説明

シャンクチゼル

本発明は、シャフト(11)を備えた支持部(10)を有するシャフトチゼル、特に路面掘削用チゼルであって、前記シャフト(11)が硬質材料より成るチゼル尖端(18)を支持しており、前記支持部(10)が前記シャフト(11)と前記チゼル尖端(18)との間の領域に受容部(14)を有しており、該受容部(14)にヘッド部(30)が保持されており、該ヘッド部(30)が、前記チゼル尖端(18)に向かって先細りする掘削物導出面(34.1)を有している形式のものに関する。このような形式のシャフトチゼルを摩耗に関連して最適に構成するために、本発明によれば、前記ヘッド部(30)が前記支持部(10)に対して回転可能に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを備えた支持部を有するシャフトチゼル、特に路面掘削用チゼルであって、前記シャフトが硬質材料より成るチゼル尖端を支持しており、前記支持部が前記シャフトと前記チゼル尖端との間の領域に受容部を有しており、該受容部にヘッド部が保持されており、該ヘッド部が、前記チゼル尖端に向かって先細りする掘削物導出面を有している形式のものに関する。
【0002】
このような形式のシャフトチゼルはドイツ連邦共和国特許公開第3818213号明細書により公知である。この場合、2分割された支持部が使用されており、この支持部は、鋼製のシャフト部とカッタホルダとを有している。カッタホルダは、受容部内でチゼル尖端を支持していて、シャフト部にはんだ付けされている。シャフト部とカッタホルダとの間の移行領域に、スリーブ状に構成されたセラミック周壁が配置されている。
【0003】
セラミック周壁は、カッタホルダにも、また支持部にも接着されている。運転中、シャフトチゼルは回転する。この場合、硬質のセラミック周壁が、シャフトチゼルを支持するチゼルホルダの支持面を介して粉砕を行う。この場合、セラミック周壁は支持面内に作用して、チゼルホルダを摩耗する。チゼルホルダは、シャフトチゼルと比較して高価な構成部分であるので、このチゼルホルダがシャフトチゼルによって摩耗されるような作用を受けるのは不都合である。
【0004】
ドイツ連邦共和国特許公開第102004053666号明細書によれば、ヘッド部として構成された保護周壁部が支持部を包囲していて、この支持部に溶接されているシャフトチゼルが公知である。ヘッド部とチゼルホルダとの間の摩擦を阻止するために、摩耗保護ディスクが使用されている。この追加的な構成部分によって、シャフトチゼルの構造費用が高価になる。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に述べた形式のシャフトチゼルを改良して、安価な構造費用で最適な摩耗が得られるように構成することである。
【0006】
この課題は本発明によれば、ヘッド部が前記支持部に対して回転可能に保持されていることによって解決された。ヘッド部が支持部に対して回転可能に保持されていることによって、支持部は工具使用中に回転し、チゼル尖端を均一に摩耗する。これに対してヘッド部は、衝突負荷を受けている間その位置が変わらないか、又は支部部と同じだけ回転することはない。これによって、ヘッド部は場合によっては、チゼルホルダを強い回転摩耗に曝すことなしに、例えばチゼルホルダの支持面に直に載設することもできる。
【0007】
本発明の有利な変化実施例によれば、ヘッド部が前記支持部に対して該支持部の中心軸線を中心にして回転可能に支承されている。
【0008】
ヘッド部が、環状の支持面を有しており、該環状の支持面に、この環状の支持面に対して同心的に貫通開口が設けられていて、該貫通開口内に前記支持部が受容されていれば、支持面は、市販されているチゼルホルダの対応する対抗面に載設することができる当接領域を形成する。この場合、発生した押圧力はシャフトチゼルから直にチゼルホルダに導入される。
【0009】
本発明の有利な実施態様によれば、ヘッド部が前記貫通開口を取り囲むセンタリング突起を有しており、該センタリング突起が、前記支持面に向かって連続的に増大するセンタリング面を有している。この場合、センタリング突起が、シャフトチゼルを、チゼルホルダのセンタリング受容部において整列させる。これによって、センタリング受容部とセンタリング突起とは、汚れの侵入を困難にする閉鎖システムを形成する。
【0010】
掘削しようとする地盤材料及びビチューメン材料を搬送し易くするために、ヘッド部が、凹状又は円錐形の掘削物導出面を有しており、該掘削物導出面はその直径がチゼル尖端に向かって先細りしている。
【0011】
ヘッド部と支持部との間のインターフェースは、ヘッド部が孔を有していて、該孔の円筒形及び/又は円錐形の孔壁部が座部を形成していて、該座部に前記支持部の受容部が当接するか又は当接可能であるように構成されている。
【0012】
一対を成すヘッド部と支持部との、円筒形の幾何学的な形態によって、ヘッド部と支持部との非常に容易に回転可能な対応配置が可能である。これに対して、円錐形の嵌合接続形態を選択した場合、ヘッド部と支持部との間のシール性を改善するために、運転中の、妨害されることのない自由な回転可能性が制限される。この場合、円錐形の嵌合接続部の円錐形角度は、摩耗要求及び使用条件に適合させて構成することができる。
【0013】
ヘッド部が弾性的な支持エレメントによって支持部に対して支えられていれば、弾性的な支持エレメントを介して、運転中に発生する衝突負荷はばね弾性的に緩和される。
【0014】
また、ヘッド部と支持部との間に「ポンプ効果」が得られ、この「ポンプ効果」によって、場合によっては侵入した汚れを搬出することができる。
【0015】
ヘッド部と支持部との間の所定の対応配置を維持するために、ヘッド部が、前記支持部におけるヘッド部の組み付け運動を制限するストッパ(支持セクション)及び/又は対抗面を有している。本発明の有利な実施態様によれば、支持部が前記シャフトの領域内で緊締スリーブを支持しており、該緊締スリーブに前記ヘッド部が被せ嵌められていて、この場合、前記ヘッド部が前記緊締スリーブを、ばね弾性的に付勢した状態で保持しており、前記ヘッド部は、前記緊締スリーブに対して摺動可能であって、この場合、該緊締スリーブがヘッド部を解放し、かつ前記緊締スリーブがその直径を増大する緊張解除位置に拡開するようになっている。緊締スリーブは、公知の形式で、シャフトチゼルをチゼルホルダの受容孔内に交換可能に緊締するために用いられる。
【0016】
ヘッド部が緊締スリーブにプリロードをかけることによって、緊締スリーブは容易に受容孔内に挿入される。次いで、例えばチゼル尖端にハンマーブロー(打撃力)が加えられることによって、ヘッド部は緊締スリーブからずれて外れる。この際に、緊締スリーブはその組み付け位置に達し、受容孔内において緊締される。
【0017】
支持部が、チゼル尖端を支持する端部の領域で環状のつばを有しており、該つばの表面が前記掘削物導出面に移行するようになっていて、該つばが、前記座部内への入口部における、前記ヘッド部の横断面を半径方向で覆っていれば、シャフトチゼルの摩耗に関して最適な構成が得られる。この場合、つばは、ヘッド部と支持部との間の移行部の保護部も形成している。
【0018】
特に有利な実施態様によれば、ヘッド部と前記支持部とが、種々異なる材料硬度及び/又は材料靱性を有している。この場合、例えばヘッド部のための材料が硬質材料より成っていて、支持部のための材料が靱性の高い材料より成っている。ヘッド部が、チゼルホルダに直に載せられるように、使用される場合、チゼルホルダがヘッド部との接触領域において、ヘッド部よりも高い硬度を有していれば、有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】シャンクチゼルの斜視図である。
【図2】図1に示したシャンクチゼルの側面図である。
【図3】図2に示したシャンクチゼルの平面図である。
【図4】図2及び図3に示したシャンクチゼルの側面図及び縦断面図である。
【0020】
図1は、支持部10とヘッド部30と緊締スリーブ20と硬質合金製のチゼル尖端18とを備えたシャフトチゼルを示す。
【0021】
図2及び図4に示されているように、鋼プロフィールより製作された支持部10は、円筒形のシャフト11を有している。シャフト11は、その中央領域に環状の溝12を備えている。
【0022】
シャフト11に、長手方向スリットを備えた、薄鋼板より成る緊締スリーブ20が被せ嵌められている。緊締スリーブ20の円筒形の内法横断面は、シャフト11が緊締スリーブ20内で自由に回転できる程度に寸法設計されている。緊締スリーブ20は、この緊締スリーブ20の中心横断面に対して左右対称に配置された保持部材21を有している。保持部材21は、溝12内に係合していて、緊締スリーブ20を軸方向で分離不能であるが、自由に回転可能に支持部10に保持されている。緊締スリーブ20の左右対称の構成に基づいて、緊締スリーブ20は、180°ずらされた2つの位置で支持部10に組み付けられるようになっている。
【0023】
シャフト11に続いて、支持部10は、円筒形の受容部14へ移行する移行セクション13を有している。円筒形の受容部14は、シャフト11に対して大きい横断面を有している。受容部14につば15が続いており、このつば15は、支持部10の中心軸線11に対して垂直に延びる当接面16を有している。この当接面16に続いて、つば15は凸状の掘削物導出面を備えている。支持部10は、つば側の端部領域で、浅い鉢状の受容部17を備えており、この受容部17内にチゼル尖端18がはんだ付けされている。
【0024】
ヘッド部30は、プレス部品として金属材料より製作されている。回転対称的なヘッド部30は、センタリング突起32から突き出す環状の支持面31を有している。この場合、センタリング突起32は円錐形に構成されていて、支持面31から出発して先細りしている。ヘッド部30は、中心軸線Mの方向に延びる切欠を有しており、この場合、センタリング突起32は前記切欠への侵入開口を片側で包囲している。
【0025】
前記切欠は、段状の孔として構成されていて、この場合、センタリング突起32に続く支持セクション36が第1の直径を規定している。この第1の直径領域で以て、前記ヘッド部30は緊締スリーブ20に被せ嵌められている。この場合、内径は、緊締されている状態における緊締スリーブ20の外径よりも小さく設計されている。
【0026】
このような形式で、緊締スリーブ20はヘッド部30と共にプリロード(予備荷重)をかけられた状態で保持され、このプリロードをかけられた状態において、シャフトチゼルをチゼルホルダに容易に組み付けることができる。この場合、プリロードをかけられた緊締スリーブ20の外径は、緊締スリーブ20がチゼルホルダの受容孔内に容易に接合され得る程度の寸法に設計されている。支持セクション36に続くヘッド部30は、直径の増大された円筒形の座部35を有している。この場合、座部35の内径は、円筒形の受容部14の外径と同じか又はこれよりも大きい寸法に設計されている。支持セクション36に面した側で、座部35には、ゴムより成るOリングとして形成された弾性的な支持エレメント38が嵌め込まれている。ヘッド部30は、凹状の掘削物導出面34を備えている。この掘削物導出面34は、組み立てた状態でつば15の凸状の掘削物導出面に移行する。チゼル尖端18とは反対側で、掘削物導出面34は円筒形のつば33に移行しており、次いでこのつば33は支持面31に移行している。掘削物の導出を改善するために、掘削物導出面34に長手方向の凹部34.1が形成されている。
【0027】
シャフトチゼルを組み付けるために、上記のように、シャフトチゼルはその緊締スリーブ20と共に、支持面31がチゼルホルダの対応する対抗面に当接するまで、チゼルホルダの受容孔内に挿入される。チゼル尖端18にハンマーブロー(打撃力)が作用すると、ヘッド部30は支持部10に対して、中心軸線Mの方向でチゼル尖端19に向かって摺動せしめられる。
【0028】
この場合、座部35は受容部14の領域内に達する。それと同時に座部36は緊締スリーブ20を解放し、緊締スリーブ20を半径方向でばね弾性的に負荷する。それによって、緊締スリーブ20は、チゼルホルダの受容孔の内壁に緊締される。
【0029】
ヘッド部30の摺動運動は、つば15のストッパ面16によって限定されている。ストッパ面16は、ヘッド部30の環状に対抗面37に当接する。ヘッド部30は、つば15によって、支持部10に対してもチゼル尖端18に向かって軸方向で分離不能に保持されている。それと同時に、支持セクション36は、弾性的な支持エレメント38を介して支持部10に対して支えられている。逆方向で、チゼルホルダはヘッド部30が支持部10から押し出されるのを阻止する。
【0030】
これによってヘッド部30は、支持部10に軸方向で分離不能であるが、中心軸線を中心にして回転可能に保持されている。
【0031】
支持エレメント38は、組み立てた状態で受容部14における移行セクション13の領域内に位置している。支持部10が軸方向で負荷されると、支持エレメント38は圧縮され、それによって衝撃負荷が緩和される。
【0032】
工具使用中に、シャフトチゼルはそのチゼル尖端18が、破砕しようとする地盤材料及びビチューメン材料にぶつかる。この場合、支持部10がヘッド部30の座部35に押し付けられ、支持部10は対抗面37及び/又は支持セクション36に支えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(11)を備えた支持部(10)を有するシャフトチゼル、特に路面掘削用チゼルであって、前記シャフト(11)が硬質材料より成るチゼル尖端(18)を支持しており、前記支持部(10)が前記シャフト(11)と前記チゼル尖端(18)との間の領域に受容部(14)を有しており、該受容部(14)にヘッド部(30)が保持されており、該ヘッド部(30)が、前記チゼル尖端(18)に向かって先細りする掘削物導出面(34.1)を有している形式のものにおいて、
前記ヘッド部(30)が前記支持部(10)に対して回転可能に保持されていることを特徴とする、シャフトチゼル。
【請求項2】
前記ヘッド部(30)が前記支持部(10)に対して該支持部の中心軸線(M)を中心にして回転可能に支承されている、請求項1記載のシャフトチゼル。
【請求項3】
前記ヘッド部(30)が環状の支持面(31)を有しており、該環状の支持面(31)に、この環状の支持面(31)に対して同心的に貫通開口が設けられていて、該貫通開口内に前記支持部(10)が受容されている、請求項1又は2記載のシャフトチゼル。
【請求項4】
前記ヘッド部(30)が前記貫通開口を取り囲むセンタリング突起(32)を有しており、該センタリング突起(32)が、前記支持面(31)に向かって連続的に増大するセンタリング面を有している、請求項3記載のシャフトチゼル。
【請求項5】
前記ヘッド部(30)が、凹状又は円錐形の掘削物導出面(34)を有しており、該掘削物導出面(34)はその直径がチゼル尖端(18)に向かって先細りしている、請求項1から4までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。
【請求項6】
前記ヘッド部(30)が孔を有していて、該孔の円筒形及び/又は円錐形の孔壁部が座部(35)を形成していて、該座部(35)に前記支持部(10)の受容部(14)が当接するか又は当接可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。
【請求項7】
前記ヘッド部(30)が弾性的な支持エレメント(38)によって前記支持部(10)に支えられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。
【請求項8】
前記ヘッド部(30)が、前記支持部(10)におけるヘッド部(30)の組み付け運動を制限するストッパ(支持セクション36)及び/又は対抗面(37)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。
【請求項9】
前記支持部(10)が前記シャフト(11)の領域内で緊締スリーブ(20)を支持しており、該緊締スリーブ(20)に前記ヘッド部(30)が被せ嵌められていて、この場合、前記ヘッド部(30)が前記緊締スリーブ(20)を、ばね弾性的に付勢した状態で保持しており、前記ヘッド部(30)は前記緊締スリーブ(20)に対して摺動可能であり、この場合、該緊締スリーブ(20)がヘッド部(30)を解放し、かつ前記緊締スリーブ(20)がその直径を増大する緊張解除位置に拡開するようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。
【請求項10】
前記支持部(10)が、前記チゼル尖端(18)を支持する端部領域で環状のつば(15)を有しており、該つば(15)の表面が前記掘削物導出面(34)に移行するようになっていて、該つば(15)が、前記座部(35)内への入口部における、前記ヘッド部(30)の横断面を半径方向で覆っている、請求項1から9までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。
【請求項11】
前記ヘッド部(30)と前記支持部(10)とが、種々異なる材料硬度及び/又は材料靱性を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載のシャフトチゼル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−502056(P2011−502056A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531442(P2010−531442)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008756
【国際公開番号】WO2009/056227
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(508129768)ベテック ベルクバウ− ウント ハルトメタルテヒニーク カール−ハインツ ジモーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】Betek Bergbau− und Hartmetalltechnik Karl−Heinz Simon GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Sulgener Str. 19−23, D−78733 Aichhalden, Germany
【Fターム(参考)】