説明

シアンヒドリンの製造方法並びにメタクリル酸アルキルエステルの製造におけるその使用

本発明は、アセトン及び青酸を含有する反応混合物を触媒の存在下でループ型反応器において反応させて、反応生成物としてアセトンシアンヒドリンが形成される、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、前記ループ型反応器は、反応混合物の冷却のための少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのポンプと、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置と、青酸、アセトン及び触媒の供給のためのそれぞれ少なくとも1つの供給口とを有し、その際、触媒の供給を、アセトンもしくは青酸又は両者の供給の下流で行う、アセトンシアンヒドリンの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトンシアンヒドリンの製造方法並びにメタクリル酸アルキルエステルの製造方法であって、本発明により製造できるアセトンシアンヒドリンを使用する製造方法に関する。
【0002】
メタクリル酸アルキルエステルの製造は、しばしば、アセトンシアンヒドリンを出発生成物として用いる少なくとも1つの方法工程を含む。シアンヒドリンは、高められた温度でしばしば熱分解プロセスに付される化合物である。主要な分解生成物としては、この場合にしばしば、再び青酸及びアセトンが形成されるが、しばしばなおも他の副生成物も確認される。
【0003】
シアンヒドリンの分解は、好適な状況下で、しばしば約70℃よりも高い温度で起こる。シアンヒドリンが中間生成物であるか又は更なる反応のための反応物である反応での、例えばメタクリル酸アルキルエステルの製造におけるシアンヒドリンの分解は、このようなシアンヒドリンの熱分解を、直接的に、反応全体で収率低下の形で引き起こす。この理由から、技術水準から公知の多くの刊行物は、相応のシアンヒドリンの熱分解をその製造に際してできる限り十分に抑制することを課題としている。
【0004】
US2006/0111586号A1は、発熱反応工程での更なる加工に際してのシアンヒドリンの分解の減少のための方法であって、シアンヒドリンを、少なくとも1つの反応帯域と混合装置を有するループ型反応器において反応させ、その際、該反応混合物から、発熱反応の範囲で生成した熱と等価の熱量を取り去る形式の方法に関する。この刊行物の実施態様によれば、特に、いわゆる"ホットスポット"は、非常に複雑な反応物の添加順序の提案によって阻止される。しかしながら、提案された方法で問題となるのは、結果的に、示された措置が高い程度の知的な制御能力を必要とし、それにより極めて間違いが起きやすいことである。更に、シアンヒドリンの製造に際して、相応の問題点が検討されていない。
【0005】
従って、本発明の課題は、重視されるメタクリル酸アルキルエステルの製造方法の範囲で使用できる、アセトンシアンヒドリンの製造方法を提供することであった。更に、本発明の課題は、できる限り簡単な反応条件の制御を可能にし、かつできる限り少ない制御労力しか必要とならない、アセトンシアンヒドリンの製造方法を提供することであった。更に、本発明の課題は、同時に簡単な方法操作で、シアンヒドリンの熱分解をできる限り最小限とする、アセトンシアンヒドリンの製造方法を提供することであった。
【0006】
当業者にその技術水準の知識で本文から生まれる本発明の前記課題及び更なる課題は、以下により詳細に記載される方法によって解決される。
【0007】
本発明の要旨
本発明は、アセトン及び青酸を含有する反応混合物を触媒の存在下でループ型反応器において反応させて、反応生成物としてアセトンシアンヒドリンが形成される、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、前記ループ型反応器は、反応混合物の冷却のための少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのポンプと、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置と、青酸、アセトン及び触媒の供給のためのそれぞれ少なくとも1つの供給口とを有し、その際、触媒の供給を、アセトンもしくは青酸又は両者の供給の下流で行う、アセトンシアンヒドリンの製造方法に関する。
【0008】
その場合に、触媒の供給は、例えば、ループ型反応器の位置であって、青酸の供給のための供給口もしくはアセトンの供給のための供給口又は両者の供給口よりも、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口の近くにある位置で行われる。その場合に、触媒の供給について適用できることは、それが、ループ型反応器の位置であって、反応混合物の経路が、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への入口に入る前に、反応混合物が青酸及びアセトンの供給後で反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への入口に入る前に進む経路の高くても30%である位置で行われるということである。
【0009】
反応混合物中での触媒の滞留時間であって供給と該反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置での混合との間の滞留時間は、例えば長くても約10秒である。
【0010】
触媒の供給は、基本的に、連続的にもしくは断続的に行うことができる。ループ型反応器中での反応混合物の温度は、例えば約11℃〜約70℃である。
【0011】
本発明の更なる一実施態様の範囲においては、触媒として、無機塩基もしくは有機塩基、例えば有機アミン又は2種以上の有機アミンからなる混合物が使用される。
【0012】
ループ型反応器からは、好ましくは、連続的にもしくは断続的に反応生成物が取り出され、その際、該反応生成物は、該ループ型反応器を出た後に、1つ以上の熱交換器において約0℃〜約10℃の温度に冷却され、そして本発明の更なる一実施態様の範囲においては、酸と、特に硫酸と混合される。幾らかの場合には、含水率0.1〜8質量%を有する硫酸をその際に使用することが好ましいと見なされる。
【0013】
ループ型反応器から、本発明の方法の範囲において、例えば少なくとも1つの位置で反応混合物のサンプル量を取り出すことができ、その際、該サンプル量は、取り出している間に又は取り出した後に分光分析的に調査される。サンプル採取は、その際、連続的にもしくは断続的に行うことができ、かつ該サンプルは、ループ型反応器へと、その測定後に再び供給することができる。
【0014】
前記反応は、例えば約6.5〜約8のpH値で実施される。
【0015】
また、本発明は、アセトン及び青酸を含有する反応混合物を触媒の存在下でループ型反応器において反応させて、反応生成物としてアセトンシアンヒドリンが形成され、かつ該ループ型反応器が、反応混合物の冷却のための少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのポンプと、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置と、青酸、アセトン及び触媒の供給のためのそれぞれ少なくとも1つの供給口とを有する、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、前記ループ型反応器から、連続的にもしくは断続的に、反応生成物を取り出し、該反応生成物を、ループ型反応器を出た後に1つ以上の熱交換器において温度0〜10℃に冷却し、かつ含水率0.1〜8質量%を有する硫酸と混合する、シアンヒドリンの製造方法に関する。触媒の供給は、その場合に、例えばアセトンもしくは青酸又は両者の供給の下流で行われる。
【0016】
触媒の供給は、その場合に、本発明によれば、同様に、ループ型反応器の位置であって、青酸の供給のための供給口もしくはアセトンの供給のための供給口又は両者の供給口よりも、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口の近くにある位置で行うことができ、例えばループ型反応器の位置であって、反応混合物の経路が、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への入口に入る前に、反応混合物が青酸及びアセトンの供給後で反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への入口に入る前に進む経路の高くても30%である位置で行うことができる。
【0017】
反応混合物中での触媒の滞留時間であって供給と該反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置での混合との間の滞留時間は、この場合に、本発明の好ましい一実施態様の範囲において、長くても約10秒である。
【0018】
触媒の供給は、連続的にもしくは断続的に行うことができ、ループ型反応器中での反応混合物の温度は、例えば約11℃〜約70℃であり、反応に際して、触媒として、無機塩基もしくは有機塩基、例えば有機アミン又は2種以上の有機アミンからなる混合物を使用することができる。
【0019】
本発明によれば、ループ型反応器から、少なくとも1つの位置で反応混合物のサンプル量を取り出し、そして該サンプル量を、分光分析的に調査することができる。サンプル採取は、連続的にもしくは断続的に行うことができ、かつ該サンプルは、ループ型反応器へと、その測定後に再び供給することができる。前記反応は、例えば約6.5〜約8のpH値で実施される。
【0020】
発明の詳細な説明
本発明によれば、アセトン及び青酸からなる反応混合物が、1つのループ型反応器において反応される。本発明によれば、単独のループ型反応器の代わりに、2つ以上のループ型反応器、例えば3つ、4つ又は5つのループ型反応器のカスケードを、製造方法の範囲において使用できることは、同様に可能であり、かつ予定されている。それらのループ型反応器は、その際に、例えば、直列型にもしくは並列型に配置されていてよい。
【0021】
本発明の範囲において使用できるループ型反応器は、反応に関与する物質あるいは反応のために必要な物質の供給のために少なくとも2つの供給口を有する。反応の範囲において必要となる物質には、本文によれば、反応の範囲において必ずしも消費されないが、反応速度の制御のために適している物質も当てはまる。これらの物質には、例えば触媒も当てはまる。
【0022】
反応は、発熱反応である。前記反応の範囲において形成されるアセトシアンヒドリンの分解に抵抗するために、通常は、反応熱を好適な装置によって排出する。該反応は、その場合に基本的に、回分法もしくは連続法として行うことができ、連続様式が好ましい場合には、該反応は、しばしば、相応して取り付けられているループ型反応器中で行われる。
【0023】
高い収率で所望の生成物をもたらす様式の主たる特徴は、しばしば、十分な反応時間で、反応生成物を冷却し、かつ反応の平衡を反応生成物の方向へと動かすことにある。更に、該反応生成物は、好ましい全収率のために、後の後処理において出発物質へと分解することを防止するために、しばしば相応の安定剤と混合される。
【0024】
反応相手であるアセトンと青酸の混合は、基本的に実質的に任意の様式で行うことができる。混合の様式は、特に、不連続な様式、例えばバッチ式反応器での様式か、連続的な様式、例えばループ型反応器での様式のどちらが選択されるかに依存する。
【0025】
基本的に、アセトンを、洗浄塔を有する受容器を介して反応へと供給することが好ましいことがある。アセトンと青酸を含有する排気を導くガス抜き導管を、ここで例えば前記の受容器中に導くことができる。前記受容器に接続されている洗浄塔において、該受容器から出て行く排気をアセトンで洗浄することができ、それによって青酸はその排気から除去され、プロセスへと返送することができる。このために、例えば前記受容器から反応へと導入されるアセトン量の一部は、部分流で、冷却器を介して、好ましくはブライン冷却器を介して、洗浄塔の塔頂へと導かれ、こうして所望の結果が達成される。
【0026】
生産されるべき最終生成物の量の程度に応じて、アセトンを、1つだけよりも多くの受容器から反応へと供給することが好ましいことがある。その際、該2つ以上の受容器の各々は、相応の洗浄塔を有してよい。しかしながら、多くの場合には、該受容器の1つが相応の洗浄塔を備えているだけで十分である。しかしながら、この場合に、しばしば、相応する排気を導く導管であってアセトン及び青酸を輸送しうる導管が、前記の受容器あるいは洗浄塔を介して導かれることに意義がある。
【0027】
前記受容器中でのアセトンの温度は、基本的に、実質的に任意の範囲内であってよいが、それは、相応の温度で液体の状態で存在する場合に限る。しかしながら、好ましくは、前記受容器中の温度は、約0℃〜約20℃である。
【0028】
洗浄塔において、洗浄のために使用されるアセトンは、相応の冷却器を介して、例えばブラインを用いるプレート型冷却器を介して、約0〜約10℃の温度に冷却される。洗浄塔へ入る際のアセトンの温度は、従って、好ましくは例えば、約2℃〜約6℃である。
【0029】
反応の範囲において必要とされる青酸は、液状形もしくは気体形のいずれかで該反応に導入されうる。それは、例えばBMA法もしくはアンドリュッソー(Andrussow)法からの粗製ガスであってよい。
【0030】
シアン化水素は、例えば液化させることができ、例えば相応の冷却ブラインを使用することによって液化させることができる。液化された青酸の代わりに、コークス炉ガスを使用することができる。ここで、例えばシアン化水素を含有するコークス炉ガスは、炭酸カリウムでの洗浄の後に、連続的に向流で、10%の水を含有するアセトンで洗浄され、かつアセトンシアンヒドリンへの反応は、塩基性触媒の存在下で2つのカスケード接続されたガス洗浄塔で実施することができる。
【0031】
更なる一実施態様においては、シアン化水素及び不活性ガスを含有するガス混合物、特にBMA法もしくはアンドリュッソー法からの粗製ガスとアセトンとを、塩基性触媒及びアセトンシアンヒドリンの存在下で気−液−反応器中で反応させることができる。
【0032】
ここに記載される方法の範囲においては、好ましくはBMA粗製ガス又はアンドリュッソー粗製ガスが使用される。上述の通常のシアン化水素の製造方法から得られるガス混合物は、そのままでも又は酸洗浄の後にも使用することができる。メタン及びアンモニアから実質的に青酸及び水素が形成されるBMA法からの粗製ガスは、一般に、22.9容量%のHCN、71.8容量%のH2、2.5容量%のNH3、1.1容量%のN2、1.7容量%のCH4を含有する。公知のアンドリュッソー法においては、メタン及びアンモニア及び空気酸素から青酸及び水が形成される。アンドリュッソー法からの粗製ガスは、酸素源として酸素が使用された場合に、一般に、8容量%のHCN、22容量%のH2、46.5容量%のN2、15容量%のH2O、5容量%のCO、2.5容量%のNH3及びそれぞれ0.5容量%のCH4とCO2を含有する。
【0033】
酸洗浄されていないBMA法もしくはアンドリュッソー法からの粗製ガスを使用する場合に、該粗製ガス中に含まれるアンモニアは、しばしば、反応用の触媒として作用する。該粗製ガス中に含まれるアンモニアは、しばしば、触媒として必要とされる量を超過し、従って安定化のために使用される硫酸の高い損失をもたらしうるので、かかる粗製ガスは、しばしば、そこからアンモニアを排除するために酸洗浄に供される。しかし、かかる酸洗浄された粗製ガスが使用される場合には、その際に、好適な塩基性触媒を触媒量で反応器へと添加せねばならない。原則的に、その場合に、公知の無機もしくは有機の塩基性化合物が触媒として機能しうる。
【0034】
気体形もしくは液状形のシアン化水素あるいはシアン化水素を含有する混合物及びアセトンは、連続的な操作様式の範囲においては、連続的にループ型反応器へと供給される。該ループ型反応器は、その際、アセトンを供給するための少なくとも1つの手段もしくは2つ以上のかかる手段、液状もしくは気体状の青酸の供給のための少なくとも1つの手段もしくは2つ以上のかかる手段、並びに触媒の供給のための少なくとも1つの手段を含む。
【0035】
記載される方法の構成要素の範囲において使用できるループ型反応器は、更に、なおも少なくとも1つのポンプもしくは2つ以上のポンプと、反応混合物の完全混和のための少なくとも1つの混合装置もしくは2つ以上のかかる混合装置とを有する。ポンプとしては、基本的には、ループ型反応器における反応混合物の循環を保証するのに適したあらゆるポンプが適している。
【0036】
触媒の添加は、好ましくはループ型反応器において、ポンプの後で、かつループ型反応器中に存在する混合エレメントの前で行われる。触媒は、記載される反応の範囲において、例えば、全反応が、最大で8のpH値で、特に最大で約7.5もしくは約7のpH値で進行する量で使用される。反応に際してのpH値が、約6.5〜7.5の範囲内、例えば約6.8〜約7.2の範囲内で変動する場合に好ましいことがある。
【0037】
記載される方法の範囲において、ポンプの後でかつ混合装置の前でループ型反応器中に触媒を添加する代わりに、該触媒をアセトンと一緒にループ型反応器中に供給することも可能である。かかる場合には、ループ型反応器への供給前に、アセトンと触媒を相応して混合させるように努めることが好ましいことがある。相応の混合は、例えば可動部を有する混合機の使用によって又は静的混合機の使用によって行うことができる。
【0038】
記載される方法の範囲において運転様式としてループ型反応器中での連続的な操作様式が選択される場合に、反応混合物の状態を、逐一のもしくは継続的な分析によって調査することが適切なことがある。そのことは、場合により、反応混合物中の状態変化にも迅速に対応できるという利点を提供する。更に、ここで例えば、反応相手は、収率損失を最小限にするために、できる限り正確に配量することができる。
【0039】
相応の分析は、例えば反応器ループにおけるサンプル採取によって行うことができる。好適な分析方法は、例えばpH測定、発熱性測定又は好適な分光分析法による反応混合物の組成測定である。
【0040】
特に、転化率制御、品質面及び安全性の範囲において、しばしば、反応混合物中の転化率を、該反応混合物から排出される熱を測定し、理論上放出される熱と比較することが有効であると実証されている。
【0041】
実際の反応は、ループ型反応器の好適な選択に際して、基本的に、該ループ型反応器内部に配置された管系において行うことができる。しかしながら、該反応は発熱反応なので、収率損失を回避するために、十分な冷却あるいは反応熱の十分な排出を顧慮するべきである。該反応を、熱交換器内で、好ましくは管束型熱交換器内で行われる場合に、しばしば好ましいと見なされる。生産されるべき生成物量に応じて、相応の熱交換器の容量は様々に選択することができる。大工業的な方法のためには、特に、約10m3〜約40m3の容量を有する熱交換器が特に適していると見なされる。好ましくは使用される管束型熱交換器は、液体が流過するジャケット内に液体が流過する管束を有する熱交換器である。管直径、充填物密度などに応じて、両方の液体間での熱伝達を、相応して調節することができる。記載される方法の範囲においては基本的に、反応混合物を熱交換器へと管束自体の中で導き、そして反応を該管束内部で行い、その際、熱を、該管束からジャケット液体へと放出させるという趣旨で該反応を行うことが可能である。
【0042】
しかしながら同様に、反応混合物を熱交換器のジャケットに導き、一方で、冷却のために使用される液体を管束内部で循環させることが実践的であり、かつ多くの場合に合理的であると見なされる。その際、多くの場合には、反応混合物を、より高い滞留時間を達成し、かつ流動抵抗を介した、好ましくはそらせ板を介したより良好な完全混和のために、ジャケット内で分配した場合に好ましいと見なされる。
【0043】
ジャケットの容量と管束の容量との比率は、その際、反応器の設計に応じて、約10対1〜約1対10であってよく、好ましくはジャケットの容量は、管束の容量(管の内容量に対する)よりも大きい。
【0044】
反応器からの熱放出は、相応の冷却剤で、例えば水で、反応温度がコリドー内で約25℃〜約45℃、特に約30℃〜約38℃、特に約33℃〜約35℃であるように調整される。
【0045】
ループ型反応器から、連続的に生成物が排出される。該生成物は、上述の反応温度の範囲内の温度、例えば約35℃の温度を有する。該生成物は、1つ以上の熱交換器を介して、特に1つ以上のプレート型熱交換器を介して冷却される。その際、例えばブライン冷却が使用される。冷却後の生成物の温度は、約0〜10℃、特に1〜約5℃であることが望ましい。生成物は、有利には緩衝機能を有する貯蔵容器中に移送される。更に、貯蔵容器中の生成物は、例えば貯蔵容器から、好適な熱交換器への、例えばプレート型熱交換器への部分流の恒常的な排出によって更に冷却し、あるいは好適な貯蔵温度に保つことができる。該貯蔵容器において後反応を行えることは十分に可能である。
【0046】
生成物を貯蔵容器に返送することは、基本的に任意の様式で行うことができる。しかしながら、幾つかの場合に、生成物を、貯蔵容器内で相応の貯蔵された生成物の完全混和が行われるように、1つ以上のノズルからなるシステムを介して貯蔵容器へと返送することが好ましいということが明らかになった。
【0047】
貯蔵容器から、更に、連続的に、生成物は安定化容器へと排出される。そこで、該生成物は、好適な酸と、例えばH2SO4と混合される。その際に、触媒は失活される。
【0048】
本発明の範囲において使用可能なループ型反応器は、運転状態で反応混合物を含有し、かつ該反応混合物を混合するための少なくとも1つの装置を有する。該装置は、ループ型反応器中に存在する反応混合物が、ループ型反応器の一回の通過の間に前記装置を少なくとも一回通過するように配置されている。混合装置としては、可動エレメントを有する混合装置も、また、固定された流動抵抗が予定される、いわゆる静的混合機も好適である。混合装置としては、その際、例えば静的混合機、複数の開口部が設けられた簡単なプレート、ベンチュリ型装置、ノズル型混合機、撹拌装置、他の混合装置、噴霧ノズルなどが、それらがループ型混合機の範囲において、効果的に反応物の混合のために使用できる限りは適している。相応の混合装置は、例えば外部エネルギー供給によって混合プロセスを行うことができる。しかしながら、反応物の混合は、もっぱらループ型反応器において反応混合物中に存在する運動エネルギーによって行われる場合に、同様に可能であり、かつ本発明の範囲において更なる一実施態様において好ましい。合理的なことに、そのように存在する運動エネルギーは、例えば静的混合機によって活用されうる。静的混合機を使用する場合には、例えば少なくとも約10バール、例えば少なくとも約15バール又は少なくとも約20バールの運転時過圧を、運転条件下で実質的な機能的制限無く可能にする混合機が適している。相応の混合機は、プラスチックもしくは金属から成っていてよい。プラスチックとしては、例えばPVC、PP;HDPE、PVDF、PFAもしくはPTFEが適している。金属製混合機は、例えばニッケル合金、ジルコニウム、チタンなどから成っていてよい。同様に、例えば方形混合機が適している。
【0049】
青酸とアセトンとのアセトンシアンヒドリンへの反応は、本発明によれば、触媒の存在下に進行する。触媒としては、基本的に、塩基性化合物、例えば無機の塩基性の化合物もしくは有機の塩基性の化合物が適している。例えば、任意のアルカリ性化合物、例えばアンモニア、苛性ソーダ液もしくは苛性カリ液であって、アセトン及び青酸のアセトンシアンヒドリンへの反応を触媒しうる化合物が適している。好適な無機の塩基性の化合物には、例えば金属酸化物もしくは金属水酸化物、特にアルカリ金属の水酸化物もしくはアルカリ金属のアルコレートが当てはまり、その際、アルカリ金属とは、本文の範囲では、リチウム、ナトリウム及びカリウムを表す。本発明による方法のルビジウム及びセシウムの相応の化合物での実施は安全に可能であるが、通常は、経済的な検討で失敗する。
【0050】
本発明の更なる一実施態様において、かつ多くの場合に好ましい実施態様において、本発明による方法の実施のためには、有機塩基が使用される。有機塩基としては、基本的に、本発明による反応に悪影響を及ぼさないあらゆる有機化合物が適しており、該化合物は、さらに本発明により製造されるシアンヒドリンが一体になった更なる方法の範囲で、例えばメタクリル酸アルキルエステルの製造のための方法の範囲で使用されるべき場合に、容易に反応混合物から除去でき、又は反応混合物に残留する場合に更なる段階で悪影響を有さないものである。
【0051】
特に、本発明の更なる一実施態様の範囲において、有機塩基としてアミンが好ましい。触媒として、有機触媒、特にアミンが使用される場合に、好ましいことが判明している。例えば、第二級アミンもしくは第三級アミン、例えばジエチルアミン、ジプロピルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミンなどが適している。
【0052】
本発明によれば、反応に関与する個々の物質の添加は、以下のように行われることが好ましいことが明らかになった。反応物と該反応と支援する触媒との特に緊密な混合が行われるため、規定の時点まで触媒の添加の必要性がある場合に、触媒は反応混合物へと供給されて、互いに反応される化合物のできる限り良好な混合が行われ、他方で、触媒と反応物との間の混合は、同様にできる限り迅速にかつ念入りに行われるため、完全なあるいは十分に完全な均質化までにできる限り短時間しか経過しない。
【0053】
この目的のため、本発明によれば、ループ型反応器における、反応物、すなわちアセトン及び青酸のための添加位置と、触媒の添加位置と、混合装置の添加位置との間で規定の関係性が存在する場合に好ましいことが判明した。ここで、本発明によれば、例えば、両方の反応物であるアセトンと青酸の添加箇所もしくは添加位置が、比較的近くに隣り合って並んでいる場合に好ましいことがある。例えば、アセトンのための添加箇所と青酸のための添加箇所とは、ループ型反応器の全長の20%未満、特にループ型反応器の全長の10%未満である間隔だけ隔たれていてよい。
【0054】
この配置は、反応物の添加の後で、できる限り迅速に既に反応物の混合を行えるという点で好ましい結果をもたらす。しかしながら、前記の箇所で既に高い触媒濃度に基づき、反応が、局所的な過剰加熱領域の形成が考慮されるほど迅速に進行することはない。本発明によれば、更に、アセトンの添加箇所もしくは青酸の添加箇所からループ型反応器中の反応物の混合のための装置(好ましくは静的混合装置である)までの間隔を、それがループ型反応器の全長の約50%ないし約75%であるように選択する場合に好ましいものと判明した。
【0055】
更に、本発明の範囲においては、以下の場合に、場合により好ましいと見なされる。それは、触媒のための添加位置を、触媒の添加位置とループ型反応器中の反応混合物の混合のための装置との間の間隔が、アセトンのための添加位置もしくは青酸のための添加位置の間に位置する間隔の多くとも50%であり、それに応じてこれらの添加位置がループ型反応器中の反応混合物の混合のための装置のより近くに位置するように選択される場合である。本発明の更なる好ましい実施態様においては、触媒の添加位置とループ型反応器中の反応混合物の混合のための装置との間の間隔は、アセトンもしくは青酸の添加位置に対して、両方の添加位置のどちらが、ループ型反応器中の反応混合物の混合のための装置のより近くにあるかに応じて、高くても約30%もしくは高くても約20%もしくは高くても約10%もしくは高くても約5%である。
【0056】
反応物もしくはその他の反応助剤用の、特に触媒用の添加位置の前記の配置は、ループ型反応器中での反応の安定性に関しては一連の利点を有する。ループ型反応器中の反応混合物の混合のための装置からの距離において、特に触媒用の添加位置からの距離において、アセトンと青酸の添加位置を選択することによって、好ましくは、触媒と反応混合物との接触の前に、既に反応物の混合が、既に十分に均質な混合物が触媒に向けられるように行うことができることとなる。これによって、局所的な濃度最大値は十分に回避され、これは、均一な反応を保証し、さらに、分離による低いアセトンシアンヒドリンの損失に基づき収率向上がもたらされる。触媒用の添加位置を、反応混合物の混合のための装置の直近に配置することによって、更に、反応混合物及びそれと一緒に添加される触媒の迅速な均質化が保証される。ここでも、明らかに改善された均質化と迅速な均質化によって、局所的な濃度勾配の形成が低減され、更に収率を高められることが示される。
【0057】
本発明の更なる一実施態様の範囲において、更に、ループ型反応器が、反応器ループ内部に存在する少なくとも1つのポンプを有する場合に好ましいことが明らかになった。本発明の更なる一実施態様の範囲においては、ポンプは、ループ型反応器中に、それらが反応物のアセトンと青酸のための添加位置と、触媒の添加位置との間に配置されるように取り付けられている。
【0058】
反応混合物は、反応器中で、該反応混合物が、ループ型反応器の運転の間に、実質的に同じままの温度を有するように冷却される。温度変動は、その際、好ましくは約20℃未満、例えば約10℃未満、又は約5℃未満である。
【0059】
その際、好ましくは少なくとも1つの熱交換器は、ループ型反応器中に、該反応混合物が運転中に、ループ型反応器を1回通過するごとに少なくとも1回熱交換器を通過するように配置されており、場合により2もしくは3個の熱交換器が直列的にもしくは並列的に反応混合物を冷却しうる。その際、冷却は好ましくは水によって行われるが、基本的にはあらゆる別の冷却剤も本発明の範囲においては適している。反応混合物中の温度は、10〜約60℃の温度に、特に約30〜約40℃の温度に、本文中に記載されるように調節される。
【0060】
反応混合物は、ループ型反応器から、連続的にもしくは断続的に、しかし好ましくは連続的に取り出すことができる。ループ型反応器から取り出された反応混合物は、好ましくはなおも更に下げることが望ましい温度を有する。このためには、本発明の範囲においては、本発明の対象の更なる実施態様の範囲において、排出された反応混合物を、更なる熱交換器を介して、好ましくはプレート型熱交換器を介して、10℃未満の温度に、好ましくは約0〜約5℃の温度に冷却する。
【0061】
引き続き、該混合物は、上述の貯蔵容器へと移送され、例えばそこで後反応を行うことができる。該容器は、好ましくは、内容物の一部が該容器から恒常的に排出され、更なる熱交換器を介して該容器に設定された温度、例えば約0〜約5℃に冷却され、そして引き続き該容器中に変換されるように循環される。該容器への返送と、特に該容器中にすでに存在する混合物への供給は、本発明の更なる実施態様の範囲においては、好ましくは、返送される材料の流れが、該容器中に存在する反応生成物の完全混和に努めるように選択される。例えば、取り出された混合物の該容器へのかかる返送は、相応して適したノズルを介して行うことができる。
【0062】
引き続き、該容器中に存在する材料は、断続的にもしくは連続的に、更なる容器へと移送され、そこで生成物の安定化が行われる。安定化は、本発明の更なる実施態様の範囲においては、酸によって、特に鉱酸によって行われる。適しているのは、例えば約0.1〜約10%の、例えば約0.5〜約8%の、又は約1〜約6%の含水率を有する硫酸である。酸の添加量は、その際、混合物中に設定されるpH値に依存する。例えばpH値が約1〜約4の値に、特に約1.5〜約2.5の値に、例えば2の値に調整される場合に殊に適していることが明らかとなった。
【0063】
反応生成物としての粗製のアセトンシアンヒドリンは、引き続き精製に供される。塔を介した精製、特に約10〜約18個の塔トレイを有する精留塔を介した精製は、その際、多くの場合に適していることが明らかになった。粗製アセトンシアンヒドリンは、精留塔へと、該塔の上から三分の一で供給することができる。アセトンシアンヒドリンの温度は、その際、基本的に約0〜約100℃であってよい。種々の場合に、生成物の予熱を行うことがその際好ましいことが判明した。好ましくは、生成物の予熱は、例えば精留塔から排出された精製済みのアセトンシアンヒドリンとの熱交換によって行われる。かかる熱交換において、例えば約100℃の温度を有するアセトンシアンヒドリンを塔底部から取り出し、そして精製されたアセトンシアンヒドリンとの熱交換の範囲で約60〜約80℃の温度に冷却され、その際、熱伝達は、塔中に供給されるアセトンシアンヒドリンがほぼ同じ温度にされるように調整される。
【0064】
本発明の更なる対象は、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、アセトン及び青酸を含有する反応混合物を触媒の存在下でループ型反応器において反応させて、反応生成物としてアセトンシアンヒドリンが形成され、かつ該ループ型反応器が、反応混合物の冷却のための少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのポンプと、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置と、青酸、アセトン及び触媒の供給のためのそれぞれ少なくとも1つの供給口とを有する、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、前記ループ型反応器から、連続的にもしくは断続的に、反応生成物を取り出し、該反応生成物を、ループ型反応器を出た後に1つ以上の熱交換器において温度0〜10℃に冷却し、かつ含水率0.1〜8質量%を有する硫酸と混合する、アセトンシアンヒドリンの製造方法にある。
【0065】
本発明によれば、本発明により得される反応生成物を、含水率0.1〜8質量%、例えば含水率約0.5〜約7質量%もしくは約1〜約6質量%もしくは約2〜約5質量%もしくは約3〜約4.5質量%、例えば4質量%を有する硫酸で処理することによるアセトンシアンヒドリンの収率は、優れた安定化を達成できることが示された。更に、かかる処理は、後続の方法で使用するための準備として、特に後続の段階として例えばアセトンシアンヒドリンのアミド化が行われる一体になったメタクリル酸アルキルエステルの製造のための方法で使用するための準備として適している。
【0066】
本発明の範囲において提案される措置は、単独でも、別々にも、アセトンシアンヒドリンの製造のための方法での収率の向上のために適している。該措置は、その際、任意の組み合わせで使用することができ、本文の教示は、その際、かかる組み合わせも明確に含んでいる。
【0067】
本発明の方法は、特にメタクリル酸アルキルエステルの製造方法に導入するために特に良好に適しているという趣旨で、一連の利点を有する。本方法は、特に純粋な生成物を高い収率でもたらす。従って、本発明の対象は、メタクリル酸アルキルエステルの製造方法であって、少なくとも1段階において、本発明により得ることができるアセトンシアンヒドリンを使用する方法でもある。
【0068】
以下に、種々の方法の構成要素を説明するが、それらは、基本的に単独でもしくは2つ以上の上述の方法の構成要素からなる集合として本発明と組み合わせることができる。場合により、本文の範囲において説明された方法の構成要素が、組み合わされて全体としてメタクリル酸のエステルの製造方法又はメタクリル酸の製造方法となるように、本発明と組み合わされる場合に好ましことがある。しかしながら、大抵は好ましい効果は、本発明の対象をそのままで他の周囲状況で使用するかもしくは本願で説明された方法の構成要素の一部とのみ組み合わせる場合に達成できることも指摘される。
【0069】
ACH−後処理
本発明との関連で使用できる更なる方法の構成要素の範囲においては、前方に位置する工程で、例えばアセトンと青酸との反応から得られたアセトンシアンヒドリンは、蒸留による後処理に供される。その際、安定化された粗製アセトンシアンヒドリンは、相応の塔を介して低沸点成分が分離される。好適な蒸留方法は、例えば1つの塔のみを介して行うことができる。しかし同様に、粗製アセトンシアンヒドリンの相応の後精製の範囲において、2つ以上の蒸留塔の組合せを、流下薄膜型蒸発器と組み合わせて使用することも可能である。更に、2つ以上の流下薄膜型蒸発器もしくは2つ以上の蒸留塔を互いに組み合わせることもできる。
【0070】
粗製アセトンシアンヒドリンは、一般に、約0〜約15℃の温度で、例えば約5〜約10℃の温度で貯蔵から蒸留へと至る。基本的に、粗製アセトンシアンヒドリンは、直接的に塔へと導入することができる。しかしながら、幾つかの場合に、少なくとも粗製の冷却されたアセトンシアンヒドリンが、熱交換器を介して、既に蒸留により精製された生成物の一部の熱を受け取る場合に有効であると実証された。従って、本願記載の方法の更なる実施態様の範囲において、粗製アセトンシアンヒドリンは、熱交換器を介して約60〜80℃の温度に加熱される。
【0071】
アセトンシアンヒドリンの蒸留による精製は、10個より多いトレイを有する蒸留塔を介してもしくは2個以上の相応の好適な蒸留塔のカスケードを介して行われる。塔底物の加熱は、好ましくは蒸気で行われる。塔底温度は、140℃の温度を超過しない場合に好ましいことが明らかとなり、良好な収率及び良好な精製は、塔底温度が約130℃以下又は約110℃以下である場合に達成できる。温度の表示は、その際、塔底物の壁温度に対するものである。
【0072】
粗製のアセトンシアンヒドリンは、塔の上三分の一において塔本体に供給される。蒸留は、好ましくは減圧下で、例えば約50〜約900ミリバールで、特に約50〜約250ミリバールで、かつ良好な成果をもって50〜約150ミリバールで実施される。
【0073】
塔頂部では、気体状の不純物、特にアセトン及び青酸が取り出され、分離された気体状の物質は、熱交換器もしくは2個以上の熱交換器のカスケードを介して冷却される。この場合に、好ましくは温度約0〜約10℃でブライン冷却が使用される。その際、気体状の排出蒸気の内容物は、凝縮するための設備に入れられる。第一の凝縮段階は、例えば常圧で行うことができる。しかしながら、前記の第一の凝縮段階を減圧下で、好ましくは蒸留の範囲で優勢な圧力で行うことは同様に可能であり、かつ幾つかの場合には好ましいものと見なされる。凝縮物は、冷却された回収容器中に転送され、そこで約0〜約15℃の温度で、特に約5〜約10℃の温度で回収される。
【0074】
第一の凝縮段階の範囲において、凝縮されない気体状の化合物は、真空ポンプを介して真空室から取り出される。この場合に、基本的に任意の真空ポンプを使用できる。しかしながら多くの場合に、その構造に基づきガス流中に液状の不純物の侵入はもたらされない場合に好ましいと見なされる。好ましくは、ここで従って例えば、乾式に運転される真空ポンプが使用される。
【0075】
ポンプの圧力側に漏れ出るガス流は、更なる熱交換器に導かれ、それは好ましくはブラインによって約0〜約15℃の温度で冷却される。その際に凝縮された内容物は、同様に、既に真空条件下で得られた凝縮物を収容する回収容器に回収される。真空ポンプの圧力側で行われる凝縮は、例えば熱交換器によって、しかしまた2つ以上の直列的並列的に配置された熱交換器のカスケードを用いても実施できる。この凝縮段階の後に残留物気体状物質は、排出され、そして任意の更なる利用、例えば熱的利用に供される。
【0076】
回収された凝縮物は、同様に任意に更に使用することができる。しかしながら、経済的観点で、該凝縮物をアセトンシアンヒドリンの製造のための反応に返送することは、更に好ましいものと見なされる。それは、好ましくは1つ以上の、ループ型反応器への到達が可能な位置で行われる。凝縮物は、アセトンシアンヒドリンの製造を妨害しない限り、基本的に任意の組成を有してよい。多くの場合に、大部分の凝縮物の量は、しかし、例えば約2:1〜約1:2のモル比で、しばしば約1:1の比率で、アセトンと青酸とから成る。
【0077】
蒸留塔の塔底部から得られるアセトンシアンヒドリンは、まず、第一の熱交換器を介して、供給される冷えた粗製アセトンシアンヒドリンによって約40〜約80℃の温度に冷却される。引き続き、アセトンシアンヒドリンは、少なくとも1つの更なる熱交換器を介して、約30〜約35℃の温度に冷却され、そして場合により中間貯蔵される。
【0078】
アミド化
しばしばメタクリル酸もしくはメタクリル酸のエステルの製造において予定されている更なる方法の構成要素の範囲において、アセトンシアンヒドリンは加水分解に供される。その際、種々の温度段階で、一連の反応後に生成物としてメタクリルアミドが形成される。
【0079】
該反応は、当業者に公知のようにして、濃縮された硫酸とアセトンシアンヒドリンとの間の反応によってもたらされる。該反応は発熱反応なので、好ましくは反応熱は該系から排出される。
【0080】
該反応は、またここで再び、回分法もしくは連続法で実施することもできる。後者が、多くの場合に好ましいと見なされる。該反応を連続法の範囲で実施する限りは、ループ型反応器の使用が有効であると実証される。該反応は、例えば1つだけのループ型反応器中で行うことができる。しかし、該反応を2つ以上のループ型反応器のカスケードで実施する場合に好ましいことがある。
【0081】
好適なループ型反応器は、記載される方法の範囲においては、アセトンシアンヒドリンの1つ以上の供給位置、濃縮された硫酸の1つ以上の供給位置、1つ以上のガス分離器、1つ以上の熱交換器及び1つ以上の混合機を有する。
【0082】
アセトンシアンヒドリンを硫酸により加水分解してメタクリルアミドとすることは、既に記載したように発熱反応である。該反応の範囲で生ずる反応熱は、しかし少なくとも十分に該系から取り出さねばならない。それというのも、反応に際して温度が高まると収率が下がるからである。確かに、基本的に、相応の熱交換器を使用して、反応熱の迅速かつ全面的な排出を達成することができる。しかしながら、該熱交換器での相応の交換のために十分な熱伝達が必要なので、該混合物が極めて冷却されすぎるという欠点も伴うことがある。
【0083】
温度が下がると混合物の粘度も激しく下がるので、一方でループ型反応器中での循環が困難になり、他方で、該系から反応エネルギーを十分に排出することがもはや保証できなくなる。
【0084】
更に、反応混合物の低すぎる温度は、熱交換器での反応混合物の内容物の結晶化をもたらすことがある。それによって、熱伝達は更に粗悪になり、それによって明らかな収率減退が記録されることとなる。更に、ループ型反応器は、最適な量の反応物を充填できないので、全体的に方法効率に問題がある。
【0085】
本方法の実施態様の範囲において、アセトンシアンヒドリンの流れから、一部の、好ましくは約2/3ないし約3/4の体積流量が第一のループ型反応器に供給される。好ましくは、第一のループ型反応器は、1つ以上の熱交換器、1つ以上のポンプ、1つ以上の混合エレメント及び1つ以上のガス分離器を有する。第一のループ型反応器を通過する循環流は、好ましくは約100〜450m3/hの、好ましくは200〜400m3/hの、更に好ましくは約250〜35m3/hの範囲である。第一のループ型反応器に続く少なくとも1つの更なるループ型反応器において、循環流は、好ましくは約40〜450m3/h、好ましくは50〜400m3/hの範囲、更に好ましくは約60〜350m3/hの範囲である。更に、熱交換器にわたる温度差としては、約1〜10℃が好ましく、その際、約2〜7℃が特に好ましい。
【0086】
アセトンシアンヒドリンの供給は、基本的に任意の位置でループ型反応器へと行うことができる。しかしながら、混合エレメント、例えば可動部を有する混合機もしくは静的混合機への供給を行う場合に好ましいと見なされる。硫酸の供給は、好ましくはアセトンシアンヒドリンの添加前に行われる。しかし、他にも同様に、硫酸を任意の位置でループ型反応器へと供給することも可能である。
【0087】
ループ型反応器中の反応物の比率は、過剰の硫酸が存在するように制御される。硫酸の過剰は、内容物のモル比に対して、第一のループ型反応器において、約1.8:1〜約3:1であり、かつ最後のループ型反応器において、約1.3:1〜約2:1である。
【0088】
幾つかの場合に、係る過剰な硫酸でループ型反応器中の反応を行うことが好ましいと見なされる。ここで例えば硫酸は、溶剤として用いられ、該反応混合物の粘度を低く保持し、それによって高い反応熱の排出と反応混合物の低い温度を保証することができる。そのことは、明らかな収率上の利点をもたらしうる。該反応混合物中の温度は、約90〜約120℃である。
【0089】
熱排出は、1つ以上の熱交換器によってループ型反応器中で保証される。その際、熱交換器が好適なセンサを冷却出力の調節のために有し、こうして反応混合物の激しすぎる冷却を上述の理由から防ぐことが好ましいものと見なされる。ここで、例えば、熱伝達を、1もしくは複数の熱交換器で点状にもしくは連続的に測定し、そしてそれに熱交換器の冷却出力を適合させることが好ましいことがある。そのことは、例えば冷却剤自体を介して行うことができる。また同様に、反応物の添加の相応の変更によって、かつより多くの反応熱の生成によって、相応の反応混合物の加熱を達成することもできる。両方の手法の組み合わせも考慮できる。ループ型反応器は、更に、少なくとも1つのガス分離器を有することが望ましい。該ガス分離器を介して、一方でループ型反応器から、連続的に形成された生成物が取り出される。他方で、該反応の範囲において形成されたガスは、ここで反応室から抜き出すことができる。ガスとして、主に一酸化炭素が形成される。ループ型反応器から取り出された生成物は、好ましくは第二のループ型反応器に移送される。この第二のループ型反応器では、第一のループ型反応器中の反応によって得られた硫酸とメタクリル酸アミドを含む反応混合物を、残りのアセトンシアンヒドリンの部分流と反応させる。この場合に、第一のループ型反応器からの過剰の硫酸もしくは過剰な硫酸の少なくとも一部は、アセトンシアンヒドリンと反応して、更にメタクリル酸アミドを形成する。2つ以上のループ型反応器での反応の実施は、第一のループ型反応器中での硫酸の過剰に基づいて、反応混合物のポンプ圧送可能性と、それによる熱伝達性と、最後に収率が改善されるという利点を有する。第二のループ型反応器においては、再び、少なくとも1つの混合エレメント、少なくとも1つの熱交換器及び少なくとも1つのガス分離器が配置されている。第二のループ型反応器中の反応温度は、同様に、約90〜約120℃である。
【0090】
反応混合物のポンプ圧送可能性、熱伝達性及びできる限り低い反応温度の問題は、それぞれの更なるループ型反応器において、第一のループ型反応器と全く同じようにある。従って、好ましくは、第二のループ型反応器は、冷却出力を相応のセンサによって制御できる熱交換器を有する。
【0091】
アセトンシアンヒドリンの供給は、更に、好適な混合エレメント中で、好ましくは静的混合機中で行われる。
【0092】
第二のループ型反応器のガス分離器から、生成物が取り出され、そして反応を完全なものとしかつメタクリル酸アミドの形成のために、約140〜約180℃の温度に加熱される。
【0093】
その加熱は、好ましくは、最大温度が、できる限り短い時間の間だけ、例えば約1分〜約30分の時間にわたって、特に約2〜約8分もしくは約3〜約5分の時間にわたって達成されるように実施される。そのことは、基本的に任意の装置において、かかる温度の達成のために、そのように短い時間にわたり行うことができる。例えば、エネルギー供給は、連続的な経路で電気エネルギーによってもしくは蒸気によって行うことができる。しかしながら同様に、エネルギーを電磁線、例えばマイクロ波によって供給することが可能である。
【0094】
種々の場合に、加熱工程を、2段階以上の螺旋管の配置を有する、好ましくは少なくとも二重の反転配置で存在してよいものを有する熱交換器中で実施することが好ましいものと見なされる。その際、反応混合物は、迅速に、約140〜180℃の温度に加熱される。
【0095】
該熱交換器は、例えば1つ以上のガス分離器と組み合わせることができる。ここで、例えば、反応混合物を、熱交換器中の第一の螺旋管を出た後にガス分離器に導くことが可能である。その際に、例えば反応の間に生成した気体状の成分を反応混合物から分離することができる。同様に、反応混合物を、第二の螺旋管を出た後にガス分離器で処理することが可能である。更に、両方の位置で、第一の螺旋管を出た後でも、第二の螺旋管を出た後でも、反応混合物をガス分離器で処理することが好ましいものと見なされる。
【0096】
こうして得られるアミド溶液は、一般に100℃より高い温度、通常は約140〜180℃の温度を有する。
【0097】
アミド化の範囲において生ずる気体状の化合物は、基本的に任意のように廃棄されるか、又は更なる処理に供給される。しかし、幾つかの場合には、相応のガスを1つの輸送導管で、連続的にか、又は必要であれば場合により圧力をもって、例えば蒸気圧をもって吹き込み、こうして更なる輸送ができるように一緒にする場合に好ましいことがある。
【0098】
エステル化
1つの方法の構成要素となる更なる段階であって、本発明の範囲において本発明による方法の関連で使用できるものは、メタクリル酸アミドの加水分解によるメタクリル酸の生成と、その同時のエステル化によるメタクリル酸エステルの生成である。前記反応は、1つ以上の加熱される、例えば蒸気加熱されるタンクで行うことができる。多くの場合において、エステル化を、少なくとも2つの連続したタンク中で、例えばまた3もしくは4もしくはそれ以上の連続したタンク中で実施することが好ましいと見なされる。その際に、メタクリル酸アミドの溶液は、タンク中に、あるいは2つ以上のタンクを含むカスケードの第一のタンク中に供給される。
【0099】
しばしば、相応のエステル化反応を、2つ以上のタンクのカスケードをもって行うことが好ましい。以下に、従ってもっぱら前記の別形が引き合いにだされる。
【0100】
ここに記載される方法の範囲において、例えばここに記載されるアミド化反応から得られるアミド溶液を、第一のタンク中に供給することができる。該タンクは、例えば蒸気で加熱される。供給されるアミド溶液は、一般に高められた温度を有する、例えば約100〜約180℃の温度を有し、それは上記説明のアミド化反応からのアミド溶液の排出温度に相当する。前記のタンクに、更に、エステル化のために使用できるアルカノールが供給される。
【0101】
基本的に、ここで、1〜約4個の炭素原子を有し、直鎖状もしくは分枝鎖状の、飽和もしくは不飽和であってよい任意のアルカノールが適しており、その際、メタノールが特に好ましい。同様に、このアルカノールは、メタクリル酸エステルと一緒に使用することができ、これは特にエステル交換の場合がそれである。
【0102】
該タンクには、更に水が充填されるので、全体としてタンク中の水濃度は、約13〜約26質量%、特に約18〜約20質量%が占めている。
【0103】
アミド化溶液とアルカノールの量は、アミドとアルカノールとの全モル比が約1:1.4〜約1:1.6を占めるように調節される。アルカノールは、タンクカスケードに、第一の反応器においてモル比約1:1.1〜約1:1.4であり、後続の反応段階において全アミド流に対してモル比約1:0.05〜約1:0.3に設定されるように分配することができる。エステル化に供給されるアルカノールは、"新たなアルカノール"から、並びに後処理段階の再循環流からのアルカノールから、そして必要であればまた、生産装置の下流プロセスの再循環流からも構成されてよい。
【0104】
第一のタンクを水で充填することは、基本的に、任意の起源からの水を、この水が、エステル化反応もしくは後続の方法工程に悪影響を及ぼし得る内容物を有さない場合にタンクに供給するという趣旨で行うことができる。例えば、タンクには脱塩水もしくは井戸水を供給してよい。しかし同様に、該タンクに水と、例えばメタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの精製の際に生ずる有機化合物との混合物を供給することも可能である。ここに説明される方法の好ましい一実施態様の範囲においては、該タンクは、少なくとも部分的に水及びかかる有機化合物との混合物で充填される。
【0105】
2つ以上のタンクのカスケードをエステル化反応の範囲において使用する場合に、生成する気体状の物質を、特にメタクリル酸エステルを、基本的にそれぞれのタンクから個々に取り出し、精製に供給することができる。しかしながら、かなりの場合に、2つ以上のタンクのカスケードの場合に気体状の生成物を第一のタンクからまず第二の反応タンクへと供給するが、該気体状の化合物は第一のタンクから直接的に精製に供給しないことが好ましいと見なされる。この方法様式は、第一のタンクにおいてしばしば激しい気泡形成に、高価な装置的な消泡によって対処する必要がないという利点を与える。気体状物質を第一のタンクから第二のタンクへとカスケード化する場合に、第一のタンクで形成された、場合により連行される気泡は、容易に第二のタンクの反応室へと一緒に入る。そこで一般に気泡形成は明らかに低いので、装置的に消泡する必要はない。
【0106】
第一のタンク後に配置された第二のタンクは、一方で第一のタンクの溢れを収容するが、他方で、それは、気体状の第一のタンクで形成された又は第一のタンクに存在する物質と一緒に供給される。第二のタンク及び場合により後続のタンクは、同様にメタノールで充填される。この場合に、タンクとタンクとのメタノール量は、それぞれ前方に存在するタンクに対して少なくとも10%だけ高まることが好ましい。第二のタンク中の、並びに更なるタンク中での水濃度は、第一のタンクのそれとは異なってよいが、しばしばその濃度差は僅かである。
【0107】
第二のタンク中で生成する排出蒸気は、該タンクから排出され、そして蒸留塔の塔底部に導入される。
【0108】
エステル化を3つ以上のタンクのカスケードで実施する場合に、第二のタンクの溢れのそれぞれは、第三のタンクに移送され、並びに第三のタンクの溢れは、場合により第四のタンクへ移送される。更なるタンクは、同様に蒸気加熱される。好ましくは、タンク3と、場合により4中の温度は、約120℃〜約140℃に調節される。
【0109】
該タンクから発生した排出蒸気は、蒸留塔に導入され、その際、これは好ましくは蒸留塔の下方領域で行われる。該排出蒸気は、キャリヤー蒸気、メタクリル酸エステル及びアルカノールからの共沸混合物を含み、かつ使用されるアルカノールに応じて、約60〜約120℃、例えば約70〜約90℃の温度をメタノールの使用に際して有する。蒸留塔において、メタクリル酸エステルは、気体状で、より高い温度で沸騰する排出蒸気成分から分離される。高沸点成分(主にメタクリル酸アミド、ヒドロキシイソ酪酸エステル及び水)は、第一の反応タンクに返送される。形成されたメタクリル酸エステルは、塔頂部で抜き出され、そして熱交換器又は2つ以上の熱交換器のカスケードを介して冷却される。幾つかの場合に、メタクリル酸エステルの冷却を少なくとも2つの熱交換機を介して行い、その際、水を用いる第一の熱交換器は、凝縮と、約60℃から約30℃までの温度への冷却を実施し、一方で、第二のブライン冷却される熱交換器は、約5℃から約15℃までの冷却を行う場合に有効であると実証された。水冷された凝縮物から、部分流を、塔の濃度制御のために、該塔に還流として入れることができる。しかしながら、同様に、形成されたメタクリル酸エステルを2つより多くの熱交換器のカスケードを介して冷却することも可能である。その際、例えば、まず冷却を2つのカスケード接続された水冷式の熱交換器を介して行い、引き続き相応のブライン冷却式の熱交換器を介して更なる冷却を達成することが可能である。
【0110】
ここで、例えば、ここで説明された方法の範囲において、形成されたメタクリル酸エステルは、気体状の状態で、第一の熱交換器を介して水冷によって冷却することができる。凝縮された物質も、凝縮されていない物質も、引き続き第二の熱交換器に更に導き、そこで更なる凝縮を水冷によって行う。この位置で、例えば気体状の物質は、別々のブライン冷却式の熱交換器に移送することができる。このブライン冷却式の熱交換器中の凝縮物を、引き続き蒸留物流に入れ、一方で、残留する気体状の物質を更に利用でき、又は廃棄へと供給することができる。第二の水冷式の熱交換器からのメタクリル酸エステル−凝縮物は、ここで水もしくはブラインで冷却される熱交換器中で、15℃未満の温度に、好ましくは約8〜約12℃の温度に冷却される。この冷却段階は、形成されたメタクリル酸エステルが、相応の冷却段階を行わない場合よりも明らかに低いギ酸含有量を有することに導く。冷却された凝縮物は、引き続き相分離器に移送される。ここで、有機相(メタクリル酸エステル)は水相と分離される。水の他に更に、蒸留段階からの有機化合物、特にアルカノールの含量を有する水相は、基本的に任意に更に使用することができる。しかし既に上述したように、この水と有機化合物の混合物を、再びエステル化プロセスに返送し、そこで第一の反応タンクへの供給を行うことが好ましいことがある。
【0111】
分離された有機相は、洗浄器中に供給される。そこで、メタクリル酸エステルは脱塩水で洗浄される。分離された水相であって、水と有機化合物、特にアルカノールの混合物を含有する相を、再び基本的には任意に更に使用することができる。しかし、経済的観点では、水相を再びエステル化工程に返送し、そこで例えば第一のタンクに供給することが好ましい。
【0112】
メタクリル酸エステルは、強い重合傾向を有するので、多くの場合には、メタクリル酸のエステル化の範囲においては、かかる重合を防ぐために配慮がなされる場合に好ましい。
【0113】
メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの製造のためのプラントにおいては、重合は、しばしば、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルが一方で僅かな流動速度を有するため、局所的な静止帯域が形成され、そこで長い時間にわたってメタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルと重合抑制剤との継続的な接触を起こすことができ、その結果として重合に導きうる場合に行われる。
【0114】
相応の重合挙動を回避するために、物質流の最適化を、一方でメタクリル酸エステルもしくはメタクリル酸の流動速度が系中のできる限り全ての位置で、静止帯域の数が最小限となるほど高いという趣旨で実施することが好ましいことがある。更に、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの流れは、好適な安定剤と、重合が十分に抑制されるように混合されることが好ましいことがある。
【0115】
この目的のために、ここで示される方法の範囲において、基本的に、物質流を、できる限り僅かな重合しか該系自体で行われないように混合することができる。このために、特にメタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルが蒸留の間にもしくはその後に高い濃度で存在するプラントの一部に、相応の安定剤を供給する。
【0116】
ここで、例えば蒸留塔の塔頂部で、そこで排出されるメタクリル酸エステルの流れに安定剤を供給することが合理的であると見なされる。更に、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルが約20℃より高い温度で、好ましくは約20〜約120℃の範囲の温度で循環されるそのプラント部分に、メタクリル酸エステル中の安定剤の溶液を噴霧することが好ましいと見なされる。ここで、例えば熱交換器中で生ずる凝縮物の一部を、好適な安定剤と一緒に、そこで塔頂部に、その内側で恒常的に安定化されたメタクリル酸エステルもしくは安定化されたメタクリル酸で噴霧されるように蒸留塔の塔頂部に返送される。それは、好ましくは、塔頂部に、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの重合が懸念される静止帯域が形成され得ないように行われる。熱交換器自体には、相応して同様に、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの安定化された溶液が、ここでも静止帯域の形成に至り得ないように吹き込まれる。
【0117】
更に、ここで説明される方法の範囲における利点としては、例えば一酸化炭素を含有する排ガスを、前方にあるプロセスから、特にアミド化反応から、蒸気と一緒にエステル化プラントに導く場合に示される。このようにして、固体物質としてもしくは液体として分離できる化合物のガス混合物の改めての統合が行われる。他方で、これは中心位置で回収され、そして更なる利用もしくは廃棄に供給することができる。
【0118】
エステル化の範囲と、引き続き予備精製の範囲で得られたMMAもしくは得られたメタクリル酸エステル又は得られたメタクリル酸は、引き続き更なる処理に供給される。該エステル化から、残りの残留物として、希釈された硫酸が得られ、それは同様に更なる利用に供給することができる。
【0119】
エステルもしくは酸の予備精製
ここで説明された方法の範囲において、本発明の対象は、後続の方法の構成要素において記載されるメタクリル酸もしくはメタクリル酸エステルの予備精製のための方法との関連で使用することができる。ここで、基本的に粗製のメタクリル酸もしくは粗製のメタクリル酸エステルは、できる限り純粋な生成物に至らしめるために更なる精製に供される。かかる更なる方法の構成要素である精製は、例えば一段階であってよい。しかしながら、多くの場合には、かかる精製は、少なくとも2段階を含み、その際、ここに記載した第一の予備精製において、生成物の低沸点成分が除去される場合に好ましいと判明した。このために、粗製メタクリル酸エステルもしくは粗製メタクリル酸は、まず、低沸点成分及び水を分離できる蒸留塔に移送される。このために、粗製のメタクリル酸エステルを蒸留塔に供給し、その際、その添加は、塔のほぼ上半分で行われる。塔底物は、蒸気によって、例えば約50〜約120℃の壁温度が達成されるように加熱される。該精製は、真空下で実施される。塔内の圧力は、エステルの場合に、好ましくは約100〜約600ミリバールである。塔内の圧力は、酸の場合に、好ましくは約40〜約300ミリバールである。
【0120】
塔頂部で、低沸点成分が取り出される。特に、これは、例えばエーテル、アセトン及びメチルホルミエートであってよい。該排出蒸気は、引き続き1つ以上の熱交換器を介して凝縮される。その際、例えば幾つかの場合に、まず凝縮を、直列接続された2つの水冷式の熱交換器を介して実施することが有効であると実証された。しかし同様に、この場所で1つだけの熱交換器を使用することも可能である。該熱交換器は、好ましくは流速の増大のために、かつ定常相の形成を回避するために、垂直状態で運転される。水冷式の熱交換器もしくは水冷式の複数の熱交換器に後接続されているのは、ブライン冷却式の熱交換器であってよいが、2つ以上のブライン冷却式の熱交換器のカスケードが後接続されていてよい。熱交換器のカスケードにおいては、排出蒸気が凝縮され、安定剤が供給され、例えば相分離器に供給される。該排出蒸気が水も含有しうるので、場合により生ずる水相は、廃棄されるか、又は更なる使用に供給される。更なる利用としては、例えばエステル化反応への返送、例えば上述のエステル化反応への返送が考えられる。この場合に、水相は、好ましくは第一のエステル化タンクへと返送される。
【0121】
分離された有機相は、還流として塔頂部に供給される。有機相の一部は、再び熱交換器頂部と塔頂部の噴霧のために供給することができる。分離された有機相が、安定化剤と混合されている相である場合に、一方で静止帯域の形成が効果的に抑制される。
【0122】
他方で、安定剤の存在は、分離された排出蒸気の重合傾向を更に阻止する。
【0123】
熱交換器から得られた凝縮物流は、更に、好ましくは、相分離器において十分な分離作用を達成できるように脱塩水と混合される。
【0124】
熱交換器カスケードで凝縮後に残留する気体状の化合物は、好ましくは減圧発生器としての蒸気エゼクターによって、もう一度、1つ以上の更なる熱交換器を介して凝縮に供することができる。その際に、経済的観点では、係る後凝縮の範囲において、気体状の物質のみが予備精製から凝縮されない場合に好ましいことが明らかになった。ここで、例えば、メタクリル酸エステルの主精製から生ずる更なる気体状物質をかかる後凝縮に供することが可能である。かかる方法様式の利点は、例えば、主精製段階の範囲において凝縮されなかったメタクリル酸エステルの割合を、予備精製の範囲内で、もう一度、相分離器を介して精製塔へと移送できることにある。ここで、例えば、収率最大化を行えることと、できる限り低いメタクリル酸エステルの損失が生ずることが保証される。更に、前記の更なる熱交換器の設計と運転の好適な選択によって、この熱交換器を出る排ガスの粗製、特に低沸点物の含有量を調節することができる。
【0125】
メタクリル酸エステルの予備精製の範囲での水の供給に基づき、エステル化における含水率と、粗製メチルメタクリレート中の低沸点成分の濃度は、全体として連続的に高めることができる。それを回避するために、該系に供給される水の一部を、好ましくは連続的に該系から排出することが好ましいことがある。この排出は、基本的に、例えば予備精製において該系に水を供給する規模で行うことができる。相分離器で分離される水相は、通常は、有機内容物の含量を有する。従って、この水を、有機物質の前記含量を利用する廃棄物の形に供給することが好ましいことがある。
【0126】
ここで、例えば、このように有機物質で負荷された水を、硫酸分解法の範囲で燃焼室に混合することが好ましいことがある。酸化可能な内容物に基づき、ここでその発熱量は、少なくとも部分的になおも利用できる。更に、ここでできる限り高価な、有機物質で負荷された水の廃棄は回避される。
【0127】
メタクリル酸エステルの高度な精製
メタクリル酸エステルの高度な精製のために、粗製の予備精製されたメタクリル酸エステルを更なる蒸留に供する。その際、該粗製メタクリル酸エステルから、蒸留塔を用いてその高沸点成分を分離し、純粋なメタクリル酸エステルが得られる。このために、該粗製メタクリル酸エステルは、当業者に公知のように、蒸留塔の下半分に導入される。
【0128】
蒸留塔は、基本的に、当業者に好適であると見なされる任意の実施態様に相当しうる。しかしながら、得られた生成物の純度のために、多くの場合には、1つ以上の充填物を有する蒸留塔で行うことが好ましいと判明した。それらは、以下のものにほぼ相当する:
一方で、塔内で、メタクリル酸エステルが導通する導管中と同様に、できる限り僅かにいわゆる"デッドスペース"が形成されることが望ましい。該デッドスペースは、比較的長いメタクリル酸エステルの滞留時間をもたらし、それが重合を促進する。これは、再び、高価な生産の中断をもたらし、ポリマーと付加される相応の部分の精製をもたらす。デッドスペースの形成は、とりわけ、塔の設計によっても、好適な運転様式によっても、それが、常に塔の、特に充填物などの塔内部取付物の恒常的なフラッシングが達成されるほど十分な量の液体で負荷することによって対処することができる。ここで、該塔は、塔内部取付物の噴霧のために設計された噴霧装置を有してよい。更に、該塔内部取付物は、互いにもしくは塔と、遮断された接着シームを介して結合されていてよい。係る接着シームは、少なくとも約2つの、好ましくは少なくとも約5つの、特に好ましくは少なくとも約10個の中断部を1mの接着シーム長に有する。この中断部の長さは、これが少なくとも約10、好ましくは少なくとも約20、特に好ましくは少なくとも約50%の、一般に95%以下の接着シーム長を成すように選択することができる。他の構造上の措置は、塔内部領域で、特にメタクリル酸エステルと接触される領域において、全表面の、特に塔内部取付物の全ての表面の約50%未満の、好ましくは約25%未満の、特に好ましくは約10%未満が水平に延びていることにある。ここで、例えば塔の内部に流入するノズルは、円錐形もしくは斜面で構成されていてよい。更に、1つの措置は、塔の運転の間に、塔底部に存在する量の液状のメタクリル酸エステルを、できる限り少なく保持し、他方でこの量の過剰加熱が、中程度の温度及び大きな蒸発面にもかかわらず蒸発の間に回避されることにある。この場合に、液体量が、塔底部において、塔中でメタクリル酸エステルの全量の約0.1〜15%、好ましくは約1〜10%の範囲となることが好ましいことがある。この段落で提案された措置は、メタクリル酸の蒸留でも使用することができる。
【0129】
メタクリル酸エステルの精製の範囲においては、その高沸点成分は、生成物の蒸留によって分離される。このために、塔底部を蒸気で加熱する。塔底温度は、その際、好ましくは約50〜約80℃、特に約60〜約75℃であり、約120℃未満の壁温度である。
【0130】
塔底部で生ずる材料は、好ましくは連続的に排出され、1つの熱交換器もしくは複数の熱交換器のカスケードを介して、約40〜約80℃、好ましくは約40〜約60℃、特に有利には約50〜60℃の範囲に冷却される。
【0131】
主にメタクリル酸エステル、ヒドロキシイソ酪酸エステル、メタクリル酸及び安定剤成分を含有する前記材料は、引き続き貯蔵容器を介して、例えば廃棄され、又は別方面の使用に供される。多くの場合に、塔底部で得られる材料はエステル化反応に返送される場合に、好ましいと見なされる。例えば、その際に、塔底部からの材料を、第一のエステル化タンクに返送する。そのことから、できる限り経済的な様式で、かつできる限り高い収率に関して、塔底部で得られる高沸点化合物をエステル化反応に返送することは好ましい。
【0132】
塔頂部で、蒸留により精製されたメタクリル酸エステルを取り出し、1つの熱交換器もしくは2つ以上の熱交換器のカスケードを介して冷却する。その際、排出蒸気の熱を、水冷式の熱交換器もしくはブライン冷却式の熱交換器又は両方の組み合わせに排出することができる。幾つかの場合に、蒸留塔からの排出蒸気を、水冷により運転される2つ以上の並列接続された熱交換器に移送することが有効であると判明している。水冷式の熱交換器からの凝縮されていない部分を、例えば1つのブライン冷却式の熱交換器もしくは2つ以上のブライン冷却式の熱交換器であって直列もしくは並列に配置されていてよいものに導入することができる。該熱交換器から得られた凝縮物は、回収容器に導通され、ポンプによって更なる1つの熱交換器又は2つ以上の更なる熱交換器のカスケードを介して緩衝容器に供給される。凝縮物流は、その際、例えば、1もしくは2つの水冷式の熱交換器及び1もしくは2つのブライン冷却式の熱交換器のカスケードを介して、約0〜約20℃、好ましくは約0〜約15℃、特に好ましくは約2〜10℃の範囲の温度に冷却される。
【0133】
該凝縮物流から、部分流を取り出し、それを塔頂部を介して蒸留塔へと返送する。凝縮物流の蒸留塔への供給は、その際、基本的に任意の様式で、例えば供給機を介して行うことができる。しかし、凝縮物流の一部を塔頂の上方で排出蒸気導管に供給し、例えば噴霧導入することが好ましいことがある。更に、この供給によって安定剤を塔頂部に入れることが好ましい。
【0134】
塔中への返送が予定される凝縮物の更なる部分流は、例えば排出蒸気導管への導入前に分岐させ、直接的に塔頂部に導入することができる。ここでも、この供給によって安定剤を塔頂部に入れることが好ましい。塔頂部への導入は、その際、例えば、塔頂部の内側で凝縮物を、メタクリル酸エステルの重合を行うことができる静止帯域が塔頂部内に形成されないように噴霧するように行うことができる。更に、該塔に返送される凝縮物部分流に、重合回避のために安定剤を供給する場合に好ましいことがある。そのことは、例えば、塔頂部の噴霧のために予定される凝縮物部分流に、相応量の重合抑制剤を安定剤として供給することによって行うことができる。その際に、幾つかの場合に、凝縮物部分流を、安定剤の添加後であって、塔頂部に入る前に、好適な混合装置、好ましくは静的混合機を通過させて、できる限り均一な安定剤の分布を凝縮物部分流に達成する場合に好ましいと見なされる。
【0135】
精製方法の範囲内で生ずる凝縮できない気体状の物質は、例えば廃棄に供される。
【0136】
緩衝容器中に存在する粗製生成物は、ブライン式冷却器によって、約0〜約20℃の温度、好ましくは0〜約15℃の温度、特に約2〜10℃の範囲の温度に保持される。
【0137】
場合により更なる不純物を生成物から除去し、そして純粋なメタクリル酸エステルに至らしめるために、該生成物を、さらに吸着による精製段階に供することができる。その際、例えば、純粋生成物を全体でもしくは純粋生成物の少なくとも一部を、モレキュラーシーブによって更に精製する場合に有効であると実証された。特に酸性の不純物、特に製造方法において形成されたギ酸は、簡単に生成物流から除去することができる。その際に、更に幾つかの場合に、生成物流を、吸着による精製段階の通過後に、なおも1つ以上のフィルタを通過させて、場合により生成物中に含まれる固体を除去する場合に有効であると実証されている。
【0138】
後処理の範囲において生ずる物質流は、主に重合可能な化合物を含む。本文の範囲で既に多く記載されるように、静止帯域の形成を抑えるために、ここに記載される方法の場合にも、メタクリル酸エステルと接触されるプラントの部分に恒常的にメタクリル酸エステルを流通させる場合に好ましいことが判明している。ここに説明される方法の更なる実施態様の範囲において、従って、メタクリル酸の部分流を、緩衝容器後であるが、吸着による精製段階の前で取り出して、蒸留塔に由来する排出蒸気を収容する熱交換器をフラッシングする。
【0139】
精製段階の範囲において得られた生成物を、引き続き約−5℃〜約20℃の範囲で、好ましくは約0〜約15℃の範囲で、特に有利には約2〜10℃の範囲で精製段階から取り出す。
【0140】
消費された酸のストリッピング
ここで説明される方法の範囲においては、例えば更なる方法の構成要素において、該方法で生ずる消費された硫酸を精製に供して、引き続き再びプロセスに返送することが合理的なことがある。その際、例えばエステル化から得られる消費された硫酸を有する流れは、浮選容器中で蒸気と一緒に吹き込むことができる。その際、得られた固体の少なくとも一部は、液体の表面に堆積されることがあり、その際、この堆積された固体を循環させることができる。排出蒸気は、引き続き熱交換器、好ましくは水冷式の熱交換器中で冷却し、エステル反応へと返送される。
【0141】
その際、幾つかの場合には、熱交換器中での腐食の低下のためと、冷却作用の更なる改善のために、エステル化の範囲において製造されたメタクリル酸エステルの精製に際して洗浄によって得られる、水と有機化合物との混合物を、熱交換器へと、該熱交換器の頂部がこの混合物で噴霧されるように導入する場合に好ましいと見なされる。腐食低下作用と、熱交換器中での酸の冷却の他に、この措置は、更なる利点を有する。エステルに由来する材料(水と大部分がメタノールからなる混合物)を、この方法に由来するメタクリル酸及びメタクリル酸エステルと一緒に、エステル化プロセスに返送する。ストリッパ中で、上記の浮選によって酸と固体の混合物が得られる。これは、その分離の後に、更なる任意の使用もしくは廃棄に供される。例えば、得られた混合物を分解プラント中で燃焼させ、それにより再び硫酸を生成させることも可能である。
【0142】
そのストリッピングで生ずる凝縮できない気体状の化合物は、任意の更なる使用に供給されるか、又は廃棄される。
【0143】
ここに記載される、固体を消費された酸から除去するためのプラント並びにエステル化プロセスからの材料をまさにこのプロセスに返送するためのプラントは、運転信頼性の理由から、例えば二回実行することができる。ここで、2つ以上の浮選容器が、時間的にずらして使用することができる。この容器中で固体が沈殿されうるので、それぞれの浮選容器を使用せずに除去することが好ましい。
【0144】
更に、本発明は、本発明による方法によって得られたメタクリル酸もしくは本発明による方法によって得られたメタクリル酸エステルを、繊維において、フィルムにおいて、塗料において、成形材料において、成形体において、紙用助剤において、皮革助剤において、凝固剤において、及び穿孔助剤において用いる使用に関する。さらに、本発明は、本発明による方法によって得られるメタクリル酸もしくは本発明による方法によって得られるメタクリル酸エステルを基礎とする、繊維、フィルム、塗料、成形材料、成形体、紙用助剤、皮革助剤、凝固剤及び穿孔助剤に関する。
【0145】
上述の事項を、以下で、制限されない図面をもとに例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、メタクリル酸もしくはメチルメタクリレートの製造及び加工のためのプラント設備を示す。
【図2】図2は、アセトンシアンヒドリンの製造のためのプラントを図示している。
【図3】図3は、アセトンシアンヒドリンの後処理プラントを図示している。
【図4】図4は、アミド化プラントを図示している。
【図5】図5は、エステル化プラントを図示している。
【図6】図6は、エステルの予備精製のためのプラントを図示している。
【図7】図7は、エステルの高度な精製プラントを図示している。
【0147】
図1において、メタクリル酸もしくはメタクリル酸エステル及びその更なる処理生成物の製造のためのプラント設備1の好ましい構成要素が示されている。プラント設備1は、この設備の構成要素として、種々異なる主に流体伝達的に結合されたプラントを有する。このプラント設備には、アセトンシアンヒドリン製造20であって、引き続きアセトンシアンヒドリン後処理30、引き続きアミド化40、引き続きエステル化/加水分解50/50a、引き続きエステルもしくはメタクリル酸のための後処理60、さらに引き続き高度な精製70があり、その後にエステル、主にメチルメタクリレートもしくはメタクリル酸が存在するものが当てはまる。こうして得られた純粋なエステル/純粋な酸は、再加工プラント80に供給することができる。再加工プラント80としては、とりわけ重合装置及び更なる有機反応のための反応器が該当する。重合反応器中では、ポリメタクリレートが製造でき、そして有機反応のための反応器中では、ここで得られた純粋なモノマーを更なる有機化合物に転化させることができる。1つ以上の再加工プラント80に引き続き、仕上げ90がある。再加工生成物がメタクリル酸もしくはメタクリル酸エステル、特にメチルメタクリレートからのポリマーである限りは、これは繊維、成形材料、特に造粒物、シート、プレート、自動車部品及び別の成形体へと、好適な装置、例えば押出機、ブロー押出機、射出成形装置、スピンノズルなどによって再加工される。更に、該プラント設備1は、多くの場合に硫酸プラント100を有する。その場合に、基本的に、当業者にそのために適していると見なされるあらゆる硫酸プラントが該当する。例えば、欧州委員会から入手できる"Integrated Pollution Prevention and Control −Draft Reference Document on Best Avalible Techniques for the Manufacture of Large Volume Inorganic Chemicals −Amonia Acids and Fertelizers"中の第4章第89頁がこの文脈で指摘される。硫酸プラント100は、一連の他のプラントと接続されている。ここで、アセトンシアンヒドリン製造20には、硫酸導管2を介して濃硫酸が供給される。更に、他の硫酸導管3は、硫酸プラント100とアミド化40の間に存在する。"廃酸"とも呼称される希釈された、エステル化50(加水分解50a)からの硫酸は、硫酸プラント100へと、消費された硫酸用の導管4もしくは5を通じて移送される。硫酸プラント100において、希釈された硫酸は後処理することができる。希釈された硫酸の後処理は、例えばWO02/23088号A1もしくはWO02/23089号A1に記載されるように行うことができる。一般に、前記プラントは、当業者によく知られ、かつその都度の要求のために適していると見なされる材料から構成されている。大抵は、これは、特殊鋼であり、それは特に特定の耐酸性を有さねばならない。硫酸で、特に濃硫酸で運転されるプラントの範囲は、更に、セラミック材料もしくはプラスチックで内張りされ保護されている。さらに、メタクリル酸プラント50aにおいて得られるメタクリル酸は、メタクリル酸導管6を介して予備精製60へと供給できる。更に、アセトンシアンヒドリン製造20、アミド化40、エステル化50、加水分解50a、予備精製60及びまた最終精製70において、"S"で特徴付けられる安定剤を添加することが有用であると実証された。
【0148】
図2に示されるアセトンシアンヒドリン製造20において、アセトンは、アセトン容器21で準備され、かつ青酸は青酸容器22で準備される。アセトン容器21は、洗浄塔23を有し、該塔は、その上方領域に1つ以上の冷却エレメント24を有する。洗浄塔23において、一連の排ガス導管25が流入し、それらはプラント設備1の種々のプラントに由来するものである。ループ型反応器26へと、アセトンは、アセトン供給導管27を介して、かつ青酸は、青酸供給導管28を介して供給され、青酸供給導管の下流に、ポンプ29が存在し、更に引き続き触媒供給210があり、それに引き続き静的混合機211がある。その後に、引き続き熱交換器212があり、該熱交換器は、一連の流動抵抗213と少なくとも1つの冷却導管214を有する。ループ型反応器26において、アセトン、青酸及び触媒から成る反応混合物は、かなりの部分で循環に運ばれ、それを太線で示している。熱交換器212から、反応混合物を流動抵抗を介して冷却導管214に沿って導き、そして循環流の一部を更なる熱交換器215に導入し、それに引き続き回収容器216があり、そこでノズル217が冷却循環218の一部として熱交換器219と一緒に存在し、それによって反応生成物は、一方で運動し続け、他方で冷却されつづける。該回収容器216に引き続いて存在する導出口220を介して、安定剤容器221に接続されており、そこで硫酸供給導管222が流入しており、かつそこから粗製アセトンシアンヒドリンが導出導管223を通ってアセトンシアンヒドリン後処理30へと導かれる。
【0149】
図3において、シアンヒドリン製造20から来て、導出導管223は熱交換器31へと流入し、そこでシアンヒドリン製造20から来た流れが加熱される。熱交換器31に引き続き排出蒸気供給導管32があり、その導管は、塔33の上方領域で、好ましくは頂部領域に流入する。塔33は、多くの充填物34を有し、それは主にトレイとして構成されている。塔33の下方領域に、塔底部25が存在し、そこから底部導出導管36が熱交換器31に至り、かつ導出導管223を介して熱交換器31に供給された流れが加熱される。熱交換器31に引き続き、純粋生成物導管37があり、その下流にアミド化40が引き続いている。塔33の頂部領域に、頂部導出導管38が存在し、それは熱交換器39へと流入し、それに引き続き真空ポンプ310があり、それは再び熱交換器311に流入する。熱交換器39も熱交換器311も、導管を介して冷却容器312に接続されており、それに引き続き還流313があり、それはアセトンシアンヒドリン製造20中のループ型反応器26と接続されている。
【0150】
図4に図示したアミド化40は、まずアセトンシアンヒドリン導管41と硫酸供給路42を有し、それらはループ型反応器43に流入している。アセトンシアンヒドリン後処理30と接続されたアセトンシアンヒドリン供給導管41は、ループ型反応器43の循環へとポンプ44の後で混合機45の前に流入している。このポンプ44の前に硫酸供給路42が流入している。混合機45の下流に、引き続き熱交換器46があり、それは再びガス分離器47に流入しており、そこから、ガス導出導管48と、更なるループ型反応器410への供給導管49とに分岐している。更なるループ型反応器410もしくは第三の反応器は、第一のループ型反応器43と同等の構造である。更なるループ型反応器410から供給導管411は熱交換器412へと延びており、それに引き続きガス分離器413があり、そこから、ガス導出導管414と、アミド導管415とに分岐しており、それらはエステル化/鹸化50/メタクリル酸プラント50aに導かれる。
【0151】
図5は、エステル化50を示しており、そこでは、水及び有機溶剤を導く溶剤導管51と、アミド化40と接続されたアミド導管52とが、タンク53に流入しており、該タンクは、タンク加熱54によって加熱可能である。タンク53へと、更に点線で示されるアルコール導管55が流入している。該アルコール導管55は、タンク53の上方領域にも、下方領域にも流入している。一点鎖線で示されるエステル排出蒸気導管56を介して、第一のタンク53は更なるタンク53′と接続されており、該タンクは、更なるタンク加熱54′を有する。また、この他のタンク53′は、アルコール導管55と下方からも上方からも接続されている。該タンク53′の上方領域には、エステル排出蒸気導管56が接続されており、該導管は、塔58の底部57に流入している。更に、タンク53′の上方領域に、希釈された硫酸用の導管59が存在する。点線楕円に取り囲まれたタンクユニット510は、加熱可能なタンク53及び54からアルコール導管55及びエステル排出蒸気導管56から形成される。1、2もしくはそれより多くのかかるタンクユニットがカスケード状に続いていてよく、その際、このタンクユニット510のそれぞれは、エステル排出蒸気導管56を介して塔58の底部57と接続されている。塔58の底部57から、更に高沸点導管511がタンク53へと導かれており、水及び有機溶剤が再びエステル化に供給される。塔58の上方領域、好ましくは頂部において、好適な導管を介して第一の熱交換器512に接続されており、引き続き更なる相分離器513がある。塔58の頂部でも、第一の熱交換器512においても、不所望な重合を回避する抑制剤もしくは安定剤を供給するために、第一の安定剤供給路414(安定剤は"S"で示される)並びに更なる安定剤供給路515が設けられていてよい。更なる相分離器513には、洗浄器516が接続されており、その下方領域で溶剤導管517が排出しており、該導管は熱交換器521を介して溶剤導管51に流入している。洗浄器516の上方領域から、粗製エステル導管が排出しており、該導管はエステル後処理60に流入している。タンク53′もしくは最後のタンクユニット510のタンクの上方領域から排出される廃酸導管59は、固体もしくは廃酸中に不溶性の成分の分離のために、浮選容器519中に流入している。浮選容器519から、廃酸導出導管520は、更なる後処理とエステル化への返送のために、硫酸プラント100並びに低沸点成分を導く低沸点排出蒸気導管522中に至っている。
【0152】
図6に示されるエステル後処理は、粗製エステル導管61を介してエステル化50に接続しており、その際、粗製エステル供給導管61は、真空蒸留塔62の中間領域に流入している。この塔62は、塔内部取付物63と、塔62の下方に配置された底部加熱64を有する。塔62の下方領域であってこの塔の底部である領域から、エステル導出導管65が排出しており、該導管は、エステルの高度な精製70へと流入しており、かつ低沸点物不含の粗製エステルを従って該高度な精製へと供給する。塔62の上方領域、主に塔頂部では、導出導管を介して第一の熱交換器66と、更なるもしくは複数の熱交換器67に接続されており、それに引き続き相分離器69が存在する。相分離器69において、熱交換器67に由来する混合物を有機成分と水性成分とに分離され、その際、相分離器69に引き続き、返送611が上方部にあり、それは塔62の上方領域に流入している。分離器の下方領域に、水導出導管610が存在し、該導管は、分離された水をエステル化へと再び供給するために、エステル化50へと流入している。熱交換器66及び67には、減圧導管612を介して減圧発生器613が接続されている。
【0153】
図7において、エステル後処理60に由来するエステル導出導管65が蒸留塔71に流入している。これは、複数の塔内部取付物71と、蒸留塔71の下方領域に塔底部加熱73を含む。蒸留塔71の頂部領域から、純粋エステル排出蒸気導管74は第一の熱交換器75に至り、そこに引き続き1(又は複数の)更なる熱交換器76があり、それは減圧発生器717に接続されている。更なる熱交換器76の出口は、1つの導管を有し、該導管から、まずエステル返送77は、蒸留塔71の上方領域あるいは頂部へと流入している。エステル返送77は、安定剤供給79を有し、それはエステル返送77中で混合機78の前に配置されている。他方で、更なる熱交換器76の導管から純粋エステル導出導管710が排出している。ここに、直列接続で、付加的な熱交換器711ともう一つの熱交換器712が接続されている。これに引き続きモレキュラーシーブ容器713があり、それはモレキュラーシーブ充填物714を有する。モレキュラーシーブによって更に精製され、その純粋なエステルを該モレキュラーシーブ容器に接続された超純粋エステル導出導管を通じて再処理プラント80へと移送する。
【符号の説明】
【0154】
1 プラント設備、 2 硫酸導管、 3 更なる硫酸導管、 4 消費された硫酸導管−エステル、 5 消費された硫酸導管−酸、 6 メタクリル酸導管、 20 アセトンシアンヒドリン製造、 30 アセトンシアンヒドリン後処理、 40 アミド化、 50 エステル化、 50a 加水分解、 60 予備精製、 70 最終精製、 80 再処理プラント、 90 仕上げ、 100 硫酸プラント、 21 アセトン容器、 22 青酸容器、 23 洗浄塔、 24 冷却エレメント、 25 排ガス導管、 26 ループ型反応器、 27 アセトン供給導管、 28 青酸供給導管、 29 ポンプ、 210 触媒供給導管、 211 混合機、 212 熱交換器、 213 流動抵抗、 214 冷却導管、 215 熱交換器、 216 回収容器、 217 ノズル、 218 冷却循環、 219 熱交換器、 220 導出導管、 221 安定剤容器、 222 硫酸供給導管、 223 導出導管、 31 熱交換器、 32 排出蒸気導管、 33 塔、 34 充填物、 35 熱交換器を有する塔底部、 36 塔底導出導管、 37 純粋生成物供給路、 38 頂部導出導管、 39 熱交換器、 310 真空ポンプ、 311 熱交換器、 312 冷却容器、 313 返送、 41 アセトンシアンヒドリン供給路、 42 硫酸供給路、 43 ループ型反応器、 44 ポンプ、 45 混合機、 46 熱交換器、 47 ガス分離器、 48 ガス導出導管、 49 供給導管、 410 更なるループ型反応器、 411 供給導管、 412 熱交換器、 413 ガス分離器、 414 ガス導出導管、 415 アミド導管、 51 溶剤導管、 52 アミド導管、 53 第一のタンク、 54 第一のタンク加熱、 53′ 更なるタンク、 54′ 更なるタンク加熱、 55 アルコール導管、 56 エステル排出蒸気導管、 57 塔底部、 58 塔、 59 廃酸導管、 510 タンクユニット、 511 高沸点物導管、 512 熱交換器、 513 相分離器、 514 安定剤供給路、 515 更なる安定剤供給路、 516 抽出塔、 517 溶剤導管、 518 粗製エステル導管、 519 浮選容器、 520 廃酸導出導管、 521 熱交換器、 522 低沸点物排出蒸気導管、 61 粗製エステル供給導管、 62 真空蒸留塔、 63 塔内部取付物、 64 底部加熱、 65 エステル導出導管、 66 熱交換器、 67 熱交換器、 68 水供給路、 69 相分離器、 610 水導出導管、 611 返送、 612 減圧導管、 613 減圧発生器、 71 蒸留塔、 72 塔内部取付物、 73 塔底部加熱、 74 純粋エステル排出蒸気導管、 75 第一の熱交換器、 76 更なる熱交換器、 77 エステル返送、 78 混合機、 79 安定剤計量供給路、 710 純粋エステル導出導管、 711 付加的な熱交換器、 712 もう一つの熱交換器、 713 モレキュラーシーブ容器、 714 モレキュラーシーブ充填物、 715 超純粋エステル導出導管、 716 高沸点物導管、 717 低沸点物抜出路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセトン及び青酸を含有する反応混合物を触媒の存在下でループ型反応器において反応させて、反応生成物としてアセトンシアンヒドリンが形成される、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、前記ループ型反応器が、反応混合物の冷却のための少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのポンプと、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置と、青酸、アセトン及び触媒の供給のためのそれぞれ少なくとも1つの供給口とを有し、該触媒の供給が、アセトンもしくは青酸又は両者の供給の下流で行われる、アセトンシアンヒドリンの製造方法。
【請求項2】
触媒の供給が、ループ型反応器の位置であって、青酸の供給のための供給口もしくはアセトンの供給のための供給口又は両者の供給口よりも、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口の近くにある位置で行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒の供給が、ループ型反応器の位置であって、反応混合物の経路が、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口に入る前に、反応混合物が青酸及びアセトンの供給後で反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口に入る前に進む経路の高くても30%である位置で行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
供給と反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置中での混合との間の反応混合物中での触媒の滞留時間が、長くとも10秒であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
触媒の供給を、連続的にもしくは断続的に実施することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ループ型反応器中での反応混合物の温度が、11〜70℃であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
触媒として、無機塩基もしくは有機塩基を使用することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
触媒として、有機アミンを使用することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ループ型反応器から、連続的にもしくは断続的に反応生成物を抜き出し、その際、反応生成物が、ループ型反応器から出た後に、1つ以上の熱交換器において0〜10℃の温度に冷却されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
冷却された反応生成物と酸とを混合することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
反応生成物と硫酸とを混合することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
含水率0.1〜8質量%を有する硫酸を使用することを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
ループ型反応器から、少なくとも1つの位置で、反応混合物のサンプル量を取り出し、そして該サンプル量を分光分析的に調査することを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
サンプル採取を、連続的にもしくは断続的に行い、サンプルを測定後に再びループ型反応器に供給することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
反応を、約6.5〜約8のpH値で実施することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
アセトン及び青酸を含有する反応混合物を触媒の存在下でループ型反応器において反応させて、反応生成物としてアセトンシアンヒドリンが形成され、かつ該ループ型反応器が、反応混合物の冷却のための少なくとも1つの装置と、少なくとも1つのポンプと、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置と、青酸、アセトン及び触媒の供給のためのそれぞれ少なくとも1つの供給口とを有する、アセトンシアンヒドリンの製造方法であって、前記ループ型反応器から、連続的にもしくは断続的に、反応生成物を取り出し、該反応生成物を、ループ型反応器を出た後に1つ以上の熱交換器において温度0〜10℃に冷却し、かつ含水率0.1〜8質量%を有する硫酸と混合する、シアンヒドリンの製造方法。
【請求項17】
触媒の供給が、アセトンもしくは青酸又はその両方の供給の下流で行われることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
触媒の供給が、ループ型反応器の位置であって、青酸の供給のための供給口もしくはアセトンの供給のための供給口又は両者の供給口よりも、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口の近くにある位置で行われることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
触媒の供給が、ループ型反応器の位置であって、反応混合物の経路が、反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口に入る前に、反応混合物が青酸及びアセトンの供給後で反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置への反応混合物の入口に入る前に進む経路の高くても30%である位置で行われることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
供給と反応混合物の混合のための少なくとも1つの装置中での混合との間の反応混合物中での触媒の滞留時間が、長くとも10秒であることを特徴とする、請求項16から19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
触媒の供給を、連続的にもしくは断続的に実施することを特徴とする、請求項16から20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
ループ型反応器中での反応混合物の温度が、11〜70℃であることを特徴とする、請求項16から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
触媒として、無機塩基もしくは有機塩基を使用することを特徴とする、請求項16から22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
触媒として、有機アミンを使用することを特徴とする、請求項16から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ループ型反応器から、少なくとも1つの位置で、反応混合物のサンプル量を取り出し、そして該サンプル量を分光分析的に調査することを特徴とする、請求項16から24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
サンプル採取を、連続的にもしくは断続的に行い、サンプルを測定後に再びループ型反応器に供給することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
反応を、約6.5〜約8のpH値で実施することを特徴とする、請求項16から26までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−511652(P2010−511652A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539673(P2009−539673)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059112
【国際公開番号】WO2008/068065
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390009128)エボニック レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (293)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】