説明

サーマルプリンタおよび印字制御装置

【課題】一定領域内に占める印字画素数の割合に応じた比率で標準的に設定した印加エネルギーを増減させる印字品質を向上させる。
【解決手段】これから印字しようとする印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出する画素数検出手段と、画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッド104の温度とに基づいてサーマル印字ヘッド104への印加エネルギー量を算出する算出手段と、算出手段により算出された印加エネルギーでサーマル印字ヘッド104の発熱素子を駆動する駆動手段と、を備え、画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と、温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度と、に応じて印加エネルギー量を増減してサーマル印字ヘッド104の発熱素子を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマル印字ヘッドを用いるプリンタに関するものであり、特に、印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出し、検出された印字画素数の割合に応じてサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動するための印加エネルギーを調整することにより印字品質を向上させたサーマルプリンタおよびその印字制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキャナー機能を有する機器、特にファクシミリ装置やファクシミリ機能を備えた家庭用の電話機などにおいて用いられる印字機構には、サーマルプリンタ機構が採用されることが多い。
【0003】
通常、サーマルプリンタは、一列に配列された複数個の発熱素子にサーマル印字ヘッドを備え、複数個の発熱素子のそれぞれに印字データに応じてパルス状の信号を印加して発熱させることによりインクリボンから記録紙にインクを転写して印字を行う構成を採用している。このようなサーマル印字ヘッドを用いるプリンタでは、ヘッド自体に取り付けられているサーミスタの出力値を読み取り、ヘッド自体の現在の温度を検出して、その温度に適した印加エネルギーを与えるよう制御されている。
【0004】
サーマル印字ヘッドの各発熱素子に印加されるエネルギー量が小さすぎるとインクが十分溶融せずに印字がかすれたりする。逆に、各発熱素子に印加されるエネルギー量が大きすぎるとインクが過度に溶融して印字がつぶれたりする。また、同じヘッド温度で同じ印加エネルギーを与えた時、太い線、太い文字などははっきりと印字されるが、細い線や細い文字部分は十分に印加エネルギーが浸透せず、印字が部分的にかすれたりする。
【0005】
そこで、サーマル印字ヘッドのヘッド温度あるいは雰囲気の温度が低い時は、インクを溶融するのにエネルギー量が多く必要である。サーマル印字ヘッドのヘッド温度が高い時は、印加エネルギーが小さくてもインクに十分なエネルギーが与えられる。このことから、印字ヘッドの温度に応じて印加エネルギーを何段階かに設定して調整する。
【0006】
また、印字するラインの間隔が長い、あるいは印字ドットのあるラインの間に印字ドットのない空白ラインが多くあると、サーマル印字ヘッドのヘッド温度が変わるので、用紙送り(印字休止時間)の時間間隔によって印加する標準的なエネルギーを何段階かに設定して調整する。一般のサーマルプリンタにおけるサーマル印字ヘッドの印加エネルギー調整はこれらの組み合わせによって行われている。
【0007】
例えば、下記の特許文献1(特開平6−106766号公報)には、画像印写中におけるヘッド温度のみならず、各発熱抵抗体の蓄熱状態をも考慮した通電制御を行うことにより、印写濃度ムラの発生を防止できる技術が開示されている。
【0008】
この特許文献1に開示された技術は、サーマル印字ヘッドの温度を検出する温度検出手段と、階調データに応じた通電電力を有する主パルス信号を各発熱抵抗体に通電して記録媒体に画像の印写を行う印写手段と、該印写手段による各ラインの画像の印写間に、前記温度検出手段により検出された温度、及び前記階調データに応じた通電電力を有する予備パルス信号を前記各発熱抵抗体に通電して、該各発熱抵抗体を印写に至らない所定温度まで予熱させる予熱手段と、を有し、各ラインの画像印写開始時に各発熱抵抗体が所定温度に維持されるように構成されているものである。
【0009】
このように構成することにより、画像印写中における各発熱抵抗体の蓄熱状態を正確に把握することができ、印写濃度ムラの発生しない高品質の画像を再現することが可能となる。
【0010】
また、下記の特許文献2(特開平11−235840号公報)には、感度曲線に基づいて決定される印写データに対応した基本印加パルス数を、ヘッドの蓄熱状態を示す蓄熱情報に基づいて決定される基準パルス数により、感度曲線に基づいて補正する技術が開示されている。
【0011】
この特許文献2に開示された技術は、基本印写濃度データと基本印加パルスの関係を示す基本特性情報に基づいて印写データに対応する基本印加パルスを決定する基本パルス決定手段と、サーマル印字ヘッドの蓄熱状態を示す畜熱情報に基づいて所定の印写濃度に対応する基準パルスを決定する基準パルス決定手段と、基本パルス決定手段で決定された基本印加パルスを基準パルス決定手段で決定された基準パルスにより補正する印加パルス補正手段により構成されているものである。このように構成することで、印写実行につれたサーマル印字ヘッドの畜熱状態の変化による濃度ムラや尾引きあるいは線のかすれといった現象が抑えられ、高画質の印写画像を得ることができる。
【特許文献1】特開平6−106766号公報(段落[0009]、図1)
【特許文献2】特開平11−235840号公報(段落[0006]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、上記特許文献1、2に開示されたサーマルプリントの印写技術においては、サーマル印字ヘッドの畜熱状態に応じて印加パルスを補正することで印写濃度ムラを抑えることができるような工夫がなされている。
【0013】
しかしながら、このような方法は、ヘッド温度と印字給紙時間の組み合わせによって、予め何段階に設定した標準的な印加エネルギーが選択されるだけであり、印字品質を十分に確保できないことがある。例えば、細い線や細かい文字が含まれている場合にその部分に十分な印可エネルギーが浸透せず、かすれが生ずることがある。
【0014】
この現象から、1ライン中にある実際の印字ドット数が少ないときは、上記で設定された標準的な印可エネルギーではエネルギー量が足りないということが分かる。つまり、実際の印字ドット数を考慮した印加エネルギー量を設定する必要がある。
【0015】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、上記のような制御方法で得られた標準的な印加エネルギーを、さらに一定領域内に占める印字画素数の割合、すなわち、1ライン中の印字ドット数(黒画素数)に応じた比率で増減させ、これにより実際の印字データに応じた最適なエネルギーが印加されるようになせば、上記の問題点を解消し得ことを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0016】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、一定領域内に占める印字画素数の割合、例えば、1ライン中の印字ドット数(黒画素数)に応じた比率で標準的に設定した印加エネルギーを増減させるようにして印字品質を向上させるようにしたサーマルプリンタおよび印字制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、一列に配列された複数個の発熱素子を有するサーマル印字ヘッドと、前記サーマル印字ヘッドの温度を検出する温度検出手段と、を備え、前記温度検出手段が検出したサーマル印字ヘッドの温度範囲に応じた印加エネルギー量で、前記サーマル印字ヘッドを駆動するサーマルプリンタにおいて、これから印字しようとする印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出する画素数検出手段と、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記算出手段が算出した印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動することを特徴とする。
また、本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるサーマルプリンタにおいて、 前記サーマルプリンタは更に、印字画素数の割合とサーマル印字ヘッドの温度と前記サーマル印字ヘッドへの最適な印加エネルギーとの相関データを格納したデータ記憶手段を備え、前記算出手段は、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記データ記憶手段から最適な印加エネルギー量を読み出して前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出することを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または請求項3にかかるサーマルプリンタにおいて、前記一定領域内に占める印字画素数の割合は1ライン中の印字ドット数であることを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項4にかかる発明は、一列に配列された複数個の発熱素子を有するサーマル印字ヘッドと、前記サーマル印字ヘッドの温度を検出する温度検出手段と、を備え、前記温度検出手段が検出したサーマル印字ヘッドの温度範囲に応じた印加エネルギー量で、前記サーマル印字ヘッドを駆動するサーマルプリンタの印字制御を行う印字制御装置において、これから印字しようとする印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出する画素数検出手段と、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記算出手段が算出した印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動することを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる印字制御装置において、前記印字制御装置は更に、印字画素数の割合とサーマル印字ヘッドの温度と前記サーマル印字ヘッドへの最適な印加エネルギーとの相関データを格納したデータ記憶手段を備え、前記算出手段は、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記データ記憶手段から最適な印加エネルギー量を読み出して前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出することを特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項6にかかる発明は、請求項4または請求項5にかかる印字制御装置において、前記一定領域内に占める印字画素数の割合は1ライン中の印字ドット数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1、請求項4にかかる発明においては、サーマルプリンタ、その印字制御装置は、これから印字しようとする印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出する画素数検出手段と、画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記算出手段が算出した印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動する。
【0023】
このような構成によれば、実際の印字データに応じた最適なエネルギーがサーマル印字ヘッドに印加されることにより、細線等のかすれが比較的改善できるから、印字品質を著しく向上させることができるようになる。
【0024】
請求項2、請求項5にかかる発明においては、請求項1、請求項4にかかるサーマルプリンタ、その印字制御装置において、印字画素数の割合とサーマル印字ヘッドの温度と前記サーマル印字ヘッドへの最適な印加エネルギーとの相関データを格納したデータ記憶手段をさらに備え、前記算出手段は、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記データ記憶手段から最適な印加エネルギー量を読み出して前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出する。
【0025】
このような構成によれば、実際の印字データに応じた最適なエネルギーがサーマル印字ヘッドに印加されることにより、細線等のかすれが比較的改善できるから、印字品質を著しく向上させることができるようになる。
【0026】
請求項3、請求項6にかかる発明においては、請求項1または請求項2、請求項4または請求項5にかかるサーマルプリンタ、その印字制御装置において、前記一定領域内に占める印字画素数の割合は1ライン中の印字ドット数である。
【0027】
このような構成によれば、印加エネルギーを1ライン中の印字ドット数(黒画素数)に応じた比率で増減させるため、実際の印字データに応じた最適なエネルギーがサーマル印字ヘッドに印加されることにより、細線等のかすれが比較的改善できるから、印字品質を著しく向上させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのサーマルプリンタ、印字制御装置を例示するものであって、本発明をこのサーマルプリンタ、印字制御装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のサーマルプリンタ、印字制御装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0029】
図1は、本発明の実施例にかかるスキャナーを搭載したサーマルプリンタ100の構成を示す概略図である。サーマルプリンタ100は、インクリボン101、供給側インクリボン102、巻き取り側インクリボン103、サーマル印字ヘッド104、プリンタローラー105、記録紙106の給紙ローラー107、排出ローラー108、原稿109の給紙ローラー110、密着センサー111、スキャナーローラー112などを備えて構成されている。
【0030】
インクリボン101は、供給側インクリボン102から引き出されてサーマル印字ヘッド104とプリンタローラー105との間を通過した後、巻き取り側インクリボン103により巻き取られる。
【0031】
サーマル印字ヘッド104は、記録紙106の搬送方向(副走査方向)と直交する幅方向(主走査方向)に配置され、記録紙106に1ライン分の画像記録を行う複数個の発熱体素子が主走査方向に配列されている。そしてサーマル印字ヘッド104の発熱体素子への通電(パルス信号の印加)により素子を発熱させインクリボン101のインクを溶かし記録紙106に転写させる。
【0032】
記録紙106は、記録紙給紙ローラー107によって搬送され、インクリボン101とプリンタローラー105との間を通過した後、排出ローラー108によってサーマルプリンタ100の外へ排出される。
【0033】
プリンタローラー105は、サーマル印字ヘッド104に対向して配置されており、記録紙106を搬送するとともに、サーマル印字ヘッド104方向へ所定の圧力でサーマル印字ヘッド104とインクリボン101を押圧している。
【0034】
また、サーマル印字ヘッド104には、図示はしていないが、その温度を検出する温度検出手段としての温度検出素子(例えば、サーミスタ)が設けられている。
【0035】
密着センサー111は、原稿109の搬送方向(副走査方向)と直交する幅方向(主走査方向)に配置され、スキャナー機能として原稿109に記録されている画像イメージを読み取るための複数個の読み取り素子が主走査方向に並設されている。
【0036】
原稿109は原稿給紙ローラー110によって搬送され、密着センサー111とスキャナーローラー112との間を通過した後、サーマルプリンタ100の外へ排出される。
【0037】
スキャナーローラー112は、密着センサー111に対向して配置されており、原稿109を所定位置に保持しつつ所定の画像読取速度で回転し、原稿109の排出口の方向に原稿109を搬送する。
【0038】
図2は、本発明の実施例にかかるスキャナーを搭載したサーマルプリンタ100の制御系回路の構成を示すブロック図である。
【0039】
サーマルプリンタ100は、プリンタ制御エンジン200、プログラムメモリ201、画像保存用メモリ202、プリンタ制御モーター203、スキャナー制御モーター204などを備えて構成されている。
【0040】
なお、本実施例は、スキャナーを搭載したサーマルプリンタを示すものであるが、サーマルプリンタと外付けのスキャナー装置とからなるプリンタシステムであってもよく、サーマルプリンタがスキャナー機能を持たない場合、密着センサー111やスキャナー制御モーターを備える必要はない。
【0041】
プリンタ制御エンジン200は、プログラムメモリ201に格納された制御プログラムにより各部の動作を制御するCPU205、サーマル印字ヘッド104を制御する印刷制御部206、密着センサー111を制御する画像読取制御部207、およびプリンタ制御モーター203とスキャナー制御モーター204を制御するモーター制御部208から構成されている。
【0042】
プログラムメモリ201には、各部の動作を制御する制御プログラムを記憶されているほか、印字画素数の割合とサーマル印字ヘッド104の温度とサーマル印字ヘッド104への最適な印加エネルギーとの相関データを格納したデータ記憶手段としてのサーマル印字ヘッドに対する最適な印加エネルギーのテーブルが記憶されている。
【0043】
図3は、本発明の実施例にかかるサーマル印字ヘッドに対する最適な印加エネルギーのテーブルの一例を示す図である。
【0044】
図3のテーブル例は、1ライン中の黒画素率およびサーマル印字ヘッド温度に対する印加エネルギーの相関データであり、各ヘッド温度の印加エネルギー標準値を1ライン中の黒画素率50%時に設定し、各ヘッド温度に対応して画素率の割合に応じた標準値からの増減率を設定してある例を示している。
【0045】
例えば、ヘッド温度40℃で黒画素率30%の場合には、ヘッド温度40℃の印加エネルギー標準値より10%増であり、ヘッド温度70℃で黒画素率30%の場合には、ヘッド温度70℃の印加エネルギー標準値より5%増に設定されている。なお、印加エネルギー標準値は、0℃標準値>10℃標準値>……>60℃標準値>70℃標準値であり、このテーブルはプログラムメモリ201に記憶されている。
【0046】
画像保存用メモリ202は、印刷制御部206により制御されたサーマル印字ヘッド104によって記録紙106に印刷される印刷データを記憶するとともに、画像読取制御部207により制御された密着センサー11によって原稿109から読み取られた画像データを記憶する。
【0047】
印刷制御部206は、CPU205が画像保存用メモリ202から読み出した印刷データに基づいてサーマル印字ヘッド104への印加エネルギーを供給するとともに、プログラムメモリ201に格納されている最適な印加エネルギーのテーブルに応じて印加エネルギーの補正を行うための制御信号を供給する。また、画像読取制御部207は、密着センサー11の駆動制御を行うための制御信号を供給する。
【0048】
モーター制御部208は、CPU205からの1ライン分の印刷データを印刷するために要する印刷時間に応じてプリンタローラー105等のプリンタ制御モーター203の回転速度を制御して記録紙106およびインクリボン101の搬送速度を制御する。また、モーター制御部208は、密着センサー111によって原稿109の1ライン分の画像データを読み取るために要する読取時間に応じてスキャナーローラー112等のスキャナー制御モーター204の回転速度を制御して原稿109の搬送速度を制御する。
【0049】
図4は、本発明の実施例にかかるスキャナーを搭載したサーマルプリンタ100における制御を示す概略フロー図である。
【0050】
図4に示すように、CPU205から密着センサー111に制御信号が出力されると、密着センサー111は制御信号に応じて原稿109から画像データを読み取ってCPU205へ転送する。CPU205へ転送された画像データは画像保存用メモリ202に格納される。
【0051】
印刷にあたって画像保存用メモリ202に格納された画像データは、1ページ分あるいは半ページ分など予め定められた単位で読み出され、図示しないVRAMにビットマップ展開される。印刷制御部206はVRAMに展開されたデータに基づいてサーマル印刷ヘッドの各発熱素子を駆動する。VRAMへのビットマップ展開時に1ラインの黒画素数をカウントして1ラインのち黒画素率を検出する。
【0052】
すなわち、CPU205は、画像保存用メモリ202から画像データを読み出してVRAMにビットマップ展開する際に1ライン中の黒画素の比率を検出し、サーマル印字ヘッド104に設けられたサーミスタによって検出されたサーマル印字ヘッド104の温度とこの黒画素率と最適な印加エネルギーとの関係を示すテーブルを参照して最適な印加エネルギーをプログラムメモリ201から読み出して印刷データとともに印刷制御部206に出力し、印刷制御部206はこれに基づいてサーマル印字ヘッド104を駆動する。
【0053】
これにより、サーマル印字ヘッド104は、CPU205からの1ライン分の印刷データを最適な印加エネルギーの通電により各発熱体素子を発熱させて印刷データに応じた1ライン毎の印刷を記録紙106上に行う。
【0054】
図5は、本発明における印刷ストローブ信号制御の一例を示すタイムチャートである。
【0055】
図5に示すように、CPU205によって画像保存用メモリ202から読み出された1ライン分の印刷データa〜dがサーマル印字ヘッド104に転送されてラッチ信号が出力されると、印刷制御部206からの制御信号に基づいてストローブ信号stb1〜stb4が出力される。
【0056】
そしてサーマル印字ヘッド104はストローブ信号stb1〜stb4に従って1ライン分の印刷データを4分割して印刷動作に移り、第1ラインaに対するストローブ信号stb4が出力されるタイミングで次の第2ラインbの印刷データがサーマル印字ヘッド104に転送される。以下、第3ラインcの印刷データ、第4ラインdの印刷データについても同様である。
【0057】
以上説明したように本発明にかかるサーマルプリンタによれば、実際の印字データに応じた最適なエネルギーがサーマル印字ヘッドに印加されることにより、細線等のかすれが比較的改善できるから、印字品質を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例にかかるスキャナーを搭載したサーマルプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例にかかるスキャナーを搭載したサーマルプリンタの制御系回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例にかかるサーマル印字ヘッドに対する最適な印加エネルギーのテーブルの一例を示す図である。
【図4】本発明の実施例にかかるスキャナーを搭載したサーマルプリンタにおける制御を示す概略フロー図である。
【図5】本発明における印刷ストローブ信号制御の一例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0059】
100・・・・サーマルプリンタ
101・・・・インクリボン
102・・・・供給側インクリボン
103・・・・巻き取り側インクリボン
104・・・・サーマル印字ヘッド
105・・・・プリンタローラー
106・・・・記録紙
107・・・・記録紙給紙ローラー
108・・・・排出ローラー
109・・・・原稿
110・・・・原稿給紙ローラー
111・・・・密着センサー
112・・・・スキャナーローラー
200・・・・プリンタ制御エンジン
201・・・・プログラムメモリ
202・・・・画像保存用メモリ
203・・・・プリンタ制御モーター
204・・・・スキャナー制御モーター
205・・・・CPU
206・・・・印刷制御部
207・・・・画像読取制御部
208・・・・モーター制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配列された複数個の発熱素子を有するサーマル印字ヘッドと、前記サーマル印字ヘッドの温度を検出する温度検出手段と、を備え、前記温度検出手段が検出したサーマル印字ヘッドの温度範囲に応じた印加エネルギー量で、前記サーマル印字ヘッドを駆動するサーマルプリンタにおいて、これから印字しようとする印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出する画素数検出手段と、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記算出手段が算出した印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動することを特徴とするサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記サーマルプリンタは更に、印字画素数の割合とサーマル印字ヘッドの温度と前記サーマル印字ヘッドへの最適な印加エネルギーとの相関データを格納したデータ記憶手段を備え、前記算出手段は、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記データ記憶手段から最適な印加エネルギー量を読み出して前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出することを特徴とする請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記一定領域内に占める印字画素数の割合は1ライン中の印字ドット数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
一列に配列された複数個の発熱素子を有するサーマル印字ヘッドと、前記サーマル印字ヘッドの温度を検出する温度検出手段と、を備え、前記温度検出手段が検出したサーマル印字ヘッドの温度範囲に応じた印加エネルギー量で、前記サーマル印字ヘッドを駆動するサーマルプリンタの印字制御を行う印字制御装置において、これから印字しようとする印字データの一定領域内に占める印字画素数の割合を検出する画素数検出手段と、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動する駆動手段と、を備え、前記駆動手段は、前記算出手段が算出した印加エネルギーでサーマル印字ヘッドの発熱素子を駆動することを特徴とする印字制御装置。
【請求項5】
前記印字制御装置は更に、印字画素数の割合とサーマル印字ヘッドの温度と前記サーマル印字ヘッドへの最適な印加エネルギーとの相関データを格納したデータ記憶手段を備え、 前記算出手段は、前記画素数検出手段によって検出された印字画素数の割合と前記温度検出手段によって検出されたサーマル印字ヘッドの温度とに基づいて前記データ記憶手段から最適な印加エネルギー量を読み出して前記サーマル印字ヘッドへの印加エネルギー量を算出することを特徴とする請求項4に記載の印字制御装置。
【請求項6】
前記一定領域内に占める印字画素数の割合は1ライン中の印字ドット数であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の印字制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−162107(P2008−162107A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353614(P2006−353614)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】