説明

シクロヘキサンを製造するための高せん断方法

シクロヘキサンを製造するための方法及びシステムに組み込まれた高せん断機械式装置は物質移動の制限を減少させることが可能であるため、シクロヘキサンの製造方法を強化する。ベンゼン及び水素からシクロヘキサンを製造するためのシステムであって、システムは反応器、固体触媒、及び高せん断装置を含み、それの出口は反応器の入口に流体接続されており、高せん断装置はベンゼンを含む液体中に水素ガス気泡のエマルションを提供し、気泡は約100μm未満の平均気泡直径を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府に支援された研究又は開発に関する記述
適用されない。
【0002】
本発明は概して芳香族炭化水素の水素化に関し、より詳細には芳香族炭化水素の不均一触媒水素化のための装置及び方法に関する。より具体的には、本開示は水素化の装置及び方法においてそのような方法の物質移動の制限を減少させることに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な種類の不均一触媒水素化方法は工業規模において幅広く実施されている。典型的な水素化反応は約1バール(100kPa)から約300バール(30,000kPa)の圧力及び約40℃から約350℃の範囲内の温度で行われている。実施例にはアルデヒドからアルコールへの水素化及び不飽和炭化水素から飽和炭化水素への水素化が含まれる。
【0004】
触媒水素化は上述した全ての場合において不均一法である。水素化設備の設計において、化学技術者はその方法を液相法又は気相法で操作するかどうかを決定しなければならない。前者は小型の設備での実施可能性を提供するが、速度決定因子が通常有機液相における水素の低溶解性となるため、多くの場合、高い操作圧力で使用されなければならない。これは設備建設及び操作の費用が方法全体において経済的に重要な要素であることを意味する。
【0005】
不飽和炭化水素の水素化の例として、ベンゼンからシクロヘキサンの製造がある。シクロヘキサンは分子式がC612であるシクロアルカンである。シクロアルカンは化学工業において非極性溶媒として、且つカプロラクタム及びアジピン酸の工業的製造における原料として使用されており、カプロラクタム及びアジピン酸はナイロンの製造において使用される中間体である。そのような水素化反応のための典型的な触媒はニッケル、パラジウム及び白金などのVIII族の金属触媒を含む。これは発熱反応である。高温での使用がベンゼンをシクロヘキサンに最大限転換させるために通常推奨されているが、シクロヘキサンのメチルシクロペンタンへの異性化が起こる可能性があり、メチルシクロペンタンをシクロヘキサンから分離させることは非常に難しい。
【0006】
長年の間、研究者はシクロヘキサンをベンゼンの水素化から製造する非常に多くの方法を開発してきた。これらの方法の大多数は、反応成分それ自身又は水素化方法の間に発生することのどちらかで見つかる不純物に対して、埋め合わせをするために使用される技術が互いに異なっている。
【0007】
例えば、米国特許第3,711,566号(エスター(Ester)他)には、硫黄を含む芳香族炭化水素原料はフッ素処理白金触媒を使用して水素化されることが記載されている。白金触媒に対する毒として知られている硫黄は、水素化方法が進行しているときに触媒の迅速な失活をもたらす。触媒にフッ素を添加すると、硫黄毒を減少させる;しかしながら、これは触媒を失活させる水素化分解活性を望ましくなく増加させる。エスター他は少量の(それ自身が金属触媒の毒である)一酸化炭素を純粋な水素供給ストリームに加えることで水素化分解活性を抑制した。これは一酸化炭素をフッ素処理された触媒表面の酸性と結合させることで、行われる水素化分解などの反応を抑えることができる。また、一酸化炭素は毒であり触媒を失活させ得るため、適切な水素化を達成するために水素供給ストリームを浄化すること及び一酸化炭素を純粋な水素供給ストリームに添加することの両方に注意を働かせなければならない。従って、硫黄が触媒を毒することを妨げるように、触媒がフッ素を含むことを要求するかなりの量の硫黄を炭化水素原料が含むとき、この種類の水素化方法は最も有用である。
【0008】
米国特許第4,626,604号(ヒルズ(Hiles)他)には、少なくとも3つの断熱反応容器を用いて、一連の触媒段階において水素化を起こす方法が記載されている。水素化は段階的に起こるため、低い操作温度が使用可能であり、それは触媒を毒して且つ触媒活性を低下させるエステルなどの副生成物の形成を減少させるように働く。しかしながら、ヒルズ他は液体不飽和芳香族炭化水素を水素ガスと混合する前に気化させることを必要としている。気化された不飽和芳香族炭化水素の一部は、その後飽和炭化水素が冷却且つ濃縮されて液体状態に戻る前にそれぞれの触媒段階において水素化される。
【0009】
従って、産業界において液体芳香族炭化水素を水素化するためのシステム及び装置を改善する必要性があり、それ故、効果的な転換が得られる。例えば、ベンゼンからシクロヘキサンへの強化された転換に対するシステム及び装置が望まれている;そのようなシステムはメチルシクロペンタンなどの望まれない非常に多くの分解生成物を望ましく形成しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,711,566号明細書
【特許文献2】米国特許第4,626,604号明細書
【発明の概要】
【0011】
液体芳香族炭化水素の水素化を加速させるための高せん断システム及び方法が開示されている。高せん断システムは物質移動の制限を減少させるため、反応速度を上昇させて且つ反応温度の減少、反応圧力の減少、接触時間の減少、及び/又は生産収量の増加を可能とする。本発明のある実施形態に基づいて、現在使用されているよりもより最適な時間、温度及び圧力条件を提供することによって芳香族水素化方法の速度を上昇させることを可能とする方法を提供する。その方法は多相反応物質間での化学反応を加速させるために、改善された時間、温度、及び圧力条件を提供するための機械式高せん断装置を使用する。
【0012】
ある実施形態において、方法は高容積、高圧容器反応器を必要としない水素化を提供するための高せん断装置の使用を含む。更に、実施形態に開示されて本明細書に記載されている方法は、高容積、高圧容器反応器を必要としないシクロヘキサンの製造を提供するための加圧高せん断装置の使用を含む。
【0013】
これら及びその他の実施形態、特徴、及び利点は以下の詳細な説明及び図面によって明らかとなろう。
【0014】
本発明の好ましい実施形態のより詳細な説明のために、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シクロヘキサンを製造するための高せん断装置の断面図である。
【図2】液体芳香族炭化水素のメディエータが補助された高せん断水素化のための本開示の実施形態に基づくプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
水素化システム及び方法は反応器/混合器装置内で制御された環境において、化学成分の迅速な接触及び混合を提供する外部高せん断機械式装置を使用する。高せん断装置は反応における物質移動の制限を減少させるため、全体的な反応速度を上昇させる。
【0017】
液体、気体、固体及び触媒を含む化学反応は、反応速度を規定するために、時間、温度及び圧力を含む速度法則に依存する。(例えば固体と液体;液体と気体;固体、液体及び気体などの)2つ又はそれ以上の異なる相における原料の反応が望まれる場合において、反応速度を制御する1つの律速因子に反応物質の接触時間が含まれる。不均一触媒反応の場合において、触媒が更なる反応を触媒できるように触媒の表面から反応生成物を取り除くといった更なる律速因子がある。
【0018】
従来の反応器において、反応物質及び/又は触媒のための接触時間は多くの場合、化学反応に含まれる2つ又はそれ以上の反応物質間の接触をもたらす混合によって制御される。外部高せん断装置を備える反応器アセンブリは物質移動の制限を減少させるため、反応を動力学的限界により近づけることができる。反応速度が加速されるとき、滞留時間は減少するため、得られる処理能力は上昇する。或いは、現在の収量が許容範囲であれば、必要な滞留時間を減少させることで、従来の方法と比較してより低い温度及び/又は圧力を使用することができる。
【0019】
高せん断装置
高せん断混合器、又は高せん断ミルなどの高せん断装置(HSD)は一般的にそれらの流体を混合させる能力に基づいて分類される。混合は流体中の不均一な種又は粒子のサイズを減少させる方法である。混合の程度又は完全さの1つの測定基準は、流体粒子を分散させるために混合装置が生み出す単位体積当たりのエネルギー密度である。種類は伝達されるエネルギー密度に応じて区別される。0から50μmの範囲のサイズの粒子又は気泡の混合物又はエマルションを一貫して生産するために十分なエネルギー密度を有する3種類の工業用混合器がある。
【0020】
均質化弁システムは一般的に高エネルギー装置として分類される。処理される流体は非常に高い圧力の下で狭い隙間の弁を通過して低圧環境に送り出される。弁を介した圧力勾配及び結果的に生じる乱流及びキャビテーションは、流体中のあらゆる粒子を細分化するよう作用する。これらの弁システムは一般的に牛乳の均質化において最もよく使用されており、且つ得られる平均粒子サイズは約0.01μmから約1μmの範囲である。その反対側に、低エネルギー装置として分類される高せん断混合器システムがある。これらのシステムは通常、処理される流体の容器において高速で回転するパドル又は流体回転子を有しており、それのより一般的な多くの利用は食品においてなされている。これらのシステムは通常、処理された流体において平均粒子、小球、又は気泡サイズが20μmより大きいことが許容されるときに使用される。
【0021】
流体に伝わる混合エネルギー密度に関して、低エネルギー型の高せん断混合器と均質化弁システムとの中間に位置するのはコロイドミルであり、それは中間エネルギー装置として分類される。典型的なコロイドミル構成は円錐又は円盤回転子を備えており、それは約0.025mmから10.0mmの間で厳密に制御された回転子−固定子ギャップによって液冷式の相補的な固定子から離れている。回転子は通常、直接駆動又はベルト機構を介して電動機によって駆動される。適切な調節器を備えた多数のコロイドミルによって、処理される流体を約0.01μmから約25μmの平均サイズである粒子、又は気泡とすることができる。これらの能力により、コロイドミルは化粧品、マヨネーズ、又はシリコン/銀アマルガム形成、又は屋根用タールの混合に必要なコロイド及び水中油エマルション処理を含む様々な応用に適している。
【0022】
流体へのエネルギー導入量(kW/L/min)の概算は、モーターエネルギー(kW)及び流体処理量(L/min)を測定することによって見積もることができる。ある実施形態において、高せん断装置のエネルギー消費量は1000W/m3より多い。ある実施形態において、エネルギー消費量は約3000W/m3から約7500W/m3の範囲である。高せん断装置において発生するせん断速度は20,000s-1より大きくてもよい。ある実施形態において、発生するせん断速度は20,000s-1から100,000s-1の範囲である。
【0023】
先端速度はエネルギーを反応物質に伝達する1つ又は複数の回転要素の先端と関連する速度(m/sec)である。回転要素に対する先端速度は単位時間当たりの回転子の先端が移動する円周距離であり、一般的には方程式V(m/sec)=π・D・nによって定義され、そこでVは先端速度、Dはメートル単位の回転子の直径であり、nは1秒当たりの回転数である回転子の回転速度である。したがって先端速度は回転子の直径及び回転速度の関数である。また、先端速度は回転子の先端が移動する円周距離2πRに回転数(例えば分当たりの回転数、rpm)を乗じることによって算出可能であり、Rは回転子の半径(例えばメートル)である。
【0024】
コロイドミルにおいて、一般的な先端速度は23m/sec(4500ft/min)より速く、且つ40m/sec(7900ft/min)より速くてもよい。本開示の目的のために、用語「高せん断」はミル又は混合器などの機械式の固定子−回転子装置を指し、それらの先端速度は5m/sec(1000ft/min)より速くてもよく、エネルギーを反応生産物のストリームに注ぐために外部の機械駆動式発電装置を必要とする。高せん断装置は処理される材料に対するかなりの摩擦を発生させるために、高速の先端速度と非常に小さいせん断ギャップが組み合わされる。従って、操作の間に、約1000MPa(約145,000psi)から約1050MPa(152,300psi)の範囲の局所圧力を作り出し、且つせん断混合器の先端における温度を上昇させる。ある実施形態において、局所圧力は少なくとも1034MPa(約150,000psi)である。局所圧力は更に操作の間、先端速度、流体粘度、及び回転子−固定子ギャップに依存する。
【0025】
図1を参照すると、高せん断装置200の図が示されている。高せん断装置200は少なくとも1つの回転子−固定子の組み合わせを備えている。また、回転子−固定子の組み合わせは発生器220、230、240、又は制限のないステージとして知られている。高せん断装置200は少なくとも2つの発生器を備えており、最も好ましくは高せん断装置は少なくとも3つの発生器を備える。
【0026】
第1発生器220は回転子222及び固定子227を備えている。第2発生器230は回転子223及び固定子228を備えている。第3発生器は回転子224及び固定子229を備えている。それぞれの発生器220、230、240に対して、回転子は動力250によって回転自在に駆動される。発生器220、230、240は回転方向265において軸260周りに回転する。固定子227は高せん断装置の壁部255に固定するよう連結されている。
【0027】
発生器は回転子及び固定子との間に隙間を有している。第1発生器220は第1ギャップ225を有し;第2発生器230は第2ギャップ235を有し;及び第3発生器240は第3ギャップ245を有している。ギャップ225、235、245は約0.025mm(0.01インチ)から10.0mm(0.4インチ)の間の幅である。或いは、方法には高せん断装置200の利用が含まれ、ギャップ225、235、245は約0.5mm(0.02インチ)から2.5mm(0.1インチ)の間である。ある実施例において、隙間は約1.5mm(0.06インチ)に維持されている。或いは、ギャップ225、235、245は発生器220、230、240の間で異なる。ある実施例において、第1発生器220のギャップ225は第2発生器230のギャップ235よりも大きく、ギャップ235は第3発生器240のギャップ245よりも大きい。
【0028】
更に、ギャップ225、235及び245の幅は粗い、中間、細かい、非常に細かいという特性を備えることができる。回転子222、223及び224、並びに固定子227、228及び229は歯状構造であってもよい。それぞれの発生器は当業者に周知なように2つ又はそれ以上の回転子−固定子歯のセットを備えている。回転子222、223及び224はそれぞれの回転子の外周近くに円周方向に離間した多数の回転子歯を備えることができる。固定子227、228及び229は、それぞれの固定子の外周近くに円周方向に離間した多数の固定子歯を備えることができる。ある実施形態において、回転子の内径は約11.8cmである。ある実施形態において、固定子の外径は約15.4cmである。更なる実施形態において、回転子及び固定子において、回転子は約60mm、固定子は約64mmの外径を有する。或いは回転子及び固定子は先端速度及びせん断圧力を変更するために、代わりの直径を有していてもよい。ある実施形態において、それぞれの3つのステージは、約0.025mmから約3mmの隙間を有する非常に細かい発生器を備えた状態で操作される。固形粒子を含む供給ストリーム205が高せん断装置200を通過して送られるとき、適切なギャップ幅は適切に粒子サイズを減少させて且つ粒子の表面積を増加させるために最初に選択される。ある実施形態において、このことは粒子をせん断及び分散することよって触媒の表面積を増加させるために有益である。
【0029】
高せん断装置200には供給ストリーム205を含む反応混合物が供給される。供給ストリーム205は分散相及び連続相のエマルションから成る。エマルションは互いが容易に混合及び溶解することのない2つの区別できる物質(又は相)を含む液体混合物を指す。大部分のエマルションは連続相(又はマトリックス)を有しており、連続相はその他の相又は物質の不連続な液滴、気泡、及び/又は粒子をそこへ保持する。エマルションはスラリー又はペーストなどのように高粘性であるか又は液体中に細かい気泡を有する泡であろう。本明細書で使用されているように、用語「エマルション」は気泡を含む連続相、(例えば固形触媒などの)粒子を含む連続相、連続相にほぼ溶解しない流体の液滴を含む連続相、及びそれらの組み合わせを包括する。
【0030】
供給ストリーム205は粒子状の固体触媒成分を含んでいてもよい。供給ストリーム205は生成物分散体210が形成されるように発生器220、230、240を通過して送り出される。それぞれの発生器において、回転子222、223、224は固定された固定子227、228、229に対して高速で回転する。回転子の回転は、回転子222の外側と固定子227の内側との間に供給ストリーム205などの流体を送り込むことによって、局所的な高せん断条件を作り出す。ギャップ225、235、245は供給ストリーム205を処理する高せん断力を発生させる。回転子と固定子との間の高せん断力は生成物分散体210を形成するように供給ストリーム205を処理するよう機能する。高せん断装置200のそれぞれの発生器220、230、240は、生成物分散体210中に、供給ストリーム205が気体又は小球サイズ含んでいる場合、又は供給ストリーム205が液体を含んでいる場合に所望の気泡サイズの狭い分散を形成するために、取替え可能な回転子−固定子の組み合わせを有する。
【0031】
液体中に気体粒子又は気泡を有する生成物分散体210はエマルションを含む。ある実施形態において、生成物分散体210は従来は混ざらなかった又は溶解しなかった気体、液体又は固体の連続相への分散体を含んでいる。生成物分散体210は平均サイズが約1.5μm未満の気体粒子、又は気泡を有する;好ましくは気泡の直径はサブミクロンである。ある実施形態において、平均気泡サイズは約1.0μmから約0.1μmの範囲にある。或いは、平均気泡サイズは約400nm(0.4μm)未満であり、最も好ましくは約100nm(0.1μm)未満である。
【0032】
高せん断装置200は少なくとも約15分間大気圧において分散を維持できる気体エマルションを形成する。本開示の目的のために、生成物分散体210の分散相において直径が1.5μm未満の気体粒子、又は気泡を有するエマルションは微細な泡(micro-foam)を含む。特定の理論に制限されることなく、乳化化学において液体中に分散されるサブ−ミクロンサイズの粒子又は気泡は、主としてブラウン運動効果を通じて運動することが知られている。高せん断装置200によって作り出される生成物分散体210におけるエマルション中の気泡は、固体触媒粒子の境界層を通過する優れた運動性を有しているため、反応物質の高められた運動性によって触媒反応を促進及び加速させることができる。
【0033】
回転子は上述したように回転子の直径と所望の先端速度に見合う速度で回転するように設定される。輸送抵抗は反応速度が少なくとも約5%上昇するよう高せん断装置200を組み込むことによって減少される。或いは、高せん断装置200は加速速度反応器(ARR)として働く高せん断コロイドミルを備えることができる。加速速度反応器は一段分散チャンバを備えている。加速速度反応器は少なくとも2つの段を有する多段直列分散器を備えている。
【0034】
高せん断装置200の選択は必要な処理量及び排出分散体210における所望の粒子又は気泡のサイズに依存する。ある実施例において、高せん断装置200はノースカロライナ州ウィルミントン(Wilmington,NC)のIKA(登録商標)ワークス,インコーポレーテッド(IKA(R)Works Inc.)及びマサチューセッツ州ウィルミントン(Wilmington,MA)のAPV ノース アメリカ,インコーポレーテッド(APV North America,Inc.)のディスパックス リアクター(登録商標)(Dispax Reactor(R))を備えている。例えば、モデルDR2000/4はベルト駆動、4M発生器、PTFEシーリングリング、1インチの導入口フランジ用衛生クランプ、3/4インチの排出口フランジ用衛生クランプ、2馬力の出力、7900rpmの出力速度、(発生器に依存する)約300l/hから約700l/hの(水の)流動能力、9.4m/sから約41m/s(約1850ft/minから約8070ft/min)の先端速度を有する。様々な導入口/排出口接続、馬力、公称先端速度、出力rpm、及び公称流速を有するいくつかの代替モデルが利用可能である。
【0035】
特定の理論に制限されることは望まないが、高せん断混合のレベル又は程度は、物質移動の速度を増加させるのに十分であり、また、その他の場合ではギブスの自由エネルギー予測を基にして起こる事が予測されない反応を起こすことが可能な局所的な非理想条件を作り出すことができると考えられている。局所的な非理想条件は高せん断装置内で起こり、その結果、最も大きな増加は局所的圧力であると想定される温度及び圧力の上昇をもたらすと考えられる。高せん断装置内での圧力及び温度の上昇は、瞬時及び局所的であり、一旦高せん断装置を出ると即座に残り大部分の又は平均のシステム状態に戻る。いくつかの場合において、高せん断混合装置は1つ又は複数の反応物をフリーラジカルに解離させるために十分な強度のキャビテーションを誘発させ、フリーラジカルは化学反応を増大させるか又はその他の場合に要求されるよりも緩和された条件で反応を起こすことを可能にする。また、キャビテーションは局所乱流及び液体マイクロ循環(音響ストリーム)を形成することによって移動工程の速度を上昇できる。化学的/物理的工程の利用におけるキャビテーション現象の応用の概要はゴゲート(Gogate)他、「キャビテーション:技術の展望」、カレント サイエンス 91(No.1):35−46(2006)(「Cavitation:A technology on the horizon」Current Science 91(No.1):35-46(2006))によって提供されている。本システム及び方法において、ある実施形態における高せん断混合装置は、その後相当するシクロヘキサン生産物に形成される水素及びベンゼンを自由ラジカルへと分解するのに効果的なキャビテーション条件であると考えられている条件の下で実行される。
【0036】
芳香族炭化水素を水素化するための高せん断方法及びシステムの説明
高せん断装置100、以下HSS100、は液体芳香族炭化水素を水素化することに適している。本開示の方法及びシステムは今ベンゼン水素化の速度を加速させるための方法及びシステムに関連して説明されている。図2は多相反応システムを使用して且つ高せん断装置を備えるベンゼン水素化方法のフロー図である。以下に更に説明するように、高せん断装置を用いる開示された方法は多相間の物質及び熱移動の抵抗を減少させる。図2はポンプ5、高せん断装置40、及び反応器10を備える代表的な高せん断多相反応システムの基礎的な構成要素を示している。
【0037】
ベンゼンを含むポンプ入口ストリーム21はポンプ5に入る。ポンプ入口ストリーム21中のベンゼンは水素化脱アルキル、熱分解、触媒改質、又は分留を含み、これらに制限されない任意の供給源から得ることができる。ポンプ5は高せん断混合器40及び高せん断システム100を通過する制御された流れを提供するために使用される。ポンプ5は圧力を形成して外部高せん断装置40に供給する。ある実施形態において、ポンプ5はポンプ出口ストリーム12の前にポンプ入口ストリーム21の圧力を約203kPa(約2atm)より高く上昇させる。或いは、ポンプ5はポンプ出口ストリーム12の前に圧力を少なくとも約2025kPa(約20atm)まで上昇させる。制限要素はポンプ5及び高せん断装置40の圧力限界である。圧力はHSS100における反応速度を加速させる働きをする。
【0038】
ある実施例において、ポンプ5の全ての接触部分はステンレス鋼である。或いは、それは金メッキされた接触表面を有することが望ましい。ポンプ5は任意の適したポンプであり、例えば、ローパー ポンプ カンパニー(Roper Pump Company)(ジョージア州コマース(Commerce Georgia))のローパー タイプ 1 歯車ポンプ(Roper Type 1 gear pump)、又はデイトン エレクトリック カンパニー(Dayton Electric Co)(イリノイ州ナイルズ(Niles,IL))のデイトン圧力増圧ポンプモデル2P372E(Dayton Pressure Booster Pump Model 2P372E)である。
【0039】
ポンプ出口ストリーム12はHSD入口ストリーム13に流体接続されている。ポンプ出口ストリーム12はHSD40に導入される前に更なる工程を経ることができる。ある実施例において、分散性反応物ストリーム22は入口ストリーム13に注入される。分散性反応物ストリーム22は水素を含む。
【0040】
ベンゼン方法の従来の水素化において特に懸念されることは、水素供給源及び分散性反応物ストリーム22中で見つかる不純物である。なぜならそのような不純物は多くの場合水素化反応を促進させるために使用される触媒を失活させるからである。一酸化炭素は、ベンゼン水素化方法において使用されるニッケルなどの可逆的に触媒を毒し得る1つのそのような不純物である。毒化工程において、一酸化炭素はニッケル触媒表面の活性部位上に吸着されるため、触媒の活性を減少させる。水素源における一酸化炭素の濃度に依存して、ニッケル触媒は迅速に失活し得る。
【0041】
効果的に操作するために、最も従来的なベンゼン水素化方法は、高純度水素源を使用することが必要とされている。分散性水素ストリーム22のための比較的純粋な水素源は、例えば水蒸気改質装置から得ることができる。そのような水素ストリームは典型的に約96モル%の水素、約4モル%のメタン、及び約10ppm未満の一酸化炭素及びその他の不純物を含む。低い一酸化炭素濃度であっても、水素ストリームは高せん断装置入口ストリーム13に注入される前に、一酸化炭素を約1ppm未満の濃度まで減少させるように更に浄化され得る。
【0042】
分散性反応物ストリーム22中の水素は、例えば水蒸気分解、触媒改質、又は水素化アルキル化などのあまり純粋でない水素の供給源から得ることができる。これらの供給源から得られた水素ストリームは、一般的に約10モル%から約80モル%の間の水素を含む。残りはメタンなどの不純物、その他の軽い炭化水素、及び/又は一酸化炭素を含む。これらの供給源からの水素ストリーム中の一酸化炭素の濃度は、多くの場合約5000ppmより多く、それは従来のベンゼン水素化方法におけるこれらの水素供給源の使用を妨げる。本明細書においてその全体が参照により援用される米国特許第6,750,374号は、不純水素源を用いたベンゼン水素化によってシクロヘキサンを製造するための方法が記載されている。
【0043】
HSD40はHSS100においてポンプ5と反応器10との間に配置されている。HSD40は上述された機械式装置を備えている。ある実施例において、HSS100は複数の高せん断装置40を備えることができる。複数の高せん断装置40は当業者に周知のように並列、又は直列に配列することができる。HSD40はベンゼン中に水素を含む分散性反応物ストリーム22のエマルションを生産する。高せん断装置出口ストリーム18はHSD40からのエマルションを取り除く。HSD出口ストリーム18は当業者に周知のように不純物を取り除くための更なる加工、又は処理をされてもよい。
【0044】
HSD出口ストリーム18は反応器入口ストリーム19に注入される。反応器入口ストリーム19は反応器10に流体接続されている。或いは、高せん断出口ストリーム18は、例えばHSD出口ストリーム18及び反応器入口ストリーム19が同じストリームであるなど、更なる処理無しで直接反応器10に入ってもよい。ある実施形態において、反応器入口ストリーム19は更に当業者に周知である触媒又は反応促進剤を含む。
【0045】
反応器10は多相反応が伝播可能な任意の種類の反応器である。ある実施例において、反応器10は被覆されたステンレス鋼、管状反応器を含む。更に、反応器10は直列又は並列の1つ又は複数のタンク又は管状反応器を含んでいてもよい。一般的に、反応器10の圧力は約50psigより高く維持される。好ましくは、反応器10の圧力は約250psigから約2500psigの圧力、より好ましくは約400psigから800psigの圧力に維持される。稼働の間、反応器10における発熱又は熱い地点の温度は約160℃より高く、好ましくは約160℃から約340℃、より好ましくは約190℃から約280℃に維持される。反応器10における高せん断システム100によって実行される反応は、固体触媒及び気相又は液相の少なくとも1つの反応物質を含む不均一触媒反応を含む。
【0046】
シクロヘキサンを製造するために使用される触媒は当業者に周知の任意の適した技術に基づいて調整され得る。一般的に、触媒はアルミナ又はシリカ上に担持されるニッケル及び/又は銅を含む。例えば、米国特許第6,750,374号にはニッケル及び/又は銅を含む触媒が開示されており、また、前記触媒は、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン、錫、又はそれらの組み合わせを選択的に含む。ある実施形態において、触媒は約15wt%から約35wt%のニッケル、好ましくは約1wt%から約15wt%の銅、及び最も好ましくは約0wt%から約5wt%のクロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン、錫、又はそれらの混合物を含む。ある実施例において、触媒は約22wt%から約28wt%のニッケル、約2wt%から約6wt%の銅、及び約0wt%から約3wt%のクロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン、錫、又はそれらの組み合わせを含む。触媒の担体は当業者に周知の任意の適した材料を含み得る。ある実施形態において、担体はアルミナ又はシリカのどちらかを含む。
【0047】
ある実施例において、不純水素の供給はニッケル触媒を失活させる可能性がある。一旦、ニッケル触媒が失活すると、触媒は約220℃から約260℃の温度で触媒を加熱することによって再生され得る。触媒の再生に必要な温度は、ベンゼン又はシクロヘキサンの存在下で行われると、大量の望まれない分解生成物の形成を促進させる傾向がある。この実施例において、反応器は触媒の再生の前にオフラインとしなければならない。本明細書中において上記で説明したように、水素供給が汚染物質を含まないことを確保するための処理は当業者に周知なように行うことができる。
【0048】
水素化反応は適切な時間、温度及び圧力条件が存在するときはいつでも起こり得る。水素化は温度及び圧力条件が適している場合、図2のフロー図における任意の場所で起こり得る。スラリーベースの触媒が利用されるところでは、反応は図2に示される反応器10の外部の場所で起こりやすい。それにもかかわらず、不連続の反応器は多くの場合、滞留時間、撹拌及び加熱及び/又は冷却の増加を可能とするために好ましい。固定層触媒を利用するとき、反応器は触媒が存在することによって起こる水素化反応のための主要な場所となり、且つ水素化の速度に影響する。好ましい実施形態において、反応器10が固定層であるところで、反応器入口ストリーム19は触媒を含む反応器10に入り、且つベンゼンの水素化が起こる。固定層反応器システムにおいて、反応器10は触媒が存在することによって起こる水素化反応のための主要な場所となり、且つ水素化の速度に影響する。反応物質及び触媒は最初に反応器10において混合され得る。反応器10には触媒を充填することができ、もし必要であれば、触媒は触媒製造元によって推奨される手段に基づいて活性化される。
【0049】
反応熱は当業者に周知の任意の方法を介して反応器10から取り除くことができる。また、外部加熱及び/又は冷却熱交換器の使用も考慮される。外部熱交換器の適した場所は反応器10とポンプ5の間;ポンプ5とHSD40との間;又はHSD40と反応器10との間であり得る。適切で当業者に周知の多くの種類の熱交換器がある。そのような交換器はシェル及びチューブ、プレート、及びコイル型の熱交換器を含み得る。
【0050】
(例えば水素化分解された生成物などの)副生成物と共にシクロヘキサン及び未転換のベンゼンを含む生成物ストリーム16は、生成物ストリーム16を介してHSS100から引き出すことができる。反応器10から取り除かれることにおいて、生成物ストリーム16は当業者に周知の更なる工程のために(図示されない)生成物回収システムに移すことができる。最終シクロヘキサン生成物は、例えば蒸留、遠心分離、密度差及びクロマトグラフィーなどの一般的に液体を分離するために使用される分離手段によって集められる。そのような下流処理を介して回収される未転換のベンゼンは、ストリーム20を介してHSS100に再利用され得る。更に、過剰の生成された水素は反応器10から又は反応器10の後に回収することができる。この過剰の水素ストリームはストリーム17として示されている。過剰水素ストリーム17は高せん断装置入口ストリーム13に再循環され得る。更に、過剰水素ストリーム17はHSD40において更に混合される前に加圧のためにポンプ5に再利用されてもよい。ライン17は未反応水素、あらゆるその他の反応ガス及び/又は圧力を含むガスを取り除くために反応器10に接続される。ライン17は反応器10のヘッドスペースに通気口を備えることができる。ライン17は反応器10から取り除かれるガスを圧縮及び移動させるためにコンプレッサ、又は当業者に周知のその他の装置を備えることができる。更に、ライン17はガスが高せん断装置40を再循環するように機能する。反応器10からの未反応ガスの再利用は更に反応を加速させることに作用し得る。
【0051】
ある実施形態において、外部高せん断混合器40を介した反応物質の混合を含む開示された方法を使用することによって、以前可能だったものより反応器10において、より低い温度及び/又は圧力を使用することができる。ある実施形態において、高せん断方法はベンゼンからシクロヘキサンへのより高い転換をもたらす。ある実施形態において、本方法は外部高せん断装置40を既存の工程に組み込み、それによって高せん断装置40なしで実施される方法より、外部高せん断装置40における反応の操作温度及び/又は圧力を減少させて、及び/又は生産量を増加させること(優れた処理量)が可能であることを含む。ある実施形態において、反応器10は大気圧近くで操作される。ある実施形態において、例えば触媒のスラリーがHSS100を通して循環される場合、反応は外部高せん断混合器40内で起こり;そのような実施形態において、反応器10は多くの反応が外部高せん断混合器40内で起こるように、主に流体を冷却するように機能する。
【0052】
本発明の方法は反応混合物中のベンゼン及び不純物の減少を促進させることに十分な条件の下で行われるべきである。温度及び圧力の条件は所望の転換、ベンゼン濃度、水素濃度、一酸化炭素濃度、触媒粒子サイズ、触媒構成、反応器システムの加熱/冷却効率などのその他の変化するものに依存して変化し得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0053】
この修正されるシステムの潜在的な利益は、より小さい反応器の設計及び/又はより低い温度及び/又は圧力での反応器の操作の可能性によって、速いサイクル時間、処理量の増加、操作費用の減少及び/又は資本経費の減少を含み、これらに限定されない。ある実施形態において、本開示の方法は外部高せん断混合がない場合の水素化と比較して、約5倍以上速い水素化の要因を提供する。ある実施形態において、本開示の方法は外部高せん断混合がない場合の水素化と比較して約5−10倍速い反応速度の要因を提供する。
【0054】
高せん断装置40によって反応物質の高められた混合の応用は、方法の同じ実施形態におけるベンゼンからシクロヘキサンへのより多くの転換をもたらす可能性がある。更に、反応物質の高められた混合は高せん断システム100の処理ストリームの処理量の増加を強化する。ある実施例において、高せん断装置40は確立された工程に組み込まれることで、生産量の増加(すなわち優れた処理量)を可能とする。特定の理論に制限されることは望まないが、高せん断混合のレベル又は程度は、物質移動の速度を増加させること、また、その他の場合ではギブスの自由エネルギー予測を基にして起こる事が予測されない反応を起こすことが可能な局所的な非理想条件を作り出すことに十分であると考えられている。局所的な非理想条件は高せん断装置内で起こり、その結果、最も大きな増加で局所的圧力であると想定される温度及び圧力の上昇をもたらすと考えられる。高せん断装置内での圧力及び温度の上昇は、瞬時及び局所的であり、一旦高せん断装置を出ると即座に平均のシステム状態に戻る。
【0055】
ある実施形態において、本開示の方法及びシステムは、以前に外部高せん断混合器40が組み込まれずに可能であったものよりも、より低い操作温度及び/又は圧力の可能性を有する反応器10を選択できる、より小さい及び/又は少ない資本投資方法を可能とする。ある実施形態において、開示された方法によって既存の方法に対する運転費用は減少し/生産量は増加する。或いは、開示された方法によって新たな工程を設計するための資本コストは減少し得る。
【0056】
発明における好ましい実施形態が示されて説明される一方で、それらの修正は発明の精神及び教示を逸脱することなく当業者によって行うことができる。本明細書で説明された実施形態は単なる例示であり、制限されるものではない。本明細書に開示された発明の多数の変更及び修正は可能であり、発明の範囲内である。数値の範囲又は限定が明示的に定められているところでは、そのような明示された範囲又は限定は明示的に定められた範囲又は限定の範囲内で同等の値の反復範囲又は限定を含むと解されるべきである(例えば、約1から約10は2、3、4等を含む;0.10より大きいは0.11、0.12、0.13等を含む)。特許請求の範囲のあらゆる要素に対する用語「選択的(optionally)」の使用は、対象の要素が必要であるか、若しくは必要でないと意味することを意図する。両方の選択肢は請求項の範囲内であると考えられる。含む(comprises、includes)、有する(having)などの広い用語の使用は、から成る(consisting of)、基本的に・・から成る(consisting essentially of)、実質的に・・・を含む(comprised substantially of)及びそれらと同等の狭い用語を補助すると解されるべきである。
【0057】
従って、保護の範囲は上記に示した説明によって制限されず、以下の請求項によってのみ制限され、範囲は請求項の対象と同等なもの全てを含む。それぞれ及び全ての請求項は本発明の実施形態として明細書に組み込まれている。従って、請求項は更なる説明であり、本発明の好ましい実施形態への追加である。関連発明の説明における参考文献の説明は、特に本出願の優先日よりも後の出願日を有する参考文献を本発明の先行技術であると認めるものではない。本明細書中に引用される全ての特許、特許出願、及び刊行物の開示内容は、それらが実施例、手順又はその他の詳細を補足的に本明細書において説明されたものに提供する範囲内で参照することで、本明細書において援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロヘキサンを製造するための方法であって、
少なくとも5m/sの先端速度を生じるために構成された少なくとも1つの回転子/固定子のセットを有する高せん断装置を採用すること;
ベンゼン及び水素ガスのエマルションを形成すること、ここで前記水素ガスはエマルション中に平均直径が5μm未満である気泡を含み;
前記エマルションを触媒を含む反応器へ導入すること;及び
液体ベンゼンを340℃未満の温度で固体触媒存在下において水素ガスと反応させることを含む方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、エマルションの形成はベンゼン及び水素ガスを高せん断装置へ導入することを含む方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、前記エマルションは平均直径が1.5μm未満である水素ガス気泡を含む方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、水素ガス気泡の平均直径が100nm未満である方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって、高せん断装置の公称先端速度は23m/sより速くなるように構成される方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、前記高せん断装置は先端において少なくとも1000MPaの局所圧力を生じるように構成される方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、前記ベンゼン及び水素ガス気泡に20,000s-1より大きいせん断速度を課す方法。
【請求項8】
請求項1の方法であって、前記高せん断装置は少なくとも1000W/m3のエネルギーを消費するように構成される方法。
【請求項9】
請求項1の方法であって、前記反応器は少なくとも250psigの圧力を維持するように構成される方法。
【請求項10】
請求項9の方法であって、反応器は400psigから800psigの間の圧力を維持するように構成される方法。
【請求項11】
請求項1の方法であって、水素ガスは190℃から280℃の間の温度で固体触媒の存在下において反応される方法。
【請求項12】
請求項11の方法であって、触媒はニッケル、銅、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン、錫、又はそれらの組み合わせから成る群より選択される金属を含む方法。
【請求項13】
請求項1の方法であって、ベンゼン及び水素を少なくとも203kPaの圧力で高せん断装置に注入することを含む方法。
【請求項14】
ベンゼンからシクロヘキサンを製造するための装置であって、
ベンゼン溶液中に水素ガス気泡の分散体を形成するように構成される少なくとも1つの高せん断装置;
少なくとも1つの高せん断装置の上流に位置するベンゼン溶液を加圧するように構成される少なくとも1つのポンプ;及び
水素とベンゼンの反応を介して生成されるシクロヘキサンが引き出される固体触媒を含む反応器を含み、
前記分散体は100nm未満の平均気泡直径を有し、前記反応器は外部高せん断混合器の出口に流体接続されている装置。
【請求項15】
請求項14の装置であって、高せん断装置は公称先端速度が23m/sより速い高せん断ミルを含む装置。
【請求項16】
請求項14の装置であって、前記高せん断装置は先端において少なくとも1000MPaの局所圧力を生じるように構成される装置。
【請求項17】
請求項14の装置であって、前記高せん断装置は20,000s-1より大きいせん断速度を生じるように構成される装置。
【請求項18】
請求項14の装置であって、前記高せん断装置は少なくとも1000W/m3のエネルギーを消費するように構成される装置。
【請求項19】
請求項14の装置であって、ポンプは少なくとも203kPaの圧力でベンゼン及び水素を高せん断装置に注入するように構成される装置。
【請求項20】
請求項14の装置であって、前記反応器は250psigの圧力を維持するように構成される装置。
【請求項21】
請求項19の装置であって、反応器は400psigから800psigの圧力を維持するように構成される装置。
【請求項22】
請求項14の装置であって、反応器は190℃から280℃の間の温度を維持するように構成される装置。
【請求項23】
請求項22の装置であって、反応器との熱伝達において少なくとも1つの熱交換器を備える装置。
【請求項24】
請求項14の装置であって、触媒はニッケル、銅、クロム、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、モリブデン、錫、又はそれらの組み合わせから成る群より選択される金属を含む装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−531882(P2010−531882A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514974(P2010−514974)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/067243
【国際公開番号】WO2009/002766
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509218652)エイチ アール ディー コーポレーション (17)
【Fターム(参考)】