説明

サーボバルブ

【課題】定期的にフィルタを交換したり、あるいは、フィルタやノズルを定期的に清掃する必要のない、メンテナンスフリーのサーボバルブを提供する。
【解決手段】ノズルフラッパ2の一方側の面に対して対向配置される第1ノズル3a,4aを有すると共にスプール12の一方の端部に接続される第1流路の流れ、及び、ノズルフラッパ2の他方側の面に対して対向配置される第2ノズル3b,4bを有すると共にスプール12の他方の端部に接続される第2流路の流れを切替機構20で定期的に切り替えて、流路中に設けられているフィルタF1,F2を自動的に逆洗洗浄できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルフラッパ型のサーボバルブは、制御目標の電流が入力されるトルクモータと、そのトルクモータによって回転駆動されるフラッパと、そのフラッパを中間にして対向して配設される一対のノズルと、これらノズルと圧力通路を介して連結されている弁開度を調節するスプールと、そのスプール及び上記フラッパを連結するフィードバックスプリング(フィードバックワイヤ)を含んでいる(特許文献1参照)。
【0003】
上記構成からなるノズルフラッパ型のサーボバルブでは、トルクモータのコイルに制御目標に対応した電流が入力されるとその電流に応じた磁力が発生し、その発生した磁力によりトルクモータのアーマチュア(電気子)に回転トルクが発生させられる。そして、アーマチュアで発生した回転トルクは、アーマチュアに連結されているフラッパを傾動させる。この結果、フラッパが接近して来た方のノズルの背圧が高められ、フラッパが離れて行った方のノズルの背圧が低められる。
【0004】
フラッパが接近して高くなった背圧はスプールの軸心方向の一端側に伝達され、フラッパが離れて低くなった背圧はそのスプールの軸心方向の他端側に伝達されているので、スプールは、背圧差に応じて変位される。この変位は、フィードバックスプリングにアーマチュアの回転トルクと反対向きのトルクを発生させる。フラッパに引き戻し力を作用させて両ノズルの背圧が等しくなり、その背圧が等しくなった位置でスプールは停止される。これにより、スプールの停止位置は、制御目標の入力電流に対応した弁開度に保たれる。
【0005】
また、上記ノズルフラッパ型のサーボバルブには、フィルタ処理された流体が供給されるように構成されている。これは、ノズルフラッパ型のサーボバルブに供給される液体中に不純物が含まれていると、液体の流れる流路やノズルの開口部が不純物で目詰まりを起こしてサーボバルブの機能が損なわれるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−12409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のサーボバルブは、ノズルに供給される液体はフィルタ処理してノズルに供給されるように構成されているが、フィルタが目詰まりを起こしたり、あるいは、不純物でノズルが目詰まりを起こすと、制御目標に応じた背圧が得られなくなり、サーボバルブの性能が低下するおそれがある。従来は、フィルタやノズルの詰まりを解消あるいは抑止する対策がなく、定期的にフィルタを交換したり、あるいは、フィルタやノズルを定期的に清掃する必要があった。
【0008】
例えば、サーボバルブがジェットエンジンの燃料システムの燃料制御部で使用される場合、すなわち、サーボバルブが燃料ポンプから供給された燃料を全自動デジタルエンジン制御装置(Full Authority Digital Electronics Control(FADEC))の指令に基いてジェットエンジンに供給する場合、ノズルに供給される液体は、燃料ポンプから供給された燃料が使用されるが、その燃料中の不純物によりフィルタやノズルが目詰まりを起こすと、サーボバルブの性能が低下してジェットエンジンに供給する燃料に支障を来たすので、定期的にフィルタを交換したり、あるいは、フィルタやノズルを定期的に清掃する必要があった。
【0009】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、サーボバルブにおいて、フィルタやノズルの詰まりを解消あるいは抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0011】
第1の発明は、スプールの両端に作用する背圧を調節して上記スプールを移動させることにより液体の流量を調節するサーボバルブであって、トルクモータにより傾斜角度が調節されるノズルフラッパと、上記ノズルフラッパの一方側の面に対して対向配置される第1ノズルを有すると共に上記スプールのいずれか一方の端部に接続される第1流路と、上記ノズルフラッパの他方側の面に対して対向配置される第2ノズルを有すると共に上記第1流路と異なる上記スプールの端部に接続される第2流路と、上記第1流路及び上記第2流路における上記液体の流れを逆流させる逆流手段と、を備えるという構成を採用する。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記ノズルフラッパを挟んで対向配置される一対の上記第1ノズル及び上記第2ノズルを二対備え、上記逆流手段は、一方対の第1ノズル及び第2ノズルが臨む第1領域の圧力と他方対の第1ノズル及び第2ノズルが臨む第2領域の圧力との高低関係を切り替える圧力切替機構という構成を採用する。
【0013】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記第1領域の圧力と上記第2領域の圧力との高低関係に倣って、上記第1流路が接続される上記スプールの端部と上記第2流路が接続する上記スプールの端部とを切り替える流路切替機構を備えるという構成を採用する。
【0014】
第4の発明は、上記第3の発明において、上記圧力切替機構及び上記流路切替機構は、単一のソレノイドで駆動されるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ノズルフラッパの一方側の面に対して対向配置される第1ノズルを有すると共にスプールのいずれか一方の端部に接続される第1流路の流れと、上記ノズルフラッパの他方側の面に対して対向配置される第2ノズルを有すると共に上記第1流路と異なるスプールの端部に接続される第2流路の流れとが、逆流手段で逆流させられるようにしているので、流路中に設けられているフィルタを自動的に洗浄することができ、フィルタやノズルの詰まりを解消あるいは抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態におけるサーボバルブの概略構成図である。
【図2】駆動液体の流路が切り替えられたときの本発明の一実施形態におけるサーボバルブの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るサーボバルブについて説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るサーボバルブSVの概略構成図である。
このサーボバルブSVは、ノズルフラッパ機構1と、スプール弁機構10と、切替機構20と、フィルタF1,F2とを備えている。これらのフィルタF1,F2としては20〜40μm程度の目を有し、ろう付けもしくは焼結された金属の網が用いられる。
【0019】
ノズルフラッパ機構1は、ノズルフラッパ2と、上側ノズル3a,3bと、下側ノズル4a,4bと、フィードバックスプリング5を備えている。
ノズルフラッパ2は、扁平な板材からなり、その中心位置に設けられている回転軸2aを中心にして回動(傾動)できるように構成されている。この回転軸2aは、図示しないトルクモータのアーマチュア(電気子)に一体的に連結されている。したがって、トルクモータのコイルに制御目標に対応した電流が入力されると、その入力電流に応じた磁力が発生してトルクモータのアーマチュアに回転トルクが発生し、ノズルフラッパ2を所定の傾斜角度に傾動させることができる。
【0020】
上側ノズル3a,3bは、回転軸2aを中心にしたノズルフラッパ2の上部側に配置されている。これらの上側ノズル3a,3bは、ノズルフラッパ2を挟んで対向配置される一対のノズルであり、第1チャンバ6a内の第1領域αに臨んで配置されている。
下側ノズル4a,4bは、回転軸2aを中心にしたノズルフラッパ2の下部側に配置されている。これらの下側ノズル4a,4bは、ノズルフラッパ2を挟んで対向配置される一対のノズルであり、第2チャンバ6b内の第2領域βに臨んで配置されている。
【0021】
なお、図1に示すように、上側ノズル3aと下側ノズル4aとは、ノズルフラッパ2の一方側の面に対向して配置されており、本発明の第1ノズルとして機能する。つまり、本実施形態のサーボバルブSVは、本発明における第1ノズルを2つ備えている。
また、上側ノズル3bと下側ノズル4bとは、ノズルフラッパ2の他方側の面に対向して配置されており、本発明の第2ノズルとして機能する。つまり、本実施形態のサーボバルブSVは、本発明における第2ノズルを2つ備えている。
そして、上述のように上側ノズル3a,3bが一対とされ、下側ノズル4a,4bとが一対とされている。つまり、本実施形態のサーボバルブSVは、一対の第1ノズル及び第2ノズルを2つ、すなわち二対の第1ノズル及び第2ノズルを備えている。
【0022】
また、本実施形態のサーボバルブSVは、ノズルフラッパ2の一方側の面に対向する上側ノズル3aと下側ノズル4bとを接続するコの字状の第1接続流路A(第1流路)を備えている。つまり、本実施形態のサーボバルブSVは、上側ノズル3a(第1ノズル)及び下側ノズル4a(第1ノズル)を有する第1接続流路Aを備えている。
さらに、本実施形態のサーボバルブSVは、ノズルフラッパ2の他方側の面に対向する上側ノズル3bと下側ノズル4bとを接続するコの字状の第2接続流路B(第2流路)を備えている。つまり、本実施形態のサーボバルブSVは、上側ノズル3b(第2ノズル)と下側ノズル4b(第2ノズル)を有する第2接続流路Bを備えている。
【0023】
上側ノズル3a,3bが臨む第1チャンバ6aには、フィルタF1を介在している流路L3が接続されている。また、下側ノズル4a,4bが臨む第2チャンバ6bには、フィルタF2を介在している流路L6が接続されている。また、上記第1接続流路Aには、後述する流路L23が接続されると共に、第2接続流路Bには、流路L20が接続されている。
【0024】
フィードバックスプリング5は、フィードバックワイヤと称されることもある長尺状のバネ部材から構成されている。そして、このフィードバックスプリング5の上端側は、ノズルフラッパ2の下端側に固定されている。また、フィードバックスプリング5の下端側側は、ノズルフラッパ2の長手方向と同方向に伸び、先端部がスプール弁機構10の後述するスプール12と接続されている。そして、フィードバックスプリング5がノズルフラッパ2の傾動により移動したときには、スプール弁機構10のスプール12をその軸心方向に移動(変位)させることができるように構成されている。
【0025】
スプール弁機構10は、周知のスプール弁機構と同様に、ケーシング11内にスプール12を移動自在に配設して構成されている。このスプール弁機構10は、ケーシング11内においてスプール12が軸心方向に移動自在に配設して構成されている。スプール12には軸心方向に沿って間隔を保って4個のランド13a〜13dが設けられている。これらランド13a〜13dのうち、ランド13a,13bは軸心方向の両端側にそれぞれ設けられ、ランド13c,13dは軸心方向の中心部にそれぞれ設けられている。そして、ランド13c,13d間には、フィードバックスプリング5の先端部が接続されている。
なお、図面を簡略化するために省略されているが、中心部に設けられるランド13c,13dに対応するケーシング11には、液体の入出用ポートが設けられていて、ランド13c,13dが移動(変位)することによりポート開度、すなわち弁開度を調節できるように構成されている。
【0026】
切替機構20は本発明の逆流手段、圧力切替機構及び流路切替機構として機能するものである。
この切替機構20は、第1接続流路A及び第2接続流路Bにおける液体の流れを逆流させる。より詳細には、切替機構20は、上側ノズル3a,3bが臨む第1領域αの圧力の下側ノズル4a,4bが臨む第2領域βの圧力との高低関係を切り替えることにより、第1接続流路A及び第2接続流路Bにおける液体の流れを逆流させる。
また、切替機構20は、第1領域αの圧力と第2領域βの圧力との高低関係に倣って、第1接続流路Aが接続されるスプール12の端部と第2接続流路Bが接続するスプール12の端部とを切り替える。
【0027】
この切替機構20は、ケーシング21と、弁体22と、単一のソレノイドSOとを備えている。
ケーシング21は、内部に弁体22が移動できる空間を有して構成されている。なお、図1及び図2において、太線及び細線で示される後述する流路と接続する部位に液体の入出用ポートが設けられている。
弁体22は、シャフト23と、当該シャフト23に一体的に設けられると共に間隔を保って複数個(図示の例では6個)配列されるランド24a〜24fとを備えている。そして、この弁体22は、ケーシング21の内部をその軸心方向に移動自在に設けられていると共に、弁体22の軸心方向の一端側(図示の例では左端側)に設けられているコイルバネ25により、常時、ソレノイドSO側へ押圧されるように構成されている。
弁体22のシャフト23に設けられているランド24a〜24fの配置及びケーシング21に設けられている液体の入出用ポートの配置関係は、後述の制御動作の説明における液体の流れを実現できるように決められている。
ソレノイドSOは、弁体22の軸心方向の他端側に設けられていて、そのソレノイドSOがONされたときには、ソレノイドロッドSOlが伸張して弁体22をコイルバネ25に抗して移動させることができるように構成されている(図1参照)。なお、ソレノイドSOがOFFされたときには、弁体22がコイルバネ25により押圧されて、弁体22をソレノイドSO側に移動させることができるように構成されている(図2参照)。
【0028】
流路L1〜L9,L20〜L27は液体の通路であって、流路L1〜L9は、ノズルフラッパ機構1及び切替機構20間に配設され、流路L20〜L27は、ノズルフラッパ機構1、スプール弁機構10及び切替機構20間に配設されている。
【0029】
ここで、本実施形態のサーボバルブSVにおいては、流路L23が第1接続流路Aと接続され、さらに流路L23の接続先が、切替機構20によって、スプール12の一端側と接続する流路L24とスプール12の他端側と接続する流路L27とで切替可能に構成されている。また、流路L20が第2接続流路Bと接続され、さらに流路L20の接続先が、切替機構20によって、スプール12の一端側と接続する流路L26とスプール12の他端側と接続する流路L21とで切替可能に構成されている。そして、第1接続流路Aと第2接続流路Bとは、切替機構20によって、必ずスプール12の異なる端部と接続される。
【0030】
また、本実施形態のサーボバルブSVにおいては、流路L1の接続先が、切替機構20によって、第1領域αと接続する流路L2と第2領域βと接続する流路L5とで切替可能に構成されている。
さらに、流路L9の接続先が、切替機構20によって、第1領域αと接続する流路L7と第2領域βと接続する流路L8との間で切替可能に構成されている。
【0031】
フィルタF1は、流路L3中に設けられていて、その流路L3中を流れる液体に含まれている不純物を捕捉できるように構成されている。また、フィルタF2は、流路L6中に設けられていて、その流路L6中を流れる液体に含まれている不純物を捕捉できるように構成されている。
【0032】
以下、上記構成からなるサーボバルブSVの動作について説明する。
先ず、当該サーボバルブSVに対して駆動液体となる航空機の燃料が供給される。ここで、流路L1に対して高圧の燃料(以下、高圧液体と称する)が供給され、流路L9に対しては低圧の燃料(以下、低圧液体と称する)が供給される。なお、例えば、高圧の燃料は航空機に搭載される燃料ポンプの下流側から供給され、低圧の燃料の燃料ポンプの上流側から供給される。
【0033】
今、ソレノイドSOがONされ、図1に示されるように、ソレノイドロッドSOlが伸張して弁体22をコイルバネ25に抗して左側に移動させているものとする。なお、図中、太線は液体が流れようとする方向を示している。
この場合、高圧液体は、流路L1、L2及びフィルタF1を介在しているL3を介して第1チャンバ6a内の第1領域αに導かれる。フィルタF1では、駆動液体中に含まれている不純物が捕捉され、不純物の第1チャンバ6aへの流入が阻止される。なお、この際、流路L5がランド24bで閉止されることによって高圧液体は、流路L5に流れ込まないようにされている。
また、低圧液体は、流路L9、L8及びL6を介して第2チャンバ6b内の第2領域βに導かれる。この際、流路L7がランド24cで閉止されることによって低圧液体は、流路L7に流れ込まないようにされている。
【0034】
そして、ノズルフラッパ2は、上側ノズル3a及び下側ノズル4b側に接近し、上側ノズル3b及び下側ノズル4aから離れるように傾動されているものとする。すると、高圧流体が第2接続流路Bに流れ込み、結果として第2接続流路Bが高圧となり、第1接続流路Aが低圧となる。
なお、このノズルフラッパ2は、図示しないトルクモータのアーマチュア(電気子)に発生した回転トルクにより上述のように傾動しているものとする。なお、この傾動状態は、フィードバックスプリング5及びスプール弁機構10により一定状態に保たれる。
そして、上述のように第2接続流路Bが高圧となり、第1接続流路Aが低圧となると、燃料は、図1の太線の矢印で示すように、高圧側から低圧側に流れる。具体的には、燃料は、流路L1、流路L2、流路L3、流路L6、流路L8、流路L9の順に流れる。このとき、燃料中の不純物はF1,F2で処理されるか、流路L9から排出される。
【0035】
なお、第2接続流路Bが高圧となり、第1接続流路Aが低圧となると、高圧流体が流路L20、流路L21、流路L22を介してランド13b側に流れ込み、ランド13bの端面側の背圧はランド13aの端面側よりも高くなり、スプール12に対してランド13b側からランド13a側方向に移動させる変位力が作用する(図1の矢印a参照)。
この変位力は、フィードバックスプリング5にアーマチュアの回転トルクと反対向きのトルクを発生させ、ノズルフラッパ2に引き戻し力を作用させて両ノズル3a,4bの背圧が等しくなり、その背圧が等しくなった位置でスプール12は停止される。この結果、トルクモータに入力された制御目標の入力電流に対応した弁開度を実現している。
【0036】
次に、図2に示されるように、ソレノイドSOがOFFされ、弁体22がコイルバネ25により押圧されて、弁体22をソレノイドSO側に移動したとする。
このソレノイドSOのON・OFFは、定期的に行なわれる。例えば、このサーボバルブSVが燃料ポンプから供給された燃料を多重系のFADECの指令に基づいてジェットエンジンに供給する場合には、その系の切換時に、すなわちCPUの切替時に行なうことができる。なお、ソレノイドSOのON・OFFは、フィルタF1又はフィルタF2に目詰まりが生じたことをフィルタ前後の液圧を計測して行なうようにしてもよい。
【0037】
このソレノイドSOがOFFされた場合、高圧液体は、流路L1、L5及びフィルタF2を介在しているL6を介して第2チャンバ6b内の第2領域βに導かれる。フィルタF2では、駆動液体中に含まれている不純物が捕捉され、不純物の第2チャンバ6bへの流入が阻止される。なお、この際、流路L1がランド24aで閉止されることによって高圧液体は、流路L1に流れ込まないようにされている。
また、低圧液体は、流路L9、L7及びL1を介して第1チャンバ6a内の第1領域αに導かれる。この際、流路L8がランド24bによって閉止されることによって低圧液体は、流路L8に流れ込まないようにされている。
【0038】
ここで、図1と同様に、ノズルフラッパ2は、上側ノズル3a及び下側ノズル4b側に接近し、上側ノズル3b及び下側ノズル4aから離れるように傾動されているものとする。すると、高圧流体が第1接続流路Aに流れ込み、結果として第1接続流路Aが高圧となり、第2接続流路Bが低圧となる。
そして、上述のように第1接続流路Aが高圧となり、第2接続流路Bが低圧となると、燃料は、図2の太線の矢印で示すように、高圧側から低圧側に流れる。具体的には、燃料は、流路L1、流路L5、流路L6、流路L3、流路L7、流路L9の順に流れる。
【0039】
ただし、切替機構20によって、流路L24と流路27とが切り替えられ、流路L26と流路L21とが切り替えられることによって、高圧流体が流路L23、流路L27、流路L22を介してランド13b側に流れ込み、図1に示す状態と同様に、ランド13bの端面側の背圧はランド13aの端面側よりも高くなり、スプール12に対してランド13b側からランド13a側方向に移動させる変位力が作用する(図2の矢印a参照)。この結果、トルクモータに入力された制御目標の入力電流に対応した弁開度が実現される。
【0040】
本実施形態のサーボバルブSVによれば、切替機構20によって、上側ノズル3a,3bが臨む第1領域αの圧力の下側ノズル4a,4bが臨む第2領域βの圧力との高低関係を切り替えることにより、第1接続流路A及び第2接続流路Bにおける液体の流れを逆流させる。
このため、フィルタF1,F2やノズル3a,3b,4a,4bを自動的に洗浄することができ、フィルタやノズルの詰まりを解消あるいは抑止することができる。
【0041】
また、本実施形態のサーボバルブSVでは、切替機構20によって、切替機構20は、第1領域αの圧力と第2領域βの圧力との高低関係に倣って、第1接続流路Aが接続されるスプール12の端部と第2接続流路Bが接続するスプール12の端部とを切り替えている。
このため、第1接続流路Aの圧力と第2接続流路Bの圧力との高低関係に関わらず、ノズルフラッパ2の傾動方向とスプール12の移動方向とを常に同一に合わせることができる。
したがって、流量調節の際の制御を変更することなく、フィルタやノズルの詰まりを解消あるいは抑止することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、切替機構20はスプール弁で構成したが、スプール弁の代わりに複数の電磁弁の組み合わせでも実施することができる。しかし、上述の例のように、スプール弁にすると、本発明の圧力切替機構と流路切替機構との機能を合わせもたせることができ低コストに実施することができる。
また、例えば、ポンプ等を用いて、第1接続流路Aと第2接続流路Bとにおける液体の流れを逆流させても良い。
また、流路L3,L6以外の流路にフィルタを追加しても良い。
【符号の説明】
【0044】
SV……サーボバルブ、A……第1領域、B……第2領域、1……ノズルフラッパ機構、2……ノズルフラッパ、2a……回転軸、3a,3b……上側ノズル、4a,4b……下側ノズル、5……フィードバックスプリング、6a……第1チャンバ、6b……第2チャンバ、10……スプール弁機構、11……ケーシング、12……スプール、13a〜13d……ランド、20……切替機構(逆流手段,圧力切替機構,流路切替機構)、21……ケーシング、22……弁体、23……シャフト、24a〜24f……ランド、SO……ソレノイド、F1,F2……フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプールの両端に作用する背圧を調節して前記スプールを移動させることにより液体の流量を調節するサーボバルブであって、
トルクモータにより傾斜角度が調節されるノズルフラッパと、
前記ノズルフラッパの一方側の面に対して対向配置される第1ノズルを有すると共に前記スプールのいずれか一方の端部に接続される第1流路と、
前記ノズルフラッパの他方側の面に対して対向配置される第2ノズルを有すると共に前記第1流路と異なる前記スプールの端部に接続される第2流路と、
前記第1流路及び前記第2流路における前記液体の流れを逆流させる逆流手段と、
を備えることを特徴とするサーボバルブ。
【請求項2】
前記ノズルフラッパを挟んで対向配置される一対の前記第1ノズル及び前記第2ノズルを二対備え、
前記逆流手段は、一方対の第1ノズル及び第2ノズルが臨む第1領域の圧力と他方対の第1ノズル及び第2ノズルが臨む第2領域の圧力との高低関係を切り替える圧力切替機構からなる
ことを特徴とする請求項1記載のサーボバルブ。
【請求項3】
前記第1領域の圧力と前記第2領域の圧力との高低関係に倣って、前記第1流路が接続される前記スプールの端部と前記第2流路が接続する前記スプールの端部とを切り替える流路切替機構を備えることを特徴とする請求項2記載のサーボバルブ。
【請求項4】
前記圧力切替機構及び前記流路切替機構は、単一のソレノイドで駆動されることを特徴とする請求項3記載のサーボバルブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−112443(P2012−112443A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261478(P2010−261478)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】