シミュレーション方法及びシミュレーション装置
【課題】高精度にタイヤの変形状態を解析する。
【解決手段】本発明は、タイヤモデル1を設定するステップS101と、タイヤモデル1を構成するベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して材料定数を設定するステップS102と、タイヤモデル1を用いたシミュレーションによって評価値を算出するステップS103とを有し、ステップS101において、ベルト層モデル2で、センター領域Aにおける補強コードの軸方向DAとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度を、ショルダー領域B、Cにおける補強コードの軸方向DB、DCとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度よりも小さくなるように設定し、ステップS102において、プライ層モデル3の補強コードの軸方向DA〜DCにおける歪が所定閾値よりも小さい範囲で材料定数としてプライ層モデル3に対して設定すべき補強コードの軸方向DA〜DCにおける弾性率を変化させる。
【解決手段】本発明は、タイヤモデル1を設定するステップS101と、タイヤモデル1を構成するベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して材料定数を設定するステップS102と、タイヤモデル1を用いたシミュレーションによって評価値を算出するステップS103とを有し、ステップS101において、ベルト層モデル2で、センター領域Aにおける補強コードの軸方向DAとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度を、ショルダー領域B、Cにおける補強コードの軸方向DB、DCとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度よりも小さくなるように設定し、ステップS102において、プライ層モデル3の補強コードの軸方向DA〜DCにおける歪が所定閾値よりも小さい範囲で材料定数としてプライ層モデル3に対して設定すべき補強コードの軸方向DA〜DCにおける弾性率を変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション方法及びシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤモデルを用いたシミュレーション方法によって、タイヤの内圧充填時や荷重負荷時における変形状態を解析する技術が知られている。
【0003】
かかるシミュレーション方法において、タイヤモデルを構成する補強材モデルの引張側及び圧縮側に対して異なる材料定数を与える技術が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-94916号公報
【特許文献2】特開2004-102424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、タイヤのたわみ量やコーナーリングパワーについて解析しているが、タイヤのトレッド部やサイド部の変形量について考慮していない。
【0006】
したがって、従来技術を用いて解析を行うと、タイヤに内圧を充填した場合のトレッド部の変形量やランフラットタイヤにおいて内圧を充填せずに荷重を負荷した場合のサイド部の変形量が実測値と一致しないため、かかる解析によって得られる歪や応力等の評価値も実測値と一致せず、その結果、かかる評価値によって決定される耐久性能や転がり抵抗等の性能が実測値と一致せず、かかる解析を実際の製品設計に用いることができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、高精度にタイヤの変形状態を解析することができるシミュレーション方法及びシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、シミュレーション方法であって、タイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップと、前記タイヤモデルを構成するベルト層モデル及びプライ層モデルに対して材料定数を設定する材料定数設定ステップと、前記タイヤモデルを用いたシミュレーションによって、評価値を算出する評価値算出ステップとを有し、前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における補強コードの軸方向と前記タイヤモデルの周方向とがなす角度を、該ベルト層モデルのショルダー領域における該補強コードの軸方向と該タイヤモデルの周方向とがなす角度よりも小さくなるように設定し、前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が所定閾値よりも小さい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を変化させることを要旨とする。
【0009】
本発明の第1の特徴の前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が前記所定閾値よりも大きい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を一定にしてもよい。
【0010】
本発明の第1の特徴の前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における単位幅あたりの補強コードの数を、該ベルト層モデルのショルダー領域における単位幅あたりの該補強コードの数よりも多くするように設定してもよい。
【0011】
本発明の第2の特徴は、シミュレーション装置であって、上述のシミュレーション方法を実行することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、高精度にタイヤの変形状態を解析することができるシミュレーション方法及びシミュレーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法について示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となるタイヤについて説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられるタイヤモデルの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられるタイヤモデルの一例を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられる補強材モデルの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられる補強材モデルの一例を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられる補強材モデルに対して設定される材料定数の一例を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の引張及び圧縮特性の一例を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の引張及び圧縮特性の一例を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となるタイヤの内圧充填時における変形について説明するための図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法により得られた内圧充填時におけるトレッド部のタイヤ半径方向の変形量について示すグラフである。
【図17】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法により得られた内圧充填時におけるトレッド部のタイヤ半径方向の変形量について示すグラフである。
【図18】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法を実行するためのコンピュータ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図17を参照して、本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法について説明する。
【0015】
図1に示すように、ステップS101において、タイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデル1を設定する。図2に、本実施形態に係るシミュレーション方法の対象となるタイヤ10の一例を示し、図3に、設定されたタイヤモデル1の斜視図を示し、図4に、かかるタイヤモデル1の断面図を示す。
【0016】
例えば、タイヤモデル1は、有限要素法(FEM:Fenite Element Method)に対応した要素分割、すなわち、メッシュ分割によってタイヤ10を複数の要素に分割することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものである。
【0017】
例えば、図3及び図4に示すように、トレッド部10Aやサイド部10B等のゴム部材やビードワイヤ10C等は、ソリッド要素1A、1B、1Cとしてモデル化されてもよい。
【0018】
また、図2に示すように、補強材には、ベルト20A及び補強コード20Bによって構成されるベルト層20、及び、プライ30A及び補強コード30Bによって構成されるプライ層30が含まれている。
【0019】
例えば、ベルト20A及びプライ30Aは、ゴム部材によって構成されており、補強コード20B、30Bは、複数本のフィラメントからなるスチールコードである。
【0020】
ここで、図3乃至図5に示すように、ベルト層20やプライ層30等の補強材は、等価な剛性を持つ異方性ソリッド要素や膜要素やシェル要素2、3としてモデル化されてもよい。
【0021】
すなわち、ベルト20A及び補強コード20Bによって構成されるベルト層20やプライ30A及び補強コード30Bによって構成されるプライ層30といった複合材層のそれぞれを均一な要素としてモデル化してもよい。
【0022】
このように、補強材をモデル化することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものを「補強材モデル」と呼ぶ。具体的には、ベルト層20をモデル化することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものを「ベルト層モデル2」と呼び、プライ層30をモデル化することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものを「プライ層モデル3」と呼ぶ。
【0023】
ここで、図6に示すように、かかる補強材モデルにおいて、センター領域Aにおける補強コードの軸方向DAとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度を、ショルダー領域B、Cにおける補強コードの軸方向DB、DCとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度よりも小さくなるように設定してもよい。
【0024】
例えば、ベルト層モデル2において、センター領域Aにおける補強コードの軸方向DAとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度を、ショルダー領域B、Cにおける補強コードの軸方向DB、DCとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度よりも小さくなるように設定してもよい。
【0025】
また、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3において、センター領域Aにおける単位幅あたりの補強コードの数を、ショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コードの数と変えるように設定してもよい。
【0026】
例えば、ベルト層モデル2において、センター領域Aにおける単位幅あたりの補強コード20Bの数を、ベルト層モデル2のショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コード20Bの数よりも多くするように設定してもよい。
【0027】
また、プライ層モデル3において、センター領域Aにおける単位幅あたりの補強コード30Bの数を、ショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コード30Bの数よりも少なくするように設定してもよい。
【0028】
このようにモデル化することによって、ショルダー領域B、Cにおけるタイヤ10の周方向の剛性が低下し、内圧充填時におけるトレッド部10Aの変形量が多くなり、実測値により近くなる。
【0029】
ステップS102において、タイヤモデル1を構成する補強材モデル、すなわち、ステップS101において設定されたベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、材料定数を設定する。以下、かかる補強材モデルに対して設定すべき材料定数、特に、補強コードの軸方向における弾性率(ヤング率)について検討する。
【0030】
第1に、図7を参照して、一般的な補強材、特に、一方向繊維強化材において考慮すべき材料定数の一例について説明する。
【0031】
図7において、「L」は、補強コードの軸方向であり、「T」は、補強コードの垂直方向であり、「Vf」は、補強材20、30における補強コード20B、30Bの体積分率であり、「Vm」は、補強材20、30におけるゴム部材(例えば、ベルト20Aやプライ30A等)の体積分率である。
【0032】
また、「Ef」は、補強コード20B、30Bのヤング率であり、「EL」は、補強コード20B、30Bの軸方向における補強材20、30のヤング率であり、「ET」は、補強コード20B、30Bの垂直方向における補強材20、30のヤング率であり、「Em」は、ゴム部材のヤング率である。
【0033】
「νf」は、補強コード20B、30Bのポアソン比であり、「νm」は、ゴム部材のポアソン比であり、「Gf」は、補強コード20B、30Bのせん断剛性であり、「Gm」は、ゴム部材のせん断剛性であり、「GLT」は、補強材20、30のせん断剛性である。
【0034】
なお、「Vf」、「Vm」、「Ef」、「EL」、「ET」、「Em」、「νm」、「Gf」、「Gm」及び「GLT」の関係は、図7に示すとおりである。
【0035】
第2に、図8乃至図14を参照して、かかる補強材、特に、一方向繊維強化材の引張及び圧縮特性の一例について説明する。
【0036】
図8に、かかる補強材の一種である「ゴム-レーヨン繊維一方向強化材」の引張及び圧縮特性の一例を示し、図9に、かかる補強材の一種である「ゴム-ナイロン繊維一方向強化材」の引張及び圧縮特性の一例を示す。ここで、図8は、「複合材料技術集成、複合材料技術集成編集員会編、産業技術センター、1976」の「図4.37 ゴム-レーヨン繊維一方向強化材の引張りおよび圧縮特性」から引用したものであり、図9は、「複合材料技術集成、複合材料技術集成編集員会編、産業技術センター、1976」の「図4.38 ゴム-ナイロン繊維一方向強化材の引張りおよび圧縮特性」から引用したものである。
【0037】
図8及び図9に示すように、上述の補強材が引っ張られた場合の剛性(補強材の引張剛性)は、かかる補強材に含まれる補強コードのヤング率(引張剛性)に応じた剛性となるが、上述の補強材が圧縮された場合の剛性(補強材の圧縮剛性)は、撚られている補強コードがほぐれること及び補強コードの圧縮剛性が低いことから、上述の補強材の引張剛性と比べて大きく低下する。
【0038】
また、図8及び図9に示すように、通常、補強コードの軸方向における補強材の歪が大きい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、ほぼ一定であるが、補強コードの軸方向における補強材の歪が小さい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、徐々に変化している。
【0039】
図10乃至図14に、補強コードの軸方向における補強材の弾性率の特性について例示する。
【0040】
図10乃至図14の例に示すように、補強コードの軸方向における補強材の歪が所定閾値(1%)よりも大きい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、ほぼ一定である。
【0041】
また、図10の例では、補強コードの軸方向における補強材の歪が所定閾値(1%)よりも小さい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、線形に変化する。
【0042】
一方、図11乃至図14の例では、補強コードの軸方向における補強材の歪が所定閾値(1%)よりも小さい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、非線形(滑らか)に変化する。
【0043】
また、補強コードやゴム部材の材料や補強コードの数によって、図12に示すように、補強コードの軸方向における補強材の弾性率が変化する範囲が広くなったり、図13に示すように、補強コードの軸方向における補強材の弾性率が変化する範囲が狭くなったりする。
【0044】
さらに、タイヤ内部におけるタイヤ成型から加硫までの拡張や、加硫時等の熱収縮等の影響で、図14に示すように、補強コードの軸方向における補強材の弾性率が変化する範囲の中心が「歪=0」からずれる場合がある。
【0045】
第3に、図15を参照して、タイヤ10の内圧充填時における変形について説明する。
【0046】
図15に示すように、タイヤ10に内圧を充填する場合、ベルト層20は、タイヤ10の周方向D1に伸張し、ベルト層20の幅方向D2に収縮し、プライ層30は、プライ層30の幅方向D2に収縮する。
【0047】
すなわち、タイヤ10に内圧を充填する場合のトレッド部10Aの変形量は、ベルト層20の剛性だけではなく、プライ層30の幅方向における剛性に基づいて決定される。
【0048】
また、プライ層30の幅方向D2における収縮量は、ベルト層20の幅方向D2における収縮量に基づいて変化するため、ベルト層20の剛性や補強コード20Bの角度等に基づいて決定される。
【0049】
一方、タイヤ10に内圧を充填する場合、サイド部10Bは、タイヤ10の幅方向に膨出する。かかるサイド部10Bの変形は、プライ層30において発生している引張方向の変形の影響を受ける。すなわち、かかるサイド部10Bの変形は、プライ層30の幅方向における剛性に基づいて決定される。
【0050】
すなわち、タイヤ10に内圧を充填する場合のトレッド部10A及びサイド部10Bを含むタイヤ10全体の変形を精度良く予測するためには、プライ層30の引張剛性及び圧縮剛性についても考慮する必要がある。
【0051】
以上の図7乃至図15の内容を考慮して、ステップS102において、補強材モデル、すなわち、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、材料定数、特に、補強コード20、30の軸方向における弾性率(ヤング率)を設定する。
【0052】
例えば、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、材料定数として、上述した「Vf」や「Vm」や「Ef」や「EL」や「ET」や「Em」や「νm」や「Gf」や「Gm」や「GLT」の一部又は全部を設定してもよい。
【0053】
具体的には、ステップS102において、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定すべき補強コード20、30の軸方向における弾性率を、補強コード20、30の軸方向におけるベルト層モデル2及びプライ層モデル3の歪が所定閾値よりも小さい範囲で変化させる。
【0054】
なお、上述の歪が大きい範囲において、補強コード20、30の軸方向における弾性率の変化を一定にすることで、非線形計算を行う部分を減らすことができ、計算コストを低減することができ、計算が収束しやすくなり、また、モデル化を容易にすることができる。
【0055】
ここで、ステップS102において、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、補強コード20、30の配置や方向を考慮して、複数の弾性率を設定してもよい。
【0056】
その後、ステップS103において、上述のタイヤモデル1を用いたシミュレーションによって、例えば、有限要素法によって、評価値(例えば、タイヤモデル1の各部の変形量等)を算出する。
【0057】
第1に、図16を参照して、タイヤモデルとして「初期モデル」、「バイリニア」及び「バイリニア調整」のそれぞれを用いた場合のシミュレーション結果(タイヤ10の内圧充填時におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量)を、実測値と比較する。
【0058】
実測値は、レーザーを用いて、タイヤ10の内圧充填時におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量を、トレッド部10Aの幅方向に渡って測定した結果を示す。
【0059】
「初期モデル」は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を変化させず、補強コード20B、30Bを線形弾性体としてモデル化したタイヤモデルである。
【0060】
「バイリニア」は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定すべき補強コードの軸方向における弾性率を変化させたタイヤモデルである。
【0061】
ここで、「バイリニア」では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が大きい範囲では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を一定にした。なお、補強材モデル2、3が引っ張られた場合の弾性率の方が、補強材モデル2、3が圧縮された場合の弾性率よりも高くなるように設定する。
【0062】
また、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が小さい範囲では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を滑らかに変化させた。ここで、かかる歪が小さい範囲は、歪が「−0.2%」〜「+0.2%」までの範囲とした。
【0063】
「バイリニア調整」は、プライ層30の幅方向の位置0、つまり、プライ層30のセンター領域Aに対応するトレッド部10Aの変形量がプライ層30のショルダー領域B、Cに対応するトレッド部10Aの変形量よりも小さくなるように、プライ層30に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率が変化する範囲を調整した。
【0064】
具体的には、プライ層30の幅方向30mmのセンター領域Aにおいて弾性率が変化する歪の範囲を「−0.4%」から「+0.2%」の範囲まで広げた。
【0065】
なお、「バイリニア調整」では、ベルト層20については「バイリニア」と同様にモデル化した。
【0066】
この結果、「バイリニア調整」におけるセンター領域Aにおけるトレッド部10Aの変位量とショルダー領域B、C部におけるトレッド部10Aの変形量との比は、(表1)に示すように、実測値に近くなった。
【表1】
【0067】
第2に、図17を参照して、タイヤモデルとして「初期モデル」、「バイリニア調整」、「ベルト角度」及び「両方」のそれぞれを用いた場合のシミュレーション結果(タイヤ10の内圧充填時におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量)を、実測値と比較する。
【0068】
「ベルト角度」は、タイヤ10の断面におけるベルト半径Rの変化を考慮して「初期モデル」を改良したタイヤモデルである。「ベルト角度」では、「cosθ/R=一定」とした。ここで、「θ」は、ベルト層20における補強コード20Bの軸方向とタイヤ10の周方向とがなす角度(すなわち、ベルト角度)であり、「R」は、タイヤ10の断面におけるベルト半径である。
【0069】
「両方」は、「バイリニア調整」と「ベルト角度」とを組み合わせたタイヤモデルである。
【0070】
この結果、「両方」では、(表2)に示すように、ベルト層20のセンター領域A付近でのタイヤ10の周方向への伸びを精度良く予測できると共に、プライ層30の圧縮時における弾性率の変化について精度良くモデル化することができ、より大きな改善効果を奏することができる。
【表2】
【0071】
なお、図18に示すように、本実施形態に係るシミュレーション方法を実行するシミュレーション装置は、コンピュータ装置によって実現されてもよいし、かかるコンピュータ装置のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0072】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0073】
本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法によれば、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を変化させることによって、高精度にタイヤの変形状態を解析することができる。
【0074】
(比較評価)
次に、本発明の効果を更に明確にするために、タイヤモデルとして従来モデル1、2及び本発明に係る新モデル1乃至3を用いたシミュレーション方法によって算出された評価値を、実測値と比較して評価した結果について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0075】
本比較評価では、リムサイズ8J×18のホイールモデル2に乗用車用のタイヤサイズ235/45R18のタイヤモデル1を組み付けて、内圧230kPaを充填し、トレッド部10Aの形状を計測した後、内圧を0kPaとして、再び、トレッド部10Aの形状を計測した。
【0076】
そして、2つのトレッド部10Aの形状を計測結果の差分を取り、内圧充填字におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量を算出した。
【0077】
ここで、かかる比較評価に用いられたタイヤ10のベルト層20の構造は、2枚のスチール交錯にキャップ及びレイヤーが加えられたものである。
【0078】
すなわち、上述のシミュレーション方法では、内圧0kPaの状態のタイヤ10Aの断面形状に基づいて、FEM用のタイヤモデル1を作成し、かかるタイヤモデル1に対して内圧230kPaを充填する解析を行った。
【0079】
従来モデル1は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向の弾性率として、材料試験(引張試験)によって算出された値が使用されたタイヤモデルである。
【0080】
従来モデル2は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向の弾性率のうち、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が引っ張られた場合の弾性率として材料試験(引張試験)によって算出された値が使用され、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が圧縮された場合の弾性率として材料試験(圧縮試験)によって算出された値が使用されたタイヤモデルである。
【0081】
なお、従来モデル2では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が「−0.2%」から「+0.2%」までの範囲で、かかる弾性率を、非線形に(滑らかに)変化するように設定した。
【0082】
新モデル1は、従来モデル2と同様に、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向の弾性率のうち、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が引っ張られた場合の弾性率として材料試験(引張試験)によって算出された値が使用され、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が圧縮された場合の弾性率として材料試験(圧縮試験)によって算出された値が使用されたタイヤモデルである。
【0083】
なお、新モデル1では、ベルト層モデル2の補強コードの軸方向における歪が「−0.2%」から「+0.2%」までの範囲で、ベルト層モデル2の補強コードの軸方向における弾性率を、非線形に(滑らかに)変化するように設定し、プライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が「−0.4%」から「+0.2%」までの範囲で、プライ層モデル3の補強コードの軸方向における弾性率を、非線形に(滑らかに)変化するように設定した。
【0084】
新モデル2は、新モデル1の内容に加えて、ベルト層モデル2のセンター領域A(全体の2/3)におけるベルト角度よりも、ショルダー領域B、Cにおけるベルト角度を2°大きくしたタイヤモデルである。
【0085】
新モデル3は、新モデル2の内容に加えて、ベルト層モデル2のセンター領域A(全体の3/4)における単位幅あたりの補強コードの数よりも、ショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コードの数を10%減らしたタイヤモデルである。
【0086】
(表3)に、各タイヤモデルについて、センター領域Aにおけるトレッド部10Aの最大変形量とショルダー領域B、Cにおけるトレッド部10Aの最大変形量の差分、及び、ベルト層の端部におけるトレッド部10Aの変形量を示す。
【表3】
【0087】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0088】
1…タイヤモデル、2…ベルト層モデル、3…プライ層モデル、A…センター領域、B、C…ショルダー領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション方法及びシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤモデルを用いたシミュレーション方法によって、タイヤの内圧充填時や荷重負荷時における変形状態を解析する技術が知られている。
【0003】
かかるシミュレーション方法において、タイヤモデルを構成する補強材モデルの引張側及び圧縮側に対して異なる材料定数を与える技術が、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-94916号公報
【特許文献2】特開2004-102424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、タイヤのたわみ量やコーナーリングパワーについて解析しているが、タイヤのトレッド部やサイド部の変形量について考慮していない。
【0006】
したがって、従来技術を用いて解析を行うと、タイヤに内圧を充填した場合のトレッド部の変形量やランフラットタイヤにおいて内圧を充填せずに荷重を負荷した場合のサイド部の変形量が実測値と一致しないため、かかる解析によって得られる歪や応力等の評価値も実測値と一致せず、その結果、かかる評価値によって決定される耐久性能や転がり抵抗等の性能が実測値と一致せず、かかる解析を実際の製品設計に用いることができないという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、高精度にタイヤの変形状態を解析することができるシミュレーション方法及びシミュレーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、シミュレーション方法であって、タイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップと、前記タイヤモデルを構成するベルト層モデル及びプライ層モデルに対して材料定数を設定する材料定数設定ステップと、前記タイヤモデルを用いたシミュレーションによって、評価値を算出する評価値算出ステップとを有し、前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における補強コードの軸方向と前記タイヤモデルの周方向とがなす角度を、該ベルト層モデルのショルダー領域における該補強コードの軸方向と該タイヤモデルの周方向とがなす角度よりも小さくなるように設定し、前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が所定閾値よりも小さい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を変化させることを要旨とする。
【0009】
本発明の第1の特徴の前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が前記所定閾値よりも大きい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を一定にしてもよい。
【0010】
本発明の第1の特徴の前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における単位幅あたりの補強コードの数を、該ベルト層モデルのショルダー領域における単位幅あたりの該補強コードの数よりも多くするように設定してもよい。
【0011】
本発明の第2の特徴は、シミュレーション装置であって、上述のシミュレーション方法を実行することを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、高精度にタイヤの変形状態を解析することができるシミュレーション方法及びシミュレーション装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法について示すフローチャートである。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となるタイヤについて説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられるタイヤモデルの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられるタイヤモデルの一例を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられる補強材モデルの一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられる補強材モデルの一例を示す平面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法で用いられる補強材モデルに対して設定される材料定数の一例を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の引張及び圧縮特性の一例を示すグラフである。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の引張及び圧縮特性の一例を示すグラフである。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となる補強材の補強コードの軸方向における弾性率の一例を説明するための図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法の対象となるタイヤの内圧充填時における変形について説明するための図である。
【図16】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法により得られた内圧充填時におけるトレッド部のタイヤ半径方向の変形量について示すグラフである。
【図17】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法により得られた内圧充填時におけるトレッド部のタイヤ半径方向の変形量について示すグラフである。
【図18】本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法を実行するためのコンピュータ装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至図17を参照して、本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法について説明する。
【0015】
図1に示すように、ステップS101において、タイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデル1を設定する。図2に、本実施形態に係るシミュレーション方法の対象となるタイヤ10の一例を示し、図3に、設定されたタイヤモデル1の斜視図を示し、図4に、かかるタイヤモデル1の断面図を示す。
【0016】
例えば、タイヤモデル1は、有限要素法(FEM:Fenite Element Method)に対応した要素分割、すなわち、メッシュ分割によってタイヤ10を複数の要素に分割することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものである。
【0017】
例えば、図3及び図4に示すように、トレッド部10Aやサイド部10B等のゴム部材やビードワイヤ10C等は、ソリッド要素1A、1B、1Cとしてモデル化されてもよい。
【0018】
また、図2に示すように、補強材には、ベルト20A及び補強コード20Bによって構成されるベルト層20、及び、プライ30A及び補強コード30Bによって構成されるプライ層30が含まれている。
【0019】
例えば、ベルト20A及びプライ30Aは、ゴム部材によって構成されており、補強コード20B、30Bは、複数本のフィラメントからなるスチールコードである。
【0020】
ここで、図3乃至図5に示すように、ベルト層20やプライ層30等の補強材は、等価な剛性を持つ異方性ソリッド要素や膜要素やシェル要素2、3としてモデル化されてもよい。
【0021】
すなわち、ベルト20A及び補強コード20Bによって構成されるベルト層20やプライ30A及び補強コード30Bによって構成されるプライ層30といった複合材層のそれぞれを均一な要素としてモデル化してもよい。
【0022】
このように、補強材をモデル化することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものを「補強材モデル」と呼ぶ。具体的には、ベルト層20をモデル化することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものを「ベルト層モデル2」と呼び、プライ層30をモデル化することによって、コンピュータ装置によって取り扱い可能な形式に数値化されたものを「プライ層モデル3」と呼ぶ。
【0023】
ここで、図6に示すように、かかる補強材モデルにおいて、センター領域Aにおける補強コードの軸方向DAとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度を、ショルダー領域B、Cにおける補強コードの軸方向DB、DCとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度よりも小さくなるように設定してもよい。
【0024】
例えば、ベルト層モデル2において、センター領域Aにおける補強コードの軸方向DAとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度を、ショルダー領域B、Cにおける補強コードの軸方向DB、DCとタイヤモデル1の周方向D1とがなす角度よりも小さくなるように設定してもよい。
【0025】
また、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3において、センター領域Aにおける単位幅あたりの補強コードの数を、ショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コードの数と変えるように設定してもよい。
【0026】
例えば、ベルト層モデル2において、センター領域Aにおける単位幅あたりの補強コード20Bの数を、ベルト層モデル2のショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コード20Bの数よりも多くするように設定してもよい。
【0027】
また、プライ層モデル3において、センター領域Aにおける単位幅あたりの補強コード30Bの数を、ショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コード30Bの数よりも少なくするように設定してもよい。
【0028】
このようにモデル化することによって、ショルダー領域B、Cにおけるタイヤ10の周方向の剛性が低下し、内圧充填時におけるトレッド部10Aの変形量が多くなり、実測値により近くなる。
【0029】
ステップS102において、タイヤモデル1を構成する補強材モデル、すなわち、ステップS101において設定されたベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、材料定数を設定する。以下、かかる補強材モデルに対して設定すべき材料定数、特に、補強コードの軸方向における弾性率(ヤング率)について検討する。
【0030】
第1に、図7を参照して、一般的な補強材、特に、一方向繊維強化材において考慮すべき材料定数の一例について説明する。
【0031】
図7において、「L」は、補強コードの軸方向であり、「T」は、補強コードの垂直方向であり、「Vf」は、補強材20、30における補強コード20B、30Bの体積分率であり、「Vm」は、補強材20、30におけるゴム部材(例えば、ベルト20Aやプライ30A等)の体積分率である。
【0032】
また、「Ef」は、補強コード20B、30Bのヤング率であり、「EL」は、補強コード20B、30Bの軸方向における補強材20、30のヤング率であり、「ET」は、補強コード20B、30Bの垂直方向における補強材20、30のヤング率であり、「Em」は、ゴム部材のヤング率である。
【0033】
「νf」は、補強コード20B、30Bのポアソン比であり、「νm」は、ゴム部材のポアソン比であり、「Gf」は、補強コード20B、30Bのせん断剛性であり、「Gm」は、ゴム部材のせん断剛性であり、「GLT」は、補強材20、30のせん断剛性である。
【0034】
なお、「Vf」、「Vm」、「Ef」、「EL」、「ET」、「Em」、「νm」、「Gf」、「Gm」及び「GLT」の関係は、図7に示すとおりである。
【0035】
第2に、図8乃至図14を参照して、かかる補強材、特に、一方向繊維強化材の引張及び圧縮特性の一例について説明する。
【0036】
図8に、かかる補強材の一種である「ゴム-レーヨン繊維一方向強化材」の引張及び圧縮特性の一例を示し、図9に、かかる補強材の一種である「ゴム-ナイロン繊維一方向強化材」の引張及び圧縮特性の一例を示す。ここで、図8は、「複合材料技術集成、複合材料技術集成編集員会編、産業技術センター、1976」の「図4.37 ゴム-レーヨン繊維一方向強化材の引張りおよび圧縮特性」から引用したものであり、図9は、「複合材料技術集成、複合材料技術集成編集員会編、産業技術センター、1976」の「図4.38 ゴム-ナイロン繊維一方向強化材の引張りおよび圧縮特性」から引用したものである。
【0037】
図8及び図9に示すように、上述の補強材が引っ張られた場合の剛性(補強材の引張剛性)は、かかる補強材に含まれる補強コードのヤング率(引張剛性)に応じた剛性となるが、上述の補強材が圧縮された場合の剛性(補強材の圧縮剛性)は、撚られている補強コードがほぐれること及び補強コードの圧縮剛性が低いことから、上述の補強材の引張剛性と比べて大きく低下する。
【0038】
また、図8及び図9に示すように、通常、補強コードの軸方向における補強材の歪が大きい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、ほぼ一定であるが、補強コードの軸方向における補強材の歪が小さい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、徐々に変化している。
【0039】
図10乃至図14に、補強コードの軸方向における補強材の弾性率の特性について例示する。
【0040】
図10乃至図14の例に示すように、補強コードの軸方向における補強材の歪が所定閾値(1%)よりも大きい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、ほぼ一定である。
【0041】
また、図10の例では、補強コードの軸方向における補強材の歪が所定閾値(1%)よりも小さい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、線形に変化する。
【0042】
一方、図11乃至図14の例では、補強コードの軸方向における補強材の歪が所定閾値(1%)よりも小さい範囲では、補強コードの軸方向における補強材の弾性率は、非線形(滑らか)に変化する。
【0043】
また、補強コードやゴム部材の材料や補強コードの数によって、図12に示すように、補強コードの軸方向における補強材の弾性率が変化する範囲が広くなったり、図13に示すように、補強コードの軸方向における補強材の弾性率が変化する範囲が狭くなったりする。
【0044】
さらに、タイヤ内部におけるタイヤ成型から加硫までの拡張や、加硫時等の熱収縮等の影響で、図14に示すように、補強コードの軸方向における補強材の弾性率が変化する範囲の中心が「歪=0」からずれる場合がある。
【0045】
第3に、図15を参照して、タイヤ10の内圧充填時における変形について説明する。
【0046】
図15に示すように、タイヤ10に内圧を充填する場合、ベルト層20は、タイヤ10の周方向D1に伸張し、ベルト層20の幅方向D2に収縮し、プライ層30は、プライ層30の幅方向D2に収縮する。
【0047】
すなわち、タイヤ10に内圧を充填する場合のトレッド部10Aの変形量は、ベルト層20の剛性だけではなく、プライ層30の幅方向における剛性に基づいて決定される。
【0048】
また、プライ層30の幅方向D2における収縮量は、ベルト層20の幅方向D2における収縮量に基づいて変化するため、ベルト層20の剛性や補強コード20Bの角度等に基づいて決定される。
【0049】
一方、タイヤ10に内圧を充填する場合、サイド部10Bは、タイヤ10の幅方向に膨出する。かかるサイド部10Bの変形は、プライ層30において発生している引張方向の変形の影響を受ける。すなわち、かかるサイド部10Bの変形は、プライ層30の幅方向における剛性に基づいて決定される。
【0050】
すなわち、タイヤ10に内圧を充填する場合のトレッド部10A及びサイド部10Bを含むタイヤ10全体の変形を精度良く予測するためには、プライ層30の引張剛性及び圧縮剛性についても考慮する必要がある。
【0051】
以上の図7乃至図15の内容を考慮して、ステップS102において、補強材モデル、すなわち、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、材料定数、特に、補強コード20、30の軸方向における弾性率(ヤング率)を設定する。
【0052】
例えば、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、材料定数として、上述した「Vf」や「Vm」や「Ef」や「EL」や「ET」や「Em」や「νm」や「Gf」や「Gm」や「GLT」の一部又は全部を設定してもよい。
【0053】
具体的には、ステップS102において、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定すべき補強コード20、30の軸方向における弾性率を、補強コード20、30の軸方向におけるベルト層モデル2及びプライ層モデル3の歪が所定閾値よりも小さい範囲で変化させる。
【0054】
なお、上述の歪が大きい範囲において、補強コード20、30の軸方向における弾性率の変化を一定にすることで、非線形計算を行う部分を減らすことができ、計算コストを低減することができ、計算が収束しやすくなり、また、モデル化を容易にすることができる。
【0055】
ここで、ステップS102において、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して、補強コード20、30の配置や方向を考慮して、複数の弾性率を設定してもよい。
【0056】
その後、ステップS103において、上述のタイヤモデル1を用いたシミュレーションによって、例えば、有限要素法によって、評価値(例えば、タイヤモデル1の各部の変形量等)を算出する。
【0057】
第1に、図16を参照して、タイヤモデルとして「初期モデル」、「バイリニア」及び「バイリニア調整」のそれぞれを用いた場合のシミュレーション結果(タイヤ10の内圧充填時におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量)を、実測値と比較する。
【0058】
実測値は、レーザーを用いて、タイヤ10の内圧充填時におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量を、トレッド部10Aの幅方向に渡って測定した結果を示す。
【0059】
「初期モデル」は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を変化させず、補強コード20B、30Bを線形弾性体としてモデル化したタイヤモデルである。
【0060】
「バイリニア」は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定すべき補強コードの軸方向における弾性率を変化させたタイヤモデルである。
【0061】
ここで、「バイリニア」では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が大きい範囲では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を一定にした。なお、補強材モデル2、3が引っ張られた場合の弾性率の方が、補強材モデル2、3が圧縮された場合の弾性率よりも高くなるように設定する。
【0062】
また、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が小さい範囲では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を滑らかに変化させた。ここで、かかる歪が小さい範囲は、歪が「−0.2%」〜「+0.2%」までの範囲とした。
【0063】
「バイリニア調整」は、プライ層30の幅方向の位置0、つまり、プライ層30のセンター領域Aに対応するトレッド部10Aの変形量がプライ層30のショルダー領域B、Cに対応するトレッド部10Aの変形量よりも小さくなるように、プライ層30に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率が変化する範囲を調整した。
【0064】
具体的には、プライ層30の幅方向30mmのセンター領域Aにおいて弾性率が変化する歪の範囲を「−0.4%」から「+0.2%」の範囲まで広げた。
【0065】
なお、「バイリニア調整」では、ベルト層20については「バイリニア」と同様にモデル化した。
【0066】
この結果、「バイリニア調整」におけるセンター領域Aにおけるトレッド部10Aの変位量とショルダー領域B、C部におけるトレッド部10Aの変形量との比は、(表1)に示すように、実測値に近くなった。
【表1】
【0067】
第2に、図17を参照して、タイヤモデルとして「初期モデル」、「バイリニア調整」、「ベルト角度」及び「両方」のそれぞれを用いた場合のシミュレーション結果(タイヤ10の内圧充填時におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量)を、実測値と比較する。
【0068】
「ベルト角度」は、タイヤ10の断面におけるベルト半径Rの変化を考慮して「初期モデル」を改良したタイヤモデルである。「ベルト角度」では、「cosθ/R=一定」とした。ここで、「θ」は、ベルト層20における補強コード20Bの軸方向とタイヤ10の周方向とがなす角度(すなわち、ベルト角度)であり、「R」は、タイヤ10の断面におけるベルト半径である。
【0069】
「両方」は、「バイリニア調整」と「ベルト角度」とを組み合わせたタイヤモデルである。
【0070】
この結果、「両方」では、(表2)に示すように、ベルト層20のセンター領域A付近でのタイヤ10の周方向への伸びを精度良く予測できると共に、プライ層30の圧縮時における弾性率の変化について精度良くモデル化することができ、より大きな改善効果を奏することができる。
【表2】
【0071】
なお、図18に示すように、本実施形態に係るシミュレーション方法を実行するシミュレーション装置は、コンピュータ装置によって実現されてもよいし、かかるコンピュータ装置のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールによって実施されてもよいし、両者の組み合わせによって実施されてもよい。
【0072】
ソフトウェアモジュールは、RAM(Random Access Memory)や、フラッシュメモリや、ROM(Read Only Memory)や、EPROM(Erasable Programmable ROM)や、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)や、レジスタや、ハードディスクや、リムーバブルディスクや、CD-ROMといった任意形式の記憶媒体内に設けられていてもよい。
【0073】
本発明の第1の実施形態に係るシミュレーション方法によれば、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向における弾性率を変化させることによって、高精度にタイヤの変形状態を解析することができる。
【0074】
(比較評価)
次に、本発明の効果を更に明確にするために、タイヤモデルとして従来モデル1、2及び本発明に係る新モデル1乃至3を用いたシミュレーション方法によって算出された評価値を、実測値と比較して評価した結果について説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0075】
本比較評価では、リムサイズ8J×18のホイールモデル2に乗用車用のタイヤサイズ235/45R18のタイヤモデル1を組み付けて、内圧230kPaを充填し、トレッド部10Aの形状を計測した後、内圧を0kPaとして、再び、トレッド部10Aの形状を計測した。
【0076】
そして、2つのトレッド部10Aの形状を計測結果の差分を取り、内圧充填字におけるトレッド部10Aのタイヤ半径方向の変形量を算出した。
【0077】
ここで、かかる比較評価に用いられたタイヤ10のベルト層20の構造は、2枚のスチール交錯にキャップ及びレイヤーが加えられたものである。
【0078】
すなわち、上述のシミュレーション方法では、内圧0kPaの状態のタイヤ10Aの断面形状に基づいて、FEM用のタイヤモデル1を作成し、かかるタイヤモデル1に対して内圧230kPaを充填する解析を行った。
【0079】
従来モデル1は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向の弾性率として、材料試験(引張試験)によって算出された値が使用されたタイヤモデルである。
【0080】
従来モデル2は、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向の弾性率のうち、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が引っ張られた場合の弾性率として材料試験(引張試験)によって算出された値が使用され、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が圧縮された場合の弾性率として材料試験(圧縮試験)によって算出された値が使用されたタイヤモデルである。
【0081】
なお、従来モデル2では、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が「−0.2%」から「+0.2%」までの範囲で、かかる弾性率を、非線形に(滑らかに)変化するように設定した。
【0082】
新モデル1は、従来モデル2と同様に、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3に対して設定する補強コードの軸方向の弾性率のうち、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が引っ張られた場合の弾性率として材料試験(引張試験)によって算出された値が使用され、ベルト層モデル2及びプライ層モデル3が圧縮された場合の弾性率として材料試験(圧縮試験)によって算出された値が使用されたタイヤモデルである。
【0083】
なお、新モデル1では、ベルト層モデル2の補強コードの軸方向における歪が「−0.2%」から「+0.2%」までの範囲で、ベルト層モデル2の補強コードの軸方向における弾性率を、非線形に(滑らかに)変化するように設定し、プライ層モデル3の補強コードの軸方向における歪が「−0.4%」から「+0.2%」までの範囲で、プライ層モデル3の補強コードの軸方向における弾性率を、非線形に(滑らかに)変化するように設定した。
【0084】
新モデル2は、新モデル1の内容に加えて、ベルト層モデル2のセンター領域A(全体の2/3)におけるベルト角度よりも、ショルダー領域B、Cにおけるベルト角度を2°大きくしたタイヤモデルである。
【0085】
新モデル3は、新モデル2の内容に加えて、ベルト層モデル2のセンター領域A(全体の3/4)における単位幅あたりの補強コードの数よりも、ショルダー領域B、Cにおける単位幅あたりの補強コードの数を10%減らしたタイヤモデルである。
【0086】
(表3)に、各タイヤモデルについて、センター領域Aにおけるトレッド部10Aの最大変形量とショルダー領域B、Cにおけるトレッド部10Aの最大変形量の差分、及び、ベルト層の端部におけるトレッド部10Aの変形量を示す。
【表3】
【0087】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0088】
1…タイヤモデル、2…ベルト層モデル、3…プライ層モデル、A…センター領域、B、C…ショルダー領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップと、
前記タイヤモデルを構成するベルト層モデル及びプライ層モデルに対して材料定数を設定する材料定数設定ステップと、
前記タイヤモデルを用いたシミュレーションによって、評価値を算出する評価値算出ステップとを有し、
前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における補強コードの軸方向と前記タイヤモデルの周方向とがなす角度を、該ベルト層モデルのショルダー領域における該補強コードの軸方向と該タイヤモデルの周方向とがなす角度よりも小さくなるように設定し、
前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が所定閾値よりも小さい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を変化させることを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項2】
前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が前記所定閾値よりも大きい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を一定にすることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項3】
前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における単位幅あたりの補強コードの数を、該ベルト層モデルのショルダー領域における単位幅あたりの該補強コードの数よりも多くするように設定することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシミュレーション方法を実行することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項1】
タイヤを有限個の要素に分割したタイヤモデルを設定するタイヤモデル設定ステップと、
前記タイヤモデルを構成するベルト層モデル及びプライ層モデルに対して材料定数を設定する材料定数設定ステップと、
前記タイヤモデルを用いたシミュレーションによって、評価値を算出する評価値算出ステップとを有し、
前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における補強コードの軸方向と前記タイヤモデルの周方向とがなす角度を、該ベルト層モデルのショルダー領域における該補強コードの軸方向と該タイヤモデルの周方向とがなす角度よりも小さくなるように設定し、
前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が所定閾値よりも小さい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を変化させることを特徴とするシミュレーション方法。
【請求項2】
前記材料定数設定ステップにおいて、前記プライ層モデルの補強コードの軸方向における歪が前記所定閾値よりも大きい範囲で、前記材料定数として該プライ層モデルに対して設定すべき該補強コードの軸方向における弾性率を一定にすることを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項3】
前記タイヤモデル設定ステップにおいて、前記ベルト層モデルのセンター領域における単位幅あたりの補強コードの数を、該ベルト層モデルのショルダー領域における単位幅あたりの該補強コードの数よりも多くするように設定することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシミュレーション方法を実行することを特徴とするシミュレーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
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【図4】
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【図8】
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【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−148468(P2011−148468A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13118(P2010−13118)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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