説明

サーボマニピュレータの着脱装置

【課題】伸縮自在なサーボマニピュレータの着脱装置に関する。
【解決手段】作業者が操作するマスターサーボマニピュレータと、前記マスターサーボマニピュレータの信号が伝達されて作業環境にて前記マスターサーボマニピュレータの動きを模写するスレーブサーボマニピュレータと、前記マスターまたは/およびスレーブサーボマニピュレータに備えられ、前記サーボマニピュレータを伸縮自在な伸縮装置から分離または結合する着脱装置と、を含み、前記着脱装置は、円錐状の結合突起が結合穴に結合した後、前記結合突起が離脱しないように結合穴が形成された回転板が回転して前記結合突起が係止するように形成されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮自在なサーボマニピュレータの着脱に関し、より詳細には、伸縮自在な伸縮装置の下部末端にマスターまたはスレーブサーボマニピュレータを結合することにおいて、これらの相互間の方向と位置が正確に一致し、作業者1人という少ない労動力で容易に脱着または付着することができる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力を用いて発電または使用済み核燃料を処理したり、これに関する実験を行うためには、放射線遮断施設であるホットセル(hot cell)が提供されなければならない。このようなホットセル内部は放射線が被爆する恐れがあるため、作業者を投入して作業することはできない。このため、装置の運転および維持補修のためにマスター/スレーブマニピュレータシステムが用いられている。マスターマニピュレータはホットセルの外部に位置し、スレーブマニピュレータはホットセルの内部に位置しているため、安全に作業を行うことができる。すなわち、マスターマニピュレータを作業者が操作すれば、遠隔に位置したスレーブマニピュレータが作動する方式であり、遠隔技術を応用したものである。
【0003】
このような遠隔技術は、人間が接近し難い極限環境での作業分野、ごみ処理などの嫌悪な作業分野、地雷除去などの危険が伴う作業分野などにおいて有用な技術である。しかし、遠隔作業は遠隔で成されるため現実感を感じ難く、これにより作業能率が低下する状況下で作業を進めざるを得ない。また、これだけでなく、衝突などの突発状況に即時に対応し難いため、システムの故障を招いたりもする。したがって、現実感を高めた遠隔作業を行うための技術開発が求められている。具体的には、力反射(force reflection)のように、スレーブマニピュレータと作業環境の接触力情報をマスターマニピュレータに伝達することができる機械式または電気式方法が要求されている。
【0004】
さらに他の要求事項としては、放射線の遮断施設であるホットセルに一般的に適用される壁付着機械式のマスター/スレーブマニピュレータシステムは、スレーブマニピュレータがホットセル内部の壁面に固定されているため、作業領域が極めて制限されていて有用でない。このような作業領域の制限性を克服するための解決策として、同じ装置を複数直列に配置して作業を行う方法があるが、これは浪費が甚だしく効率的ではないため、好ましい解決方案であるとは言い難い。
【0005】
このような壁付着機械式のマニピュレータの短所である作業領域の制限を克服するために、天井移送装置にマニピュレータを付着した形態である電気式天井移動式マニピュレータが適用されている。ここで、天井移送装置とは、クレーンなど平面上の運動が可能な移送装置の下部に伸縮自在な伸縮装置が付着された形態が一般的であり、前記伸縮装置の下部末端にマニピュレータが付着されるものである。しかし、従来の天井移動が可能なマニピュレータは、点検や修理のためにマニピュレータを天井移送装置から脱着する必要性が生じる。これについては次のような問題点が挙げられる。
【0006】
第1に、作業者がマニピュレータまたは伸縮自在な伸縮装置を持ち上げて脱着を行う場合には多数の作業者が必要となるため、作業能率の低下はもちろん、安全事故などの危険が伴う。
【0007】
第2に、天井移動式マニピュレータがホットセルのような危険地域における適用時に故障した場合、特殊防護服を着用した作業者であったとしても、傍まで接近して修理を行えば、放射線に被爆する恐れがある。また、ホットセル内の放射線準位が許容値以下に減少するまで待機してから作業を行えば、作業時間が遅延して作業能率が低下するという問題がある。したがって、ホットセル内に設置されている壁付着機械式のマニピュレータを用いて天井移動式のマニピュレータを遠隔で着脱できることが好ましいが、天井移送装置の伸縮自在な伸縮装置にマニピュレータを方向と位置が正確に一致するように結合するには困難を来たす。
【0008】
したがって、作業者の介入を最小に抑えながら正確かつ容易にマニピュレータを着脱することができる装置についての研究が急がれている。
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開第1989−0014218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するために案出されたものであって、結合時に偏心が存在しても接触補正により正確な位置に結合することができ、容易に結合可能な着脱装置およびこれを含む天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、多数の作業者がサーボマニピュレータまたは伸縮自在な伸縮装置を持ち上げて脱着を行う代わりに、前方向移動が可能な昇降装置にサーボマニピュレータを安着し、単純な遠隔操作のみでサーボマニピュレータを正確な方向と位置で結合することができる結合着脱装置およびこれを含む天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムを提供することを他の目的とする。
【0012】
また、本発明は、結合装置の中央に電気的信号を送受信することができるコネクタ部とコネクタ連結部を備え、これらもサーボマニピュレータの着脱時に同時に連結または分離可能にすることで、サーボマニピュレータを構成する器具部および信号伝達部を同時に着脱することができる。また、信号ケーブルが外部に露出されないため接触による損傷を防ぐことができ、美観を支援する着脱装置およびこれを含む天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムを提供することをさらに他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような本発明の目的を達成するために、本発明の天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムは、作業者が操作するマスターサーボマニピュレータと、前記マスターサーボマニピュレータの信号が伝達されて作業環境にて前記マスターサーボマニピュレータの動きを模写するスレーブサーボマニピュレータと、前記マスターまたは/およびスレーブサーボマニピュレータに備えられ、前記サーボマニピュレータを伸縮自在な伸縮装置から分離または結合する着脱装置と、を含み、前記着脱装置は、円錐状の結合突起が結合穴に結合した後、前記結合突起が離脱しないように結合穴が形成された回転板が回転して前記結合突起が係止するように形成されたことを特徴とする。
【0014】
前記着脱装置は、複数の結合突起が上側面に突出形成された第1結合板と、前記結合突起と対応する位置に前記結合穴が形成された第2結合板と、を含み、前記結合突起は垂直に突出形成された突出部で形成され、前記結合穴は前記突出部と連結して直径が拡張形成された円錐状を成す拡張部で形成されることが好ましい。
【0015】
前記結合穴は、円弧状で形成された第1結合穴と、前記第1結合穴と連結して前記第1結合穴より直径が小さい第2結合穴と、で構成され、前記第1結合穴の直径は前記円錐状の結合突起の最大直径より大きく構成され、前記第2結合穴の直径は前記円錐状の結合突起の最大直径より小さく構成されるのが好ましい。また、前記結合突起および前記結合穴は3つであり、120度の間隔で形成される。
【0016】
本システムは、回転によってボルト結合または挿入結合するものであって、回転板と第2結合板体を固定させて前記第1および第2結合板の結束を支援する役割をする固定レバーをさらに含むことが好ましい。また、前記分離したサーボマニピュレータを上部に上げることができ、サーボマニピュレータを伸縮自在な伸縮装置に付着する高さまで昇降が可能であり、移送車輪を備えて移動可能な移動式昇降装置をさらに含む。前記移送車輪は、水平方向に前方向移動が可能であることを特徴とする。前記結合装置の中央には、電気的信号を送受信することができるコネクタ部と、前記コネクタ部と連結または分離可能な連結部と、をさらに含んで構成される。
【0017】
また、前記結合装置は、突出形成された案内ピンと、前記案内ピンの挿入可能な案内穴が形成されたボディ部と、をさらに含み、前記コネクタの突出高さは前記案内ピンの突出高さより低く、前記案内ピンの突出高さは前記結合突起の突出高さより低いことを特徴とする。
【0018】
前記スレーブサーボマニピュレータは、伸縮自在な伸縮装置の下部で着脱可能である。天井移送装置は、天井に形成されたガイドレールに沿って移動するxおよびy軸移送ユニットを備えて天井壁面を移動することができ、伸縮自在な伸縮装置と命名されたz軸移送ユニットを備えて下方に延長可能であることを特徴とする。前記スレーブサーボマニピュレータが作業する環境には複数のカメラが付着しており、前記カメラで撮影された映像は、前記マスターサーボマニピュレータが位置した環境に伝達されて前記作業者がモニタリングすることができる。前記スレーブサーボマニピュレータはセンサーユニットを備え、物体との接触時における接触力を前記マスターサーボマニピュレータに力反射制御で伝達して、前記マスターサーボマニピュレータで接触力と比例する力が具現されることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、結合時に偏心が存在しても接触が補正されて正確な位置に結合することができ、容易に結合することができる効果がある。
【0020】
また、多数の作業者がサーボマニピュレータまたは伸縮自在な伸縮装置を直接持ち上げて着脱を行う代りに、前方向移動が可能な昇降装置にサーボマニピュレータを安着することで、単純な遠隔操作だけでもサーボマニピュレータを正確に結合することができる効果がある。
【0021】
また、結合装置の中央に電源および信号線の連結または分離が可能なコネクタ部とコネクタ連結部が備えられることで、サーボマニピュレータの器具部および信号伝達部を同時に着脱することができ、信号ケーブルが外部に露出されないため接触による損傷を防ぐことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明するが、本発明が実施形態によって制限または限定されることはない。
【0023】
まず、天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムの全体的な形態を説明する。図1は、本発明の天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータを示した斜視図である。
【0024】
これに示すように、スレーブサーボマニピュレータシステム200は、使用済み核燃料など放射線露出の危険があるプロセスセル(process cell)に直接設置されており、マスターサーボマニピュレータシステム100は、前記プロセスセル空間の外部に位置して作業者1によって操作される。プロセスセルの天井にてx、y軸に移動可能であるとともにz軸に沿って下降または上昇が可能な天井移送装置202の下部にスレーブサーボマニピュレータ201が付着されて空間的移動が可能となる。これについての詳しい説明は、図3を参照して後述する。
【0025】
作業者1がマスターサーボマニピュレータ101を操作すれば、動作信号が電気信号に変換された後、スレーブサーボマニピュレータ201および天井移送装置202に伝達されて、スレーブサーボマニピュレータ201が動くようになる。すなわち、マスターサーボマニピュレータ101の動きをそのままスレーブサーボマニピュレータ201が模写して動くようになる。後述で詳しく説明するが、マスターサーボマニピュレータは6自由度(Degree of freedom)を具現するため、ハンドル160は3次元空間の移動だけではなく、3方向ローテーションも可能である。このような動きはスレーブサーボマニピュレータ200に伝達されて、グリップ211が6自由度に動くようになる。
【0026】
スレーブサーボマニピュレータシステム200が設置されたプロセスセルの内部では複数のカメラ301、302によって撮影が行われ、映像を作業者1のモニタ310画面に提供する。作業者1はモニタ画面を見ながらマスターサーボマニピュレータシステム100を操作して、スレーブサーボマニピュレータシステム200の動きを制御する。カメラ301、302は、プロセスセルの壁面、天井移送装置202またはスレーブサーボマニピュレータシステム200の上部に付着され、カメラの個数は自由に構成することができる。また、カメラの材質は放射線に強いもので構成されるのが好ましく、放射線に強い材質でカバーを構成してカメラを密封しても良い。
【0027】
作業者1の前にはコントロールパネル320が備えられている。前記コントロールパネル320は、カメラ301、302の撮影角度を調節するジョイ・スティック340や、その他の動作ボタン330などで構成されている。
【0028】
動作ボタン330は、スレーブサーボマニピュレータ201の各関節をマスターサーボマニピュレータ101によらずに動かすのに有用である。これは、マスターサーボマニピュレータ101の故障やその他の危険状況において動作ボタン330を操作することで、スレーブサーボマニピュレータ201の動きを制御することができる。
【0029】
次に、マスターサーボマニピュレータシステムについて説明する。図2は、マスターサーボマニピュレータシステムを示した斜視図であり、図3は、マスターサーボマニピュレータのハンドルの回転を示した斜視図であり、図4は、マスターサーボマニピュレータのハンドルのグリップ作動を示した斜視図である。
【0030】
これに示すように、前記マスターサーボマニピュレータシステム100は、壁面103に固定される固定板104が形成され、前記固定板104と連結して水平に形成された水平体110が提供される。前記水平体110の一端にはz軸方向に移動可能な伸縮自在な伸縮装置120が形成される。前記伸縮自在な伸縮装置120の下部末端に結合されたマスターサーボマニピュレータ101には、前記マスターサーボマニピュレータ101の関節運動をワイヤやギヤなどを介して伝達して電気的な信号に変換する変換ユニット140が配置される。
【0031】
作業者1はハンドル160のグリップ161を握って操作を行う。前記ハンドル160は、多数の関節を備えた連結ユニット150によって変換ユニット140に連結されており、全体的に6自由度の動きが可能である。より具体的に説明すれば、変換ユニット140の第1回動軸141に回転可能に設置された第1関節151が備えられ、前記第1関節151に備えられた第2回動軸152に回転可能に設置された第2関節153が結合する。前記第2関節153に備えられた第3回動軸154には、ハンドル160が回転可能に結合するようになる。
【0032】
ハンドル160には、グリップ161および前記グリップ161が装着された装着体162が備えられており、前記装着体162の回転が可能になるように回転板163が結合している。前記回転板163は第3回動軸154を中心として回転可能に動くだけでなく、ベアリングなどが内蔵されてグリップ161の回転運動を提供するようになる。
【0033】
グリップ161は、回転板163による回転運動および第1、2関節151、153の回転運動によって3次元的な移動および回転が可能である。また、グリップ161は、スレーブサーボマニピュレータシステム200におけるグリップ動作の具現において、グリップ161を握ることでグリップ動作が可能になるように構成されている。
【0034】
次に、スレーブサーボマニピュレータについて説明する。図5は、スレーブサーボマニピュレータを示した斜視図である。
【0035】
これに示すように、前記スレーブサーボマニピュレータ201は、天井移送装置202の伸縮自在な伸縮装置の下部に着脱可能に装着されている。天井移送装置202はプロセスセルの天井に付着され、スレーブサーボマニピュレータ201をx、y軸に移送したりz軸に下降または上昇したりする。これについては後述で詳しく説明する。
【0036】
プロセスセルの天井には、x軸方向に長く付着されている2列のガイドレール292上を動くx軸移送ユニット290と、前記x軸移送ユニット290の間に設置されたy軸ガイドレール293上を動くy軸移送ユニット270と、が配置される。
【0037】
前記x軸移送ユニット290は複数であっても良い。x軸移送ユニット290は長方形のハウジング内に、モータ、減速器、クラッチおよびギヤなどを内蔵しており、駆動力を発生してスチールタイヤ(図示せず)に伝達する。スチールタイヤはガイドレール292を移動しながらx軸移動を可能にする。
【0038】
前記y軸移送ユニット270は四隅に4つの移送車輪271を結合しており、y軸ガイドレール293上を移動することができる。y軸ガイドレール293の終端にはストッパ272が形成され、スレーブサーボマニピュレータ201がガイドレール293外部に離脱することを防ぐ。
【0039】
前記y軸移送ユニット270の下方には、伸縮自在な伸縮装置250が備えられている。また、伸縮自在な伸縮装置250の下端には、伸縮装置250とスレーブサーボマニピュレータ201との着脱が可能な結合装置400が装着されている。
【0040】
まず、伸縮自在な伸縮装置250を説明すれば、伸縮自在な伸縮装置250は、円柱状のコラムで構成された固定コラム251と、前記固定コラム251の内部で重なったり伸びたりしながらスレーブサーボマニピュレータ201を上下に移動させる移動コラム252と、で構成される。
【0041】
移動コラム252が上昇する場合には、該一端が前記固定コラム251の内部に重なりながら挿入して、前記スレーブサーボマニピュレータ201を引き上げる。一方、移動コラム252が下降する場合には、一端が前記固定コラム251の外部に排出されて、前記スレーブサーボマニピュレータ201を地面付近まで下ろすようになる。
【0042】
アクチュエータユニット230は、マスターサーボマニピュレータ101で作業者が操作する信号を電気的に送信してスレーブサーボマニピュレータ201を駆動する。すなわち、運転手がマスターサーボマニピュレータ101を調整すれば、動作信号が電気的信号に変化して制御ユニット(図示せず)に入力され、制御ユニットからスレーブサーボマニピュレータのアクチュエータユニット230に信号を伝送するようになる。このとき、スレーブサーボマニピュレータ201のグリップユニット210は、マスターサーボマニピュレータ101と同じ動作で作動する。
【0043】
グリップユニット210は、アクチュエータユニット230の駆動力を伝達するためにワイヤやギヤによって連結されており、アクチュエータユニット230と回転可能に結合されている。前記グリップユニット210にはグリップ211が備えられている。前記グリップ211は回転および移動が可能であり、グリップ動作が可能であって、作業物体を掴んで回転および移動させた後、所望する位置に置くことができる。
【0044】
伸縮自在な伸縮装置250とスレーブサーボマニピュレータ201は結合装置400によって着脱可能である。これについては後述で説明する。
【0045】
以下、天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムの作動原理について説明する。
【0046】
スレーブサーボマニピュレータシステム200はプロセスセルなどの作業に危険が伴う地域に配置され、プロセス外部など放射線露出の危険がない安全な地域にはマスターサーボマニピュレータシステム100が位置する。作業環境は、壁面、移送装置、スレーブサーボマニピュレータシステム200に付着したカメラ303を介して視覚映像をモニタに提供するようになる。
【0047】
作業者はモニタを見ながらマスターサーボマニピュレータ101を操作してスレーブサーボマニピュレータ201を動かすようになる。また、マスターサーボマニピュレータを構成する各関節の運動はワイヤまたはギヤに伝達され、エンコーダなどが内蔵された変換ユニット140によって電気的な信号に変換される。前記電気的な信号は制御ユニットによってスレーブサーボマニピュレータ201に伝達され、複数のモータなどで構成されたスレーブサーボマニピュレータ201のアクチュエータユニット230はグリップ211を3次元的に移動または回転運動させる。グリップ211は使用済み核燃料などの危険が伴う物質に接触しながら、作業者が所望する作業を行うようになる。
【0048】
このとき、作業者がモニタだけを見て作業をするようになれば、カメラの死角地帯では作業環境を観察することができない。それだけでなく、死角地帯でなくても作業環境の現実感が低下するため、グリップ211と作業物体が衝突するなど故障の危険が伴うようになる。これを補うために、スレーブサーボマニピュレータ201のセンサーユニット(図示せず)に位置センサあるいはトルクセンサを付着し、これによって受信された信号を制御ユニッによってサーボマニピュレータ101側にフィードバックして、マスターマニピュレータのハンドルを握っている作業者に力反射を行うようになる。
【0049】
このような本発明の力反射制御を図6に示した。図6は、力反射性制御を図式的に示した構成図である。
【0050】
グリップ211が物体と接触すれば、センサーユニット(図示せず)で接触事実を認知する。センサーユニットは電気的信号を発生し、接触力と比例する電流または電圧値を制御ユニット(図示せず)を介してマスターサーボマニピュレータ101に送信する。マスターサーボマニピュレータ101のアクチュエータユニット230にはモータなどが装着されており、前記電気的信号に比例してトルク(torque)を発生して操作者に抵抗力を感じさせるようにする。ハンドル161を握っている作業者は、フィードバックされたトルクを感じることで衝突などを感じることができるようになり、現場感を高めることができるようになる。すなわち、障害物がある場所では力フィードバックを感じるようになるため、障害物方向には位置信号を与えないようになる。
【0051】
したがって、スレーブサーボマニピュレータが障害物との反復した衝撃による損傷を防ぐことができるようになり、作業者はカメラで提供される映像情報以外にも触覚情報を受けることで、より現場感を感じることができるようになる。このとき、図6に示すように、制御機の利得値を調整して力反射比を調整することで、適切な力フィードバック量を具現することができる。
【0052】
このように、力反射を介した触感信号とカメラを用いた視覚信号により、作業者は現場感が高いマスターサーボマニピュレータを操作して、遠距離にあるスレーブサーボマニピュレータを操ることができるようになる。
【0053】
このとき、スレーブサーボマニピュレータ201は、故障または部品修理のために分離が必要となる。
【0054】
このような形態を図7に示した。図7は、スレーブサーボマニピュレータの分離を示した斜視図である。
【0055】
これに示すように、結合装置400によって伸縮自在な伸縮装置250とスレーブサーボマニピュレータ201の着脱が可能となる。結合装置400は、スレーブサーボマニピュレータ201の上部と結合した第1結合板410と、前記第1結合板410と着脱可能であって伸縮自在な伸縮装置250の下部に結合した第2結合板420と、で構成される。前記第1結合板410と第2結合板420の結合および分離によって、スレーブサーボマニピュレータ201と伸縮自在な伸縮装置250の分離が可能となる。
【0056】
分離されたスレーブサーボマニピュレータ201は移動式昇降装置500に安着され、プロセスセルなどの作業環境に移送される。作業環境には放射線などの危険要素が散在しているため、前記移動式昇降装置500は、動力ユニットが装着されて自力で動いたり、他のマニピュレータによって引っ張られることで移送可能であるものが好ましい。図面符合510は、移動式昇降装置の移送車輪を示す。移送車輪510は2次元的な四方に自由に移動するように構成されて結合を支援し、移送されたスレーブサーボマニピュレータ201を所定の高さまで昇降または下降するように設計されるのが好ましい。
【0057】
以下、結合装置の結合原理について説明する。図8は、結合装置の分解斜視図あり、図9は、第2結合板の下部を示した斜視図である。
【0058】
図8に示すように、第1結合板410には、該上側に突出形成された結合突起413が形成されている。前記結合突起413は、第1結合板410で垂直に突出形成された突出部412と、前記突出部412と連結して直径が拡張形成された拡張部411と、で成される。前記突出部412の形状は円柱型であり、前記拡張部411の形状はきのこ状の円柱型である。
【0059】
前記第1結合板410は円板状を有する第1結合板体415を備え、前記結合突起413は第1結合板体415の上側面に3つが突出形成され、相互間に120度の間隔を成す。前記第1結合板410の形状や前記結合突起の個数および角度は任意に変形可能であることは自明である。前記結合突起413の間には、第2結合案内穴416が120度の間隔を成して配置される。前記第2結合案内穴416には、ニードルベアリング(needle bearing)が垂直に配列されている。前記第1結合板410の中央部には、電気信号が送受信されるコネクタ部414が形成される。
【0060】
前記第2結合板420には円板状で構成された回転板423が備えられ、前記回転板423上に形成された結合穴421、422を備える。前記回転板423は、第2結合板体427と結合して回転可能に形成される。前記結合穴421は、脱着時に前記結合突起413と対応する位置に置かれるようになる。
【0061】
結合穴は、円弧状に形成された第1結合穴421と、前記第1結合穴421と連結して前記第1結合穴421より直径が小さい第2結合穴422と、で構成される。前記第1結合穴421の直径は結合突起413の拡張部411の直径より大きく、前記第2結合穴422の直径は結合突起413の拡張部411の直径より小さい。ただし、第2結合穴422の直径は突出部412の直径よりは大きい。前記結合穴421、422には結合突起413が挿入結合する。これについての詳しい説明は後述する。
【0062】
図9に示すように、第1結合案内穴429の間には120度の間隔で案内ピン428が下部に突出形成され、第1結合板410の第2結合案内穴416と結合する。前記案内ピン428の突出長さは、前記第1結合板410の結合突起413より短く形成されることが好ましい。図面符合426はストッパーピンであって、回転板423に円柱状で突出しており、第2結合板体427に挿入されて回転を制限する役割をする。
【0063】
第2結合板420の中央には、第1結合板410のコネクタ部414と結合する連結部425が形成されている。前記連結部425は、コネクタ部414の個数および位置と対応して形成される。前記第2結合板420の側面には、前記第1および第2結合板410、420を固定させる固定レバー424が結合している。前記固定レバー424は、回転によってボルト結合あるいは挿入結合することで回転板423が第2結合板体427を固定し、前記第1および第2結合板410、420の結束を支援する役割をする。
【0064】
前記結合順を、図10および図11によって説明する。結合のためには、図7に示された移動式昇降装置にスレーブサーボマニピュレータを安着して移送させた後、移動式昇降装置を用いて所望する高さまで昇降させる。移動式昇降装置の移送車輪は前方向に移動可能であるため、結合穴に円錐状の拡張部411を結合するとき、移動式昇降装置が水平方向に自由に動きながら相互間の中心を一致させる役割をする。
【0065】
案内ピン428の突出の長さは、前記第1結合板410の結合突起413より短く形成されており、円錐状に形成された結合突起413の拡張部411が第1結合案内穴429に挿入された後に第1結合穴421に挿入される。図10は、このような形態を示した図である。拡張部411は円錐状であるため、第1結合穴421との接触が補正されながら結合するようになる。すなわち、拡張部411の最上端が第1結合案内穴429内に位置すれば、拡張部411の側面にスライドしながら第1結合案内穴429内に挿入結合するようになる。接触補正されて拡張部411が第1結合案内穴429に挿入されれば、案内ピン428が第2結合案内穴416に自然に挿入結合するようになる。
【0066】
拡張部411が第1結合穴421に挿入された後に回転板423を回転させ、拡張部411下部に第2結合穴422が来るように回転させる。前記第2結合穴422の直径は拡張部411の直径より小さいため、結合装置400の下部パートの落下を防ぐことができる。このとき、コネクタ部は連結部425と結合して、電気信号などを送受信することができるようになる。
【0067】
その後、固定レバー424を回転して回転板423と第2結合板体427を固定させることで、前記第1および第2結合板410、420の結束を支援する役割をする。
【0068】
結合装置を第1および第2結合板410、420に分離する過程は、結合と逆の順序で進行すれば良いため、これについての詳しい説明は省略する。
【0069】
このように、スレーブサーボマニピュレータなどの故障時に、作業環境にて放射線準位が許容値まで減少するまで待機してから特殊防護服を着用した作業者が接近して修理をする必要がなく、すぐに分離して維持補修地域に移送した後に修理することができるという長所を有する。また、結合が容易であるため人間が作業環境内に入って行く必要がなく、他のマニピュレータを用いた単純な操作のみで着脱が可能であり、危険要素を減少させることができる。
【0070】
また、結合時に偏心が存在しても容易に結合できるだけでなく、正確な位置に結合できるという長所を有する。マスターサーボマニピュレータにおいても、スレーブサーボマニピュレータの結合装置のように着脱可能な装置の採用が可能であることは自明である。
【0071】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の天井移動式のマスター/スレーブサーボマニピュレータシステムを示した斜視図である。
【図2】マスターサーボマニピュレータシステムを示した斜視図である。
【図3】マスターサーボマニピュレータのハンドルの回転を示した斜視図である。
【図4】マスターサーボマニピュレータのハンドルのグリップ作動を示した斜視図である。
【図5】スレーブサーボマニピュレータシステムを示した斜視図である。
【図6】力反射を図式的に示した構成図である。
【図7】スレーブサーボマニピュレータの分離を示した斜視図である。
【図8】結合装置の分解斜視図である。
【図9】第2結合板の下部を示した斜視図である。
【図10】結合前の結合突起の挿入を示した斜視図である。
【図11】結合後の結合突起の挿入を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
1:作業者
100:マスターサーボマニピュレータシステム
110:水平体
120、250:伸縮自在な伸縮装置
140:変換ユニット
150:連結ユニット
161:マスターハンドル
200:スレーブサーボマニピュレータシステム
202:天井移送装置
211:グリップ
230:アクチュエータユニット
400:結合装置
410:第1結合板
413:結合突起
420:第2結合板
421、422:結合穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が調整するマスターサーボマニピュレータと、前記マスターサーボマニピュレータの動きを模写して放射性環境で作業するスレーブサーボマニピュレータと、で構成されるマスター/スレーブサーボマニピュレータの着脱装置において、
前記サーボマニピュレータをz軸に昇降する伸縮自在な伸縮装置と、
前記サーボマニピュレータの上部に結合され、第2結合案内穴および突出結合突起が形成された第1結合板と、
前記伸縮自在な伸縮装置下部に結合され、第1結合案内穴が形成された第2結合板体と
前記第2結合板体と結合されて相対的に回転が可能であり、結合穴が形成された回転板と、
を含み、
前記結合突起は前記結合穴に挿入された後、前記回転板が回転することで前記結合突起が係止されるように形成されたことを特徴とするサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項2】
前記結合突起は、
垂直に突出形成された突出部と、
前記突出部と連結して直径が拡張形成されて円錐状を成す拡張部と、
で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項3】
前記結合突起、前記結合案内穴および前記結合穴は、それぞれ3つが120度の間隔で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項4】
前記結合穴は、
円弧状に形成された第1結合穴と、
前記第1結合穴と連結して前記第1結合穴より直径が小さい第2結合穴と、
で構成されたことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項5】
前記第1結合穴の直径は前記円錐状の結合突起の最大直径より大きく構成され、
前記第2結合穴の直径は前記円錐状の結合突起の最大直径より小さく構成されることを特徴とする請求項4に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項6】
前記サーボマニピュレータを上部に上げることができ、前記サーボマニピュレータを昇降させることができ、移送車輪を備えて移動可能な移動式昇降装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータ着脱装置。
【請求項7】
前記着脱装置は、
突出形成された案内ピンと、
前記案内ピンが着脱される第2結合案内穴が形成されたボディ部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項8】
前記案内ピンの突出高さは前記結合突起の突出高さより低く、前記コネクタ部突出高さより高いことを特徴とする請求項7に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項9】
回転によってボルト結合または挿入結合することで前記第2結合板に回転板を固定させる固定レバーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。
【請求項10】
前記着脱装置は、
電気的信号を送受信することができるコネクタ部と、
前記コネクタ部と連結または分離可能な連結部と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のサーボマニピュレータの着脱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−12667(P2008−12667A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−175811(P2007−175811)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)
【出願人】(502043352)コリア ハイドロ アンド ニュークリア パワー カンパニー リミティッド (23)
【Fターム(参考)】