シクロオレフィンコポリマーのヒートシール可能なフィルムおよびそれを含む包装
本発明は、シクロオレフィンコポリマー(COC)から本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、COCのガラス転移温度(Tg)が約30〜約55℃のヒートシール可能なフィルムに関する。フィルムまたはシートはすぐれた低温ヒートシール性および加工特性を有する。フィルムは独立したものであっても、または低温で他の熱可塑性ポリマーフィルムに貼り合わされてもよい。あるいは、Tgが30〜55℃のCOCポリマーを他の熱可塑性ポリマーまたはポリマーフィルムと共に同時押出プロセスで同時押出すると、ヒートシール可能なフィルムとなる。本発明のフィルムは食品または他の消費可能な品物の包装に適している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ヒートシール可能なシクロオレフィンコポリマー(COC)に関する。本発明はさらに、フィルムのヒートシール可能なラミネートにおける使用およびヒートシールされた容器の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プラスチックフィルムは、野菜等のような食物を含む様々な製品を販売前に包装するために、例えばスーパーマーケット等において広範囲に用いられている。例えば、米国特許第6,489,016号には、ポリオレフィンの多層包装フィルムが開示されている。そのような包装材料およびそれらからつくられた包装は、米国特許第6,383,582号;第5,750,262号;第5,783,270号;および第5,755,081号;並びに法定発明登録第H1727号にも開示されている。そのような包装フィルムは、商品、例えば液体食品を含む食品、個々の物品またはプラスチックキャリヤートレー等に入れられた少量ずつ分配または小分けされたロットを覆い及び包むのに利用できる。そのような柔軟包装(flexible packaging)の成功は、最高度の包装一体性、セキュリティおよび耐久性をもたらすことが可能な熱可塑性ヒートシーラントの幅広い利用によると考えられてきた。さらに、フィルムが透明であり、且つ、適切な伸縮弾性(extensible elasticity)、様々な表面に付着する能力及び実用的な性能(包装したときの内面の曇りに対する抵抗性、シーリングバーでの加熱プレスに起因するヒートシール時の破れに対する抵抗性、指の押し付けからの回復性及びヒートシール適性など)を有したまま、容易に切断され得ることが、包装フィルムには必要とされる。
【0003】
また周知のように、「ヒートシール」とは、フィルムを互いに接触させ、次に、十分な熱および圧力をフィルムの接触部分に加えて、フィルムを融合させることによって、2つのフィルム、例えば、フィルムおよび熱成形フィルム/容器または同じフィルムの2つの部分を結合することを意味する。通常であれば、必ずしも常にではないが、ヒートシールは連続的であり、製品を取り囲んで該製品を2つのフィルムの中に完全に封入する。加熱体(heat element:しばしば「シールヘッド」と呼ばれる)を含む装置によってヒートシールが形成される。該加熱体は、フィルムの片側からフィルムの接触部分に押し付けられ、そして通常は非加熱の裏部材(backing element)に対してフィルムをプレスする。その結果、フィルムが、ヒートシールの達成に十分な時間、加熱体と裏部材との間でプレスされるようになる。あるいは、フィルムは、ヒートシールを行う2つの加熱体またはジョー(jaws)の間でプレスしてもよい。
【0004】
熱可塑性材料のヒートシール性能には時間、温度及び圧力が複雑に関係する。J. R. de Garavill, Tappi Journal,191(1995年6月)には、各種イオノマー、酸コポリマーおよびメタロセンポリエチレン樹脂のシーラント性能が記載されている。
【0005】
熱可塑性樹脂からの包装フィルムは通常は溶融押出によって製造される。溶融押出の場合、ポリマー樹脂の溶融強度および押出加工性が相当に重要な特性である。より多量に押出すことができ、そしてフィルムへの変換に要するエネルギーがより少なくなるような樹脂が好ましい。低温(すなわち、80℃未満)でのヒートシール適性は、多くの実用プロセスへの適用を容易にし、生産速度をより速くすることができるので有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は包装用フィルムを提供することである。特に本発明の目的は、比較的低温でヒートシールできるフィルム、および比較的低温でヒートシールできるフィルムを含む包装方法を提供することである。本発明の別の目的は、比較的低温で熱可塑性ポリマーまたは金属に貼り合わせることができるフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
上記の目的の1つ以上は、約50〜80℃でヒートシールできるフィルムの提供によって達成される。フィルムはシクロオレフィンコポリマー(COC)から本質的になり、COCポリマーは30〜55℃のTgを有する。フィルムは、低温でのすぐれた封止性並びに広い温度範囲にわたる予想外の熱間粘着性および極限シール強度を示し、これらの性質によってフィルムは幅広い用途に適したもの、特に包装用途に対しても丈夫なものになる。
【0008】
本発明のフィルムを1つ以上の追加熱可塑性ポリマー層および/または他の層へ別個の工程で貼り合わせて多層ラミネートを形成することも、あるいはCOCポリマーを1種以上の熱可塑性樹脂と共に同時押出して多層ラミネートを製造することもできる。そのような多層の場合、少なくとも1つの層は上記のCOCポリマーであり、上記COCからなるヒートシール可能な面を有するフィルムが得られ、必要に応じて反対の面は他のポリマーからなる。3層以上を有するが、一方のみがヒートシール可能な面である構造物も同様な方法で製造でき、この場合、上記COC層は外側のヒートシール可能な層を形成する。
【0009】
発明の詳細な説明
様々な図および実施例を参照することによって本発明を詳しく説明する。それらは本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明の精神および範囲は添付した請求の範囲で明らかにされている。断りがなければ、用語はそれらの通常の意味に従って解釈すべきである。例えば、コポリマーである、などの特段の断りがなければ、用語「ポリマー」または「ポリマー樹脂」、「高分子」等には、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、ターポリマー等、並びにそれらのブレンドおよび変性体(ただし、これらに限定されない。)が含まれる。「ポリマー」または「ポリマー樹脂」にはまた、物質の可能な全ての分子配置(molecular configuration)が含まれる。これらの構造には、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチック(ランダム)分子配置(ただし、これらに限定されない。)が含まれる。「ミル」はインチの1,000分の1を意味する。
【0010】
ポリマーのTg、すなわちガラス転移温度は様々な方法で試験することができる。本発明のポリマーのTgは、ASTM D3418−99に従って測定されるのが好ましい。試験方法は一般に、ポリマーと対照物質との間の温度差をモニターしながら、管理された環境で該ポリマーを加熱および冷却することからなる。
【0011】
シールが周囲温度に達する前の特定の瞬間に測定したヒートシールの強度を表す熱間粘着力強度(ニュートン)または「熱間粘着性」は、ASTM F1921−98(その開示内容の全てを参照によって本明細書に援用する)に従って測定する。本発明のフィルムのような試料をヒートシールし、シールがまだ熱い間に、得られたシールを耐久性および破壊力に対する抵抗性について試験することができる。概括的に述べると、当該試験法には、温度、接触時間および圧力の定められた条件下で2つの平らな加熱されたジョーから試料に圧力を加えることが含まれる。このとき、「シール温度」は、ジョーがシールされるフィルムと接触し、フィルムに圧力を加えている間、シールされるフィルム間の接触面で到達する最高温度である。試料を、周囲温度に達する前にジョーから取り出した後、シールを本質的に壊すのに必要な力を測定する。
【0012】
従って、ヒートシーリング温度、ヒートシール温度、および類似の用語は、保圧時間が十分であるという前提での、ジョーまたは他のシーリング用具の温度を指すか、さもなくばシーリング用具(単数または複数)の表面温度に近似される。
【0013】
ニュートンでも表される本明細書中で用いられるような極限シール強度は、ヒートシールして約30秒後のヒートシール強度であり、30秒の冷却時間をシールが壊される前に設ける以外は、熱間粘着測定に用いられた同じ方法で測定した。熱間粘着および極限シール強度の試料試験パラメーターは以下の表1に示す:
【0014】
【表1】
【0015】
別の測定手段、例えばASTM D3706−88(2000)を用いて熱間粘着を測定してもよいが、便宜上、ASTM F1921−98に従って得た結果を本明細書中で用いる。
【0016】
本明細書中で用いられるように、用語「ヒートシール」または類似の用語は、フィルムを互いに接触させるか又は互いに少なくともすぐ近く接近させ、そしてフィルムの所定領域(単数または複数の領域)に十分な熱および圧力を加えて、所定領域のフィルムの接触面を溶融し、互いに混ぜ合わせ、それによって、熱および圧力を除き、冷却させたとき、所定領域の2枚のフィルム間に本質的に分離できない結合を形成することによる、少なくとも2枚のフィルムの一体化を指す。本明細書中で用いられるような用語「フィルム」および「シート」は、単一層であろうと多層であろうと、あらゆる広がりをもった材料も意味し、そして厚さ又は形態は限定されない。これらの用語はしばしば平らな形を思わせるが、本発明のフィルムは別の形でもよく、例えば、本発明による環状フィルムがダイから押出され、このフィルムがその形状で用いられても、又は、その後に、本発明の本質から逸脱することなく、スリットを入れて、平らな又はカールしたシートとしてもよい。
【0017】
本明細書中で用いられるように、用語「多層フィルム」は、次の方法を1つ以上含む従来の方法又は適切な方法によって互いに結合されたポリマーまたは他の材料から形成される1つ以上の層を有する、一般にシートまたはウェブ形状の熱可塑性材料を指す:同時押出、押出被覆、貼り合わせ、蒸着被覆、溶剤被覆、エマルジョン被覆、または懸濁液被覆。
【0018】
本明細書中で用いられるように、用語「同時押出」等は、押出物が、冷却、すなわち急冷前に互いに結合して積層構造となるように配列された2つ以上のオリフィスを有する単一ダイを通して2種以上の材料を押出す方法を指す。同時押出は、インフレーション、フリーフィルム押出、および押出被覆法で用いることができる。
【0019】
本明細書中で用いられるように、用語「融点」は、材料が固体から液体に変化する温度を一般に指す。
1つの態様では、本発明は、COCポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムについて開示する。COCポリマーのTgは30〜55℃の温度範囲にある。
【0020】
好適なフィルムは、例えば、約24〜約30モル%ノルボルネンおよび約76〜約70モル%エチレンを有する。
本発明においてヒートシール可能な層として用いられるシクロオレフィンポリマーはシクロオレフィンコポリマーである。有用なシクロオレフィンコポリマーは本技術分野において知られている。例えば、米国特許第6,068,926号(譲受人:ティコナ社)および米国特許第5,912,070号(譲受人:三井化学社)には、いくつかのシクロオレフィンポリマーおよびコポリマーが開示されている(その開示内容は参照によって本明細書に援用される)。
【0021】
本発明において有用なシクロオレフィンコポリマーは、非環式オレフィンおよび環状オレフィン(または「シクロオレフィン」)モノマーのコポリマーであって、環状オレフィンモノマーは(i)式I、II、III、IV、VまたはVIの多環式構造、又は(ii)式VIIの単環式構造を有し:
【0022】
【化1】
【0023】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は同じか又は異なり、H、C6−C20アリールもしくはC1−C20アルキル基またはハロゲン原子であり、nは2から10の数である。そのような環状オレフィンモノマーの例は、ノルボルネン、ジメチルオクタヒドロ−ナフタレン、シクロペンテンおよび(5−メチル)ノルボルネン等、またはそれらの混合物である。好適な非環式オレフィンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、ブチレン等、またはそれらの混合物である。好ましい環状オレフィンはノルボルネンであり、好ましい非環式オレフィンはエチレンまたはプロピレンである。特に好ましいシクロオレフィンコポリマーは、ノルボルネンおよびエチレンのコポリマーであり、該シクロオレフィンコポリマーは約10〜90モル%のノルボルネン残基および約90〜10モル%のエチレン残基を含む。いくつかのそのようなポリマーは、ニュージャージー州サミットのティコナ社からTOPAS(登録商標)の商品名で入手しうる。
【0024】
本発明の別の態様では、モル比率が約15〜30モル%ノルボルネンおよび約70〜85モル%エチレンのノルボルネンとエチレンとのシクロオレフィンコポリマーであって、コポリマーのTgが約30〜55℃であるコポリマーを開示する。
【0025】
シクロオレフィンポリマーは遷移金属触媒、例えばメタロセンを用いて製造することができる。適した製造方法は公知であり、例えば、DD−A−109 225、EP−A−0 407 870、EP−A−0 485 893、米国特許第6,489,016号、第6,008,298号、第6,608,936号および第5,912,070号に記載されている(その開示内容は参照によって全て本明細書に援用される)。
【0026】
製造中の分子量調節は水素を用いて有利に行うことができる。好適な分子量はまた、触媒および反応条件を所望の通りに選択することによって実現することができる。この点についての詳細は上記の明細書に記載されている。
【0027】
本発明の目的に適したシクロオレフィンコポリマーは1,000〜200,000、好ましくは100,000〜150,000の平均分子量Mw(重量平均)を有する。好適なCOCはガラス転移温度(Tg)によって特徴づけることができ、そして、低温ヒートシール可能な層として本発明に使用する目的では、該ガラス転移温度は30〜55℃である。そのような好適なCOCポリマーは、ニュージャージー州サミットのティコナ社からTOPAS(登録商標)のブランドで入手することができる。さらに、適当なモノマーからのCOCコポリマーの製造については、例えば、米国特許第6,489,016号に開示されている。ポリマーのTgは、上記のASTM D3418「熱分析によるポリマーの転移温度の標準試験法」(American Society for Testing of Materials、ペンシルベニア州フィラデルフィア)に従うパーキンエルマー「半Cp外挿」(「半Cp外挿」は、比熱変化が完全転移での変化の半分となる曲線上の位置を記録する)によって測定した。
【0028】
上記の低温ヒートシール可能なCOCフィルムは他の熱可塑性層に貼り合わせても、あるいはそれらと同時押出してもよい。そのような追加層のためのポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリケトン、ポリケトアミド、ポリカーボネート、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニル、ポリプロピレン、環状オレフィンホモポリマーおよび環状オレフィンコポリマー並びにそれらの組み合わせよりなる群から選択することができる。好適なポリマーの例は、ポリ(m−キシレン−アジパミド)(MXD6)、ポリ(ヘキサメチレンセバシン酸アミド)、ポリ(ヘキサメチレン−アジパミド)およびポリ(カプロラクタム)、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたポリエステル、PVDC、脂肪族ポリケトン、およびLCP(液晶ポリマー)である。好適なポリケトンの例は、シェル社製造のCarillon(登録商標)である。好適な液晶ポリマーの例は、ティコナ社製造のVectra(登録商標)である。
【0029】
本発明の貼り合わせ用熱可塑性ポリマーとして有用なポリエチレンのいくつかは、LDFE、LLDPE、LMDPE、VLDPE、ULDPE等のような用語で呼ばれる。LDPEは低密度ポリエチレンホモポリマーである。エチレン/α−オレフィンコポリマーの密度は一般に約0.86〜約0.94g/ccである。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)という用語は、密度が約0.915〜約0.94g/ccのエチレン/α−オレフィンコポリマーのグループを含むと一般に理解されている。密度が約0.926〜約0.94g/ccの線状ポリエチレンは、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)と呼ばれることもある。より低密度のエチレン/α−オレフィンコポリマーは、非常に低密度のポリエチレン(VLDPE、ユニオン・カーバイド社から入手しうる、密度が約0.88〜約0.91g/ccのエチレン/ブテンコポリマーを指すのに一般に用いられる)および超低密度ポリエチレン(ULDPE、ダウ・ケミカル社が供給するエチレン/オクテンコポリマーを指すのに一般に用いられる)と呼ばれる。
【0030】
他の熱可塑性フィルムの厚さは10〜250ミクロンである。一般的な貼り合わせ条件は接着剤貼り合わせ条件である。上記のその他の熱可塑性フィルムに加えて、他の有用な熱可塑性ポリマーはOPET(「2軸配向ポリエチレンテレフタレート」)およびOPP(「2軸配向ポリプロピレン」)である。しばしばOPETおよびOPPは裏刷りされる(貼り合わされる側に印刷して高品質保護画像を提供する)。シーラントフィルムに貼り合わされたアルミニウムホイルも一般的である。例えば、Capri Sun(登録商標)(裏刷りされたOPET/接着剤/ホイル/接着剤/シーラント)。
【0031】
あるいは、本明細書中に記載のCOCポリマーは他の適当な熱可塑性ポリマーと共に同時押出して、COCフィルム側に低温でヒートシールすることができるヒートシール可能なラミネートを製造することができる。本発明の一般的な2層ラミネートは、COCポリマーおよび他の熱可塑性ポリマーを適当なダイを通して押出または同時押出することによって形成することができる。ラミネートの全体の厚さは広範囲にわたって変更することができ、所期の用途によって決まる。
【0032】
押出方法自体は周知である。本発明の方法では、COCおよび他の熱可塑性ポリマーを押出機中で圧縮および溶融し、その後、フラットフィルムダイを通して押出し、得られたフィルムを固化用の1つ以上のロールに取り、必要に応じて延伸し、引き続き、必要に応じてヒートセットし、そして必要に応じて処理予定の表面上にコロナ処理又は火炎処理を行う。フラットフィルム法に代えて、環状ダイを用いてチューブラフィルム(tubular film)を製造することができる。チューブラフィルムは単一層でも多層でもよい。チューブは急冷し、最終的なチューブ形容器として用いるために集めるか、又はフィルムに延伸し、スリットを入れて切り開く。
【0033】
本発明による多成分フィルム又はシートを製造する1つの好ましい方法では、2つの押出機を用いて、融点の異なる2種のポリマーを押し出す。コンバイニングブロック(combining block)を用いて、より低い融点のCOCポリマーが最も外側の層を形成するようにポリマーを単一ダイに導く。この方法の別の好ましい態様では、コンバイニングブロックおよびダイの代わりにマルチマニホールドダイを用いる。3種以上のポリマーを用いるとき、各ポリマーに対して1つの押出機が必要である。本発明の実施に有用な押出機、ダイおよびコンバイニングブロックは本技術分野における当業者に周知のものである。様々なそのような装置を様々な組み合わせで用いることができ、それらの選択は用いられるポリマー並びに望ましい層の数及び厚さによる。
【0034】
フィルムは、好適には、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology,第4版(1993),第10巻,pp.775−778、その開示内容は参照によって本明細書に援用される)に記載のフラットダイまたはインフレートフィルム技術によって製造される。
【0035】
溶融押出の主な変形法は、スロット(又はフラット)ダイ−キャストフィルム法およびインフレートフィルム法である。これらは同時押出のような1つ以上の工程を組み合わせてもよい。該工程では多層フルムまたはシートが形成され、2軸延伸およびインライン被覆される。
【0036】
溶融押出の最も簡単な形は、スロットダイを用いて溶融ポリマーを薄い平らな形状にし、次にこれを直ちに急冷して固体状態にするものである。これは、ホットウェブをチルドロールまたはドラム上に非常に素早く接触させることによって通常行われる。液体急冷浴を、チルドロールの代わりに用いても又はチルドロールと隣接させてもよい。ポリマーの種類または配合により、急冷ウェブは概して、実質的に非晶質となる。場合によっては、押出速度に対して急冷ロールを増速駆動させることによってウェッブの厚さを低下させてもよい。スロットフィルム法で最も重要なファクターはダイの設計である。横断ゲージの調整は極めて重要であり、何らかの形でクロス−ウェブゲージ調整が必要である。ウェブを横切るダイギャップの機械的変更は、正確に制御されたダイリップへのボルト作動によって、あるいは僅かに増加するように制御されたダイの横からの加熱によって実施することができる。内部ダイ形状は用いられる特定のポリマーの流れおよびせん断特性に適合するように注意深く設計しなければならない。ダイ特性を押出速度、引き落とし率、粘度および温度に適合させることによって溶融破壊を防止するように注意しなければならない。
【0037】
インフレートフィルム法又はチューブラフィルム法は、薄いフィルムを製造するための低コスト法を提供する。この方法では、ホットメルトは環状サーキュラーダイを通して上方または下方、そしてしばしばというほどではないが水平に押出される。チューブは、所望のフィルム特性に応じて及び実際上の取り扱いを考慮することによって決定される直径に空気で膨らます。これは、直径にすると、センチメートルほどの小ささからメートルを越える大きさの範囲にわたって変動し得る。
【0038】
ホットメルトがダイから現れるにつれて、チューブはその直径の2倍又は3倍に空気で膨れる。同時に、冷却された空気はウェブを冷却して固体にし、性質に影響を及ぼす。空気衝突ポイント並びに空気の速度および温度を全て調節して、フィルムに最適な物理的性質を付与しなければならない。フィルムチューブはローラーのV形フレームの中でつぶれ、フレームの端ではさまれて空気を気泡内に捕捉する。ニップロールはまたフィルムをダイから引き離す。引っ張り速度は、物理的性質と、吹き込み引っ張り比によって得られる横方向の性質とがつり合うように調節される。チューブはそれ自体を巻いても、又はスリットを入れて切り開き、1つ以上のロールに巻き取ってもよい。インフレートフィルム技術は、1種以上のポリマーをメルトの2つ以上の層で同時押出することによって注文通りのフィルム製品を製造することに用いられる。この方法では、特定ポリマーの種類または配合の利点を組み合わせることができる。従って、高コストのバリヤー樹脂を標準的な樹脂からなる低コストのより厚い層と組み合わせて、最適なバリヤーフィルムを低コストで実現することができる。薄いスリップコントロール層を光学的に透明な樹脂のバルク層の表面で用いて、取り扱い適性(handleability)が良好で且つ美的なフィルムを得ることができる。本発明の融点がより低い外層はヒートシールを提供するのに用いられる。
【0039】
本発明のさらに別の態様では、多層ラミネートは押し出しではなく、接着によって製造することができる。
本発明の別の態様では、ラミネートの層は、成形工程、例えば、吹き込み成形、射出成形等によって製造することができる。
【0040】
本発明の別の態様は、本発明のCOCポリマーをそれ自体と、又は別のCOCポリマーフィルムと、又は別の熱可塑性ポリマーフィルムと、またはそれらの組み合わせたものと1つ以上の形で結合する方法に関する。その方法は、所望のフィルムを共に緊密に物理的に接触させること、および約50〜80℃で加圧することを含む。
【0041】
フィルムまたはシートの内層(inner layer)は全てが同じ融点を有する必要はないが、内層が溶融することなく外層(outer layer)が溶融するように、外側のCOC層の融点よりも十分に高い融点を有していなければならない。このような層の配列によって、内層の形、構造、剛性、および他の物理的性質を維持しながら、外層を他の物体に溶融貼り合わせ(melt laminate) 又は結合させ又はシールすることが可能になる。
【0042】
あるいは、本発明の2枚のCOCポリマーフィルムを互いに溶融またはヒートシールしてもよい。
さらに別の態様では、COCポリマーフィルム自体を折り返し、ヒートシールすることもできる。
【0043】
本発明のフィルムを用いて包装を形成する他の有用な方法には、例えば、そのような包装が、製品の収納に望ましい形に本発明のポリマーフィルム、ラミネートまたは発泡シートをまず熱成形すること、そのように形成した容器に製品を置くこと、別の物体(例えば、ポリマーフィルム、紙、厚紙、金属物等)を入れること、そして製品が該物体と容器との間に封入されるように容器および物体をシールすることによって形成される場合が含まれる。さらに別の方法では、本発明のポリマーフィルム、ラミネートまたは発泡シートは、開口端の1つ以外の全てをヒートシールで閉じ、開口端を通じて製品(例えば、固体または液体)を詰め、そして残りの端部をヒートシールで閉じて製品を封入することによってパウチに成形することができる。そのような方法は本技術分野では周知である。
【0044】
本発明の多層フィルムは必要に応じて、高温でフィルムの構造強度を高める及び/又は引き裂かれる前に材料を延伸することができる力を増加させるために、架橋させることもできる。架橋は、照射、例えば、フィルムに粒子性または非粒子性放射線、例えば加速器からの高エネルギー電子またはコバルト−60ガンマ線を照射することによって行われるのが好ましい。一般的な架橋方法を用いることができる。例えば、電子による架橋はカーテン−ビーム照射によって実施することができる。化学的架橋方法、例えば、過酸化物の使用などの方法も用いることができる。
【0045】
本発明は、層または多層シートの全体としての厚さばかりでなく、シートの層の数についても限定されない。これらの変数は必要性に基づいておよび利用できる装置の性能に基づいて決定することができる。
【0046】
様々な実施例を参照して以下で本発明を詳しく説明する。そのような説明は本発明を説明するためのものであり、本発明、請求の範囲に記載の精神および範囲を制限するものではない。断りがなければ、用語は通常の意味に従って解釈すべきである。本技術分野における当業者であれば、本発明を様々に変更しうる。本発明は本明細書中に記載の態様に限定されず、請求の範囲の範囲内の全ての主題を包含する。
【実施例】
【0047】
実施例1
シクロオレフィン/エチレンコポリマーの製造(米国特許第6,008,298号参照)
【0048】
【化2】
【0049】
清浄で、乾燥した、攪拌機を備えた75dm3重合反応器を、窒素、次いでエチレンでフラッシュし、12kgのノルボルネンおよび15dm3のトルエンで満たした。300mlのトリイソブチルアルミニウム溶液(トルエン中の20%w/w)を加えた。エチレン圧を上げて18バールに調整した。反応温度は70℃に調整した。20mgのイソプロペニル(シクロペンタジエニル)(1−インデニル)−ジルコニウムジクロリドを、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(凝固点降下測定による分子量が1300g/モルのメチルアルミノキサン10重量%)500mlに溶解し、次に、溶液を反応器に計り入れた。補充することによってエチレン圧は18バールに保った。90分の重合時間の後、反応器の内容物を150dm3攪拌槽に移した。これには、水素化ジーゼル油フラクション(Exxsol、沸点100〜120℃、エクソン社)50dm3中のセライト500gおよび水200mlをあらかじめ導入しておいた。混合物を60℃で20分間攪拌した。10dm3のExxsol中に懸濁させたセライト500gのフィルターケーキを120dm3圧力吸引フィルターの濾布上に形成した。ポリマー溶液を圧力吸引フィルターで濾過した。溶液上の窒素圧を2.8バールにした。次に、混合物を7つのフィルターキャンドル(フルイッド・ダイナミックス社、Dynalloy XS 64.5μm 0.1m2/キャンドル)で濾過し、これらをスチール製のハウジングに乗せた。ポリマー溶液を分散機(Ultraturrax)によって500dm3のアセトンに攪拌しながら入れて沈殿させた。懸濁液を、底のバルブを開けた状態で680dm3攪拌圧力吸引フィルター上に循環させた。底のバルブを閉じた後、残留物を200dm3のアセトンで3回洗浄した。最後の洗浄の後、生成物を60℃の窒素流中で予備乾燥し、乾燥キャビネット内で24時間、0.2バール、80℃で乾燥し、5.37kgのポリマーを得た。粘度数は51ml/gであり、ガラス転移温度は105℃であった。
【0050】
上記の方法でのノルボルネン含有量を変更することによって、様々なTgのCOCポリマーを製造することができた。一般に、ノルボルネン含有量を減少させ、エチレンを増加すると、それに応じてTgが低下した。一般に、本発明のポリマーのTgは
ノルボルネン含有量=(Tg+65)/4
の関係に従う。次の表2に、このように製造した様々なCOCポリマーを、それらのモノマー比およびTgと共に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
前述のように、ヒートシールの強度および耐久性は包装目的にとって不可欠である。例えば、包装の強度はヒートシールの強度と相互に関連し得る。本発明のフィルムでつくられたヒートシールは、熱間粘着力強度および極限シール強度によって示されたように、低いヒートシール温度でも予想外に強力であった。
【0053】
本発明の各種COCフィルム、ブレンドおよび商業用フィルムの具体的な熱間粘着強度測定結果は以下の試料1〜21に示し、本発明の各種COCフィルム、ブレンドおよび商業用フィルムの極限シール強度測定結果は以下の試料21〜29に示す。データは図1〜5にもプロットされている。試料は説明のためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0054】
熱間粘着測定の具体的な試験条件を以下の熱間粘着条件表に示す。これらを表3の試料1〜13に適用した。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】
【表11】
【0064】
【表12】
【0065】
【表13】
【0066】
【表14】
【0067】
【表15】
【0068】
【表16】
【0069】
さらなる熱間粘着測定の具体的な試験条件を以下の表に示す。これらを表4の試料14〜21に適用した。
【0070】
【表17】
【0071】
【表18】
【0072】
【表19】
【0073】
【表20】
【0074】
【表21】
【0075】
【表22】
【0076】
【表23】
【0077】
【表24】
【0078】
【表25】
【0079】
極限シール強度測定の具体的な試験条件を以下の表に示す。これらを表5の試料22〜34に適用した。
【0080】
【表26】
【0081】
【表27】
【0082】
【表28】
【0083】
【表29】
【0084】
【表30】
【0085】
【表31】
【0086】
【表32】
【0087】
【表33】
【0088】
【表34】
【0089】
【表35】
【0090】
【表36】
【0091】
【表37】
【0092】
【表38】
【0093】
【表39】
【0094】
さらなる極限シール強度測定の具体的な試験条件を以下の表に示す。これらを表6の試料35〜42に適用した。
【0095】
【表40】
【0096】
【表41】
【0097】
【表42】
【0098】
【表43】
【0099】
【表44】
【0100】
【表45】
【0101】
【表46】
【0102】
【表47】
【0103】
【表48】
【0104】
試料1〜42の代表的なデータを図1〜6に示す。
試料1〜29および図1および2から、本発明のCOCフィルムが低温で高い熱間粘着強度並びに65℃程度の低い温度でシールしたときでも高い極限強度を有することが分かる。表の右欄の用語「良好なシール」は、フィルムが、低温(65℃より下)でシールしたときでも高い熱間粘着強度並びに極限強度を示したことを意味する。押出貼り合せされる系についての高容量能力(high volume capability)と相俟って、本発明のフィルムはヒートシール性フィルムにとって望ましい性質の特有の組み合わせをもたらす。さらに、良好なシール特性は広い温度範囲にわたって得られ、このことは、図5および6に見られるように、フィルムが従来のフィルムよりも処理条件にあまり敏感でないことを示す。
【0105】
図3および4は、ヒートシール可能なCOCフィルムがCOCポリマーと商業用ポリマー(本発明のCOCポリマーの代わりに)とのブレンドを含むとき、熱間粘着強度および極限シール強度がより劣っていることを示している。
【0106】
図5は、本発明のヒートシール可能なCOCポリマーフィルムの場合、熱間粘着強度が広い温度範囲で維持されることを示している。
図6は、本発明のCOCフィルムが同様に広い温度範囲にわたって高い極限シール強度を有することを示している。
【0107】
本発明のさらに別の側面は、本発明のヒートシール可能なフィルムを用いることによって形成されるラミネートおよび包装(「容器」)、並びにそのような包装または包装材料の製造法に関する。本発明のCOCポリマーフィルムは食物または他の消費可能な品物を包装するのに非常に適している。また、工業部門での使用、例えば、押箔の製造にまたはラベルフィルムとして用いるのに非常に適している。ラミネートおよび包装は、米国特許第5,755,081号および米国特許第5,783,270号(その開示内容は参照によって本明細書中に援用される)に記載のような適したどのような方法でも製造しうる。例えば、
図7は、都合よく製造された、熱可塑性層10並びにヒートシール可能なCOC層20を含む2層の熱接着ラミネートを示し;
図8は、都合よく製造された、熱可塑性層10、COC層20、金属、紙、熱可塑性ポリマー等を含みうる任意の層25、およびヒートシール可能なCOC層20を含む4層のラミネートを示し;
図9は、都合よく製造された、印刷された層23をさらに含む、図8のラミネートに類似した5層のラミネートを示し;
図10は、都合よく製造された、接着剤層22をさらに含む、図8のラミネートに類似した5層のラミネートを示し;
図11は、フィルムが外縁28でヒートシールされる、本発明のフィルム、または図7〜10のラミネートのいずれでもよいラミネートを含む包装5を示す。
【0108】
上記の具体的な態様を、請求の範囲に示すような本発明の精神および範囲内で変更することは、本技術分野における当業者にとって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明のフィルムおよび様々な他のフィルムに対する熱間粘着シール強度対シール温度のプロットである。
【図2】各種フィルムに対する極限シール強度対温度のプロットである。
【図3】商業用ポリマーおよびCOCポリマーのブレンドであるヒートシール可能なフィルムに対する熱間粘着シール強度対シール温度のプロットである。
【図4】商業用ポリマーおよびCOCポリマーのブレンドであるヒートシール可能なフィルムに対する極限シール強度対シール温度のプロットである。
【図5】様々なシール温度での本発明のCOCポリマーのヒートシール可能なフィルムの熱間粘着シール強度のプロットである。
【図6】本発明のフィルムに対する極限シール強度対シール温度のプロットである。
【図7】本発明のラミネートを示す。
【図8】本発明のラミネートを示す。
【図9】本発明のラミネートを示す。
【図10】本発明のラミネートを示す。
【図11】本発明の包装を示す。
【符号の説明】
【0110】
10 熱可塑性層
20 ヒートシール可能なCOC層
22 接着剤層
23 印刷された層
28 外縁
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ヒートシール可能なシクロオレフィンコポリマー(COC)に関する。本発明はさらに、フィルムのヒートシール可能なラミネートにおける使用およびヒートシールされた容器の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プラスチックフィルムは、野菜等のような食物を含む様々な製品を販売前に包装するために、例えばスーパーマーケット等において広範囲に用いられている。例えば、米国特許第6,489,016号には、ポリオレフィンの多層包装フィルムが開示されている。そのような包装材料およびそれらからつくられた包装は、米国特許第6,383,582号;第5,750,262号;第5,783,270号;および第5,755,081号;並びに法定発明登録第H1727号にも開示されている。そのような包装フィルムは、商品、例えば液体食品を含む食品、個々の物品またはプラスチックキャリヤートレー等に入れられた少量ずつ分配または小分けされたロットを覆い及び包むのに利用できる。そのような柔軟包装(flexible packaging)の成功は、最高度の包装一体性、セキュリティおよび耐久性をもたらすことが可能な熱可塑性ヒートシーラントの幅広い利用によると考えられてきた。さらに、フィルムが透明であり、且つ、適切な伸縮弾性(extensible elasticity)、様々な表面に付着する能力及び実用的な性能(包装したときの内面の曇りに対する抵抗性、シーリングバーでの加熱プレスに起因するヒートシール時の破れに対する抵抗性、指の押し付けからの回復性及びヒートシール適性など)を有したまま、容易に切断され得ることが、包装フィルムには必要とされる。
【0003】
また周知のように、「ヒートシール」とは、フィルムを互いに接触させ、次に、十分な熱および圧力をフィルムの接触部分に加えて、フィルムを融合させることによって、2つのフィルム、例えば、フィルムおよび熱成形フィルム/容器または同じフィルムの2つの部分を結合することを意味する。通常であれば、必ずしも常にではないが、ヒートシールは連続的であり、製品を取り囲んで該製品を2つのフィルムの中に完全に封入する。加熱体(heat element:しばしば「シールヘッド」と呼ばれる)を含む装置によってヒートシールが形成される。該加熱体は、フィルムの片側からフィルムの接触部分に押し付けられ、そして通常は非加熱の裏部材(backing element)に対してフィルムをプレスする。その結果、フィルムが、ヒートシールの達成に十分な時間、加熱体と裏部材との間でプレスされるようになる。あるいは、フィルムは、ヒートシールを行う2つの加熱体またはジョー(jaws)の間でプレスしてもよい。
【0004】
熱可塑性材料のヒートシール性能には時間、温度及び圧力が複雑に関係する。J. R. de Garavill, Tappi Journal,191(1995年6月)には、各種イオノマー、酸コポリマーおよびメタロセンポリエチレン樹脂のシーラント性能が記載されている。
【0005】
熱可塑性樹脂からの包装フィルムは通常は溶融押出によって製造される。溶融押出の場合、ポリマー樹脂の溶融強度および押出加工性が相当に重要な特性である。より多量に押出すことができ、そしてフィルムへの変換に要するエネルギーがより少なくなるような樹脂が好ましい。低温(すなわち、80℃未満)でのヒートシール適性は、多くの実用プロセスへの適用を容易にし、生産速度をより速くすることができるので有利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は包装用フィルムを提供することである。特に本発明の目的は、比較的低温でヒートシールできるフィルム、および比較的低温でヒートシールできるフィルムを含む包装方法を提供することである。本発明の別の目的は、比較的低温で熱可塑性ポリマーまたは金属に貼り合わせることができるフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
上記の目的の1つ以上は、約50〜80℃でヒートシールできるフィルムの提供によって達成される。フィルムはシクロオレフィンコポリマー(COC)から本質的になり、COCポリマーは30〜55℃のTgを有する。フィルムは、低温でのすぐれた封止性並びに広い温度範囲にわたる予想外の熱間粘着性および極限シール強度を示し、これらの性質によってフィルムは幅広い用途に適したもの、特に包装用途に対しても丈夫なものになる。
【0008】
本発明のフィルムを1つ以上の追加熱可塑性ポリマー層および/または他の層へ別個の工程で貼り合わせて多層ラミネートを形成することも、あるいはCOCポリマーを1種以上の熱可塑性樹脂と共に同時押出して多層ラミネートを製造することもできる。そのような多層の場合、少なくとも1つの層は上記のCOCポリマーであり、上記COCからなるヒートシール可能な面を有するフィルムが得られ、必要に応じて反対の面は他のポリマーからなる。3層以上を有するが、一方のみがヒートシール可能な面である構造物も同様な方法で製造でき、この場合、上記COC層は外側のヒートシール可能な層を形成する。
【0009】
発明の詳細な説明
様々な図および実施例を参照することによって本発明を詳しく説明する。それらは本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明の精神および範囲は添付した請求の範囲で明らかにされている。断りがなければ、用語はそれらの通常の意味に従って解釈すべきである。例えば、コポリマーである、などの特段の断りがなければ、用語「ポリマー」または「ポリマー樹脂」、「高分子」等には、ホモポリマー、コポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダムおよび交互コポリマー、ターポリマー等、並びにそれらのブレンドおよび変性体(ただし、これらに限定されない。)が含まれる。「ポリマー」または「ポリマー樹脂」にはまた、物質の可能な全ての分子配置(molecular configuration)が含まれる。これらの構造には、アイソタクチック、シンジオタクチックおよびアタクチック(ランダム)分子配置(ただし、これらに限定されない。)が含まれる。「ミル」はインチの1,000分の1を意味する。
【0010】
ポリマーのTg、すなわちガラス転移温度は様々な方法で試験することができる。本発明のポリマーのTgは、ASTM D3418−99に従って測定されるのが好ましい。試験方法は一般に、ポリマーと対照物質との間の温度差をモニターしながら、管理された環境で該ポリマーを加熱および冷却することからなる。
【0011】
シールが周囲温度に達する前の特定の瞬間に測定したヒートシールの強度を表す熱間粘着力強度(ニュートン)または「熱間粘着性」は、ASTM F1921−98(その開示内容の全てを参照によって本明細書に援用する)に従って測定する。本発明のフィルムのような試料をヒートシールし、シールがまだ熱い間に、得られたシールを耐久性および破壊力に対する抵抗性について試験することができる。概括的に述べると、当該試験法には、温度、接触時間および圧力の定められた条件下で2つの平らな加熱されたジョーから試料に圧力を加えることが含まれる。このとき、「シール温度」は、ジョーがシールされるフィルムと接触し、フィルムに圧力を加えている間、シールされるフィルム間の接触面で到達する最高温度である。試料を、周囲温度に達する前にジョーから取り出した後、シールを本質的に壊すのに必要な力を測定する。
【0012】
従って、ヒートシーリング温度、ヒートシール温度、および類似の用語は、保圧時間が十分であるという前提での、ジョーまたは他のシーリング用具の温度を指すか、さもなくばシーリング用具(単数または複数)の表面温度に近似される。
【0013】
ニュートンでも表される本明細書中で用いられるような極限シール強度は、ヒートシールして約30秒後のヒートシール強度であり、30秒の冷却時間をシールが壊される前に設ける以外は、熱間粘着測定に用いられた同じ方法で測定した。熱間粘着および極限シール強度の試料試験パラメーターは以下の表1に示す:
【0014】
【表1】
【0015】
別の測定手段、例えばASTM D3706−88(2000)を用いて熱間粘着を測定してもよいが、便宜上、ASTM F1921−98に従って得た結果を本明細書中で用いる。
【0016】
本明細書中で用いられるように、用語「ヒートシール」または類似の用語は、フィルムを互いに接触させるか又は互いに少なくともすぐ近く接近させ、そしてフィルムの所定領域(単数または複数の領域)に十分な熱および圧力を加えて、所定領域のフィルムの接触面を溶融し、互いに混ぜ合わせ、それによって、熱および圧力を除き、冷却させたとき、所定領域の2枚のフィルム間に本質的に分離できない結合を形成することによる、少なくとも2枚のフィルムの一体化を指す。本明細書中で用いられるような用語「フィルム」および「シート」は、単一層であろうと多層であろうと、あらゆる広がりをもった材料も意味し、そして厚さ又は形態は限定されない。これらの用語はしばしば平らな形を思わせるが、本発明のフィルムは別の形でもよく、例えば、本発明による環状フィルムがダイから押出され、このフィルムがその形状で用いられても、又は、その後に、本発明の本質から逸脱することなく、スリットを入れて、平らな又はカールしたシートとしてもよい。
【0017】
本明細書中で用いられるように、用語「多層フィルム」は、次の方法を1つ以上含む従来の方法又は適切な方法によって互いに結合されたポリマーまたは他の材料から形成される1つ以上の層を有する、一般にシートまたはウェブ形状の熱可塑性材料を指す:同時押出、押出被覆、貼り合わせ、蒸着被覆、溶剤被覆、エマルジョン被覆、または懸濁液被覆。
【0018】
本明細書中で用いられるように、用語「同時押出」等は、押出物が、冷却、すなわち急冷前に互いに結合して積層構造となるように配列された2つ以上のオリフィスを有する単一ダイを通して2種以上の材料を押出す方法を指す。同時押出は、インフレーション、フリーフィルム押出、および押出被覆法で用いることができる。
【0019】
本明細書中で用いられるように、用語「融点」は、材料が固体から液体に変化する温度を一般に指す。
1つの態様では、本発明は、COCポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムについて開示する。COCポリマーのTgは30〜55℃の温度範囲にある。
【0020】
好適なフィルムは、例えば、約24〜約30モル%ノルボルネンおよび約76〜約70モル%エチレンを有する。
本発明においてヒートシール可能な層として用いられるシクロオレフィンポリマーはシクロオレフィンコポリマーである。有用なシクロオレフィンコポリマーは本技術分野において知られている。例えば、米国特許第6,068,926号(譲受人:ティコナ社)および米国特許第5,912,070号(譲受人:三井化学社)には、いくつかのシクロオレフィンポリマーおよびコポリマーが開示されている(その開示内容は参照によって本明細書に援用される)。
【0021】
本発明において有用なシクロオレフィンコポリマーは、非環式オレフィンおよび環状オレフィン(または「シクロオレフィン」)モノマーのコポリマーであって、環状オレフィンモノマーは(i)式I、II、III、IV、VまたはVIの多環式構造、又は(ii)式VIIの単環式構造を有し:
【0022】
【化1】
【0023】
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は同じか又は異なり、H、C6−C20アリールもしくはC1−C20アルキル基またはハロゲン原子であり、nは2から10の数である。そのような環状オレフィンモノマーの例は、ノルボルネン、ジメチルオクタヒドロ−ナフタレン、シクロペンテンおよび(5−メチル)ノルボルネン等、またはそれらの混合物である。好適な非環式オレフィンモノマーの例は、エチレン、プロピレン、ブチレン等、またはそれらの混合物である。好ましい環状オレフィンはノルボルネンであり、好ましい非環式オレフィンはエチレンまたはプロピレンである。特に好ましいシクロオレフィンコポリマーは、ノルボルネンおよびエチレンのコポリマーであり、該シクロオレフィンコポリマーは約10〜90モル%のノルボルネン残基および約90〜10モル%のエチレン残基を含む。いくつかのそのようなポリマーは、ニュージャージー州サミットのティコナ社からTOPAS(登録商標)の商品名で入手しうる。
【0024】
本発明の別の態様では、モル比率が約15〜30モル%ノルボルネンおよび約70〜85モル%エチレンのノルボルネンとエチレンとのシクロオレフィンコポリマーであって、コポリマーのTgが約30〜55℃であるコポリマーを開示する。
【0025】
シクロオレフィンポリマーは遷移金属触媒、例えばメタロセンを用いて製造することができる。適した製造方法は公知であり、例えば、DD−A−109 225、EP−A−0 407 870、EP−A−0 485 893、米国特許第6,489,016号、第6,008,298号、第6,608,936号および第5,912,070号に記載されている(その開示内容は参照によって全て本明細書に援用される)。
【0026】
製造中の分子量調節は水素を用いて有利に行うことができる。好適な分子量はまた、触媒および反応条件を所望の通りに選択することによって実現することができる。この点についての詳細は上記の明細書に記載されている。
【0027】
本発明の目的に適したシクロオレフィンコポリマーは1,000〜200,000、好ましくは100,000〜150,000の平均分子量Mw(重量平均)を有する。好適なCOCはガラス転移温度(Tg)によって特徴づけることができ、そして、低温ヒートシール可能な層として本発明に使用する目的では、該ガラス転移温度は30〜55℃である。そのような好適なCOCポリマーは、ニュージャージー州サミットのティコナ社からTOPAS(登録商標)のブランドで入手することができる。さらに、適当なモノマーからのCOCコポリマーの製造については、例えば、米国特許第6,489,016号に開示されている。ポリマーのTgは、上記のASTM D3418「熱分析によるポリマーの転移温度の標準試験法」(American Society for Testing of Materials、ペンシルベニア州フィラデルフィア)に従うパーキンエルマー「半Cp外挿」(「半Cp外挿」は、比熱変化が完全転移での変化の半分となる曲線上の位置を記録する)によって測定した。
【0028】
上記の低温ヒートシール可能なCOCフィルムは他の熱可塑性層に貼り合わせても、あるいはそれらと同時押出してもよい。そのような追加層のためのポリマーは、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアミド(ナイロンを含む)、ポリケトン、ポリケトアミド、ポリカーボネート、エチレン/ビニルアルコールコポリマー(EVOH)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニル、ポリプロピレン、環状オレフィンホモポリマーおよび環状オレフィンコポリマー並びにそれらの組み合わせよりなる群から選択することができる。好適なポリマーの例は、ポリ(m−キシレン−アジパミド)(MXD6)、ポリ(ヘキサメチレンセバシン酸アミド)、ポリ(ヘキサメチレン−アジパミド)およびポリ(カプロラクタム)、ポリエステル、例えばポリ(エチレンテレフタレート)およびポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、エチレンビニルアルコールコポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー、無水マレイン酸でグラフトされたポリエステル、PVDC、脂肪族ポリケトン、およびLCP(液晶ポリマー)である。好適なポリケトンの例は、シェル社製造のCarillon(登録商標)である。好適な液晶ポリマーの例は、ティコナ社製造のVectra(登録商標)である。
【0029】
本発明の貼り合わせ用熱可塑性ポリマーとして有用なポリエチレンのいくつかは、LDFE、LLDPE、LMDPE、VLDPE、ULDPE等のような用語で呼ばれる。LDPEは低密度ポリエチレンホモポリマーである。エチレン/α−オレフィンコポリマーの密度は一般に約0.86〜約0.94g/ccである。線状低密度ポリエチレン(LLDPE)という用語は、密度が約0.915〜約0.94g/ccのエチレン/α−オレフィンコポリマーのグループを含むと一般に理解されている。密度が約0.926〜約0.94g/ccの線状ポリエチレンは、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)と呼ばれることもある。より低密度のエチレン/α−オレフィンコポリマーは、非常に低密度のポリエチレン(VLDPE、ユニオン・カーバイド社から入手しうる、密度が約0.88〜約0.91g/ccのエチレン/ブテンコポリマーを指すのに一般に用いられる)および超低密度ポリエチレン(ULDPE、ダウ・ケミカル社が供給するエチレン/オクテンコポリマーを指すのに一般に用いられる)と呼ばれる。
【0030】
他の熱可塑性フィルムの厚さは10〜250ミクロンである。一般的な貼り合わせ条件は接着剤貼り合わせ条件である。上記のその他の熱可塑性フィルムに加えて、他の有用な熱可塑性ポリマーはOPET(「2軸配向ポリエチレンテレフタレート」)およびOPP(「2軸配向ポリプロピレン」)である。しばしばOPETおよびOPPは裏刷りされる(貼り合わされる側に印刷して高品質保護画像を提供する)。シーラントフィルムに貼り合わされたアルミニウムホイルも一般的である。例えば、Capri Sun(登録商標)(裏刷りされたOPET/接着剤/ホイル/接着剤/シーラント)。
【0031】
あるいは、本明細書中に記載のCOCポリマーは他の適当な熱可塑性ポリマーと共に同時押出して、COCフィルム側に低温でヒートシールすることができるヒートシール可能なラミネートを製造することができる。本発明の一般的な2層ラミネートは、COCポリマーおよび他の熱可塑性ポリマーを適当なダイを通して押出または同時押出することによって形成することができる。ラミネートの全体の厚さは広範囲にわたって変更することができ、所期の用途によって決まる。
【0032】
押出方法自体は周知である。本発明の方法では、COCおよび他の熱可塑性ポリマーを押出機中で圧縮および溶融し、その後、フラットフィルムダイを通して押出し、得られたフィルムを固化用の1つ以上のロールに取り、必要に応じて延伸し、引き続き、必要に応じてヒートセットし、そして必要に応じて処理予定の表面上にコロナ処理又は火炎処理を行う。フラットフィルム法に代えて、環状ダイを用いてチューブラフィルム(tubular film)を製造することができる。チューブラフィルムは単一層でも多層でもよい。チューブは急冷し、最終的なチューブ形容器として用いるために集めるか、又はフィルムに延伸し、スリットを入れて切り開く。
【0033】
本発明による多成分フィルム又はシートを製造する1つの好ましい方法では、2つの押出機を用いて、融点の異なる2種のポリマーを押し出す。コンバイニングブロック(combining block)を用いて、より低い融点のCOCポリマーが最も外側の層を形成するようにポリマーを単一ダイに導く。この方法の別の好ましい態様では、コンバイニングブロックおよびダイの代わりにマルチマニホールドダイを用いる。3種以上のポリマーを用いるとき、各ポリマーに対して1つの押出機が必要である。本発明の実施に有用な押出機、ダイおよびコンバイニングブロックは本技術分野における当業者に周知のものである。様々なそのような装置を様々な組み合わせで用いることができ、それらの選択は用いられるポリマー並びに望ましい層の数及び厚さによる。
【0034】
フィルムは、好適には、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology,第4版(1993),第10巻,pp.775−778、その開示内容は参照によって本明細書に援用される)に記載のフラットダイまたはインフレートフィルム技術によって製造される。
【0035】
溶融押出の主な変形法は、スロット(又はフラット)ダイ−キャストフィルム法およびインフレートフィルム法である。これらは同時押出のような1つ以上の工程を組み合わせてもよい。該工程では多層フルムまたはシートが形成され、2軸延伸およびインライン被覆される。
【0036】
溶融押出の最も簡単な形は、スロットダイを用いて溶融ポリマーを薄い平らな形状にし、次にこれを直ちに急冷して固体状態にするものである。これは、ホットウェブをチルドロールまたはドラム上に非常に素早く接触させることによって通常行われる。液体急冷浴を、チルドロールの代わりに用いても又はチルドロールと隣接させてもよい。ポリマーの種類または配合により、急冷ウェブは概して、実質的に非晶質となる。場合によっては、押出速度に対して急冷ロールを増速駆動させることによってウェッブの厚さを低下させてもよい。スロットフィルム法で最も重要なファクターはダイの設計である。横断ゲージの調整は極めて重要であり、何らかの形でクロス−ウェブゲージ調整が必要である。ウェブを横切るダイギャップの機械的変更は、正確に制御されたダイリップへのボルト作動によって、あるいは僅かに増加するように制御されたダイの横からの加熱によって実施することができる。内部ダイ形状は用いられる特定のポリマーの流れおよびせん断特性に適合するように注意深く設計しなければならない。ダイ特性を押出速度、引き落とし率、粘度および温度に適合させることによって溶融破壊を防止するように注意しなければならない。
【0037】
インフレートフィルム法又はチューブラフィルム法は、薄いフィルムを製造するための低コスト法を提供する。この方法では、ホットメルトは環状サーキュラーダイを通して上方または下方、そしてしばしばというほどではないが水平に押出される。チューブは、所望のフィルム特性に応じて及び実際上の取り扱いを考慮することによって決定される直径に空気で膨らます。これは、直径にすると、センチメートルほどの小ささからメートルを越える大きさの範囲にわたって変動し得る。
【0038】
ホットメルトがダイから現れるにつれて、チューブはその直径の2倍又は3倍に空気で膨れる。同時に、冷却された空気はウェブを冷却して固体にし、性質に影響を及ぼす。空気衝突ポイント並びに空気の速度および温度を全て調節して、フィルムに最適な物理的性質を付与しなければならない。フィルムチューブはローラーのV形フレームの中でつぶれ、フレームの端ではさまれて空気を気泡内に捕捉する。ニップロールはまたフィルムをダイから引き離す。引っ張り速度は、物理的性質と、吹き込み引っ張り比によって得られる横方向の性質とがつり合うように調節される。チューブはそれ自体を巻いても、又はスリットを入れて切り開き、1つ以上のロールに巻き取ってもよい。インフレートフィルム技術は、1種以上のポリマーをメルトの2つ以上の層で同時押出することによって注文通りのフィルム製品を製造することに用いられる。この方法では、特定ポリマーの種類または配合の利点を組み合わせることができる。従って、高コストのバリヤー樹脂を標準的な樹脂からなる低コストのより厚い層と組み合わせて、最適なバリヤーフィルムを低コストで実現することができる。薄いスリップコントロール層を光学的に透明な樹脂のバルク層の表面で用いて、取り扱い適性(handleability)が良好で且つ美的なフィルムを得ることができる。本発明の融点がより低い外層はヒートシールを提供するのに用いられる。
【0039】
本発明のさらに別の態様では、多層ラミネートは押し出しではなく、接着によって製造することができる。
本発明の別の態様では、ラミネートの層は、成形工程、例えば、吹き込み成形、射出成形等によって製造することができる。
【0040】
本発明の別の態様は、本発明のCOCポリマーをそれ自体と、又は別のCOCポリマーフィルムと、又は別の熱可塑性ポリマーフィルムと、またはそれらの組み合わせたものと1つ以上の形で結合する方法に関する。その方法は、所望のフィルムを共に緊密に物理的に接触させること、および約50〜80℃で加圧することを含む。
【0041】
フィルムまたはシートの内層(inner layer)は全てが同じ融点を有する必要はないが、内層が溶融することなく外層(outer layer)が溶融するように、外側のCOC層の融点よりも十分に高い融点を有していなければならない。このような層の配列によって、内層の形、構造、剛性、および他の物理的性質を維持しながら、外層を他の物体に溶融貼り合わせ(melt laminate) 又は結合させ又はシールすることが可能になる。
【0042】
あるいは、本発明の2枚のCOCポリマーフィルムを互いに溶融またはヒートシールしてもよい。
さらに別の態様では、COCポリマーフィルム自体を折り返し、ヒートシールすることもできる。
【0043】
本発明のフィルムを用いて包装を形成する他の有用な方法には、例えば、そのような包装が、製品の収納に望ましい形に本発明のポリマーフィルム、ラミネートまたは発泡シートをまず熱成形すること、そのように形成した容器に製品を置くこと、別の物体(例えば、ポリマーフィルム、紙、厚紙、金属物等)を入れること、そして製品が該物体と容器との間に封入されるように容器および物体をシールすることによって形成される場合が含まれる。さらに別の方法では、本発明のポリマーフィルム、ラミネートまたは発泡シートは、開口端の1つ以外の全てをヒートシールで閉じ、開口端を通じて製品(例えば、固体または液体)を詰め、そして残りの端部をヒートシールで閉じて製品を封入することによってパウチに成形することができる。そのような方法は本技術分野では周知である。
【0044】
本発明の多層フィルムは必要に応じて、高温でフィルムの構造強度を高める及び/又は引き裂かれる前に材料を延伸することができる力を増加させるために、架橋させることもできる。架橋は、照射、例えば、フィルムに粒子性または非粒子性放射線、例えば加速器からの高エネルギー電子またはコバルト−60ガンマ線を照射することによって行われるのが好ましい。一般的な架橋方法を用いることができる。例えば、電子による架橋はカーテン−ビーム照射によって実施することができる。化学的架橋方法、例えば、過酸化物の使用などの方法も用いることができる。
【0045】
本発明は、層または多層シートの全体としての厚さばかりでなく、シートの層の数についても限定されない。これらの変数は必要性に基づいておよび利用できる装置の性能に基づいて決定することができる。
【0046】
様々な実施例を参照して以下で本発明を詳しく説明する。そのような説明は本発明を説明するためのものであり、本発明、請求の範囲に記載の精神および範囲を制限するものではない。断りがなければ、用語は通常の意味に従って解釈すべきである。本技術分野における当業者であれば、本発明を様々に変更しうる。本発明は本明細書中に記載の態様に限定されず、請求の範囲の範囲内の全ての主題を包含する。
【実施例】
【0047】
実施例1
シクロオレフィン/エチレンコポリマーの製造(米国特許第6,008,298号参照)
【0048】
【化2】
【0049】
清浄で、乾燥した、攪拌機を備えた75dm3重合反応器を、窒素、次いでエチレンでフラッシュし、12kgのノルボルネンおよび15dm3のトルエンで満たした。300mlのトリイソブチルアルミニウム溶液(トルエン中の20%w/w)を加えた。エチレン圧を上げて18バールに調整した。反応温度は70℃に調整した。20mgのイソプロペニル(シクロペンタジエニル)(1−インデニル)−ジルコニウムジクロリドを、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(凝固点降下測定による分子量が1300g/モルのメチルアルミノキサン10重量%)500mlに溶解し、次に、溶液を反応器に計り入れた。補充することによってエチレン圧は18バールに保った。90分の重合時間の後、反応器の内容物を150dm3攪拌槽に移した。これには、水素化ジーゼル油フラクション(Exxsol、沸点100〜120℃、エクソン社)50dm3中のセライト500gおよび水200mlをあらかじめ導入しておいた。混合物を60℃で20分間攪拌した。10dm3のExxsol中に懸濁させたセライト500gのフィルターケーキを120dm3圧力吸引フィルターの濾布上に形成した。ポリマー溶液を圧力吸引フィルターで濾過した。溶液上の窒素圧を2.8バールにした。次に、混合物を7つのフィルターキャンドル(フルイッド・ダイナミックス社、Dynalloy XS 64.5μm 0.1m2/キャンドル)で濾過し、これらをスチール製のハウジングに乗せた。ポリマー溶液を分散機(Ultraturrax)によって500dm3のアセトンに攪拌しながら入れて沈殿させた。懸濁液を、底のバルブを開けた状態で680dm3攪拌圧力吸引フィルター上に循環させた。底のバルブを閉じた後、残留物を200dm3のアセトンで3回洗浄した。最後の洗浄の後、生成物を60℃の窒素流中で予備乾燥し、乾燥キャビネット内で24時間、0.2バール、80℃で乾燥し、5.37kgのポリマーを得た。粘度数は51ml/gであり、ガラス転移温度は105℃であった。
【0050】
上記の方法でのノルボルネン含有量を変更することによって、様々なTgのCOCポリマーを製造することができた。一般に、ノルボルネン含有量を減少させ、エチレンを増加すると、それに応じてTgが低下した。一般に、本発明のポリマーのTgは
ノルボルネン含有量=(Tg+65)/4
の関係に従う。次の表2に、このように製造した様々なCOCポリマーを、それらのモノマー比およびTgと共に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
前述のように、ヒートシールの強度および耐久性は包装目的にとって不可欠である。例えば、包装の強度はヒートシールの強度と相互に関連し得る。本発明のフィルムでつくられたヒートシールは、熱間粘着力強度および極限シール強度によって示されたように、低いヒートシール温度でも予想外に強力であった。
【0053】
本発明の各種COCフィルム、ブレンドおよび商業用フィルムの具体的な熱間粘着強度測定結果は以下の試料1〜21に示し、本発明の各種COCフィルム、ブレンドおよび商業用フィルムの極限シール強度測定結果は以下の試料21〜29に示す。データは図1〜5にもプロットされている。試料は説明のためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0054】
熱間粘着測定の具体的な試験条件を以下の熱間粘着条件表に示す。これらを表3の試料1〜13に適用した。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
【表9】
【0062】
【表10】
【0063】
【表11】
【0064】
【表12】
【0065】
【表13】
【0066】
【表14】
【0067】
【表15】
【0068】
【表16】
【0069】
さらなる熱間粘着測定の具体的な試験条件を以下の表に示す。これらを表4の試料14〜21に適用した。
【0070】
【表17】
【0071】
【表18】
【0072】
【表19】
【0073】
【表20】
【0074】
【表21】
【0075】
【表22】
【0076】
【表23】
【0077】
【表24】
【0078】
【表25】
【0079】
極限シール強度測定の具体的な試験条件を以下の表に示す。これらを表5の試料22〜34に適用した。
【0080】
【表26】
【0081】
【表27】
【0082】
【表28】
【0083】
【表29】
【0084】
【表30】
【0085】
【表31】
【0086】
【表32】
【0087】
【表33】
【0088】
【表34】
【0089】
【表35】
【0090】
【表36】
【0091】
【表37】
【0092】
【表38】
【0093】
【表39】
【0094】
さらなる極限シール強度測定の具体的な試験条件を以下の表に示す。これらを表6の試料35〜42に適用した。
【0095】
【表40】
【0096】
【表41】
【0097】
【表42】
【0098】
【表43】
【0099】
【表44】
【0100】
【表45】
【0101】
【表46】
【0102】
【表47】
【0103】
【表48】
【0104】
試料1〜42の代表的なデータを図1〜6に示す。
試料1〜29および図1および2から、本発明のCOCフィルムが低温で高い熱間粘着強度並びに65℃程度の低い温度でシールしたときでも高い極限強度を有することが分かる。表の右欄の用語「良好なシール」は、フィルムが、低温(65℃より下)でシールしたときでも高い熱間粘着強度並びに極限強度を示したことを意味する。押出貼り合せされる系についての高容量能力(high volume capability)と相俟って、本発明のフィルムはヒートシール性フィルムにとって望ましい性質の特有の組み合わせをもたらす。さらに、良好なシール特性は広い温度範囲にわたって得られ、このことは、図5および6に見られるように、フィルムが従来のフィルムよりも処理条件にあまり敏感でないことを示す。
【0105】
図3および4は、ヒートシール可能なCOCフィルムがCOCポリマーと商業用ポリマー(本発明のCOCポリマーの代わりに)とのブレンドを含むとき、熱間粘着強度および極限シール強度がより劣っていることを示している。
【0106】
図5は、本発明のヒートシール可能なCOCポリマーフィルムの場合、熱間粘着強度が広い温度範囲で維持されることを示している。
図6は、本発明のCOCフィルムが同様に広い温度範囲にわたって高い極限シール強度を有することを示している。
【0107】
本発明のさらに別の側面は、本発明のヒートシール可能なフィルムを用いることによって形成されるラミネートおよび包装(「容器」)、並びにそのような包装または包装材料の製造法に関する。本発明のCOCポリマーフィルムは食物または他の消費可能な品物を包装するのに非常に適している。また、工業部門での使用、例えば、押箔の製造にまたはラベルフィルムとして用いるのに非常に適している。ラミネートおよび包装は、米国特許第5,755,081号および米国特許第5,783,270号(その開示内容は参照によって本明細書中に援用される)に記載のような適したどのような方法でも製造しうる。例えば、
図7は、都合よく製造された、熱可塑性層10並びにヒートシール可能なCOC層20を含む2層の熱接着ラミネートを示し;
図8は、都合よく製造された、熱可塑性層10、COC層20、金属、紙、熱可塑性ポリマー等を含みうる任意の層25、およびヒートシール可能なCOC層20を含む4層のラミネートを示し;
図9は、都合よく製造された、印刷された層23をさらに含む、図8のラミネートに類似した5層のラミネートを示し;
図10は、都合よく製造された、接着剤層22をさらに含む、図8のラミネートに類似した5層のラミネートを示し;
図11は、フィルムが外縁28でヒートシールされる、本発明のフィルム、または図7〜10のラミネートのいずれでもよいラミネートを含む包装5を示す。
【0108】
上記の具体的な態様を、請求の範囲に示すような本発明の精神および範囲内で変更することは、本技術分野における当業者にとって容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明のフィルムおよび様々な他のフィルムに対する熱間粘着シール強度対シール温度のプロットである。
【図2】各種フィルムに対する極限シール強度対温度のプロットである。
【図3】商業用ポリマーおよびCOCポリマーのブレンドであるヒートシール可能なフィルムに対する熱間粘着シール強度対シール温度のプロットである。
【図4】商業用ポリマーおよびCOCポリマーのブレンドであるヒートシール可能なフィルムに対する極限シール強度対シール温度のプロットである。
【図5】様々なシール温度での本発明のCOCポリマーのヒートシール可能なフィルムの熱間粘着シール強度のプロットである。
【図6】本発明のフィルムに対する極限シール強度対シール温度のプロットである。
【図7】本発明のラミネートを示す。
【図8】本発明のラミネートを示す。
【図9】本発明のラミネートを示す。
【図10】本発明のラミネートを示す。
【図11】本発明の包装を示す。
【符号の説明】
【0110】
10 熱可塑性層
20 ヒートシール可能なCOC層
22 接着剤層
23 印刷された層
28 外縁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Tgが約30〜約55℃のシクロオレフィンコポリマー(COC)から本質的になる少なくとも1層を含む、低温でのヒートシールに適したヒートシール可能なフィルム。
【請求項2】
COCがシクロオレフィンモノマーおよび非環式オレフィンを含むコポリマーである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
シクロオレフィンモノマーが(i)式I、II、III、IV、V若しくはVIの多環式構造、又は(ii)式VIIの単環式構造を有する、請求項2に記載のフィルム:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は同じであるか又は異なり、H、C6−C20アリール若しくはC1−C20アルキル基又はハロゲン原子であり、nは2〜10の数である)。
【請求項4】
シクロオレフィンモノマーが、ノルボルネン、シクロペンテン、ジメチルオクタヒドロナフタレン、ポリ(5−メチル)ノルボルネンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
シクロオレフィンモノマーがノルボルネンである、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
非環式オレフィンが、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項2に記載のフィルム。
【請求項7】
COCがノルボルネンおよびエチレンのコポリマーである、請求項2に記載のフィルム。
【請求項8】
COCから本質的になる少なくとも1つの層に貼り合わされた、熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの層をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー層およびCOCから本質的になる少なくとも1つの層が、同時押出によって形成される、請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
同時押出がフラットフィルム押出ダイを用いて行われる、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
同時押出がインフレートフィルム法を用いて行われる、請求項9に記載のフィルム。
【請求項12】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー層およびCOCから本質的になる少なくとも1つの層が、接着によって貼り合わされる、請求項8に記載のフィルム。
【請求項13】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリケトン、ポリエーテル、ポリビニル、環状オレフィンホモポリマーおよび環状オレフィンコポリマーよりなる群から選択され、少なくとも1つの熱可塑性層が、COCから本質的になる少なくとも1つ層のTgより高いTgを有する、請求項8に記載のフィルム。
【請求項14】
熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはナイロンである、請求項13に記載のフィルム。
【請求項15】
熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選択される、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
ラミネートがヒートシール可能なCOCポリマー層を介して別の層にさらにヒートシールされている、請求項8に記載のフィルム。
【請求項17】
請求項8に記載のフィルムを含むヒートシールされた包装。
【請求項18】
ヒートシールが約50〜約80℃のシール温度で実施される、請求項17に記載の包装。
【請求項19】
フィルムが約75℃より下のヒートシール温度で最大熱間粘着強度値を示し、約90〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約10%の熱間粘着強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項20】
フィルムが約75℃より下のヒートシール温度で最大熱間粘着強度値を示し、約90〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約20%の熱間粘着強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項21】
フィルムが約75℃より下のヒートシール温度で最大熱間粘着強度値を示し、約90〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約30%の熱間粘着強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項22】
フィルムが約90℃より下のヒートシール温度で最大極限シール強度値を示し、約100〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約25%の極限シール強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項23】
フィルムが約90℃より下のヒートシール温度で最大極限シール強度値を示し、約100〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約50%の極限シール強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項24】
請求項1に記載のフィルムを用意し、そして前記フィルムを別の層に約50〜約80℃のヒートシール温度で熱接着することを含む、ヒートシール包装をシールする方法。
【請求項25】
ヒートシールの方法であって、
(a)Tgが約30〜約55℃のCOCから本質的になる少なくとも1つの層を有する第1のフィルムを用意すること;
(b)Tgが約30〜約55℃のCOCから本質的になる少なくとも1つの層を有する第2のフィルムを用意すること;そして
(c)前記第1および第2のフィルムを約50〜約80℃のシール温度で共にヒートシールすること
を含む方法。
【請求項26】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約75℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える熱間粘着強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項27】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約75℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える熱間粘着強度を示し、さらに前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約75〜150℃の全てのヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度では、約5Nを越える熱間粘着強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項28】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約90℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、30秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える極限シール強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項29】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約90℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、30秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える極限シール強度を示し、さらに前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが約90〜150℃の全てのヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度では、約20Nを越える極限シール強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項30】
ノルボルネンおよびエチレンからなるシクロオレフィンコポリマーであって、前記シクロオレフィンコポリマーのTgが約30〜約55℃であり、ノルボルネンが約24〜約30モル%の量で存在し、エチレンが約76〜約70モル%の量で存在する、シクロオレフィンコポリマー。
【請求項1】
Tgが約30〜約55℃のシクロオレフィンコポリマー(COC)から本質的になる少なくとも1層を含む、低温でのヒートシールに適したヒートシール可能なフィルム。
【請求項2】
COCがシクロオレフィンモノマーおよび非環式オレフィンを含むコポリマーである、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
シクロオレフィンモノマーが(i)式I、II、III、IV、V若しくはVIの多環式構造、又は(ii)式VIIの単環式構造を有する、請求項2に記載のフィルム:
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は同じであるか又は異なり、H、C6−C20アリール若しくはC1−C20アルキル基又はハロゲン原子であり、nは2〜10の数である)。
【請求項4】
シクロオレフィンモノマーが、ノルボルネン、シクロペンテン、ジメチルオクタヒドロナフタレン、ポリ(5−メチル)ノルボルネンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
シクロオレフィンモノマーがノルボルネンである、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
非環式オレフィンが、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項2に記載のフィルム。
【請求項7】
COCがノルボルネンおよびエチレンのコポリマーである、請求項2に記載のフィルム。
【請求項8】
COCから本質的になる少なくとも1つの層に貼り合わされた、熱可塑性ポリマーを含む少なくとも1つの層をさらに含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー層およびCOCから本質的になる少なくとも1つの層が、同時押出によって形成される、請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
同時押出がフラットフィルム押出ダイを用いて行われる、請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
同時押出がインフレートフィルム法を用いて行われる、請求項9に記載のフィルム。
【請求項12】
少なくとも1つの熱可塑性ポリマー層およびCOCから本質的になる少なくとも1つの層が、接着によって貼り合わされる、請求項8に記載のフィルム。
【請求項13】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリケトン、ポリエーテル、ポリビニル、環状オレフィンホモポリマーおよび環状オレフィンコポリマーよりなる群から選択され、少なくとも1つの熱可塑性層が、COCから本質的になる少なくとも1つ層のTgより高いTgを有する、請求項8に記載のフィルム。
【請求項14】
熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはナイロンである、請求項13に記載のフィルム。
【請求項15】
熱可塑性ポリマーが、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートよりなる群から選択される、請求項14に記載のフィルム。
【請求項16】
ラミネートがヒートシール可能なCOCポリマー層を介して別の層にさらにヒートシールされている、請求項8に記載のフィルム。
【請求項17】
請求項8に記載のフィルムを含むヒートシールされた包装。
【請求項18】
ヒートシールが約50〜約80℃のシール温度で実施される、請求項17に記載の包装。
【請求項19】
フィルムが約75℃より下のヒートシール温度で最大熱間粘着強度値を示し、約90〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約10%の熱間粘着強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項20】
フィルムが約75℃より下のヒートシール温度で最大熱間粘着強度値を示し、約90〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約20%の熱間粘着強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項21】
フィルムが約75℃より下のヒートシール温度で最大熱間粘着強度値を示し、約90〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約30%の熱間粘着強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項22】
フィルムが約90℃より下のヒートシール温度で最大極限シール強度値を示し、約100〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約25%の極限シール強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項23】
フィルムが約90℃より下のヒートシール温度で最大極限シール強度値を示し、約100〜約150℃のヒートシール温度で最大値の少なくとも約50%の極限シール強度値を示す、請求項1に記載のフィルム。
【請求項24】
請求項1に記載のフィルムを用意し、そして前記フィルムを別の層に約50〜約80℃のヒートシール温度で熱接着することを含む、ヒートシール包装をシールする方法。
【請求項25】
ヒートシールの方法であって、
(a)Tgが約30〜約55℃のCOCから本質的になる少なくとも1つの層を有する第1のフィルムを用意すること;
(b)Tgが約30〜約55℃のCOCから本質的になる少なくとも1つの層を有する第2のフィルムを用意すること;そして
(c)前記第1および第2のフィルムを約50〜約80℃のシール温度で共にヒートシールすること
を含む方法。
【請求項26】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約75℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える熱間粘着強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項27】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約75℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える熱間粘着強度を示し、さらに前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約75〜150℃の全てのヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度では、約5Nを越える熱間粘着強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項28】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約90℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、30秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える極限シール強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項29】
Tgが約30〜約55℃のフィルム形成性ノルボルネン/エチレンコポリマーから本質的になるヒートシール可能なフィルムであって、前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが、約90℃より下のヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、30秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度で試験したとき、10Nを越える極限シール強度を示し、さらに前記フィルム形成性コポリマーのフィルムが約90〜150℃の全てのヒートシール温度、44psiのシール圧、1秒のシール時間、0.1秒の冷却時間、1インチのフィルム試料幅、2ミルのフィルム試料厚さ、および200mm/秒の剥離速度では、約20Nを越える極限シール強度を示す、ヒートシール可能なフィルム。
【請求項30】
ノルボルネンおよびエチレンからなるシクロオレフィンコポリマーであって、前記シクロオレフィンコポリマーのTgが約30〜約55℃であり、ノルボルネンが約24〜約30モル%の量で存在し、エチレンが約76〜約70モル%の量で存在する、シクロオレフィンコポリマー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−515511(P2007−515511A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541158(P2006−541158)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033793
【国際公開番号】WO2005/056634
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506168679)トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033793
【国際公開番号】WO2005/056634
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(506168679)トパース・アドヴァンスト・ポリマーズ・ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】
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