ウエザストリップは、前記係止凸部及び前記挟持片の間で前記インナーパネルの外周縁部を挟持できるため、パネル構造組付けの際において前記ウエザストリップを前記インナーパネルに容易に仮組みすることができる。また、パネル構造の組付け後においても、前記ウエザストリップの前記インナーパネル等からの脱落を抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のサンルーフのパネル構造において、前記ウエザストリップは、前記ルーフパネルの外周縁部上面を被覆する被覆部を有し、前記シール部及び該シール部に繋がる前記被覆部の意匠面を形成するスポンジ材と、前記係止凸部及び該係止凸部に繋がる前記被覆部の裏面を形成する前記スポンジ材よりも硬質の樹脂材とで成形されていることを要旨とする。
【0014】
同構成によれば、前記被覆部の意匠面は、前記シール部とともに前記スポンジ材によって形成されるため、前記シール部との一体感が増して意匠性を向上することができる。一方、前記被覆部の裏面は、前記係止凸部とともに前記スポンジ材よりも硬質の前記樹脂材によって形成されるため、例えば前記被覆部全体を前記スポンジ材によって形成する場合に比べて剛性を増加することができる。従って、例えば前記インナーパネルの外周縁部上に前記ウエザストリップ(係止凸部)を載置・仮組みした状態で、前記インナーパネル上に前記ルーフパネルを固着する場合、前記ルーフパネルの外周縁部に押圧される前記被覆部がこれにならって折れ曲がったとしても、該被覆部の剛性が適度に保たれることで円滑にこれを引き戻して前記ルーフパネルの外周縁部上面を被覆させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のサンルーフのパネル構造において、前記ウエザストリップは、前記係止凸部の上面から起立して前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの下面に弾性的に接触するリップ部を有することを要旨とする。
【0016】
同構成によれば、前記ウエザストリップは、前記リップ部において前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの下面に弾性的に接触することで、前記係止凸部の上面外周縁に浸入した水が内周縁から前記インナーパネル(係止凹部)上へと浸入することを抑制でき、ひいては前記インナーパネルの防錆性を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、部品点数を増大することなく、ルーフパネルの外周縁端からのウエザストリップの延出長をより低減することができるサンルーフのパネル構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態を示す平面図。
【図2】図1のA−A線に沿った断面図。
【図3】ウエザストリップを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図3を参照して本発明の一実施形態について説明する。図1に示すように、自動車などの車両ルーフ10には、略四角形の開口11が形成されるとともに、該開口11を開閉可能な略四角形の車両用パネル12が設置されている。
【0020】
図2に示すように、開口11は、その内周側を下向きに屈曲してなる縁部11aを有する。従って、開口11の縁部11aは、全体として略四角筒形状を呈する。一方、車両用パネル12は、縁部11aに合わせて成形されたガラス材からなる略四角板状のルーフパネル21を備える。また、車両用パネル12は、ルーフパネル21の外周縁部21aに沿って該ルーフパネル21の下面に例えばウレタン樹脂製の接着剤22によって固着された鋼板からなる略四角枠状のインナーパネル23を備える。このインナーパネル23は、ルーフパネル21(車両用パネル12)をその開閉作動に係る機能ブラケット(図示略)に連結するためのものである。インナーパネル23は、ルーフパネル21の外周縁部21aの下側でその全周に亘って下向きに湾曲されてなる係止凹部31を有するとともに、該係止凹部31に繋がる外周縁部32がルーフパネル21の下側に間隔を空けて開口11の縁部11a側に指向してなる。従って、係止凹部31は、ルーフパネル21との間隙を広げる方向に曲成されている。係止凹部31の外周縁部32との接続部は、外側に向かうに従い徐々に上昇する傾斜部31aを形成する。なお、接着剤22は、係止凹部31よりも概ねその基端側に塗布されている。
【0021】
さらに、車両用パネル12は、ルーフパネル21の外周縁部21aに取着される略四角環状のウエザストリップ24を備える。このウエザストリップ24は、ルーフパネル21の外周縁部21aを囲繞する帯状の本体部41を有するとともに、該本体部41から外周縁部21aの下面に沿って該外周縁部21a側に延出する断面略鉤爪状の係止凸部42を有する。この係止凸部42は、本体部41(外周縁部21a)の全周に亘って延在しており、係止凹部31に対向して下向きに湾出する係止部42aを有する。ウエザストリップ24は、係止部42aが係止凹部31の傾斜部31aに当接する態様で外周側への移動が係止されている。換言すれば、ウエザストリップ24は、ルーフパネル21及びインナーパネル23間に形成される内側に広がる空間を利用して、これらルーフパネル21及びインナーパネル23間に係止凸部42を挟持させることで、インナーパネル23等に支持・固定されている。
【0022】
また、ウエザストリップ24は、係止凸部42の下側に間隔を空けて本体部41からインナーパネル23の外周縁部32の下面に沿って該外周縁部32側に延出するフランジ状の挟持片43を有する。この挟持片43も、本体部41の全周に亘って延在しており、係止凸部42との間で外周縁部32を挟持する。つまり、ウエザストリップ24は、その全周に亘って係止凸部42及び挟持片43間に外周縁部32が挟み入れられることで該外周縁部32(インナーパネル23)に支持・固定されている。
【0023】
さらに、ウエザストリップ24は、本体部41の上端縁から外周縁部21aの上面に沿って該外周縁部21a側に延出するフランジ状の裏面側被覆部44を有する。従って、ウエザストリップ24は、その全周に亘って係止凸部42及び裏面側被覆部44間に外周縁部21aが挟み入れられることで該外周縁部21a(ルーフパネル21)に支持・固定されている。なお、図3に示すように、ウエザストリップ24は、係止凸部42の上面から起立するリップ部45が係止凸部42の全周に亘って形成されている。リップ部45は、図3に示すウエザストリップ24単体の状態において車両外側に向けて傾斜しており、図2に示すルーフパネル21の載置等された状態において車両外側に倒れ込んでルーフパネル21に当接している。そして、係止凸部42の上面におけるリップ部45の車両外側には、該リップ45部の倒れ込みを許容する凹部49が形成されている。このリップ部45は、図2に示すように、係止凸部42上に載置等されるルーフパネル21の下面に押圧されることで、傾倒しつつ該下面に弾性的に接触する。
【0024】
また、係止凸部42の上面におけるリップ部45の車両内側には、上方に突出するサブリップ50が形成されている。このリップ部45は、図2に示すように、係止凸部42上に載置等されるルーフパネル21の下面に押圧されることで、該下面に弾性的に接触する。
【0025】
なお、本体部41、係止凸部42、挟持片43、裏面側被覆部44、リップ部45及びサブリップ50は、硬質の樹脂材M1にて形成されている。
一方、ウエザストリップ24は、本体部41の上端縁及び下端縁に接続されて前記開口11の縁部11a側に突出する断面略円弧状のシール部46を有する。このシール部46は、本体部41の全周に亘って延在しており、対向する縁部11aに弾性的に接触する。また、ウエザストリップ24は、本体部41の上面及び裏面側被覆部44の上面に沿ってルーフパネル21の外周縁部21a側に延出するフランジ状の意匠面側被覆部47を有する。この意匠面側被覆部47は、シール部46と共に樹脂材M1よりも軟質のスポンジ材M2からなる。これは、意匠面側被覆部47をシール部46と同一材料(スポンジ材M2)にすることで、該シール部46との一体感を増して意匠性を向上させるためである。なお、意匠面側被覆部47は、裏面側被覆部44と共に被覆部48を構成する。
【0026】
つまり、ウエザストリップ24は、樹脂材M1及びスポンジ材M2により2色成形されている。特に、被覆部48を異材からなる裏面側被覆部44及び意匠面側被覆部47を重ねて成形したのは、意匠性を損ねることなく被覆部48の剛性を好適に確保するためである。
【0027】
ここで、車両用パネル12の組付態様について説明する。まず、インナーパネル23の外周縁部32の外側(外周側)からウエザストリップ24を組み付けて、図3に示すように、係止凸部42及び挟持片43間に外周縁部32を挟み入れる。これにより、ウエザストリップ24(係止凸部42)は、係止凹部31まで進入した係止部42aを係止凹部31の傾斜部31aに係止する態様で外周縁部32に対し位置決めされて、インナーパネル23の外周縁部32上に載置・仮組みされる。
【0028】
続いて、インナーパネル23の係止凹部31よりも内周縁部側の上面に接着剤22を塗布して、インナーパネル23の上側からルーフパネル21を組み付ける。このとき、ルーフパネル21の載置される係止凸部42は、接着剤22を介してインナーパネル23に固着されるルーフパネル21のスペーサとして機能する。また、ルーフパネル21から下向きに押圧される係止凸部42は、係止部42aの当接するインナーパネル23の傾斜部31aにおいて係止凸部42が外周縁部32に係止される側(内周側)にウエザストリップ24を移動させる分力を発生する。従って、例えば仮組み状態での係止凸部42及び係止凹部31の係止が不完全であったとしても、その後のインナーパネル23上へのルーフパネル21の固着に合わせて発生する前記分力によって係止部42aを傾斜部31aに沿って滑らせることで、係止凸部42及び係止凹部31の係止を完全にすることができる。そして、係止凸部42及び挟持片43間に外周縁部32をきちんと挟み入れることができる。
【0029】
一方、被覆部48は、ルーフパネル21の外周縁部21aに押圧されることで、これにならって基端側を支点に本体部41側に折れ曲がる。つまり、被覆部48は、本体部41及びルーフパネル21間に収まるように変形する。これにより、ルーフパネル21は、その中心に向かって外周縁部21aが被覆部48から均等に付勢されることになり、インナーパネル23等に対して正確に位置決めされる。そして、インナーパネル23上にルーフパネル21が固着される。なお、係止凸部42上に載置されるルーフパネル21(外周縁部21a)の下面に押圧されるリップ部45は、これに伴い傾倒して該下面に弾性的に接触する。
【0030】
その後、適宜の治具を用いて、本体部41側に折れ曲がった被覆部48を引き戻すことで、該被覆部48によってルーフパネル21の外周縁部21a上面が被覆される。この際、被覆部48を樹脂材M1及びスポンジ材M2により2色成形してその剛性を適度に保ったことで、当該作業を円滑に行うことができる。
【0031】
次に、本実施形態の動作について説明する。
車両用パネル12の閉鎖状態では、開口11の縁部11aにウエザストリップ24のシール部46が弾性的に接触することで、車室内側への水密性が確保される。一方、ルーフパネル21の外周縁部21a上面に被覆部48が弾性的に接触するとともに、外周縁部21a下面にリップ部45が弾性的に接触することで、係止凹部31側への水密性が確保される。
【0032】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ルーフパネル21、ウエザストリップ24及びインナーパネル23の3部品で構成できるため、部品点数ひいてはコストを削減することができる。また、インナーパネル23は、その外周縁部32及びルーフパネル21の外周縁部21a間に係止凸部42を挟持するとともに、外周縁部32において係止凸部42を係止することで、ウエザストリップ24を支持・固定できるため、その外周縁端の位置がルーフパネル21の外周縁端(端末)の位置によって制約されることを緩和できる。従って、開口11の縁部11a側に向かうルーフパネル21の外周縁端からのウエザストリップ24の延出長をより短縮することができ、その分、該ウエザストリップ24を成形する際の材料消費量を減少することができる。また、ウエザストリップ24の形状も、従来技術のようにコーナーを成形する必要がなく、全体として簡易なものにできるため、材料消費量及び製造工数を減少することができる。以上のようなウエザストリップの材料消費量及び製造工数の減少により、コストを削減することができる。
【0033】
(2)本実施形態では、インナーパネル23の外周縁部32上にウエザストリップ24(係止凸部42)を載置・仮組みした状態で、インナーパネル23上にルーフパネル21を固着する場合、係止凸部42がルーフパネル21を介して下向きに押圧されることで、傾斜部31aにおいて係止凸部42が係止凹部31に係止される側にウエザストリップ24を移動させる分力が発生する。従って、仮組み状態での係止凸部42及び係止凹部31の係止が不完全であったとしても、その後のインナーパネル23上へのルーフパネル21の固着に合わせて発生する前記分力によって、係止凸部42及び係止凹部31の係止を完全にすることができる。
【0034】
(3)本実施形態では、被覆部48の意匠面(意匠面側被覆部47)は、シール部46とともにスポンジ材M2によって形成されるため、シール部46との一体感が増して意匠性を向上することができる。一方、被覆部48の裏面(裏面側被覆部44)は、係止凸部42等とともにスポンジ材M2よりも硬質の樹脂材M1によって形成されるため、例えば被覆部48全体をスポンジ材M2によって形成する場合に比べて剛性を増加することができる。従って、インナーパネル23の外周縁部32上にウエザストリップ24(係止凸部42)を載置・仮組みした状態で、インナーパネル23上にルーフパネル21を固着する場合、ルーフパネル21の外周縁部21aに押圧される被覆部48がこれにならって折れ曲がったとしても、該被覆部48の剛性が適度に保たれることで円滑にこれを引き戻してルーフパネル21の外周縁部21a上面を被覆させることができる。
【0035】
(4)本実施形態では、ウエザストリップ24は、リップ部45においてルーフパネル21の外周縁部21aに沿って該ルーフパネル21の下面に弾性的に接触することで、係止凸部42の上面外周縁に浸入した水が内周縁からインナーパネル23(係止凹部31)上へと浸入することを抑制でき、ひいてはインナーパネル23の防錆性を向上できる。また、ウエザストリップ24に別途、シール材を設ける必要がなく、コスト低減にもなる。
【0036】
(5)本実施形態では、ウエザストリップ24は、係止凸部42及び挟持片43の間でインナーパネル23の外周縁部32を挟持できるため、パネル構造組付けの際においてウエザストリップ24をインナーパネル23に容易に仮組みすることができる。また、パネル構造の組付け後においても、ウエザストリップ24のインナーパネル23等からの脱落を抑制することができる。
【0037】
(6)本実施形態では、インナーパネル23の外周縁部32上にウエザストリップ24(係止凸部42)を載置・仮組みした状態で、インナーパネル23上にルーフパネル21を固着する場合、被覆部48がこれにならって基端側を支点に本体部41側に折れ曲がる。これにより、ルーフパネル21の外周縁部21aが被覆部48から均等に付勢されることになり、ルーフパネル21をインナーパネル23等に対して正確に位置決めすることができる。
【0038】
(7)本実施形態では、弾性復帰状態(自由状態)でのシール部46を断面略円弧状とした。従って、例えば車両ルーフ10の意匠に合わせて全体的に曲成されたルーフパネル21であっても、該ルーフパネル21の外周縁部21aに取着されるウエザストリップ24のシール部46は、その円弧形状で縁部11aに外接する状態から該縁部11aに押圧されて弾性変形し始める。このため、ウエザストリップ24の全周に亘って縁部11aとの間のシール性を安定化することができる。
【0039】
(8)本実施形態では、例えば縦壁部を有するインナーパネルに比べて、部品精度を確保しながらも簡易にインナーパネル23を製造することができる。
(9)本実施形態では、係止凸部42を、接着剤22を介してインナーパネル23に固着されるルーフパネル21のスペーサとして機能させたことで、これらルーフパネル21及びインナーパネル23間の隙間管理を容易に行うことができる。あるいは、別途、スペーサを設ける必要がなく、コスト低減にもなる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、挟持片43を割愛したウエザストリップ24であってもよい。
【0041】
・前記実施形態において、ルーフパネル21は、合成樹脂(例えば半透過性のポリカーボネート樹脂など)で成形してもよい。
・前記実施形態において、スポンジ材M2は、樹脂材M1よりも軟質である軟質樹脂材に変更してもよい。
【0042】
・前記実施形態においては、開口11の縁部11aは車両ルーフ10の意匠部材であるルーフパネル部材に形成されているが、例えば該ルーフパネル部材を補強する補強部材に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
M1…樹脂材、M2…スポンジ材、10…車両ルーフ、11…開口、11a…縁部、21…ルーフパネル、21a,32…外周縁部、23…インナーパネル、24…ウエザストリップ、31…係止凹部、31a…傾斜部、42…係止凸部、43…挟持片、45…リップ部、46…シール部、48…被覆部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ルーフの開口を開閉するサンルーフのパネル構造において、
ルーフパネルと、
前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの下面に固着され、前記ルーフパネルの外周縁部に沿って下向きに湾曲されてなる係止凹部を有するとともに、該係止凹部に繋がる外周縁部が前記ルーフパネルの下側に間隔を空けて前記開口の縁部側に指向する鋼板からなるインナーパネルと、
前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの外周縁部及び前記インナーパネルの外周縁部間に挟持されるとともに前記係止凹部に係止される係止凸部、及び前記開口の縁部に弾性的に接触可能なシール部を有するウエザストリップとを備えたことを特徴とするサンルーフのパネル構造。
【請求項2】
請求項1に記載のサンルーフのパネル構造において、
前記係止凹部は、前記ルーフパネルを介して前記係止凸部を下向きに押圧した際に、該係止凸部が前記係止凹部に係止される側に前記ウエザストリップを移動させる分力を発生させる傾斜部を有することを特徴とするサンルーフのパネル構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサンルーフのパネル構造において、
前記ウエザストリップは、前記係止凸部との間で前記インナーパネルの外周縁部を挟持する挟持片を有することを特徴とするサンルーフのパネル構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のサンルーフのパネル構造において、
前記ウエザストリップは、
前記ルーフパネルの外周縁部上面を被覆する被覆部を有し、
前記シール部及び該シール部に繋がる前記被覆部の意匠面を形成するスポンジ材と、前記係止凸部及び該係止凸部に繋がる前記被覆部の裏面を形成する前記スポンジ材よりも硬質の樹脂材とで成形されていることを特徴とするサンルーフのパネル構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のサンルーフのパネル構造において、
前記ウエザストリップは、前記係止凸部の上面から起立して前記ルーフパネルの外周縁部に沿って該ルーフパネルの下面に弾性的に接触するリップ部を有することを特徴とするサンルーフのパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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