説明

システム試験装置

【課題】測定器制御の変更により測定器の制御コマンドに追加や変更があった場合であっても、測定器制御ドライバを修正する必要がないシステム試験装置を提供する。
【解決手段】試験を統括処理する制御処理部14及び、試験の手順が記述された試験パラメータファイル19と、該試験パラメータファイルに関連づけされ、測定器に対して行われる処理と処理に対応した制御コマンドの基となるGPIBコマンドの一覧が記述された測定器コマンド情報ファイル22とが格納された記憶部15を具備し、前記制御処理部は前記試験パラメータファイルを解析し、解析した結果に対応する処理を前記測定器コマンド情報ファイルから選択し、選択された処理に対応する前記制御コマンドを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定器を用いて被試験器に対して所望の試験項目の試験を同時に実施し、該被試験器に対して自動測定試験を行うシステム試験装置、特に制御装置を用いて複数の測定器を制御しながら複数の被試験器の試験を行うシステム試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システム等の通信システムや航法システム等に対して各種の試験を実施する場合に於いては、各試験項目ごとに対応した複数の測定器が必要となる。
【0003】
従来のシステム試験装置では、個々の測定器ドライバ内に、測定器制御に関する処理が全て記述されたドライバプログラムを有している。図10に示される様に、従来の測定器ドライバ31内のドライバプログラム32は、例えば制御コマンドの入出力処理を行う為の制御コマンド送信処理プログラム33や制御コマンド受信処理プログラム34、及び測定器に出力する制御コマンドの生成を行う制御コマンド生成プログラム35等を有しており、制御コマンドに追加があった場合、或は制御コマンドが変更された場合には、その都度前記ドライバプログラム32を修正する必要があった。
【0004】
又、前記測定器ドライバ31内には、測定器のリモート制御を行う為のインターフェイスの設定、例えばGP−IBで行う等予めリモートインターフェイスを決め、そのインターフェイスに対して出力を行う等の処理内容が、前記測定器ドライバ31の前記ドライバプログラム32に記述されていた為、リモートインターフェイスに変更があった場合には、変更になったインターフェイスに対応する様前記ドライバプログラム32を変更し、前記測定器ドライバ31を新たに作成する必要があった。
【0005】
従って、同一のシステム試験装置であっても、制御コマンドの変更や追加があった場合、或は測定器の構成や測定器制御のリモートインターフェイスの変更があった場合には、変更前の前記測定器ドライバ31と変更後の測定器ドライバ31とをそれぞれ別のドライバとして管理する必要がある為、測定器が廃止される度に異なるバージョンのシステム試験装置が増えていくという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−292723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、測定器制御の変更により測定器の制御コマンドに追加や変更があった場合であっても、測定器制御ドライバを修正する必要がないシステム試験装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、試験を統括処理する制御処理部及び、試験の手順が記述された試験パラメータファイルと、該試験パラメータファイルに関連づけされ、測定器に対して行われる処理と処理に対応した制御コマンドの基となるGPIBコマンドの一覧が記述された測定器コマンド情報ファイルとが格納された記憶部を具備し、前記制御処理部は前記試験パラメータファイルを解析し、解析した結果に対応する処理を前記測定器コマンド情報ファイルから選択し、選択された処理に対応する前記制御コマンドを生成するシステム試験装置に係るものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、試験を統括処理する制御処理部及び、試験の手順が記述された試験パラメータファイルと、該試験パラメータファイルに関連づけされ、測定器に対して行われる処理と処理に対応した制御コマンドの基となるGPIBコマンドの一覧が記述された測定器コマンド情報ファイルとが格納された記憶部を具備し、前記制御処理部は前記試験パラメータファイルを解析し、解析した結果に対応する処理を前記測定器コマンド情報ファイルから選択し、選択された処理に対応する前記制御コマンドを生成するので、前記測定器の仕様変更による制御コマンドの追加や変更があった場合でも、前記測定器コマンド情報ファイルを修正するだけでよく、ソフトウェアのバージョン管理及びソフトウェアの修正規模を最小限に抑えることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に於けるシステム試験装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に於ける制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に於ける試験パラメータファイルを示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施例に於ける測定器コマンド情報ファイルを示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施例に於ける変換用ファイルを示す説明図である。
【図6】測定器に出力する制御コマンドの生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】ドライバ部に出力するコマンドデータの生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例に於ける制御装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施例に於ける測定器情報定義ファイルを示す説明図である。
【図10】従来のドライバ部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0012】
先ず、図1〜図7に於いて、本発明の第1の実施例について説明する。図1は、本実施例に於けるシステム試験装置1の装置構成を示すブロック図となっている。
【0013】
該システム試験装置1は、被試験器用コントローラ2と、PC等の制御装置3と、複数の測定器4−1,4−2,・・・,4−n(nは自然数)と、切替え器5とで構成され、試験対象である電子機器、例えば無線機等の被試験器6について予め決められた試験手順で自動的に試験を行い、試験で得た測定値に基づいて前記被試験器6の動作が正常であるか否かを判定する様になっている。
【0014】
前記被試験器用コントローラ2は前記被試験器6に対して測定条件等を入力できる機能を有している。又、前記制御装置3は、前記被試験器用コントローラ2や前記測定器4、前記切替え器5の制御手段、測定結果の表示手段等、及び試験の為のプログラムデータを具備している。尚、前記制御装置3は、前記被試験器用コントローラ2を遠隔操作することで前記被試験器6に対して測定条件等を入力できる様になっている。
【0015】
又、前記測定器4は、例えば基準信号を発生する基準信号発生器や、信号の位相を検波する位相検波器等、被測定器の種別に拘らず広く使用される汎用測定器や、特定の被試験器に対してのみ使用する専用測定器等から構成され、前記被試験器6に対して入力信号としての試験信号を出力し、該被試験器6が前記測定器4からの入力信号に対応して出力する出力信号としての試験信号を受信、測定し、測定結果を前記制御装置3に出力する様になっている。
【0016】
前記切替え器5は、前記制御装置3からの制御信号に従って、前記被試験器6と前記測定器4間の測定経路の切替えを行う機能を有している。
【0017】
又、前記被試験器用コントローラ2と前記被試験器6は被試験器用リモートインターフェイス7によって接続され、該被試験器用リモートインターフェイス7はMIL−STD−1553B(Military Standard 1553B)やLAN(Local Area Network)、RS−232C(Recommended Standard232 VersionC)等に対応している。又、前記制御装置3と前記測定器4は測定器用リモートインターフェイス8によって接続され、該測定器用リモートインターフェイス8はGP−IB(General Purpose Interface Bus)やLAN、RS−232C等に対応している。又、前記測定器4と前記切替え器5及び該切替え器5と前記被試験器6は、試験信号ライン9によって接続され、前記制御装置3は前記被試験器用コントローラ2と通信ライン11によって接続されると共に、前記切替え器5と切替え器制御ライン12によって接続されている。尚、前記試験信号ライン9、前記通信ライン11、前記切替え器制御ライン12は、それぞれLANやRS−232C等に対応している。
【0018】
尚、図1中では、前記被試験器6を1つとして説明しているが、前記切替え器5に前記被試験器6を複数接続し、必要に応じて該被試験器6との接続経路を切替える様にしてもよい。
【0019】
次に、図2に於いて、前記制御装置3の詳細について説明する。
【0020】
該制御装置3は、前記被試験器6に対して行われる試験を統括制御する制御処理部14と、メモリやHDD等からなる記憶部15と、前記被試験器用コントローラ2や前記測定器4や前記切替え器5との信号やデータの送受信を行う入出力部16と、前記測定器4、前記切替え器5、前記被試験器6等を制御する為の制御コマンド生成処理を行うドライバ部17と、モニタ等の表示部とマウスやキーボード等の操作部を具備する操作表示部18とを有している。
【0021】
前記記憶部15には、前記被試験器6に対する試験を行う際に使用する、前記被試験器6への試験手順を記述した試験パラメータファイル19、前記測定器4の情報が記述された測定器情報ファイル21、制御コマンドを生成する為の測定器コマンド情報ファイル22、及び前記試験パラメータファイル19に記述された固定パラメータを変換する為の出力レベル単位ファイル27、周波数単位ファイル28、チャネルファイル29からなる変換用ファイル30等の各種ファイルが格納されている。尚、前記試験パラメータファイル19は前記被試験器6毎に存在しており、本実施例では1個の前記試験パラメータファイル19が前記記憶部15に外部ファイルとしてCSV(Comma Separated Value)形式で格納されている。又、前記測定器情報ファイル21及び前記測定器コマンド情報ファイル22は前記制御装置3に接続された前記測定器4の個数だけ存在しており、本実施例ではn個の前記測定器情報ファイル21及び前記測定器コマンド情報ファイル22が外部ファイルとしてCSV形式で前記記憶部15に格納され、更に前記出力レベル単位ファイル27、前記周波数単位ファイル28、前記チャネルファイル29等の前記変換用ファイル30が外部ファイルとしてCSV形式で格納されている。
【0022】
前記制御処理部14は、例えば被試験器6Aに対しては測定器4−1を使用して試験を行い、被試験器6Bに対しては測定器4−2を使用して試験を行う等、試験を行う前記被試験器6に応じて使用する測定器4が定義された処理プログラムを有している。前記操作表示部18より指示が入力されると、前記記憶部15内に格納された各種ファイル19,21,22,27,28,29を基に、処理プログラムを実行して前記測定器4に対する制御命令である制御コマンドの基となるコマンドデータを生成し、該コマンドデータを前記ドライバ部17に出力すると共に、試験結果を前記操作表示部18に出力する機能を有している。
【0023】
前記入出力部16は、前記制御処理部14及び前記ドライバ部17で処理、出力された制御コマンドを、前記測定器用リモートインターフェイス8を介して前記測定器4、前記切替え器5、前記被試験器6等の各機構に出力し、又前記測定器4の測定結果を入力する機能を有している。
【0024】
前記ドライバ部17は、測定器ドライバ23−1,23−2,・・・,23−n(nは自然数)、切替え器ドライバ24及び被試験器ドライバ25から構成されている。前記測定器ドライバ23−1,23−2,・・・,23−n、前記切替え器ドライバ24、前記被試験器ドライバ25は、前記測定器4−1,4−2,・・・,4−n、前記切替え器5、前記被試験器6のそれぞれに対応したドライバプログラムを有し、該ドライバプログラムは前記制御処理部14にて生成されたコマンドデータに対して制御コマンド生成処理を行い、生成した制御コマンドを前記入出力部16を介して出力することで、前記測定器4、前記切替え器5と、前記被試験器6の動作を制御する機能を有している。
【0025】
前記操作表示部18には、例えば試験を実行可能な前記被試験器6の一覧や、該被試験器6に対する試験の内容、試験に使用する前記測定器4及び測定開始ボタン等が表示されており、図示しないマウス等の入力手段を介して試験を行う前記被試験器6及び試験項目を選択し、測定開始ボタンを押すことで、前記制御処理部14内の処理プログラムが実行され、又前記被試験器6に対する試験の結果を表示する様になっている。
【0026】
次に、図3に於いて、前記記憶部15に格納される前記試験パラメータファイル19の詳細について説明する。
【0027】
該試験パラメータファイル19は、試験対象の前記被試験器6の試験手順が記述されたファイルであり、処理種別、送受信先名称、処理タイトル(内容)及びParam1〜Param8(図示ではParam1〜Param5)等の情報が記述されている。前記制御処理部14は前記試験パラメータファイル19を1行目から順に解析していき、コマンドデータを生成して前記ドライバ部17にコマンドデータを出力する様になっている。尚、前記試験パラメータファイル19では、制御コマンドを出力する為に必要なデータを、試験内容により変化する可能性があるデータを設定しやすい様に、データをコマンド引数としてParam4〜Param8に分割して設定をしている。
【0028】
図3中、処理種別は処理の対象を示し、送受信先名称は、対象となる機器の種類(図中では測定器)、データ及び信号の送受信先(図中ではオーディオアナライザ)であり、該当する前記測定器4の前記測定器情報ファイル21を取得する為のリンク情報を示しており、処理タイトルは後述する前記測定器コマンド情報ファイル22に対して要求するコマンドデータの処理内容を示している。
【0029】
又、Param1〜Param8のうち、Param1は前記測定器4の種別を示しており、Param2は前記測定器コマンド情報ファイル22に対して要求するコマンドデータのID値を示し、Param3は前記測定器コマンド情報ファイル22に対してコマンドデータを要求する際のキーワードキャラクタを示し、Param4〜Param8はコマンドデータの引数を示している。
【0030】
図3の場合は、先ず始めにオーディオアナライザの確保処理を行い、所定の時間が経過した後にオーディオアナライザの周波数設定処理を行い、更に所定時間経過後にオーディオアナライザの周波数測定処理を行い、最後にオーディオアナライザの開放処理を行うという様な試験手順となる。
【0031】
次に、図4に於いて、前記記憶部15に格納される前記測定器コマンド情報ファイル22の詳細について説明する。
【0032】
該測定器コマンド情報ファイル22は、従来のシステム試験装置では測定器ドライバ31内に記述されていた、前記測定器4に対して行われる全ての処理と、各処理に対応した制御コマンドの一覧が記述されたファイルであり、処理タイトル、GPIBコマンド(SetCommand)及びParam2〜Param8(図示ではParam2〜Param5)等の情報が記述されている。
【0033】
図4中、処理タイトルは前記試験パラメータファイル19から要求されるコマンドデータの処理内容を示し、Param2は前記試験パラメータファイル19から要求されたコマンドデータのID値を示し、Param3は前記試験パラメータファイル19からコマンドデータを要求された際のキーワードキャラクタを示し、GPIBコマンドは、前記測定器4に対して出力する制御コマンドの基となるコマンドデータの最初の文字列を示しており、Param4〜Param8はコマンドの引数を示している。
【0034】
尚、前記測定器コマンド情報ファイル22はCSVファイルとして扱われる為、CSVファイルでは表記できないカンマ等の特殊文字に対応できる様Param4〜Param8の前後の列(図4中ではParam4の前後の列及びParam5の前列)に空白の列が挿入されている。
【0035】
Param4〜Param8の前後の空白の列を使用する条件としては、CSVファイルに於ける特殊文字である「,」(カンマ)、「’」(シングルコーテーション)、「”」(ダブルコーテーション)が使用されている場合や、「,」を含む固定のデバイス出力パラメータが存在する場合、及びParam4〜Param8に於いて、上位からのデバイス出力パラメータの後に固定のデバイス出力パラメータが存在する場合の計5つとなっている。
【0036】
「,」の場合、前記測定器コマンド情報ファイル22上では空白の列に「カンマ」と記述し、前記制御処理部14から前記ドライバ部17にコマンドデータが出力された際に、前記測定器ドライバ23内で「カンマ」が「,」に変換される様になっている。
【0037】
「’」と「”」の場合も同様であり、前記測定器コマンド情報ファイル22上では「シングルコーテーション」及び「ダブルコーテーション」と記述され、前記測定器ドライバ23内で「’」及び「”」に変換される様になっている。
【0038】
又、固定のデバイス出力パラメータのうち、カンマを含む固定のパラメータである「,1,MIDD]が存在し、このパラメータは前記測定器コマンド情報ファイル22上では「カンマ1カンマMIDD」と記述され、前記測定器ドライバ23内で「カンマ」が「,」に変換されて「,1,MIDD]と変換される様になっている。
【0039】
更に、Param4〜Param8に於いて、上位からのデバイス出力パラメータの後に固定のデバイス出力パラメータが存在する場合、例えば周波数を設定する際に単位が「Hz」で固定となる場合には、Param4に「1000」の様な数値のみを記述し、Param5には周波数の単位である「Hz」を記述することで、前記測定器ドライバ23内で「1000Hz」と変換され、更に後述する前記周波数単位ファイル28を基に「1000HZ」と変換される。この様に、周波数を設定する際に固定となる「Hz」を、Param5等の空白の列に別出しすることで、Param4内に記述する内容を少なくすることができる。
【0040】
次に、図5に於いて、前記記憶部15に格納される前記変換用ファイル30について説明する。
【0041】
該変換用ファイル30は、前記出力レベル単位ファイル27、前記周波数単位ファイル28、前記チャネルファイル29の3つのファイルから構成され、前記出力レベル単位ファイル27、前記周波数単位ファイル28、前記チャネルファイル29はそれぞれ変換前列と変換後列を有している。
【0042】
前記変換用ファイル30は、前記試験パラメータファイル19に従って試験を行う際に、変換が必要なデータ(文字列)があれば、前記制御処理部14によりその文字列を検索キーとして前記変換用ファイル30の変換前列が検索され、前記試験パラメータファイル19の文字列が検索された文字列と同じ行の変換後列の文字列に変換される様になっている。
【0043】
前記試験パラメータファイル19と前記測定器コマンド情報ファイル22は、処理タイトル、Param2及びParam3に同様の数値や文字列を記述することで関連づけされている。又、前記測定器コマンド情報ファイル22は、図4中でParam4或はParam5に記述された括弧で括られていないデータ、即ち出力レベル単位、周波数単位、チャネルにそれぞれ同名のファイルである前記出力レベル単位ファイル27、前記周波数単位ファイル28、前記チャネルファイル29と関連づけられており、前記変換用ファイル30と前記試験パラメータファイル19は、変換前列とParam4或はParam5に同様の文字列を記述することで関連づけされている。この関連づけにより前記制御処理部14は、読込んだ前記試験パラメータファイル19を基に前記測定器コマンド情報ファイル22及び前記変換用ファイル30からコマンドデータを生成し、前記ドライバ部17でコマンドデータに対して制御コマンド生成処理が行われることで、前記入出力部16より前記測定器4に制御コマンドを出力できる様になっている。
【0044】
例えば、図3の前記試験パラメータファイル19と、図4の前記測定器コマンド情報ファイル22、図5の前記変換用ファイル30を用いて制御コマンドの生成を行う場合、先ず前記操作表示部18から測定を開始すると、前記制御処理部14により前記試験パラメータファイル19が読込まれる。
【0045】
次に、該試験パラメータファイル19の送受信先名称より、該当する前記測定器情報ファイル21が前記制御処理部14に取得されると共に、Param2のID値及びParam3のキーワードキャラクタを検索キーとして、前記測定器コマンド情報ファイル22が検索される。
【0046】
検索キーにより該測定器コマンド情報ファイル22に記述された処理の一覧の中から1つが選択されると、選択された処理と同じ行に記述されたGPIBコマンドがコマンドデータの先頭にセットされる。更に、前記試験パラメータファイル19のParam4以降の列にデータが記述されている場合には、該データがGPIBコマンドの後ろに追加されることでコマンドデータが生成され、該コマンドデータが前記ドライバ部17に出力される。この時、Param4以降の列に記述されたデータのうち、括弧で括られていないデータに関しては、記述された文字列を検索キーとして、前記変換用ファイル30の変換前列を検索し、各種ファイルの中から該当する行が選択されると、変換前列に記述された文字列から変換後列に記述された文字列へと変換される。
【0047】
前記制御処理部14から出力されたコマンドデータに、「カンマ」、「シングルコーテーション」、「ダブルコーテーション」等の特殊文字を示す文字列が存在した場合には、前記ドライバ部17の前記測定器ドライバ23内でそれぞれ「,」、「’」、「”」等に変換する制御コマンド生成処理が行われ、特殊文字が変換されたコマンドデータが制御コマンドとして前記測定器4に出力される。又、特殊文字を示す文字列、或は変換が必要な文字列が存在しなかった場合には、前記測定器ドライバ23内で変換は行われず、前記制御処理部14から出力されたコマンドデータがそのまま制御コマンドとして前記測定器4に出力される。
【0048】
例えば、図3のNo.3の処理の場合、前記試験パラメータファイル19のParam2のID値である「16」及びParam3のキーワードキャラクタである「FREQ」を検索キーとして、前記測定器コマンド情報ファイル22のNo.10の周波数設定を検索し、GPIBコマンドであるSOUR:FREQをコマンドデータの先頭にセットする。次に、Param5に記述された「Hz」を検索キーとして前記周波数単位ファイル28を検索し、検索された「Hz」と同行にある「HZ」へと変換する。最後に、前記試験パラメータファイル19のParam4に記述された500及びParam5に記述され、前記周波数単位ファイル28を基に変換された「HZ」をGPIBコマンドの後ろに追加することで、SOUR:FREQ△500HZ(△は半角スペース)という制御コマンドが、前記測定器ドライバ23を介して前記測定器4に出力される。
【0049】
又、図3のNo.5の処理の場合、前記試験パラメータファイル19のParam2のID値である「16」及びParam3のキーワードキャラクタである「MEAS_FREQ」を検索キーとして、前記測定器コマンド情報ファイル22のNo.17の周波数測定を検索し、GPIBコマンドであるSENS3:をコマンドデータの先頭にセットする。次に、Param4に記述された「CH1」を検索キーとして前記チャネルファイル29を検索し、検索された「CH1」と同行にある「DATA1」へと変換する。最後に、前記試験パラメータファイル19のParam4に記述され、前記チャネルファイル29を基に変換された「DATA1」及び空白列に記述された「?」をGPIBコマンドの後ろに追加することで、SENS3:DATA1?という制御コマンドが、前記測定器ドライバ23を介して前記測定器4に出力される。
【0050】
次に、上記した制御コマンドの生成処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
先ず前記操作表示部18にて測定開始ボタンを押す等の動作を行うことにより、制御コマンドの生成処理が開始される。
【0052】
STEP:01 生成処理が開始されると、前記制御処理部14により、前記試験パラメータファイル19が一行読込まれる。
【0053】
STEP:02 前記制御処理部14が読込んだ行のうち、処理種別の項目が測定器であるかどうかが判断され、処理種別が測定器ではなかった場合には、この段階で処理を終了する。
【0054】
STEP:03 処理種別が測定器であった場合には、送受信先名称の項目に記述されている前記測定器4の名称を基に、該当する該測定器4の前記測定器情報ファイル21を取得する。
【0055】
STEP:04 該測定器情報ファイル21の取得後、前記制御処理部14によりParam2のID値が「16」であるかどうかが判断される。
【0056】
STEP:05 STEP:04での判断の結果、Param2の値が16であれば、Param2のID値及びParam3の文字列を検索キーとして設定する。
【0057】
STEP:06 STEP:04での判断の結果、Param2の値が16以外であれば、Param2のID値を検索キーとして設定する。
【0058】
STEP:07 STEP:05,STEP:06の検索キーを基に、前記制御処理部14は前記測定器コマンド情報ファイル22よりコマンドデータを生成し、生成したコマンドデータを前記ドライバ部17の前記測定器ドライバ23に出力する。
【0059】
STEP:08 前記制御処理部14より出力されたコマンドデータは、前記測定器ドライバ23によって特殊文字を示す文字列を変換する等の制御コマンド生成処理が行われることで制御コマンドが生成され、制御コマンドの生成処理が終了する。
【0060】
次に、図7のフローチャートを用い、図6のSTEP:07に於けるコマンドデータの生成処理について説明する。
【0061】
STEP:11 STEP:05,STEP:06に於いて決められた検索キーを基に、前記測定器コマンド情報ファイル22に記述された処理の一覧から該当する処理が選択される。
【0062】
STEP:12 該当する処理が選択されると、前記制御処理部14により検索に用いた検索キーがParam2のID値のみか、Param2のID値とParam3の文字列の両方であるかが判断され、Param2のID値のみを検索キーとして用いていた場合には、Param2の値をコマンドデータとすることで、コマンドデータの生成処理を終了する。
【0063】
STEP:13 検索キーとして、Param2の値とParam3の文字列の両方を使用していた場合には、選択された処理の行に記述されたGPIBコマンドを生成するコマンドデータにセットする。
【0064】
STEP:14 GPIBコマンドのセット後、前記制御処理部14が読込んだ前記試験パラメータファイル19の行のParam4以降にデータがあるかどうかが判断され、Param4以降にデータがなかった場合には、セットしたGPIBコマンドをコマンドデータとして生成し、コマンドデータの生成処理を終了する。
【0065】
STEP:15 前記試験パラメータファイル19のParam4以降にデータがあった場合には、そのデータが前記測定器コマンド情報ファイル22に於いて括弧付で記述されているかどうかが判断される。
【0066】
STEP:16 前記測定器コマンド情報ファイル22に於いて括弧付で記述されていない場合には、前記変換用ファイル30の文字列と同名のファイル中から、前記試験パラメータファイル19のParam4以降に記述された文字列を検索キーとして検索を行い、該試験パラメータファイル19の文字列を検索された文字列と同行にある変換後列の文字列に変換する。
【0067】
STEP:17 STEP:15にてParam4以降のデータが括弧付で記述されていると判断された場合には、セットしたGPIBコマンドの後ろに前記試験パラメータファイル19のParam4以降に記述されたデータをそのまま追加し、STEP:15にてParam4以降のデータが括弧付で記述されていないと判断された場合には、STEP:16にて変換された文字列をセットしたGPIBコマンドの後ろに追加し、GPIBコマンドと追加したデータ及び文字列を合わせたものをコマンドデータとすることで、コマンドデータの生成処理を終了する。
【0068】
上記したSTEP:01〜STEP:08及びSTEP:11〜STEP:17の処理を、前記試験パラメータファイル19に記述されている行の数だけ(図3であれば6回)実行することで、処理タイトルに記述された処理に対応した制御コマンドが前記測定器4に出力され、前記被試験器6に対する試験が行われる。
【0069】
上述の様に、本実施例では、試験手順を記述した前記試験パラメータファイル19及び前記測定器4に出力する制御コマンドの基となる前記測定器コマンド情報ファイル22を、前記測定器ドライバ23から分離させ、CSV形式の外部ファイルとして前記記憶部15に格納したので、前記測定器4の仕様変更が発生した際に、制御コマンドの追加や修正が必要となった場合であっても、前記測定器ドライバ23の有するドライバプログラムを変更する必要がなく、前記測定器コマンド情報ファイル22の修正を行うだけで対応することができる。
【0070】
従って、前記測定器4に仕様変更があった場合でも、ドライバプログラムの変更や、測定手順の作成を行わずに済む為、仕様変更によるソフトウェア開発工数の低減が図れると共に、ソフトウェアの品質低下を防止することができる。
【0071】
又、前記測定器4の仕様変更の際の修正は、測定器制御コマンドを記述した前記測定器コマンド情報ファイル22の記述の更新のみで対応することができる為、ソフトウェアのバージョン管理及びソフトウェアの修正規模を最小限に抑えることができる。
【0072】
次に、図8、図9に於いて、本発明の第2の実施例について説明する。尚、第2の実施例に於ける前記システム試験装置1の構成は第1の実施例と同様である為、装置構成に関する説明は省略する。又、制御装置3についても第1の実施例と略同様であるため、基本的な説明は省略する。
【0073】
図8は第2の実施例に於ける前記制御装置3の構成を示すブロック図であり、第2の実施例では、第1の実施例に於いて測定器4(図1参照)の数だけ、即ち記憶部15に外部ファイルとして格納されていた、n個の測定器情報ファイル21を、CSV形式の測定器情報定義ファイル26として一括管理する様になっている。
【0074】
被試験器6(図1参照)に対して試験を行う際には、前記測定器情報定義ファイル26より前記測定器4の制御に関する情報が前記制御処理部14によって取得され、解析されることで、前記測定器情報定義ファイル26に記述された測定器用リモートインターフェイス8の設定情報に基づき、前記測定器4が測定器ドライバ23により制御される。
【0075】
図9に於いて、該測定器情報定義ファイル26の詳細について説明する。
【0076】
該測定器情報定義ファイル26は、前記システム試験装置1にて使用する全ての前記測定器4−1,4−2,・・・,4−nの情報が記述されたファイルであり、コマンド名称、デバイス型式、デバイス名称、リモートインターフェイス、DLL名称等の情報が記述されると共に、リモートインターフェイスの項目に設定したGP−IB通信、LAN通信、RS−232C通信について、GP−IBアドレス等のGP−IB制御を行う為の通信設定データ、IPアドレス等のLAN制御を行う為の通信設定データ、ポート番号等のシリアル制御を行う為の通信設定データの何れかを記述することにより、前記測定器4−1,4−2,・・・,4−nの情報が網羅される様になっている。
【0077】
図9中、コマンド名称は前記測定器4を識別する為の名称を示し、デバイス型式は前記測定器4の型式を示し、デバイス名称は前記システム試験装置1にて操作表示部18に表示される前記測定器4の名称を示し、リモートインターフェイスはGP−IBやLAN、RS−232C等の通信規格に対応した前記測定器4の測定器用リモートインターフェイス8(図1参照)を示し、DLL名称は測定器ドライバ23の名称を示している。
【0078】
例えば、No.3の場合であれば、コマンド名称がBUSCOM、デバイス名称が計算機(データ変換部)、リモートインターフェイスがLAN、DLL名称がAであることを示しており、No.14の場合であれば、コマンド名称がMODUL、デバイス名称が位置検波器、リモートインターフェイスがGP−IB、DLL名称がC又はcであることを示している。
【0079】
又、各種情報が記述された行の下段の行には、リモートインターフェイスでの通信設定データが記述される。
【0080】
例えば、No.3のBUSCOMの場合であれば、LANの設定項目であるサーバIPアドレスやサーバポート番号等の通信設定情報が定義されると共に、GP−IBの設定項目であるGPIB1次アドレス、GPIB2次アドレス等の通信設定情報が定義され、No.14のMODULの場合であれば、GP−IBの設定項目であるGPIB1次アドレス、GPIB2次アドレス等の通信設定情報が定義されている。
【0081】
又、前記測定器情報定義ファイル26の中には、先頭列に「***」が記述されているものがあり、先頭列に「***」が記述されている行はコメントデータとして扱われる為、試験が行われる際に前記制御処理部14によって行の内容が読込まれない様になっている。
【0082】
例えば、No.14のMODULのリモートインターフェイスをLANに変更する場合には、リモートインターフェイスの項目をGP−IBからLANに修正し、各種情報の下の行に、サーバIPアドレスやサーバポート番号等のLANの通信設定データを挿入することで、MODULに対するリモートインターフェイスの変更が完了する。
【0083】
この時、LANの通信設定データをNo.17に記述されたGP−IBの通信設定データの下の行に挿入し、No.17の先頭列に「***」と記述することで、GP−IBの通信設定データがコメントデータとして扱われ、試験実行時に読込まれることがなくなるので、GP−IBの通信設定を削除することなくリモートインターフェイスの通信設定データを変更することができる。
【0084】
又、MODULのリモートインターフェイスをLANからGP−IBに再び変更する場合には、MODULのリモートインターフェイスの項目をGP−IBに変更し、LANの通信設定データの先頭列に「***」と記述し、更にGP−IBの通信設定データの先頭列に記述された「***」を削除することで、MODULのリモートインターフェイスがLANからGP−IBに変更される。
【0085】
上述の様に、前記測定器情報定義ファイル26の先頭列に空白列を挿入し、該空白列に「***」を記述することで該当する行をコメントデータとして扱う様にしたので、前記測定器4を制御するリモートインターフェイスを変更し、再び元に戻す際の作業量を大幅に低減させることができる。
【0086】
又、前記測定器4の情報を、前記記憶部15に格納したCSV形式の前記測定器情報定義ファイル26として一括管理し、該測定器情報定義ファイル26にリモートインターフェイスを定義する様にしたので、試験実行時に前記測定器4の制御を行うリモートインターフェイスが変更になった場合には、前記測定器情報定義ファイル26のリモートインターフェイスの部分を変更するだけでよく、又GP−IBアドレス等のリモートインターフェイスの通信設定データを変更する場合でも、該当するデータを更新するだけで対応が可能となる。
【0087】
従って、リモートインターフェイスを変更する際に、前記測定器ドライバ23内のドライバプログラムを修正する必要がなく、又変更したリモートインターフェイスに対応するドライバを新たに作成する必要がないので、仕様変更によるソフトウェア開発工数の低減が図れると共に、ソフトウェアの品質低下を防止することができ、更にソフトウェアのバージョン管理及びソフトウェアの修正規模を最小限に抑えることができる。
【0088】
尚、第2の実施例に第1の実施例を併合することで、リモートインターフェイスの変更と共に制御コマンドの変更及び修正も外部ファイルによって行え、前記測定器4の仕様変更への対応がより容易となるのは言う迄もない。
【0089】
(付記)
又、本発明は以下の実施の態様を含む。
【0090】
(付記1)リモートインターフェイスにより複数の測定器を制御しながら被試験器に対して試験を行う制御装置を有するシステム試験装置であって、前記制御装置は前記リモートインターフェイスの通信設定等全ての前記測定器の情報が定義された測定器情報定義ファイルが格納された記憶部を有し、前記測定器情報定義ファイルにて前記リモートインターフェイスの定義を変更することで、前記測定器を制御する前記リモートインターフェイスが変更されることを特徴とするシステム試験装置。
【符号の説明】
【0091】
1 システム試験装置
3 制御装置
4 測定器
6 被試験器
8 測定器用リモートインターフェイス
14 制御処理部
15 記憶部
17 ドライバ部
18 操作表示部
19 試験パラメータファイル
22 測定器コマンド情報ファイル
23 測定器ドライバ
26 測定器情報定義ファイル
30 変換用ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験を統括処理する制御処理部及び、試験の手順が記述された試験パラメータファイルと、該試験パラメータファイルに関連づけされ、測定器に対して行われる処理と処理に対応した制御コマンドの基となるGPIBコマンドの一覧が記述された測定器コマンド情報ファイルとが格納された記憶部を具備し、前記制御処理部は前記試験パラメータファイルを解析し、解析した結果に対応する処理を前記測定器コマンド情報ファイルから選択し、選択された処理に対応する前記制御コマンドを生成することを特徴とするシステム試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−191116(P2011−191116A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55933(P2010−55933)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】