説明

シャッタ羽根装置、シャッタユニット、撮像装置、露光装置およびデバイス製造方法

【課題】自重変形と回転動作中におけるシャッタ羽根の変形を極小に抑えるシャッタ羽根装置、これを用いるシャッタユニット、これを用いる撮像装置および露光装置、この露光装置を用いるデバイス製造方法を提供する。
【解決手段】シャッタユニット、撮像装置、露光装置、デバイス製造方法に用いるシャッタ羽根装置は、各シャッタ羽根11〜13の第1の面を2ヶ所以上で押圧する第1の支持部(突起)15a,15bを有する第1の押圧部材(ボス)15と、前記各シャッタ羽根の裏側の第2の面を1ヶ所以上で押圧する第2の支持部(突起)16aを有する第2の押圧部材(押さえ板)16とを有する。該第2の支持部の1ヶ所は、該第1の支持部間に配置される。該第1、第2の支持部の該各シャッタ羽根への押圧力をボルト101で調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部の開閉を行うシャッタ羽根を備えたシャッタ羽根装置、シャッタユニット、撮像装置、および露光装置、ならびに該露光装置を用いたデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造においては、一般的に、レチクル等原版のパターンを縮小投影レンズによって縮小してウェハ等基板に投影する縮小投影露光装置等が用いられる。
これは、ウェハを載せたXYステージをステップ移動させる工程と露光工程を交互に繰り返すことで、レチクル等の原版のパターン数十個分を一枚のウェハに転写、焼き付けするものである。
近年では、露光装置の生産性を向上させるために、露光光の光路に配設されるシャッタの開閉速度等を速くして、露光サイクルタイムを短縮する努力がなされている。
また、露光工程を高速化するために、ウェハ等に塗布するレジストの高感度化も急速に進められている。
【0003】
上記従来例によると、露光光を発生する光源光学系のシャッタに構成されるシャッタ羽根1枚を露光光の光路に挿入することで遮光するように構成するため、シャッタ羽根の寸法を露光光のビーム断面より大きくする必要がある。
また、シャッタを閉じたときにシャッタ羽根が露光光の熱を吸収すると、シャッタ羽根の変形や溶解を招くおそれがあるため、一般的に、シャッタ羽根の表面を鏡面加工して露光光を反射するように工夫されている。
また、シャッタ羽根によって反射された露光光が光源に向かって逆進すると、光源に熱変動を生じるため、シャッタ羽根の反射光が光源に逆進しないように、シャッタ羽根を露光光の光路に対して斜めに挿入するのが一般的である。
この配置のため、シャッタ羽根によって遮光する光束のビーム断面は楕円形となる。
【0004】
したがって、シャッタ羽根1枚によって遮光するためには、光路に垂直なビーム断面よりシャッタ羽根の寸法は、より大きくなる。
また、一方で、露光装置のスループットを向上するためにはシャッタの開閉速度を速くする必要があるため、シャッタ羽根の必要な断面積を維持しながら、軽量化を図る必要がある。
その手段として、シャッタ羽根の薄型化を行い、シャッタ羽根の材質に軽量で耐熱性にすぐれた金属材料を選択することにより、シャッタ羽根を軽量化する方法等が採用されている。
露光光を遮蔽するために必要な断面積を維持しながら、シャッタ羽根の軽量化を図ることを目的とする先行技術がある。
例えば、特開平11−233423号公報(特許文献1)により高速化を促進する露光用シャッタが公開されている。
【0005】
この従来例について、図7(a),(b)を用いて説明する。
ウェハ等を露光する露光光100の光路には、一対の回転シャッタユニット40a,40bからなるシャッタ40が配設されている。
各回転シャッタユニット40a,40bをモータ45a,45bによって同期的に回転させる。
露光光100のビーム断面は、例えば、図7(b)に示すように、回転シャッタユニット40a,40bのシャッタ羽根41a〜43a,41b〜43bの回転によって遮光および非遮光が制御される。
即ち、一方の回転シャッタユニット40aは、露光光100の光路に対して斜めに挿入される3枚のシャッタ羽根41a〜43aによって、順次、露光光100のビーム断面の上半分以上を局部的に遮光する。
同様に他方の回転シャッタユニット40bも、露光光100の光路に対して斜めに挿入される3枚のシャッタ羽根41b〜43bによって、順次、露光光100のビーム断面の下半分以上を局部的に遮光する。
【0006】
各回転シャッタユニット40a,40bの3枚のシャッタ羽根41a〜43a,41b〜43bは、回転軸44a,44bのまわりに周方向に60°の間隔で中心角60°の遮光部を形成する。
各回転シャッタユニット40a,40bの各シャッタ羽根41a〜43a,41b〜43bは、モータ45a,45bによる回転軸44a,44bの回転と共に回転する。
このとき、ロータリーエンコーダ46a,46bによりその回転位置が検出される。
上記従来例は、1枚のシャッタ羽根によって露光光100のビーム断面全体を遮光する場合に比べて、シャッタ羽根の小型化が可能となるため、各シャッタ羽根の慣性モーメントが小さく、シャッタの開閉動作の高速化を促進できる。
【特許文献1】特開平11−233423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特開平11−233423号公報の従来例では、回転シャッタユニット40a,40bを各モータ45a,45bによって同期的に回転する必要があるため、メカ構造要因等によって、サブミリ秒程度の速度差が発生する。
しかも、ウェハの露光領域の積算露光量を均一にするためには、図7(b)における各シャッタ羽根41a〜43a、41b〜43bの両エッジが露光光100を横切る形状を同一形状にすることが必要である。
しかしながら、上記先行技術は、シャッタ羽根41a〜43a、41b〜43b間の速度差が、上記積算露光量精度へ多大な影響を及ぼし、露光性能へ悪影響を与えるといった欠点があった。
【0008】
また、一方で、露光光のビーム断面をシャッタ羽根一枚で遮閉し、このシャッタ羽根を薄型化することにより軽量化を図る場合がある。
しかしながら、シャッタ羽根近傍の構造性能としてシャッタ羽根の遮閉能力が、完全解放時の約100万分の1以下であることが要求される。
このため、遮閉能力を高めるべくシャッタ羽根に近接させて遮閉板を開口部周辺に配置する必要がある。
これを受けてシャッタ羽根の薄型化によりシャッタ羽根の剛性が低下し、自重や回転動作時の遠心力等によりシャッタ羽根の変形が発生した場合は、シャッタ羽根が遮閉板と干渉を起こし、正常動作を妨げるといった課題がある。
【0009】
そこで、本発明は、シャッタ羽根の変形を低減させることを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明のシャッタ羽根装置は、シャッタ羽根と、
前記シャッタ羽根の第1の面を押圧する2つの第1の押圧部を含む第1の押圧部材と、
前記シャッタ羽根の該第1の面とは反対側の第2の面を押圧する第2の押圧部を含む第2の押圧部材と、を有し、
該第2の押圧部は、該2つの第1の押圧部の間に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば、シャッタ羽根の変形を低減させることができる。。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0013】
図1(a)は、本発明の実施例1に係るシャッタユニット10に用いるシャッタ羽根装置の側面図であり、図1(b)は光源側(Z方向)から見たシャッタユニット10に用いるシャッタ羽根装置の正面図である。
図1(c)は、図1(b)におけるA−A断面の概略図であり、図1(d)は、図1(b)の点線部における背面図であり、図1(e)は、図1(d)におけるB−B断面の概略図である。
シャッタユニット10は、図1(a)に示すように、本発明の実施例1に係るシャッタ羽根装置を有する。なお、図1(a)で−Z方向は重力方向である。
実施例1のシャッタ羽根装置は、シャッタ羽根11,12,13と、ロータリーエンコーダ18を有するモータ17と、モータ17の回転軸14に対しシャッタ羽根11〜13を装着するボス15および押さえ板16とを有する。
【0014】
シャッタ羽根11,12,13は、図1(b)に示すように、等間隔の周囲3方の方向を向く3枚の扇状の羽根11,12,13をある程度の領域を有する円板状の中央部分で一体にした構成である。
シャッタ羽根11,12,13は、回転位置を検出するロータリーエンコーダ18を有するモータ17の回転軸14に対し、ボス15および押さえ板16に挟持されて装着されている。
シャッタ羽根11,12,13のモータ17の回転軸14に対する装着は、図1(a),(b)に示すように、ボス15および押さえ板16で挟持した上で双方15,16に螺入するボルト101締めにより固定されている。
【0015】
ボス15は外周3方向に、シャッタ羽根11〜13の第1の面(即ちボス側の面)を少なくとも2ヶ所以上で押圧する第1の支持部としての突起15a,15bを有する第1の押圧部材を有する(図1(b)参照)。
押さえ板16は外周3方向に、シャッタ羽根11〜13の第2の面(第1の面の裏側:押さえ板側の面)を少なくとも1ヶ所以上で押圧する第2の支持部としての突起16aを有する第2の押圧部材を有する(図1(b)参照)。
第2の支持部としての突起16aの少なくとも1ヶ所は、第1の支持部としての突起15a,15b間に相当する位置にあり(図1(d)参照)、各突起15a,15b,16aで各シャッタ羽根11〜13を押圧挟持している。
なお、第1の押圧部材は概念上はボス15を指し、第2の押圧部材は概念上は押さえ板16を指す。
【0016】
一方、3枚のシャッタ羽根11〜13は、図1(a)に示すように、露光光100の光路2に対して挿入されるによって、順次、露光光100のビーム断面を遮光するように構成されている。
即ち、シャッタユニット10の3枚のシャッタ羽根11、12、13は、回転軸14に対して周方向に60°の間隔で中心角60°の露光光100のビームの遮光部を形成する。
各シャッタ羽根11〜13の実体部分である遮光部以外の空間領域は、順次、露光光100のビーム断面を遮光することはなく、露光光100のビームを通過させる。
【0017】
一方、第2の押圧部材である押さえ板16の第2の支持部としての各突起16aの先端側は、図1(c)に示すように、シャッタ羽根13への取り付け面(ボス15)側に向けて予め屈曲されている。
第2の支持部としての各突起16aの先端側の屈曲された部分は、ボルト101締めが進む程、各シャッタ羽根11、12、13を押圧する押力が増す。
第1の支持部としての各組の突起15a,15bは、その厚さ強度の反力で第2の支持部としての突起16a先端の屈曲された部分からの押力を強く支えるため、双方の各突起15a,15b,16a間の挟持力を増加する。
なお、第1の支持部と前記第2の支持部の少なくとも一方として、例えば第2の支持部は、突起16aの代りに先端側が屈曲した板ばねを用いても良い。
【0018】
次に、シャッタユニット10に用いる本発明の実施例1のシャッタ羽根装置の作用を説明する。
第1の押圧部材であるボス15および第2の押圧部材である押さえ板16の間にシャッタ羽根11、12、13を挟んだボルト101締めによりシャッタ羽根11、12、13をモータ17の回転軸14に取り付ける。
なお、本例においては、第1の押圧部材であるボス15の第1の支持部としての突起15a、15bと、第2の押圧部材である押さえ板16の第2の支持部としての突起16aの配置は、図1(d)に示すように配置されている。
押さえ板16の第2の支持部としての各突起16aは、ボス15の第1の支持部としての各突起15a、15bのほぼ中間位置にて、シャッタ羽根11〜13を支持する。
また、押さえ板16の第2の支持部としての突起16aは、図1(c)に示すように、予め設定した寸法となるよう曲げてあるため、シャッタ羽根11〜13を押圧し、シャッタ羽根11〜13は強制変形される。
【0019】
図1(e)は、シャッタ羽根13が強制変形された状態を示した図(d)のB−B線の断面図である。なお、ここでは、シャッタ羽13を例に説明する。
シャッタ羽根13は押さえ板16の第2の支持部としての突起16aを支点としてボス15の第1の支持部としての突起15a、15bと反対方向(G方向)へ向かって、反るように強制変形される。
その強制変形の様子の一例が図1(e)に示すE部、F部であり、E部、F部により、シャッタ羽根13の先端(外周端)にいく程、その先端が水平線から離れて突起16aの押力の反対方向へ反る強制変形である。
この強制変形により、シャッタ羽根13の自重変形量をほぼ無くすことが可能となり、また、剛性が高くなる効果を得、回転動作中におけるシャッタ羽根13の変形を極小に抑えることができる。
【0020】
実施例1の構成をシャッタ羽根11、12へも適用することによって、シャッタ羽根11,12、13の剛性を高めることができ、シャッタ羽根11,12、13の薄型化を図ることが可能となる。
実施例1においては、第2の押圧部材である押さえ板16の第2の支持部としての突起16aのみ、設定した寸法となるよう、予め曲げてある場合を示した。
しかし、ボス15の第1の支持部としての突起15a、15bにおいても、シャッタ羽根13の取り付け面側へ各々、設定した寸法となるよう、曲げ加工を施しても良い。
なお、ボルト101は、第1、第2の押圧部材であるボス15および押さえ板16によるシャッタ羽根11〜13の第1の面および第2の面を押圧する力を調整する手段としての機能がある。
【0021】
即ち、以上本発明の実施例1では、ボルト101の締結力の調整によりシャッタ羽根11〜13のE部、F部付近(図1(e)参照)の強制変形量を適宜調整して管理できる。
しかも、高速化を図るため薄く剛性が低いシャッタ羽根11〜13を用いた場合でも、シャッタ羽根11〜13の自重変形とシャッタユニット10動作時に発生する遠心力等による変形を最小限(極小)に留められる。
この観点からシャッタ羽根11〜13のより薄型化およびより軽量化を促進することが可能であり、シャッタ羽根11〜13の慣性モーメントをより小さくでき、シャッタのより高速化およびより高機能化を実現できる。
一方、本発明の実施例1のシャッタユニット10は、シャッタ羽根11〜13の薄型化(軽量化)を図り、シャッタ羽根11等が変形し易くとも、ボルト101調整により所望の強制変形量、形状、および強度に管理できる。
このため、シャッタユニット10のシャッタ羽根11等は変形し難くなり、自重変形とシャッタユニット動作時に発生する遠心力等による変形を最小限に留め、露出開口部の開閉を高速に、かつ安定して行うことができる。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明の実施例2を説明する。
図2(a)は、本発明の実施例2に係るシャッタユニットに用いるシャッタ羽根装置の要部を裏面から見た背面図であり、図2(b)は、図2(a)におけるC−C断面の概略図である。
なお、図2(a),(b)に示す部分で図1(a)〜(e)に示す部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略若しくは簡略化する。
ここでは、図2(a),(b)を参照して、シャッタ羽根11,12、13の各シャッタ羽根(遮光部)に対し、第1、第2の支持部としての後述する突起を各々計5箇所に構成した場合の一例を説明する。
ただし、シャッタ羽根11,12,13に対する本例の構成は一様に同一であるため、本例ではシャッタ羽根13に対する構成を代表例として説明する。
なお、実施例2では、第1の押圧部材は概念上はボス21を指し、第2の押圧部材は概念上は押さえ板22を指す。
【0023】
シャッタ羽根13は、一方では回転軸14に取り付けられた第1の押圧部材であるボス21の第1の支持部としての間隔をあけた2つの突起21a、21bによって支持されている。
また、シャッタ羽根13は、もう一方では第2の押圧部材である押さえ板22の第2の支持部としての等間隔をあけた3つの突起22a、22b、22cによって支持されている。
即ち、第1の支持部である突起21aは、第2の支持部である突起22a、22b間の中間位置に当たる位置にあり(図2(a)参照)、1つには各突起21a,22a、22bによりシャッタ羽根13が押圧挟持されている。
また、第1の支持部である突起21bは、第2の支持部である突起22b、22c間の中間位置に当たる位置にあり(図2(a)参照)、1つには各突起21b,22b、22cによりシャッタ羽根13が押圧挟持されている。
【0024】
このようにシャッタ羽根13は、互いに等間隔の計5箇所の突起21a、21b、22a〜22cにより、より安定した押力に伴いより安定した強制変形量を以って押圧挟持されている。
また、一方、押さえ板22の第2の支持部である突起22bは、突起22a、22cよりもシャッタ羽根13の取り付け面側に向けて予め設定した寸法となるように曲げ加工されており、より押力を強く与えられる。
なお、第1、第2の支持部である5箇所の各突起21a、21b、22a〜22cの全て、若しくは押さえ板22の第2の支持部である曲げ加工された1つの突起22bは、実施例1の場合と同様に板ばねで構成しても良い。
【0025】
次に、シャッタユニットに用いる本発明の実施例2のシャッタ羽根装置の作用を説明する。
まず、第1の押圧部材であるボス21に、シャッタ羽根11、12、13を挟んで押さえ板22をボルト101により締付けて固定する。
第2の押圧部材である押さえ板22の第2の支持部22bは、設定した寸法となるよう、予め曲げてあるため、シャッタ羽根13を押圧し、図2(b)に示すようにシャッタ羽根13を強制変形させる。
ただし、押さえ板22の第2の支持部である突起22b、22cによりシャッタ羽根11、12、13の外周側の端部の強制変形量を小さく抑える構成となっている(図2(b)参照)。
実施例1の場合、シャッタ羽根11、12、13をより薄くした場合、図1(e)に示すE部、F部の箇所の変形量が大きくなる構成であった。
しかし、シャッタ羽根11、12、13は、その変形によって回転時に空気抵抗が生じると、シャッタユニットの高速化を妨げる原因ともなり得る。
【0026】
このため、実施例2では、図1(e)に示すE部、F部の箇所付近に、押さえ板22の第2の支持部である突起22a、22cを配置し、E部、F部の箇所においてシャッタ羽根11、12、13の変形量を抑える構成としている。
実施例2においては、押さえ板22の第2の支持部である突起22bのみ、設定した寸法となるよう、予め曲げてある場合を示した。
しかし、ボス21の第1の支持部である突起21a、21b、押さえ板22の第2の支持部である突起22a、22cにおいても、シャッタ羽根13の取り付け面側へ各々、設定した寸法となるよう、曲げ加工を施しても良い。
なお、ボルト101は、第1、第2の押圧部材であるボス15および押さえ板16によるシャッタ羽根11〜13の第1の面および第2の面を押圧する力を調整する手段として使用する。
【0027】
即ち、以上本発明の実施例2においても、ボルト101の締結力の調整によりシャッタ羽根11〜13のE部、F部付近(図1(e)参照)の強制変形量を適宜調整して管理できる。
しかも、高速化を図るため薄く剛性が低いシャッタ羽根11〜13を用いた場合でも、シャッタ羽根11〜13の自重変形とシャッタユニット10動作時に発生する遠心力等による変形を最小限(極小)に留められる。
この観点からシャッタ羽根11〜13のより薄型化およびより軽量化を促進することが可能となり、シャッタ羽根11〜13の慣性モーメントをより小さくでき、シャッタのより高速化およびより高機能化を実現できる。
特に実施例2では、シャッタ羽根13は、互いに等間隔の計5箇所の突起21a、21b、22a〜22cにより、より安定した押力でより安定した強制変形量、形状、形状強度を以って押圧挟持されており、より信頼性が高い。
【実施例3】
【0028】
(撮像装置の実施例)
次に、本発明の実施例3を説明する。
図3(a)は、撮像光学系を備えたテレビカメラ等の撮像装置の実施例において、本発明の実施例3のシャッタユニット(シャッタ羽根装置)を適用した場合の構成を示す側面図である。
図3(b)は、図3(a)のX視方向から見たシャッタユニットの構成を示す概略構成図である。図3(c)は、図3(a)のY視方向から見たシャッタユニットの構成を示す概略構成図である。
【0029】
(実施例における撮像装置の構成)
実施例の撮像装置は、図3(a)に示すように、光軸110に沿って撮影レンズ51、ロータリーシャッタ内蔵のテレビカメラ52、バヨネットマウント53、ローパスフィルター、近赤外カット等のフィルター54とを備える。
さらに、撮像装置は、ロータリーシャッタの回転体を構成するロータリーシャッタ開口板55と、ロータリーシャッタ開口板55を押える押え板56と、ロータリーシャッタ開口板55を支持する支持部材57とを備える。
さらに、撮像装置は、透過型フォトセンサー58と、ロータリーシャッタユニット59とを備える。
さらに、撮像装置は、3CCD方式等に対応する色分解プリズム60と、撮像素子61a,61b,61cとを備える。
【0030】
一方、ロータリーシャッタユニット59は、ロータリーシャッタ開口板55、押え板56、支持部材57、および、透過型フォトセンサー58により構成されている。
ロータリーシャッタユニット59は、所定の回転時のロータリーシャッタ開口板55が、撮影レンズ51と色分解プリズム60等との間に位置し得る位置に配設されている。
撮影レンズ51からの入射光は、ロータリーシャッタ開口板55の開口部55aを通して色分解プリズム60等を介して撮像素子61a,61b,61cの少なくともいずれかに受光される。
テレビカメラ52の撮像系で動きの早い対象物を撮影する際、ロータリーシャッタユニット59等を用いることで撮像素子61b等に瞬間的な露光を断続的に与え、動きぼけおよび歪みの少ない良好な映像が得られる。
【0031】
しかし、ロータリーシャッタ開口板55は、開口部55aによって質量分布が不均一となり、特に高速回転時の遠心力によって回転ブレが発生し、撮像性能へ悪影響を与えるといった懸念は不要である。
この懸念点を解決すべく実施例2では、図3(b)、(c)に示すように、ロータリーシャッタ開口板55の第1の面に対し、第1の押圧部材である支持部材57の第1の支持部としての突起57a〜57eを押圧させて用いる。
また、ロータリーシャッタ開口板55の第2の面に対し、第2の押圧部材である押さえ板56の第2の支持部としての突起56a〜56fを押圧させて用いる。
第1の押圧部材である支持部材57、および第2の押圧部材である押さえ板56は、ロータリーシャッタ開口板55を挟んでボルト101により締結されることによりロータリーシャッタ開口板55を保持する。
【0032】
即ち、第1の支持部としての突起57a〜57eおよび第2の支持部としての突起56a〜56fをロータリーシャッタ開口板55の表裏面に対して交互の位置に配設し、ボルト101締めによりその開口板55を保持する。
支持部材57の第1の支持部としての突起57a〜57eの少なくとも先端側は、ロータリーシャッタ開口板55の取付け面側へ向けて予め曲げ加工を施してあるため、ロータリーシャッタ開口板55を強制変形させる。
この変形によって、ロータリーシャッタ開口板55は剛性が高くなり、ロータリーシャッタ開口板55の回転時の遠心力等による変形を極小に抑え、回転ブレを低減することが可能となる。
なお、第1の押圧部材である支持部材57、および第2の押圧部材である押さえ板56は、例えば円板状の部材であり、その各々の周囲に上記の第1の支持部(突起)、上記の第2の支持部(突起)が構成されている。
一方、第1の支持部としての突起57a〜57eおよび第2の支持部としての突起56a〜56fは、各々適宜板ばねで構成しても良い。
【0033】
ロータリーシャッタユニット59では、ロータリーシャッタ開口板55と合体した回転体にベルト63を掛けてモータ62と連結し、通電することによりロータリーシャッタ開口板55が回転する。
ロータリーシャッタ開口板55の回転は、撮像素子61a等の読取信号と同期転させる必要があるため、透過型フォトセンサー58によりロータリーシャッタ開口板55の回転数を検知し撮像素子61a等の読取信号と同期させる。
透過型フォトセンサー58は、ロータリーシャッタ開口板55の例えば不図示のスリットの透過光を読み取るエンコーダ型等のフォトセンサーである。
なお、ボルト101は、第1、第2の押圧部材である支持部材57および押さえ板56によるロータリーシャッタ開口板55の第1の面および第2の面を押圧する力を調整する手段としての機能がある。
【0034】
本発明の実施例3に係る撮像装置は、ロータリーシャッタ開口板55に対し第1の支持部(突起57a〜57e)および第2の支持部(突起56a〜56f)を押圧させて用いるため、実施例1と同様の効果を得ることができる。
即ち、実施例3に係る撮像装置は、ロータリーシャッタ開口板55の薄型化(軽量化)を図り仮に変形し易いとしても所望の強制変形量および形状を与えて変形し難くでき、自重変形と遠心力等による変形を最小限に留める。
このため、ロータリーシャッタ開口板55の露出開口部(開口部55a)の開閉については安定した高速化が実現される。
したがって、実施例3に係る撮像装置は、ロータリーシャッタ開口板55の高速回転時の回転ブレを解消した回転バランスの向上により、動きぼけや歪みのより少ないより良好な映像を得ることができる。
【実施例4】
【0035】
(露光装置の実施例)
次に、本発明の実施例4を説明する。
図4は、本発明の実施例4において、露光装置の実施例に対しシャッタユニット(シャッタ羽根装置)を適用した場合の構成を示す概略構成図である。
なお、図4に示す部分で図1(a)〜(e)に示す部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略若しくは簡略化する。
実施例における露光装置は、図4に示すように、まず、光源である水銀ランプ71と、水銀ランプ71から発生された露光光100を集光する楕円鏡72と、露光光100の光束を絞る第1のレンズ73とを有する。
さらに、露光装置は、露光用シャッタであるシャッタユニット10と、第1のレンズ73で絞った光束を平行光に戻す第2のレンズ74と、露光光100の一部を取り出すハーフミラー75等を含む光源光学系76とを有する。
さらに、露光装置は、被露光体(基板)であるウェハWの各ショットに転写するパターンを有する原版であるレチクルRを載せるレチクルステージ77を有する。
【0036】
また、実施例における露光装置は、図4に示すように、レチクルR上のパターンをウェハWに縮小投影する縮小投影レンズ78等を有する投影光学系79を有する。
さらに、露光装置は、ウェハWを搭載し、光軸方向の移動を行うθZチルトステージ80と、ウェハWをXY方向に移動させるXYステージ81等からなる保持手段であるウェハステージ82とを有する。
XYステージ81の位置は、レーザ干渉計83によって計測される。一方、シャッタユニット10のモータ17は、モータドライバ84を介する制御手段としてのコントローラ85によりその回転が制御される。
コントローラ85は、ハーフミラー75によって取り出された露光光100の一部を検知するフォトディテクタ86の出力に基づいて、ウェハWの積算露光量が所定の値になるようにシャッタユニット10の開口時間を制御する。
【0037】
一方、レチクルRに描かれたパターン領域は、所定の露光量で露光され、投影光学系79により所定の倍率(例えば1/4、または1/5)でパターンが縮小し、ウェハステージ82に保持されたウェハWに転写される。
また、投影光学系79に対して、レチクルRとウェハWを走査することにより、レチクルRのバターン領域をウェハWの感光材に転写し、この走査露光がウェハW上の複数の転写領域に対して繰り返し行われる。
複数の転写領域に対して、繰り返し、操作露光が行われるため、シャッタ羽根11〜13の保持構造として、実施例1〜3に示した構造を少なくとも1つは適用することによりシャッタユニット10の開閉速度を高速化できる。
この実施例1〜3のいずれかのシャッタユニット10を含む構成により、露光装置は、露光精度の安定化を保ち、かつ露光サイクルタイムの短縮化を図り、露光装置のスループットを向上させることが可能となる。
【0038】
ところで、実施例の露光装置は、例えば、ステップアンドスキャン方式若しくはステッパ方式の露光装置に適用することが可能である。
なお、ステッパ方式の露光装置は、ウェハWのショットの一括露光ごとにウェハWをウェハステージ82によってステップ移動し、次のショットを露光領域に移動する露光方法である。
実施例の露光装置では、光源に、波長436[nm]のg線、波長365[nm]のi線等を用いるが、これに限らず、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザ、Fエキシマレーザ等を適用しても良い。
また、投影光学系79は、屈折型光学系に限らず、一部に反射素子を用いた反射屈折型光学系を適用しても良い。
【0039】
(デバイス製造方法の実施例)
次に、図5および図6を参照して、上述の露光装置を利用したデバイス製造方法の実施例を説明する。
図5は、デバイス(ICやLSIなどの半導体チップ、LCD、CCD等)の製造を説明するためのフローチャートである。ここでは、半導体チップの製造方法を例に説明する。
ステップS1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行う。
ステップS2(マスク製作)では設計した回路パターンに基づいてマスクを製作する。ただしステップS2ではレクチルを製作しても良い。
ステップS3(ウェハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウェハを製造する。
【0040】
ステップS4(ウェハプロセス)は前工程と呼ばれ、マスク又はレクチルとウェハを用いて、上記の露光装置によりリソグラフィ技術を利用してウェハ上に実際の回路を形成する。
ステップS5(組み立て)は、後工程と呼ばれ、ステップS4によって作製されたウェハを用いて半導体チップ化する工程である。
ステップS5のウェハを用いて半導体チップ化する工程では、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組み立て工程を含む。
ステップS6(検査)では、ステップS5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。
こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、それが出荷(ステップS7)される。
【0041】
図6は、ステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
ステップS11(酸化)ではウェハの表面を酸化させる。
ステップS12(CVD)ではウェハの表面に絶縁膜を形成する。
ステップS13(電極形成)では、ウェハに電極を形成する。
ステップS14(イオン打ち込み)ではウェハにイオンを打ち込む。
ステップS15(レジスト処理)ではウェハに感光剤を塗布する。
ステップS16(露光)では上記の露光装置によってマスク又はレクチルの回路パターンをウェハに露光する。
ステップS17(現像)では露光したウェハを現像する。
【0042】
ステップS18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。
ステップS19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
これらのステップを繰り返し行うことによってウェハ上に多重に回路パターンが形成される。
実施例におけるデバイス製造方法では、上記露光装置を用いるため、露光処理の安定した高速化を利用でき、デバイスをより安定してより高速に、かつより信頼性を高めて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1a−c】図1(a)は本発明の実施例1に係るシャッタユニットに用いるシャッタ羽根装置の側面図である。図1(b)は光源側(Z方向)から見たシャッタユニットに用いるシャッタ羽根装置の正面図である。図1(c)は図1(b)におけるA−A断面の概略図である。
【図1d−e】図1(d)は図1(b)の点線部における背面図である。図1(e)は図1(d)におけるB−B断面の概略図である。
【図2】図2(a)は本発明の実施例2に係るシャッタユニットに用いるシャッタ羽根装置の要部を裏面から見た背面図である。図2(b)は図2(a)におけるC−C断面の概略図である。
【図3a−b】図3(a)は撮像光学系を備えたテレビカメラ等の撮像装置の実施例において、本発明の実施例3のシャッタユニット(シャッタ羽根装置)を適用した場合の構成を示す側面図である。図3(b)は図3(a)のX視方向から見たシャッタユニット(シャッタ羽根装置)の構成を示す概略構成図である。
【図3c】図3(c)は図3(a)のY視方向から見たシャッタユニット(シャッタ羽根装置)の構成を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施例4において、露光装置の実施例に対しシャッタユニット(シャッタ羽根装置)を適用した場合の構成を示す概略構成図である。
【図5】本発明の実施例の露光装置を使用したデバイス製造を説明するためのフローチャートである。
【図6】図5に示すフローチャートのステップ4のウェハプロセスの詳細なフローチャートである。
【図7】図7(a)は従来例の構成を説明する概略構成図である。図7(b)は光源側から見た従来例の構成を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 光路
10 シャッタユニット
11、12、13 シャッタ羽根
14 回転軸
15,21 ボス(第1の押圧部材)
15a、15b、21a、21b 突起(第1の支持部)
16,22 押さえ板(第2の押圧部材)
16a、22a、22b、22c 突起(第2の支持部)
17 モ−タ
18 ロータリーエンコ−ダ
40 シャッタ
40a、40b 回転シャッタユニット
41a、42a、43a、41b、42b、43b シャッタ羽根
44a、44b 回転軸
45a、45b モ−タ
46a、46b ロータリーエンコ−ダ
51 投影レンズ
52 テレビカメラ
53 バヨネットマウント
54 フィルター
55 ロータリーシャッタ開口板
55a 開口部
56 押え板
56a、56b、56c、56d、56e、56f 突起
57 支持部材
57a、57b、57c、57d、57e 突起
58 透過型フォトスセンサ
59 ロータリーシャッタユニット
60 色分解プリズム
61a、61b、61c 撮像素子
62 モ−タ
63 ベルト
71 水銀ランプ
72 楕円鏡
73 第1のレンズ
74 第2のレンズ
75 ハ−フミラ−
76 光源光学系
77 レチクルステ−ジ
78 縮小投影レンズ
79 投影光学系
80 θZチルトステ−ジ
81 XYステ−ジ
82 ウェハステ−ジ
83 レ−ザ干渉計
84 モ−タドライバ
85 コントロ−ラ
86 フォトディテクタ
101 ボルト
W ウェハ
R レクチル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッタ羽根と、
前記シャッタ羽根の第1の面を押圧する2つの第1の押圧部を含む第1の押圧部材と、
前記シャッタ羽根の該第1の面とは反対側の第2の面を押圧する第2の押圧部を含む第2の押圧部材と、を有し、
該第2の押圧部は、該2つの第1の押圧部の間に配置されることを特徴とするシャッタ羽根装置。
【請求項2】
前記第1の押圧部材による該第1の面を押圧する力および前記第2の押圧部材による該第2の面を押圧する力を調整する手段を有することを特徴とする請求項1に記載のシャッタ羽根装置。
【請求項3】
該第1の押圧部と該第2の押圧部の少なくとも一方は、板ばねを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のシャッタ羽根装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のシャッタ羽根装置を有することを特徴とするシャッタユニット。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載のシャッタ羽根装置を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
原版のパターンを介して基板を露光する露光装置において、
請求項1乃至3のいずれかに記載のシャッタ羽根装置を有することを特徴とする露光装置。
【請求項7】
請求項6記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
該露光された基板を現像する工程とを備えることを特徴とするデバイス製造方法。

【図1a−c】
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【図1d−e】
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【図2】
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【図3a−b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−141016(P2008−141016A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326373(P2006−326373)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】