説明

システインとチオ乳酸又はそれらの塩を含有するケラチン繊維のパーマネント再成形のための方法に使用される還元組成物

【課題】ケラチン繊維のパーマネント再成形のための、特に毛髪のパーマネント再成形のための方法の提供。
【解決手段】システイン又はその塩、及びチオ乳酸又はその塩、を含有してなる非着色水性還元組成物。該組成物のシステイン又はその塩のモル数とチオ乳酸又はその塩のモル数の比は3以上であり、またpH値は7を越え、好ましくは8〜9.5の範囲である。該組成物は、白色粒子の形成及び硫黄臭の発生に関して既知のシステイン含有還元組成物と比較して、より安定している。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維のパーマネント再成形のための、特に毛髪のパーマネント再成形のための方法において実施されることが意図された還元組成物に関し、該組成物はシステインとチオ乳酸又はそれらの塩を特定のモル濃度の比で含有する。
【0002】
毛髪の永続的な変形を達成する最も通常の技術は、第1工程において、適切な還元剤を含有する組成物でケラチンのS-Sジスルフィド結合(システイン)を開裂させ(還元工程)、ついでこのように処理された毛髪を一般的には水ですすぎ、第2工程において、(カーラー又はその等価物を使用して)張力下に前もって配され、又は他の方法でセット又はストレート化された毛髪に、予期される形状が最終的に毛髪に付与されるように酸化組成物を適用することによって、前記ジスルフィド結合を再形成させる(固定工程とも称される酸化工程)ことからなる。この方法により、差別なく、毛髪をウエーブを付与し(パーマ方法)、又は毛髪のカールをとり又はストレート化(スムーズ化方法)することが可能になる。上述したような化学的処理により、毛髪に付与された新たな形は、セットを使用する毛髪の一時的な再成形のための通常の単純な方法と比較して、大幅に長く持続し、水又はシャンプーでの洗浄作業に対して特に耐性がある。
【0003】
パーマ施術の第1工程を実施するために使用される還元組成物は、還元剤としてシステインを含有していることがある。しかしながら、システイン含有還元組成物(L-システイン、D-システイン、又はD,L-システイン)は経時的に劣化してしまう。システインは酸化反応のため、時間の経過と共に分解され、強力な硫黄臭と共に、オフホワイト色のシスチン粒子を生じせしめる。
よって、既知のシステイン含有還元組成物と比較して、より安定したシステイン含有組成物を提供することが必要とされている。
【0004】
本出願人は、従来技術の問題が、システインとチオ乳酸又はその塩を特定のモル濃度比で含有する還元組成物を用いることで解決されることを見出した。
【0005】
よって、化粧品的に許容可能な媒体中に、
(a)システイン又はその塩と、
(b)チオ乳酸又はその塩、
を含有してなる、ケラチン繊維のパーマネント再成形、特に毛髪のパーマネント再成形のための、非着色水性還元組成物であって、
(a)システイン又はその塩のモル数と(b)チオ乳酸又はその塩のモル数との間の比が3以上である組成物を提供することが本発明の目的である。
【0006】
ここで使用される場合、非着色組成物とは、適用後に、ケラチン繊維の色調を実質的に変化させない組成物を意味する。
より厳密には、LAb系で表して、ケラチン繊維の色調のLパラメータが、処理の前後で5単位を越えて減少しない場合に、組成物は非着色であるとされる。
好ましくは、本発明の組成物は、直接又は酸化染料を含有しない。
【0007】
実施例で例証するように、上述したような還元組成物は、特に白色のシステイン粒子の形成及び硫黄臭の発生に関して、既知の還元組成物よりも安定している。
好ましい実施態様では、(a)システイン又はその塩のモル数と(b)チオ乳酸又はその塩のモル数との間の比は3.5以上、好ましくは3.5以上4以下、さらに好ましくは3.9未満、より好ましくは3.8未満である。
【0008】
好ましくは、使用されるシステインは、L-システイン、D-システイン又はL,D-システインから選択される。好ましくは、システイン塩は塩酸塩又は硫酸塩である。
チオ乳酸塩が使用される場合、これは好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩である。
【0009】
本発明の還元組成物のpH値は、好ましくは7以上であり、さらに好ましくは8〜9.5の間で変化する。
本発明の還元組成物のpH値は、アルカリ剤、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-メチル-2-アミノ-1-プロパノール、プロパンジアミン-1,3, アルカリ又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム、有機炭酸塩、例えば炭酸グアニジン、又はアルカリの水酸化物(もちろん、これら全ての化合物は単独でも組合せてもよい)、又は酸性化剤、例えば塩酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、クエン酸及びリン酸を添加することにより、伝統的に得ることができ及び/又は調節することができる。
【0010】
システイン又はその塩、及びチオ乳酸又はその塩は、それぞれ、還元組成物の全重量に対して、典型的には0.05〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜11重量%である。
【0011】
毛髪繊維の美容特性を改善するため又はそれらのダメージを低下させもしくは防止するために、本発明の方法に使用される還元組成物は、一又は複数の化粧品用活性剤(類)をさらに含有していてもよい。
この又はこれらの活性剤(類)は、揮発性又は非揮発性、直鎖状又は環状、アミン型又は非アミン型のシリコーン類、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性のポリマー、ペプチド及びそれらの誘導体、タンパク質加水分解物、合成又は天然ロウ、特に脂肪アルコール類、膨張剤及び浸透剤、又は還元剤(類)の効能を改善することを意図した薬剤、並びに他の活性化合物、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性又は双性イオン性の界面活性剤、抜毛防止剤、抗フケ剤、会合型又はそうではない天然又は合成の増粘剤、懸濁剤、金属イオン封鎖剤、不透明化剤、サンスクリーン剤、ビタミン類又はプロビタミン類、鉱物性、植物性又は合成油、並びに香料、防腐剤、及びそれらの混合物からなる群から一般に選択される。
【0012】
適切な金属イオン封鎖剤としては、例えばジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム塩又はペンテト酸五ナトリウムを挙げることができる。
当業者であれば、本発明の組成物の特性に影響を与えないで添加剤を添加することができるであろう。
【0013】
ここで使用される場合、「カチオン性ポリマー」とは、カチオン基及び/又はカチオン基にイオン化され得る基を有する任意のポリマーを意味する。
本発明の還元組成物に存在し得るカチオン性ポリマーは、それ自体が毛髪の美容特性を改善することが既に知られているもの、特に欧州特許出願公開第337354号、仏国特許第2270846号、同第2383660号、同第2598611号、同第2470596号及び同第2519863号に記載されているものから選択され得る。
【0014】
好ましいカチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部であるか、又は主鎖に直接結合した側鎖置換基により担持される第1級、第2級、第3級及び/又は第4級アミン基を含む単位を有するものから選択される。
使用されるカチオン性ポリマーは、一般に約500〜5×10の範囲、好ましくは約10〜3×10の範囲の数平均分子量を有する。
カチオン性ポリマーとしては、特にポリアミン、ポリアミノアミド及び第4級ポリアンモニウム型のポリマーを挙げることができる。
【0015】
これらは既知の生成物である。これらは、特に仏国特許第2505348号及び同第2542997号に記載されている。前記ポリマーとしては以下のものを挙げることができる:
(1)次の式(I)、(II)、(III)又は(IV):
【化1】

[上式中:
は同一又は異なっており、水素原子又はCH基を示し、
Aは同一又は異なっており、直鎖状又は分枝状で、1〜6の炭素原子、好ましくは2又は3の炭素原子を有するアルキル基、又は1〜4の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を表し;
、R、Rは同一又は異なっており、1〜18の炭素原子を有するアルキル基又はベンジル基、好ましくは1〜6の炭素原子を有するアルキル基を表し;
及びRは同一又は異なっており、水素又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル又はエチル基を表し;
Xは無機酸又は有機酸から誘導されたアニオン、例えばメトスルファートアニオン又は塩化物又は臭化物等のハロゲン化物を示す]
の単位の少なくとも一を含み、アクリル酸又はメタクリル酸のエステル又はアミドから誘導されたホモポリマー又はコポリマー。
【0016】
ファミリー(1)のポリマーは、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ジアセトンアクリルアミド類、窒素原子上に低級(C-C)アルキル基が置換されたアクリルアミド類及びメタクリルアミド類、アクリル酸又はメタクリル酸類又はそのエステル、ビニルラクタム類、例えばビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム、及びビニルエステルから選択されうるコモノマーから誘導される一又は複数の単位をさらに含んでいてもよい。
しかして、これらファミリー(1)のポリマーとしては、次のもの:
− 硫酸ジメチル又はジメチルハロゲン化物で第4級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとアクリルアミドのコポリマー、例えばハーキュリーズ社(HERCULES)からヘルコフロック(HERCOFLOC)の名称で販売されているもの、
− 例えば、欧州特許出願公開第080976号に記載され、チバ・ガイギー社(CIBA GEIGY)からビナクアット(BINA QUAT)P100の名称で市販されているアクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドのコポリマー、
− ハーキュリーズ社からレテン(RETEN)の名称で市販されているアクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルファートのコポリマー、
− 第4級化された又は第4級化されていないビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリラート又はメタクリラートのコポリマー、例えばISP社から「ガフクアット(GAFQUAT)」の名称で市販されている製品、例えば、「ガフクアット734」又は「ガフクアット755」、又は「コポリマー845、958及び937」と称される製品(これらのポリマーは、仏国特許第2077143号及び同2393573号に詳細に記載されている)、
− ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンのターポリマー、例えばISP社からガフィックス(GAFFIX)VC713の名称で市販されている製品、
− 特にISP社からスタイリーズ(STYLEZE)CC10の商品名で市販されているビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンのコポリマー、
− ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドの第4級化されたコポリマー、例えばISP社から「ガフクアットHS100」の名称で市販されている製品、
を挙げることができる。
【0017】
(2)仏国特許第1492597号に記載されている、第4級アンモニウム基を有するセルロースエーテル誘導体、特にユニオン・カーバイド・コーポレーション(Union Carbide Corporation)から「JR」(JR400、JR125、JR30M)又は「LR」(LR400、LR30M)の商品名で販売されているポリマー。また、これらのポリマーは、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応するヒドロキシエチルセルロースの第4級アンモニウム化合物として、CTFA辞典に定義されている。
【0018】
(3)カチオン性セルロース誘導体、例えば、水溶性の第4級アンモニウムモノマーがグラフトしたセルロース又はセルロース誘導体のコポリマーで、特に米国特許第4131576号に開示されているもの、例えば、特にメタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、又はジメチルジアリルアンモニウムの塩がグラフトした、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース類。
この定義に相当する市販品は、特に、ナショナル・スターチ社(National Starch)から「セルクアットL200」及び「セルクアット(Celquat)H100」の名称で販売されている製品である。
【0019】
(4)特に、米国特許第3589578号及び同第4031307号に記載されているカチオン性多糖類、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を有するグアーガム。例えば、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩(例えば塩化物)で変性したグアーガムが使用される。
このような製品は、特に、メイホール社(MEYHALL)から、ジャガー(JAGUAR)C13S、ジャガーC15、ジャガーC17又はジャガーC162の商品名で販売されている。
【0020】
(5)酸素、硫黄、窒素原子、もしくは芳香環又は複素環が挿入されていてもよい、直鎖状又は分枝状鎖を有する二価のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基とピペラジニル単位からなるポリマー、並びにこれらのポリマーの酸化生成物及び/又は第4級化生成物。このようなポリマーは、特に仏国特許第2162025号及び同第2280361号に記載されている。
【0021】
(6)酸性化合物とポリアミンとの重縮合により特に調製される水溶性ポリアミノアミド類;これらのポリアミノアミド類は、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、不飽和の二無水物、ビス-不飽和誘導体、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、アルキルビス-ハロゲン化物、もしくはビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、アルキルビス-ハロゲン化物、エピハロヒドリン、ジエポキシド又はビス-不飽和誘導体と反応性の二官能化合物の反応により生じたオリゴマーで架橋されていてもよく;架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基当たり0.025〜0.35モルの範囲の割合で使用される;これらのポリアミノアミド類はアルキル化されていてもよく、あるいはそれらが一又は複数の第3級アミン官能基を有する場合には第4級化されていてもよい。このようなポリマーは、特に仏国特許第2252840号及び同第2368508号に記載されている。
【0022】
(7)ポリカルボン酸とポリアルキレンポリアミン類を縮合させ、続いて二官能剤でアルキル化して得られるポリアミノアミド誘導体。例えば、アルキル基が1〜4の炭素原子を含み、好ましくはメチル、エチル又はプロピルを表すアジピン酸/ジアルキルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンのポリマーを挙げることができる。このようなポリマーは、特に仏国特許第1583363号に記載されている。
これらの誘導体として、特にサンド社(Sandoz)から「カルタレチン(Cartaretine)F、F4又はF8」の名称で市販されているアジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピル及びジエチレントリアミンのポリマーが記載されている。
【0023】
(8)3〜8の炭素原子を有する飽和脂肪族ジカルボン酸及びジグリコール酸から選択されるジカルボン酸と、少なくとも一の第2級アミン基と2つの第1級アミン基を有するポリアルキレンポリアミンとを反応させて得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸のモル比は、0.8:1〜1.4:1の範囲である;その結果得られたポリアミノアミドは、ポリアミノアミドの第2級アミン基に対して、0.5:1〜1.8:1の範囲のモル比のエピクロロヒドリンと反応させている。このようなポリマーは、特に、米国特許第3227615号及び同第2961347号に記載されている。
この種のポリマーは、アジピン酸/エポキシプロピル/ジエチレントリアミンのコポリマーの場合には、ハーキュリーズ社から「デルセット(Delsette)101」又は「PD170」の商品名で、もしくはハーキュリーズ社から「ヘルコセット(Hercosett)57」の商品名で特に市販されている。
【0024】
(9)次の式(V)又は(VI):
【化2】

[上式中、
k及びtは0又は1であり、k+tの合計は1に等しく;Rは水素原子又はメチル基を表し;R及びRは互いに独立して、1〜22の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1〜5の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、低級アミド(C-C)アルキル基を示すか、又はRとRは、それらが結合している窒素原子と共同して、複素環基、例えばピペリジニル又はモルホリニルを表してよく;RとRは互いに独立して、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基を表し;Yは、アニオン、例えば臭化物、塩化物、アセタート、ボラート、シトラート、タートラート、ビスルファート、亜硫酸水素塩、スルファート、ホスファートである]
に相当する鎖単位を主たる成分として有するアルキルジアリルアミン又はジアルキルジアリルアンモニウムのシクロポリマー、例えばホモポリマー又はコポリマー。これらのポリマーは、特に、仏国特許第2080759号及び追加特許書第2190406号に記載されている。
上述したポリマーとしては、特にカルゴン社(Calgon)から「メルクアット(Merquat)100」の名称で市販されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(及びその低重量平均分子量を有するホモログ)、及び「メルクアット550」の商品名で市販されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドのコポリマーを挙げることができる。
【0025】
(10)次の式(VII):
【化3】

{上式中:
10、R11、R12及びR13は同一又は異なっており、1〜20の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族基、もしくは低級脂肪族ヒドロキシアルキル基を示すか、又はR10、R11、R12及びR13は共同して又は別々に、それらが結合する窒素原子とともに、窒素以外の第2のヘテロ原子を含有していてもよい複素環を形成するか、又はR10、R11、R12及びR13は、R14がアルキレンで、Dが第4級アンモニウム基である-CO-NH-R14-D又は-CO-O-R14-D基、又はニトリル、エステル、アシル、アミドで置換された直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を表し;
及びBは、スルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、第4級アンモニウム、ウレイド、アミド又はエステル基、又は一又は複数の酸素又は硫黄原子、又は一又は複数の芳香環が主鎖に含有、結合又は挿入されていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和であってよい、2〜20の炭素原子を有するポリメチレン基を表し、
は、無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンを表し;
、R10及びR12は、それらが結合する2つの窒素原子とともにピペラジン環を形成してよく;さらにAが直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を表す場合は、Bは-(CH)-CO-D-OC-(CH)- 基を表してよく、
ここでDは:
a)式:-O-Z-O-のグリコール残基[ここで、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素基、又は次の式:
-(CH-CH-O)-CH-CH-
-[CH-CH(CH)-O]-CH-CH(CH)-
(上式中、x及びyは、定まった一つの重合度に相当する1〜4の整数、あるいは平均重合度に相当する1〜4の任意の数を表す)
の一つを有する基を表す];
b)ビス-第2級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体;
c)式:-NH-Y-NH-のビス-第1級ジアミン残基で、Yは、次の式:
-CH-CH-S-S-CH-CH-;
の二価の基、又は直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示し;
d)式:-NH-CO-NH-のウレイレン基;
を示す}
の繰り返し単位を有する第4級ジアンモニウムポリマー。
好ましくは、Xは、アニオン、例えば塩化物又は臭化物である。
【0026】
これらのポリマーは、一般的に1000〜100000の範囲の数平均分子量を有する。
このようなポリマーは、特に、仏国特許第2320330号、同第2270846号、同第2316271号、同第2336434号及び同第2413907号、及び米国特許第2273780号、同第2375853号、同第2388614号、同第2454547号、同第3206462号、同第2261002号、同第2271378号、同第3874870号、同第4001432号、同第3929990号、同第3966904号、同第4005193号、同第4025617号、同第4025627号、同第4025653号、同第4026945号及び同第4027020号に記載されている。
【0027】
より詳細には、次の式(VIII):
【化4】

[上式中、R10、R11、R12及びR13は同一又は異なっており、約1〜4の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基を表し、n及びpは約2〜20の整数であり、Xは無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンである]
の繰り返し単位からなるポリマーを使用することもできる。特にメギゾメル(MEXOMERE)POの参照名でカイメックス社(CHIMEX)から市販されている塩化ヘキサジメチリン(INCI名)を挙げることができる。
【0028】
(11)次の式(IX):
【化5】

[上式中:
pは約1〜6の範囲の整数を表し、Dは0であってよく、又は-(CH)-CO-基を表してもよく、ここでrは4又は7に等しい数を表し、Xはアニオンである]
の繰り返し単位を含む第4級ポリアンモニウム化合物。
このようなポリマーは、米国特許第4157388号、同第4702906号、同第4719282号に記載されている方法に従い調製されてよい。それらは、特に欧州特許出願公開第122324号に記載されている。
それらの適切な例は、ミラノール社(Miranol)から販売されている「ミラポール(Mirapol)A15」、「ミラポールAD1」、「ミラポールAZ1」及び「ミラポール175」の製品である。
【0029】
(12)ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第4級ポリマー、例えばBASF社からルビクアット(Luviquat)FC905、FC550及びFC370の商品名で市販されている製品。
(13)ポリアミン類、例えばCTFA辞書で「ポリエチレングリコール(15)獣脂ポリアミン」の参照名で、ヘンケル社(HENKEL)から販売されているポリクアート(Polyquart)H。
【0030】
(14)メタクリロイルオキシアルキル(C-C)トリアルキル(C-C)アンモニウム塩の架橋したポリマー、例えば、塩化メチルで第4級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルが単独重合、又は塩化メチルで第4級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとアクリルアミドとが共重合し、単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和化合物、特にメチレンビスアクリルアミドで架橋することにより得られるポリマー。特に、アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(重量で20:80)の架橋コポリマーを、鉱物性油に該ポリマーを50重量%含有してなる分散液の形態で使用することができる。このような分散液は、アライド・コロイヅ社(ALLIED COLLOIDS)から「サルケア(SALCARE)(登録商標)SC92」の名称で市販されている。また、鉱物性油又は液状エステル中に約50重量%のメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋ホモポリマーを含むものを使用することもできる。このような分散液は、アライド・コロイヅ社から「サルケア(登録商標)SC95」及び「サルケア(登録商標)SC96」の商品名で市販されている。
【0031】
本発明で適切に使用される他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミン類、特にポリエチレンイミン類、ビニルピリジン又はビニルピリジニウム単位を有するポリマー、ポリアミン類とエピクロロヒドリンの縮合物、第4級ポリウレイレン類及びキチン誘導体である。
本発明で使用され得る全カチオン性ポリマーのなかでも、ファミリー(10)に属するカチオン性ポリマー、例えばメギゾメルPOの参照名でカイメックス社から市販されている塩化ヘキサジメチリン(INCI名)が好ましく使用される。
【0032】
本発明の組成物におけるカチオン性ポリマーの含有量は、組成物の全重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜3重量%で変えてよい。
【0033】
先に説明したように、本発明の組成物に使用され得る化粧品用活性剤(類)は、シリコーン類からまた選択されうる。
本発明の還元組成物に場合によっては存在しているシリコーン類は、特に該組成物に可溶性ではないポリオルガノシロキサン類であり、油、ロウ、樹脂又はガムでありうる。
オルガノポリシロキサン類は、ウォルター・ノール(Walter NOLL)の「シリコーンの化学と技術(Chemistry and Technology of Silicones)」(1968)、アカデミー・プレス(Academie Press)社版により詳細に記載されている。
シリコーン類は揮発性又は非揮発性でありうる。
揮発性である場合は、シリコーン類は、より詳細には60℃〜260℃の範囲の沸点を有するもの、特に次のものから選択される:
【0034】
(i) 3〜7、好ましくは4又は5のケイ素原子を有する環状シリコーン類。
それらの適切な例には、特にローン・プーラン社(RHONE POULENC)から「シルビオン(SILBIONE)70045V2」、又はユニオン・カーバイド社(UNION CARBIDE)から「揮発性シリコーン7207」の商品名で市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、ローン・プーラン社から「シルビオン70045V5」、ユニオン・カーバイド社から「揮発性シリコーン7158」の商品名で市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びそれらの混合物が含まれる。
また、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えば次の化学構造:
【化6】

を有し、ユニオン・カーバイド社から市販されている「揮発性シリコーンFZ3109」を挙げることもできる。
さらに、ケイ素から誘導された有機化合物と環状シリコーン類の混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリトリトールの混合物(50:50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-(ヘキサ-2,2,2',2',3,3'-トリメチルシリルオキシ)ビス-ネオペンタンの混合物を挙げることもできる。
【0035】
(ii) 2〜9のケイ素原子を有し、粘度が25℃で5×10−6/s以下である直鎖状の揮発性シリコーン類、例えば、特に、東レシリコーン社(TORAY SILICONE)から「SH200」の商品名で市販されているデカメチルテトラシロキサン。このクラスに属するシリコーン類は、コスメティクス・アンド・トイレタリーズ(Cosmetics and toiletries)の第91巻、1月、76、27-32頁、トッド・アンド・バイヤー(TODD & BYERS)の「化粧品のための揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone fluids for cosmetics)」において公開されている論文にもまた記載されている。
【0036】
非揮発性シリコーン類、特にポリアルキルシロキサン類、ポリアリールシロキサン類、ポリアルキルアリールシロキサン類、ガム類及びシリコーン樹脂、有機官能基で変性したポリオルガノシロキサン類、及びそれらの混合物が好ましく使用される。
これらのシリコーン類は、特にポリアルキルシロキサン類から選択され、中でも、25℃で5×10−6〜2.5m/s、好ましくは1×10−5〜1m/sの範囲の粘度を有するトリメチルシリル末端基を有するポリジメチルシロキサン類を特に挙げることができる。シリコーンの粘度は、例えばASTM445規格アペンディクスCに従って25℃で測定される。
【0037】
これらのポリアルキルシロキサン類には、非限定的例として、次の市販品:
− ローン・プーラン社から市販されているミラシル油(MIRASIL oil)、又は47及び70047系列のシルビオン油(SILBIONE oil)、例えば流体70047V500000;
− ローン・プーラン社から市販されているミラシル系列の油;
− ダウ・コーニング社(DOW CORNING)の200系列の油、例えば特にDC200(粘度:60000Cst);
− ゼネラル・エレクトリック社(GENERAL ELECTRIC)のビスカシル油(VISCASIL oil)及びゼネラル・エレクトリック社のSF(SF96、SF18)系列のいくつかの油;
が含まれる。
【0038】
また、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン類(CTFA名によればジメチコノールと称される)、例えばローン・プーラン社の48系列の油を挙げることもできる。
このクラスのポリアルキルシロキサンには、(C-C20)ポリアルキルシロキサン類であり、ゴールドシュミット社(GOLDSCHMIDT)から「アビルワックス(ABIL WAX)9800及び9801」の商品名で市販されている製品が含まれる。
【0039】
ポリアルキルアリールシロキサン類は、特に、25℃で1×10−5〜5×10−2/sの範囲の粘度を有する直鎖状及び/又は分枝状のポリジメチルジフェニルシロキサン類、ポリジメチルメチルフェニルシロキサン類から選択される。
このようなポリアルキルアリールシロキサン類の適切な例には、例えば、次の商品名で市販されている製品:
・ローン・プーラン社の70641系列のシルビオン油;
・ローン・プーラン社のロードルシル(RHODORSIL)70633及び763系列の油;
・ダウ・コーニング社のダウ・コーニング556コスメティック・グレード・フルイド(COSMETIC GRADE FLUID);
・バイエル社(BAYER)のPK系列のシリコーン類、例えば製品PK20;
・バイエル社のPN、PH系列のシリコーン類、例えば製品PN1000及びPH1000;
・ゼネラル・エレクトリック社のSF系列のある種の油、例えばSF1023、SF1154、SF1250、SF1265;
が含まれる。
【0040】
本発明の還元組成物に存在し得るシリコーンガムは、特に、単独又は溶媒との組合物として使用され、200000〜1000000の範囲の高い数平均分子量を有するポリジオルガノシロキサン類である。この溶媒は、揮発性シリコーン類、ポリジメチルシロキサン油(PDMS)、ポリフェニルメチルシロキサン油(PPMS)、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン、トリデカン、又はそれらの混合物から選択され得る。
【0041】
特に、次の製品:
− ポリジメチルシロキサン、
− ポリジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサンガム、
− ポリジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン、
− ポリジメチルシロキサン/フェニルメチルシロキサン、
− ポリジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン/メチルビニルシロキサン、
を挙げることができる。
【0042】
特にさらに使用され得る製品は、次の混合物である:
− 鎖の末端がヒドロキシル化したポリジメチルシロキサン(CTFA辞書における命名法によればジメチコノールと称される)と環状のポリジメチルシロキサン(CTFA辞書における命名法によりシクロメチコーン称される)から形成される混合物、例えばダウ・コーニング社から市販されている製品Q2・1401;
− 環状のシリコーンとポリジメチルシロキサンガムから形成される混合物、例えば、ゼネラル・エレクトリック社の製品SF1214シリコーン・フルイド;この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当する油SF1202シリコーン・フルイドに溶解した、数平均分子量500000を有する、ジメチコーンに相当するSF30ガムである;
− 異なる粘度の2つのPDMS、特に、PDMSガムとPDMS油の混合物、例えばゼネラル・エレクトリック社の製品SF1236。SF1236は、20m/sの粘度を有する上述したSE30ガムと、5×10−6/sの粘度を有するSF96油の混合物である。このような製品は、好ましくは15%のSE30ガムと85%のSF96油を含有する。
【0043】
本発明の方法の酸化組成物に存在してよいオルガノポリシロキサン樹脂は、Rが1〜16の炭素原子を有する炭化水素基又はフェニル基を示す、次の単位:
SiO2/2、RSiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2
を含有するシロキサンベースの架橋した系である。これらの生成物の中で特に好ましいものは、Rが低級C-Cアルキル基、特にメチル又はフェニル基を示すものである。
【0044】
またこれらの樹脂には、ジメチル/トリメチルシロキサン構造のシリコーン類であり、ゼネラル・エレクトリック社から「シリコーン・フルイドSS4230及びSS4267」の商品名で市販されている製品、又は「ダウ・コーニング593」の商品名で市販されている製品が含まれる。
また、特に信越からX22-4914、X21-5034及びX21-5037の商品名で市販されているトリメチルシロキシシリカート型の樹脂を挙げることもできる。
【0045】
本発明の還元組成物に存在してよい有機修飾されたシリコーン類は、その構造に、炭化水素基により結合する一又は複数の有機官能基(類)を含む上述したシリコーン類である。
有機修飾されたシリコーン類には次のものが含まれる:
− C-C24アルキル基を有していてもよい、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばダウ・コーニング社からQ2・5200の商品名で市販されている、(C12)アルキルメチコーンコポリオール、ユニオン・カーバイド社からシルウェット(SILWET)L722、L7500、L77、L711油の商品名で、又はダウ・コーニング社からDC1248の商品名で市販されている、ジメチコーン-コポリオールと称される製品;
− 置換又は未置換のアミン基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばジェネシー社(GENESEE)からGP7100及びGP4シリコーン・フルイドの商品名で市販されている製品、ゼネラル・エレクトリック社の製品176-12096G、シンエツ社の製品KF-860、861及び864、又はダウ・コーニング社からQ2・8220又はDCZ-8566及びダウ・コーニング929又は939又はDCZ-8299又はQZ7224の商品名で市販されている製品。置換されたアミン基は、特にC-Cアミノアルキル基である;また、アルコキシ基を有するアミンシリコーン類、例えばワッカー社(WACKER)から市販されているベルシル(BELSIL)ADM LOG1シリコーン:
− チオール基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばジェネシー社から「GP72A」及び「GP71」の商品名で市販されている製品;
− アルコキシル基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばSWSシリコーン社から「シリコーン・コポリマーF-755」の商品名で、またゴールドシュミット社からアビルワックス(ABIL WAX)2428、2434及び2440の商品名で市販されている製品;
− ヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン類、例えば仏国特許出願公開第8516334号に記載されているヒドロキシアルキル官能基を有するポリオルガノシロキサン類;
− アシルオキシアルキル基を有するポリオルガノシロキサン類、例えば米国特許公開第4957732号に記載されているポリオルガノシロキサン類;
− カルボキシル型のアニオン性基を有するポリオルガノシロキサン類、例えばチッソ・コーポレーション(CHISSO CORPORATION)からの欧州特許第186507号に記載されている製品、又はアルキルカルボキシル型のもの、例えば信越の製品X-22-3701Eに存在するもの;2-ヒドロキシアルキルスルホナート;2-ヒドロキシアルキルチオスルファートを有するポリオルガノシロキサン類、例えばゴールドシュミット社から「アビルS201」及び「アビルS255」の商品名で市販されている製品;
− ヒドロキシアシルアミノ基を有するポリオルガノシロキサン類、例えば欧州特許出願第342834号に記載されているポリオルガノシロキサン類。例えばダウ・コーニング社の製品Q2-8413;
【0046】
本発明の還元組成物は、ケラチン繊維を再成形する方法において使用され得る。
よって、本発明の目的は、
− ケラチンのジスルフィド結合を還元するために、上述した還元組成物をケラチン繊維に適用する工程、ここで該ケラチン繊維は適用前、適用中又は適用後、好ましくは適用前に機械的張力下でセットされ、ついで、任意のすすぎ工程の後、
− ケラチン繊維に酸化組成物を適用することによる、該結合を再形成させるための酸化固定工程;
を含む、ケラチン繊維のパーマネント再成形、特に毛髪の再成形のための第1の方法を提供するものである。
【0047】
酸化組成物は、一般的に、過酸化水素、アルカリ臭素酸塩、ポリチオナート類、過酸塩、例えば過ホウ酸塩、過炭酸塩及び過硫酸塩からなる群から選択される少なくとも一の酸化剤を含有する。
好ましくは、酸化剤は過酸化水素である。
酸化剤は、酸化組成物の全重量に対して、一般的には0.1〜8重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。
【0048】
好ましくは、酸化剤が、過酸化水素の水溶液である場合、本発明の方法に使用される酸化組成物は、少なくとも一の過酸化水素の安定剤を含有する。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属のピロリン酸塩、例えばピロリン酸四ナトリウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスズ酸塩、フェナセチン、又は酸とオキシキノリンの塩、例えば硫酸オキシキノリン。さらに有利には、少なくとも一のスズ酸塩が、少なくとも一のピロリン酸塩と組合せられて、又は組合せられないで使用される。
過酸化水素の安定剤は、酸化組成物の全重量に対して、典型的には0.0001重量%〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%である。
【0049】
毛髪の繊維の美容特性を改善し又はそれらのダメージを低下させ又は防止するために、本発明の方法に使用される酸化組成物は、一又は複数の化粧品用活性剤、例えば還元組成物に関して上述したものをさらに含有していてもよい。
酸化組成物のpH値は、典型的には1〜13、好ましくは1.5〜8、より好ましくは1.5〜5で変化する。
【0050】
還元及び酸化組成物用のビヒクルは、好ましくは水からなる水性媒体であり、特にアルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、又はポリオール類又はポリオールエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコール又はそのエーテル、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びジエチレングリコールアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルを含む、いくつかの化粧品的に許容可能な有機溶媒を有利には含みうる。有機溶媒は、組成物の全重量に対して約0.1〜20重量%、好ましくは約1〜10重量%の範囲の濃度で存在していてよい。
【0051】
本発明の方法に使用される酸化組成物のpH値は、アルカリ性化剤、例えばアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-メチル-2-アミノ-1-プロパノール、プロパンジアミン-1,3, アルカリ又はアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩、有機炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウム、有機炭酸塩、例えば炭酸グアニジン、又はアルカリ水酸化物(もちろん、これら全ての化合物は単独又は組合せてもよいと考えられる)、又は酸性化剤、例えば塩酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、クエン酸及びリン酸を添加することにより、伝統的に得ることができ及び/又は調節され得る。
【0052】
本発明の方法に使用される還元組成物及び酸化組成物は互いに独立して、ローション、ゲル、フォーム、クリーム又はペーストの形態で存在していてもよい。
【0053】
上に説明したように、本発明の第1の方法は、ケラチン繊維、特に毛髪に還元組成物を適用する工程、ついで酸化組成物を適用する工程を含む。
本発明の特定の実施態様によれば、還元組成物を適用する工程及び/又は酸化組成物を適用することからなる固定工程は、加熱(加温)下にてなされるか、又はその直後に加熱(加温)される。
典型的には、本発明の方法は、酸化固定工程の後に、ケラチン繊維を水ですすぐことからなる工程を含む。
【0054】
パーマをかけるため、カーラー等の機械的手段が好ましくは使用され、還元組成物は、毛髪の再成形手段の前、最中又は後、好ましくは後に適用される。
好ましくは、還元組成物は、直径2〜30mmの範囲のローラーの周囲に予め巻かれた湿った毛髪に適用される。また組成物は、毛髪の巻き上げ時に適用されてもよい。一般的に、還元組成物は5〜60分、好ましくは5〜30分の範囲の時間、放置される。
【0055】
還元組成物の適用後、反応時間の全て又は一部の間、30〜250℃の範囲の温度で加熱することにより、毛髪に熱処理をかけることが可能である。実際、この工程はヘアスタイリング用フード、ヘアドライヤー、ラウンドアイロン又はフラットアイロン、赤外線発光装置、及び他の加熱装置により実施可能である。
加熱手段及び毛髪の成形手段の双方として、60〜220℃、好ましくは120〜220℃の範囲の温度で加熱用アイロンを使用することが可能であり、加熱用アイロンは、還元組成物を適用する工程と酸化組成物を適用する工程の間で使用される。
カーラーそれ自体が加熱するものでもよい。
【0056】
ついで、ケラチンジスルフィド結合を再構成させる酸化組成物を、巻かれた又は巻かれていない毛髪へ、好ましくはすすぎの後、一般には2〜15分の範囲の反応時間、適用する。ローラーを取り除いた後、一般的には毛髪を、好ましくは水で十分にすすぐ。
【0057】
毛髪の脱縮毛又はストレート化のために、還元組成物を毛髪に適用し、ついで、大きな歯の櫛、櫛の背、手又はブラシを用いて毛髪にストレート化施術を施すことにより、毛髪を新規の形状に固定する機械的変形にかける。反応を、典型的には5〜60分、好ましくは15〜45分進行させる。
また毛髪のストレート化は、全体的又は部分的に、60〜220℃、好ましくは120〜200℃の加熱用アイロンを用いて実施されてもよい。
ついで、上述した酸化組成物を適用し、典型的には約2〜15分放置し、毛髪を典型的には水で十分にすすぐ。
【0058】
また、本発明の還元組成物は、何ら固定することなく毛髪繊維を処理するための第2の方法にも使用されうる。
よって本発明のさらなる目的は、
− 上述した還元組成物を毛髪の繊維に適用し、ここでケラチン繊維は適用前、適用中又は適用後、好ましくは適用前に機械的張力下でセットされてよく、ついで、場合によっては、
− 加熱用アイロンを使用し、少なくとも60℃の温度まで、毛髪の繊維の温度を上昇させ、ここで温度上昇が任意の毛髪の繊維のすすぎの前又は後に実施される:
ことからなる工程を含むことを特徴とする、固定することなく毛髪繊維を処理するための第2の方法を提供することにある。
本発明の還元組成物が使用されるような、固定することなく毛髪を処理するための方法は、特に仏国特許出願第2868305号、仏国特許第2868306号及び仏国特許第2868300号に記載されている。
【0059】
好ましくは、毛髪の繊維の温度を、60℃〜220℃、より好ましくは120℃〜220℃の範囲の温度まで上昇させる。
好ましい実施態様では、毛髪の繊維を温度上昇工程の前にすすがない。
好ましくは、還元組成物は湿って清浄な毛髪の繊維に適用される。
還元組成物が適用されれば、該組成物を、典型的には5〜60分、好ましくは5〜30分、場合によってはヘアスタイリング用フードの下で反応させる。
【0060】
また本発明の方法は、美容師の手又は使用者の頭皮の双方を熱くさせるおそれがある、多量の蒸気の放出を避けるために、温度上昇工程の前に、付加的な毛髪繊維の事前乾燥工程をさらに含んでいてもよい。この事前乾燥工程は、例えばヘアドライヤー、ヘアスタイリング用フードにより実施されてもよいし、又は毛髪を自然に空気乾燥させてもよい。
【0061】
本発明のさらなる目的は、システイン又はその塩を含有する非着色還元組成物を安定化させるため、化粧品的に許容可能な媒体にチオ乳酸又はその塩を使用することを提供するものであり、ここでチオ乳酸又はその塩は、(a)システイン又はその塩のモル数と(b)チオ乳酸又はその塩のモル数との間の比が、還元組成物において3以上となるような十分な量で、該組成物に添加される。
【0062】
ここで使用される場合、「安定化」とは、上述したモル濃度比以外の比で、システイン、場合によってはチオ乳酸又はその塩を含有する比較還元組成物と比較して、還元組成物内におけるシステインの白色粒子の出現、及び/又は何らかの硫黄臭の発生が制限又は防止されることを意味することを意図している。
この改善された安定性は、45℃での保存後の加速試験で示すことができる。
【0063】
本発明のさらなる目的は、
− システイン又はその塩のモル数と、チオ乳酸又はそのモル数との間の比が3以上となるように、システイン又はその塩とチオ乳酸又はその塩を含有する組成物を収容する少なくとも一の第1の区画
− 少なくとも一の酸化剤を含有する組成物を収容する少なくとも一の第2の区画、
を含むキットを提供することにある。
本発明を以下の実施例で例証する。
【実施例】
【0064】
実施例1
毛髪のパーマネント再成形方法を実施するための、本発明の還元組成物(1)と(2)、及び酸化組成物(3)の処方例を以下に詳細に記載する。
還元組成物(1):pH値=9.3
L-システイン 4%
モノエタノールアミン 2.5%
40%のAM*のペンテト酸五ナトリウム 0.4%
60%AMのメギゾメルPO 2.5%
50%AMのカルボン酸ピロリドンナトリウム 3%
58%のチオ乳酸アンモニウムの水溶液 1.8%
脱塩水 計100%
システイン:チオ乳酸アンモニウムのモル比 3.86
【0065】
還元組成物(2):pH値=8.8
L-システイン 4%
モノエタノールアミン 2.25%
重炭酸アンモニウム 2.7%
40%のAM*のペンテト酸五ナトリウム 0.4%
60%AMのメギゾメルPO 2.5%
50%AMのカルボン酸ピロリドンナトリウム 3%
58%のチオ乳酸アンモニウムの水溶液 1.8%
脱塩水 計100%
システイン:チオ乳酸アンモニウムのモル比 3.86
【0066】
酸化組成物(3):pH値=3
過酸化水素 4.8%
安定剤 0.03%
クエン酸 0.1%
メルクアット100 1.25%
ラウラミンオキシド 2.15%
脱塩水 計100%
【0067】
実施例2
安定化実験を、本発明の組成物1及び2について実施し、既知の組成物の安定性と比較した。結果は以下の通りである:
使用した符号:
(−)→ 正常(透明溶液)
(+)→ 数個の粒子
(++)→粒子
【0068】
pH値=9.3の処方物:
【表1】

*ジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩の40%水溶液
上の表で観察可能なように、本発明の還元組成物(1)は、チオ乳酸アンモニウムを含有しない処方物に対して、45℃で2ヶ月保存した後も透明性が保たれていた。
【0069】
pH値=8.8の処方物:
【表2】

*ジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩の40%水溶液
上の表で観察可能なように、本発明の還元組成物(2)は、45℃で2ヶ月保存した後、チオ乳酸アンモニウムを含有しない処方物よりも白色粒子の生成が少なかった。
【0070】
実施例3:手順
1−ナチュラルな毛髪におけるパーマ法
モデルのナチュラルな毛髪をシャンプーし、ついで水気を絞った。
毛髪全体をカーラーに巻いた。
還元組成物1を適用し、毛髪用キャップを頭部に配した。
20分間反応を進行させ、ついで水ですすいだ。
ついで、酸化組成物3を適用し、7分間放置した。
次にカーラーを取り除き、毛髪をすすいだ。
毛髪を乾燥させたところ、完全な規則的なカールが得られ、非常にナチュラルな毛髪の感触もあった。
【0071】
2−着色された毛髪におけるパーマ法
モデルの着色された毛髪をシャンプーし、ついで水気を絞った。
毛髪全体をカーラーに巻いた。
還元組成物2を適用し、毛髪用キャップを頭部に配した。
20分間反応を進行させ、ついで水ですすいだ。
ついで、酸化組成物3を適用し、7分間放置した。
次にカーラーを取り除き、毛髪をすすいだ。
毛髪を乾燥させたところ、完全な規則的なカールが得られ、当初の毛髪の色調が変化することなく保持されていた。
【0072】
3−ナチュラルな毛髪における固定化しない方法
モデルのナチュラルな毛髪をシャンプーし、ついで水気を絞った。
還元組成物1を毛髪全体に適用した。
加熱用ヘアスタイリング用フードの下で、15分間反応を進行させ、ついで毛髪を水ですすいだ。
約20%の残留水分が達成されるまで、ヘアドライヤーで毛髪を乾燥させた。
微細な小断面のストランドを挿入し、フラットアイロンを毛髪間に滑らせた。各ストランドに対して、操作を3回繰り返した。
ストレート化された毛髪、及び非常にナチュラルな感触が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体中に、
(a)システイン又はその塩と、
(b)チオ乳酸又はその塩、
を含有してなる、ケラチン繊維のパーマネント再成形のための非着色水性還元組成物であって、
(a)システイン又はその塩のモル数と(b)チオ乳酸又はその塩のモル数との間の比が3以上である組成物。
【請求項2】
pH値が7を越え、好ましくは8〜9.5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
システインが、L-システイン、D-システイン又はL,D-システインから選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記システイン塩が塩酸塩又は硫酸塩から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記チオ乳酸塩が、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
システイン又はその塩、及びチオ乳酸又はその塩がそれぞれ、還元組成物の全重量に対して、0.05〜30重量%、好ましくは1〜20重量%、さらに好ましくは3〜11重量%であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
ケラチン繊維のパーマネント再成形、特に毛髪の再成形のための方法において、
− ケラチンのジスルフィド結合を還元するために、請求項1から6のいずれか1項に記載の還元組成物をケラチン繊維に適用する工程であって、該ケラチン繊維は適用前、適用中又は適用後、好ましくは適用前に機械的張力下でセットされる工程と、ついで、任意のすすぎ工程の後で、
− ケラチン繊維に酸化組成物を適用することにより前記結合を再形成させるための酸化固定工程;
を含む方法。
【請求項8】
毛髪繊維を固定しないで処理する方法において、
− 請求項1から6のいずれか1項に記載の還元組成物を毛髪繊維に適用し、ケラチン繊維は適用前、適用中又は適用後、好ましくは適用前に機械的張力下でセットされてもよく、ついで、場合によっては、
− 加熱用アイロンを使用し、少なくとも60℃の温度まで、毛髪繊維の温度を上昇させ、該温度上昇が任意工程の毛髪繊維のすすぎの前又は後に実施される:
ことからなる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
化粧品的に許容可能な媒体中にシステイン又はその塩を含有する非着色還元組成物を安定化させるための、チオ乳酸又はその塩の使用であって、該チオ乳酸又はチオ乳酸塩が、(a)システイン又はその塩のモル数と(b)チオ乳酸又はその塩のモル数との間の比が、還元組成物中で3以上となるような十分な量で該組成物に添加される使用。
【請求項10】
− システイン又はその塩のモル数と、チオ乳酸又はそのモル数との間の比が3以上となるように、システイン又はその塩とチオ乳酸又はその塩を含有する組成物を収容する少なくとも一の第1の区画と、
− 少なくとも一の酸化剤を含む組成物を収容する少なくとも一の第2の区画、
を含むキット。

【公開番号】特開2009−235027(P2009−235027A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−85718(P2008−85718)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】