説明

サービング基地局及び端末で用いられる、位置推定装置及び方法、並びに記録媒体

端末は2以上の基地局それぞれから固有のシーケンスを受信し、量子化された固有のシーケンスの混合をサービング基地局に送信する。サービング基地局は、量子化された固有のシーケンスの混合から基地局それぞれに対応する成分を抽出し、抽出された成分に基づいて端末の位置を推定する。特に、サービング基地局は抽出された成分に基づいて端末で受信された固有の各シーケンスに対する受信強度またはディレイを算出し、その受信強度またはディレイに基づいて端末の位置を推定してもよい。それだけではなく、端末はサービング基地局で用いられるアルゴリズムを実行して自ら自己の位置を推定してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は端末の位置を推定する技術に係り、詳細には基地局から送信される信号を用いて端末の位置を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、複数のセルを含むマルチ−セル通信環境への関心が高まっている。例えば、マルチ−セル通信環境は2以上のマクロセルを含むマルチ−マクロセル通信環境、ピコセルまたはフェムトセルなどの小型セルを複数個含むマルチ−小型セル通信環境、少なくとも1つのマクロセルおよび少なくとも1つの小型セルを含む階層−セル通信環境を含む。
【0003】
マルチ−セル通信環境の通信システムにおいて端末の位置情報は様々な用途に用いられる。例えば、端末の位置情報は位置ベースサービス(Location−Based Service)を提供するために必須であり、マルチノード協力通信を実行するため有効に利用できる。
【0004】
また、端末の位置を推定するための様々な方法のうち最も簡単な方法は、端末をサービングするサービスセルのIDに基づいて端末の位置を把握することにある。ただし、サービスセルのIDに基づいて端末の位置を把握する方法は、より正確に端末の位置を把握できない場合がある。ただし、正確度を向上させるためにToA(Time of Arrival)に基づく位置推定方法を適用する試み、及びGPS(Global Positioning System)受信機を端末に装着する試みがあった。参考に、ToAに基づく位置推定方法は、周辺に存在する複数の基地局から受信された信号の到達時間に基づいて端末の位置を追跡し、端末にGPS受信機が含まれている場合、端末は自己の位置情報を基地局に報告する。
【0005】
しかし、ToAに基づく位置推定方法を実行するために、端末は受信された信号の到達時間それぞれを順次に測定しなければならないので、端末の消費電力が大きくなる。それだけではなく、ToAに基づく位置推定方法を正確に適用するには、基地局および端末は正確に同期化されたクロックを要求するが、これは現実的に様々な困難を招く。また、端末へのGPS受信機の装着は端末の費用の増加を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、別途のGPS受信機を要しない、サービング基地局で用いられる位置推定方法および装置を提供することにある。

また、本発明の他の目的は、正確に同期化されたクロックを要しない、端末で用いられる位置推定方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るサービング基地局で用いられる位置推定方法は、隣接基地局から固有のシーケンスが送信される場合、端末で受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を受信するステップと、前記端末で受信された固有のシーケンスの混合から前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップと、前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記端末の位置を推定するステップとを含む。
【0008】
前記端末の位置を推定するステップは、前記隣接基地局それぞれに対応する成分および前記隣接基地局の位置を考慮して前記端末の位置を推定するステップであってもよい。
特に、前記端末の位置を推定するステップは、前記固有の各シーケンスに対する前記隣接基地局それぞれの送信パワーをさらに考慮して前記端末の位置を推定するステップであってもよい。
【0009】
前記端末の位置を推定するステップは、前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記隣接基地局と前記端末との間の距離を予測し、前記隣接基地局と前記端末との間の距離に基づいて前記端末の位置を推定するステップであってもよい。
【0010】
前記端末の位置を推定するステップは、前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイを算出するステップと、前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイに基づいて前記端末の位置を推定するステップとを含んでもよい。
【0011】
前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップは、前記隣接基地局の固有のシーケンスまたはセルIDが予め格納されたメモリを用いて前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップであってもよい。
【0012】
前記端末で受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報は、前記端末で受信された固有のシーケンスの混合を量子化することによって生成された情報を含んでもよい。
【0013】
前記固有の各シーケンスは、前記固有のシーケンスの混合から個別的に抽出されるように設計されてもよい。
特に、前記固有の各シーケンスは、前記隣接基地局それぞれから同期チャネルを介して同時に送信され、前記隣接基地局それぞれのセルIDに基づいて生成されてもよい。
【0014】
前記端末の位置を推定するために前記端末に位置推定リクエストを送信するステップをさらに含んでもよい。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係る端末で用いられる位置推定方法は、サービング基地局から位置推定リクエストを受信するステップと、前記位置推定リクエストの受信に応答して隣接基地局から送信された固有のシーケンスを受信するステップと、前記サービング基地局に前記受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を送信するステップとを含む。
【0016】
このとき、端末で用いられる位置推定方法は、前記受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を生成するために前記受信された固有のシーケンスを復号化することなく前記受信された固有のシーケンスの混合を量子化するステップをさらに含んでもよい。
【0017】
前記固有のシーケンスを受信するステップは、前記隣接基地局それぞれから同期チャネルを介して同時に前記固有のシーケンスを受信するステップであってもよい。
【0018】
また、本発明の他の実施形態に係る端末で用いられる位置推定方法は、2以上の基地局から送信された固有のシーケンスを受信するステップと、前記端末で受信された固有のシーケンスの混合から前記2以上の基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップと、前記基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記端末の位置を推定するステップとを含む。
【0019】
このとき、端末で用いられる位置推定方法は、前記推定された端末の位置に関連する情報を出力するステップをさらに含んでもよい。
【0020】
前記端末の位置を推定するステップは、前記2以上の基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記2以上の基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイを算出するステップと、前記2以上の基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイに基づいて前記端末の位置を推定するステップとを含んでもよい。
【0021】
また、本発明の一実施形態に係るサービング基地局で用いられる位置推定装置は、隣接基地局から固有のシーケンスが送信される場合、端末で受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を受信する受信部と、前記端末で受信された固有のシーケンスの混合から前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出する抽出部と、前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記端末の位置を推定する推定部とを備える。
【0022】
このとき、サービング基地局で用いられる位置推定装置は、前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイを算出する算出部をさらに備え、前記推定部は、前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイの少なくとも1つ、前記隣接基地局の位置または前記固有の各シーケンスに対する前記隣接基地局それぞれの送信パワーの少なくとも1つを考慮して前記端末の位置を推定してもよい。
【0023】
このとき、サービング基地局で用いられる位置推定装置は、前記端末の位置を推定するために前記端末に位置推定リクエストを送信するリクエスト部をさらに備えてもよい。
【0024】
また、本発明の一実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置は、サービング基地局から位置推定リクエストを処理するリクエスト処理部と、前記位置推定リクエストの受信に応答して隣接基地局から送信された固有のシーケンスを受信するシーケンス受信部と、前記サービング基地局に前記受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一実施形態に係る位置推定方法および装置は、別途のGPS受信機を要求しないので、端末を製造するための費用を低減できる。
【0026】
また、本発明の一実施形態に係る位置推定方法および装置は、同期化されたクロックを正確に要求しなくても端末の位置を正確に推定することができる。
【0027】
また、本発明の一実施形態に係る位置推定方法および装置は、基地局が同期チャネルを介して同時に送信する固有のシーケンスを用いることによって、より効率的に端末の位置を推定することができる。
【0028】
また、本発明の一実施形態に係る位置推定方法および装置は、端末の位置を推定するために基地局の固有のシーケンスを利用し、固有のシーケンスが互いに混合されても固有の各シーケンスを容易に分離することができる。
【0029】
また、本発明の一実施形態に係る位置推定方法および装置は、複数の基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイに基づいて端末の位置を推定することによって正確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】複数の基地局および端末を示す。
【図2】本発明の一実施形態に係る位置推定方法を行う複数の基地局および端末を示す。
【図3】本発明の一実施形態に係る位置推定方法を示した動作フローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係るサービング基地局で用いられる位置推定装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る端末で用いられる位置推定方法を示した動作フローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、複数の基地局および端末を示す。
【0032】
図1を参照すると、端末110の周辺にはサービング基地局120および隣接基地局130、140が存在する。
【0033】
3GPP_LTE(Third Generation Partnership Project Long Term Evolution)標準などの多様な標準および一般的な移動通信システムは次の特性を定義している。
【0034】
第1に、サービング基地局120および隣接基地局1(130)、2(140)それぞれは、同一の時点に固有のシーケンスを生成および送信する。ここで、サービング基地局120および隣接基地局1(130)、2(140)それぞれは固有のセルIDに基づいて同期化のための固有のシーケンスを生成し、同一の時間間隔ごとに同一の時点で同期チャネルを介して同期化のための固有のシーケンスを送信する。同期チャネルを介して送信される同期化のための固有のシーケンスを「同期チャネルシーケンス」ともいう。
【0035】
第2に、サービング基地局120および隣接基地局1(130)、2(140)から送信される固有のシーケンスは、互いに混合されても結局には個別的に抽出されるように設計されている。例えば、サービング基地局120および隣接基地局1(130)、2(140)それぞれは、CAZAC(Constant Amplitude Zero Auto−Correlation)コード、m−シーケンス、又は、直交(orthogonal)コードを用いて固有のシーケンスを生成する。
【0036】
このような場合、端末110、サービング基地局120、および隣接基地局1(130)、2(140)は、複数の固有のシーケンスの混合からサービング基地局120および隣接基地局1(130)、2(140)それぞれに対応する成分を抽出する。
【0037】
下記で詳細に説明するが、本発明の一実施形態に係る位置推定方法および装置は、そこで記述した特性を用いることによって端末110の製造費用および消費電力を向上させながらも端末110の位置をより正確に推定することができる。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態に係る位置推定方法を行う複数の基地局および端末を示す。
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るサービング基地局230は、端末240の位置を推定するために端末240に位置推定リクエストを送信する。すなわち、サービング基地局230は、端末240の位置に対する外部のリクエストまたは内部的な必要性に応じて位置推定リクエストを端末240に送信する。
【0039】
端末240は、位置推定リクエストに応答して特定(予め定めた)フレーム(例えば、位置推定リクエストを受信した時点のフレームまたは次のフレーム)でサービング基地局230および隣接基地局1(210)、2(220)それぞれから固有のシーケンスを受信する。ここで、サービング基地局230および隣接基地局1(210)、2(220)それぞれは、固有のセルIDに基づいて固有のシーケンスを生成し、同一の時点で同期チャネルを用いて固有のシーケンスを送信してもよい。
【0040】
より具体的に、隣接基地局1(210)は隣接基地局1(210)のセルIDに基づいてシーケンス1を生成し、隣接基地局2(220)は隣接基地局2(220)のセルIDに基づいてシーケンス2を生成し、サービング基地局230はサービング基地局230のセルIDに基づいてシーケンス3を生成する。また、隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230それぞれはシーケンス1、シーケンス2、およびシーケンス3それぞれを、同期チャネルを介して同一の時点で送信する。
【0041】
同一の時点で送信されるシーケンス1、シーケンス2、およびシーケンス3は端末240で互いに混合される。また、端末240は、受信されたシーケンス1、2、3の混合を復号化することなくそのまま量子化し、量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合に関連する情報をサービング基地局230にフォワーディング(転送)する。このとき、端末240は、量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合をそのままサービング基地局230にフォワーディングしてもよく、量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合を予め定められたチャネルコードに応じてエンコーディングして量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合に関連する情報を生成してもよい。
【0042】
サービング基地局230は、量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合に関連する情報を受信し、量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合からシーケンス1、2、3それぞれに対応する成分を抽出する。すなわち、上記で説明したように、シーケンス1、2、3は、互いに混合されても個別的に抽出できるように設計されているので、サービング基地局230は量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合からシーケンス1、2、3それぞれに対応する成分を抽出できる。
【0043】
シーケンス1、2、3それぞれが隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230それぞれのセルIDに基づいて生成されている場合、サービング基地局230は、隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230それぞれのセルIDを予めメモリに格納しておく。それだけではなく、サービング基地局230は、隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230それぞれのセルIDに加えて、シーケンス1、2、3全てをメモリに予め格納してもよい。このような場合、サービング基地局230は、メモリから隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230それぞれのセルIDまたはシーケンス1、2、3を把握できるので、量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合からシーケンス1、2、3それぞれに対応する成分を抽出できる。
【0044】
サービング基地局230が量子化された受信されたシーケンス1、2、3の混合からシーケンス1、2、3それぞれに対応する成分を抽出した場合、サービング基地局230は、シーケンス1、2、3それぞれに対応する成分に基づいて端末240の位置を推定する。すなわち、サービング基地局230は、シーケンス1、2、3それぞれに対応する成分に基づいて隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230それぞれから端末240への距離を把握し、その距離に基づいて端末240の位置を推定できる。上記においてサービング基地局230は、基地局210、220、230の位置を予め把握していると仮定する。
【0045】
より具体的に、サービング基地局230は、シーケンス1、2、3それぞれに対応する成分に基づいて隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230から端末240に受信されたシーケンス1、2、3それぞれに対する受信強度またはディレイを算出する。このような受信強度またはディレイは、隣接基地局1(210)、隣接基地局2(220)、およびサービング基地局230から端末240までの距離を表示する。
【0046】
例えば、受信されたシーケンス1のパワー損失が相対的に大きい場合、隣接基地局1(210)から端末240までの距離は相対的に遠いものと予測され、受信されたシーケンス2のパワー損失が相対的に小さい場合、隣接基地局2(220)から端末240までの距離は相対的に近いものと予測される。同じように、受信されたシーケンス3のディレイが相対的に大きい場合、サービング基地局230から端末までの距離は相対的に遠いものと予測される。
【0047】
結局、サービング基地局230は、端末240で受信されたシーケンス1、2、3それぞれに対する受信強度またはディレイに基づいて端末240の位置を推定できる。特に、サービング基地局230は、シーケンス1、2、3の送信パワーを予め把握することができ、シーケンス1、2、3の送信パワーを考慮して端末240の位置を推定することができる。
【0048】
例えば、シーケンス1の送信パワーが相対的に大きい場合、サービング基地局230は、端末240で受信されたシーケンス1の受信強度に相対的に低い加重値を付与し、シーケンス2の送信パワーが相対的に小さい場合、端末240で受信されたシーケンス2の受信強度に相対的に高い加重値を付与する。
このとき、端末240は自ら自己の位置を推定してもよく、これについては図6および図7を参照して詳細に説明する。
【0049】
図3は、本発明の一実施形態に係る位置推定方法を示した動作フローチャートである。
図3を参照すると、サービング基地局は隣接基地局それぞれの固有のシーケンス、位置、または送信パワーを予めメモリに格納する(S310)。また、サービング基地局は端末の位置を推定するために位置推定リクエストを端末に送信する(S320)。
【0050】
また、サービング基地局および隣接基地局は、同一の時間間隔ごとに同一の時点で固有のシーケンスを送信する(S330)。このとき、端末は位置推定リクエストの受信に応答して同一の時点に送信される固有のシーケンスを受信する。
【0051】
また、端末は受信された固有のシーケンスの混合を復号化することなく量子化する(S340)。また、端末は量子化された受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報をサービング基地局に送信する。
【0052】
また、サービング基地局は端末で受信された固有のシーケンスの混合から基地局それぞれに対応する成分を抽出する(S360)。また、サービング基地局は、基地局それぞれに対応する成分に基づいて端末で受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイを算出する(S370)。
【0053】
また、サービング基地局は端末で受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイに基づいて隣接基地局それぞれの固有のシーケンス、位置、または送信パワーを格納するメモリを用いて端末の位置を推定する(S380)。
【0054】
図3に示していないが、推定された端末の位置は外部に提供され、または、サービング基地局によって多様な用途に用いられる。
【0055】
図4は、本発明の一実施形態に係るサービング基地局で用いられる位置推定装置を示すブロック図である。
図4を参照すると、本発明の一実施形態に係るサービング基地局で用いられる位置推定装置400は、メモリ410、受信部420、算出部430、推定部440、およびリクエスト部450を備える。
【0056】
メモリ410にはサービング基地局および隣接基地局のセルID、固有のシーケンス、送信パワーが格納される。
【0057】
また、受信部420は、端末から量子化された固有のシーケンスの混合に関連する情報を受信し、その情報をメモリ410に格納する。
【0058】
また、算出部430は、メモリ410から量子化された固有のシーケンスの混合に関連する情報を読み込んだ後、量子化された固有のシーケンスの混合に基づいて端末で受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイを算出する。
【0059】
図7に示すように(後述)、算出部430は、量子化された固有のシーケンスの混合から基地局それぞれに対応する成分を抽出する抽出部を備えてもよい。すなわち、算出部430は、抽出部から抽出された基地局それぞれに対応する成分に基づいて端末で受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイを算出する。
【0060】
また、推定部440は、端末で受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイに基づいてメモリ410に格納されたサービング基地局および隣接基地局のセルID、固有のシーケンス、送信パワーを参照して端末の位置を推定する。
【0061】
また、リクエスト部450は、端末の位置推定が必要な場合、位置推定リクエストを端末に送信する。
【0062】
図5は、本発明の一実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置を示すブロック図である。
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置500は、ADC(Analogue to Digital Converter)510、受信モジュール520、リクエスト処理部/メッセージ処理部530、スイッチ540、560、シーケンス受信部550、DAC(Digital to Analogue Converter)570、および送信モジュール580を含む。
【0063】
サービング基地局から位置推定リクエストが受信された場合、リクエスト処理部/メッセージ処理部530によって、スイッチ540はシーケンス受信部550と接続される。また、ADC510は、様々な基地局から受信されるシーケンスをデジタル信号に量子化する。このとき、量子化されたシーケンスはシーケンス受信部550に提供される。
【0064】
シーケンス受信部550はメモリ551を含み、メモリ551は量子化されたシーケンスを格納する。
【0065】
また、量子化されたシーケンスがメモリ551に格納された後、リクエスト処理部/メッセージ処理部530によって、スイッチ560はシーケンス受信部550と接続され、量子化されたシーケンスはDAC570によって再びアナログ信号に変換され、送信部(図示せず)によってサービング基地局に送信される。このとき、チャネルコーディングは選択的に適用されてもよい。
【0066】
ただし、図5に示すものとは異なって、送信部は量子化されたシーケンスをそのままサービング基地局に送信してもよい。
【0067】
受信モジュール520は、多様なリクエスト、データなどを受信する。特に、受信モジュール520は位置推定リクエストを受信し、位置推定リクエストをリクエスト処理部/メッセージ処理部530に提供する。また、送信モジュール580は多様なリクエスト、データなどを送信する。このとき、送信モジュール530によって提供されるリクエスト、データなどはリクエスト処理部/メッセージ処理部530によって提供される。
【0068】
図6は、本発明の他の実施形態に係る端末で用いられる位置推定方法を示した動作フローチャートである。
図6を参照すると、本発明の他の実施形態に係る端末は基地局それぞれの固有のシーケンス、位置、送信パワーをメモリに格納する(S610)。
また、端末は基地局から固有のシーケンスを受信する(S620)。
【0069】
また、端末はメモリに予め格納された基地局それぞれの固有のシーケンスに基づいて受信された固有のシーケンスを基地局それぞれに対して分離し、基地局それぞれに対応する成分を抽出する(S630)。
【0070】
また、端末は基地局それぞれに対応する成分に基づいて受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイを算出する(S640)。
【0071】
また、端末は受信された固有の各シーケンスの受信強度またはディレイに基づいてメモリに予め格納された基地局それぞれの位置、送信パワーを参照して自ら端末の位置を推定する(S650)。
【0072】
また、端末は推定された位置に関連する情報を表示するか、または、基地局または他の外部の装置に送信する(S660)。
【0073】
図7は、本発明の他の実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置を示すブロック図である。
図7を参照すると、本発明の他の実施形態に係る端末で用いられる位置推定装置は、メモリ710、受信部720、抽出部730、推定部740および出力部750を備える。
【0074】
メモリ710は基地局それぞれの固有のシーケンス、位置、送信パワーを格納する。
また、受信部720は基地局から送信される固有のシーケンスを受信し、受信された固有のシーケンスの混合を抽出部730に提供する。このとき、抽出部730は、受信された固有のシーケンスの混合から基地局それぞれに対応する成分を抽出する。
【0075】
また、推定部740は基地局それぞれに対応する成分、基地局それぞれの位置、送信パワーに基づいて端末の位置を推定し、推定された端末の位置に関連する情報を出力部750に提供する。このとき、出力部750は推定された位置に関連する情報を表示したり、基地局または他の外部の装置に送信する。
【0076】
図7に示す端末または端末の構成要素は図1〜図6を参照して説明した内容がそのまま適用できるので、それに対する詳細な説明は省略する。
【0077】
本発明に係る方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行するプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読取可能な一又は複数の記録媒体に記録される。
コンピュータ読取可能な媒体は単独で、またはプログラム命令と組み合わせて、データファイル、データ構造などを記録する。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものであるか、またはコンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知かつ使用可能なものである。
コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、光ディスクのような光磁気媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置がある。
プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コード(machine code)だけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コード(higher level code)を含む。
上述したハードウェア装置は、本発明の動作を行うために1つ以上のソフトウェアのレイヤで動作するように構成されてもよい。
これらに加えて、コンピュータ読取可能な記録媒体はネットワークを介して結合されたコンピュータシステム中に分散されていてもよく、また、コンピュータ読取可能なコード若しくはプログラム命令は、非集中方式で保存、実行されてもよい。
【0078】
上述したように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
【符号の説明】
【0079】
110、240 端末
120、230 サービング基地局
130、210 隣接基地局1
140、220 隣接基地局2
400 サービング基地局で用いられる位置推定装置
410 メモリ
420 受信部
430 算出部
440 推定部
450 リクエスト部
500 端末で用いられる位置推定装置
510 ADC
520 受信モジュール
530 リクエスト処理部/メッセージ処理部
540、560 スイッチ
550 シーケンス受信部
551 メモリ
570 DAC
580 送信モジュール
700 端末で用いられる位置推定装置
710 メモリ
720 受信部
730 抽出部
740 推定部
750 出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービング基地局で用いられる位置推定方法において、
隣接基地局から固有のシーケンスが送信される場合、端末で受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を受信するステップと、
前記端末で受信された固有のシーケンスの混合から前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップと、
前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記端末の位置を推定するステップと、
を含むことを特徴とするサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項2】
前記端末の位置を推定するステップは、前記隣接基地局それぞれに対応する成分および前記隣接基地局の位置を考慮して前記端末の位置を推定するステップであることを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項3】
前記端末の位置を推定するステップは、前記固有の各シーケンスに対する前記隣接基地局それぞれの送信パワーをさらに考慮して前記端末の位置を推定するステップであることを特徴とする請求項2に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項4】
前記端末の位置を推定するステップは、前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記隣接基地局と前記端末との間の距離を予測し、前記隣接基地局と前記端末との間の距離に基づいて前記端末の位置を推定するステップであることを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項5】
前記端末の位置を推定するステップは、
前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイを算出するステップと、
前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイに基づいて前記端末の位置を推定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項6】
前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップは、前記隣接基地局の固有のシーケンスまたはセルIDが予め格納されたメモリを用いて前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップであることを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項7】
前記端末で受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報は、前記端末で受信された固有のシーケンスの混合を量子化することによって生成された情報を含むことを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項8】
前記固有の各シーケンスは、前記固有のシーケンスの混合から個別的に抽出されるように設計されることを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項9】
前記固有の各シーケンスは、前記隣接基地局それぞれから同期チャネルを介して同時に送信され、前記隣接基地局それぞれのセルIDに基づいて生成されることを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項10】
前記端末の位置を推定するために前記端末に位置推定リクエストを送信するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のサービング基地局で用いられる位置推定方法。
【請求項11】
端末で用いられる位置推定方法において、
サービング基地局から位置推定リクエストを受信するステップと、
前記位置推定リクエストの受信に応答して隣接基地局から送信された固有のシーケンスを受信するステップと、
前記サービング基地局に前記受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を送信するステップと、
を含むことを特徴とする端末で用いられる位置推定方法。
【請求項12】
前記受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を生成するために前記受信された固有のシーケンスを復号化することなく前記受信された固有のシーケンスの混合を量子化するステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の端末で用いられる位置推定方法。
【請求項13】
前記固有のシーケンスを受信するステップは、前記隣接基地局それぞれから同期チャネルを介して同時に前記固有のシーケンスを受信するステップであることを特徴とする請求項11に記載の端末で用いられる位置推定方法。
【請求項14】
端末で用いられる位置推定方法において、
2以上の基地局から送信された固有のシーケンスを受信するステップと、
前記端末で受信された固有のシーケンスの混合から前記2以上の基地局それぞれに対応する成分を抽出するステップと、
前記基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記端末の位置を推定するステップと、
を含むことを特徴とする端末で用いられる位置推定方法。
【請求項15】
前記推定された端末の位置に関連する情報を出力するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の端末で用いられる位置推定方法。
【請求項16】
前記端末の位置を推定するステップは、
前記2以上の基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記2以上の基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイを算出するステップと、
前記2以上の基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイに基づいて前記端末の位置を推定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項14に記載の端末で用いられる位置推定方法。
【請求項17】
請求項1〜請求項16いずれか1項の方法を行うためのプログラムが記録されたコンピュータで読み出し可能な記録媒体。
【請求項18】
サービング基地局で用いられる位置推定装置において、
隣接基地局から固有のシーケンスが送信される場合、端末で受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を受信する受信部と、
前記端末で受信された固有のシーケンスの混合から前記隣接基地局それぞれに対応する成分を抽出する抽出部と、
前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記端末の位置を推定する推定部と、
を備えることを特徴とするサービング基地局で用いられる位置推定装置。
【請求項19】
前記隣接基地局それぞれに対応する成分に基づいて前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイを算出する算出部をさらに備え、
前記推定部は、前記隣接基地局から受信された固有のシーケンスに対する受信強度またはディレイの少なくとも1つ、前記隣接基地局の位置または前記固有の各シーケンスに対する前記隣接基地局それぞれの送信パワーの少なくとも1つを考慮して前記端末の位置を推定することを特徴とする請求項18に記載のサービング基地局で用いられる位置推定装置。
【請求項20】
前記端末の位置を推定するために前記端末に位置推定リクエストを送信するリクエスト部をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載のサービング基地局で用いられる位置推定装置。
【請求項21】
端末で用いられる位置推定装置において、
サービング基地局から位置推定リクエストを処理するリクエスト処理部と、
前記位置推定リクエストの受信に応答して隣接基地局から送信された固有のシーケンスを受信するシーケンス受信部と、
前記サービング基地局に前記受信された固有のシーケンスの混合に関連する情報を送信する送信部と、
を備えることを特徴とする端末で用いられる位置推定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−533258(P2012−533258A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520532(P2012−520532)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/KR2010/004470
【国際公開番号】WO2011/007982
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】