説明

サーバークライアントシステム

【課題】ユーザーが入力作業を忘れることがなく、外出時などのインターネット利用状況が変わった場合にも利用でき、第三者の妨害に強い電子メールを用いたデータ入力方式を構築すること。
【解決手段】コンピュータネットワークを用いてユーザーへのサービスを管理するサーバークライアントシステムにおいて、(1)サーバークライアントシステムの管理サーバーは定期的にクライアントに対し、メールの送信毎に毎回乱数を発生させ、該乱数を基にして作成された識別番号を有する入力催促メッセージを作成し電子メールにして送信する手段、(2)入力催促メッセージを受信したクライアントは、ユーザーデータをサーバーに返信する手段、(3)管理サーバーは受信したユーザーデータの補正や解析を行い、データベースに登録し、入力内容と解析結果をクライアントに送信する手段、を備えた非同期ポーリング方式のサーバークライアントシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンピュータネットワークを用いてユーザーへのサービスを管理するサーバークライアントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットメールの送受信ができる環境であれば、どこからでもホストコンピュータのアプリケーションに対する情報の入力や参照を行うことができるシステムとして『電子メールによるホストコンピュータ連携システム』(特許文献1)がある。ここでいう電子メール送受信媒体とは携帯電話、PHS、PDA等を含むインターネット端末のことであり、ホスト側のメールサーバーと端末からの電子メールとの連携を仮想エージェントプログラムが行っている。
【特許文献1】特開2002−007284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、インターネットを介してユーザーがサーバーにデータを入力するには、WWWなどを用いることが多かった。この場合、ユーザーが自発的に入力作業を開始する必要がある。そのため、作業を忘れてしまったり、外出時に作業ができないなどの不都合があった。特許文献1のように、電子メールを利用した例もある。しかし、この場合送信者の特定が難しいという課題がある。昨今では悪意ある第三者が送信者アドレスを詐称する事例が多い上に、特許文献1のようにIDやパスワードを用いると、悪意ある第三者にこの情報が漏洩した場合、簡単に偽情報を登録されてしまう可能性がある。
【0004】
そこで本発明が解決しようとする課題は、ユーザーが入力作業を忘れることがなく、外出時などのインターネット利用状況が変わった場合にも利用でき、なおかつ第三者の妨害に強い電子メールを用いたデータ入力方式を構築することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、コンピュータネットワークを用いてユーザーへのサービスを管理するサーバークライアントシステムにおいて、(1)前記サーバークライアントシステムの管理サーバーは定期的にクライアントに対して、電子メールの送信毎に毎回乱数を発生させて、該乱数を基にして作成された識別番号を有する入力催促メッセージを作成し電子メールにして送信する手段、(2)前記入力催促メッセージを受信した前記クライアントは、ユーザーデータをサーバーに返信する手段、(3)前記管理サーバーは受信した前記クライアントのユーザーデータに対して補正や解析を行い、入力データならびに解析データをデータベースに登録するとともに、入力内容と解析結果を前記クライアントに送信する手段、を備えたことを特徴とする非同期ポーリング方式のサーバークライアントシステムである。
【0006】
ここで非同期ポーリング方式とは、電子メールによる非リアルタイムな通信方法を意味する。管理センターのサーバーと、ユーザーの端末すなわちクライアントから構成され、サーバーから入力を催促するメッセージを電子メールとして送信する。これをポーリングという。ユーザーからの返信はユーザーの都合のよい時間にデータ入力を行ってもらい、返信してもらう。いわゆる、これが「非同期」である。ポーリングは通常定期的に行う。また、電子メールには独自の識別番号を付加する。
【0007】
入力催促メッセージに識別番号を毎回ユニークに付けることによって、悪意のある第三者が常時いい加減なデータを送信してくることを防ぐ。そのために識別番号は毎回乱数を発生させて作成する。また識別番号ごとに返信期間の有効期限を設け、有効期限を過ぎて返信された個人データは無視する手段も含める。識別番号ごとに入力受付は1回のみとすることで、重複入力や悪意ある第三者による入力を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では毎回ユニークな識別番号を持った入力催促メッセージメールを送信し、そのメールの返信と入力データを1回のみ有効として受け付けている。このため、悪意のある第三者が識別番号を盗み取り、本人に代わってデータを送信したとしても1度だけであり、2度、3度と同じような行為ができないようになっている。サーバーからの入力催促メッセージメールが届かない場合には、サーバーや伝送路のトラブル、攻撃者によるメールの横取りなどの可能性を知ることができる。また、サーバーは入力を受け付けるたびに発信者アドレスではなく該ユーザー登録アドレスに対して入力内容と解析結果を送信する。これによってユーザーが入力誤りを見つけたり、覚えのない不正な入力を発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態をユーザーのダイエット管理を行うシステムを例にとって説明する。ダイエットを志す人のために、ダイエット管理センターがダイエットに関するデータの一括管理と解析を行い、ユーザーのダイエットを手助けするサービス管理システムに関する。具体的には、ユーザー要求に合わせたメッセージ形式や通信方法に対応できるシステムとし、悪意のある第三者の割り込みを排除したダイエット管理システムにする。
【0010】
本発明はユーザー(会員)が正しく継続してダイエットを行えるように、ダイエット管理センターがユーザーのダイエット状況を管理するものである。そのために、本発明では入力催促メッセージを電子メールとしてユーザーに定期的に送信する。ユーザーはそのメッセージをもとに体重や体脂肪率あるいは歩行数などを入力して返信する。リアルタイムの送受信では、ユーザーの時間を制限することになり、長続きはしない。その点、本発明では非同期ポーリング方式を採用しているために、ユーザーの空き時間にデータ入力を行い、電子メールで返信すればよいので、気楽に利用することのできるシステムとなっている。また、携帯電話などの携帯端末にも対応しているために、体重測定や体脂肪率測定などの測定時間と切り離してデータ入力が行えることも、ユーザーには利用しやすいシステムとなっている。さらに、識別番号からユーザーを特定できるので、ユーザーは入力催促メッセージメールを転送して都合のよい端末や場所から送信可能であることが、ユーザーに利用の自由度を与える。
【0011】
ダイエットを希望するユーザーを会員として、ユーザー(クライアント)のダイエット状況を管理するシステムにおいて、(1)ダイエット状況を把握するために、ダイエット管理サーバーは定期的にクライアントに入力催促メッセージを電子メールにして送信する手段、(2)入力催促メッセージを受信したクライアントは、体データに加えて歩行数や運動状況などの生活データを個人データとして入力し、サーバーに返信する手段、(3)ダイエット管理サーバーは受信したクライアントの個人データに対して補正や解析を行い、入力データならびに解析データをデータベースに登録するとともに、入力内容と解析結果をクライアントに送信する手段、を備えたダイエット管理システムである。
【0012】
図1は、本発明のシステムのハードウェア構成である。本発明ではサーバー・クライアント方式を採用している。ダイエット管理センターのサーバー本体(ホストコンピュータ)にはユーザー管理DBがつながっている。ユーザー管理DBはユーザーの個人情報や過去の累積体データ、分析結果などのデータが保存されているデータベースである。本発明の請求対象外であるが、ユーザーから摂取した食物の種類と量を入力してもらえば、摂取カロリーなども計算できるようにしても良い。例えば、鶏卵1個80キロカロリー、バナナ1本100キロカロリー、キャラメル1個(約5グラム)20キロカロリーなどのデータが登録されている。なお本稿では、クライアントとユーザーとは同じ意味で使用する。
【0013】
図2はメールのメッセージ構成である。識別番号が1回のみ有効であり、かつ誰もが次の識別番号を予測し得ないものとしている。これによって、第三者が仮にこの識別番号を盗み取ったとしても、次の識別番号を予測して連続して常にデータを送信することができないようにすることができる。ユーザーがデータを入力して返信するときにも、この識別番号が返信される。サーバーはユーザーよりデータを受信したときには、ユーザー管理DBで識別番号を確認し、入力催促メッセージメールの識別番号がない場合には、入力データを無効とする。また有効期限を過ぎたものに対しても、同時に入力データを無効とする。
【0014】
図3はデータの流れを示している。上から順を追って説明する。
1.サーバーは識別番号を作成し、ユーザID、目的、有効期限とともにユーザー管理DBに登録する。また同時に入力催促メッセージメールに識別番号を付けてメールをユーザーに送信する。
2.入力催促メッセージメールを受信したユーザーは、データ入力し、入力メールとして返信する。
3.入力メールを受信したサーバーはメールの内容を解釈し、識別番号情報をユーザー管理DBに登録してあるかどうかをチェックする。
4.識別番号がユーザー管理DBに登録してあり、かつ有効期間内のメールで、しかも入力処理を行っていない場合には、入力処理やデータ解析を行い、その結果をユーザー管理DBに登録するとともに、ユーザーにメールとして送信する。
【実施例】
【0015】
図4をもとに実施例を説明する。
1.まずユーザー用の入力催促メッセージメールを作成する。図のSNUMは識別番号であり、サーバーが乱数を基に作成する。サーバーはユーザー管理DBを照会し、該識別番号が登録されていないことを確認する。このとき、使用済みの識別番号も一定期間は再利用しないようにする。なぜならば、ユーザーの操作ミスにより入力済みのデーターを後日再入力することがあるからである。サーバーは該識別番号をユーザー管理DBにユーザーID、目的、有効期限とともに登録する。
2.サーバーは該識別番号を電子メール本文に付加した入力催促メッセージメールをユーザーに送信する。
3.入力催促メッセージメールを受信したユーザーは入力催促メッセージメールを参照(または引用)してデータ入力を行う。このとき、入力催促メッセージメールを他のアドレスに転送し、転送先でデータ入力し、サーバーに送信することも可能である。例えば、パソコンで入力催促メッセージメールを受信し、それを自分の携帯電話のアドレスに転送し、携帯電話でデータ入力・送信(返信)を行うことも可能である。
4.データ入力が完了したら、サーバーに送信(返信)する。この場合、送信する入力データは必ずしも受信した端末から送信しなくてもよい。ただし、識別番号(図の例ではSNUM)は必ず返信メールに含めておかなければならない。
5.ユーザーからの返信メールを受信したサーバーは識別番号と入力データを分離し、識別番号のチェック、入力処理およびデータの分析処理を行う。識別番号はユーザー管理DBを更新して入力済みにする。入力データと分析結果はユーザ管理DBに登録する。
6.サーバーは入力データと分析結果をユーザーの登録アドレスに電子メールで通知する。ユーザーはその内容と自分が送信した内容を比較することで、入力が正しく行われたか、誤りや第三者による妨害がなかったかを知ることができる。
7.図4とは別に、サーバーは定期的にユーザー管理DBを照会し、入力済みと有効期限を超過した識別番号のうち、ユーザーが誤って二重送信することがないような十分な期間が経過したものを削除する。
【0016】
以下は、本発明で用いられているプログラムの一例を示すものである。
#!/usr/bin/perl -w
#
# 入力案内メール配信

use Sys::Syslog qw(:DEFAULT setlogsock);
use DBI;

# haishinT照会
# データベースで送信する会員を抽出
while () { # 当該会員毎に

$shiki = makeShikibetsu(); # 識別番号発行
$body = "SNUM=$shiki\n";
$body .= "データ=\n" # 入力案内
# $bodyを本文として電子メール送信
# データベースに送信記録
}
exit;

# 識別番号生成とDB登録
sub makeShikibetsu {
# 識別番号用乱数生成
$rv = 1; # 該当データ数
while( $rv != 0 ){ # 重複している間
$randnum = rand C_MAXRAND; # 乱数生成
# データベースに識別番号を照会
# $randumと等しいものがなければ$rvを0にする
}
# データベースに識別番号として$randumを登録
return $randnum;
}
【0017】
#!/usr/bin/perl
#
# 電子メールから入力

use Sys::Syslog qw(:DEFAULT setlogsock);
use DBI;

# 標準入力からのメール本文解析
%param = explainMes();
@keys = keys %param;
$sn = $param{"SNUM"}; # 識別番号
$d = $param{"データ"}; # データ

# データベースに識別番号照会
if( ){ # 取得エラー
# 送信者に識別エラー通知メールを送信
exit 1;
}
# データベースの識別番号属性を入力済みに更新

# 入力データ解釈
# 入力確認メール送信
exit 0;

# メール本文解釈
sub explainMes {
while ( $mes = <STDIN> ){ # 1行ずつ読込
if( $mes =~ /(\w+)=([0-9.]+)/ ){
$param{$1} = $2;
}
}
return %param;
}
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明では毎回ユニークな識別番号を持った入力催促メッセージメールを送信し、そのメールの返信と入力データを1回のみ有効として受け付けている。このため、悪意のある第三者が識別番号を盗み取り、本人に代わってデータを送信したとしても1度だけであり、2度、3度と同じような行為ができないようになっている。また、サーバーからの入力催促メッセージメールが届かない場合には、サーバーや伝送路のトラブル、攻撃者によるメールの横取りなどの可能性を知ることができる。逆に、サーバー側で送信した識別番号以外の識別番号を持つメールが届いた場合には、第三者による不正送信を知ることもできる。さらに、サーバーから分析結果を送信する際、入力メールの送信者アドレスではなくユーザーの登録アドレスに送信することによって、ユーザーの覚えのない入力が行われた場合に検知することができる。
【0019】
また、本発明をダイエットシステムに用いた場合は、ユーザー(会員)が継続して自己管理を行えるように、ダイエット管理センターがユーザーの体や生活習慣に関するデーターを管理代行するものである。そのために、本発明では入力催促メッセージを電子メールとしてユーザーに定期的に送信する(例えば一日に1回または2回等)。ユーザーはそのメッセージをもとに体重や体脂肪率あるいは歩行数などを入力して返信する。リアルタイムの送受信では、ユーザーの時間を制限することになり、長続きはしない。その点、本発明のシステムでは非同期ポーリング方式を採用しているために、ユーザーの空き時間にデータ入力を行い、電子メールで返信すればよいので、手軽に利用することのできるシステムとなっている。また、携帯電話などの携帯端末にも対応しているために、体重測定や体脂肪率測定などの測定時間と切り離してデータ入力が行えることや、ユーザーがメールサーバーに転送設定を行うことで旅行や出張先からもデータ入力が行えることも、ユーザーには利用しやすいシステムとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のシステム構成図である。
【図2】本発明のシステムにおける入力催促メッセージメールのメール構成図である。
【図3】本発明のシステムにおけるデータの流れを説明するシーケンス図である。
【図4】本発明のシステムにおける入力催促メッセージメールと入力データの実施例を示す、データの流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータネットワークを用いてユーザーへのサービスを管理するサーバークライアントシステムにおいて、
(1)前記サーバークライアントシステムの管理サーバーは定期的にクライアントに対して、電子メールの送信毎に毎回乱数を発生させて、該乱数を基にして作成された識別番号を有する入力催促メッセージを作成し電子メールにして送信する手段、
(2)前記入力催促メッセージを受信した前記クライアントは、ユーザーデータをサーバーに返信する手段、
(3)前記管理サーバーは受信した前記クライアントのユーザーデータに対して補正や解析を行い、入力データならびに解析データをデータベースに登録するとともに、入力内容と解析結果を前記クライアントに送信する手段、を備えたことを特徴とする非同期ポーリング方式のサーバークライアントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−39680(P2006−39680A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214805(P2004−214805)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(504281341)有限会社アズウィ (2)
【Fターム(参考)】