説明

システム装置およびローカルエリアネットワークシステム

【課題】 ネットワーク関連デバイスへの電力供給方法を工夫することでネットワークシステム全体の消費電力を削減することができるシステム装置あるいはローカルエリアネットワークシステムを提供する。
【解決手段】 ローカルエリアネットワークシステムを形成するためにネットワーク関連デバイスによって他のネットワーク装置に接続されたシステム装置であって、前記ローカルエリアネットワークシステムが通常動作している場合に、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記ネットワーク接続される相手側ネットワーク装置から電力が供給されるPoE(Power over Ethernet)方式と、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記システム装置側から電力が供給される方式とのどちらかを選択する電源監視手段を有する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ローカルエリアネットワークシステムを形成するためにネットワーク関連デバイスによって他のネットワーク装置に接続されたシステム装置に関し、特に、ネットワーク関連デバイスへの電力供給方法を工夫することでネットワークシステム全体の消費電力を削減することができるシステム装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パーソナルコンピュータやプリンタ、複写装置等(これらを総称してシステム装置と称する)に実装され、ネットワークケーブルでネットワークHUBやその他ネットワーク装置に接続されてローカルエリアネットワーク(LAN)システムを形成するLANコントローラ、物理層デバイス(PHY)、トランス、ネットワーク用コネクタ、ネットワークケーブルといった一連の機器からなるネットワーク関連デバイスが知られており、そのネットワーク関連デバイスに対して、ネットワーク接続される相手側ネットワーク装置から電力が供給されるPoE(Power over Ethernet)方式を利用したネットワーク電源供給方式が知られている。
なお、先行技術としては、特許文献1として、電子機器がネットワークに接続されたときに電子機器の省電力制御を管理装置に設定された省電力制御により行い、電子機器がネットワークから切断されたときには、電子機器の省電力制御を電子機器に設定された省電力制御により行うようにする技術が開示されている。
特許文献2として、モジュラージャックがLANアダプタのモジュラーコネクタの凹部に挿着されると、そのヘッドの押圧によってモジュラーコネクタの内部の接点の端子aと端子bとが接触し、給電用リレーの作動をオンにし、モジュラージャックが抜かれると接点の端子aと端子bの接触が解除されて給電用リレーの作動がオフになり、モジュラージャック5が挿着されていないときのLANアダプタの電力消費を削減できる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−259292公報
【特許文献2】特開平05−014359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のネットワーク機能を実装したシステム装置側の機器で省エネを実現しようとする場合、問題となるのはネットワーク機能を構成するネットワーク関連デバイスのそれぞれの消費電力であると考えられる。
しかも、PHYやLANコントローラの消費電力は多大であり、システム全体の省エネに対してネックとなる。また、ネットワーク接続していない場合でもシステム装置に電源が入っていると前記ネットワーク関連デバイスに対しても電源供給されることになり電力が消費される。
現在、プリンタや複写機、パーソナルコンピュータ等のOA機器には様々な省エネ機能が盛り込まれているが、ネットワークに関しては何時でも通信出来るように常に何らかの形で電源供給しなければならない状態にあり、電力消費の点で問題が残っていた。
本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ネットワーク関連デバイスへの電力供給方法を工夫することでネットワークシステム全体の消費電力を削減することができるシステム装置あるいはLANシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、LANシステムを形成するためにネットワーク関連デバイスによって他のネットワーク装置に接続されたシステム装置であって、前記LANシステムが通常動作している場合に、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記ネットワーク接続される相手側ネットワーク装置から電力が供給されるPoE方式と、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記システム装置側から電力が供給される方式とのどちらかを選択する電源監視手段を有することを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記電源監視手段は、前記システム装置側が省電力モードか否かに基づいて前記方式の選択を行うことを特徴とする。
また、請求項3記載の発明は、前記電源監視手段は、前記システム装置側が省電力モードに入り、前記ネットワーク関連デバイスへの電源供給が遮断されると、前記ネットワーク関連デバイスへの電力供給をネットワークからの電力供給(PoE)方式に自動的に切り換えることを特徴とする。
また、請求項4記載の発明は、前記電源監視手段は、前記システム装置側が省電力モードから復帰し電源供給が再開された時点で、前記ネットワーク関連デバイスへの電力供給を前記ネットワークからの電力供給(PoE)方式からシステム装置側からの電力供給方式に自動的に切り換えることを特徴とする。
また、請求項5記載の発明は、前記ネットワーク関連デバイスが、LANコントローラ、PHY、トランス、ネットワーク用コネクタ、ネットワークケーブルからなることを特徴とする。
また、請求項6記載の発明は、システム装置に実装されたLANコントローラ、物理層デバイス、トランス、ネットワーク用コネクタ、ネットワークケーブルからなるネットワーク関連デバイスによって、前記システム装置が他のネットワーク装置に接続されて形成されたLANシステムであって、前記ローカルエリアネットワークシステムが通常動作している場合に、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記ネットワーク接続される相手側ネットワーク装置から電力が供給されるPoE方式と、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記システム装置側から電力が供給される方式とのどちらかを選択する電源監視手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ネットワークが通常動作している時(ネットワークデータ送受信時)に、ネットワークからの電力供給(PoE)、若しくはシステム装置側からの電力供給のどちらから供給されるかを選択できる電源監視機能を持たせたネットワーク電源供給方式により、PoEに対応したネットワーク系に接続されているかどうかを確認でき、システムによって電源供給方式を選択可能となる。
また、本発明によれば、システム装置側が省電力モードに入り、ネットワーク関連デバイスへの電源供給が遮断されると、ネットワーク関連デバイスへの電力供給はネットワークからの電力供給(PoE)に自動的に切り換える事が出来るネットワーク電源供給方式により、ネットワーク系からのデータ受信を何時でも受け続けることが出来、省電力モードからの復帰が可能となる。
また、本発明によれば、システム装置側が省電力モードから復帰し電源供給が再開された時、ネットワーク関連デバイスへの電力供給がネットワークから電力供給(PoE)されることにより、システム装置側の消費電力低減に効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0007】
図1は、本発明によるネットワークシステムの一実施形態の概略構成図である。
図1に示すように、このネットワークシステムは、ネットワーク1を介して相互に接続されたシステム装置側3と他のネットワーク装置5とを有しており、システム装置側3は、DC電源7よりDC電源が供給されるシステム装置系デバイス9と、システム装置側3に実装されたネットワーク関連デバイス11と、後述する2つの電力供給方式を選択するための電圧監視部13とを有している。
なお、ここで、このネットワークシステムは、LANシステムを想定し、システム装置側3としては、パーソナルコンピュータやプリンタ、複写装置等が想定されている。
図2は、図1に示したシステム装置側3の内部構成図である。
図2に示すように、このシステム装置側3は、システム装置系デバイス9としてCPU15を有しており、ネットワーク関連デバイス11としてLANコントローラ17とPHY19とトランス21とネットワーク用コネクタ23とネットワークケーブル25とを有している。
そして、CPU15はシステム全体の制御を司り、LANコントローラ17はネットワークからの送受信データの処理動作を司り、PHY19はネットワークデータのパラレル/シリアル変換を行なう部分である。
また、電圧監視部13は、ネットワークから供給される電源とシステム装置から供給される電源の管理を司り、ネットワーク関連デバイスに対してどちらから電力を供給するかを選択する。選択する内容はシステム装置側3が省電力モードに入ったか否かにより、もしシステム装置側3が省電力モードに入った場合、電圧監視部13はその情報を受け取り、ネットワーク関連デバイス11に供給する電源をネットワークからのものに切り換える。
【0008】
次に、図3を参照して、図1に示したネットワークシステムの動作について説明する。図3は、図1に示したネットワークシステムの動作フローチャートである。
まず、通常は、図4の矢印Aに示すように、システム装置側3に設けられたDC電源7から装置上の各デバイス(システム装置系デバイス9とネットワーク関連デバイス11)に対して電力供給される(図3のステップ101)。図4は、図1に示したネットワークシステムにおいてDC電源7から装置上の各デバイスに対して電力供給される場合の説明図である。
ネットワーク系から供給される電源はシステム装置側にて電圧監視部に入力される。
次に、電圧監視部13により、システム装置側3が省電力モードに入ったか否かが判断され(ステップ103)、もしシステム装置側3が省電力モードに入った場合、電圧監視部13は、ネットワーク関連デバイス11に供給する電源をDC電源7からネットワーク系から供給される電源に切り換える。すなわち、図5の矢印Bに示すように、システム装置側3から電力が供給される方式からネットワーク接続される相手側ネットワーク装置5から電力が供給されるPoE方式へと切り換える(ステップ105)。図5は、図1に示したネットワークシステムにおいてネットワーク系からネットワーク関連デバイス11に対して電力供給される場合の説明図である。
それにより、ネットワーク関連デバイス11は、ネットワーク系から供給される電源により、データ送受信動作が可能になり(ステップ107)、システム装置側3はシステム装置系デバイス9への電源供給を遮断する(ステップ109)。
次に、ネットワークデータ送受信動作により起動したか否かが判断され(ステップ111)、ネットワークデータ送受信動作により起動された場合、電圧監視部13は、ネットワーク系からの電力供給方式からシステム装置側のDC電源7からの電源供給方式に切り換える(ステップ113)。これにより、図4の矢印Aに示すように、システム装置側3全体への電力供給はDC電源7から供給され、システム装置系デバイス9に対しても電源の供給が再開される(ステップ115)。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるネットワークシステムの一実施形態の概略構成図。
【図2】図1に示したシステム装置側3の内部構成図。
【図3】図1に示したネットワークシステムの動作フローチャート。
【図4】図1に示したネットワークシステムにおいてDC電源7から装置上の各デバイスに対して電力供給される場合の説明図。
【図5】図1に示したネットワークシステムにおいてネットワーク系からネットワーク関連デバイス11に対して電力供給される場合の説明図。
【符号の説明】
【0010】
1 ネットワーク、3 システム装置側、5 ネットワーク装置、7 DC電源、9 システム装置系デバイス、11 ネットワーク関連デバイス、13 電圧監視部、15 CPU、17 LANコントローラ、21 トランス、23 ネットワーク用コネクタ、25 ネットワークケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカルエリアネットワークシステムを形成するためにネットワーク関連デバイスによって他のネットワーク装置に接続されたシステム装置であって、
前記ローカルエリアネットワークシステムが通常動作している場合に、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記ネットワーク接続される相手側ネットワーク装置から電力が供給されるPoE(Power over Ethernet)方式と、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記システム装置側から電力が供給される方式との何れかを選択する電源監視手段を有することを特徴とするシステム装置。
【請求項2】
前記電源監視手段は、前記システム装置側が省電力モードか否かに基づいて前記方式の選択を行うことを特徴とする請求項1に記載のシステム装置。
【請求項3】
前記電源監視手段は、前記システム装置側が省電力モードに入り、前記ネットワーク関連デバイスへの電源供給が遮断されると、前記ネットワーク関連デバイスへの電力供給をネットワークからの電力供給(PoE)方式に自動的に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のシステム装置。
【請求項4】
前記電源監視手段は、前記システム装置側が省電力モードから復帰し電源供給が再開された時点で、前記ネットワーク関連デバイスへの電力供給を前記ネットワークからの電力供給(PoE)方式からシステム装置側からの電力供給方式に自動的に切り換えることを特徴とする請求項2に記載のシステム装置。
【請求項5】
前記ネットワーク関連デバイスが、LANコントローラ、物理層デバイス、トランス、ネットワーク用コネクタ、ネットワークケーブルからなることを特徴とする請求項1に記載のシステム装置。
【請求項6】
システム装置に実装されたLANコントローラ、物理層デバイス、トランス、ネットワーク用コネクタ、ネットワークケーブルからなるネットワーク関連デバイスによって、前記システム装置が他のネットワーク装置に接続されて形成されたローカルエリアネットワークシステムであって、
前記ローカルエリアネットワークシステムが通常動作している場合に、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記ネットワーク接続される相手側ネットワーク装置から電力が供給されるPoE(Power over Ethernet)方式と、前記ネットワーク関連デバイスに対して、前記システム装置側から電力が供給される方式とのどちらかを選択する電源監視手段を有することを特徴とするローカルエリアネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−260108(P2006−260108A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76095(P2005−76095)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】